説明

電気器具取付け装置

【課題】照明器具等の電気器具の着脱を容易に行うことができるとともに、着脱を繰り返しても美観を損なうことがない電気器具取付け装置を提供する。
【解決手段】 基板3の両面に電極板4、5が積層されるとともに、複数箇所に取付け孔6が貫通した状態で設けられ、かつ各電極板4、5が電源に電気的に接続される取付け板2と、取付け板の一方の電極板5側に設けられ電気器具取付け部11と、電気器具取付け部11に設けられるとともに、取付け孔6内に挿脱可能なピン部15と、ピン部15を取付け孔6内に挿入された状態に固定するとともに、一部が他方の電極板4の表面に係止される固定手段25と、固定手段25の他方の電極板4との対向面に設けられ、他方の電極板4の表面に電気的に接続される第1給電部17aと、電気器具取付け部11の一方の電極板5との対向面に設けられるとともに、一方の電極板5の表面に電気的に接続される第2給電部17bとからなるコネクタ10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気器具取付け装置に関し、特に、空間(建物、自動車等の空間)内の天井部、壁部、床部等に照明器具等の電気器具を着脱自在に取り付けるのに有効な電気器具取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の例えば天井部に照明器具を取り付ける場合には、予め、天井部のパネルの所定の位置に配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に照明器具を電気的に接続することで、照明器具を取り付けている。
【0003】
このような照明器具は、建物内のレイアウトの変更等によって他の位置に移動させる場合に、新たにパネルに配線用孔を設け、この配線用孔から天井裏に敷設されている電線を引き出し、この引き出した電線に取り外した照明器具を電気的に接続している。
【0004】
このため、パネルに新たに配線用孔を設ける作業や、新たに設けた配線用孔から天井裏の電線を引き出す作業等の作業が必要になり、それらの作業に非常に手間かかかることになる。また、照明器具を取り外した後のパネルに配線用孔が残って美観を損なうことになるため、元の配線用孔を塞ぐ作業も必要になり、その作業にも手間がかかることになる。
【0005】
一方、特許文献1には、基板の両面に印刷又はエッチングによりプリント配線して電路を形成し、電路の適宜な箇所にコネクタピンを挿入するピン挿入孔を形成し、このピン挿入孔内にコネクタピンを電気的に接続するように構成した発明が開示されており、このような技術を照明器具の天井部等への着脱に適用することも考えられる。
【特許文献1】実開昭56−86773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている技術では、コネクタピンを電路に電気的に接続する際にハンダ付け作業が必要になるとともに、照明器具を天井部等に支持するための機構が必要になるため、この技術をそのまま天井部等への照明器具の着脱に適用することはできない。
【0007】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、照明器具等の電気器具の着脱を容易に行うことができるとともに、照明器具等の電気器具を他の位置に移動させても美観を損なうようなことがない、電気器具取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、絶縁体からなる基板の両面に導電体からなる電極板が積層されるとともに、複数箇所に取付け孔が貫通した状態で設けられ、かつ前記各電極板が電源に電気的に接続される取付け板と、前記取付け板の一方の電極板側に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記取付け孔内に挿脱可能な1つ又は2つ以上のピン部と、該ピン部を前記取付け孔内に挿入された状態に固定するとともに、一部が他方の前記電極板の表面に係止される固定手段と、該固定手段の他方の前記電極板との対向面に設けられるとともに、前記ピン部が前記取付け孔内に挿入された状態で他方の前記電極板の表面に電気的に接続される第1給電部と、前記電気器具取付け部の一方の前記電極板との対向面に設けられるとともに、前記ピン部が前記取付け孔に挿入された状態で一方の前記電極板の表面に電気的に接続される第2給電部とからなるコネクタを備え、前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする。
【0009】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板の取付け孔内にコネクタのピン部を挿入し、固定手段によりピン部が取付け孔内に挿入された状態に固定することにより、固定手段側の第1給電部が他方の電極板の表面に電気的に接続され、電気器具取付け部側の第2給電部が一方の電極板の表面に電気的に接続されることになる。そして、電気器具取付け部に取り付けられる電気器具をコネクタの両給電部に電気的に接続することにより、電源から両電極板及び両給電部を介して電気器具に電力が供給され、電気器具が作動することになる。
この場合、第1給電部と第2給電部との間に例えば直流電源を供給する場合に、極性を間違えることなく各ピン部を取付け板の取り付け孔内に挿入することができる。
また、コネクタのピン部を取付け板の取付け孔内に挿入し、固定手段によりピン部が取付け孔内に挿入された状態に固定することで、コネクタを介して電気器具を取付け板に取り付けることができるので、電気器具の取付け作業を容易にすることができる。
さらに、電気器具を他の位置に移動させる場合には、固定手段によるピン部の固定状態を解除し、ピン部を取付け孔から離脱させることによりコネクタを取付け板から取り外し、この取り外したコネクタを取付け板の他の位置に移動させ、その位置でコネクタのピン部を取付け孔内に挿入し、固定手段によって取付け孔内にピン部を固定するだけでよいので、電気器具の移動を容易に行うことができる。
さらに、電気器具を他の位置に移動させても、電気器具を取り除いた後の取付け孔が美観を損なうようなこともない。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電気器具取付け装置であって、前記固定手段は、前記ピン部及び前記電気器具取付け部を貫通して設けられる回転可能なロッドと、該ロッドと一体に回転することによって前記ピン部の上端面に重合した状態と、前記ピン部の外径側にせり出して前記取付け板の他方の電極板の表面に係止する状態とを取り得る固定部と、該ロッドを回転させる操作部とを備え、前記固定部の他方の前記電極板との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第1給電部が設けられ、両第1給電部間が導電体からなる前記ロッドを介して電気的に接続されていることを特徴とする。
【0011】
本発明による電気器具取付け装置によれば、ピン部を取付け板の取付け孔内に挿入し、この状態で固定手段の操作部を操作してロッドと一体に固定部を回転させ、固定部を他方の電極板の表面に係止させることにより、ピン部が取付け孔内に挿入された状態に固定され、コネクタが取付け板に固定されることになる。この場合、固定部側の第1給電部が他方の電極板の表面に電気的に接続され、この固定部側の第1給電部がロッドを介し操作部側の第1給電部に電気的に接続されることになる。
また、固定手段の操作部を操作して、ロッドと一体に固定部を回転させて固定部を他方の電極板の表面から離脱させ、ピン部を取付け孔から離脱させてコネクタを取付け板から取り外すことにより、第1給電部の他方の電極板に対する電気的な接続状態が解除されることになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の電気器具取付け装置であって、前記電気器具取付け部の前記ピン部の周囲の一方の前記電極板との対向面には、前記ピン部を包囲するように溝が設けられ、該溝内に前記第2給電部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明による電気器具取付け装置によれば、ピン部を取付け板の取付け孔内に挿入することにより、電気器具取付け部のピン部の周囲の溝内に設けられている第2給電部が一方の電極板の表面に電気的に接続されることになる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の電気器具取り付け装置であって、前記第2給電部は、一方の前記電極板の表面方向に弾性変形可能に構成され、該弾性力により前記第2給電部が一方の前記電極板の表面に圧接されることを特徴とする。
【0015】
本発明による電気器具取り付け装置によれば、第2給電部が一方の電極板の表面方向に弾性変形することにより、その弾性力によって第2給電部が一方の電極板の表面に圧接され、第2給電部が一方の電極板の表面に電気的に接続されることになる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1から4の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記コネクタのピン部を2つ以上とする場合に、何れか一のピン部と他の何れか一のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の取付け孔を前記取付け板に設けることを特徴とする。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1から5の何れかに記載の電気器具取付け装置であって、前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明による電気器具取付け装置によれば、取付け板を空間内の天井部、壁部、又は床部に設けることにより、照明器具、火災センサ等の各種の電気器具を天井部、壁部、又は床部の取付け板に着脱させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明の電気器具取付け装置によれば、取付け板の取付け孔内にコネクタのピン部を挿入し、固定手段によりピン部を取付け孔内に挿入された状態に固定することにより、コネクタを取付け板に固定することができ、コネクタを介して電気器具を取付け板に取り付けることができる。また、固定手段によるピン部の固定状態を解除し、ピン部を取付け孔から離脱させることにより、コネクタを取付け板から取り外すことができ、コネクタに取り付けられる電気器具を取付け板から取り外すことができる。
従って、電気器具の取付け板への着脱を容易に行うことができるので、電気器具を取付け板の他の位置に移動する場合に、新たな配線用孔を設けたり、配線用孔から配線を引き出したりする作業が不要となる。さらに、電気器具を取り外した後に取付け孔が残っても、その取付け孔の存在によって美観を損なうようこともない。
また、コネクタを取付け板に取り付けた際に、第1給電部が他方の電極板の表面に電気的に接続され、第2給電部が一方の電極板の表面に電気的に接続されることになるので、第1給電部と他方の電極板との接触面積、及び第2給電部と一方の電極板との接触面積を大きくとることができる。
従って、電気器具の作動に必要な電流を確実に通電することができ、大電流を必要とする電気器具にも十分な電流を確実に通電することが可能となり、各種の電気器具を使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態の電気器具の取り付け装置は、取付け板とコネクタとを含んで構成されており、図1は取付け板とコネクタとの関係を示す説明図、図2はコネクタを取付け板に取り付けた状態を示す断面図、図3はコネクタと固定手段との関係を示す説明図である。
【0021】
すなわち、この電気器具取付け装置1は、空間内(例えば、建物、自動車等の空間内、本実施の形態においては建物とする。)の天井部、壁部等に照明器具、火災センサ等の電気器具を着脱自在に取り付けるとともに、この電気器具に電力を供給するのに有効なものであって、図1及び図2に示すように、建物の天井部、壁部等(本実施の形態では天井部)に設けられる取付け板2と、取付け板2に着脱自在に取り付けられるコネクタ10と、コネクタ10を取付け板2に固定する固定手段25とを備えており、コネクタ10に電気器具35が取り付けられるようになっている。
【0022】
取付け板2は、図1に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料からなる板状の基板3と、基板3の両面にそれぞれ一体に積層される銅等の導電性を有する材料からなる板状の一方の電極板5及び他方の電極板4(以下、「第1電極板5」、「第2電極板4」という。)とからなる積層板であって、基板3と第1電極板5及び第2電極板4とは接着剤等の接合手段によってそれぞれ一体に接合されている。
【0023】
取付け板2には、両面間を貫通する取付け孔6が複数箇所に設けられ、各取付け孔6内に後述するコネクタ10のピン部15が挿脱可能に構成されている。取付け板2の両電極板4、5は、配線7を介して電源8に接続され、電源8から両電極板4、5間に所定の直流又は交流の電圧が印加されるようになっている。
【0024】
取付け板2は、天井部の全体に設けてもよいし、天井部の一部に設けてもよい。天井部の全体に設ける場合には、複数枚の取付け板2を組み合わせて天井部の全体を塞ぐようにしてもよい。その場合には、隣接する取付け板2の第1電極板4〜4、第2電極板5〜5間を電気的に接合するか、あるいは各取付け板2の第1電極板4及び第2電極板5をそれぞれ個別に配線7を介して電源8に接続すればよい。
【0025】
コネクタ10は、図1〜図3に示すように、照明器具等の電気器具35が取り付けられる電気器具取付け部11と、電気器具取付け部11の上面に一体に立設された1つ又は2つ以上(本実施の形態では2つ)のピン部15(以下、「第1ピン部15a」、「第2ピン部15b」という。)とを備えている。
【0026】
電気器具取付け部11は、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される例えば円板状をなすものであって、上面の第1ピン部15a、及び第2ピン部15bが取付け板2の各取付け孔6内に挿入された状態で取付け板2に取り付けられ、この電気器具取付け部11の下部に照明器具等の電気器具35がねじ等の取付け手段によって着脱自在に取り付けられるようになっている。
なお、電気器具取付け部11は、円板状に限らず、他の形状に形成してもよい。要は、使用する電気器具35の形状等に応じて適宜の形状に形成すればよい。
【0027】
第1ピン部15a、及び第2ピン部15bは、図2及び図3に示すように、合成樹脂等の絶縁性を有する材料から形成される円柱状をなすものであって、取付け板2の取付け孔6の内径よりも小径、かつ取付け孔6よりもやや長く形成されている。第1ピン部15a、及び第2ピン部15bは、電気器具取付け部11と一体に形成してもよいし、電気器具取付け部11と別体に形成し、適宜の連結手段によって電気器具取付け部11に一体に連結するように構成してもよい。
【0028】
なお、第1ピン部15aと第2ピン部15bとの径を異なる寸法に形成し、それに応じた大きさの取付け孔6を取付け板2に形成してもよいし、また、第1ピン部15aを円柱状に形成し、第2ピン部15bを第1ピン部15aと異なる形状(角柱状等)に形成し、第1ピン部15a、及び第2ピン部15bの形状に対応させて取付け板2の取付け孔6を円形状、角形状等に形成してもよい。
【0029】
電気器具取付け部11の下面の各ピン部15に対応する部分には、円形状のガイド穴21がその中心を後述する固定手段25のロッド26の軸線に一致させた状態で設けられ、このガイド穴21内に固定手段25の操作部28が回転自在に設けられている。
【0030】
コネクタ10の各ピン部15a、15bの中心から偏心した位置には、各ピン部15a、15b及び電気器具取付け部11を軸線方向に貫通し、下端がガイド穴21の底面の中心部に開口するロッド支持孔16が設けられ、このロッド支持孔16内を固定手段25のロッド26が回転自在に挿通している。
【0031】
コネクタ10の電気器具取付け部11には、一端が後述する第1給電部17aに電気的に接続され、他端が電気器具取付け部11の下部に配置される端子12に電気的に接続される配線20と、一端が後述する第2給電部17bに電気的に接続され、他端が電気器具取付け部11の下部に配置される端子12に電気的に接続される配線20とが設けられ、これらの端子12、12に電気器具取付け部11に取り付けられる電気器具35が電気的に接続されるようになっている。
【0032】
固定手段25は、図2及び図3に示すように、各ピン部15a、15b及び電気器具取付け部11を貫通するロッド支持孔16内を挿通して、上下端が各ピン部15a、15b及び電気器具取付け部11のガイド穴21の底面から所定量突出する回転可能な導電体からなるロッド26と、このロッド26の各ピン部15a、15bから突出している上端に一体に設けられる円板状の固定部27と、このロッド26の電気器具取付け部11のガイド穴21の底面から突出している下端に一体に設けられるとともに、ガイド穴21内に回転可能に設けられる操作部28とを備え、操作部28をガイド穴21内で回転させることにより、ロッド26を介して固定部27が回転するように構成されている。
【0033】
固定部27は、各ピン部15a、15bの上端と略同一径の円板状に形成され、各ピン部15a、15bの上端面と重合した状態で偏心した位置にロッド26の上端が一体に連結され、操作部28を回転させてロッド26を回転させることによりロッド26と一体に固定部27が回転し、固定部27が各ピン部15a、15bの上端面に重合した位置と上端面から外径側にせり出した位置との間を移動するように構成されている。
【0034】
操作部28は、ガイド穴21の内径よりも小さい円板状をなすものであって、その中心部にロッド26の下端が一体に連結されている。操作部28の下端面の中心部には例えば六角穴(図示せず)が設けられ、この六角穴内に六角レンチを挿入し、六角レンチを操作することにより操作部28をガイド穴21内で回転させることができる。
【0035】
なお、操作部28の下端面に板状等の摘み部を一体に設け、この摘み部を摘むことにより操作部28を回転させるように構成してもよい。
また、操作部28の周面のロックばねを一体に設けるとともに、このロックばねが係合可能なロック溝をガイド穴21の内面に設け、ロックばねをロック溝内に係合させることで、操作部28をガイド穴21内に固定するように構成してもよい。
【0036】
操作部28を回転させてロッド26と一体に固定部27を回転させ、固定部27を各ピン部15a、15bの上端面から外径側にせり出させ、固定部27を取付け板2の第2電極板4の表面4aに係止させることにより、各ピン部15a、15bが取付け板2の取付け孔6内に挿入された状態に固定される。
【0037】
第1ピン部15aの固定手段25aの固定部27の下面には、導電性を有する材料からなる第1給電部17aが一体に設けられるとともに、この固定手段25aの操作部28の上面には、導電性を有する材料からなる第1給電部17a´が一体に設けられ、上側の第1給電部17aと下側の第1給電部17a´とは、導電体からなるロッド26を介して電気的に相互に接続されている。
【0038】
下側の第1給電部17a´に対向するガイド穴21の底面には導電板21aが設けられ、この導電板21aに下側の第1給電部17a´が電気的に摺動可能に接触している。また、導電体21aには、電気器具取付け部11に設けられている配線20の一端が電気的に接続され、この配線20の他端は電気器具取付け部11の下部に設けられている端子12に電気的に接続されている。これにより、第2電極板4が上側の第1給電部17a、ロッド26、下側の第1給電部17a´、導電板21a、及び配線20を介して電気器具取付け部11の下部の端子12に電気的に接続されている。
【0039】
なお、第2ピン部15bの固定手段25bの固定部27の下面、及び操作部28の上面には給電部は設けられていない。
【0040】
電気器具取付け部11の上面の各ピン部15a、15bの周囲には、各ピン部15a、15bを包囲するように所定の幅、深さの環状の溝19が設けられ、第2ピン部15bの周囲の溝19内に第2給電部17bが設けられ、第1ピン部15aの周囲の溝19内に付勢手段23が設けられている。
なお、溝19は、環状に限らず他の形状でもよい。要は、第2給電部17b、付勢手段23を収納可能な形状であればよい。
【0041】
第2給電部17bは、銅等の導電性を有する材料からなる弾性を有する湾曲板状の弾性導電部材18を複数組み合わせて構成したものであって、各弾性導電部材18は、第2ピン部15bの周囲の溝19内にそれぞれ嵌合されている。この場合、各弾性導電部材18は、湾曲部分の頂部が電気器具取り付け部11の上面よりも上方に突出し、溝19の内部方向へ弾性変形可能となるように構成されている。
【0042】
各ピン部15a、15bを取付け孔6内に挿入し、各ピン部15a、15bを固定手段25a、25bによって取付け孔6内に挿入した状態に固定することにより、第2給電部17の各弾性導電部材18が溝19の内部方向へ弾性変形し、このときの弾性力によって各弾性導電部材18が第1電極板5の表面5aに強く圧接され、第2給電部17bの各弾性導電部材18と第1電極板5とが電気的に確実に接続される。
【0043】
なお、第2給電部17bは、上記の構成のものに限らず、第1電極板5の表面5aに強く圧接されて、第1電極板5と電気的に確実に接続できる構成のものであればよく、例えば、圧縮ばねと導電部材とを組み合わせて、圧縮ばねの付勢力により導電部材を第1電極板5の表面5aに圧接するようにしてもよい。
【0044】
第2給電部17bには、電気器具取付け部11に設けられている配線20の一端が電気的に接続され、この配線20の他端は電気器具取付け部11の下部に設けられている端子12に電気的に接続されている。
【0045】
付勢手段23は、第2給電部17bの弾性導電性部材18と同一形状、及び同一弾性を有する湾曲板状の板ばね24を複数組み合わせて構成したものであって、各板ばね24は第1ピン部15aの周囲の溝19内にそれぞれ嵌合されている。この場合、各板ばね24は、湾曲部分の頂部が電気器具取付け部11の上面よりも上方に突出し、溝19の内部方向へ弾性変形可能となるように構成されている。
【0046】
各ピン部15a、15bを取付け孔6内に挿入し、各ピン部1515a、15bを固定手段25a、25bによって取付け孔6内に挿入した状態に固定することにより、付勢手段23の各板ばね24が第1ピン部15aの周囲の溝19の内部方向へ弾性変形し、このときの弾性力によって各板ばね24が第1電極板5の表面5aに強く圧接される。これにより、上側の第1給電部17aが第2電極板4の表面4aに強く圧接されるとともに、付勢手段23の付勢力と第2給電部17bの付勢力との協働により、電気器具取付け部11を取付け板2の下部にガタが生じることなく、かつバランス良く確実に取り付けることができる。
【0047】
次に、上記のように構成した本実施の形態による電気器具取付け装置1の作用について説明する。
まず、照明器具等の電気器具35を天井部に取り付けるには、図1及び図2に示すように、コネクタ10を天井部に予め設けられている取付け板2の所定の位置の下方に配置し、その位置で取付け孔2内に各ピン部15a、15bを挿入し、各固定手段25a、25bの各操作部28を回転させてロッド26を介して各固定部27を回転させ、各固定部27を第2電極板4の表面4aに係止させる。
【0048】
これにより、固定手段25aの固定部27の下面側の第1給電部17aが第2電極板4の表面4aに電気的に接続され、電気器具取付け部11の上面側の溝19内の第2給電部17bが第1電極板5の表面5aに電気的に接続され、第2電極板4が第1給電部17a、ロッド26、第1給電部17a´、導電板21a、及び配線20を介して電気器具取付け部11の下面側の端子12に電気的に接続され、第1電極板5が第2給電部17b及び配線20を介して電気器具取付け部11の下面側の端子12に電気的に接続される。
【0049】
そして、電気器具取付け部11の下部にねじ等の取付け手段によって照明器具等の電気器具35を取り付け、電気器具35の電源を電気器具取付け部11の下部の端子12に電気的に接続する。
【0050】
このようにして、天井部の取付け板2に照明器具等の電気器具35を取り付けることができ、電源8から取付け板2の第2電極板4と第1電極板5との間に電圧を印加することにより、第2電極板4から第1給電部17a、ロッド26、第1給電部17a´、導電板21a、配線20、及び端子12を介して、第1電極板5から第2給電部17b、配線20、及び端子12を介して、照明器具等の電気器具35に電力が供給され、照明器具等の電気器具35を作動させることができる。
【0051】
次に、建物内のレイアウトの変更等によって電気器具35を天井部の他の位置に移動させる場合には、コネクタ10から電気器具35を取り外し、この状態で各固定手段25
の操作部28を回転させてロッド26を介して固定部27を回転させ、固定部27を第2電極板4の表面4aからピン部15の上端面と重合する位置に移動させる。
【0052】
そして、この状態で各ピン部15を各取付け孔6から離脱させることによってコネクタ10を取付け板2から取り外す。その後は上述した取り付け手順によってコネクタ10を取付け板2に取り付ける。
【0053】
上記のように構成した本実施形態による電気器具取付け装置1にあっては、建物の天井部に設けた取付け板2の取付け孔6を利用してコネクタ10を取付け板2に着脱させることにより、コネクタ10を介して天井部の所定の位置に照明器具等の電気器具35を着脱させることができるので、照明器具等の電気器具35の天井部への着脱を容易に行うことができる。
【0054】
また、天井部に取り付けた照明器具等の電気器具35を他の位置に移動させる場合にも、他の位置の取付け孔6を利用してコネクタ10を取付け板2に着脱させることにより、その位置にコネクタ10を介して照明器具等の電気器具35を着脱させることができることになる。
【0055】
この場合、取付け板2の複数の取付け孔6によって意匠的な効果を醸し出しているので、照明器具等の電気器具35を取り外した後の取付け孔6によって美観を損なうようなことはなく、また、取付け孔6を塞ぐ作業も不要となる。また、照明器具等の電気器具35を移動させる位置に新たに配線用孔を設け、その配線用孔から天井裏の配線を引き出したりする作業も不要となるので、照明器具等の電気器具35の移動に要する手間を大幅に削減することができる。
【0056】
さらに、第1給電部17aと第2電極板4との接触面積、及び第2給電部17bと第1電極板5との接触面積を大きくとることができるので、大電流を流すことが可能となり、大電流を必要とする電気器具35にも充分な電流を通電することが可能となり、各種の電気器具35に対応することが可能となる。
【0057】
図4及び図5には、本発明による電気器具取付け装置の他の実施の形態が示されている。この実施の形態に示す電気器具取付け装置1は、電気器具取付け部11の上面の第2ピン部15bの周囲に、弾性を有していない導電体から円環板状の第2給電部17bを一体に設け、この第2給電部17bを第1電極板5の表面5aに電気的に接続し、さらに、第1ピン部15aの周囲の付勢手段23を省略したものであって、その他の構成は前記実施の形態に示すものと同様である。
【0058】
そして、本実施の形態に示す電気器具取付け装置1にあっても、前記実施の形態に示す電気器具取付け装置1と同様の作用効果を奏する。
【0059】
なお、前記の説明においては、電気器具35として比較的重量のある照明器具等を例にとって説明したが、LEDを配置した照明器具のように軽量の照明器具等を電気器具としてもよいものであり、その場合には、電気器具を電気器具取付け部として、電気器具にピン部を一体に設けてもよい。
【0060】
また、前記の説明においては、電気器具取付け部11に2つのピン部15a、15bを設けたが、電気器具取付け部11に1つ又は3つ以上のピン部15を設けてもよい。1つのピン部15を設ける場合には、その1つのピン部15の固定手段25の固定部27及び操作部28に第1給電部17a、17a´を設け、ピン部15の周囲に溝19を設け、その溝19内に弾性導電性部材18からなる第2給電部17bを設ければよい。また、3つ以上のピン部15を設ける場合には、その一部のピン部15を前述した第1ピン部15aのように構成し、他の一部のピン部15を前述した第2ピン部15bのように構成すればよい。
【0061】
また、前記の説明においては、本実施の形態による電気器具取付け装置1を建物の天井部に適用した場合について説明したが、建物の壁部、床部等に照明器具や火災センサ等の電気器具を取り付ける場合に適用することもできる。
さらに、自動車等の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用することができ、その他の各種の空間の天井部等に電気器具を取り付ける場合にも適用可能である。
さらに、例えば、各種の作業テーブルの天板などを上記実施形態の取付け板2の構成とし、電気器具を着脱可能な作業テーブルとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による電気器具の取付け装置の一実施の形態を示した説明図であって、取付け板とコネクタとの関係を示した説明図である。
【図2】コネクタを取付け板に取り付けた状態を示した断面図である。
【図3】コネクタと固定手段との関係を示した説明図である。
【図4】本発明による電気器具取付け装置の他の実施形態を示した断面図である。
【図5】コネクタと固定手段との関係を示した他の実施の形態の説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 電気器具取付け装置 2 取付け板
3 基板 4 他方の電極板(第2電極板)
4a 表面 5 一方の電極板(第1電極板)
5a 表面 6 取付け孔
7 配線 8 電源
10 コネクタ 11 電気器具取付け部
12 端子 15 ピン部
15a 一方のピン部(第1ピン部) 15b 他方のピン部(第2ピン部)
16 ロッド支持孔 17 給電部
17a、17a´ 第1給電部 17b 第2給電部
18 弾性導電部材 19 溝
20 配線 21 ガイド穴
21a 導電板 23 付勢手段
24 板ばね 25 固定手段
25a 固定手段 25b 固定手段
26 ロッド 27 固定部
28 操作部 35 電気器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体からなる基板の両面に導電体からなる電極板が積層されるとともに、複数箇所に取付け孔が貫通した状態で設けられ、かつ前記各電極板が電源に電気的に接続される取付け板と、
前記取付け板の一方の電極板側に設けられ、電気器具が取り付けられる電気器具取付け部と、該電気器具取付け部に一体に設けられるとともに、前記取付け孔内に挿脱可能な1つ又は2つ以上のピン部と、該ピン部を前記取付け孔内に挿入された状態に固定するとともに、一部が他方の前記電極板の表面に係止される固定手段と、該固定手段の他方の前記電極板との対向面に設けられるとともに、前記ピン部が前記取付け孔内に挿入された状態で他方の前記電極板の表面に電気的に接続される第1給電部と、前記電気器具取付け部の一方の前記電極板との対向面に設けられるとともに、前記ピン部が前記取付け孔に挿入された状態で一方の前記電極板の表面に電気的に接続される第2給電部とからなるコネクタを備え、
前記両給電部に前記電気器具が電気的に接続されることを特徴とする電気器具取付け装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記ピン部及び前記電気器具取付け部を貫通して設けられる回転可能なロッドと、該ロッドと一体に回転することによって前記ピン部の上端面に重合した状態と、前記ピン部の外径側にせり出して前記取付け板の他方の電極板の表面に係止する状態とを取り得る固定部と、該ロッドを回転させる操作部とを備え、
前記固定部の他方の前記電極板との対向面、及び前記操作部の前記電気器具取付け部との対向面に前記第1給電部が設けられ、両第1給電部間が導電体からなる前記ロッドを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気器具取付け装置。
【請求項3】
前記電気器具取付け部の前記ピン部の周囲の一方の前記電極板との対向面には、前記ピン部を包囲するように溝が設けられ、該溝内に前記第2給電部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気器具取付け装置。
【請求項4】
前記第2給電部は、一方の前記電極板の表面方向に弾性変形可能に構成され、該弾性力により前記第2給電部が一方の前記電極板の表面に圧接されることを特徴とする請求項3に記載の電気器具取り付け装置。
【請求項5】
前記コネクタのピン部を2つ以上とする場合に、何れか一のピン部と他の何れか一のピン部との大きさ、又は形状を異ならせるとともに、それに対応させた大きさ、又は形状の取付け孔を前記取付け板に設けることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の電気器具取付け装置。
【請求項6】
前記取付け板は、空間内の天井部、壁部、又は床部に設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の電気器具取付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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