説明

電気掃除機の延長管

【課題】 電気掃除機の伸縮自在な延長管において、延長管の内外管をロック又はその解除を片手でも操作可能にして、延長管の伸縮操作性の改善を図ることができる電気掃除機の延長管を提供する。
【解決手段】 電気掃除機の作業操作部に近接した位置にある外管2の一端部4に設けられている操作レバー8を操作することで、連動シャフト10を介して外管2の他端部5に設けられているロック手段9がロック状態又はロック解除状態に作動される。例えば、内管2に取り付けられている吸込み具を足等で押さえた状態で外管を引き上げることにより、延長管1が伸長する。延長管1の伸長状態で操作レバー8の操作をロック解除にすれば、吸込具を例えば床上に置いた状態で外管2を一端部側から押し下げることにより、延長管1は収縮状態に戻される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機の吸引ホースと吸込み具との間に介装される伸縮可能な延長管に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の電気掃除機の一例を示す外観側面図である。掃除機本体41は吸気圧を発生する電動送風機42を備える電動送風機室43と、塵埃を補集する集塵袋44を収納する集塵室45を有し、集塵室45の吸口部にはピアノ線と電線を2本ずつ螺旋状に埋設した可撓性のホース46の一端が接続される。ホース46の他端側には延長管47が接続可能となっており、延長管47の両端にはそれぞれ端子(図示省略)を備え、この両端子間を電気的に導通させる電力供給路48が延長管47の長手方向に沿って配設されている。延長管47の先端に接続される電動吸込具49には、回転ブラシとその駆動源となるモータ(図示省略)などを内蔵している。さらに、ホース46の他端には、リモートスイッチ57を備えた取っ手58が設けられている。
【0003】
延長管47は、外管50と内管51とが互いに摺動可能に嵌合した大小2つの筒から成り、レールとレール溝のような嵌合部によって互いにスライド可能とされていることによって、伸縮可能に構成されている。延長管47は、通常、外管50の一端にホース46が接続され、内管51の他端に電動吸込具49が接続される。掃除機本体41から電動吸込具49に設けられるモータへ電力供給を行うために、ホース46から延長管47を経て電動吸込具49に至る電力供給路48が設けられる。延長管47は伸縮可能に構成されるので、電力供給路48は、端子がレール上を摺動する構造や可撓性のフラットケーブル、あるいはコイルばねのような伸縮性の電線ケーブルを採用するなどして、延長管47が伸縮しても電力の供給が確保される構造となっている。
【0004】
掃除機の不使用時においては、延長管47は、通常、外管50と内管51を収縮してロックした状態で収納保管される。掃除機の使用に際して延長管47を伸長する場合には、ロックボタン59を操作して外管50と内管51とのロック状態を外し、手動にて外管50と内管51を互いにスライドして、必要な長さに伸長させる。延長管47の長さは、両管の係合可能な位置を複数箇所に用意して、ユーザの希望に合わせて選択可能にすることも行われている。延長管47が適当な長さに伸ばされたとき、ロックボタン59を操作して再度ロック状態とすることにより、延長管47はその長さに維持される。掃除機の不使用時に延長管47を短縮するときも、同様な操作が必要とされる。
【0005】
外管内での内管の軸方向位置を調節する調節手段と、その調節をする際に操作される操作体とを設けた電気掃除機が提案されている。この電気掃除機によれば、係止部材を押さえる押さえ板とともに操作体を、弾性体による付勢力に抗して摺動させるときには、係止部材が自由となり、内外管のロック状態を開放する内管を希望長さだけ引き出した後に、操作体から手を話すと弾性体の付勢力で押さえ板が移動し、その移動に基づいて係止部材が内外管をロック状態となる。係止部材は、例えば、外管に対して内外方向にのみ出入り可能に移動できるボールとすることができ、内管に形成された複数の凹部に選択的に嵌まり込むことで、内外管をロックする(特許文献1、特許文献2)。
【特許文献1】特開平9−24001号公報(段落[0038]〜[0042],図5)
【特許文献2】特開平9−56648号公報(段落[0029]〜[0030],図5)
【0006】
しかしながら、この種の延長管においては、調節手段と操作体とは、外管の内管側部、即ち、先端部に設けられており、この位置は、ホースと外管との接続部に設けられる掃除機操作部とは外管の長さだけ離れている。そのため、通常は、一方の手で外管を握りつつ操作体を操作しながら、他方の手で内管を引き出す又は収縮させるという両手を用いた作業をしなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気掃除機の伸縮可能な延長管は、伸長した状態でロックする必要があるので、ロック手段を設ける位置については、伸長状態にある外管と内管との重なる位置、即ち、外管の先端部とするのが好ましい。しかしながら、一方では、電気掃除機を操作するときに、手で掴む部分は、通常、ホースとの接続部分に外管から延長して設けられる取っ手である作業操作部である。そこで、電気掃除機のホースと吸込み具との間で用いられる伸縮可能な延長管において、延長管の内外管のロック又はその解除を片手でも操作可能な程度に操作性を改善する点で解決すべき課題がある。
【0008】
この発明の目的は、電気掃除機の伸縮自在な延長管について、電気掃除機の作業操作部の近傍において、延長管の内外管をロック又はその解除を片手でも操作可能にして、延長管の伸縮操作性の改善を図ることができる電気掃除機の延長管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、この発明による電気掃除機の延長管は、電気掃除機本体に接続されるホースと吸込み具との間に介装可能であり、外管、当該外管の内部を摺動可能な内管、及び外管と内管とを解除可能にロックするロック手段を備えた電気掃除機の延長管において、ロック手段を作動させるため外管に設けられている操作レバーとロック手段とを外管に沿って延びている連動シャフトで連結したことを特徴としている。
【0010】
この電気掃除機の延長管によれば、外管に設けられている操作レバーを操作することで、連動シャフトを介して外管に設けられているロック手段を作動させることができる。延長管の使用状態で、操作レバーを操作することで、操作レバーから離れた位置に設けられているロック手段であっても、連動シャフトを介しては容易に作動させることができる。操作レバーの操作でロック手段を解除することで内外管のロック状態が解除されるので、例えば、内管の他端である先端部に取り付けられている吸込み具を足等で押さえた状態で外管を引き上げることにより、延長管が伸長する。また、延長管の伸長状態で操作レバーの操作を戻せば、その伸長状態で内外管はロックされる。更に、内外管の伸長状態で操作レバーを操作して内外管のロック状態を解除し、吸込み具を例えば床上に置いた状態で外管を一端部側から押し下げることにより、内管を相対的に外管内に押し込むことで、延長管は伸長状態から収縮状態に戻される。その状態で、操作レバーの操作を戻せば内外管はその収縮状態でロックされ、延長管の収納に適した状態となる。外管の一端部は、電気掃除機の作業操作部に近接した位置にあるので、操作レバーをその一端部又はその近傍に設けることで、ユーザは作業操作部から手を移して操作レバーに素早くアクセスできる。
【0011】
この電気掃除機の延長管において、ロック手段は、内管に形成されたロック係合部、ロック係合部に係合可能な係合部材、外管に設けられ且つ係合部材を出没可能に保持する保持孔が形成された保持部材、連動シャフトの先端に取り付けられ且つ係合部材をロック係合部に対して解放可能に押圧するカム体、及びカム体が係合部材を押圧するときの反作用によるカム体の浮き上がりを押さえる押さえ部材を備える構成とすることができる。この構成を備えるロック手段によれば、操作レバーを操作すると連動シャフトが、当該連動シャフトの先端に取り付けられているカム体と共に外管の軸方向に移動する。係合部材は、外管に設けられた保持部材に形成されている保持孔に出没可能に保持されているので、カム体が移動するときに、係合部材をロック係合部に対して押圧する、又は押圧を解放する。カム体は、係合部材をロック係合部に対して押圧するときの反作用力で浮き上がろうとするが、押さえ部材がカム体を背面から押さえることで、係合部材がロック係合部に対して係合する状態が維持される。
【0012】
上記のように構成されているロック手段を備えた電気掃除機の延長管において、係合部材はボール又は円柱状のピンであり、ロック係合部は係合部材が嵌入可能に形成されたロック溝を備えており、押さえ部材は、押さえ部材の変位に応じて係合部材ところがり係合し係合部材をロック溝に押し込む持つカム面を備えたカム体とすることができる。ロック手段は、連動シャフトが押さえ部材と共に外管の軸方向に移動するとき、押さえ部材は、その変位に応じて、カム面で係合部材としてのボール又は円柱状のピンところがり係合する。押さえ部材の移動方向に応じて、係合部材は、カム体のカム作用によって、ロック係合部に形成されているロック溝に押し込む又はその逆にロック溝から抜け出す。押さえ部材と係合部材とはころがり接触であるので、相対移動時の抵抗が少なく、係合部材のロック係合部に対する動作をスムーズにすることができる。カム面は、係合部材を移動させてロック溝に押し込むための傾斜面と、それに続いてロック状態を維持可能なロック面とから構成するのが好ましい。
【0013】
上記のように構成されているロック手段を備えた電気掃除機の延長管において、ロック係合部を、内管において、長手方向に隔置された複数の位置に形成することができる。ロック係合部を複数の位置に形成することによって、係合部材が係合するロック係合部をいずれかに選択することで、外管から伸長する内管の長さ、即ち、延長管の長さを調節することができる。
【0014】
この電気掃除機の延長管において、操作レバーを外管に対して長手方向に案内されるスライドレバーとすることができる。操作レバーは、外管の長手方向に沿ってスライドすることになるので、外管表面からの張り出しが少なくなり、また、操作レバーを外管に対して案内することで、操作レバーの操作時の動きを安定な動きに維持することができる。
【0015】
この電気掃除機の延長管において、連動シャフトは、操作レバーとロック手段とを接続する一対のロッドシャフトとすることができる。連動シャフトを一対のロッドシャフトとすることにより、操作レバーの操作時の動きは、一対のロッドシャフトを介してロック手段に伝達されるので、操作力が分散され且つ座屈等の虞がなく、操作レバーの操作を正確にロック手段に伝達することができる。
【0016】
上記の電気掃除機の延長管において、操作レバーを露出させた状態でロック手段及び連動シャフトを覆うカバーを外管に取り付けることができる。ロック手段及び連動シャフトをカバーで覆うことにより、ロック手段及び連動シャフトは外部に露出せず、物に当たって破損すること、或いは塵埃が付着することを防止して、スッキリした概観を維持することができる。操作レバーは、カバーの外に露出しているので、ロック手段のロック及びその解除のための操作に支障はない。カバーは、外管に対して取り外し可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明による電気掃除機の延長管は、上記のように構成されているので、ロック手段によって内外管がロックされることで、所望の長さに伸長又は収縮される。ロック手段が外管の先端部のように遠く離れた位置に設けられる場合でも、外管に沿って延びている連動シャフトを介して、操作レバーでロック手段を作動させることができるので、操作レバーで延長管の内外管をロック又はその解除を操作することができる。したがって、この発明による電気掃除機の伸縮自在な延長管においては、延長管の内外管をロック又はその解除を片手でも操作可能になるので、延長管の伸縮操作性の改善を図ることができる。通常、ロック手段は、伸長状態にある外管と内管とをロック可能にするために、内外管が重なる位置に設けられている。また、ユーザは、電気掃除機を操作するときに、通常、ホースとの接続部分に外管から延長して設けられる作業操作部を手で操作している。例えば、操作レバーを作業操作部の近傍に位置する外管の一端部に配置することにより、外管の先端部に配置されているロック手段を、連動シャフトを介して作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による電気掃除機の延長管の実施例を説明する。図1はこの発明による電気掃除機の延長管の概観斜視図であり、(a)はカバーを取り外した状態を示す斜視図、(b)はカバーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【0019】
図1に示す電気掃除機の延長管1は、同図(a)に示すように、外管2と、外管2の内部を摺動可能な内管3とを備えている。図4に従来図として示したように、電気掃除機本体には可撓性の吸引ホースが一端部で接続可能であり、吸引ホースの他端部には電気掃除機の作業操作部が接続されている。外管2は、一端部4において作業操作部に接続可能であり、内管3は、他端部6で吸込み具(図4の49参照)と接続可能である。延長管1は、内管3が外管2の他端部5から進出・後退することにより、伸縮可能である。
【0020】
外管2の一端部には、延長管1のロックとその解除を操作するために操作レバー8が設けられている。また、外管2の他端部5には、外管2と内管3とを解除可能にロックするロック手段9が設けられており、操作レバー8とロック手段9とを連結する連動シャフト10が外管2の外側において長手方向に沿って延びて設けられている。操作レバー8の操作は、連動シャフト10を介してロック手段9に伝達される。
【0021】
図1(b)に示すように、延長管1には、操作レバー8を露出させた状態でロック手段9及び連動シャフト10を覆うカバー11が取り付けられている。ロック手段9及び連動シャフト10をカバー11で覆うことにより、ロック手段9及び連動シャフト10は外部に露出せず、物に当たって破損することや塵埃が付着することが防止される。また、外管2は、カバー11によって、ロック手段9を覆う部分がやや膨らんでいるが、凹凸の殆ど無い滑らかでスッキリした概観を呈することができる。操作レバー8は、カバー11に覆われることなく露出しているので、ロック手段9のロック及びその解除のための操作に支障はない。カバー11は、メンテナンス等のために、外管2に対して取り外し可能とすることが好ましい。
【0022】
電気掃除機の延長管1によれば、外管2の一端部4に設けられている操作レバー8を操作することで、連動シャフト10を介して外管2の他端部5に設けられているロック手段9を作動させることができる。ロック手段9を外管2の他端部5に設けることで、延長管1が最も伸長されたときでも、外管2及び内管3をロックすることができる。外管2の一端部4は電気掃除機の作業操作部に近接した位置にあるので、作業操作部から操作レバー8に手を移すことで、操作レバー8を片手で操作することができる。操作レバー8の操作でロック手段9を解除すると外管2と内管3とのロック状態が解除されるので、例えば、内管3の先端部である他端部7に取り付けられている吸込み具を足等で押さえた状態で外管2を引き上げることで、外管2が内管3に対して相対的に移動して、延長管1が伸長する。また、延長管1の伸長状態で操作レバー8の操作を戻せば、その伸長状態で外管2と内管3とがロックされる。更に、外管2と内管3とが伸長状態にあるときに操作レバー8を操作して外管2と内管3とのロック状態を解除し、吸込み具を例えば床上に置いた状態で外管2を一端部4側から押し下げることにより、内管3を相対的に外管2内に押し込むことで、延長管1は収縮状態に戻される。その状態で、操作レバー8の操作を戻せば外管2と内管3とはその収縮状態でロックされ、延長管1の収納に適した状態となる。
【0023】
この電気掃除機の延長管の断面図が、図2に示されている。図2(a)は内管が外管内に後退し且つロック手段がロックした収縮状態にある延長管の縦断面図、図2(b)は、内管が外管から一部伸長した途中にあり且つロック手段がロックされていない状態にある延長管の縦断面図である。図2には、内管3が外管2の筒内を摺動可能に配置されている様子が示されている。内管3の他端部(先端部)7に電動吸込み具を取り付けるには、掃除機本体から電動吸込み具に電力を供給する必要があり、そのために外管2と内管3とが進出・後退しても電力を供給できる電気的な接続機構が設けられている。電気的な接続機構は、摺動接点、フラットケーブル、或いは伸縮可能なコイルばね等による周知の構造であってよいので、ここでの詳細な説明を省略する。吸込み具から吸い込まれたゴミを含む気流は、内管3の内部及びそれに接続された外管2の内部を通じてホースを経て掃除機本体に吸引される。
【0024】
操作レバー8は、外管2に対して長手方向に案内されるスライドレバーである。操作レバー8は、ユーザが指を掛けやすいように盛り上がった隆起部12と、隆起部12に対して一体のレバー本体13とを備えており、レバー本体13が外管2に形成されたガイド14によって案内されることで、操作レバー8が外管2の長手方向に案内されてスライドする。連動シャフト10は、レバー本体13に取り付けられている。操作レバー8をスライドレバーとすることで、外管2の表面からの操作レバー8の張り出しが少なくなり、また、操作レバー8をガイドによって案内することで、操作レバー8の操作時の動きを安定な動きに維持することができる。
【0025】
外管2の外側面の一部には、長手方向に延びるレール溝15が形成されている。レール溝15はフラットな底壁16とその両側の一対の対向する側壁17,17とから成っており、他端部5側は開放されている。レール溝15に対応して、内管3は他端部7側から一端部6側へ長手方向に延びるレール18を備えており、レール18がレール溝15内を案内されて移動することにより、内管3は外管2に対して互いに回転することなく進出・後退可能である。外管2の他端部5には、ロック手段9を支えるためのブリッジ部19を備えており、レール18はブリッジ部19を潜って延びている。
【0026】
操作レバー8に取り付けられた連動シャフト10は、レール18上を相互に干渉することなくロック手段9にまで延びている。延長管1において、連動シャフト10は、操作レバーとロック手段とを接続する一対のロッドシャフト20,20(一方のみ図示する)とすることができる。連動シャフト10をこうした一対のロッドシャフト20,20とすることにより、一対のロッドシャフト20,20は、操作レバー8の操作時の動き及び力を均等に分散させ、座屈等の虞がなく、正確にロック手段9に伝達する。
【0027】
ロック手段9は、外管2の他端部5において、レール18を跨ぐブリッジ部19に設けられており、レール18に対して解除可能にロック係合する。ロック手段9が係合可能な係合位置はレール18上に設けられた複数のロック位置が予め用意されており、ロック手段9がその中から選択して係合することにより、内管3の外管2に対する進出・後退位置、即ち、延長管1の伸長長さを決めることができる。ロック手段9がロック位置を占めるとき、外管2と内管3とは確実にロックされ、掃除機の操作で延長管1に長手方向の力が作用しても容易にロックが解除されることはない。ロック手段9のロックを解除するには、操作レバー8によるロック解除操作が必要である。
【0028】
図3はロック手段の詳細を示す断面図であり、(a)はロック手段のロック状態を示す断面図、(b)はロック手段のロック解除状態を示す断面図である。図3に示すように、ロック手段9は、内管3に形成されたロック係合部21、ロック係合部21に係合可能な係合部材22、外管2に設けられ且つ係合部材22を出没可能に保持する保持孔24が形成された保持部材23、連動シャフト10の先端に取り付けられ且つ係合部材22をロック係合部21に対して解放可能に押圧するカム体25、及びカム体25が係合部材22を押圧するときの反作用によるカム体25の浮き上がりを押さえる押さえ部材26を備えている。ロック係合部21は、内管3のレール18上で複数のロック位置に設けられており、選択されたそれぞれがロック位置を定めることができる。
【0029】
ロック係合部21は、内管3の一端部6側で浅く形成されている第1溝31と、第1溝31の他端部7側に深く形成されている第2溝32とを有するロック溝30から成っている。ロック溝30には係合部材22が嵌入可能であり、係合部材22はボール又は円柱状のピンであり、金属製とすることが好ましい。係合部材22が出没可能な保持孔24が形成された保持部材23は、ブリッジ部19それ自体、又はブリッジ部19と一体に構成されるものでよい。カム体25は、操作レバー8の操作により連動シャフト10を介して与えられる変位に応じて、係合部材22ところがり係合し係合部材22をロック溝30に押し込む傾斜面33とそれに続いた平坦なロック面34とを持つ。カム体25が係合部材22を押圧するときの反作用によってカム体25は浮き上がろうとするが、カム体25のこの浮き上がりを押さえる押さえ部材26がカバー11に設けられている。即ち、カバー11の他端部5側の端部には膨出部27が形成されており、膨出部27の内部に押さえ部材26が配設されていて、カム体25の背面に当接し、カム体25の反作用による浮き上がりを押さえ込むことができる。
【0030】
操作レバー8を図2で右側に操作すると、連動シャフト10と、連動シャフト10の先端に取り付けられているカム体25とが共に外管2の長手方向(図2で右側)に移動する。係合部材22は、外管2に設けられた保持部材23に形成されている保持孔24に出没可能に保持されているので、カム体25が移動するときに、その変位に応じて、先ず、傾斜面33がボール又は円柱状のピンとして構成されている係合部材22ところがり係合する。係合部材22は、傾斜面33から傾斜面33に続いたロック面34に押圧されるカム作用によって、ロック係合部21に形成されているロック溝30に押し込まれる(図3(a)。カバー11に設けられている押さえ部材26がカム体25の背面を押さえて、カム体25がその反作用で浮き上がるのを防止している。
【0031】
反対に、操作レバー8を図2で左側に操作すると、係合部材22はロック面34から傾斜面33に移行してカム作用が緩められ、最終的に係合部材22はロック溝30から抜け出す。カム体25と係合部材22とはころがり接触であるので、相対移動時の抵抗が少なく、係合部材22のロック係合部21に対する動作をスムーズにすることができる。係合部材22は、カム体25の広い内部スペース35で自由回転可能となるので、レール18の平坦な表面上をころがり移動可能である(図2(b))。係合部材22は、レール18の異なるロック係合部21でのロックが可能となる。
【0032】
上記のように構成されているロック手段9を備えた電気掃除機の延長管1においては、ロック係合部21は、内管3において、長手方向に隔置された複数の位置(図示の例では5つのロック係合部)に形成されているので、係合部材22が係合するロック係合部21をいずれかに選択することで、外管2から進出・後退する内管2の長さ、即ち、延長管1の長さを調節することができる。図2(a)が内管3の最後退位置である。それ以上の後退は、図示しないストッパが阻止する。なお、連動シャフト10と係合部材22以外は、一般に樹脂成形品である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】電気掃除機の延長管の概観斜視図であり、(a)はカバーを外した状態を、(b)がカバーを装着した状態を示す図である。
【図2】電気掃除機の延長管の断面図であり、(a)は内管が外管内に後退し且つロック手段がロックした状態を、(b)は、内管が外管から一部伸長した途中にあり且つロック手段がロックされていない状態を示す図である。
【図3】ロック手段の詳細を示す断面図であり、(a)はロック手段のロック状態を示す断面図、(b)はロック手段のロック解除状態を示す断面図である。
【図4】延長管を持つ従来の電気掃除機の概略図である。
【符号の説明】
【0034】
1 延長管 2 外管
3 内管 4 一端部
5 他端部 6 一端部
7 他端部 8 操作レバー
9 ロック手段 10 連動シャフト
11 カバー 12 隆起部
13 レバー本体 15 レール溝
16 底壁 17,17 側壁
18 レール 19 ブリッジ部
20,20 ロッドシャフト 21 ロック係合部
22 係合部材 23 保持部材
24 保持孔 25 カム体
26 押さえ部材 27 膨出部
30 ロック溝 31 第1溝
32 第2溝 33 傾斜面
34 ロック面 35 内部スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気掃除機本体に接続されるホースと吸込み具との間に介装可能であり、外管、当該外管の内部を摺動可能な内管、及び前記外管と前記内管とを解除可能にロックするロック手段を備えた電気掃除機の延長管において、前記ロック手段を作動させるため前記外管に設けられている操作レバーと前記ロック手段とを前記外管に沿って延びている連動シャフトで連結したことを特徴とする電気掃除機の延長管。
【請求項2】
前記ロック手段は、前記内管に形成されたロック係合部、前記ロック係合部に係合可能な係合部材、前記外管に設けられ且つ前記係合部材を出没可能に保持する保持孔が形成された保持部材、前記連動シャフトの先端に取り付けられ且つ前記係合部材を前記ロック係合部に対して解放可能に押圧するカム体、及び前記カム体が前記係合部材を押圧するときの反作用による前記カム体の浮き上がりを押さえる押さえ部材を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機の延長管。
【請求項3】
前記係合部材はボール又は円柱状のピンであり、前記ロック係合部は前記係合部材が嵌入可能に形成されたロック溝を備えており、前記押さえ部材は、押さえ部材の変位に応じて前記係合部材ところがり係合し前記係合部材を前記ロック溝に押し込む持つカム面を備えたカム体であることを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機の延長管。
【請求項4】
前記ロック係合部は、前記内管において、長手方向に隔置された複数の位置に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の電気掃除機の延長管。
【請求項5】
前記操作レバーは、前記外管に対して長手方向に案内されるスライドレバーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機の延長管。
【請求項6】
前記連動シャフトは、前記操作レバーと前記ロック手段とを接続する一対のロッドシャフトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気掃除機の延長管。
【請求項7】
前記操作レバーを露出させた状態で前記ロック手段及び前記連動シャフトを覆うカバーが、前記外管に取り付けられることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の電気掃除機の延長管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−167340(P2006−167340A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367557(P2004−367557)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】