説明

電気掃除機用ホースおよび電気掃除機

【課題】集塵ホースの捩れを防止する回転管を備えつつ、長期間の使用に渡って導通不良を抑制可能な電気掃除機用ホースおよび電気掃除機を提案する。
【解決手段】電気掃除機用ホース27の手元操作管22の接点群51は、電極環群47の一方の端部よりでありかつ回転管38の周方向に見て略同じ位相に配置された複数の接点51a、51b、51cからなる第一接点群71と、電極環群47の他方の端部よりでありかつ回転管38の周方向に見て第一接点群71の略逆位相に配置された複数の接点51d、51eからなる第二接点群72と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、電気掃除機用ホースおよび電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
キャニスタ型の電気掃除機は、掃除機本体と、この掃除機本体に収容された電動送風機と、掃除機本体に着脱自在に接続された電気掃除機用ホースと、この電気掃除機用ホースに着脱自在に接続された延長管と、この延長管の先端に着脱自在に接続された吸込口体と、を備える。このような構成を備えた従来の電気掃除機は、掃除機本体から電気掃除機用ホース、延長管および吸込口体の順に電動送風機が発生させた負圧を作用させて、吸込口体に開口された吸込口から塵埃を吸い込む。ここで、電気掃除機用ホースは可撓性を有し、吸込口体および延長管と掃除機本体との相対的な移動を許可し電気掃除機の利便性を向上させている。この電気掃除機用ホースは、掃除機本体に着脱自在に接続された接続管と、可撓性を有する集塵ホースと、延長管に着脱自在に接続された手元操作管と、手元操作管に設けられて電動送風機の運転開始操作または運転停止操作の入力を受け付ける操作部と、手元操作管に設けられた把持部と、を備える。
【0003】
ところが、吸込口体および延長管と掃除機本体との相対的な移動によって集塵ホースが捩れてしまうと、その取り扱いに悪影響となる。そこで、集塵ホースの捩れを防止するために、集塵ホースの一方の端部に筒状の回転管を設け、この回転管を手元操作管に回転自在に軸支させた電気掃除機が知られている。
【0004】
ところで、集塵ホースは、操作部から出力される操作信号を掃除機本体内の制御部に伝えたり、吸込口体に設けられた回転清掃体を駆動させる電動機に電力を供給したりするための導線を備える。電気掃除機用ホースは、この導線と、回転管の外周面に巻かれて導線に電気的に接続された電極環と、手元操作管に設けられて電極環に押し当てられた接点と、を介して操作部および電動機と掃除機本体とを導通させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−148098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
集塵ホースの捻れを防止する回転管は、手元操作管の外郭に形成された孔部によって軸支される。この手元操作管の孔部と回転管とは、もっぱら合成樹脂を材料に形成されており、長期間使用されることによって徐々に摩耗してはめあいの遊び(ガタ)が拡大してしまう傾向がある。この手元操作管の孔部と回転管とのガタが拡大してくると、回転管の外周面に巻かれた電極環と手元操作管に設けられた接点とが離間してしまい、導通が保てなくなる虞がある。
【0007】
そこで、本発明は、集塵ホースの捩れを防止する回転管を備えつつ、長期間の使用に渡って導通不良を抑制可能な電気掃除機用ホースおよび電気掃除機を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースは、可撓性ホースと、前記可撓性ホースに連通された手元操作管と、前記手元操作管に設けられた把持部と、前記手元操作管に設けられた操作部と、を備え、前記可撓性ホースは、その両端間を導通させる複数の導線を有し、前記手元操作管は、前記可撓性ホースの一端部に設けられた筒状の回転管と、前記回転管の外周面に巻かれて前記導線のそれぞれに電気的に接続された電極環を前記回転管の中心線方向に複数並べた電極環群と、前記電極環群を覆うとともに前記回転管をその中心線まわりに軸支する外郭と、前記手元操作管内に配索された導線または前記操作部と前記電極環とのそれぞれを電気的に接続する複数の接点からなる接点群と、を有し、前記接点群は、前記電極環群の一方の端部よりでありかつ前記回転管の周方向に見て略同じ位相に配置された複数の前記接点からなる第一接点群と、前記電極環群の他方の端部よりでありかつ前記回転管の周方向に見て前記第一接点群の略逆位相に配置された複数の前記接点からなる第二接点群と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の実施形態に係る電気掃除機は、掃除機本体と、前記掃除機本体に収容された電動送風機と、前記電動送風機に連通された前記電気掃除機用ホースと、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの手元操作管および把持部を示した平面図。
【図3】本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの手元操作管および把持部を示した側面図。
【図4】本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの手元操作管および把持部を示した縦断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの回転管および接点群を示した斜視図。
【図6】本発明の実施形態に係る電気掃除機の管部を示した側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る電気掃除機用ホースおよび電気掃除機の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行自在な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在に接続された管部3と、を備える。
【0014】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の両側方に軸支された一対の車輪6と、本体ケース5に着脱自在に装着された塵埃分離集塵部7と、塵埃分離集塵部7に連通された電動送風機8と、電動送風機8の駆動を制御する本体制御部9と、電動送風機8に電力を導く電源コード11と、を備える。
【0015】
本体ケース5は、塵埃分離集塵部7に連通された本体接続口12を有する。
【0016】
塵埃分離集塵部7は、電動送風機8が発生させた負圧によって電気掃除機1に吸い込まれる塵埃を含んだ空気から塵埃を分離し、捕集する。
【0017】
車輪6は、掃除機本体2の走行用の大径の走行輪である。
【0018】
本体制御部9は、予め設定された複数の運転モードを有する。また、本体制御部9は、管部3から入力される操作信号に対応させて複数の運転モードから任意の運転モードを択一的に選択し電動送風機8を駆動させる。それぞれの運転モードは、管部3から入力される操作信号に対応付けられるとともに、電動送風機8の入力値を互いに異ならせて設定される。
【0019】
電源コード11は、自由端部に設けられた電源プラグ14を備える。
【0020】
管部3は、電動送風機8の駆動にともなって掃除機本体2内に作用した負圧を導く管であるとともに、この負圧によって被掃除面から含塵空気を吸い込んで掃除機本体2に案内する管である。管部3は、掃除機本体2の本体接続口12に着脱自在に接続された接続管19と、接続管19に連通された集塵ホース21(可撓性ホース)と、集塵ホース21に連通された手元操作管22と、手元操作管22に設けられた把持部23と、把持部23に設けられた操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続され連通された延長管25(管状構造物)と、延長管25に着脱自在に接続され連通された吸込口体26と、を備える。接続管19、集塵ホース21、手元操作管22、把持部23および操作部24は、電気掃除機用ホース27を構成し、一体的に取り扱うことができる。
【0021】
接続管19の一方の端部は、本体接続口12に嵌脱自在に嵌入される。
【0022】
集塵ホース21は、可撓性を有し、細長略円筒状に形成される。集塵ホース21の一方の端部は、接続管19の他方の端部に固定される。集塵ホース21は、接続管19を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0023】
手元操作管22の一方の端部は、集塵ホース21の他方の端部に設けられる。手元操作管22は、接続管19および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0024】
把持部23は、電気掃除機1のユーザが把持して電気掃除機1を操作するものである。把持部23は、集塵ホース21とともに手元操作管22の一方の端部に設けられる。
【0025】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応させたスイッチ群を備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作を受け取る停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作を受け取る起動スイッチ24bと、を備える。起動スイッチ24bは、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を別個に備える構成にしても良い。電気掃除機1のユーザは、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。
【0026】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状に形成される。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせてテレスコピック構造に構成される。延長管25の一方の端部は、手元操作管22の他方の端部に嵌脱自在に嵌入される。延長管25は、接続管19、手元操作管22および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0027】
吸込口体26は、延長管25の他方の端部に嵌脱自在に嵌入された接続管28を備える。また、吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在な構造を有するとともに、走行状態において被掃除面に対向する底面に吸込口30を有する。さらに、吸込口体26は、吸込口体26に軸支され吸込口30に配置された回転清掃体31と、回転清掃体31を回転駆動させる電動機32と、を備える。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通される。
【0028】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bが操作されると電動送風機8を駆動させ掃除機本体2の内部に負圧(吸込負圧)を作用させる。この負圧は、本体接続口12から集塵ホース21と手元操作管22と延長管25とを経て吸込口体26の吸込口30に作用する。吸込口30に作用した負圧によって、電気掃除機1は、被掃除面に溜まった塵埃を空気とともに吸込口30から吸い込んで被掃除面を掃除する。吸込口30に吸い込まれた含塵空気は、掃除機本体2に収容された塵埃分離集塵部7によって空気と塵埃とに分離される。分離された塵埃は、塵埃分離集塵部7に捕集される。他方、分離された空気は、塵埃分離集塵部7を通過し電動送風機8に吸い込まれて掃除機本体2から排気される。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの手元操作管および把持部を示した平面図である。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの手元操作管および把持部を示した側面図である。
【0031】
図2および図3に示すように、本実施形態に係る電気掃除機用ホース27の手元操作管22は、側面視においてへ文字状に屈曲させて形成された管である。手元操作管22は、管状構造物としての延長管25を嵌脱自在な第一直管部35と、可撓性ホースとしての集塵ホース21に連通された第二直管部36と、第一直管部35および第二直管部36を連通させる曲管部37と、を備える。第一直管部35の長手方向中心線C1と第二直管部36の長手方向中心線C2とは、手元操作管22の中央部近傍に配置された曲管部37において交差する。
【0032】
第一直管部35は、延長管25の長手方向に略一致した長手方向中心線C1を有する管である。
【0033】
第二直管部36は、集塵ホース21の一端部(本実施形態では集塵ホース21の他方の端部)に固定された筒状の回転管38と、回転管38を回転自在に軸支する手元操作管22の外郭39と、から構成される。回転管38は、集塵ホース21に固定された管であり、集塵ホース21を軸支する継手である。
【0034】
曲管部37は、第一直管部35と第二直管部36とを連通させるエルボである。
【0035】
一方、把持部23は、手元操作管22に一体に形成されたハンドルである。把持部23は、曲管部37を起端にして第二直管部36に併設されるとともに第一直管部35の長手方向中心線C1に対して略平行方向に延ばされた第一把持部41と、第一把持部41から屈曲させて形成されかつ第一直管部35の長手方向中心線C1に対して略直角に交わる方向に延ばされた第二把持部42と、第一把持部41および第二把持部42とともに三角形状を描くように設けられたホースガード部43と、第一把持部41の起端部に設けられた凹部44と、備える。第一把持部41および第二把持部42は、いずれも電気掃除機1の使用者が手で握ることのできる太さおよび長さに形成された棒状体である。
【0036】
第一把持部41は、側面視において起端部から第二把持部42との連接部分に向かって徐々に握り太さが細くなるよう形成される。
【0037】
第二把持部42は、側面視において第一直管部35の方向へやや前傾させて設けられる。
【0038】
凹部44は、使用者が第一把持部41を手で握り、第一把持部41、第二把持部42およびホースガード部43によって描かれる三角形状の内側に親指を除く四指を配置したときに人差し指が引っ掛かるように第一把持部41の起端部の下面に配置される。また、凹部44は、使用者が人差し指を引っ掛け易いように、側面視において弧状に凹没させて形成される。
【0039】
操作部24は、使用者が人差し指を凹部44に引っ掛けて第一把持部41を握ったときに、第一把持部41を握った手の親指の指先で押し易い範囲、具体的には第一把持部41の起端部の上面に配置される。すなわち、第一把持部41は、いずれの使用者によっても凹部44に引っ掛けた人差し指を基準にして親指で容易に操作可能なスイッチ群の配置を設定できる。なお、操作部24は、使用者が人差し指を凹部44に引っ掛けて第一把持部41を手で握ったときの親指の可動範囲を考慮して停止スイッチ24aまたは起動スイッチ24bを適宜に配置できる。
【0040】
図4は、本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの手元操作管および把持部を示した縦断面図である。
【0041】
図5は、本発明の実施形態に係る電気掃除機用ホースの回転管および接点群を示した斜視図である。
【0042】
図2および図3に図4および図5を加えて示すように、本実施形態に係る電気掃除機用ホース27の集塵ホース21は、その両端間を導通させる複数のホース部導線46a、46b、46c、46d(導線)を備える。
【0043】
一方、手元操作管22は、回転管38の外周面に巻かれてホース部導線46a、46b、46c、46dのそれぞれに電気的に接続された電極環47a、47b、47c、47dを回転管38の中心線方向(すなわち、第二直管部36の長手方向中心線C2方向)に複数、離間させて並べられた電極環群47と、電極環群47を覆うとともに回転管38をその中心線(すなわち、第二直管部36の長手方向中心線C2)まわりに軸支する外郭39と、手元操作管22内に配索された通過導線49a、49b、49c、49dまたは操作部24と電極環47a、47b、47c、47dとのそれぞれを電気的に接続する複数の接点51a、51b、51c、51d、51eからなる接点群51と、を備える。
【0044】
回転管38は、集塵ホース21の他方の端部に固定されたホース固定部53と、電極環群47が設けられた摺接部54と、回転管38の中心線方向に見て摺接部54を挟み込むように設けられたジャーナル部55、56と、ジャーナル部55と摺接部54との間に設けられた環状のシールゴム58と、シールゴム58と摺接部54との間に設けられた抜止溝59と、を備える。
【0045】
摺動部61は、適宜のリブ、溝、および切り欠きを格子状に組み合わせて構成され、電極環47a、47b、47c、47dおよびホース部導線46a、46b、46c、46dを保持する。
【0046】
外郭39(より詳しくは第二直管部36)は、回転管38のうち電極環群47が設けられた摺接部54を覆う孔部36aを有するとともに、回転管38を軸支するラジアル軸受62、63と、回転管38の周方向に見て抜止溝59を相互に逆位相から挟み込む一対の抜止片65、66と、抜止片65と一体に形成された第一接点台67と、抜止片66と一体に形成された第二接点台68と、を備える。
【0047】
ラジアル軸受62、63は、回転管38の中心線方向の両端から電極環群47を挟み込むように配置されて回転管38のジャーナル部55、56を軸支する。
【0048】
第一接点台67は、第一把持部41の起端部に配置させて外郭39に固定される。
【0049】
第二接点台68は、外郭39の一部を構成し、第一直管部35に設けられた延長管25の係止機構69を覆うカバーを兼ねる。
【0050】
通過導線49aは表示信号を伝えるものであり、通過導線49bは信号用共通接地線であり、通過導線49cは電動機32への電力供給線用接地線であり、通過導線49dは電動機32への電力供給線である。
【0051】
接点群51は、電極環群47の一方の端部よりでありかつ回転管38の周方向に見て略同じ位相に配置された複数の接点51a、51b、51cからなる第一接点群71と、電極環群47の他方の端部よりでありかつ回転管38の周方向に見て第一接点群71の略逆位相に配置された複数の接点51d、51eからなる第二接点群72と、を備える。
【0052】
接点51a、51b、51c、51d、51eは、孔部36aの奥側から順に、通過導線49aに電気的に接続された表示信号用接点(接点51a)、操作部24に電気的に接続された操作信号用接点(接点51b)、通過導線49bおよび操作部24の接地線に電気的に接続された信号用共通接地接点(接点51c)、通過導線49cに電気的に接続された電力供給用接地接点(接点51d)、通過導線49dに電気的に接続された電力供給用接点(接点51e)である。接点51aは電極環47aに電気的に接続され、接点51bは電極環47bに電気的に接続され、接点51eは電極環47dに電気的に接続される。接点51cおよび接点51dは、共通の電極環47cに電気的に接続される。
【0053】
接点51aは、二股に折り曲げられた板バネ状の接点板75と、接点板75の弾性エネルギによって電極環47aに押し当てられた接点凸76と、を備える(なお、図5は、電極環群47から接点群51を離間させて描いてある。)。なお、接点51a、51b、51c、51d、51eは、いずれも共通の構造を有するので他の接点51b、43、44、45の説明は省略する。
【0054】
そして、把持部23、第一接点群71および第二接点群72は、回転管38の回転中心線を含んだ略同一面上に配置されるとともに、回転管38の周方向に見て第一接点群71は把持部23と略同位相に配置され、かつ回転管38の中心線方向に見て第一接点群71は第二接点群72よりも把持部23から遠い側に配置される。
【0055】
また、第一接点群71は第一接点台67に設けられ、第二接点群72は第二接点台68に設けられる。したがって、手元操作管22は、第一接点台67および第二接点台68を外郭39に組み付けることによって回転管38の抜け止めと接点群51と電極環群47との電気的な接続を同時に行う。
【0056】
図6は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の管部を示した側面図である。
【0057】
図4および図6に示すように、第一直管部35に延長管25を接続するとともに延長管25の下端に吸込口体26を接続して回転管38が下方になるように第一把持部41を持ち上げて手元操作管22の握り高さHを適宜に設定したとき、集塵ホース21は、手元操作管22から掃除機本体2に向かって垂れ下がるように延びる。
【0058】
このように、第一把持部41を持ち上げると、集塵ホース21の自重(手元操作管22から掃除機本体2に向かって垂れ下がるように延びたときの自重)や移動時の慣性力は、回転管38のジャーナル部55、56から手元操作管22のラジアル軸受62、63に伝わる。この力は、回転管38をジャーナル部55、ラジアル軸受62において上方向、ジャーナル部56、ラジアル軸受63において下方向に働く偶力M(図6中、実線矢M)を生じる。したがって、第一接点群71および第二接点群72は、集塵ホース21から回転管38に加えられる偶力Mによって接点51a、51b、51eのそれぞれが電極環47a、47b、47cに押圧されるよう配置されている。
【0059】
また、一般に、長期間の使用にともなって手元操作管22の孔部36aと回転管38とのガタが拡大してくるが、このガタは、もっぱら孔部36aの開口付近で大きくなる。すなわち、手元操作管22は、孔部36aの開口に近いジャーナル部56、ラジアル軸受63において長期間の使用にともなうガタを増大させる。そこで、本実施形態に係る手元操作管22は、孔部36aの開口から遠く比較的にガタが小さいままのジャーナル部55、ラジアル軸受62側に第一接点群71を配置し、孔部36aの開口に近く比較的にガタが大きくなるジャーナル部56、ラジアル軸受63側に第二接点群72を配置する。
【0060】
これによって、表示信号用接点(接点51a)、操作信号用接点(接点51b)および信号用共通接地接点(接点51c)は電極環47a、47b、47cから離間し難い構造を採用できる。表示信号用接点(接点51a)や操作信号用接点(接点51b)が離間すると、誤表示や誤操作入力が起こり、電気掃除機1の使用者に不快感を与える虞があるところ、本実施形態に係る手元操作管22は、これを回避できる。
【0061】
また、第二接点群72(すなわち、接点51dまたは接点51e)は、比較的にガタが大きくなり電極環47c、47dから離間しやすくなることが懸念されるが、仮に離間による電力供給の瞬断が起こって回転清掃体31を駆動させる電動機32の出力が一時的に低下しても集塵ホース21の自重等によって速やかに接点51d、51eおよび電極環47c、47dの電気的な接続を回復させて電動機32の出力を回復させる。
【0062】
このように構成された本実施形態に係る電気掃除機1および電気掃除機用ホース27によれば、集塵ホース21の自重によって作用する力を利用して電極環47a、47b、47c、47dを接点51a、51b、51c、51d、51eに押圧させて相互の導通不良を抑制できる。
【0063】
また、本実施形態に係る電気掃除機1および電気掃除機用ホース27によれば、長期間の使用によっても比較的にガタの少ない部分(手元操作管22の孔部36aの奥側および孔部36aに挿入された回転管38の先端側)に表示信号用接点(接点51a)および操作信号用接点(接点51b)を含んだ第一接点群71を配置できるので、誤表示や誤操作入力を生じさせるような導通不良を長期に渡って抑制できる。
【0064】
さらに、本実施形態に係る電気掃除機1および電気掃除機用ホース27によれば、長期間の使用によって比較的にガタの大きくなる部分(手元操作管22の孔部36aの開口側および孔部36aに挿入された回転管38の根本側)に電力供給用接点(接点51e)を含んだ第二接点群72を配置できるので、この接点群51の全てを長期間の使用によっても比較的にガタの少ない部分(手元操作管22の孔部36aの奥側および孔部36aに挿入された回転管38の先端側)に配置する場合と比較して手元操作管22および回転管38を小型に構成できる。
【0065】
さらにまた、本実施形態に係る電気掃除機1および電気掃除機用ホース27によれば、長期間の使用によって比較的にガタの大きくなる部分(手元操作管22の孔部36aの開口側および孔部36aに挿入された回転管38の根本側)に電力供給用接点(接点51e)を含んだ第二接点群72を配置できるので、管部3の通常の使用する場合(例えば、被掃除面上で吸込口体26を前後走行させる場合)には集塵ホース21の自重によって電源供給が遮断されるような導通不良を抑制できる。また仮に、第二接点群72が電極環群47から離間してしまい導通不良を生じて回転清掃体31の回転力が一時的に低下しても、電気掃除機1および電気掃除機用ホース27によれば、集塵ホース21の自重によって速やかに導通を回復させて回転清掃体の回転力を回復できる。
【0066】
したがって本発明の実施形態に係る電気掃除機1および電気掃除機用ホース27によれば、集塵ホース21の捩れを防止する回転管38を備えつつ、長期間の使用に渡って導通不良を抑制できる。
【符号の説明】
【0067】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 管部
5 本体ケース
6 車輪
7 塵埃分離集塵部
8 電動送風機
9 本体制御部
11 電源コード
12 本体接続口
14 電源プラグ
19 接続管
21 集塵ホース
22 手元操作管
23 把持部
24 操作部
24a 停止スイッチ
24b 起動スイッチ
25 延長管
26 吸込口体
27 電気掃除機用ホース
28 接続管
30 吸込口
31 回転清掃体
32 電動機
35 第一直管部
36 第二直管部
36a 孔部
37 曲管部
38 回転管
39 外郭
41 第一把持部
42 第二把持部
43 ホースガード部
44 凹部
46a、46b、46c、46d ホース部導線
47 電極環群
47a、47b、47c、47d 電極環
49a、49b、49c、49d 通過導線
51 接点群
51a、51b、51c、51d、51e 接点
53 ホース固定部
54 摺接部
55、56 ジャーナル部
58 シールゴム
59 抜止溝
61 摺動部
62、63 ラジアル軸受
65、66 抜止片
67 第一接点台
68 第二接点台
69 係止機構
71 第一接点群
72 第二接点群
75 接点板
76 接点凸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性ホースと、
前記可撓性ホースに連通された手元操作管と、
前記手元操作管に設けられた把持部と、
前記手元操作管に設けられた操作部と、を備え、
前記可撓性ホースは、その両端間を導通させる複数の導線を有し、
前記手元操作管は、前記可撓性ホースの一端部に設けられた筒状の回転管と、前記回転管の外周面に巻かれて前記導線のそれぞれに電気的に接続された電極環を前記回転管の中心線方向に複数並べた電極環群と、前記電極環群を覆うとともに前記回転管をその中心線まわりに軸支する外郭と、前記手元操作管内に配索された導線または前記操作部と前記電極環とのそれぞれを電気的に接続する複数の接点からなる接点群と、を有し、
前記接点群は、前記電極環群の一方の端部よりでありかつ前記回転管の周方向に見て略同じ位相に配置された複数の前記接点からなる第一接点群と、前記電極環群の他方の端部よりでありかつ前記回転管の周方向に見て前記第一接点群の略逆位相に配置された複数の前記接点からなる第二接点群と、を有することを特徴とする電気掃除機用ホース。
【請求項2】
前記第一接点群および前記第二接点群は、前記可撓性ホースから前記回転管に加えられる偶力によって前記接点のそれぞれが前記電極環に押圧されるよう配置されたことを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機用ホース。
【請求項3】
前記可撓性ホースから前記回転管に加えられる偶力は、前記把持部を持ち上げたときに前記可撓性ホースの自重によって生じる偶力であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気掃除機用ホース。
【請求項4】
前記把持部、前記第一接点群および前記第二接点群は略同一面上に配置されるとともに、前記回転管の周方向に見て前記第一接点群は前記把持部と略同位相に配置され、かつ前記回転管の中心線方向に見て前記第一接点群は前記第二接点群よりも前記把持部から遠い側に配置されたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気掃除機用ホース。
【請求項5】
前記第一接点群は前記操作部に電気的に接続された操作信号用接点を有し、前記第二接点群は前記手元操作管内に配索された導線に電気的に接続された電力供給用接点を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気掃除機用ホース。
【請求項6】
前記第一接点群は、前記操作信号用接点が電気的に接続された前記電極環よりも前記電極環群の一方の端部よりに配置された他の前記電極環に電気的に接続された表示信号用接点を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気掃除機用ホース。
【請求項7】
前記第一接点群および前記第二接点群のそれぞれは、同一の前記電極環に電気的に接続された接地用電極を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気掃除機用ホース。
【請求項8】
前記回転管は抜止溝を有し、
前記手元操作管は、前記回転管の周方向に見て前記抜止溝を相互に逆位相から挟み込む一対の抜止片を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電気掃除機用ホース。
【請求項9】
掃除機本体と、
前記掃除機本体に収容された電動送風機と、
前記電動送風機に連通された請求項1から8のいずれか1項に記載の電気掃除機用ホースと、を備えたことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−20069(P2012−20069A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162149(P2010−162149)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】