説明

電気掃除機用吸口体、および電気掃除機

【課題】使用者が回転清掃体のメンナンスに際し、回転支持部材の所定位置への取り付けが目視で誤りなく容易に行うことができる使い勝手の良い電気掃除機用吸口体、および電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸口体本体に設けられ、そこに備えた回転清掃体204を回転駆動する駆動源と、前記駆動源の回転を前記回転清掃体に伝達する動力伝達機構101を備え、前記回転清掃体204は、前記駆動側端部の反対側である非駆動側端部を回動自在に支持し、かつ前記吸口体本体に取り外し自在に支持される軸受台111を含む回転支持部材を有する電気掃除機用吸口体において、前記回転清掃体204の前記駆動側端部に存在する前記噛合い部A110と前記非駆動側端部に存在する前記回転支持部材を異色とし、前記駆動側端部に存在する前記噛合い部A110と前記吸口体本体に存在する前記噛合い部B408を同じ色相にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源で回転駆動する回転清掃体を備えた電気掃除機用吸口体、及びその電気掃除機用吸口体を備える電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機用吸口体は、掃除機の吸気風を利用して回転清掃体自身が回転力を発生するものや、モータ等の回転力で回転清掃体を駆動するものがある。
【0003】
駆動用モータ等の回転力を回転清掃体へ伝えるもののうち、二つの噛合い部A、Bを用い回転清掃体の着脱が容易にできる使い勝手を向上させたものがある〔実開昭51−27477号公報(特許文献1)、特許第3249188号公報(特許文献2)〕。
【0004】
この電気掃除機用吸口体において、回転清掃体の端部の片側(駆動側端部)は噛合い部A、Bの合せによって把持され、回転清掃体のもう一方の端部(非駆動側端部)は軸受台を含む回転支持部材に支持され、回転支持部材は上ケース及び、下ケースから構成される吸口体本体と、その下部に配置される軸受カバーAによって把持される。
【0005】
これにより、回転清掃体を取り外す際は、軸受カバーを取り外すだけで、容易に取り外すことが可能となっている。
【0006】
このような噛合い部を用いた電気掃除機用吸口体では、回転清掃体へ動力を伝達するための噛合い部及び、プーリを含む動力伝達機構が配置されている。
【0007】
【特許文献1】実開昭51−27477号公報
【特許文献2】特許第3249188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の背景技術では、回転清掃体の両端部が対称形状又は、似た形状の場合、回転清掃体の取り付け時に、使用者が回転清掃体の向きを容易に判断できず、吸口体への組み込みの向きを間違え易いため、使い勝手を損ねる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑み、回転清掃体の両端部が対称形状、又は似た形状であっても、使用者が回転清掃体のメンナンスに際し、噛合い部A、Bの噛み合わせや、回転支持部材の所定位置への取り付けが目視で誤りなく容易に行うことができる使い勝手の良い電気掃除機用吸口体、および電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、吸口体本体に設けられ、そこに備えた回転清掃体を回転駆動する駆動源と、前記駆動源の回転を前記回転清掃体に伝達する動力伝達機構を備え、前記動力伝達機構は、前記回転清掃体の駆動側端部に設ける噛合い部Aと、前記噛合い部Aと脱着自在に連結し、かつ噛合い部Aに回転を伝えるところの前記吸口体本体に設ける噛合い部Bを有し、前記回転清掃体は、前記駆動側端部の反対側である非駆動側端部を回動自在に支持し、かつ前記吸口体本体に取り外し自在に支持される軸受台を含む回転支持部材を有する電気掃除機用吸口体において、前記回転清掃体の前記駆動側端部に存在する前記噛合い部Aと前記非駆動側端部に存在する前記回転支持部材を異色とし、前記駆動側端部に存在する前記噛合い部Aと前記吸口体本体に存在する前記噛合い部Bを同じ色相にしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記掃除機本体に直接またはホース体等を介して接続される電気掃除機用吸口体を備えた電気掃除機に上記特徴の電気掃除機用吸口体を用いたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、噛合い部Aと噛合い部Bが一致(同じ)する色相に、噛合い部Aと回転支持部材が異なる色相にしているので、視覚判断で噛合い部A、Bの噛み合わせや、回転支持部材の所定位置への取り付けが誤りなく容易に行うことができる。使い勝手の良い電気掃除機用吸口体、および電気掃除機を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を添付の図面に基いて説明する。
【0014】
図2に本実施例による吸口体の分解斜視図を示す。
【0015】
図2において、201は下ケース、200は下ケースの上方に配置された上ケース、212は上ケース200及び下ケース201で構成された回転清掃体収納室、204は回転清掃体収納室212に配置された回転清掃体、205は回転清掃体204を駆動するための電動機(駆動源)、207は吸口体を持ち上げたときに自動的に回転停止するための安全スイッチ、208は電動機側プーリ、209は減速プーリを構成する大プーリ、210は減速プーリを構成する小プーリ、211は大プーリ209と小プーリ210を連結するシャフトである。
【0016】
電動機205によって発生された駆動力を大プーリ209と小プーリ210を連結するシャフト211を介して回転清掃体204の回転軸端部に伝達する動力伝達機構を構成している。
【0017】
202は吸口体本体内部と外部(掃除機本体)とを連通する空気通路が形成された自在継手のうち吸口体本体に対して上下方向に回動可能な第1の接続管、203は自在継手のうち前記第1の接続管に対して左右方向に回動可能な第2の接続管である。
【0018】
ここで、吸口体を水平な床面上に置いた状態で、開口218が形成された側を下面側において、回転清掃体204の回転軸に沿う方向を吸口体の左右方向と呼び、この左右方向は通常吸口体の左右方向と一致する。また、吸口体の上下方向に関しては、反対側を上面側と呼ぶ。また、吸口体の進行方向側を正面側、後退方向側を背面側として説明する。
【0019】
図3に本実施例による電気掃除機の外観図を示す。
【0020】
301は後部に吸口体本体が集塵するのに必要な吸気風を発生させる電動送風機(図示せず)を内蔵し、前部には塵埃を集塵する集塵室(図示せず)を内蔵した電気掃除機本体、302は電気掃除機本体301に接続され、柔軟に可動するように形成されたホース体、303は前記ホース体302に接続されて前記電気掃除機本体301や吸口体306を制御する手元スイッチ304を内蔵し、ホース体302と延長管305と連通する流路(図示せず)を持つハンドルグリップである。また、ホース体302とハンドルグリップ303及び延長管305には、吸口体306に電気を供給する給電線(図示せず)が内蔵されている。
【0021】
図4、図5(A)(B)に本実施例による吸口体本体を下から見たときの平面図(下面図)及び、中央断面図を示す。
【0022】
403は吸口体下ケース201に設けられた床面開口部で、被清掃面に面する。401はバンパー、400は固定刷毛、404は後方車輪である。405は固定刷毛前方に設けた刷毛逃げ部A、406は固定刷毛後方に設けた刷毛逃げ部Bである。207は吸口体を持ち上げたときに自動的に停止するための安全スイッチであり、207Aは被清掃面に設置されているかを検出するための床面検出車輪である。
【0023】
220は下ケース201の下面側に位置する軸受け押さえ部材407を開閉するための係止部材であり、上ケース200と下ケース201から張り出した支持部を回動軸とし、組み付けにより上下方向で支持し、係止部材220の抜け外れを規制している。
【0024】
図1(A)に本実施例による回転清掃体204及び、動力伝達機構101を示す。
【0025】
回転清掃体204の清掃部材107は、繊維等による刷毛105の他、軟質のブレード104を用いて構成することができ、刷毛105やブレード104をそれぞれ単独で、或いは刷毛105とブレード104とを混在させて構成することができる。また、筒状基体106を形成する部材で一体に成形した突出部で清掃部材107を構成してもよい。いずれにしても、清掃部材107は筒状基体106の外周面から外方に突出するように構成される。
【0026】
回転清掃体204の両端には、回転清掃体204を吸口体本体へ保持する噛合い部A110(駆動側端部に備える)、軸受台111(回転支持部材)(非駆動側端部に備える)が設けられており、その外周には刷毛台109に斜めに接着固定された刷毛A108が設けられる。刷毛A108は密度が清掃部材107よりも大きく設定されている。
【0027】
図1(B)に本実施例による図1(A)の動力伝達機構101の拡大図を示す。図1(C)に図1(A)のP拡大図を示す。
【0028】
噛合い部A110は、下ケース201内部に設けられた動力伝達機構101に設けられた噛合い部B408と凹凸にて結合し、回転清掃体204へ回動力を伝える役割を果たす。ここで、噛合い部A110と噛合い部B408は同じ色相になるようにする。
【0029】
図6に本実施例による回転清掃体の軸受台側の断面図を示す。
【0030】
軸601は筒状基体106と同一に回転するように固定されており、軸601は軸受台111に回転可能に軸支されている。ここで、軸受台111は噛合い部A110及び噛合い部B408と異なる色相となっている。
【0031】
図8は本発明の実施形態の一例に係わる電気掃除機の動力伝達機構101の断面図である。
【0032】
プーリ801の回転軸には金属軸802がインサート成型されており、中心部にオイルメタル803を配置した保持部材A804、保持部材B805により両端支持で保持されている。さらに金属軸802の端部には噛合い部A110が圧入されている。また、保持部材A804、保持部材B805とプーリ801の間はポリスライダワッシャ806を挟むことで、摩擦の低減を図っている。
【0033】
また、プーリ801と保持部材A804の間には、保持部材A804より延ばしたリブ808と、噛合い部A110の凹凸部と逆方向に設けたフランジ809により、ごみ溜め溝807を設けることにより、動力伝達機構へ侵入した塵埃が、金属軸802の摺動部へ入り込むのを防止している。ここで、リブ808の先端よりも、フランジ809の最外周の位置は低い位置となっている。
【0034】
次に本実施例における電気掃除機の動作について説明する。
【0035】
掃除機使用者が図3に示すハンドルグリップ303に設置された手元スイッチ304を操作すると、操作されたスイッチに従った作動モードで電気掃除機本体301内の電動送風機が運転を開始する。電動送風機によって発生した吸引力は、ホース体302、延長管305を通って吸口体306に到達する。それと同時に、ホース体302および延長管305に設けられた電源線から供給された電源が、回路基板(図示せず)を介して電動機205を駆動する。
【0036】
電動機205と大プーリ209、シャフト211、小プーリ210、動力伝達機構101、ベルト410で連結している回転清掃体204が回転することにより、回転清掃体204の清掃部材107である刷毛105やブレード104によって被掃除面からごみや塵埃を掻き上げて吸い込む。
【0037】
また、回転清掃体204が回転中、常に刷毛A108が非清掃面へ接触しているので、吸口体306へは前進する力が働き、操作力が軽くなる。ここで、刷毛A108の密度や、硬さ、高さ等を変更することで操作力の調整が可能となる。
【0038】
また、刷毛A108を斜めに貼り付け、刷毛の目を斜めにすることで、回転清掃体が回転した際、その目に沿い塵埃を回転清掃体室212中心方向へと移動させることも可能である。
【0039】
更に、吸口体306を前方へ操作した際、吸口体306底面の固定刷毛400は刷毛逃げ部B406へと倒れ、また、後方へ動作した場合は刷毛逃げ部A405へと倒れることにより床面との間に挟まることはない。これにより、固定刷毛400が吸口体306底面との間に挟まり、操作力が重くなることを、防ぐことが可能となる。
【0040】
また、刷毛逃げ部A405、刷毛逃げ部B406を固定刷毛400の前後のみとすることで、刷毛逃げ部A405、刷毛逃げ部B406を設けても、回転清掃体収納室212内の静圧は、刷毛逃げ部A405、刷毛逃げ部B406が無いときと変わらない。これにより、刷毛逃げ部A405、刷毛逃げ部B406を設けても、吸込み性能は変わることはない。
【0041】
しかしながら、回転清掃体204の刷毛A108へは、清掃部材107に比べ、全周が刷毛A108で構成される為、糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等が絡み付き易い問題点もある。
【0042】
図7に本実施例による回転清掃体204のメンテナンスでの取り外し方・取り付け方を示す。
【0043】
まず、吸口体306の下面側を上方に向ける。係止部材220の操作部220Aに操作者の指を添え、吸口体306中央側から外側に回動し、軸受押さえ部材407と係止部220の係合を解除する(イ)。そして、下ケース201から軸受押さえ部材407を外す(ロ)。
【0044】
次に、回転清掃体204を、上方に引き上げるとことにより、回転清掃体204の噛合い部A110と動力伝達機構101の噛合い部B408が外れ、吸口体306から離脱できる(ハ)。
【0045】
これにより、回転清掃体204の刷毛A108に糸くず等が付着した際も容易に回転清掃体204を取り外し、簡単に糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等を取り除くことが可能となる。
【0046】
回転清掃体を取り付けるときは、取り外し時と逆の動作となり、回転清掃体204の噛合い部A110、動力伝達機構101の噛合い部B408の色相を揃えるようにし、吸口体306へ回転清掃体206を挿入する。このとき、回転清掃体204の噛合い部A110と軸受台111が異なる色相のため、使用者はその向きを間違えることなく、吸口体306へ回転清掃体204をはめることが出来る。次に軸受押さえ部材407をはめ、係止部材220をロックさせ係合させる。
【0047】
上述したように回転清掃体204の駆動側端部に存在する動力伝達機構101の噛合い部Aと非駆動側に存在する回転支持部材111は異色にされ、噛合い部Aが脱着自在に連結されるところの吸口体本体に設けられる動力伝達機構101の噛合い部B408は同じ色相になっているので、視覚判断で噛合い部A、Bの噛み合わせや、回転支持部材111の所定位置への取り付けが誤りなく容易に行うことができる。
【0048】
本発明の各実施例は床移動型の掃除機だけでなく、アップライト式やスティック式の掃除機にも適用できる。モータ駆動方式の吸口体だけでなく、エアー駆動方式にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1(a)】本発明の実施例に係る回転清掃体及び、動力伝達機構の斜視図。
【図1(b)】本発明の実施例に係るもので、図1(A)の動力伝達機構の拡大図。
【図1(c)】本発明の実施例に係るもので、図1(A)のP拡大図。
【図2】本発明の実施例に係る吸口体本体の分解斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る電気掃除機の外観図。
【図4】本発明の実施例に係る吸口体本体を下から見たときの平面図(下面図)。
【図5(a)】本発明の実施例に係る吸口体本体の縦断面図。
【図5(b)】本発明の実施例に係るもので、図5(A)のP拡大図。
【図6】本発明の実施例に係る回転清掃体の軸受台側の断面図を示す。
【図7(a)】本発明の実施例に係る回転清掃体の取り外し方・取り付け方を示す図。
【図7(b)】本発明の実施例に係るもので、図7(A)のP拡大図。
【図8】本発明の実施形態の一例に係わる電気掃除機の動力伝達機構の断面図。
【符号の説明】
【0050】
101…動力伝達機構
104…ブレード
105…刷毛
106…筒状基体
107…清掃部材
108…刷毛A
109…刷毛台
110…噛合い部A
111…軸受台
200…上ケース
201…下ケース
202…第1の接続管
203…第2の接続管
204…回転清掃体
205…電動機
207…安全スイッチ
207A…床面検出車輪
208…電動機側プーリ
209…大プーリ
210…小プーリ
211…シャフト
212…回転清掃体収納室
218…開口
220…係止部材
220A…係止部材の操作部
301…電気掃除機本体
302…ホース体
303…ハンドルグリップ
304…手元スイッチ
305…延長管
306…吸口体
400…固定刷毛
401…バンパー
403…床面開口部
404…後方車輪
405…刷毛逃げ部A
406…刷毛逃げ部B
407…軸受押さえ部材
408…噛合い部B
410…ベルト
601…軸
801…プーリ
802…金属軸
803…オイルメタル
804…保持部材A
805…保持部材B
806…ポリスライダワッシャ
807…ごみ溜溝
808…保持部材Aから延ばしたリブ
809…噛合い部Bに配置したフランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に開口部を有する吸口体本体と、
前記開口部より出し入れされ、かつ前記吸口体本体に取り外し自在に装着される回転可能な回転清掃体と、
前記吸口体本体に設けられ、前記回転清掃体を回転駆動する駆動源と、
前記駆動源の回転を前記回転清掃体に伝達する動力伝達機構を備え、
前記動力伝達機構は、前記回転清掃体の駆動側端部に設ける噛合い部Aと、前記噛合い部Aと脱着自在に連結し、かつ噛合い部Aに回転を伝えるところの前記吸口体本体に設ける噛合い部Bを有し、
前記回転清掃体は、前記駆動側端部の反対側である非駆動側端部を回動自在に支持し、かつ前記吸口体本体に取り外し自在に支持される軸受台を含む回転支持部材を有する電気掃除機用吸口体において、
前記回転清掃体の前記駆動側端部に存在する前記噛合い部Aと前記非駆動側端部に存在する前記回転支持部材を異色とし、前記駆動側端部に存在する前記噛合い部Aと前記吸口体本体に存在する前記噛合い部Bを同じ色相にしたことを特徴とする電気掃除機用吸口体。
【請求項2】
電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記掃除機本体に直接またはホース体等を介して接続される電気掃除機用吸口体を備えた電気掃除機において、
前記電気掃除機用吸口体が請求項1記載の電気掃除機用吸口体であることを特徴とする電気掃除機。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8】
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