説明

電気掃除機用吸込具及びそれを用いた電気掃除機

【課題】ブラシ群の耐久性を向上させることができるとともにブラシ群を簡単に掃除することができ、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができる電気掃除機用吸込具及びそれを用いた電気掃除機の提供。
【解決手段】下面に吸込口を有する吸込具本体と、吸込具本体に回転自在に設けられており、吸込口から被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシの外周に設けられており、帯電順位がプラス側にある素材からなるブラシ体と、吸込具本体内のブラシ体と当接する位置に設けられており、少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる略筒状の摩擦体と、摩擦体を吸込具本体に着脱自在に保持させる保持体と、を有する電気掃除機用吸込具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機用吸込具及びそれを用いた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機用吸込具においては、電気掃除機用吸込具内に帯電順位の異なるブラシ群をそれぞれ設け、このブラシ群を摩擦させ合いながら回転させることでマイナスイオンを発生させ、このマイナスイオンを被清掃面の塵埃に吸着させて集塵する構成を有する電気掃除機用吸込具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
すなわち、図6に示すように、吸込具本体40の下面に設けられた開口部41内には、帯電順位がマイナス側のブラシ42を有するブラシ群43と帯電順位がプラス側のブラシ44を有するブラシ群45とが、それぞれ回転自在に設けられており、このブラシ群43及び45は、被清掃面上を吸込具本体40が動く際に生じるブラシ群43及び45と被清掃面との抵抗力等により回転し、この回転時に、ブラシ群43が有するブラシ42とブラシ群45が有するブラシ44とが摩擦し合うことでマイナスイオンを発生させる構成を有する電気掃除機用吸込具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−305194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電気掃除機用吸込具においては、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給するという観点からは未だ改善の余地があった。
【0006】
すなわち、上記従来の電気掃除機用吸込具においては、帯電順位がプラス側のブラシを有するブラシ群と帯電順位がマイナス側のブラシを有するブラシ群とは、ブラシ同士により接触しているため、接触部分の面積が大きくなる。このため、ブラシが互いに磨耗し合い摩滅したり、ブラシ同士が絡まり引きちぎれたりする場合があるため、耐久性が低く、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができない場合があることを本発明者らは見出した。
【0007】
また、上記従来の電気掃除機用吸込具においては、使用時に、ブラシ群が被清掃面の塵埃で汚れたり、ブラシ群に糸や髪の毛などの長尺の塵埃が巻き付いたりした場合、ブラシ群が正常に回転せず、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給できない場合があった。そのため、ブラシ群が汚れたり、ブラシ群に塵埃が巻き付いたりした場合、使用者は、吸込具本体の開口部から布や手などを吸込具本体内に入れ、ブラシ群を布等で拭いたり、ブラシ群に巻き付いた塵埃を手で取り除いたりする必要がある。しかしながら、吸込具本体の開口部から掃除できるブラシ群の範囲は小さく、掃除しにくいものであり、ブラシ群を十分に掃除できない場合があり、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給できない場合があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ブラシ群の耐久性を向上させることができるとともにブラシ群を簡単に掃除することができ、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができる電気掃除機用吸込具及びそれを用いた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、下面に吸込口を有する吸込具本体と、吸込具本体に回転自在に設けられており、吸込口から被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシの外周に設けられており、帯電順位がプラス側にある素材からなるブラシ体と、吸込具本体内のブラシ体と当接する位置に設けられており、少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる略筒状の摩擦体と、摩擦体を吸込具本体に着脱自在に保持させる保持体と、を有する電気掃除機用吸込具を提供する。
【0010】
上述のように、本発明の電気掃除機用吸込具は、帯電順位がプラス側にある素材からなるブラシ体と、吸込具本体内のブラシ体と当接する位置に設けられた少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる略筒状の摩擦体と、摩擦体を吸込具本体に着脱自在に保持させる保持体と、を有し、ブラシ体と摩擦体とが摩擦し合うことでマイナスイオンを発生させる構成としたものである。
【0011】
これにより、帯電順位がプラス側にある素材からなるブラシ体と少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる摩擦体との接触部分の面積が小さくなるため、ブラシが互いに磨耗し合い摩滅したり、ブラシ同士が絡まり引きちぎれたりすることがなく、ブラシ体の耐久性を向上させることができ、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができる。
【0012】
また、摩擦体は保持体により吸込具本体に着脱自在に保持されているため、摩擦体が汚れたり、摩擦体に塵埃が巻きついたりした場合であっても、保持体を取り外すことで摩擦体を簡単に取り外すことができ、摩擦体を簡単に清掃することが可能となり、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気掃除機用吸込具によれば、ブラシ体の耐久性を向上させることができるとともに摩擦体を簡単に掃除することができ、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1を装着した電気掃除機の全体斜視図
【図2】本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の断面図
【図3】本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の裏面図
【図4】本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の回転ブラシを外した状態での裏面図
【図5】本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の保持体を外した状態での裏面図
【図6】従来の電気掃除機用吸込具の側部断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明は、下面に吸込口を有する吸込具本体と、吸込具本体に回転自在に設けられており、吸込口から被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、回転ブラシの外周に設けられており、帯電順位がプラス側にある素材を有するブラシ体と、吸込具本体内のブラシ体と当接する位置に設けられており、少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる略筒状の摩擦体と、摩擦体を吸込具本体に着脱自在に保持させる保持体と、を有する電気掃除機用吸込具としたものである。
【0016】
これにより、帯電順位がプラス側にある素材からなるブラシ体と少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる摩擦体との接触部分の面積が小さくなるため、ブラシが互いに磨耗し合い摩滅したり、ブラシ同士が絡まり引きちぎれたりすることがなく、ブラシ体の耐久性を向上させることができ、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができる。
【0017】
また、摩擦体は保持体により吸込具本体に着脱自在に保持されているため、摩擦体が汚れたり、摩擦体に塵埃が巻きついたりした場合であっても、保持体を取り外すことで摩擦体を簡単に取り外すことができ、摩擦体を簡単に清掃することが可能となり、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができる。
【0018】
第2の発明は、特に第1の発明において、摩擦体は、吸込具本体内の吸込口に臨む位置に設けられており、保持体は、吸込具本体の吸込口内に吸込口の一部を形成するように設けられており、保持体は、吸込口を形成する面が吸込具本体の吸込口を形成する面と略同一面となるように形成されているものである。
【0019】
これにより、保持体の吸込口を形成する面が吸込具本体の吸込口を形成する面と略同一面となるため、回転ブラシの回転や塵埃の引っ掛かりなどがなく、回転ブラシの回転、ひいては掃除作業に支障を及ぼすことを十分に防止することができる。
【0020】
第3の発明は、特に第1または第2の発明において、保持体には、保持体を吸込具本体に着脱自在に固定する尾錠部が設けられており、尾錠部は、保持体が吸込具本体に固定された状態において、保持体と略同一面となるように形成されているものである。
【0021】
これにより、尾錠部が吸込具本体の吸込口を形成する面と略同一面となるため、回転ブラシの回転や塵埃の引っ掛かりなどがなく、回転ブラシの回転、ひいては掃除作業に支障を及ぼすことを十分に防止することができる。
【0022】
第4の発明は、特に第1〜第3の発明において、摩擦体は、少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる略筒状の摩擦体本体と、摩擦体本体の軸心に回転自在に設けられ、摩擦体本体から突出して形成された軸体と、から構成されており、摩擦体は、軸体の一端が吸込具本体によって保持され、軸体の他端が保持体によって保持されることで、吸込具本体に保持されており、軸体の保持体によって保持されている側の長さは、軸体の吸込具本体によって保持されている側の長さよりも長く形成されているものである。
【0023】
これにより、使用者が、保持体を取り外し、摩擦体を取り外した時に、長く突出した軸体を持つことが可能となり、塵埃で汚れた摩擦体を直接手で持つことがなく、手を汚しにくく、摩擦体を簡単に掃除することができる。
【0024】
第5の発明は、特に第4の発明において、軸体の保持体により保持されている側には、回転止め部が設けられているものである。
【0025】
これにより、摩擦体が回転するときに軸体を回動固定して保持でき、軸体を固定している部分の磨耗や軸の振動を防止できるものである。
【0026】
第6の発明は、特に第4または第5の発明において、軸体の端部近傍には、滑り止め部が形成されているものである。
【0027】
これにより、使用者が摩擦体を取り外した際に軸体を持つことが容易となり、より簡便な摩擦体の掃除を実現することができる。
【0028】
第7の発明は、吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する掃除機本体と、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の電気掃除機用吸込具と、を有する電気掃除機としたものである。
【0029】
これにより、ブラシ体の耐久性を向上させることができるとともに摩擦体を簡単に掃除することができ、マイナスイオンを被清掃面に安定して供給することができる電気掃除機を提供することができる。
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の電気掃除機用吸込具の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号付し、重複する説明は省略する。
【0031】
(実施の形態1)
本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1について、図1〜5を用いて説明する。
【0032】
図1は、本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1を装着した電気掃除機の全体斜視図である。また、図2は、本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の断面図である。さらに、図3は、本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の裏面図である。また、図4は、本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の回転ブラシを外した状態での裏面図である。さらに、図5は、本発明の電気掃除機用吸込具の実施の形態1における吸込具本体の保持体を外した状態での裏面図である。
【0033】
図1に示すように、電気掃除機100は、主として、被清掃面の塵埃を捕集する吸込具本体1と、吸引風を発生させる電動送風機23を内蔵する掃除機本体22と、一端が掃除機本体22に着脱自在に接続されるホース31と、一端がホース31に接続され、他端が吸込具本体1のパイプ6に接続される延長管30とから構成されている。ホース31の延長管30側の端部には、使用者が電動送風機23を動作させる運転モード(例えば、強、中、弱、切などの吸込み力)を選択する手元操作部(図示せず)が設けられている。また、手元操作部(図示せず)には、使用者により選択された運転モードに基づき、電動送風機23を制御する制御回路(図示せず)が設けられている。
【0034】
図2〜図5に示すように、吸込具本体1は、主として、吸込具本体1の上面を構成する上部材2と、吸込具本体1の下面を構成するとともに、下面に吸込口15を有する下部材5と、上部材2と下部材5との間に配置されており、後述する摩擦体10が配置される穴部(図示せず)が設けられている中部材4とから構成されている。また、吸込具本体1の後方の中央部にはパイプ6(図1参照)が配置されており、このパイプ6は下部材5と上部材2とにより挟持されている。
【0035】
吸込口15内には、被清掃面の塵埃を掻き上げる2つの回転ブラシ7が着脱自在に配置されている。この回転ブラシ7は、吸込具本体1の下部材5に回転自在に取付けられている。また、回転ブラシ7の外周には、帯電順位がプラス側にある素材から構成されたブラシ体8がらせん状に複数配置されている。さらに、吸込口15の前方内部、すなわち、下部材5の前方の内壁には、帯電順位がマイナス側にある素材からなる板部9が設けられており、ブラシ体8は板部9に接触するように構成されている。
【0036】
吸込具本体1の後方の左右どちらか一方には、電動機やタービンなどからなる駆動部13が設けられており、この駆動部13の出力は、ベルト14により回転ブラシ7の一端に設けたギアに伝達されている。
【0037】
回転ブラシ7の回転中心軸よりも前方の上部には、ブラシ体8と接触するように摩擦体10が設けられている。この摩擦体10は、中部材4に設けられた穴部(図示せず)に吸込口15に臨むように配置されている。また、摩擦体10は回転ブラシ7の長手方向(軸方向)の全長に対して短く設定されており、摩擦体10は回転ブラシ7の長手方向(軸方向)に2個設置されている。さらに、摩擦体10は、その軸心に設けられた軸体12により回転自在に軸支されている。ここで、ブラシ体8が摩擦体10と接触する量は、1〜2mmが好ましい。また、ブラシ体8と摩擦体10との接触量、摩擦体10の長さ、及び摩擦体10の個数については特に本発明の構成要件や効果に対して制限するものではない。
【0038】
摩擦体10の表面には、帯電順位がマイナス側にある素材から構成されており、摩擦体10の長手方向(軸方向)に向かって伸びる短冊状のプレート11が設けられており、プレート11は摩擦体10の表面から突出するように構成されている。このプレート11の位置に関しても必ずしも突出している必要はなく、ブラシ体8との接触が得られるのであれば特に本発明の効果を妨げるものではなく、本発明の構成要件を制限するものではない。
【0039】
ここで、本実施の形態において、「帯電順位がプラス側にある素材」とは、プラスに帯電しやすい素材であり、例えば、ナイロンや羊毛などのプラスに帯電しやすい材料を採用すればよい。また、「帯電順位がマイナス側にある素材」とは、マイナスに帯電しやすい素材であり、例えば、フッ化樹脂や塩化ビニル等のマイナスに帯電しやすい材料を採用すればよい。
【0040】
軸体12は、摩擦体10の軸心を貫通し、摩擦体10を回動自在に保持している。軸体12の一端には挿入部20が設けられており、他端には保持部21が設けられており、保持部21の長さは、挿入部20の長さよりも長くなるように構成されている。軸体12の挿入部20は、下部材5と上部材2で形成された保持穴(図示せず)に挿入され保持されている。軸体12の保持部21には、その外周を面カットした回り止め部16が設けられており、下部材5に設けられた受け部17に回動固定するようにセットされる。摩擦体10は、軸体12の保持部21側の端部12aを保持体18で着脱自在に保持されることで吸込具本体1に保持されている。なお、軸体12の保持部21側の端部12aの近傍はローレット加工やコーティングなどで滑り止め加工が施されている。
【0041】
保持体18は、吸込口15の内部に吸込口15の一部を形成するように配置されており、保持体18の吸込口15を形成する面が吸込具本体1の吸込口15を形成する面と略同一面となるように形成されている。また、保持体18には、保持体18を下部材5に着脱自在に固定させる尾錠部19が回転自在に設けられている。尾錠部19は、保持体18が吸込具本体1に固定された状態において、保持体18と略同一面となるように形成されている。つまり、尾錠部19で保持体18を下部材5に固定することで、下部材2に対して摩擦体10は回動自在に、軸体12は固定されて保持されるものである。
【0042】
中部材4の上部に配置された上部材2には窓部3が設けられており、この窓部3により上部材2上面からのぞいた時でも摩擦体10を確認できるように構成されている。また、ブラシ体8は下部材5の前方内壁にも接触し、下部材5の前方内壁部にはテフロン(登録商標)などの帯電列順位がマイナス側にある素材でできた板部材9を設けてある。
【0043】
以上のように構成された電気掃除機用吸込具について、以下その動作、作用を説明する。
【0044】
まず、ホース31に設けられた回路上のスイッチから電動送風機23を起動させる。電
動送風機23により負圧が発生し、ホース31と延長管30内部に掃除機本体22内部に流れ込む吸引風が発生する。吸込具本体1にはパイプ6を介して、吸込口15に吸引風が発生し、被清掃面の塵埃を吸引して掃除機本体22内部に送り込むことになる。
【0045】
駆動部13が電動機だった場合、電動送風機23が起動したときに駆動部13も起動され、動力はベルト14を介して回転ブラシ7に伝達される。図1より、回転ブラシ7の回転方向は、吸込具本体1の左側面から吸込具本体1を眺めたときに、反時計方向となる。
【0046】
ここで、吸込具本体1の左側面とは、図1中の矢印C側である。また、吸込具本体1の前方とは、図1中の矢印A側であり、使用者が吸込具本体1を前進操作する方向に相当する。さらに、吸込具本体1の後方とは、図1中の矢印B側であり、使用者が吸込具本体1を後進操作する方向に相当する。また、吸込具本体1の右側面とは、図1中の矢印D側である。
【0047】
回転ブラシ7が駆動することで、ブラシ体8が摩擦体10に接触し、摩擦体10はブラシ体8の駆動力により回転駆動する。回転ブラシ7が反時計方向で回転するので摩擦体10は時計方向に駆動することになる。また、窓部3より摩擦体10が回転駆動していることを確認できる。上述したように摩擦体10は回転ブラシ7のブラシ体8によって回転力を受けて回転するため、摩擦体10はブラシ体8に完全には同期せず、被掃除面の状態等による負荷状況によって回転差動が発生することにより、摩擦が発生する。また、摩擦体10は回転するため、固定した場合に較べて回転ブラシ7への負荷は少ないものである。
【0048】
ブラシ体8は、プレート11と板部9とに接触しており、プラスの帯電順位のものがマイナスの帯電順位のものと摺りあうことで、マイナスイオンを発生させる。そのため、ブラシ体8、プレート11、及び板部材9の間でマイナスイオンが発生される。
【0049】
マイナスイオンは、はじき出されるように発生して被掃除面に散布されるので、この場合、回転ブラシ7の回転方向が反時計回りであるために、吸込具本体1の前方部に向かって散布されることになる。プレート11も板部材9も回転ブラシ7の長手方向に向かって存在するために、マイナスイオンは回転ブラシの長手方向の長さ分、吸込具本体前部に向かって散布される形になる。
【0050】
上述のように、摩擦体10が回転することによって、回転ブラシ7に駆動負荷を抑えた状態でマイナスイオンを発生するわけであるが、どうしても掃除作業によって、塵埃の汚れや糸や髪の毛などの長尺の塵埃の巻き付きなどが生じ、回転に支障をきたす場合がある。このような場合、本実施の形態においては、回転ブラシ7を吸込具本体1から取り外し、その後、尾錠部19を解除して保持体18を吸込具本体1から取り外し、軸体12を外すことで摩擦体10を外し、塵埃の除去などのメンテナンスを可能とするものである。また、軸体12の保持部21は挿入部20よりも長く形成されかつ滑り止め加工がなされているため、取り外しに際しても手で取り外しが容易に出来るものである。また、磨耗やガタツキを防止するため、軸体12は回転固定されているが、軸体12の回り止め16も保持体18側に配置されているため、セット時も容易にセットできるものである。また、保持体18や尾錠部19は吸込口15の内壁と略同一面をなすため、使用時に回転ブラシ7のブラシ体8と干渉などせず、塵埃の溜りなどは発生しない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の電気掃除機用吸込具及びそれを用いた電気掃除機は、マイナスイオンを被清掃面側に安定して供給させると共に耐久性の優れたものとすることが可能となるので、被清掃面を拭き掃除する電気掃除機用吸込具等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 吸込具本体
7 回転ブラシ
8 ブラシ体
10 摩擦体
12 軸体
12a 端部
15 吸込口
16 回り止め部
17 受け部
18 保持体
19 尾錠部
20 挿入部
21 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に吸込口を有する吸込具本体と、
前記吸込具本体に回転自在に設けられており、前記吸込口から被清掃面の塵埃を掻き上げる回転ブラシと、
前記回転ブラシの外周に設けられており、帯電順位がプラス側にある素材からなるブラシ体と、
前記吸込具本体内の前記ブラシ体と当接する位置に設けられており、少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる略筒状の摩擦体と、
前記摩擦体を前記吸込具本体に着脱自在に保持させる保持体と、
を有する電気掃除機用吸込具。
【請求項2】
前記摩擦体は、前記吸込具本体内の前記吸込口に臨む位置に設けられており、前記保持体は、前記吸込具本体の前記吸込口内に前記吸込口の一部を形成するように設けられており、前記保持体は、前記吸込口を形成する面が前記吸込具本体の前記吸込口を形成する面と略同一面となるように形成されている請求項1に記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項3】
前記保持体には、前記保持体を前記吸込具本体に着脱自在に固定する尾錠部が設けられており、前記尾錠部は、前記保持体が前記吸込具本体に固定された状態において、前記保持体と略同一面となるように形成されている請求項1または2に記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項4】
前記摩擦体は、少なくとも一部が帯電順位がマイナス側にある素材からなる略筒状の摩擦体本体と、前記摩擦体本体の軸心に回転自在に設けられ、前記摩擦体本体から突出して形成された軸体と、から構成されており、前記摩擦体は、前記軸体の一端が前記吸込具本体によって保持され、前記軸体の他端が前記保持体によって保持されることで、前記吸込具本体に保持されており、前記軸体の前記保持体によって保持されている側の長さは、前記軸体の前記吸込具本体によって保持されている側の長さよりも長く形成されている請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項5】
前記軸体の前記保持体により保持されている側には、回転止め部が設けられている請求項4に記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項6】
前記軸体の端部近傍には、滑り止め部が形成されている請求項4または5に記載の電気掃除機用吸込具。
【請求項7】
吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する掃除機本体と、
請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の電気掃除機用吸込具と、
を有する電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−224149(P2011−224149A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96805(P2010−96805)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】