電気掃除機用集塵袋及び電気掃除機
【課題】集塵袋の使い勝手を悪くすることなく、該集塵袋自体に脱臭機能、抗アレルゲン機能及び抗菌機能を付加させる。
【解決手段】電気掃除機用集塵袋１の袋本体３は内層紙６、中間層材７及び外層紙８より形成する。又、内層紙６及び外層紙８は、吸着作用を有する粉粒状の炭９，１０を含有し、且つ、内層紙６、中間層材７又は外層紙８にアレルゲン不活性化剤１１，１３，１４及び抗菌剤１２，１５，１６を含有させると共に、中間層材７を高捕塵性のエレクトレット不織布で形成することにより、脱臭機能、抗アレルゲン機能及び抗菌機能の全てを付加させる。
【解決手段】電気掃除機用集塵袋１の袋本体３は内層紙６、中間層材７及び外層紙８より形成する。又、内層紙６及び外層紙８は、吸着作用を有する粉粒状の炭９，１０を含有し、且つ、内層紙６、中間層材７又は外層紙８にアレルゲン不活性化剤１１，１３，１４及び抗菌剤１２，１５，１６を含有させると共に、中間層材７を高捕塵性のエレクトレット不織布で形成することにより、脱臭機能、抗アレルゲン機能及び抗菌機能の全てを付加させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電気掃除機用集塵袋及び電気掃除機に関するものであり、特に、高通気性及び高捕塵性に加えて脱臭機能を有する電気掃除機用集塵袋及び電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、此種集塵袋は紙製の袋本体に口紙を接着して形成され、該袋本体としては、図７に示すように、高い通気性及び可撓性を確保するために、厚さの薄い内層紙Ｐ１及び外層紙Ｐ２により構成したものがある。
【０００３】
前記集塵袋を使用する際は、之を電気掃除機の集塵室に装着収容して、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機（集塵用電動送風機）を収容し、該電動送風機を運転して、排気を排気口から排出させることによって、前記電動送風機による吸引力により床面上の塵埃を集塵袋内に捕集している。
【０００４】
而して、集塵袋内に所定量の塵埃が溜まったときは、使用者が集塵袋を電気掃除機から取り外して集塵袋ごと廃棄している（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００６−３４８５５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、前記集塵袋内に捕集された塵埃の中には、アレルゲン物質（ダニ等）、雑菌等の有害物質の他に悪臭成分も混在している。従って、特に外層紙の厚さが所定以下の場合、有害物質が集塵袋から漏洩するため、使用者がアレルギー性疾患等を引き起こす他に、悪臭により不快感を覚えるという問題があった。
【０００６】
前記問題を解決するには、外層紙を所定以上に厚くし、且つ、該外層紙の紙目（メッシュ）を小さくすることにより、悪臭成分等が集塵袋から漏洩しないようにすることが考えられる。しかし、この場合は外層紙の通気性及び可撓性が失われるので、集塵袋の吸引集塵性や電気掃除機への装着性が低下して、集塵袋の使い勝手が悪くなる。
【０００７】
尚、集塵袋自体に抗アレルゲン機能又は抗菌機能を付加する技術が既に開発されているが、高通気性及び高集塵性を確保しつつ、脱臭機能を付加した技術は未だ開発されていない。
【０００８】
そこで、集塵袋の高通気性、高集塵性を確保しつつ、該集塵袋自体に脱臭機能等を付加するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項１記載の発明は、袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させて成る電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１０】
この構成によれば、前記電気掃除機用集塵袋の袋本体が内層紙、中間層材及び外層紙の3層構造より形成され、且つ、該内層紙及び外層紙に粉粒状の炭、例えば備長炭を含有し
たので、集塵袋内に捕集された臭気物質は、内層紙及び外層紙を通過する際に吸着除去される。又、集塵袋内に存在する臭気物質は、電気掃除機の不使用時にも前記炭により持続的に吸着除去される。尚、本発明に係る前記炭を内層紙及び外層紙に含有させる方法は特に限定されず、例えば、混入又は塗布などの方法により前記炭を含有させることができる。
【００１１】
請求項２記載の発明は、袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させ、更に、前記内層紙にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させて成る電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１２】
この構成によれば、内層紙にアレルゲン不活性化剤又は抗菌剤を含有したので、集塵袋内に捕集されたアレルゲン物質又は雑菌は、内層紙を通過する際にアレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受ける。
【００１３】
請求項３記載の発明は、上記中間層材及び外層紙の少なくとも一方にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させた請求項１又は２記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１４】
この構成によれば、内層紙に加えて中間層材又は外層紙にアレルゲン不活性化剤若しくは抗菌剤を含有したので、集塵袋内に捕集されたアレルゲン物質又は雑菌は、中間層材又は外層紙を通過する際にもアレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受ける。
【００１５】
請求項４記載の発明は、上記中間層材がエレクトレット不織布により形成されて成る請求項１，２又は３記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１６】
この構成によれば、エレクトレット不織布により成る中間層材は、静電気の力によって粒子を捕捉するので高い集塵作用を有する。従って、内層材を通過した細かい塵埃は、中間層材により効果的に捕捉されるため、外層紙を厚く形成しなくても集塵効率が高くなる。又、エレクトレット不織布は、臭気成分、雑菌、花粉等の微粒子も吸着除去する。
【００１７】
請求項５記載の発明は、上記中間層材に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させて成る請求項１，２，３又は４記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１８】
この構成によれば、中間層材に粉粒状の炭を含有したので、集塵袋内に捕集された臭気物質は、中間層材を通過する際に炭によって吸着除去される。
【００１９】
請求項６記載の発明は、上記中間層材の紙目は上記外層紙の紙目よりも粗い請求項１，２，３,４又は５記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００２０】
この構成によれば、中間層材は外層紙よりも粗い紙目を有するので、悪臭成分等が内層紙及び中間層材を通過しても、該悪臭成分等は外層紙を通過する際に吸着除去される。
【００２１】
請求項１から請求項６のいずれかの請求項に記載の電気掃除機用集塵袋を集塵室に収容し、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機を収容し、該電動送風機を運転して、前記電気掃除機用集塵袋に塵埃を集塵し、排気を排気口から排気するように構成してなる電気掃除機を提供する。
【００２２】
この構成によれば、電気掃除機用集塵袋の内層紙、中間層材又は外層紙には吸着作用を有する粉粒状の炭、アレルゲン不活性化剤又は抗菌剤を含有したので、集塵袋内に捕集さ
れた塵埃中の臭気は、表面積の大きい粉粒状の炭によって吸着脱臭され、又、塵埃中のアレルゲン物質又は雑菌は、アレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受ける。特に、中間層材をエレクトレット不織布により形成したものでは、前記臭気成分、雑菌、花粉等の微粒子も効果的に吸着除去する。
【発明の効果】
【００２３】
請求項１記載の発明は、集塵袋内に捕集された臭気は、表面積の大きい粉粒状の炭によって吸着脱臭できるので、集塵袋自体に高い脱臭機能を付加することができる。この場合、外層紙を厚く形成する必要がないので、使い勝手の良い高通気性、高捕塵性の集塵袋を提供することができる。特に、前記炭として超微粉末（例えば粒径１５μｍ以下のもの）を使用すれば、更に高い通気性を維持しつつ脱臭効果を一層高めることができる。
【００２４】
請求項２記載の発明は、アレルゲン物質又は雑菌は不活性化作用又は抗菌作用を受けるので、上記脱臭効果に加えて抗アレルゲン機能又は抗菌機能も発揮することができる。
【００２５】
請求項３記載の発明は、アレルゲン物質又は雑菌は、内層紙を通過する際に、及び、中間層材又は外層紙を通過する際にも不活性化作用又は抗菌作用を受けるので、請求項１又は２記載の発明の効果に加えて、抗アレルゲン機能又は抗菌機能が一層増大する。
【００２６】
請求項４記載の発明は、エレクトレット不織布により成る中間層材により集塵効率が高くなると共に、外層紙の厚さを薄くできるので、請求項１，２又は３記載の発明の効果に加えて、外層紙の通気性（低圧力損失）及び可撓性が更に増大した高性能の集塵袋を提供することができる。
【００２７】
又、エレクトレット不織布は、臭気成分、雑菌、花粉等の微粒子も吸着除去するので、集塵効率が高くなるだけでなく、脱臭機能、抗アレルゲン機能及び抗菌機能を一層強力に発揮させることができる。
【００２８】
請求項５記載の発明は、臭気物質等は中間層材を通過する際にも吸着除去されるので、請求項１，２，３又は４記載の発明の効果に加えて、内層紙、中間層材及び外層紙にて３段階で吸着脱臭でき、脱臭機能をより一層高めることができる。
【００２９】
請求項６記載の発明は、臭気物質等は中間層材を通過しても、外層紙を通過する際に吸着除去されるので、請求項１，２，３，４又は５記載の発明の効果に加えて、臭気物質等が集塵袋の外部に漏洩することを一層確実に防止することができる。
【００３０】
請求項７記載の発明は、集塵袋内に捕集された塵埃中の臭気、アレルゲン物質又は雑菌は、脱臭作用、アレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受けるので、優れた脱臭機能、抗アレルゲン機能又は抗菌機能を有する電機掃除機を安価に量産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３１】
本発明は、集塵袋の高通気性、高集塵性を確保しつつ、集塵袋自体に脱臭機能、抗アレルゲン機能及び抗菌機能を付加するという目的を、袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有、例えば混入（含浸を含む）又は塗布し、更に、前記内層紙にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させたことにより達成した。
【００３２】
また、本発明で使用される電気掃除機は、電気掃除機用集塵袋を集塵室に収容し、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機を収容し、該電動送風機を運転して
、前記電気掃除機用集塵袋に塵埃を集塵し、排気を排気口から排気するように構成したことを特徴とする。
【実施例】
【００３３】
以下、本発明の好適な一実施例を図１乃至図３に従って説明する。図１は本実施例に係る電気掃除機用集塵袋を示し、該集塵袋１は電気掃除機の集塵室に脱着自在に装着して使用される。本発明の集塵袋１を装着してなる電気掃除機の構成例を図３に示す。図３において、電気掃除機本体２１は、図示しない可撓性のホースが接続される前部の吸引側の集塵室２２と、通気口（図示せず）を備えた隔壁２６によって集塵室２２と仕切られた後側（図３の右側）の電動送風機室２３と、該電動送風機室２３の後側の排気風路２５等に区画される。
【００３４】
集塵室２２内には、図２に示すように、前部の吸引口（図示せず）に吸込口３３を介して連通する集塵袋１が着脱可能に収容されている。また、吸込口２３内には、負圧を発生させて塵埃を吸引する電動送風機３９が収容されている。更に、電動送風機３９の排気は、後部の排気風路２５を通り、排気口４１から排気され、この排気口４１の前部には、排気フィルター４２が設置されている。
【００３５】
前記集塵袋１は、開口部２を有する袋本体３と、該袋本体３に接着された口紙４とより成る。該口紙４の中央部には塵埃吸入口５が形成され、該塵埃吸入口５は前記袋本体２の開口部２と連通するように配設されている。
【００３６】
尚、本実施例では、該口紙４の表面全域には、高い吸着作用を有する粉粒状の炭４Ａが含有され、この炭４Ａは口紙４の表面に混入（含浸を含む）又は塗布して添着させることができる。又、炭４Ａとしては、備長炭（白炭）、活性炭、竹炭、木炭（黒炭）等を採択でき、該炭４Ａにより前記集塵室２２内の臭気成分を効果的に吸着除去することができる。
【００３７】
前記袋本体２は、図２に示すように、薄い内層紙６と、該内層紙６の外側に配置された中間層材７と、更に中間層材７の外側に配置された外層紙８とから構成されている。又、内層紙６及び外層紙８はパルプ材と合成繊維、例えば、ポリエステル繊維、ＰＶＡ繊維、アクリル繊維等を原料として抄造されている。本実施例では、外層紙８の厚さは従来に比べて薄く形成されている。
【００３８】
さらに、中間層材７はエレクトレット（メルトブロー）不織布により形成されている。このエレクトレット（電石加工）化された不織布は、１本１本の繊維が常に電気分極を保持しているので、電気的な集塵作用によって臭気成分、雑菌、花粉等を含む微粒子も確実に吸着除去できる。又、中間層材７の紙目（メッシュ）は外層紙８の紙目よりも粗く形成されている。更に、集塵袋１内に吸引された所定サイズ以上の塵埃は、内層紙６を通過する際に捕捉されるが、サイズの細かい塵埃は内層紙６を通過した後、中間層材７を通過する際に捕捉される。
【００３９】
前記内層紙６及び外層紙８には、高い吸着作用を有する粉粒状の炭９，１０が含有され、この粉粒状の炭９，１０は内層紙６及び外層紙８に混入（含浸を含む）又は塗布して添着させることができる。又、粉粒状の炭９，１０としては、目的や条件などに応じて、備長炭（白炭）、活性炭、竹炭、木炭（黒炭）等を採択できる。尚、粉粒状の炭９，１０は、粒径が１５μｍ程度のものを採択することができるが、これに限定されるべきではない。
【００４０】
本実施例では、均一な粉粒状に炭化した木炭チップ（縮小率５％以下、炭素純度９５％
以上）を１５μｍ以下の超微粉末に加工して成る備長炭を使用することが好ましい。尚、脱臭作用をもつプラチナ触媒を集塵室内に配置することにより消臭効果を更に高めることができる。
【００４１】
内層紙６にはアレルゲン不活性化剤１１及び抗菌剤１２が含有されている。アレルゲン不活性化剤１１としては、例えば、タンニン酸、ガロタンニン等のポリフェノール類、２，５−ジヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシ安息香酸系化合物、有機リン系化合物、ピレスロイド系化合物等を使用できる。又、抗菌剤１２としてはｐ−クロロメタゾール、ｏ−フェニールフェノール等を使用できる。
【００４２】
上記構成の集塵袋１は、袋本体２内に吸入された所定サイズ以上の塵埃は、内層紙６を通過する際に捕捉されるが、細かい塵埃は内層紙６を通過した後、中間層材７を通過する際に殆ど捕捉され、臭気成分等の一部の微細粒子のみが中間層材７を通過する。
【００４３】
本実施例によれば、袋本体２は内層紙６、中間層材７及び外層紙８の三層構造より形成され、該内層紙６及び外層紙８には高い吸着作用を有する備長炭等の粉粒状の炭９，１０が配合されているので、袋本体２内に吸引された臭気物質（有害ガスを含む）は、内層紙６及び外層紙８を通過する際に、粉粒状の炭９，１０によって確実に吸着除去される。この場合、臭気物質は酸性、塩基性又は中性の何れであっても、炭９，１０により吸着除去される。
【００４４】
因みに、従来品によれば電機掃除機で吸引された塵埃は、集塵室内で悪臭を発生させ、特に、電機掃除機の不使用時にも塵埃の一部が発酵して悪臭成分を生成し、該悪臭は電機掃除機の使用時に、集塵室の外部に放散されて使用者に不快感を与えていた。その点、本発明は、電機掃除機の使用時及び不使用時を問わず、袋本体２内の悪臭成分を強力に吸着脱臭するので、使用者に不快感を与える虞はない。
【００４５】
実際の脱臭実験によれば、電機掃除機で吸引された悪臭成分は、粉粒状の炭９，１０による消臭作用によって殆ど除去することができた。又、６段階臭気強度法に準拠した試験では、ゴミ臭の代表成分であるアンモニア（ペット臭）、アセトアルデヒド（細菌臭）、二硫化メチル、イソ吉草酸等の臭気強度を１以下、即ち、人間が殆ど感知できない臭いレベルまで抑制することができた。
【００４６】
上述したように、臭気物質は内層紙６又は外層紙８を通過する際に、粉粒状の炭９，１０によって吸着除去されるため、集塵袋１自体に高い脱臭機能が付加された。又、外層紙８を厚く形成する必要がないので、外層紙８の通気性及び可撓性が維持された。その結果、集塵袋１の電気掃除機への装着性及び吸引集塵性が良好に確保され、従来に比べて集塵効率が１.５倍以上に向上した。尚、炭９，１０は天然素材であり、間伐材を炭材として
有効利用できるので、地球に優しく森林環境保全に大いに寄与できる。
【００４７】
更に、内層紙６にはアレルゲン不活性化剤１１が配合されているので、塵埃中のダニ、花粉等のアレルゲン物質は、内層紙６を通過する際に、アレルゲン不活性化剤１１によって効果的に不活性化された。
【００４８】
この場合、微細粒径のアレルゲン物質の一部は、外層紙８を通過して集塵袋１から漏洩するが、該アレルゲン物質の活性は消失（又は減弱）しているので、使用者がアレルゲン物質に接触しても、アレルギー性疾患を引き起こすことはなかった。更に、内層紙６に配合した抗菌剤１２により雑菌が抗菌作用を受けるので、該雑菌により使用者の健康が害されることもなかった。
【００４９】
又、中間層材７は、捕塵性能の高いエレクトレット不織布により形成したので、内層材６を通過した細かい塵埃、並びに、臭気成分、雑菌、ハウスダスト等の微細（例えば、粒径０.５μｍ以下）な微粒子は中間層材７により効果的に吸着捕捉できた。従って、外層
紙８を厚く形成しなくても高い集塵効率が得られるので、外層紙８の通気性及び可撓性を良好に維持することができた。
【００５０】
図４乃至図６はそれぞれ本発明の他の実施例を示す詳細断面図であって、その特徴とするところは、図２の構成に加えて中間層材７及び外層紙８の双方（図４の構成）若しくは一方（図５又は図６の構成）にアレルゲン不活性化剤１３，１４及び抗菌剤１５，１６を含有（混入又は塗布）させたことにある。尚、その他の構成は、図２の構成と同様である。
【００５１】
このように、中間層材７又は外層紙８にアレルゲン不活性化剤１３，１４及び抗菌剤１５，１６を含有すれば、アレルゲン物質及び雑菌は、内層紙６を通過する際だけでなく、中間層材７又は外層紙８を通過する際にも、アレルゲン不活性化剤１３，１４によるアレルゲン不活性化作用、並びに、抗菌剤１５，１６による抗菌作用が発揮されるので、抗アレルゲン機能および抗菌機能が一層増大する。
【００５２】
上記実施例では、粉粒状の炭９，１０は内層紙６及び外層紙８に含有させたが、該炭９，１０は中間層材７に含有させることもできる。このように内層紙６、中間層材７及び外層紙８に炭９，１０を含有させれば、臭気物質は内層紙６、中間層材７及び外層紙８を通過する際に３段階で吸着除去されるので、脱臭効果が一層増大する。
【００５３】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【００５４】
【図１】本発明の一実施例を示し、電気掃除機用集塵袋の平面図。
【図２】一実施例に係る袋本体の詳細断面図。
【図３】一実施例に係る袋本体が装着された電気掃除機を示す断面図。
【図４】本発明に係る他の実施例を示し、内層紙、中間層材及び外層紙にアレルゲン不活性化剤を含有させたタイプの袋本体の詳細断面図。
【図５】本発明に係る他の実施例を示し、内層紙及び中間層材にアレルゲン不活性化剤を含有させたタイプの袋本体の詳細断面図。
【図６】本発明に係る他の実施例を示し、内層紙及び外層紙にアレルゲン不活性化剤を含有させたタイプの袋本体の詳細断面図。
【図７】従来例に係る電気掃除機用集塵袋の袋本体を示す詳細断面図。
【符号の説明】
【００５５】
１ 電気掃除機用集塵袋
３ 袋本体
４ 口紙
６ 内層紙
７ 中間層材（エレクトレット不織布）
８ 外層紙
９ 粉粒状の炭
１０ 粉粒状の炭
１１ アレルゲン不活性化剤
１２ 抗菌剤
１３ アレルゲン不活性化剤
１４ アレルゲン不活性化剤
１５ 抗菌剤
１６ 抗菌剤
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電気掃除機用集塵袋及び電気掃除機に関するものであり、特に、高通気性及び高捕塵性に加えて脱臭機能を有する電気掃除機用集塵袋及び電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、此種集塵袋は紙製の袋本体に口紙を接着して形成され、該袋本体としては、図７に示すように、高い通気性及び可撓性を確保するために、厚さの薄い内層紙Ｐ１及び外層紙Ｐ２により構成したものがある。
【０００３】
前記集塵袋を使用する際は、之を電気掃除機の集塵室に装着収容して、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機（集塵用電動送風機）を収容し、該電動送風機を運転して、排気を排気口から排出させることによって、前記電動送風機による吸引力により床面上の塵埃を集塵袋内に捕集している。
【０００４】
而して、集塵袋内に所定量の塵埃が溜まったときは、使用者が集塵袋を電気掃除機から取り外して集塵袋ごと廃棄している（例えば、特許文献１参照）。
【特許文献１】特開２００６−３４８５５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、前記集塵袋内に捕集された塵埃の中には、アレルゲン物質（ダニ等）、雑菌等の有害物質の他に悪臭成分も混在している。従って、特に外層紙の厚さが所定以下の場合、有害物質が集塵袋から漏洩するため、使用者がアレルギー性疾患等を引き起こす他に、悪臭により不快感を覚えるという問題があった。
【０００６】
前記問題を解決するには、外層紙を所定以上に厚くし、且つ、該外層紙の紙目（メッシュ）を小さくすることにより、悪臭成分等が集塵袋から漏洩しないようにすることが考えられる。しかし、この場合は外層紙の通気性及び可撓性が失われるので、集塵袋の吸引集塵性や電気掃除機への装着性が低下して、集塵袋の使い勝手が悪くなる。
【０００７】
尚、集塵袋自体に抗アレルゲン機能又は抗菌機能を付加する技術が既に開発されているが、高通気性及び高集塵性を確保しつつ、脱臭機能を付加した技術は未だ開発されていない。
【０００８】
そこで、集塵袋の高通気性、高集塵性を確保しつつ、該集塵袋自体に脱臭機能等を付加するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項１記載の発明は、袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させて成る電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１０】
この構成によれば、前記電気掃除機用集塵袋の袋本体が内層紙、中間層材及び外層紙の3層構造より形成され、且つ、該内層紙及び外層紙に粉粒状の炭、例えば備長炭を含有し
たので、集塵袋内に捕集された臭気物質は、内層紙及び外層紙を通過する際に吸着除去される。又、集塵袋内に存在する臭気物質は、電気掃除機の不使用時にも前記炭により持続的に吸着除去される。尚、本発明に係る前記炭を内層紙及び外層紙に含有させる方法は特に限定されず、例えば、混入又は塗布などの方法により前記炭を含有させることができる。
【００１１】
請求項２記載の発明は、袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させ、更に、前記内層紙にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させて成る電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１２】
この構成によれば、内層紙にアレルゲン不活性化剤又は抗菌剤を含有したので、集塵袋内に捕集されたアレルゲン物質又は雑菌は、内層紙を通過する際にアレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受ける。
【００１３】
請求項３記載の発明は、上記中間層材及び外層紙の少なくとも一方にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させた請求項１又は２記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１４】
この構成によれば、内層紙に加えて中間層材又は外層紙にアレルゲン不活性化剤若しくは抗菌剤を含有したので、集塵袋内に捕集されたアレルゲン物質又は雑菌は、中間層材又は外層紙を通過する際にもアレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受ける。
【００１５】
請求項４記載の発明は、上記中間層材がエレクトレット不織布により形成されて成る請求項１，２又は３記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１６】
この構成によれば、エレクトレット不織布により成る中間層材は、静電気の力によって粒子を捕捉するので高い集塵作用を有する。従って、内層材を通過した細かい塵埃は、中間層材により効果的に捕捉されるため、外層紙を厚く形成しなくても集塵効率が高くなる。又、エレクトレット不織布は、臭気成分、雑菌、花粉等の微粒子も吸着除去する。
【００１７】
請求項５記載の発明は、上記中間層材に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させて成る請求項１，２，３又は４記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００１８】
この構成によれば、中間層材に粉粒状の炭を含有したので、集塵袋内に捕集された臭気物質は、中間層材を通過する際に炭によって吸着除去される。
【００１９】
請求項６記載の発明は、上記中間層材の紙目は上記外層紙の紙目よりも粗い請求項１，２，３,４又は５記載の電気掃除機用集塵袋を提供する。
【００２０】
この構成によれば、中間層材は外層紙よりも粗い紙目を有するので、悪臭成分等が内層紙及び中間層材を通過しても、該悪臭成分等は外層紙を通過する際に吸着除去される。
【００２１】
請求項１から請求項６のいずれかの請求項に記載の電気掃除機用集塵袋を集塵室に収容し、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機を収容し、該電動送風機を運転して、前記電気掃除機用集塵袋に塵埃を集塵し、排気を排気口から排気するように構成してなる電気掃除機を提供する。
【００２２】
この構成によれば、電気掃除機用集塵袋の内層紙、中間層材又は外層紙には吸着作用を有する粉粒状の炭、アレルゲン不活性化剤又は抗菌剤を含有したので、集塵袋内に捕集さ
れた塵埃中の臭気は、表面積の大きい粉粒状の炭によって吸着脱臭され、又、塵埃中のアレルゲン物質又は雑菌は、アレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受ける。特に、中間層材をエレクトレット不織布により形成したものでは、前記臭気成分、雑菌、花粉等の微粒子も効果的に吸着除去する。
【発明の効果】
【００２３】
請求項１記載の発明は、集塵袋内に捕集された臭気は、表面積の大きい粉粒状の炭によって吸着脱臭できるので、集塵袋自体に高い脱臭機能を付加することができる。この場合、外層紙を厚く形成する必要がないので、使い勝手の良い高通気性、高捕塵性の集塵袋を提供することができる。特に、前記炭として超微粉末（例えば粒径１５μｍ以下のもの）を使用すれば、更に高い通気性を維持しつつ脱臭効果を一層高めることができる。
【００２４】
請求項２記載の発明は、アレルゲン物質又は雑菌は不活性化作用又は抗菌作用を受けるので、上記脱臭効果に加えて抗アレルゲン機能又は抗菌機能も発揮することができる。
【００２５】
請求項３記載の発明は、アレルゲン物質又は雑菌は、内層紙を通過する際に、及び、中間層材又は外層紙を通過する際にも不活性化作用又は抗菌作用を受けるので、請求項１又は２記載の発明の効果に加えて、抗アレルゲン機能又は抗菌機能が一層増大する。
【００２６】
請求項４記載の発明は、エレクトレット不織布により成る中間層材により集塵効率が高くなると共に、外層紙の厚さを薄くできるので、請求項１，２又は３記載の発明の効果に加えて、外層紙の通気性（低圧力損失）及び可撓性が更に増大した高性能の集塵袋を提供することができる。
【００２７】
又、エレクトレット不織布は、臭気成分、雑菌、花粉等の微粒子も吸着除去するので、集塵効率が高くなるだけでなく、脱臭機能、抗アレルゲン機能及び抗菌機能を一層強力に発揮させることができる。
【００２８】
請求項５記載の発明は、臭気物質等は中間層材を通過する際にも吸着除去されるので、請求項１，２，３又は４記載の発明の効果に加えて、内層紙、中間層材及び外層紙にて３段階で吸着脱臭でき、脱臭機能をより一層高めることができる。
【００２９】
請求項６記載の発明は、臭気物質等は中間層材を通過しても、外層紙を通過する際に吸着除去されるので、請求項１，２，３，４又は５記載の発明の効果に加えて、臭気物質等が集塵袋の外部に漏洩することを一層確実に防止することができる。
【００３０】
請求項７記載の発明は、集塵袋内に捕集された塵埃中の臭気、アレルゲン物質又は雑菌は、脱臭作用、アレルゲン不活性化作用又は抗菌作用を受けるので、優れた脱臭機能、抗アレルゲン機能又は抗菌機能を有する電機掃除機を安価に量産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３１】
本発明は、集塵袋の高通気性、高集塵性を確保しつつ、集塵袋自体に脱臭機能、抗アレルゲン機能及び抗菌機能を付加するという目的を、袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有、例えば混入（含浸を含む）又は塗布し、更に、前記内層紙にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させたことにより達成した。
【００３２】
また、本発明で使用される電気掃除機は、電気掃除機用集塵袋を集塵室に収容し、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機を収容し、該電動送風機を運転して
、前記電気掃除機用集塵袋に塵埃を集塵し、排気を排気口から排気するように構成したことを特徴とする。
【実施例】
【００３３】
以下、本発明の好適な一実施例を図１乃至図３に従って説明する。図１は本実施例に係る電気掃除機用集塵袋を示し、該集塵袋１は電気掃除機の集塵室に脱着自在に装着して使用される。本発明の集塵袋１を装着してなる電気掃除機の構成例を図３に示す。図３において、電気掃除機本体２１は、図示しない可撓性のホースが接続される前部の吸引側の集塵室２２と、通気口（図示せず）を備えた隔壁２６によって集塵室２２と仕切られた後側（図３の右側）の電動送風機室２３と、該電動送風機室２３の後側の排気風路２５等に区画される。
【００３４】
集塵室２２内には、図２に示すように、前部の吸引口（図示せず）に吸込口３３を介して連通する集塵袋１が着脱可能に収容されている。また、吸込口２３内には、負圧を発生させて塵埃を吸引する電動送風機３９が収容されている。更に、電動送風機３９の排気は、後部の排気風路２５を通り、排気口４１から排気され、この排気口４１の前部には、排気フィルター４２が設置されている。
【００３５】
前記集塵袋１は、開口部２を有する袋本体３と、該袋本体３に接着された口紙４とより成る。該口紙４の中央部には塵埃吸入口５が形成され、該塵埃吸入口５は前記袋本体２の開口部２と連通するように配設されている。
【００３６】
尚、本実施例では、該口紙４の表面全域には、高い吸着作用を有する粉粒状の炭４Ａが含有され、この炭４Ａは口紙４の表面に混入（含浸を含む）又は塗布して添着させることができる。又、炭４Ａとしては、備長炭（白炭）、活性炭、竹炭、木炭（黒炭）等を採択でき、該炭４Ａにより前記集塵室２２内の臭気成分を効果的に吸着除去することができる。
【００３７】
前記袋本体２は、図２に示すように、薄い内層紙６と、該内層紙６の外側に配置された中間層材７と、更に中間層材７の外側に配置された外層紙８とから構成されている。又、内層紙６及び外層紙８はパルプ材と合成繊維、例えば、ポリエステル繊維、ＰＶＡ繊維、アクリル繊維等を原料として抄造されている。本実施例では、外層紙８の厚さは従来に比べて薄く形成されている。
【００３８】
さらに、中間層材７はエレクトレット（メルトブロー）不織布により形成されている。このエレクトレット（電石加工）化された不織布は、１本１本の繊維が常に電気分極を保持しているので、電気的な集塵作用によって臭気成分、雑菌、花粉等を含む微粒子も確実に吸着除去できる。又、中間層材７の紙目（メッシュ）は外層紙８の紙目よりも粗く形成されている。更に、集塵袋１内に吸引された所定サイズ以上の塵埃は、内層紙６を通過する際に捕捉されるが、サイズの細かい塵埃は内層紙６を通過した後、中間層材７を通過する際に捕捉される。
【００３９】
前記内層紙６及び外層紙８には、高い吸着作用を有する粉粒状の炭９，１０が含有され、この粉粒状の炭９，１０は内層紙６及び外層紙８に混入（含浸を含む）又は塗布して添着させることができる。又、粉粒状の炭９，１０としては、目的や条件などに応じて、備長炭（白炭）、活性炭、竹炭、木炭（黒炭）等を採択できる。尚、粉粒状の炭９，１０は、粒径が１５μｍ程度のものを採択することができるが、これに限定されるべきではない。
【００４０】
本実施例では、均一な粉粒状に炭化した木炭チップ（縮小率５％以下、炭素純度９５％
以上）を１５μｍ以下の超微粉末に加工して成る備長炭を使用することが好ましい。尚、脱臭作用をもつプラチナ触媒を集塵室内に配置することにより消臭効果を更に高めることができる。
【００４１】
内層紙６にはアレルゲン不活性化剤１１及び抗菌剤１２が含有されている。アレルゲン不活性化剤１１としては、例えば、タンニン酸、ガロタンニン等のポリフェノール類、２，５−ジヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシ安息香酸系化合物、有機リン系化合物、ピレスロイド系化合物等を使用できる。又、抗菌剤１２としてはｐ−クロロメタゾール、ｏ−フェニールフェノール等を使用できる。
【００４２】
上記構成の集塵袋１は、袋本体２内に吸入された所定サイズ以上の塵埃は、内層紙６を通過する際に捕捉されるが、細かい塵埃は内層紙６を通過した後、中間層材７を通過する際に殆ど捕捉され、臭気成分等の一部の微細粒子のみが中間層材７を通過する。
【００４３】
本実施例によれば、袋本体２は内層紙６、中間層材７及び外層紙８の三層構造より形成され、該内層紙６及び外層紙８には高い吸着作用を有する備長炭等の粉粒状の炭９，１０が配合されているので、袋本体２内に吸引された臭気物質（有害ガスを含む）は、内層紙６及び外層紙８を通過する際に、粉粒状の炭９，１０によって確実に吸着除去される。この場合、臭気物質は酸性、塩基性又は中性の何れであっても、炭９，１０により吸着除去される。
【００４４】
因みに、従来品によれば電機掃除機で吸引された塵埃は、集塵室内で悪臭を発生させ、特に、電機掃除機の不使用時にも塵埃の一部が発酵して悪臭成分を生成し、該悪臭は電機掃除機の使用時に、集塵室の外部に放散されて使用者に不快感を与えていた。その点、本発明は、電機掃除機の使用時及び不使用時を問わず、袋本体２内の悪臭成分を強力に吸着脱臭するので、使用者に不快感を与える虞はない。
【００４５】
実際の脱臭実験によれば、電機掃除機で吸引された悪臭成分は、粉粒状の炭９，１０による消臭作用によって殆ど除去することができた。又、６段階臭気強度法に準拠した試験では、ゴミ臭の代表成分であるアンモニア（ペット臭）、アセトアルデヒド（細菌臭）、二硫化メチル、イソ吉草酸等の臭気強度を１以下、即ち、人間が殆ど感知できない臭いレベルまで抑制することができた。
【００４６】
上述したように、臭気物質は内層紙６又は外層紙８を通過する際に、粉粒状の炭９，１０によって吸着除去されるため、集塵袋１自体に高い脱臭機能が付加された。又、外層紙８を厚く形成する必要がないので、外層紙８の通気性及び可撓性が維持された。その結果、集塵袋１の電気掃除機への装着性及び吸引集塵性が良好に確保され、従来に比べて集塵効率が１.５倍以上に向上した。尚、炭９，１０は天然素材であり、間伐材を炭材として
有効利用できるので、地球に優しく森林環境保全に大いに寄与できる。
【００４７】
更に、内層紙６にはアレルゲン不活性化剤１１が配合されているので、塵埃中のダニ、花粉等のアレルゲン物質は、内層紙６を通過する際に、アレルゲン不活性化剤１１によって効果的に不活性化された。
【００４８】
この場合、微細粒径のアレルゲン物質の一部は、外層紙８を通過して集塵袋１から漏洩するが、該アレルゲン物質の活性は消失（又は減弱）しているので、使用者がアレルゲン物質に接触しても、アレルギー性疾患を引き起こすことはなかった。更に、内層紙６に配合した抗菌剤１２により雑菌が抗菌作用を受けるので、該雑菌により使用者の健康が害されることもなかった。
【００４９】
又、中間層材７は、捕塵性能の高いエレクトレット不織布により形成したので、内層材６を通過した細かい塵埃、並びに、臭気成分、雑菌、ハウスダスト等の微細（例えば、粒径０.５μｍ以下）な微粒子は中間層材７により効果的に吸着捕捉できた。従って、外層
紙８を厚く形成しなくても高い集塵効率が得られるので、外層紙８の通気性及び可撓性を良好に維持することができた。
【００５０】
図４乃至図６はそれぞれ本発明の他の実施例を示す詳細断面図であって、その特徴とするところは、図２の構成に加えて中間層材７及び外層紙８の双方（図４の構成）若しくは一方（図５又は図６の構成）にアレルゲン不活性化剤１３，１４及び抗菌剤１５，１６を含有（混入又は塗布）させたことにある。尚、その他の構成は、図２の構成と同様である。
【００５１】
このように、中間層材７又は外層紙８にアレルゲン不活性化剤１３，１４及び抗菌剤１５，１６を含有すれば、アレルゲン物質及び雑菌は、内層紙６を通過する際だけでなく、中間層材７又は外層紙８を通過する際にも、アレルゲン不活性化剤１３，１４によるアレルゲン不活性化作用、並びに、抗菌剤１５，１６による抗菌作用が発揮されるので、抗アレルゲン機能および抗菌機能が一層増大する。
【００５２】
上記実施例では、粉粒状の炭９，１０は内層紙６及び外層紙８に含有させたが、該炭９，１０は中間層材７に含有させることもできる。このように内層紙６、中間層材７及び外層紙８に炭９，１０を含有させれば、臭気物質は内層紙６、中間層材７及び外層紙８を通過する際に３段階で吸着除去されるので、脱臭効果が一層増大する。
【００５３】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【００５４】
【図１】本発明の一実施例を示し、電気掃除機用集塵袋の平面図。
【図２】一実施例に係る袋本体の詳細断面図。
【図３】一実施例に係る袋本体が装着された電気掃除機を示す断面図。
【図４】本発明に係る他の実施例を示し、内層紙、中間層材及び外層紙にアレルゲン不活性化剤を含有させたタイプの袋本体の詳細断面図。
【図５】本発明に係る他の実施例を示し、内層紙及び中間層材にアレルゲン不活性化剤を含有させたタイプの袋本体の詳細断面図。
【図６】本発明に係る他の実施例を示し、内層紙及び外層紙にアレルゲン不活性化剤を含有させたタイプの袋本体の詳細断面図。
【図７】従来例に係る電気掃除機用集塵袋の袋本体を示す詳細断面図。
【符号の説明】
【００５５】
１ 電気掃除機用集塵袋
３ 袋本体
４ 口紙
６ 内層紙
７ 中間層材（エレクトレット不織布）
８ 外層紙
９ 粉粒状の炭
１０ 粉粒状の炭
１１ アレルゲン不活性化剤
１２ 抗菌剤
１３ アレルゲン不活性化剤
１４ アレルゲン不活性化剤
１５ 抗菌剤
１６ 抗菌剤
【特許請求の範囲】
【請求項１】
袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させたことを特徴とする電気掃除機用集塵袋。
【請求項２】
袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させ、更に、前記内層紙にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させたことを特徴とする電気掃除機用集塵袋。
【請求項３】
上記中間層材又は外層紙の少なくとも一方にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させたことを特徴とする請求項１又は２記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項４】
上記中間層材がエレクトレット不織布により形成されていることを特徴とする請求項１，２又は３記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項５】
上記中間層材に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させたことを特徴とする請求項１，２，３又は４記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項６】
上記中間層材の紙目は上記外層紙の紙目よりも粗いことを特徴とする請求項１，２，３,４又は５記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項７】
請求項１から請求項６のいずれかの請求項に記載の電気掃除機用集塵袋を集塵室に収容し、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機を収容し、該電動送風機を運転して、前記電気掃除機用集塵袋に塵埃を集塵し、排気を排気口から排出させることを特徴とする電気掃除機。
【請求項１】
袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させたことを特徴とする電気掃除機用集塵袋。
【請求項２】
袋本体に口紙を接着して成る電気掃除機用集塵袋において、前記袋本体を内層紙、中間層材及び外層紙より形成すると共に、該内層紙及び外層紙に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させ、更に、前記内層紙にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させたことを特徴とする電気掃除機用集塵袋。
【請求項３】
上記中間層材又は外層紙の少なくとも一方にアレルゲン不活性化剤及び抗菌剤の双方若しくは一方を含有させたことを特徴とする請求項１又は２記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項４】
上記中間層材がエレクトレット不織布により形成されていることを特徴とする請求項１，２又は３記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項５】
上記中間層材に吸着作用を有する粉粒状の炭を含有させたことを特徴とする請求項１，２，３又は４記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項６】
上記中間層材の紙目は上記外層紙の紙目よりも粗いことを特徴とする請求項１，２，３,４又は５記載の電気掃除機用集塵袋。
【請求項７】
請求項１から請求項６のいずれかの請求項に記載の電気掃除機用集塵袋を集塵室に収容し、通気口を有する隔壁で区画した電動送風機室に電動送風機を収容し、該電動送風機を運転して、前記電気掃除機用集塵袋に塵埃を集塵し、排気を排気口から排出させることを特徴とする電気掃除機。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００８−６１８４５（Ｐ２００８−６１８４５Ａ）
【公開日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２４３４６５（Ｐ２００６−２４３４６５）
【出願日】平成１８年９月７日（２００６．９．７）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り ２００６年８月９日 インターネットアドレス「ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｍｉｔｓｕｂｉｓｈｉｅｌｅｃｔｒｉｃ．ｃｏ．ｊｐ／」に発表
【出願人】（０００００６０１３）三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】（０００１７６８６６）三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【出願人】（０００２０５８２３）大昭和紙工産業株式会社 (28)
【出願人】（０００２３１２５７）日本大昭和板紙株式会社 (18)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月７日（２００６．９．７）
【新規性喪失の例外の表示】特許法第３０条第１項適用申請有り ２００６年８月９日 インターネットアドレス「ｈｔｔｐ：／／ｗｗｗ．ｍｉｔｓｕｂｉｓｈｉｅｌｅｃｔｒｉｃ．ｃｏ．ｊｐ／」に発表
【出願人】（０００００６０１３）三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】（０００１７６８６６）三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【出願人】（０００２０５８２３）大昭和紙工産業株式会社 (28)
【出願人】（０００２３１２５７）日本大昭和板紙株式会社 (18)
【Ｆターム（参考）】
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