電気掃除機
【課題】従来の電気掃除機において、脱臭フィルタの脱臭効率が小さく臭気の低減が小さいという課題を有していた。
【解決手段】電気掃除機に接続することによって、脱臭材収納室26内の脱臭材31が脱臭材投入口36へ投下して、電気掃除機の集塵ボックス3内へ投入され、塵埃と混ぜ合わせることができ、塵埃の臭気を除去し大幅に排気の臭気を低減することができる。また、脱臭材投入口36部近傍に脱臭材収納室から投下した脱臭材を貯留する構造を有して、吸気流による乱流で集塵ボックス内へ舞い込ませる構成とし、集塵ボックス内の塵埃と満遍なく混合することができ、塵埃の臭気低減効果を向上させることができる。
【解決手段】電気掃除機に接続することによって、脱臭材収納室26内の脱臭材31が脱臭材投入口36へ投下して、電気掃除機の集塵ボックス3内へ投入され、塵埃と混ぜ合わせることができ、塵埃の臭気を除去し大幅に排気の臭気を低減することができる。また、脱臭材投入口36部近傍に脱臭材収納室から投下した脱臭材を貯留する構造を有して、吸気流による乱流で集塵ボックス内へ舞い込ませる構成とし、集塵ボックス内の塵埃と満遍なく混合することができ、塵埃の臭気低減効果を向上させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭材料を用いて吸引した塵埃の臭気を除去し、排気の臭気を低減する電気掃除機用アタッチメントと、前記電気掃除機用アタッチメントを接続した電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気掃除機の排気脱臭に関しては、排気経路に脱臭フィルタを搭載する構成のものが提案されており、近年では光触媒の酸化作用により脱臭する思想のものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3238055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の排気経路に脱臭フィルタを搭載する方法では、電気掃除機の吸引量が大きいため、脱臭フィルタと臭気を含む排気空気との接触時間が短くなり、脱臭効率が小さく臭気の低減も小さいという課題を有するものであった。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、粉体状の脱臭材を直接集塵部内に投入し、集塵部内の塵埃に満遍なく混合することによって、塵埃の臭気を除去し、排気の臭気を大幅に低減する電気掃除機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来の課題を解決するために、本発明は、電気掃除機本体の集塵部より吸気上流部に脱臭材収納部を備え、脱臭材収納部から電気掃除機本体の集塵部内に連通する吸気通路内へ粉体状の脱臭材を投下し、吸引される吸気風によって電気掃除機本体集塵部へ脱臭材を投入される電気掃除機としたものである。
【0006】
吸引した塵埃に直接、粉体上の脱臭材を投入して塵埃と満遍なく混合することで、強力に塵埃の臭気を除去し、使用時だけでなく静置時にも脱臭するため、集塵部内での臭気の滞留が低減され、次回の掃除機使用時、特に臭気レベルの高い掃除作業の初期時にも、排気臭気の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、簡便な手段により塵埃の臭気を除去することにより、排気の臭気を大幅に低減する電気掃除機とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、塵埃を収集する集塵部と電動送風機を備えた電気掃除機において、前記集塵部より通気上流部に、脱臭材投入部と、前記脱臭材投入部に連通する脱臭材収納部を設け、前記脱臭材収納部に脱臭材が収納され、脱臭材収納部から脱臭材投入部を経て、集塵部に投入される電気掃除機としたものである。この構成により収納部に収納された脱臭材は、重力または掃除機の電動送風機の運転によって生じる吸気流の乱れによって脱臭材投入部へ移動させられ、さらに集塵部に舞い込まれて投入されることになる。このように吸引した塵埃に直接脱臭材が投入されることで、強力に塵埃の臭気を除去し、使用時だけでなく静置時にも脱臭するため、集塵部内での臭気の滞留が低減され、次回の掃除機使用時、特に臭気レベルの高い使用の初期時にも排気臭気の低減を図ることができる。
【0009】
第2の発明は、塵埃を収集する集塵部と電動送風機を備えた電気掃除機において、前記集塵部より通気上流部に、脱臭材投入部と、前記脱臭材投入部に連通する脱臭材収納部を設け、前記脱臭材収納部に脱臭材が収納され、脱臭材収納部から脱臭材を溜める溜り部を有する脱臭材投入部を経て、集塵部に投入される電気掃除機としたもので、前記脱臭材投入部の溜まり部に溜まった脱臭材を吸気の乱流によって集塵部内へと舞い込ませやすくすることができ効率よく粒状にして連通路内へ投入し、塵埃の臭気を低減することができるものとなる。
【0010】
第3の発明は、脱臭材収納部は、電気掃除機本体の集塵部の上流部に位置すると共に、ホースの掃除機本体側接続部を挿入接続する吸気口の近傍に設けられ、脱臭材投入部は、前記吸気口の内周側面に設けられたことを特徴とするもので、吸気口から集塵部へ流入する吸気流の乱れによって脱臭材投入部の近傍では圧力変化が生じ、脱臭材を集塵部内へ引き込ませようとする力で脱臭材舞い込み、ごみと混合しやすくし、塵埃の臭気低減効果を向上させるものである。
第4の発明は、電気掃除機本体の脱臭材投入部は、吸い込み具あるいは吸い込み具を接続するためのホースの電気掃除機本体側接続部を、電気掃除機本体の吸気口に挿着接続する際に開き、抜き外す際に閉じる蓋体を設けたもので、前記吸い込み具あるいは吸い込み具を接続するためのホースの電気掃除機本体側接続部を抜き外した状態で脱臭材投入部に溜まっている脱臭材を本体外部にこぼれ落とすことを防止し、使用性を良好にすることができるものである。
【0011】
第5の発明は、移動用車輪またはキャスターを有する電気掃除機本体において、前記電気掃除機本体の吸気口を上方に向けて据置き収納する際に、脱臭材投入部に残溜した脱臭材がこぼれでないように吸気口部に障壁を設けたもので、前記のように本体を収納状態で集塵部の塵埃を取り除く操作をする際等に、障壁によって集塵部外に脱臭材がこぼれ出ることを防止するとともに、こぼれた脱臭材が電動送風機へ吸引されて、電動送風機の故障発生を防止することができるものである。
【0012】
第6の発明は、吸い込み具またはホースを電気掃除機本体の吸気口に接続した状態で、脱臭材投入部に残溜した脱臭材のこぼれ落ちを防止する障壁部を、前記吸い込み具またはホースの本体側接続部の先端より集塵部側の位置に、吸気流路に微小に突出して設け、吸気路を流れる吸気流によって集塵部側へ押し圧を受けて開放するように設けたもので、本体の吸気口を上方に向けて据置き収納した状態で、集塵部の塵埃を取り除く操作をする際等に、障壁によって集塵部外に脱臭材がこぼれ出ることを防止するとともに、こぼれた脱臭材が電動送風機へ吸引されて、電動送風機の故障発生を防止することができるものであり、さらに電動送風機を運転して掃除使用している間は、前記障壁部が吸気流によって押し倒されるため、吸い込み性能を発揮するための吸気抵抗ロスをなくすことができるものである。
【0013】
第7の発明は、電気掃除機本体に、脱臭材収納部から連通する脱臭材投入部と、集塵部の上流に位置する吸気口と、外気を脱臭材投入部の脱臭材の溜り部に向けて導入する微小径の外気導入通路を設けたものであり、溜り部に堆積している脱臭材を前記外気導入通路からの吸気流で舞い上げて分散させ、脱臭材を満遍なく分散させて集塵部内へ吸引させて、塵埃の臭気を低減させることができるものである。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1を示す。
【0016】
図1および図2は、第1の実施の形態における電気掃除機の構成図を示すものである。図1は本体1に接続パイプ51によりホース50が接続され、床用吸い込み具70とホース50の手持ち部となり、かつ、本体1の電動送風機の運転停止などを制御するスイッチ等を備えた先端パイプ52との間を延長管60で着脱自在に接続している。図2は、電気掃除機本体の構成する図であり、本体1の内部には集塵ボックス3および電動送風機4が配置され、また、上流側には集塵ボックス3に集塵されるよう吸引口2を設けており、ここに接続ホースが取り付けられる。また、車輪5により掃除機本体は移動することができる。
【0017】
本体1の吸気口2の近傍には脱臭材31を収納する脱臭材収納室26があり、脱臭材31は、脱臭材収納室26の底面側を構成するラス等からなる粗面網32上を、本体1を移動させたときの慣性によって自由に移動できるようにしている。脱臭材収納室26は、吸気口2に投入通路33で通じた構成としている。
【0018】
集塵ボックス3は、ここでは旋回流により塵埃を分離する遠心分離型のサイクロン掃除機を用いており、その構成を図3により簡単に説明する。
【0019】
図3は、図2に示す電気掃除機の集塵ボックス3の構成模式図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0020】
図3(a)、(b)において、第1のフィルタ22の下流から電動送風機4により吸引されるが、吸気された塵埃を含む空気は、まず、集塵ボックス3の通気口21から吸引され、塵埃を含む空気は障壁23に沿って流れ、ここで空気は第1のフィルタ22を介して電動送風機4に吸引されるが、塵埃は遠心力によりさらに旋回し最終的に第2のフィルタ24により塵埃が濾しとられ、ほとんどの塵埃は集塵部25に滞留する。図中に示した実線矢印は塵埃の流れを示し、破線矢印は気流の流れを示している。このように、ここでは旋回流により塵埃を分離する遠心分離型のサイクロン掃除機を用いている。
【0021】
脱臭材31は平均粒径20マイクロメートルの粉末状活性炭をコロイダルシリカをバインダーとして、図4に示すように略直方形状に固めたものであり、脱臭材収納室26の中で、粗面網32上を矢印に示すように自由にすべり移動できるものである。この時、脱臭材31が粗面網32上をすべることによる摩耗で粒状化することができるものである。また、脱臭材31の形状は、多角形状による構成も可能である。また、脱臭材収納部26内の少なくとも一側面部に突起形状等を形成すると、前記突起形状形成面に脱臭材31が衝突する際に破壊されて粒状化することができる。しかしこの場合、脱臭材31と脱臭材収納室26の隙間の大きさによっては脱臭材31の移動慣性がつきすぎて、大きく破壊する可能性があるので、脱臭材31と脱臭材収納室26の隙間寸法を適切に確保することが条件となるものである。
【0022】
以上は、脱臭材31が固形化した場合の構成であるが、脱臭材を粉体のまま脱臭材収納室26内に封入しておき、本体1の移動による振動によって投入通路33へ落下させる構成とすることも可能である。この場合、粗面網32の形状を密にして、脱臭材31が固形の場合より落下しにくいように構成することが条件となる。
【0023】
また、図5は脱臭材収納室26および吸気口2周囲の構成要部のみを示す図である。固形の脱臭材31が粗面網32上をすべることによる摩耗で粒状化されると、粗面網32の網目を通って、吸気口2に通じる投入通路33側に落下し、吸気口2に設けた脱臭材投入口36から吸気口2に投入されて集塵ボックス3内へと吸入されることになる。
【0024】
次に、また別の脱臭材を投入する構成について説明する。図6は電気掃除機の本体1の集塵ボックスを取り外し、部分断面にして内部構造を露出させた斜視図であり、給電するための電源コードを収納する時に本体1内にバネの復元力を利用して巻き取るコードリール104を有している。図7がコードリール104の断面構造図で、103は電動送風機4を収納した電動送風機室101とコードリール側を仕切る隔壁であり、隔壁103に軸104dでコードリール104が回転自在に軸支されている。コードリール104は、電源コード120を巻き付けるドラム部104bと、電源コード120を巻き付ける方向に付勢するバネ材104cから構成されている。図6において、電源コードの引き出し操作による脱臭材収納部26の脱臭材を粒状化するための動作伝達構成を示すもので、コードリール104の一方のフランジ部104aの外周面にギヤが円環状に形成され、ギヤーA106、ギヤーB107を介してワイヤー109の端部を摺動回転自在に保持したフランジ108を回転するようにしている。
【0025】
次に、図8は脱臭材収納室26の構成を示す図であり、脱臭材31は収納箱26aに収納され、収納箱26a上方には脱臭材31を付勢するための弁26eがねじりバネ26fで付勢されて蓋体26cに回動自在に軸が保持されている。また蓋体26cは収納箱26aに開閉自在に軸固定されている。収納箱26a下方には脱臭材31を粒状化するための粗面網32を保持固定した摺動板32aと受台26d、押え枠26bおよび粗面網32を往復動作させるためのバネ109dで付勢されたワイヤー109の端部が固定されて設けられている。ワイヤー109はアウター109aの内面にインナーワイヤー109bが摺動自在に配設されている。また、インナーワイヤー109bの先端には摺動板32aにはめ込み固定する凸部109eが設けられている。受台26dの下方には脱臭材投入口36と連通する投入通路33が設けられている。
【0026】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0027】
電源コード102の引き出し動作に応じてコードリール104のフランジ部104aが回転すると、その回転力が、ギヤーA106、ギヤーB107を介してフランジ108を回転させる。ここでフランジ108のインナーワイヤー109bを摺動回転自在に保持している軸部は、フランジ108の中心から偏心させているので、フランジ108が回転すると、インナーワイヤー109bが引っ張られたり、緩められたりする。これにより、図9に示すインナーワイヤー109bが引っ張られると、摺動板32aにインナーワイヤー109bの端部に設けた凸部109eがはめ込み固定されているため、摺動板32aが移動させられる。さらに、インナーワイヤー109bが緩められると、バネ109dで摺動板32aが押し戻される。この連続動作によって、脱臭材31が粗面網32によって摩耗されて粒状化することができる。粒状化された脱臭材31aは吸気口2の略中心より下側面部に設けた脱臭材投入口36に落下し、接続パイプ51の外周面に降りかかることなく貯留される。そこで、電動送風機を運転し、吸気口に吸気流が生じると、ホースの螺旋形状や、接続パイプと吸気口の接続部分の凹凸形状によって乱気流が発生し、脱臭材投入口36の貯留している脱臭材31aが吸気口内へ引き込まれ、集塵ボックス内へと吸引される。
【0028】
以上の構成の電気掃除機を用いて、本発明の効果を調べる。
【0029】
上記の掃除機を用いて実部屋の掃除を15分間行った。対照実験として脱臭材なしでも実部屋の掃除を15分間行なった。排気臭気に気をつけながら、この掃除実験を10日間続けた。結果は対照実験のものは5日目くらいから排気の臭気が気になったが、本実施例のものは10日目の終了時までほとんど気にならなかった。
【0030】
掃除機に吸引された塵埃量を比べてみたところ、10日間の掃除で、本実施の形態も対照実験も、どちらもほぼ30g吸引していた。また本実施の形態の掃除機に設置した脱臭材31は1.2g減量していた。よって、1日あたり平均3gの塵埃を吸引し、0.12gの脱臭材が投入されたことになる。
【0031】
このとき、吸引により収集された塵埃を観察したところ、脱臭材31が粉体として塵埃にまとわりつき、また塵埃と混合されていることが確認された。これは、掃除機本体を移動、吸引させる毎に、球形状の脱臭材31が設置部26の内部を転がりまた振動し、金網で作製された底部と接触することで磨耗し、脱臭材が粉体として投入され、吸引した塵埃と接触、混合されているものである。
【0032】
次に、塵埃を30g吸引したこの状態で1日静置した後、1m3の密閉チャンバ内に掃除機をセットし30秒間運転させた。チャンバ内に排気された臭気をパネル6名で実際ににおいをかぎ官能評価した。結果は、本実施の形態は平均の臭気強度が1.8であったのに対して、対照実験は3.0であり、大幅な臭気の低減効果が確認された。
【0033】
臭気強度2がにおいの認知閾値であることを考慮に入れると、臭気強度1.8はにおいとしては検知できても何のにおいかわからないレベルで、高いレベルで臭気の低減ができていることがわかる。
【0034】
図10は、吸気口2の内周部に軟質のゴム等からなるタイトパッキン80を設けており、接続パイプ51の外周、吸気口2の内周面、集塵ボックス3の吸い込み口との気密性を確保している。
【0035】
以上から、本実施の形態のように、吸引した塵埃に直接脱臭材を投入することで、強力に塵埃の臭気を除去し、使用時だけでなく、静置時にも脱臭するため集塵部内での臭気の滞留が低減し、特に臭気レベルの高い掃除機使用初期時にも排気臭気の低減を図ることができる。また、脱臭材の磨耗を利用した投入とすることにより、簡単な構成でコンパクトなものとすることができる。
【0036】
なお、本実施の形態では脱臭材として活性炭を使用したが、活性炭以外にも、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどでも、掃除塵埃のような複合臭気を低減させ、同様の効果があるものである。
【0037】
吸気口2の略中心より下側面部に脱臭材投入口36を設けることにより、接続パイプ51の外周面に直接降りかかることがないので、接続パイプ51を吸気口2から取り外す場合に、接続パイプに脱臭材が付着して本体外にこぼして、床面等を汚すことの心配がなくなるものである。
【0038】
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態を示す。
【0039】
図11は、タイトパッキン80の内周側に、障壁部80aを形成しており、障壁部内径85は接続パイプ51の内径と同等で、かつ、接続パイプ51の内径よりも大きく設定している。前記のように接続パイプ51の内径より大きく設定することで、電気掃除機の吸い込み性能の低下を生じることはない。
【0040】
これによれば、図12に示すように、本体1を床に立てた状態で、集塵ボックス内のごみを捨てるために集塵ボックスを本体1から取り出した場合に、本体1の集塵ボックス収納部内に、吸気口内に残留している脱臭材がこぼれて、汚すことを防ぐことが、さらには、こぼれた脱臭材を電動送風機内に吸引して、電動送風機の寿命を短くすることを防止することができるものである。
【0041】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態を示す。
【0042】
図13(a)に示すように、ゴム等からなる軟質のタイトパッキン80の脱臭材投入口に軸部36bで蓋36aが形成されている。図13(b)に示すように、接続パイプ51を吸気口2に差し込むと、図14に示す蓋36aの凸部36cに当接し、軸部36bで回動して、脱臭材投入口を開放することができる。
【0043】
これによれば、接続パイプ51を吸気口2から取り外した状態で、本体1を持ち運ぶ際に、脱臭材投入口36の貯留部分から本体外に脱臭材がこぼれ落ち、屋内や衣服に付着し汚すことを防止することができるものである。
【0044】
(実施の形態4)
次に、本発明の第4の実施の形態を示す。
【0045】
図15(a)に示すように、タイトパッキン80の内周下部側に、付け根を薄くして可倒性もたせた可倒障壁部80bの先端を、接続パイプの内径より小さくなる位置まで形成している。電動送風機を運転すると、図15(b)に示すように、吸気によって可倒障壁部は吸気風によって集塵ボックス3側へ倒れて、ごみが引っかかることをなくし、また電気掃除機の通気抵抗の影響による吸い込み性能の低下を生じることはない。
【0046】
これによれば、図12に示すように、本体1を床に立てた状態で、集塵ボックス内のごみを捨てるために集塵ボックスを本体1から取り出した場合に、本体1の集塵ボックス収納部内に、吸気口内に残留している脱臭材がこぼれて、汚すことを防ぐことができ、さらには、こぼれた脱臭材を電動送風機内に吸引して、電動送風機の寿命を短くすることを防止することもできるものである。また、タイトパッキンをゴム等で成形によって製造する場合に可倒障壁部が成形金型に対してアンダーカットとなるが、可倒する柔軟性があるため、離型が容易となり、生産性向上に効果を発揮することも可能となる。
【0047】
(実施の形態5)
次に、本発明の第5の実施の形態を示す。
【0048】
図16に示すように、投入通路33の一部に、脱臭材投入口36の脱臭材が貯留する部位にむけた内径が1mm以下の吸気導入通路33aを設けている。
【0049】
これによれば、吸気導入通路33aから流入した吸気34aが、粒状化して貯留している脱臭材31aに吹き付けられて、吹き飛ばし、脱臭材投入口36から、吸気口2内へ確実に導入することができる。そして、脱臭材投入口36近傍等に残留した脱臭材が本体1の外へこぼれて、屋内や衣服を汚す要因を排除できる。また、吹き飛ばし効果によって脱臭材を集塵ボックス内へと舞い込ませ、ごみに満遍なく混ぜて、脱臭効果もより効果的に発揮することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、簡便な手段により塵埃の臭気を除去し、大幅に排気の臭気を低減する電気掃除機とすることができるため、家庭用のほか、業務用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機全体の構成図
【図2】同電気掃除機本体の構成を示す縦断面図
【図3】(a)同集塵ボックスの側面構成模式図(b)同集塵ボックスの正面構成模式図
【図4】同脱臭材収納室内の脱臭材の動きを示す図
【図5】同脱臭材収納室内周辺の構成断面図
【図6】本発明の実施の形態1における別の構成を示す本体の部分断面図
【図7】同コードリール機構を示す断面図
【図8】同脱臭材収納室の分解構成図
【図9】同脱臭材収納室の横断面図
【図10】本発明の実施の形態1における別の構成を示す脱臭材収納室周辺の構成断面図
【図11】本発明の実施の形態2における脱臭材収納室周辺の構成断面図
【図12】同電気掃除機本体の収納状態を示す外観図
【図13】(a)本発明の実施の形態3における脱臭材収納室周辺の構成断面図(b)同脱臭材収納室周辺の接続パイプ装着時の構成断面図
【図14】同脱臭材収納室の横断面図
【図15】(a)本発明の実施の形態4における脱臭材収納室周辺の構成断面図(b)同脱臭材収納室周辺の接続パイプ装着および電動送風機運転時の構成断面図
【図16】本発明の実施の形態5における同脱臭材収納室の横断面図
【符号の説明】
【0052】
1 本体
3 集塵ボックス
26 脱臭材収納室
31 脱臭材
32 粗面網
36 脱臭材投入口
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱臭材料を用いて吸引した塵埃の臭気を除去し、排気の臭気を低減する電気掃除機用アタッチメントと、前記電気掃除機用アタッチメントを接続した電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から電気掃除機の排気脱臭に関しては、排気経路に脱臭フィルタを搭載する構成のものが提案されており、近年では光触媒の酸化作用により脱臭する思想のものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3238055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の排気経路に脱臭フィルタを搭載する方法では、電気掃除機の吸引量が大きいため、脱臭フィルタと臭気を含む排気空気との接触時間が短くなり、脱臭効率が小さく臭気の低減も小さいという課題を有するものであった。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するものであり、粉体状の脱臭材を直接集塵部内に投入し、集塵部内の塵埃に満遍なく混合することによって、塵埃の臭気を除去し、排気の臭気を大幅に低減する電気掃除機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来の課題を解決するために、本発明は、電気掃除機本体の集塵部より吸気上流部に脱臭材収納部を備え、脱臭材収納部から電気掃除機本体の集塵部内に連通する吸気通路内へ粉体状の脱臭材を投下し、吸引される吸気風によって電気掃除機本体集塵部へ脱臭材を投入される電気掃除機としたものである。
【0006】
吸引した塵埃に直接、粉体上の脱臭材を投入して塵埃と満遍なく混合することで、強力に塵埃の臭気を除去し、使用時だけでなく静置時にも脱臭するため、集塵部内での臭気の滞留が低減され、次回の掃除機使用時、特に臭気レベルの高い掃除作業の初期時にも、排気臭気の低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、簡便な手段により塵埃の臭気を除去することにより、排気の臭気を大幅に低減する電気掃除機とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、塵埃を収集する集塵部と電動送風機を備えた電気掃除機において、前記集塵部より通気上流部に、脱臭材投入部と、前記脱臭材投入部に連通する脱臭材収納部を設け、前記脱臭材収納部に脱臭材が収納され、脱臭材収納部から脱臭材投入部を経て、集塵部に投入される電気掃除機としたものである。この構成により収納部に収納された脱臭材は、重力または掃除機の電動送風機の運転によって生じる吸気流の乱れによって脱臭材投入部へ移動させられ、さらに集塵部に舞い込まれて投入されることになる。このように吸引した塵埃に直接脱臭材が投入されることで、強力に塵埃の臭気を除去し、使用時だけでなく静置時にも脱臭するため、集塵部内での臭気の滞留が低減され、次回の掃除機使用時、特に臭気レベルの高い使用の初期時にも排気臭気の低減を図ることができる。
【0009】
第2の発明は、塵埃を収集する集塵部と電動送風機を備えた電気掃除機において、前記集塵部より通気上流部に、脱臭材投入部と、前記脱臭材投入部に連通する脱臭材収納部を設け、前記脱臭材収納部に脱臭材が収納され、脱臭材収納部から脱臭材を溜める溜り部を有する脱臭材投入部を経て、集塵部に投入される電気掃除機としたもので、前記脱臭材投入部の溜まり部に溜まった脱臭材を吸気の乱流によって集塵部内へと舞い込ませやすくすることができ効率よく粒状にして連通路内へ投入し、塵埃の臭気を低減することができるものとなる。
【0010】
第3の発明は、脱臭材収納部は、電気掃除機本体の集塵部の上流部に位置すると共に、ホースの掃除機本体側接続部を挿入接続する吸気口の近傍に設けられ、脱臭材投入部は、前記吸気口の内周側面に設けられたことを特徴とするもので、吸気口から集塵部へ流入する吸気流の乱れによって脱臭材投入部の近傍では圧力変化が生じ、脱臭材を集塵部内へ引き込ませようとする力で脱臭材舞い込み、ごみと混合しやすくし、塵埃の臭気低減効果を向上させるものである。
第4の発明は、電気掃除機本体の脱臭材投入部は、吸い込み具あるいは吸い込み具を接続するためのホースの電気掃除機本体側接続部を、電気掃除機本体の吸気口に挿着接続する際に開き、抜き外す際に閉じる蓋体を設けたもので、前記吸い込み具あるいは吸い込み具を接続するためのホースの電気掃除機本体側接続部を抜き外した状態で脱臭材投入部に溜まっている脱臭材を本体外部にこぼれ落とすことを防止し、使用性を良好にすることができるものである。
【0011】
第5の発明は、移動用車輪またはキャスターを有する電気掃除機本体において、前記電気掃除機本体の吸気口を上方に向けて据置き収納する際に、脱臭材投入部に残溜した脱臭材がこぼれでないように吸気口部に障壁を設けたもので、前記のように本体を収納状態で集塵部の塵埃を取り除く操作をする際等に、障壁によって集塵部外に脱臭材がこぼれ出ることを防止するとともに、こぼれた脱臭材が電動送風機へ吸引されて、電動送風機の故障発生を防止することができるものである。
【0012】
第6の発明は、吸い込み具またはホースを電気掃除機本体の吸気口に接続した状態で、脱臭材投入部に残溜した脱臭材のこぼれ落ちを防止する障壁部を、前記吸い込み具またはホースの本体側接続部の先端より集塵部側の位置に、吸気流路に微小に突出して設け、吸気路を流れる吸気流によって集塵部側へ押し圧を受けて開放するように設けたもので、本体の吸気口を上方に向けて据置き収納した状態で、集塵部の塵埃を取り除く操作をする際等に、障壁によって集塵部外に脱臭材がこぼれ出ることを防止するとともに、こぼれた脱臭材が電動送風機へ吸引されて、電動送風機の故障発生を防止することができるものであり、さらに電動送風機を運転して掃除使用している間は、前記障壁部が吸気流によって押し倒されるため、吸い込み性能を発揮するための吸気抵抗ロスをなくすことができるものである。
【0013】
第7の発明は、電気掃除機本体に、脱臭材収納部から連通する脱臭材投入部と、集塵部の上流に位置する吸気口と、外気を脱臭材投入部の脱臭材の溜り部に向けて導入する微小径の外気導入通路を設けたものであり、溜り部に堆積している脱臭材を前記外気導入通路からの吸気流で舞い上げて分散させ、脱臭材を満遍なく分散させて集塵部内へ吸引させて、塵埃の臭気を低減させることができるものである。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1を示す。
【0016】
図1および図2は、第1の実施の形態における電気掃除機の構成図を示すものである。図1は本体1に接続パイプ51によりホース50が接続され、床用吸い込み具70とホース50の手持ち部となり、かつ、本体1の電動送風機の運転停止などを制御するスイッチ等を備えた先端パイプ52との間を延長管60で着脱自在に接続している。図2は、電気掃除機本体の構成する図であり、本体1の内部には集塵ボックス3および電動送風機4が配置され、また、上流側には集塵ボックス3に集塵されるよう吸引口2を設けており、ここに接続ホースが取り付けられる。また、車輪5により掃除機本体は移動することができる。
【0017】
本体1の吸気口2の近傍には脱臭材31を収納する脱臭材収納室26があり、脱臭材31は、脱臭材収納室26の底面側を構成するラス等からなる粗面網32上を、本体1を移動させたときの慣性によって自由に移動できるようにしている。脱臭材収納室26は、吸気口2に投入通路33で通じた構成としている。
【0018】
集塵ボックス3は、ここでは旋回流により塵埃を分離する遠心分離型のサイクロン掃除機を用いており、その構成を図3により簡単に説明する。
【0019】
図3は、図2に示す電気掃除機の集塵ボックス3の構成模式図であり、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【0020】
図3(a)、(b)において、第1のフィルタ22の下流から電動送風機4により吸引されるが、吸気された塵埃を含む空気は、まず、集塵ボックス3の通気口21から吸引され、塵埃を含む空気は障壁23に沿って流れ、ここで空気は第1のフィルタ22を介して電動送風機4に吸引されるが、塵埃は遠心力によりさらに旋回し最終的に第2のフィルタ24により塵埃が濾しとられ、ほとんどの塵埃は集塵部25に滞留する。図中に示した実線矢印は塵埃の流れを示し、破線矢印は気流の流れを示している。このように、ここでは旋回流により塵埃を分離する遠心分離型のサイクロン掃除機を用いている。
【0021】
脱臭材31は平均粒径20マイクロメートルの粉末状活性炭をコロイダルシリカをバインダーとして、図4に示すように略直方形状に固めたものであり、脱臭材収納室26の中で、粗面網32上を矢印に示すように自由にすべり移動できるものである。この時、脱臭材31が粗面網32上をすべることによる摩耗で粒状化することができるものである。また、脱臭材31の形状は、多角形状による構成も可能である。また、脱臭材収納部26内の少なくとも一側面部に突起形状等を形成すると、前記突起形状形成面に脱臭材31が衝突する際に破壊されて粒状化することができる。しかしこの場合、脱臭材31と脱臭材収納室26の隙間の大きさによっては脱臭材31の移動慣性がつきすぎて、大きく破壊する可能性があるので、脱臭材31と脱臭材収納室26の隙間寸法を適切に確保することが条件となるものである。
【0022】
以上は、脱臭材31が固形化した場合の構成であるが、脱臭材を粉体のまま脱臭材収納室26内に封入しておき、本体1の移動による振動によって投入通路33へ落下させる構成とすることも可能である。この場合、粗面網32の形状を密にして、脱臭材31が固形の場合より落下しにくいように構成することが条件となる。
【0023】
また、図5は脱臭材収納室26および吸気口2周囲の構成要部のみを示す図である。固形の脱臭材31が粗面網32上をすべることによる摩耗で粒状化されると、粗面網32の網目を通って、吸気口2に通じる投入通路33側に落下し、吸気口2に設けた脱臭材投入口36から吸気口2に投入されて集塵ボックス3内へと吸入されることになる。
【0024】
次に、また別の脱臭材を投入する構成について説明する。図6は電気掃除機の本体1の集塵ボックスを取り外し、部分断面にして内部構造を露出させた斜視図であり、給電するための電源コードを収納する時に本体1内にバネの復元力を利用して巻き取るコードリール104を有している。図7がコードリール104の断面構造図で、103は電動送風機4を収納した電動送風機室101とコードリール側を仕切る隔壁であり、隔壁103に軸104dでコードリール104が回転自在に軸支されている。コードリール104は、電源コード120を巻き付けるドラム部104bと、電源コード120を巻き付ける方向に付勢するバネ材104cから構成されている。図6において、電源コードの引き出し操作による脱臭材収納部26の脱臭材を粒状化するための動作伝達構成を示すもので、コードリール104の一方のフランジ部104aの外周面にギヤが円環状に形成され、ギヤーA106、ギヤーB107を介してワイヤー109の端部を摺動回転自在に保持したフランジ108を回転するようにしている。
【0025】
次に、図8は脱臭材収納室26の構成を示す図であり、脱臭材31は収納箱26aに収納され、収納箱26a上方には脱臭材31を付勢するための弁26eがねじりバネ26fで付勢されて蓋体26cに回動自在に軸が保持されている。また蓋体26cは収納箱26aに開閉自在に軸固定されている。収納箱26a下方には脱臭材31を粒状化するための粗面網32を保持固定した摺動板32aと受台26d、押え枠26bおよび粗面網32を往復動作させるためのバネ109dで付勢されたワイヤー109の端部が固定されて設けられている。ワイヤー109はアウター109aの内面にインナーワイヤー109bが摺動自在に配設されている。また、インナーワイヤー109bの先端には摺動板32aにはめ込み固定する凸部109eが設けられている。受台26dの下方には脱臭材投入口36と連通する投入通路33が設けられている。
【0026】
上記構成による作用は以下の通りである。
【0027】
電源コード102の引き出し動作に応じてコードリール104のフランジ部104aが回転すると、その回転力が、ギヤーA106、ギヤーB107を介してフランジ108を回転させる。ここでフランジ108のインナーワイヤー109bを摺動回転自在に保持している軸部は、フランジ108の中心から偏心させているので、フランジ108が回転すると、インナーワイヤー109bが引っ張られたり、緩められたりする。これにより、図9に示すインナーワイヤー109bが引っ張られると、摺動板32aにインナーワイヤー109bの端部に設けた凸部109eがはめ込み固定されているため、摺動板32aが移動させられる。さらに、インナーワイヤー109bが緩められると、バネ109dで摺動板32aが押し戻される。この連続動作によって、脱臭材31が粗面網32によって摩耗されて粒状化することができる。粒状化された脱臭材31aは吸気口2の略中心より下側面部に設けた脱臭材投入口36に落下し、接続パイプ51の外周面に降りかかることなく貯留される。そこで、電動送風機を運転し、吸気口に吸気流が生じると、ホースの螺旋形状や、接続パイプと吸気口の接続部分の凹凸形状によって乱気流が発生し、脱臭材投入口36の貯留している脱臭材31aが吸気口内へ引き込まれ、集塵ボックス内へと吸引される。
【0028】
以上の構成の電気掃除機を用いて、本発明の効果を調べる。
【0029】
上記の掃除機を用いて実部屋の掃除を15分間行った。対照実験として脱臭材なしでも実部屋の掃除を15分間行なった。排気臭気に気をつけながら、この掃除実験を10日間続けた。結果は対照実験のものは5日目くらいから排気の臭気が気になったが、本実施例のものは10日目の終了時までほとんど気にならなかった。
【0030】
掃除機に吸引された塵埃量を比べてみたところ、10日間の掃除で、本実施の形態も対照実験も、どちらもほぼ30g吸引していた。また本実施の形態の掃除機に設置した脱臭材31は1.2g減量していた。よって、1日あたり平均3gの塵埃を吸引し、0.12gの脱臭材が投入されたことになる。
【0031】
このとき、吸引により収集された塵埃を観察したところ、脱臭材31が粉体として塵埃にまとわりつき、また塵埃と混合されていることが確認された。これは、掃除機本体を移動、吸引させる毎に、球形状の脱臭材31が設置部26の内部を転がりまた振動し、金網で作製された底部と接触することで磨耗し、脱臭材が粉体として投入され、吸引した塵埃と接触、混合されているものである。
【0032】
次に、塵埃を30g吸引したこの状態で1日静置した後、1m3の密閉チャンバ内に掃除機をセットし30秒間運転させた。チャンバ内に排気された臭気をパネル6名で実際ににおいをかぎ官能評価した。結果は、本実施の形態は平均の臭気強度が1.8であったのに対して、対照実験は3.0であり、大幅な臭気の低減効果が確認された。
【0033】
臭気強度2がにおいの認知閾値であることを考慮に入れると、臭気強度1.8はにおいとしては検知できても何のにおいかわからないレベルで、高いレベルで臭気の低減ができていることがわかる。
【0034】
図10は、吸気口2の内周部に軟質のゴム等からなるタイトパッキン80を設けており、接続パイプ51の外周、吸気口2の内周面、集塵ボックス3の吸い込み口との気密性を確保している。
【0035】
以上から、本実施の形態のように、吸引した塵埃に直接脱臭材を投入することで、強力に塵埃の臭気を除去し、使用時だけでなく、静置時にも脱臭するため集塵部内での臭気の滞留が低減し、特に臭気レベルの高い掃除機使用初期時にも排気臭気の低減を図ることができる。また、脱臭材の磨耗を利用した投入とすることにより、簡単な構成でコンパクトなものとすることができる。
【0036】
なお、本実施の形態では脱臭材として活性炭を使用したが、活性炭以外にも、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどでも、掃除塵埃のような複合臭気を低減させ、同様の効果があるものである。
【0037】
吸気口2の略中心より下側面部に脱臭材投入口36を設けることにより、接続パイプ51の外周面に直接降りかかることがないので、接続パイプ51を吸気口2から取り外す場合に、接続パイプに脱臭材が付着して本体外にこぼして、床面等を汚すことの心配がなくなるものである。
【0038】
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態を示す。
【0039】
図11は、タイトパッキン80の内周側に、障壁部80aを形成しており、障壁部内径85は接続パイプ51の内径と同等で、かつ、接続パイプ51の内径よりも大きく設定している。前記のように接続パイプ51の内径より大きく設定することで、電気掃除機の吸い込み性能の低下を生じることはない。
【0040】
これによれば、図12に示すように、本体1を床に立てた状態で、集塵ボックス内のごみを捨てるために集塵ボックスを本体1から取り出した場合に、本体1の集塵ボックス収納部内に、吸気口内に残留している脱臭材がこぼれて、汚すことを防ぐことが、さらには、こぼれた脱臭材を電動送風機内に吸引して、電動送風機の寿命を短くすることを防止することができるものである。
【0041】
(実施の形態3)
次に、本発明の第3の実施の形態を示す。
【0042】
図13(a)に示すように、ゴム等からなる軟質のタイトパッキン80の脱臭材投入口に軸部36bで蓋36aが形成されている。図13(b)に示すように、接続パイプ51を吸気口2に差し込むと、図14に示す蓋36aの凸部36cに当接し、軸部36bで回動して、脱臭材投入口を開放することができる。
【0043】
これによれば、接続パイプ51を吸気口2から取り外した状態で、本体1を持ち運ぶ際に、脱臭材投入口36の貯留部分から本体外に脱臭材がこぼれ落ち、屋内や衣服に付着し汚すことを防止することができるものである。
【0044】
(実施の形態4)
次に、本発明の第4の実施の形態を示す。
【0045】
図15(a)に示すように、タイトパッキン80の内周下部側に、付け根を薄くして可倒性もたせた可倒障壁部80bの先端を、接続パイプの内径より小さくなる位置まで形成している。電動送風機を運転すると、図15(b)に示すように、吸気によって可倒障壁部は吸気風によって集塵ボックス3側へ倒れて、ごみが引っかかることをなくし、また電気掃除機の通気抵抗の影響による吸い込み性能の低下を生じることはない。
【0046】
これによれば、図12に示すように、本体1を床に立てた状態で、集塵ボックス内のごみを捨てるために集塵ボックスを本体1から取り出した場合に、本体1の集塵ボックス収納部内に、吸気口内に残留している脱臭材がこぼれて、汚すことを防ぐことができ、さらには、こぼれた脱臭材を電動送風機内に吸引して、電動送風機の寿命を短くすることを防止することもできるものである。また、タイトパッキンをゴム等で成形によって製造する場合に可倒障壁部が成形金型に対してアンダーカットとなるが、可倒する柔軟性があるため、離型が容易となり、生産性向上に効果を発揮することも可能となる。
【0047】
(実施の形態5)
次に、本発明の第5の実施の形態を示す。
【0048】
図16に示すように、投入通路33の一部に、脱臭材投入口36の脱臭材が貯留する部位にむけた内径が1mm以下の吸気導入通路33aを設けている。
【0049】
これによれば、吸気導入通路33aから流入した吸気34aが、粒状化して貯留している脱臭材31aに吹き付けられて、吹き飛ばし、脱臭材投入口36から、吸気口2内へ確実に導入することができる。そして、脱臭材投入口36近傍等に残留した脱臭材が本体1の外へこぼれて、屋内や衣服を汚す要因を排除できる。また、吹き飛ばし効果によって脱臭材を集塵ボックス内へと舞い込ませ、ごみに満遍なく混ぜて、脱臭効果もより効果的に発揮することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、簡便な手段により塵埃の臭気を除去し、大幅に排気の臭気を低減する電気掃除機とすることができるため、家庭用のほか、業務用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機全体の構成図
【図2】同電気掃除機本体の構成を示す縦断面図
【図3】(a)同集塵ボックスの側面構成模式図(b)同集塵ボックスの正面構成模式図
【図4】同脱臭材収納室内の脱臭材の動きを示す図
【図5】同脱臭材収納室内周辺の構成断面図
【図6】本発明の実施の形態1における別の構成を示す本体の部分断面図
【図7】同コードリール機構を示す断面図
【図8】同脱臭材収納室の分解構成図
【図9】同脱臭材収納室の横断面図
【図10】本発明の実施の形態1における別の構成を示す脱臭材収納室周辺の構成断面図
【図11】本発明の実施の形態2における脱臭材収納室周辺の構成断面図
【図12】同電気掃除機本体の収納状態を示す外観図
【図13】(a)本発明の実施の形態3における脱臭材収納室周辺の構成断面図(b)同脱臭材収納室周辺の接続パイプ装着時の構成断面図
【図14】同脱臭材収納室の横断面図
【図15】(a)本発明の実施の形態4における脱臭材収納室周辺の構成断面図(b)同脱臭材収納室周辺の接続パイプ装着および電動送風機運転時の構成断面図
【図16】本発明の実施の形態5における同脱臭材収納室の横断面図
【符号の説明】
【0052】
1 本体
3 集塵ボックス
26 脱臭材収納室
31 脱臭材
32 粗面網
36 脱臭材投入口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を収集する集塵部と電動送風機を備えた電気掃除機において、前記電気掃除機本体の集塵部に通じる吸気通路に連通する脱臭材収納部と、吸気通路への脱臭材投入部を設け、前記脱臭材収納部から前記脱臭材投入部に移送した脱臭材を、前記吸気通路を流れる吸気流によって吸気流路内に流入させることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
脱臭材収納部から脱臭材投入部に移送した脱臭材を溜める、溜り部を設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
脱臭材収納部は、電気掃除機本体の集塵部の上流部に位置すると共に、ホースの掃除機本体側接続部を挿入接続する吸気口の近傍に設けられ、脱臭材投入部は、前記吸気口の内周側面に設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
電気掃除機本体の脱臭材投入部は、吸い込み具あるいは吸い込み具を接続するためのホースの電気掃除機本体側接続部を、電気掃除機本体の吸気口に挿着接続する際に開き、抜き外す際に閉じる蓋体を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
移動用車輪またはキャスターを有する電気掃除機本体において、前記電気掃除機本体の吸気口を上方に向けて据置き収納する際に、脱臭材投入部に残溜した脱臭材がこぼれでないように吸気口部に障壁を設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
吸い込み具またはホースを電気掃除機本体の吸気口に接続した状態で、脱臭材投入部に残溜した脱臭材のこぼれ落ちを防止する障壁部を、前記吸い込み具またはホースの本体側接続部の先端より集塵部側の位置に、吸気流路に微小に突出して設け、吸気路を流れる吸気流によって集塵部側へ押し圧を受けて開放するように設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
電気掃除機本体に、脱臭材収納部から連通する脱臭材投入部と、集塵部の上流に位置する吸気口と、外気を脱臭材投入部の脱臭材の溜り部に向けて導入する微小径の外気導入通路を設けた請求項2〜6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項1】
塵埃を収集する集塵部と電動送風機を備えた電気掃除機において、前記電気掃除機本体の集塵部に通じる吸気通路に連通する脱臭材収納部と、吸気通路への脱臭材投入部を設け、前記脱臭材収納部から前記脱臭材投入部に移送した脱臭材を、前記吸気通路を流れる吸気流によって吸気流路内に流入させることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
脱臭材収納部から脱臭材投入部に移送した脱臭材を溜める、溜り部を設けたことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
脱臭材収納部は、電気掃除機本体の集塵部の上流部に位置すると共に、ホースの掃除機本体側接続部を挿入接続する吸気口の近傍に設けられ、脱臭材投入部は、前記吸気口の内周側面に設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
電気掃除機本体の脱臭材投入部は、吸い込み具あるいは吸い込み具を接続するためのホースの電気掃除機本体側接続部を、電気掃除機本体の吸気口に挿着接続する際に開き、抜き外す際に閉じる蓋体を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
移動用車輪またはキャスターを有する電気掃除機本体において、前記電気掃除機本体の吸気口を上方に向けて据置き収納する際に、脱臭材投入部に残溜した脱臭材がこぼれでないように吸気口部に障壁を設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
吸い込み具またはホースを電気掃除機本体の吸気口に接続した状態で、脱臭材投入部に残溜した脱臭材のこぼれ落ちを防止する障壁部を、前記吸い込み具またはホースの本体側接続部の先端より集塵部側の位置に、吸気流路に微小に突出して設け、吸気路を流れる吸気流によって集塵部側へ押し圧を受けて開放するように設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
電気掃除機本体に、脱臭材収納部から連通する脱臭材投入部と、集塵部の上流に位置する吸気口と、外気を脱臭材投入部の脱臭材の溜り部に向けて導入する微小径の外気導入通路を設けた請求項2〜6のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−280841(P2006−280841A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108371(P2005−108371)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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