説明

電気掃除機

【課題】持ち運んだ後にすぐに清掃開始できる電気掃除機の提供。
【解決手段】掃除機本体2を把持する把手部7を、掃除機本体2の筐体表面に沿って回動可能に装着すると共に、初期位置から所定の回動角度に移動したときに静止可能に取り付け、筐体2Aの配設凹部8と把手部7の間に、当該静止位置において掃除機本体2の吸込風量を決定する接点9B〜9Fを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家庭等で用いられる電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掃除機本体にハンドルが可動式に取り付けられている電気掃除機としては、特許文献1に掲載された電気掃除機が知られている。特許文献1に掲げる電気掃除機の場合、掃除機本体の筐体上部にハンドルが回動可能に設けられ、ハンドルの外周側縁部に凹部が複数個形成されるとともに、筐体本体側にハンドルの外周側縁部の凹部に進入してハンドルの回動角度を固定する突起が設けられている。空気を吸込む風量を制御するためのパワーコントロールスイッチ等は、掃除機本体に接続される延長ホースの手元操作部に設けられており、掃除の開始や掃除中に吸込風量を調整できるようになっている。
【特許文献1】特開平2−31724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の電気掃除機では、ハンドルが可動式に取り付けられているものの、吸込風量を選択するコントロールスイッチは、掃除機本体から延びるホースの先の手元操作部に通常設けられており、ハンドルの姿勢変化で吸込風量を制御するものではなかった。
【0004】
また、掃除機本体側にパワーコントロールスイッチが設置される電気掃除機もある。この方式であると、パワーコントロールスイッチが小さく、操作し難く、表示が見難いという不具合がある。
【0005】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、電気掃除機の清掃を極力容易なものとし、コントロールスイッチの操作をし易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる電気掃除機は、掃除機本体の筐体に、前記掃除機本体を把持する把手部を所定の移動量において静止可能に取り付けると共に、前記掃除機本体に、前記把手部の移動量によって前記掃除機本体の動作を決定する制御手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる電気掃除機によれば、掃除機本体を支える把手部が、掃除機本体の筐体表面に沿って移動可能とされ、また、所定の移動量に応じて掃除機本体の動作を変更可能とするので、掃除機本体を持ち運んで移動させた後に、手を把手部から離さないまま、掃除機本体を清掃開始状態とすることができるので、素早く掃除を開始でき、持ち替え等の煩わしさを解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態にかかる電気掃除機を図面を用いて説明する。図8は実施の形態にかかる電気掃除機の斜視図を示す。図8において、符号1は電気掃除機、2は集塵袋及び集塵モーターMを内蔵した掃除機本体、3は自在に曲がるホース、4は伸縮調整可能な延長管、5は延長管4の先端部に着脱可能な吸込口、6は掃除機本体2の両側部に設けられた車輪、7は円盤形状を有する把手部、Pはコンセントに接続するプラグ、Bは電源コードを巻き込むためのプッシュボタンである。図9に示すように、筐体2Aの把手部7の周りには吸込風量を示すマーク(OFF、微弱、弱、中、強、最強)が表示されている。
【0009】
掃除機本体2の筐体2Aの上部には、図1に示すように、把手部7を配設する底の浅い円筒形の配設凹部8が形成されている。配設凹部8の底部には把手部7の取付軸9を挿入する穴10が形成されている。
【0010】
把手部7は、配設凹部8の縁を覆うように円形に形成された円盤部11と、棒状に延びる握り部分12とを有している。握り部分12と円盤部11の間には掃除機本体2を持ち運ぶときに指を挿入するために、円盤部11との間に指の挿入部が形成されている。把手部7の円盤部11には下方に延びる取付軸9が突出している(図10参照)。取付軸9は配設凹部8の穴10に回転可能に挿入されている。取付軸9の上端部には鍔部9Aが形成されており、鍔部9Aは把手部7の円盤部11内において空回りしないように固定されている。
【0011】
取付軸9には、ワッシャ13、ナット14、端子板15、ナット16が取り付けられている。ワッシャ13は配設凹部8の底部8Aに摺接回転自在に接している。取付軸9の下部にはネジ山が形成されており、ワッシャ13の下にはナット14が螺着されている。ナット14は底部8Aの間のワッシャ13を挟み込んでいる。ナット14とその下のナット16との間に端子板15が挟まれて配設され、ナット16が端子板15を空回りしないように固定している。取付軸9の外周面軸方向に細い溝を形成し、端子板15に前記細い溝に挿入される突起を形成して、取付軸9と端子板15に回り止め機構を設けても良い。
【0012】
端子板15の突出部15Aの下面には、金属板からなる接触子17がネジ17C或いは噛みつぶしによって取り付けられており、接触子17は可動接点17A、17Bを備えている。可動接点17A、17Bは後述する固定接点19A〜19F或いは共通接点20と接触して導通可能とされている。
【0013】
また、図3の矢印Aに示すように、端子板15の接触子17は配設凹部8の下方に形成されたスイッチ配設板部18の上を円形軌道に沿って往復方向にスライド可能とされている。スイッチ配設板部18は筐体2Aの下面に突設されるリブ2Bの下端部に取り付けられている。スイッチ配設板部18の上面には、金属板からなる固定接点19A〜19F及び共通接点20が取り付けられている。共通接点20には可動接点17Aが接触し、固定接点19A〜19Fには可動接点17Bが接触できるようになっている。
【0014】
可動接点19A〜19F及び共通接点20は、把手部7の操作によって集塵モーターMの回転数を決めるためのスイッチを構成し、制御回路25に接続されている。制御回路25は、商用電源及び集塵モーターMと接続されており、接触子17が固定接点19A〜19Fの何れか及び共通接点20に接触すると、それに応じて商用電源から集塵モーターMへの供給電力を変える。
【0015】
制御回路25は、一例としてマイクロコンピュータと複数個のリレー及び抵抗器を備える。固定接点19A〜19Fと共通接点20を流れる信号電流はマイクロコンピュータの入出力端子から入力され、マイクロコンピュータはこの入力端子から入った信号電流に応じて所定のリレーをオンさせる。リレーは吸込風量の段階数に応じて複数個設けられており、商用電源と集塵モーターMとを断続する。各リレーと集塵モーターMとの間の回路にはそれぞれ抵抗器が設けられており、固定接点19A〜19Fの供給する吸込風量に応じて抵抗値が設定されている。
【0016】
なお、固定接点19Aと共通接点20が導通しているときは、把手部7からの集塵モーターMの制御を停止するように構成されている。
【0017】
また、固定接点19Bは集塵モーターMへの電力供給を最小のものとし、例えばカーテンや布地等に付着した埃を吸い込むために吸込風量を微弱なものとする。固定接点19Cは集塵モーターMへの電力供給を小レベルのものとし、例えば取れやすい埃を軽く吸い込むために吸込風量を弱とする。固定接点19Dは集塵モーターMへの電力供給を中レベルとし、例えば音を小さくして清掃を行う場合などのように、埃を吸い込むために吸込風量を中レベルとする。固定接点19Eは集塵モーターMへの電力供給を大レベルとし、例えば取れ難い埃を吸い込むために吸込風量を大とする。固定接点19Fは集塵モーターMへの電力供給を最大レベルとし、例えば取れ難い埃を急速に吸い込むために吸込風量を最大とする。SL1〜SL6は信号線である。
【0018】
なお、端子板15の上面側に接触子17を設け、スイッチ配設板部18を配設凹部8の底部8A側に設けて、固定接点19A〜19Fを端子板15に臨ませて設置しても良い。
【0019】
図5は配設凹部8の形状を示す。配設凹部8の円筒型の内周壁面には、把手部7のOFF位置からの角度を維持するための位置決め穴20A乃至位置決め穴20Fが形成されている。また、図2は把手部7の外周部断面構成を示す。図2に示すように、把手部7の円盤部11の側面部には、把手部7のOFF位置からの角度を維持するための位置決め突起21が設けられている。把手部7の円盤部11の側面部には、位置決め突起21の配設穴22が形成されており、配設穴22内部にコイルスプリング23が配設され、コイルスプリング23の先端部に位置決め突起21が接触している。位置決め突起21の周囲にはストッパー24が形成され、ストッパー24が配設穴22の開口縁部の掛止突起22Aに接触する。これによって、把手部7が回転し、位置決め突起21が配設凹部8の位置決め穴20A〜20Fの何れかに入り込むと、把手部7のOFF位置に対する角度が固定される。
【0020】
集塵モーターMの吸込風量を変えるときに、把手部7を捻ると、位置決め突起21が入り込んでいた位置決め穴20A〜20Fから外れて他の位置決め穴20A〜20Fに入り込む。位置決め穴20A〜20Fは固定接点19A〜19Fの位置に対応して設けられており、位置決め突起21が何れかの位置決め穴20A〜20Fに入り込むと、入り込んだ位置決め穴に対応する固定接点19A〜19Fに、可動接点17Aが接触する。
【0021】
図6、図7は配設凹部8の他の例を示す。図6、図7に示す例では、把手部7が挿入される配設凹部8の内周壁面には、マイクロスイッチSw1〜Sw6が複数個設けられている。把手部7の円盤部11の外周部には、マイクロスイッチSw1〜Sw6を押圧してオンさせるための突起40と、円盤部11のスイッチSw1に対する回動角度を維持するための位置決め穴41A〜41Fとが設けられている。また、配設凹部8には位置決め穴41A〜41Fに挿入可能な突起部42が設けられている。突起部42は、前述の位置決め突起21と同様に、配設穴に対応する筒とコイルスプリングと位置決め突起とストッパーからなり、把手部7を回転させると、突起部42が位置決め穴41A〜41Fの何れかに挿入され、対応するマイクロスイッチSw1〜Sw6が導通する。各マイクロスイッチSw1〜Sw6は、前述の制御回路25と接続されている。その接続の仕方は、前述の制御回路25と同様である。
【0022】
即ち、制御回路25は、商用電源43及び集塵モーターMと接続されており、マイクロスイッチSw2〜Sw6の何れかがONになると、それに応じて商用電源から集塵モーターMに供給される電力を変える。制御回路25は一例としてマイクロコンピュータと複数個のリレー及び抵抗器を備える。マイクロスイッチSw2〜Sw6の何れかがONになると、その信号電流はマイクロコンピュータの入出力端子に入力され、マイクロコンピュータはこの入力端子から入った信号電流に応じて所定のリレーをオンさせる。リレーは吸込風量の段階数(マイクロスイッチSw2〜Sw6)に応じて設けられており、商用電源と集塵モーターMとを断続する。各リレーと集塵モーターMとの間の回路にはそれぞれ抵抗が設けられており、マイクロスイッチSw2〜Sw6の供給する吸込風量に応じて抵抗値が設定されている。マイクロスイッチSw1が導通しているときは、把手部7からの集塵モーターMの制御を停止するように構成されている。
【0023】
なお、上記の実施の形態では、把手部7の回動領域に集塵モーターMを停止させるOFFスイッチが設けられているが、集塵モーターMのON・OFFスイッチは掃除機本体2の何れかの位置に設けられていても良い。
【0024】
以上説明したように、上述の電気掃除機によれば、把手部7が掃除機本体2の筐体2Aに対して筐体2A表面から直角に延びる取付軸9を中心に回動可能とされ、取付軸9が予め定めた所定の角度で停止して集塵モーターMの吸込風量を調節できる。このため、把手部7を握って掃除機本体2を移動させた後に、手元操作部30を握り変えないまま掃除機本体2の集塵を行うことができ、素早く掃除を開始できる。
【0025】
なお、上述の実施の形態では、把手部7の動きを取付軸9を中心に回動させているが、把手部7の移動は、回動する動作や直線や曲線に沿って移動する動作でも良い。また、把手部7は、移動領域において段階的に停止して動作を変えることが望ましいが、摺動抵抗のように無段階にも動作が変化するものでも良い。
【0026】
また、上記の実施の形態では、把手部7が、掃除機本体2の集塵モーターM、図示省略の集塵袋、ホース接続口の中心を結ぶ前後中心線CL(図3、図5、図6参照)上に設けられた取付軸9を中心に回動するが、把手部7は、掃除機本体2の前後中心線CLに沿って前後方向にスライドしても良いし、前後中心線CLに対して直角方向に移動しても良い。
【0027】
また、把手部7が、握るための握り部分12を有するが、この握り部分12は前述の前後中心線CLの上にあって前後中心線CL方向に沿って延びていると、掃除機本体2の重心の上に把手部7の握り部分12があるので、持ち易くなる。握り部分12は前後中心線CLに対して直角に向くように延びていても良い。
【0028】
なお、把手部7は、人差し指、中指、薬指、小指等を挿入して複数の指で引っ掛けて持ち上げ可能な把手用凹部(図示せず)を有するタイプでも良く、この場合、把手部7の把手用凹部は、挿入される複数の指が前後中心線CLに沿って並ぶように、形成されても良いし、前後中心線CLに対して直角に並ぶように形成されていても良い。
【0029】
また、把手部7は集塵モーターMの制御のために静止する位置は、段階的に複数箇所静止するものを掲げたが、無段階的に変化するものであっても良い。制御される動作はスイッチオン、吸込風量の強弱等の動作の他に、ブラシの回転及び停止その他の制御も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電気掃除機のハンドル取付部分の断面図。
【図2】ハンドルの回動位置を決める突起部及び位置決め穴の断面図。
【図3】筐体の配設凹部に設けられる接点の配設例及び制御回路との接続を示すブロック回路図。
【図4】ハンドル側の端子板における接触子の取付を示す図。
【図5】配設凹部の位置決め穴の配置状態を示す図。
【図6】配設凹部のない周壁にマイクロスイッチを設け、ハンドル外周面に導通用の突起を設けた例を示す図。
【図7】図6のブロック回路図。
【図8】本発明の実施の形態にかかる電気掃除機の斜視図。
【図9】図8のハンドル近傍の外表面を示す図。
【図10】図8のハンドルの握り部分の開口部を示す図。
【符号の説明】
【0031】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 集塵ホース
4 延長管
5 吸込口
7 把手部
8 配設凹部
9 取付軸
10 取付軸の挿入穴
11 円盤部
12 握り部分
17 接触子
17A 可動接点
17B 可動接点
19A〜19F 固定接点
20 共通接点
25 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体の筐体に、前記掃除機本体を把持する把手部を所定の移動量において静止可能に取り付けると共に、前記掃除機本体に、前記把手部の移動量によって前記掃除機本体の動作を決定する制御手段を設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1の電気掃除機において、前記把手部の移動領域周縁部に吸込風量の強弱を示す表示部を設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
請求項1、2の何れかの電気掃除機において、前記把手部は回動により移動可能とされ、前記把手部の回動領域近傍に吸込風量の強弱を示す表示部を設けたことを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−105087(P2007−105087A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296196(P2005−296196)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】