説明

電気掃除機

【課題】清掃床面上に存在する障害物の下や奥を容易に清掃することができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【解決手段】掃除機本体21と、電動送風機22と、掃除機本体21と接続された床用吸込部23と、床用吸込部23と電動送風機22との吸気流路の途中に設けられた集塵室35と、掃除機本体21を前進移動させる回転ブラシ(走行部)25と、掃除機本体21とは別の操作ハンドル部30と、掃除機本体21と操作ハンドル部30間を接続した可撓性接続部32とを備えたものである。これによって、掃除機本体21が走行部の動作で自動的に前進し障害物の下に入り込み、さらに可撓性接続部32が障害物の縁に接触してもこれが曲がり、可撓性接続部32が障害物の下や奥へ円滑に入り込む。つまり操作ハンドル部30を床面36近くまで下げることなく使い勝手が向上し、集塵するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ハンドル部の操作により床用吸込部および掃除機本体を移動させて清掃作業を行う電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、下方に開口部を有する床用吸込部の略上方に、集塵室、電動送風機を内蔵した掃除機本体を配してあり、さらに使用者は掃除機本体の略上方に棒または筒状の接続部を突出させ、この接続部の上端に設けた操作ハンドル部を掴んで清掃作業を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−20211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、机やベッドなどの高さ方向に制限がある障害物が存在すると、その障害物の下や奥を清掃するときに掃除機本体などが接触するため、使用者は掃除機本体などを床面に近付ける必要があり、この動作を行うために使用者は屈むことになるため、清掃作業が困難であるという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、清掃床面上に存在する障害物の下や奥を容易に清掃することができる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、掃除機本体と、掃除機本体に内蔵され吸引力を発生させる電動送風機と、掃除機本体と接続された床用吸込部と、床用吸込部と電動送風機との吸気流路の途中に設けられた集塵室と、掃除機本体を前進移動させる走行部と、掃除機本体とは別に設けた操作ハンドル部と、掃除機本体と操作ハンドル部間を接続した可撓性接続部とを備えたものである。
【0006】
これによって、掃除機本体が走行部の動作で自動的に前進し障害物の下に入り込み、さらに掃除機本体と操作ハンドル部を接続する可撓性接続部が障害物の縁に接触しても可撓性接続部が曲がり、可撓性接続部が障害物の下や奥へ円滑に入り込む。つまり操作ハンドル部を床面近くまで下げることなく使い勝手が向上し、掃除機本体が障害物の下や奥へ入り込み、塵埃などを集塵するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機は、使い勝手を向上でき、かつ障害物の下や奥まで確実に清掃を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、掃除機本体と、掃除機本体に内蔵され吸引力を発生させる電動送風機と、掃除機本体と接続された床用吸込部と、床用吸込部と電動送風機との吸気流路の途中に設けられた集塵室と、掃除機本体を前進移動させる走行部と、掃除機本体とは別に設けた操作ハンドル部と、掃除機本体と操作ハンドル部間を接続した可撓性接続部とを備えた電気掃除機とすることにより、掃除機本体が走行部の動作で自動的に前進し障害物の下に入り込み、さらに掃除機本体と操作ハンドル部を接続する可撓性接続部が障害物の縁に接触しても可撓性接続部が曲がり、可撓性接続部が障害物の下や奥へ円滑に入り込む。つまり操作ハンドル部を床面近くまで下げることなく掃除機本体が障害物の下や奥へ入り込み、塵埃などを集塵するものである。この結果、使い勝手を向上でき、かつ障害物の下や奥まで確実に清掃を行うことができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、走行部は、掃除機本体の前進移動時に操作ハンドル部により掃除機本体を後方に引くことで前進力が低下または停止するように構成したことにより、操作ハンドル部を引くときの掃除機本体と床面との抵抗が減り、特に絨毯などの滑りにくい床面上に掃除機本体があるときに使用者は少ない力でスムースに掃除機本体を引き戻すことができる。これにより掃除機本体が絨毯などの床面に引っ掛かって転倒することを防ぐこともできる。
【0010】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、操作ハンドル部に設けた針路制御スイッチと、この針路制御スイッチの操作と連動して走行部による掃除機本体の走行針路を変更する針路変更部とを有することにより、使用者は任意に掃除機本体の走行針路を変更でき、かつ使用者が掃除機本体に対して外部から力を加えて針路を変更していることではないため、既に清掃済みの床面を避けて掃除機本体を移動させることができ、また障害物を避けることができることで効率よく清掃作業を行うことができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、可撓性接続部は、掃除機本体と操作ハンドル部の少なくとも一方に設けた収容部に収容可能としたことにより、清掃作業を一時中断するとき、掃除機本体を持ち運んで移動するとき、清掃終了後に収納するときに可撓性接続部が使用者や障害物に接触することなく、使い勝手を向上することができる。さらに収納スペースを小さくすることができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、可撓性接続部は、可撓性の状態から剛体、剛体から可撓性の状態へと変化可能な構成としたことにより、可撓性接続部の可撓性状態における効果に加え、可撓性接続部を剛体へと変化させることで、掃除機本体の走行が困難な床面において、使用者が直接掃除機本体に力を加えて操作できるので、掃除機本体が意図せぬ方向に進んだり、転倒したりすることを防ぎ円滑に清掃作業を行うことができる。さらに操作ハンドル部を握って掃除機本体を持ち上げることができるので、棚や壁などの床面より高い場所の清掃箇所を清掃できる。加えて使用者が操作ハンドル部から接続部を介して掃除機本体および床用吸込具を清掃面に押し付けることができるので、集塵性能を向上することができる。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、可撓性接続部は、掃除機本体と操作ハンドル部の少なくとも一方に設けた嵌合部で分離可能としたことにより、使用者や障害物に可撓性接続部が絡み付いた場合に、使用者や障害物から素早く可撓性接続部を取り除くことができ、速やかに清掃作業を続行できる。また掃除機本体と操作ハンドル部を別々に収納することができるため、2箇所の小さな収納庫に分けて収納できる。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、操作ハンドル部と掃除機本体とは、その両者を結合する結合部を有したことにより、操作ハンドル部を掃除機本体に結合させることが可能であり、操作ハンドル部と掃除機本体とを結合することで、操作ハンドル部を持ちながら掃除機本体を持ち上げて移動させることができ、さらに操作ハンドル部と掃除機本体との距離が近接することにより、手元付近の掃除を行うことができるようになる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1、図2は、本発明の実施の形態1における電気掃除機を示している。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態における電気掃除機は、掃除機本体21と、掃除機本体21に内蔵され吸引力を発生させる電動送風機22と、掃除機本体21の前方下部に一体化または別体で接続された床用吸込部23と、床用吸込部23の下方に設けた吸引を行う開口部24と電動送風機22との吸気流路の途中に設けられた集塵室35と、掃除機本体21を前進移動させる回転ブラシ25からなる走行部と、掃除機本体21とは別に設けた操作ハンドル部30と、掃除機本体21と操作ハンドル部30間を接続したワイヤー状の可撓性接続部32とを備えている。
【0018】
床用吸込部23の開口部24内には、前転方向に回転し床面36の塵埃を掻き揚げたり、床面36を磨いたりすることができる回転ブラシ25を内蔵しており、この回転ブラシ25はベルト(図示せず)を介して回転ブラシ駆動用モータ(図示せず)に接続されている。
【0019】
同じく掃除機本体21の前方下部の回転ブラシ25近傍には、回動する先端が略湾曲形状(曲面)の突部26を有しており、突部26の先端は回動中心27から後方かつ下方に配してあり、突部26が前方に回り込まないようにストッパー部28を設けている。なお、掃除機本体21の後方下部には、前後方向に回転自在な走行ローラー29を配している。
【0020】
掃除機本体21と別に設けた操作ハンドル部30には、電動送風機22や回転ブラシ25の運転を操作する操作スイッチ31を配してある。また、掃除機本体21後方と操作ハンドル部30との間を接続した可撓性接続部32は、その内部に操作スイッチ31と掃除機本体21内の制御回路33との信号をやり取りするための金属製の信号線(図示せず)を配している。
【0021】
また、掃除機本体21には、電動送風機22や回転ブラシ駆動用モータ、スイッチの制御などに使用される電源としての充電池34を内蔵している。
【0022】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0023】
清掃作業を行うために、使用者は操作ハンドル部30を手に持ち、図1(a)のように、掃除機本体21を清掃面である使用者前方の床面36に置く。そして操作スイッチ31を操作すると信号が可撓性接続部32内部の信号線を通って掃除機本体21内の制御回路33へ送られ、制御回路33からの指令で電動送風機22が動作を開始して吸引力が発生し、床用吸込部23の開口部24から床面36の塵埃を吸込むことになる。
【0024】
吸込まれた塵埃は集塵室35で塵埃と空気流に分離され、空気流は電動送風機22を通過して掃除機本体21外部へ排出される。
【0025】
電動送風機22が動作すると同時にベルトを介して回転ブラシ駆動用モータの回転力を回転ブラシ25へ伝達し、回転ブラシ25を回転させて床面36の塵埃を掻き揚げるとともに、床面36自体を磨くことになる。このとき回転ブラシ25は勢い良く前転しているので、回転ブラシ25が走行部である駆動輪の役目を担い掃除機本体21全体が矢印Aのように自然と前進することになる。さらに掃除機本体21後方には走行ローラー29を配しているため、円滑に掃除機本体21が前進できる。
【0026】
なお、掃除機本体21前進時には突部26の先端は、回動中心27から後方かつ下方にあり突部26は斜めになりながら床面36上を滑っている状態である。
【0027】
掃除機本体21が前進して当初たわんでいた可撓性接続部32が伸びきると、図1(b)のように、使用者は操作ハンドル部30を矢印B方向に引いて掃除機本体21を矢印C方向に引き寄せることになる。そのとき突部26の先端が床面36と強く当たり突部26が起きて掃除機本体21前方が僅かに浮き上がる。突部26はストッパー部28を設けているので掃除機本体21前方に回り込むことなく、掃除機本体21を引き戻している間中、突部26が起きた状態になり掃除機本体21前方を浮き上がらせた状態を維持している。また突部26の先端が略湾曲形状をしているので、突部26が起きて先端が床面36に接している状態でも床面36との摩擦を低減している。
【0028】
掃除機本体21前方が浮き上がると同時に回転ブラシ25が床面36に及ぼす回転力が減少して掃除機本体21が前進しようとする力が弱まり、少ない操作力で掃除機本体21を引き戻すことができる。もちろん可撓性接続部32が伸びきる前に操作ハンドル部30を引いて掃除機本体21を引き寄せることもできるものである。
【0029】
操作ハンドル部30を引き終わると掃除機本体21が一瞬停止するが、回転ブラシ25が前転する回転力があるため、突部26が倒れて掃除機本体21前方が床面36に近接して回転ブラシ25が床面36に及ぼす回転力が強くなり再び掃除機本体21が前進することになる。この一連の動作を繰り返しながら清掃作業を行うものである。
【0030】
図2に示すように、清掃作業中、机やベッドなどの高さ方向に制限がある障害物37が存在した場合、掃除機本体21が障害物37の下に入り込み前進を続ける。このとき操作ハンドル部30と掃除機本体21とを接続する接続部が可撓性であるので、障害物37と接触している箇所で屈曲し、操作ハンドル部30を若干下げるだけで掃除機本体21は障害物の奥へと前進していくものである。なお、図2の破線は、従来の電気掃除機を示しており、障害物37が存在した場合、使用者は掃除機本体および操作ハンドル部を床面に近付ける必要がある。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては、掃除機本体21を前進移動させる走行部である回転ブラシ25と、掃除機本体21と別体で操作ハンドル部30を設け、掃除機本体21と操作ハンドル部30との間を可撓性接続部32で接続したことにより、掃除機本体21が走行部である回転ブラシ25の回転力で自動的に前進し障害物の下に入り込み、さらに掃除機本体21と操作ハンドル部30を接続する可撓性接続部32が障害物の縁に接触したとしても可撓性接続部32が曲がり、可撓性接続部32が障害物の下や奥へ円滑に入り込む。つまり操作ハンドル部30を床面36近くまで下げることなく掃除機本体21が障害物の下や奥へ入り込み、塵埃などを集塵するものである。この結果、使い勝手を向上でき、かつ障害物の下や奥まで確実に清掃を行うことができる。
【0032】
また、走行部である回転ブラシ25は、掃除機本体21前進時に操作ハンドル部30を用い可撓性接続部32を介して掃除機本体21を引いたときに前進する力が低下もしくは停止する構成とすることにより、操作ハンドル部30を引くときの掃除機本体21と床面36との抵抗が減り、特に絨毯などの滑りにくい床面36上に掃除機本体21があるときに使用者は少ない力でスムースに掃除機本体21を引き戻すことができる。これにより掃除機本体21が絨毯などの床面36に引っ掛かって転倒することを防ぐこともできる。
【0033】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における電気掃除機を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
本実施の形態における電気掃除機は、走行部である回転ブラシ25の両端部近傍にはそれぞれ上下方向に出し入れ可能な棒状の針路変更部41を有しており、この針路変更部41はソレノイド式のアクチュエータ42に連結されている。また操作ハンドル部30には、このアクチュエータ42を動作させる針路制御スイッチ43を設けている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0035】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0036】
掃除機本体21の針路D上にある障害物38を回避するために、例えば掃除機本体21を左方向Eへ針路を変更させたいときには、使用者は針路制御スイッチ43の内、左へ曲がるスイッチを押す。
【0037】
針路制御スイッチ43からの信号を掃除機本体21側の制御回路33が受けて、アクチュエータ42が動作し左端の針路変更部41が突出して床面36に接触する。このとき掃除機本体21左端が浮き上がり、つまり回転ブラシ25左端の回転力が減るため、相対的に右端の回転力が増すことになり、結果として掃除機本体21が左に曲がることになる。これは針路制御スイッチ43を押し続けている間続行される。また同様に右へ曲がるスイッチを押すと掃除機本体21が右に曲がることになる。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては、使用者は任意に掃除機本体21の走行針路を変更でき、かつ使用者が掃除機本体21に対して外部から力を加えて針路を変更していることではないため、既に清掃済みの床面36を避けて掃除機本体21を移動させることができ、また障害物を避けることができることで効率よく清掃作業を行うことができる。
【0039】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における電気掃除機を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
本実施の形態における電気掃除機は、掃除機本体21後端に、可撓性接続部32を巻き取る第1の巻取り機構部51を内蔵した掃除機本体21側の収容部52を設け、さらに操作ハンドル部30前端に、可撓性接続部32を巻き取る第2の巻取り機構部53を内蔵した操作ハンドル部30側の収容部54を設けてあり、第1および第2の巻取り機構部51、53は、内蔵する巻取り用小型モータ(図示せず)の駆動により自動的に可撓性接続部32を巻き取ることができる構成としている。さらに操作ハンドル部30には、巻取りスイッチ55と巻取り解除スイッチ56が追加されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0041】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0042】
清掃作業を一時中断するときに、使用者は操作ハンドル部30を床面36に置くが、このとき操作ハンドル部30の巻取りスイッチ55を押すことで第1および第2の巻取り機構部51、53が可撓性接続部32を巻取り、つまり可撓性接続部32が掃除機本体側の収容部52および操作ハンドル部側の収容部54へ収容される。結果として、掃除機本体21と操作ハンドル部30との間に出ている可撓性接続部32をたわみなく短くしている。
【0043】
以上のように、本実施の形態においては、清掃作業を一時中断するとき、掃除機本体21を持ち運んで移動するとき、清掃終了後に収納するときに可撓性接続部32が収容され使用者や障害物に接触することなく、使い勝手を向上することができる。さらに収納スペースを小さくすることができる。なお、収容部52、54はその両者が必ずしも必要ではなく、その一方だけであっても同様な効果が得られるものである。
【0044】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における電気掃除機を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
本実施の形態における電気掃除機は、可撓性接続部32の外周には、多数の円筒状の剛体部61を略連続的に配してあり、掃除機本体21後端には巻取り機構部51を設けている。さらに操作ハンドル部30には、巻取りスイッチ55と巻取り解除スイッチ56が追加されている。これにより、可撓性接続部32は、可撓性の状態から剛体、剛体から可撓性の状態へと変化可能な構成としている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0046】
以上のように構成された電気掃除機について、以下その動作、作用を説明する。
【0047】
可撓性接続部32は、図5(a)のように、通常、可撓性の状態であり、円筒状の剛体部61は不規則に可撓性接続部32の周囲に存在しているが、図5(b)のように、掃除機本体21の走行が困難な起伏の激しい床面36を清掃する場合には、使用者は可撓性接続部32の剛体化スイッチである巻取りスイッチ55を操作し、可撓性接続部32が掃除機本体21内に巻き取られ、ある程度巻き取られた段階で多数の円筒状の剛体部61が強固に略直線状に並ぶことで、可撓性接続部32が一時的に簡易的な剛体へと変化することになる。その結果、使用者が直接掃除機本体21に力を加えて操作できるようになるものである。
【0048】
以上のように、本実施の形態においては、可撓性接続部32の可撓性状態における効果に加え、可撓性接続部32を剛体へと変化させることで、掃除機本体21の走行が困難な床面において、使用者が直接掃除機本体21に力を加えて操作できるので、掃除機本体21が意図せぬ方向に進んだり、転倒したりすることを防ぎ円滑に清掃作業を行うことができる。さらに操作ハンドル部30を握って掃除機本体21を持ち上げることができるので、棚や壁などの床面より高い場所の清掃箇所を清掃できる。加えて使用者が操作ハンドル部30から接続部を介して掃除機本体21および床用吸込部23を清掃面に押し付けることができるので、集塵性能を向上することができる。
【0049】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5における電気掃除機を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
本実施の形態における電気掃除機は、掃除機本体21と可撓性接続部32の接続箇所に分離可能な掃除機本体側の嵌合部71を設け、さらに操作ハンドル部30と可撓性接続部32の接続箇所にも分離可能な操作ハンドル部側の嵌合部72を有する構成としている。さらに操作ハンドル部30には、掃除機本体21側および操作ハンドル部側の嵌合部71、72を分離させる分離スイッチ73が追加されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0051】
以上のように、本実施の形態においては、嵌合部71、72で分離可能としたことで、使用者や障害物37に可撓性接続部32が絡み付いた場合に、操作ハンドル部30の分離スイッチ73を操作し掃除機本体21側または操作ハンドル部の嵌合部71、72を分離させることで、使用者や障害物から素早く可撓性接続部32を取り除くことができ、速やかに清掃作業を続行できる。また掃除機本体21と操作ハンドル部30を別々に収納することができるため、2箇所の小さな収納庫に分けて収納できる。なお、嵌合部71、72はその両者が必ずしも必要ではなく、その一方だけであっても同様な効果が得られるものである。
【0052】
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6における電気掃除機を示している。実施の形態1、3と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
本実施の形態における電気掃除機は、操作ハンドル部30と掃除機本体21とは、その両者をとを結合できる結合部81を設け、さらに操作ハンドル部30には、結合解除スイッチ82が追加されている。その他の構成は実施の形態1、3と同様である。
【0054】
以上のように、本実施の形態においては、図7(a)の状態から図7(b)のように、操作ハンドル部30と掃除機本体21とを一体に結合することで、操作ハンドル部30を持ちながら掃除機本体21を持ち上げて段付きの清掃面(例えば、棚)を移動させることができ、さらに操作ハンドル部30と掃除機本体21との距離が近接することにより、手元付近の掃除を行うことができるようになる。
【0055】
なお、上記した各実施の形態1〜6の構成は、必要に応じて適宜組み合わせることができるものであり、実施の形態そのものの構成に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、使い勝手を向上でき、かつ障害物の下や奥まで確実に清掃を行うことができるので、一般家庭などで使用される電気掃除機として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における電気掃除機の前進時の状態を示す側断面図(b)同電気掃除機の後退時の状態を示す側断面図
【図2】同電気掃除機による障害物の下方清掃時の状態を示す側面図
【図3】(a)本発明の実施の形態2における電気掃除機の直進時の状態を示す平面図(b)同電気掃除機の直進時における床用吸込部の断面図(c)同電気掃除機の障害物回避時状態を示す平面図(d)同電気掃除機の障害物回避時における床用吸込部の断面図
【図4】(a)本発明の実施の形態3における電気掃除機の可撓性接続部を収納した状態を示す側断面図(b)同電気掃除機の可撓性接続部を収納する前の状態を示す側断面図
【図5】(a)本発明の実施の形態4における電気掃除機の可撓性接続部が可撓性の状態であるときを示す側断面図(b)同電気掃除機の可撓性接続部が剛体の状態であるときを示す側面断図
【図6】(a)本発明の実施の形態5における電気掃除機の使用時の状態を示す側面断図(b)同電気掃除機の可撓性接続部を分離した状態を示す側面断図
【図7】(a)本発明の実施の形態6における電気掃除機の通常清掃時の状態を示す側断面図(b)同電気掃除機の操作ハンドル部と掃除機本体との結合清掃時の状態を示す側面断図
【符号の説明】
【0058】
21 掃除機本体
22 電動送風機
23 床用吸込部
24 開口部
25 回転ブラシ(走行部)
30 操作ハンドル部
35 集塵室
36 床面
37、38 障害物
41 針路変更部
43 針路制御スイッチ
52、54 収容部
71、72 嵌合部
81 結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体と、掃除機本体に内蔵され吸引力を発生させる電動送風機と、掃除機本体と接続された床用吸込部と、床用吸込部と電動送風機との吸気流路の途中に設けられた集塵室と、掃除機本体を前進移動させる走行部と、掃除機本体とは別に設けた操作ハンドル部と、掃除機本体と操作ハンドル部間を接続した可撓性接続部とを備えた電気掃除機。
【請求項2】
走行部は、掃除機本体の前進移動時に操作ハンドル部により掃除機本体を後方に引くことで前進力が低下または停止するように構成した請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
操作ハンドル部に設けた針路制御スイッチと、この針路制御スイッチの操作と連動して走行部による掃除機本体の走行針路を変更する針路変更部とを有する請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
可撓性接続部は、掃除機本体と操作ハンドル部の少なくとも一方に設けた収容部に収容可能とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
可撓性接続部は、可撓性の状態から剛体、剛体から可撓性の状態へと変化可能な構成とした請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
可撓性接続部は、掃除機本体と操作ハンドル部の少なくとも一方に設けた嵌合部で分離可能とした請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
操作ハンドル部と掃除機本体とは、その両者を結合する結合部を有した請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−75318(P2007−75318A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266521(P2005−266521)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】