説明

電気掃除機

【課題】掃除機本体の持ち運びのために大きく屈むことなくハンドルを掴むことができる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】集塵室及び該集塵室に吸込負圧を作用させる電動送風機24を有する掃除機本体1と、掃除機本体1に上下動可能に装着された持ち運び用のハンドル17と、一端部が前記集塵室に接続された集塵ホース4と、集塵ホース4の他端部に設けられた手元操作パイプ5を備えている。しかも、ハンドル17を上昇駆動する駆動モータ20が掃除機本体1に設けられ、手元操作パイプ5に駆動モータ20を動作させる上昇スイッチ26が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、持ち運び用のハンドルが掃除機本体に上下動自在に設けられた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機には、集塵室及びこの集塵室に吸込負圧を作用させる電動送風機が内蔵された掃除機本体と、掃除機本体の集塵室に連通する接続口に一端部が接続された集塵ホースと、集塵ホースの他端部に設けられた手元操作パイプと、この手元操作パイプに接続された延長パイプと、この延長パイプに接続された吸込口体を備えるキャニスタータイプのものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような電気掃除機では、手元操作パイプに電動送風機をON・OFFさせるスイッチを設けているものが普通である。そして、このスイッチで電動送風機を作動させると、電動送風機の吸込負圧が集塵室,集塵ホース,手元操作パイプ,延長パイプを介して吸込口体内の吸込室に作用して、この吸込口体の下面の吸込口から吸込室に塵埃が空気と共に吸い込まれるようになっている。そして、吸込室に吸い込まれた塵埃は、延長パイプ,手元操作パイプ,集塵ホースを介して集塵室に吸い込まれて捕集される。
【0004】
従って、使用者が立った状態で手元操作パイプを握って、この手元操作パイプで吸込口体を清掃面上で前後に移動操作することより、清掃面の塵埃が掃除機本体内の集塵室に捕集される。
【0005】
ところで、このようなキャニスタータイプの電気掃除機では、掃除機本体の上面に持ち運び用のハンドルを前後に起倒自在に装着しているのが普通である。しかも、ハンドルは掃除機本体の上面に設けられた凹部内に収納されるようになっているものが多い。
【特許文献1】特開2001−157654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような電気掃除機を清掃終了後に運んで収納したりする場合、作業者は大きく屈んでハンドルを起立させ、ハンドルを掴んで掃除機本体を持ち上げる必要があったため、電気掃除機の収納作業が容易ではなかった。
【0007】
そこで、この発明は、掃除機本体の持ち運びのために大きく屈むことなくハンドルを掴むことができる電気掃除機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、この発明は、集塵室及び該集塵室に吸込負圧を作用させる電動送風機を有する掃除機本体と、前記掃除機本体に上下動可能に装着された持ち運び用のハンドルと、一端部が前記集塵室に接続された集塵ホースと、前記集塵ホースの他端部に設けられた手元操作パイプを備える電気掃除機において、前記ハンドルを上昇駆動する駆動手段が前記掃除機本体に設けられ、前記手元操作パイプに前記駆動手段を動作させるハンドル用スイッチが設けられている電気掃除機としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この構成によれば、手元操作パイプに設けられたハンドル用スイッチを操作すると、駆動手段が動作して持ち運び用のハンドルが上昇させられるので、ハンドルを起立させたりする作業が必要なくなり、掃除機本体の持ち運びのために大きく屈むことなくハンドルを掴むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[構成]
図1において、1は掃除機本体、1aは掃除機本体1の本体ケース、2は上方に取出可能に本体ケース1aの前部に装着された集塵容器である。この集塵容器2内には図示を省略した集塵室が設けられている。また、本体ケース1aの後部内には、集塵容器2の集塵室(図示せず)に吸込負圧を作用させる電動送風機(図示せず)が内蔵されている。尚、Pcは掃除機本体1の電源コード、Pは電源コードPcのプラグである。
【0011】
また、本体ケース1aの前端部には集塵容器2の図示しない集塵室に連通する接続口3が設けられていて、この接続口3には集塵ホース4の一端部が着脱可能に接続されている。
【0012】
この集塵ホース4の他端部には手元操作パイプ5が設けられ、手元操作パイプ5には延長パイプ6を介して吸込口体7が接続されている。この吸込口体7内には延長パイプ6に連通する吸込室(図示せず)が設けられ、この吸込室の吸込開口は吸込口体の下面に開口している。
【0013】
また、本体ケース1aの上壁には、図1に示した左右方向に延びるハンドル用凹部8と、図2に示したようにハンドル用凹部8に形成された出没孔9が形成されている(図3,図4参照)。
【0014】
しかも、掃除機本体1内には出没孔9に対応して上下に延びるガイド部10が設けられ、このガイド部10内にはガイド孔11が形成されている。このガイド孔11は、上下に延びるガイド孔部11aと、ガイド部10の上壁10aに形成されたガイド孔部11bを有する。
【0015】
このガイド孔11内には、上下に伸縮自在なハンドル支持部材12が配設されている。このハンドル支持部材12は、上壁13aを有し且つ下端部外周に係止フランジ(係止部)13bを有する支持筒(第1支持部材)13と、支持筒13内に一部が配設された支持軸14を有する。
【0016】
この支持筒13はガイド孔部11bに上下動自在に嵌合され、この支持筒13の係止フランジ13bはガイド孔部11aに上下動自在に嵌合されている。尚、ガイド孔部11a内には、支持筒13の上端が上壁10aの上端と略一致したときに、係止フランジ13bを係止させる突部(ストッパ部)15が形成されている。
【0017】
また、支持軸14は、支持筒13の上壁13aを貫通する小径軸部14aと、この小径軸部14aの下端に連設された大径軸部14bを有する。そして、この軸部14a,14b間には係止段部14cが形成されている。この支持軸14内には、上下に延びる雌ネジ穴16が形成されている。
【0018】
尚、支持筒13はガイド孔11に対して軸線回りに回転しないように設けられ、支持軸14は支持筒13に対して相対回転しないように設けられている。この構成としては、キーとキー溝による回転防止構造を利用することもできるし、支持筒13,ガイド孔11,支持軸14等を多角形に形成することで実現することもできる。
【0019】
更に、支持軸14の上端部には掃除機本体1を持ち運びするためのハンドル17が一体に設けられている。また、ガイド部10の上端部には、支持筒13の係止フランジ13bを検出する検出スイッチ18が取り付けられている。
【0020】
また、雌ネジ穴16内には送りネジ19が螺着されている。この送りネジ19の下方にはパルスモータ等の駆動モータ20が配設されている。更に、図5に示したように駆動モータ20の出力軸20aに連結筒21の下端部が固定され、この連結筒20a内には送りネジ19の下端部が上下動自在に嵌合されている。
【0021】
しかも、連結筒21内には上下に延びるキー溝22が形成され、このキー溝22には送りネジ19の下端部に突設したガイド突起23が上下動自在に係合されている。これにより、連結筒21と支持軸14は軸線回りに相対回転しないようになっている。
【0022】
尚、図1では電動送風機の図示を省略したが、図6に示した電動送風機24が図1の掃除機本体1内に設けられる。この電動送風機24は、手元操作パイプ5の操作パネルCpに設けた「弱/中」吸込風量切り替え用のスイッチS1,「強」吸込風量用のスイッチS2からの操作信号(ON・OFF信号)が入力されると、制御回路25により駆動制御されるようになっている。
【0023】
即ち、制御回路25は、スイッチS1は押す毎に電動送風機24の吸込風量を「弱」と「中」とに交互に切り替え、スイッチS2をONさせると電動送風機24の吸込風量を「強」にするようになっている。しかも、制御回路25は、「切り」スイッチS3を押すと、電動送風機24をOFFさせるようになっている。
【0024】
また、制御回路25には、検出スイッチ18,ハンドルの上昇スイッチ(ハンドル用スイッチ)26及び収納スイッチ27からの信号が入力されるようになっている。更に、この制御回路25は、上昇スイッチ26からのON信号が入力されると、駆動モータ20を正転させて送りネジ19により支持軸14を上昇させるようになっている。制御回路25は、収納スイッチ27からのON信号が入力されると、駆動モータ20を逆転させて、送りネジ19により支持軸14を降下させるようになっている。
[作用]
次に、このような構成の電気掃除機の作用を説明する。
【0025】
このような構成において、プラグPを商用電源のコンセント(図示せず)に差し込んで、手元操作パイプ5に設けた「弱/中」吸込風量切り替え用のスイッチS1又は「強」吸込風量用のスイッチS2をオン操作すると、制御回路25が電動送風機24を作動させ、電動送風機24の吸込負圧を集塵容器2の集塵室(図示せず)に作用させる。この集塵室に作用する吸込負圧は、図1の集塵ホース4,手元操作パイプ5,延長管6を介して吸込口本体7の吸込室(図示せず)に作用する。
【0026】
これにより清掃面の塵埃は、吸込口本体7の吸込室(図示せず)に空気と共に吸い込まれる。この吸い込まれた塵埃は、延長管6,手元操作パイプ5,集塵ホース4を介して集塵容器2の集塵室(図示せず)に吸い込まれて捕集されることになる。
【0027】
このような状態において電気掃除機の使用者は、立った状態で手元操作パイプ5を掴んで吸込口体7を前後・左右に移動操作して、清掃面の掃除を行うことになる。そして、清掃が終了後には、電気掃除機を収納するために、掃除機本体1を収納場所まで移動させる必要がある。
【0028】
この場合に使用者は、立った状態で手元操作パイプ5に設けた上昇スイッチ26をONさせ、このON信号を制御回路25に入力させる。これにより、制御回路25は、図2の状態から駆動モータ20が駆動して、その出力軸20a及び連結筒21を正転させる。そして、この回転は、キー溝22とガイド突起23を介して送りネジ19に伝達させられ、送りネジ19により支持軸14が図3のように上昇させられる。
【0029】
これに伴い、図3に示したように支持軸14の係止段部14cが支持筒13の上壁13aに当接して、支持筒13を支持軸14と一体に上昇させ、最終的には図4に示したように支持筒13の係止フランジ13bをガイド部10の上壁10a近傍まで移動させる。そして、この係止フランジ13bが検出スイッチ18をONさせると、制御回路25は駆動モータ20を停止させる。この停止位置では、係止フランジ13bがガイド部10の上壁10aに略当接する位置まで上昇させられている。
【0030】
この状態では支持筒13及び支持軸14を備える伸縮自在なハンドル支持部材12が上方に最大に伸長して、この支持軸14の上端部に設けられたハンドル17が最大に上昇させられている。
【0031】
この位置で使用者は、プラグPを商用電源(図示せず)から抜き取り、ハンドル17を掴んで掃除機本体1を収納場所まで移動させる。この際、使用者は、ハンドル17を掴むために屈んでも、ハンドルを起立させたりする作業を行う場合に比べて、屈む量が少なくて済むことになるので、重い掃除機本体1を持ち上げる場合でも負担が少なくなる。
【0032】
そして、この状態でハンドル17を掴んで持ち上げると、支持筒3の係止フランジ13bがガイド部10の上壁10aに当接するまで、支持軸14の下端部が連結筒21内を僅かに上昇する。この係止フランジ13bが上壁10aに当接した後は、この係止フランジ13bと上壁10aを介して掃除機本体1が持ち上げられることになり、この状態で掃除機本体1を収納場所まで持ち運び移動させる。この結果、ハンドル17により掃除機本体1を持ち上げても、送りネジ19には掃除機本体1の重量が作用しないので、送りネジ19に無理な力が作用しない。
【0033】
そして、収納場所において、ハンドル17を収納する場合には、プラグPを商用電源のコンセント(図示せず)に接続して、手元操作パイプ5の収納スイッチ27をONさせる。これにより、制御回路25は、駆動モータ20を所定時間だけ逆転させて、送りネジ19により支持軸14を降下させ、図2の収納位置までハンドル17を降下させる。
【0034】
この後、使用者は、掃除機本体1が収納場所に配設されている場合には、プラグPを商用電源のコンセント(図示せず)から抜き取り、電気掃除機の収納を完了させる。また、掃除機本体1が収納場所の知覚まで移動させられている状態では、プラグPを商用電源のコンセント(図示せず)から抜き取り、掃除機本体1を収納場所に収納して、電気掃除機の収納を完了させる。
(変形例)
以上説明した実施例では、駆動モータ20によりハンドル17の上昇・降下を行うようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0035】
例えば、図7に示したように、支持軸14をコイルスプリング(付勢手段)30で上方に上昇させることにより、ハンドル17を上昇させるようにすると共に、ハンドル17を収納させる際には、ハンドル17をコイルスプリング30のバネ力に抗して収納位置まで押し下げるようにしても良い。
【0036】
この場合、支持軸14の下端部に係止突部31を設けると共に、ハンドル17を収納位置まで押し下げて、係止突部31を降下させたときに、この降下した位置の係止突部31に対応する部分にソレノイド32を配設して、ソレノイド32の係止ロッド32aにより、降下する係止突部31を上側から係止させるようにしても良い。
【0037】
この為には、ソレノイド32の係止ロッド32aを図示しないスプリングで常時突出する方向に付勢させておき、ソレノイド32に通電されたときに係止ロッド32aがソレノイド32の本体32b内に没入するようにしておく。しかも、係止突部31には下向きの傾斜ガイド31aを形成し、係止ロッド32aには上向きの傾斜ガイド32cを形成しておく。
【0038】
このような構成により、支持軸14を降下させて、係止突部31の傾斜ガイド31aを係止ロッド32aの傾斜ガイド32cに当接させた後、さらに支持軸14を押し下げると、係止ロッド32aが傾斜ガイド31a,32cの作用により図示しないスプリングのバネ力に抗して本体32bに移動させられる。そして、係止突部31が係止ロッド32aを乗り越えて下方に移動すると、係止ロッド32aが図示しないスプリングのバネ力により突出させられる。この状態で、支持軸14から押し下げ力を解除すると、係止突部31はコイルスプリング30により係止ロッド32aに係合させられるので、係止突部31が係止ロッド32aに係止された状態となる。
【0039】
また、上述した手元操作パイプ5には図7の係止解除スイッチ(ハンドル用スイッチ)33を設けると共に、この係止解除スイッチ33からのON信号を制御回路25に入力させ、このON信号が入力されると制御回路25がソレノイド32に通電して、ソレノイド32の係止ロッド32aを本体32b内に没入させるようになっている。
【0040】
これに伴い、係止ロッド32aによる係止突部31の係止が解除されて、支持軸14がコイルスプリング30のバネ力により上昇させられ、支持軸14のハンドル17が図4で示した位置まで上昇させられる。尚、コイルスプリング30,係止突部31及びソレノイド32等はハンドル17を収納位置から上昇駆動させる駆動手段Dを構成している。
【0041】
以上説明したように、この発明の実施の形態の電気掃除機は、集塵室及び該集塵室に吸込負圧を作用させる電動送風機24を有する掃除機本体1と、前記掃除機本体1に上下動可能に装着された持ち運び用のハンドル17と、一端部が前記集塵室に接続された集塵ホース4と、前記集塵ホース4の他端部に設けられた手元操作パイプ5を備えている。しかも、前記ハンドル17を上昇駆動する駆動手段(駆動モータ20,駆動手段D)が前記掃除機本体1に設けられ、前記手元操作パイプ5に前記駆動手段(駆動モータ20,駆動手段D)を動作させるハンドル用スイッチ(上昇スイッチ26、係止解除スイッチ33)が設けられている。
【0042】
この構成によれば、手元操作パイプ5に設けられたハンドル用スイッチを操作すると、駆動手段が動作して持ち運び用のハンドル17が上昇させられるので、ハンドルを起立させたりする作業が必要なくなり、掃除機本体1の持ち運びのために大きく屈むことなくハンドルを掴むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明に係る電気掃除機の概略斜視図である。
【図2】図1のA1−A1線に沿う断面図である。
【図3】図2のハンドル支持部材の動作説明図である。
【図4】図2のハンドル支持部材が最大に伸長したときの説明図である。
【図5】図1の電気掃除機の制御回路図である。
【図6】図2の駆動モータと送りネジとの連結部の説明図である。
【図7】この発明の他の例を示す要部説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・・掃除機本体
4・・・集塵ホース
5・・・手元操作パイプ
17・・・ハンドル
20・・・駆動モータ(駆動手段)
24・・・電動送風機
26・・・上昇スイッチ(ハンドル用スイッチ)
33・・・係止解除スイッチ(ハンドル用スイッチ)
D・・・駆動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵室及び該集塵室に吸込負圧を作用させる電動送風機を有する掃除機本体と、前記掃除機本体に上下動可能に装着された持ち運び用のハンドルと、一端部が前記集塵室に接続された集塵ホースと、前記集塵ホースの他端部に設けられた手元操作パイプを備える電気掃除機において、
前記ハンドルを上昇駆動する駆動手段が前記掃除機本体に設けられ、前記手元操作パイプに前記駆動手段を動作させるハンドル用スイッチが設けられていることを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−23136(P2008−23136A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200243(P2006−200243)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】