電気掃除機
【課題】
吸口体の回転清掃体に絡み付いた塵埃を取り除く時に、吸口体から回転清掃体の取り付け・取り外しを道具を使わずに、簡単にできる電気掃除機とその吸口体を提供することにある。
【解決手段】
前記上ケース及び前記下ケースで覆われた回転清掃体と、該回転清掃体を取り外し可能とするための軸受押さえ部材と、前記下ケースに回動可能に設けられ、回動させることで前記軸受押さえ部材を前記下ケースに保持させる係止部材とを備えた。
吸口体の回転清掃体に絡み付いた塵埃を取り除く時に、吸口体から回転清掃体の取り付け・取り外しを道具を使わずに、簡単にできる電気掃除機とその吸口体を提供することにある。
【解決手段】
前記上ケース及び前記下ケースで覆われた回転清掃体と、該回転清掃体を取り外し可能とするための軸受押さえ部材と、前記下ケースに回動可能に設けられ、回動させることで前記軸受押さえ部材を前記下ケースに保持させる係止部材とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸口体は、刷毛やブレードなどの清掃部材を設けた回転清掃体によって被掃除面からごみや塵埃を掻き出して吸引している。
【0003】
回転清掃体の清掃部材は、糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等が絡み付き易く、一旦絡み付くとこの種の塵埃は回転により徐々に蓄積され、清掃部材を固定する筒状基体に締め付けられようになる。
【0004】
これを除去するために、はさみやカッターを持ち出して、絡み付いた塵埃を切断して取り除いていた。
【0005】
この場合、回転清掃体を吸口体から取り外す構造として、例えば特許文献1(特開2000−83874号公報)のようなものが提案されている。特許文献1では、上下ケースの本体と上ケースの上部を覆うカバーとを備え、カバーの縁部にカバー側係止部が設けられ、スライドして被係止部を前記カバー側係止部に対して係合・離脱させるスライド係止部材が吸口本体ケースに設けられている。
【0006】
また、特許文献2(特開2004−16605号公報)には、吸口体の下面側に軸受押さえ部材を吸口体本体に着脱可能に保持させるためのロック部材を備えた吸口体が提案されている。
【0007】
また、回転清掃体と電動機からの駆動源とを連結させる連結機構部には関係なく、回転清掃体を着脱させる構成として、例えば特許文献3(特許第3249188号公報)のような技術が提案されている。特許文献3では、軸受体に係脱自在に係合される係合部を有し、軸受体と回転清掃体の係合部の一方に、他方が挿入係合される嵌合穴を形成している。
【0008】
【特許文献1】特開2000−83874号公報
【特許文献2】特開2004−16605号公報
【特許文献3】特許第3249188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来のスライド方式によるカバーの着脱では、スライド係止部材がケースと摺動する際に、ケースの隙間部から入り込んだ細かい砂や塵埃によって、係合・離脱させる時に重たくなったり,硬くなったりして、動きが渋くなるという問題が生じていた。それにより、指が痛くなる等負担があった。
【0010】
また、カバーの着脱時、スライド係止部材を可動することになるが、係止部材の位置がどちらに可動すると係合・離脱するのか分かりにくい場合があり、カバーの着脱時にスライド係止部材を何度も操作したりすることがある。
【0011】
上記従来技術のロック部材を備えた吸口体では、軸受押さえ部材を吸口体本体に着脱可能に保持させるためにロック部材に溝を設け、コイン等で回転させる構造となっている。そのため、回転清掃体を外したい場合は、必ずコインやそれに準ずる道具が必要となり、それを探したり持ち出したりする手間が増えるので、なかなか面倒で億劫になりがちな作業であった。
【0012】
また、溝形状に一致するコインであれば容易にロック部材の回転が可能であるが、大きさや厚みが異なると溝から外れやすくなり、ロック部材が回転し難く、さらには溝が磨り減ってしまうという心配がある。
【0013】
上記従来技術の回転清掃体を着脱させる構成として、プーリーの中心にテーパー穴が形成され、このテーパー穴に回転清掃体の一端に形成された円錐台形の係合部が係脱自在に支持されているが、テーパー穴と円錐台形の係合部が密着されていないと、回転清掃体が偏心するなどして十分に駆動力を伝達できないという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、これらの問題を解決し、簡単な構成で、回転清掃体を容易に取り付け・取り外しができる電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、吸口体の回転清掃体に絡み付いた塵埃を取り除くために、回転清掃体を吸口体から取り外す構造として、軸受押さえ部材と吸口体との開閉手段を係止部材の回動により可能とした。
【0016】
また、回転清掃体の一端側に、主動軸継手と係合する従動軸継手を有し、他端側に吸口体の軸支部に嵌脱自在に支持される軸受部を有し、前記主動軸継手と従動軸継手を係合する部位を最外周部とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回動係止部材は吸口体上ケースと下ケースから張り出した支持部を回動軸とし、軸中心から一端側を開閉時の操作部、反対側を係止部としているので、係止部材の摺動部は回動軸周りと小さい面積となる。したがって、摺動部に細かい砂や塵埃が堆積しても、軸中心から離れた操作部を動作することにより容易に回動することができる。つまり、この原理のように、指の力で係止部材の操作が容易に行える。よって、軸受押さえ部材と吸口体との開閉手段を係止部材の回動で可能となり、回転清掃体を吸口体から取り外す操作が簡単になる。
【0018】
係止部材を吸口体本体の背面側に設置し、操作部の表面を吸口体の外表面と同一か内側に収まるように構成することにより、家具の隙間などに挿入した際に、係止部材が接触して傷を付けたり、邪魔になることがない。
【0019】
また、係止部材の操作部を吸口体中央側から外側に回動した時に軸受押さえ部材が開く構造なので、係止部材が吸口体から外側に突出(はみ出し)している時は開いており、係止部材が吸口体内に収まっている時は閉じていると判断できる。したがって、軸受押さえ部材の開閉状態が明確になり、誤って開状態で吸口を動作させることがない。
【0020】
また、係止部材が回動して軸受押さえ部材を開いた時に、吸口体から外れないように軸受押さえ部材と吸口体とが一部軸支持されているので、紛失や散逸を妨げることができる。
【0021】
係止部材を回動する際に、クリック感を持たせたことにより、軸受押さえ部材と吸口体が係合・離脱する状態を指の感触と音で認識できるので、簡単操作で確実な作業が提供できる。
【0022】
また、回転清掃体の従動軸継手と主動軸継手の係合部において、両継手は軸方向および周方向の間隙を介して対向することになるが、継手の最外周部で係合しているので、同じ間隙が中心部付近にある場合よりも、軸芯のずれを小さくすることができる。これにより、回転清掃体の回転時の振れよる騒音の発生が抑えられる。さらに、係合状態が目視確認し易いので、着脱が容易にできるとともに係合部に付着した塵埃も見つけやすく、清掃もし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図1から図9の図面に従い詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に本実施例による吸口体の分解斜視図を示す。図1において、101は下ケース、100は下ケースの上方に配置された上ケース、104は上ケース100及び下ケース101で覆われた回転清掃体、105は回転清掃体104を駆動するための電動機、107は吸口体を持ち上げたときに自動的に回転停止するための安全スイッチ、108は電動機側プーリー、109は減速プーリーを構成する大プーリー、110は減速プーリーを構成する小プーリー、111は大プーリー109と小プーリー110を連結するシャフトである。
【0025】
電動機105によって発生された駆動力を大プーリー109と小プーリー110を連結するシャフト111を介して回転清掃体104の回転軸端部に伝達する伝達機構を構成している。
【0026】
120は下ケース101の下面側に位置する軸受押さえ部材(図示せず)を開閉するための係止部材であり、上ケース100と下ケース101から張り出した支持部を回動軸とし、組み付けにより上下方向で支持し、係止部材120の抜け外れを規制している。
【0027】
102は吸口体本体内部と外部(掃除機本体)とを連通する空気通路が形成された自在継手のうち吸口体本体に対して上下方向に回動可能な第1の接続管、103は自在継手のうち前記第1の接続管に対して左右方向に回動可能な第2の接続管である。
【0028】
図1において、回転清掃体104の回転軸に沿う方向を吸口体の左右方向と呼び、この左右方向は通常吸口体の長手方向と一致する。また、吸口体の上下方向に関しては、吸口体を水平な床面上に置いた状態で、開口118が形成された側を下面側、反対側を上面側と呼ぶ。また、吸口の進行方向側を正面側,後退方向側を背面側として説明する。
【0029】
図2に本実施例による電気掃除機の外観図を示す。201は後部に吸口体本体が集塵するのに必要な吸気風を発生させる電動送風機(図示せず)を内蔵し、前部には塵埃を集塵する集塵室(図示せず)を内蔵した電気掃除機本体、202は電気掃除機本体201に接続され、柔軟に可動するように形成されたホース体、203は前記ホース体202に接続されて前記電気掃除機本体201や吸口体206を制御する手元スイッチ204を内蔵し、ホース体202と延長管205と連通する流路(図示せず)を持つハンドルグリップである。また、ホース体202とハンドルグリップ203及び延長管205には、吸口体206に電気を供給する給電線(図示せず)が内蔵されている。
【0030】
図3に本実施例による吸口体本体を下から見たときの平面(下面図)を示す。118は吸口体下ケース101に設けられた床面開口部で、被清掃面に面する。301はバンパー、300は固定刷毛、303は後方車輪である。107は吸口体を持ち上げたときに自動的に停止するための安全スイッチであり、107aは被清掃面に設置されているかを検出するための床面検出車輪である。
【0031】
315は軸受ユニット部で、軸受を内蔵し、その外周に電動機105からの駆動力を伝達するプーリー316を配置し、プーリー316を挟んで両側に軸受部を配設し、吸口体内に軸支している。317はプーリー316と一体で回転し、電動機の回転力を伝達する主動軸継手部である。
【0032】
回転清掃体104の一端側には、主動軸継手部317と係合する従動軸継手部318を有し、他端側に吸口体の軸支部に嵌脱自在に支持される軸受部319を有している。主動軸継手部317と従動軸継手部318には、最外周に凹凸の歯317aと318aを形成し、両者を噛み合わせることで係合している。305は軸受ユニット部315を覆うユニット押さえ部材である。
【0033】
回転清掃体104の清掃部材307,308は、繊維等による刷毛の他、軟質のブレード状のものを用いて構成することができ、刷毛やブレードをそれぞれ単独で、或いは刷毛とブレードとを混在させて構成することができる。また、筒状基体306を形成する部材で一体に成形した突出部で清掃部材を構成してもよい。いずれにしても、清掃部材は筒状基体306の外周面から外方に突出するように構成される。
【0034】
304は軸受押さえ部材であり、120は軸受押さえ部材304を吸口本体の下ケース101に着脱(開閉)可能に保持させる係止部材であり、吸口体本体の背面側に設置している。
【0035】
図4,図5に本実施例による係止部材120付近の分解斜視図を示す。係止部材120は、吸口体上ケース100と下ケース101から張り出した支持部100aと101aを回動軸とし、軸中心から一端側を開閉時の操作部120a,反対側を係止部120bとし、組み付けにより上下方向で支持し、係止部材120の抜け外れを規制している。この係止部材120の回動により、軸受押さえ部材304と吸口体101との開閉(着脱)が可能となる。
【0036】
軸受押さえ部材304の内側側面には、係止部材120の係止部120bが出没できるスリット上の穴304aを有し、先端には下ケース101と結合するための爪(図示せず)を設けている。
【0037】
図5(a)は、係止部材120の操作部120aを吸口体中央側から外側に回動した時に軸受押さえ部材304と係合している係止部120bが外れ、吸口体101から軸受押さえ部材304が離脱する状態を示す。(b)は、係止部材120の操作部120aを外側から吸口体中央側に回動し、係止部120bが軸受押さえ部材304と係合し、吸口体101に装着している状態を示す。操作部120aは吸口体ケースの外表面と同一か内側に収まるように構成している。
【0038】
次に本実施例の動作を説明する。掃除機使用者がハンドルグリップ203に設置されたスイッチ操作部204を操作すると、操作されたスイッチに従った動作モードで電気掃除機本体201内の電動送風機が運転する。電動送風機によって発生した吸引力は、ホース体202,延長管205を通って吸口体206に到達する。それと同時に、ホース体202および延長管205に設けられた電源線から供給された電源が、回路基板106を介して電動機105を駆動する。
【0039】
電動機105とプーリー,ベルトで連結している回転清掃体104が回転することにより、回転清掃体104の清掃部材である刷毛やブレードによって被掃除面からごみや塵埃を掻き出して吸い込んでいる。
【0040】
回転清掃体104の清掃部材307は、糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等が絡み付き易く、一旦絡み付くとこの種の塵埃は回転により徐々に蓄積され、清掃部材を固定する筒状基体に締め付けられようになる。
【0041】
図6から図9に従い、前記回転清掃体104の清掃部材307に絡んだ糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等を取り除く回転清掃体104のお手入れ方法について説明する。
【0042】
まず、使用者がスイッチ操作部204により、電源を遮断し、延長管から吸口体206を外す。
【0043】
図6に示すように、吸口体の下面側を上面側に向ける。係止部材120の操作部120aに操作者の指を添え、吸口体中央側から外側に回動し、軸受押さえ部材304と係止部120bの係合を解除する。そして、図7に示すように吸口体下ケース101から軸受押さえ部材304を開け、図8のように軸受押さえ部材304を外す。次に、図9のように、回転清掃体104の軸受部319側の清掃部材を摘み、上方に引き上げると、軸受部309が吸口体の軸支部から嵌脱され、次いで回転清掃体104を斜め上方に引き上げることにより、従動軸継手部318が主動軸継手部317との係合から解除され、回転清掃体104が吸口体206から離脱できる。離脱した回転清掃体104に、はさみやカッターを用い、絡み付いた塵埃の除去作業を行う。この時、回転清掃体104は水洗いも可能である。
【0044】
作業後は、上記の逆で、回転清掃体104を吸口体206に組み込むには、回転清掃体104の従動軸継手部318の歯を吸口体内部の主動軸継手部317の歯に挿入し、両者を噛み合わせることで係合させ、回転清掃体104の反対側の軸受部309を吸口体の軸支部に上方から押し込む。次に、軸受押さえ部材304の爪304aを吸口体下ケース101に引っ掛け、軸受押さえ部材304を取り付け、外側にはみ出している係止部材120の操作部120aを吸口体中央側に回動し、軸受押さえ部材304と係止部120bに係合させればよい。
【0045】
以上の構成により、回動係止部材120は吸口体上ケースと下ケースから張り出した支持部を回動軸としているので、係止部材120の摺動部は回動軸周りと小さい面積となる。したがって、ケースの隙間部から入り込んだ細かい砂や塵埃が摺動部に堆積しても、軸中心から離れた操作部を動作することにより容易に回動することができる。つまり、てこの原理のように、指の力で係止部材120の操作が容易に行える。少々の塵埃の堆積では係合・離脱させる時に動きが渋くなることはないので塵埃の詰りに有利である。
【0046】
また、係止部材120の操作部120aを吸口体中央側から外側に回動した時に軸受押さえ部材304が開く構造なので、操作部120aが吸口体から外側に突出(はみ出し)している時は開いており、操作部120aが吸口体内に収まっている時は閉じていると判断できる。したがって、軸受押さえ部材の開閉状態が明確になり、誤って開状態で吸口を動作させることがない。
【0047】
また、係止部材120を吸口体本体の背面側に設置したことにより、デザインの変更もなく、吸口体の大型化を回避することが可能である。操作部120aは吸口体ケースの外表面と同一か内側に収まるように構成しているので、家具の隙間などに挿入した際に、係止部材が接触して傷を付けたり、邪魔になることがない。
【0048】
さらに、回転清掃体104の取り外し操作には、コインなどの道具が不要なので、なかなか面倒で億劫になりがちな塵埃の清掃作業も容易に行うことができる。
【実施例2】
【0049】
図10に本実施例による下ケース401の前方下部の部分拡大斜視図を示す。402は軸受押さえ部材であり、軸受押さえ部材402の先端両側部分に突起部402aを形成し、下ケース401に軸支され、回転可能に保持されている。
【0050】
実施例1と同様に、回転清掃体104の清掃作業を行う際に、係止部材120を吸口体中央側から外側に回動し、軸受押さえ部材402との係合を解除する。次に、吸口体下ケース401から軸受押さえ部材402を開けるが、軸受押さえ部材402の一部が吸口体に支持されて、外れないようにしているので、紛失や散逸を妨げることができる。
【実施例3】
【0051】
図11に本実施例による下ケース501の係止部材120側の部分拡大斜視図を示す。係止部材120には、操作部120a,軸受押さえ部材304を開閉するための係止部120bと開閉動作時にクリック感を出す案内部120cが形成されている。下ケース501には前記案内部120cが回動した時に接触可能になるようにリブ502と503を設けている。
【0052】
(a)は、軸受押さえ部材304と吸口体101が係合している状態であり、係止部材120の操作部120aは吸口体に収められている。この時、前記案内部120cをリブ503で回動方向の動きを規制している。軸受押さえ部材304を開けようと、操作部120a中央側から外側に回動すると、まず、前記案内部120cがリブ503に接触し抵抗となるが、回動を続けるとリブ503を乗り越える。この時に一度、操作の抵抗感から開放されるクリック感が指に伝わり、操作が開始したことが実感できる。(b)のように、さらに外側に回動すると案内部120cがリブ502に接触し抵抗となり、回動を続けるとリブ502を乗り越え、二度目のクリックを感じ、軸受押さえ部材304と係合している係止部120bが外れ、吸口体101から軸受押さえ部材304が離脱できる状態になったことが実感できる。
【0053】
軸受押さえ部材304を係合する場合は上記と逆になる。
【0054】
このように、係止部材120の回動時に、クリック感を持たせたことにより、軸受押さえ部材304と吸口体101が係合・離脱する状態を指の感触と音で認識できるので、簡単操作で確実な作業が提供できる。
【実施例4】
【0055】
図12に本実施例による主動軸継手部317と係合する従動軸継手部318の斜視図を示し、図13に各々の断面図を示す。315は軸受ユニット部で、電動機105からの駆動力を伝達するプーリー316を配置し、プーリー316を挟んで両側に軸受323と322を内蔵した軸受部320と319を配設している。317はプーリー316と軸321を介して一体で回転し、電動機の回転力を伝達する主動軸継手部である。主動軸継手部317の外周には、回転力を回転清掃体104に伝達するための係合歯317aを形成している。
【0056】
回転清掃体104の一端側には、主動軸継手部317と係合する従動軸継手部318を有し、最外周に係合歯318aを形成し、両者を噛み合わせることで係合している。主動軸継手部317の内周には回転清掃体104の円筒筒体が挿入され、外周部には段差を設けて係合歯318aを形成している。
【0057】
係合歯318aを回転清掃体104の外周より外側に設けることにより、係合歯317a,318aの軸方向長さが短くても、係合歯318aの歯の噛み合わせ高さを確保することができ、軸方向の清掃部材の長さを有効に使うことができる。
【0058】
回転清掃体104の主動軸継手部317と従動軸継手部318の係合部において、両継手部は軸方向および周方向の間隙を介して対向することになるが、継手部の最外周部で係合しているので、同じ間隙が中心部付近にある場合よりも、軸芯のずれを小さくすることができる。
【0059】
図14に主動軸継手部317の係合歯317aと従動軸継手部318の係合歯318aの噛み合わせ状態を示す。係合歯317aと係合歯318aの噛み合う壁面の延長線の交点330を主動軸継手部317の中心軸よりも外周側に移動したことにより、主動軸継手部317の係合歯317a壁面が係合歯318a壁面を押す力は、接線方向の力F1と軸方向の力F2に分解する。軸方向の力F2により、従動軸継手部318の係合歯318aには外側へ押出される力が働く。このように全ての噛み合わせ箇所でこの力が働くので、お互いが打ち消し合って、主動軸継手部317と従動軸継手部318の回転が同軸となったところで安定する。
【0060】
これにより、回転清掃体104の回転時の振れよる騒音の発生が抑えられる。
【0061】
さらに、係合部が外周部で噛み合うため、目視確認し易いので、着脱が容易にできるとともに係合部に付着した塵埃も見つけやすく、清掃もし易くなる。
【実施例5】
【0062】
図15に本実施例による軸受ユニット315のプーリー部316の斜視図を示す。316aはプーリー316を挟んで両側に配設している軸受323と322を冷却するための放射状リブである。
【0063】
図13に示すように、軸受323と322の高速回転によって発生する熱は、軸321を伝わって、軸受部319の端面が外部空気に触れることによって放熱し、冷却が行われている。本実施例では冷却効果を高めるために、プーリー部316に放射状のリブ316aを設け、軸受部319との間で、空気を拡散させ、外部空気へ熱を逃がしている。
【0064】
したがって、外部空気との循環が効率良くなるので、軸受の温度上昇が起こらず、軸受の寿命劣化を防止できる。
【0065】
本発明の各実施例は床移動型の掃除機だけでなく、アップライト式やスティック式の掃除機にも適用できる。モータ駆動方式の吸口だけでなく、エアー駆動方式にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による吸口体の分解斜視図である。
【図2】本発明による電気掃除機の外観図である。
【図3】本発明による吸口体の下面図である。
【図4】本発明の係止部材の装着状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の係止部材の部分拡大平面図である。
【図6】本発明による吸口体の部分下面斜視図である。
【図7】本発明による吸口体の部分下面斜視図である。
【図8】本発明による吸口体の部分下面斜視図である。
【図9】本発明による吸口体の下面斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施例を示す下ケースの部分拡大斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施例を示す下ケースの部分拡大斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施例を示す軸継手部の斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施例を示す軸受部の断面図である。
【図14】本発明の第4の実施例を示す軸継手部の部分拡大図である。
【図15】本発明の第5の実施例を示すプーリー部の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
104…回転清掃体、120…係止部材、120a…操作部、120b…係止部、120c…案内部、201…掃除機本体、206…吸口体、304,402…軸受押さえ部材、309…軸受部、315…軸受ユニット部、316a…放射状リブ、317…主動軸継手部、317a,318a…係合歯、318…従動軸継手部、502,503…リブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の吸口体は、刷毛やブレードなどの清掃部材を設けた回転清掃体によって被掃除面からごみや塵埃を掻き出して吸引している。
【0003】
回転清掃体の清掃部材は、糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等が絡み付き易く、一旦絡み付くとこの種の塵埃は回転により徐々に蓄積され、清掃部材を固定する筒状基体に締め付けられようになる。
【0004】
これを除去するために、はさみやカッターを持ち出して、絡み付いた塵埃を切断して取り除いていた。
【0005】
この場合、回転清掃体を吸口体から取り外す構造として、例えば特許文献1(特開2000−83874号公報)のようなものが提案されている。特許文献1では、上下ケースの本体と上ケースの上部を覆うカバーとを備え、カバーの縁部にカバー側係止部が設けられ、スライドして被係止部を前記カバー側係止部に対して係合・離脱させるスライド係止部材が吸口本体ケースに設けられている。
【0006】
また、特許文献2(特開2004−16605号公報)には、吸口体の下面側に軸受押さえ部材を吸口体本体に着脱可能に保持させるためのロック部材を備えた吸口体が提案されている。
【0007】
また、回転清掃体と電動機からの駆動源とを連結させる連結機構部には関係なく、回転清掃体を着脱させる構成として、例えば特許文献3(特許第3249188号公報)のような技術が提案されている。特許文献3では、軸受体に係脱自在に係合される係合部を有し、軸受体と回転清掃体の係合部の一方に、他方が挿入係合される嵌合穴を形成している。
【0008】
【特許文献1】特開2000−83874号公報
【特許文献2】特開2004−16605号公報
【特許文献3】特許第3249188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来のスライド方式によるカバーの着脱では、スライド係止部材がケースと摺動する際に、ケースの隙間部から入り込んだ細かい砂や塵埃によって、係合・離脱させる時に重たくなったり,硬くなったりして、動きが渋くなるという問題が生じていた。それにより、指が痛くなる等負担があった。
【0010】
また、カバーの着脱時、スライド係止部材を可動することになるが、係止部材の位置がどちらに可動すると係合・離脱するのか分かりにくい場合があり、カバーの着脱時にスライド係止部材を何度も操作したりすることがある。
【0011】
上記従来技術のロック部材を備えた吸口体では、軸受押さえ部材を吸口体本体に着脱可能に保持させるためにロック部材に溝を設け、コイン等で回転させる構造となっている。そのため、回転清掃体を外したい場合は、必ずコインやそれに準ずる道具が必要となり、それを探したり持ち出したりする手間が増えるので、なかなか面倒で億劫になりがちな作業であった。
【0012】
また、溝形状に一致するコインであれば容易にロック部材の回転が可能であるが、大きさや厚みが異なると溝から外れやすくなり、ロック部材が回転し難く、さらには溝が磨り減ってしまうという心配がある。
【0013】
上記従来技術の回転清掃体を着脱させる構成として、プーリーの中心にテーパー穴が形成され、このテーパー穴に回転清掃体の一端に形成された円錐台形の係合部が係脱自在に支持されているが、テーパー穴と円錐台形の係合部が密着されていないと、回転清掃体が偏心するなどして十分に駆動力を伝達できないという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、これらの問題を解決し、簡単な構成で、回転清掃体を容易に取り付け・取り外しができる電気掃除機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、吸口体の回転清掃体に絡み付いた塵埃を取り除くために、回転清掃体を吸口体から取り外す構造として、軸受押さえ部材と吸口体との開閉手段を係止部材の回動により可能とした。
【0016】
また、回転清掃体の一端側に、主動軸継手と係合する従動軸継手を有し、他端側に吸口体の軸支部に嵌脱自在に支持される軸受部を有し、前記主動軸継手と従動軸継手を係合する部位を最外周部とした。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、回動係止部材は吸口体上ケースと下ケースから張り出した支持部を回動軸とし、軸中心から一端側を開閉時の操作部、反対側を係止部としているので、係止部材の摺動部は回動軸周りと小さい面積となる。したがって、摺動部に細かい砂や塵埃が堆積しても、軸中心から離れた操作部を動作することにより容易に回動することができる。つまり、この原理のように、指の力で係止部材の操作が容易に行える。よって、軸受押さえ部材と吸口体との開閉手段を係止部材の回動で可能となり、回転清掃体を吸口体から取り外す操作が簡単になる。
【0018】
係止部材を吸口体本体の背面側に設置し、操作部の表面を吸口体の外表面と同一か内側に収まるように構成することにより、家具の隙間などに挿入した際に、係止部材が接触して傷を付けたり、邪魔になることがない。
【0019】
また、係止部材の操作部を吸口体中央側から外側に回動した時に軸受押さえ部材が開く構造なので、係止部材が吸口体から外側に突出(はみ出し)している時は開いており、係止部材が吸口体内に収まっている時は閉じていると判断できる。したがって、軸受押さえ部材の開閉状態が明確になり、誤って開状態で吸口を動作させることがない。
【0020】
また、係止部材が回動して軸受押さえ部材を開いた時に、吸口体から外れないように軸受押さえ部材と吸口体とが一部軸支持されているので、紛失や散逸を妨げることができる。
【0021】
係止部材を回動する際に、クリック感を持たせたことにより、軸受押さえ部材と吸口体が係合・離脱する状態を指の感触と音で認識できるので、簡単操作で確実な作業が提供できる。
【0022】
また、回転清掃体の従動軸継手と主動軸継手の係合部において、両継手は軸方向および周方向の間隙を介して対向することになるが、継手の最外周部で係合しているので、同じ間隙が中心部付近にある場合よりも、軸芯のずれを小さくすることができる。これにより、回転清掃体の回転時の振れよる騒音の発生が抑えられる。さらに、係合状態が目視確認し易いので、着脱が容易にできるとともに係合部に付着した塵埃も見つけやすく、清掃もし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図1から図9の図面に従い詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に本実施例による吸口体の分解斜視図を示す。図1において、101は下ケース、100は下ケースの上方に配置された上ケース、104は上ケース100及び下ケース101で覆われた回転清掃体、105は回転清掃体104を駆動するための電動機、107は吸口体を持ち上げたときに自動的に回転停止するための安全スイッチ、108は電動機側プーリー、109は減速プーリーを構成する大プーリー、110は減速プーリーを構成する小プーリー、111は大プーリー109と小プーリー110を連結するシャフトである。
【0025】
電動機105によって発生された駆動力を大プーリー109と小プーリー110を連結するシャフト111を介して回転清掃体104の回転軸端部に伝達する伝達機構を構成している。
【0026】
120は下ケース101の下面側に位置する軸受押さえ部材(図示せず)を開閉するための係止部材であり、上ケース100と下ケース101から張り出した支持部を回動軸とし、組み付けにより上下方向で支持し、係止部材120の抜け外れを規制している。
【0027】
102は吸口体本体内部と外部(掃除機本体)とを連通する空気通路が形成された自在継手のうち吸口体本体に対して上下方向に回動可能な第1の接続管、103は自在継手のうち前記第1の接続管に対して左右方向に回動可能な第2の接続管である。
【0028】
図1において、回転清掃体104の回転軸に沿う方向を吸口体の左右方向と呼び、この左右方向は通常吸口体の長手方向と一致する。また、吸口体の上下方向に関しては、吸口体を水平な床面上に置いた状態で、開口118が形成された側を下面側、反対側を上面側と呼ぶ。また、吸口の進行方向側を正面側,後退方向側を背面側として説明する。
【0029】
図2に本実施例による電気掃除機の外観図を示す。201は後部に吸口体本体が集塵するのに必要な吸気風を発生させる電動送風機(図示せず)を内蔵し、前部には塵埃を集塵する集塵室(図示せず)を内蔵した電気掃除機本体、202は電気掃除機本体201に接続され、柔軟に可動するように形成されたホース体、203は前記ホース体202に接続されて前記電気掃除機本体201や吸口体206を制御する手元スイッチ204を内蔵し、ホース体202と延長管205と連通する流路(図示せず)を持つハンドルグリップである。また、ホース体202とハンドルグリップ203及び延長管205には、吸口体206に電気を供給する給電線(図示せず)が内蔵されている。
【0030】
図3に本実施例による吸口体本体を下から見たときの平面(下面図)を示す。118は吸口体下ケース101に設けられた床面開口部で、被清掃面に面する。301はバンパー、300は固定刷毛、303は後方車輪である。107は吸口体を持ち上げたときに自動的に停止するための安全スイッチであり、107aは被清掃面に設置されているかを検出するための床面検出車輪である。
【0031】
315は軸受ユニット部で、軸受を内蔵し、その外周に電動機105からの駆動力を伝達するプーリー316を配置し、プーリー316を挟んで両側に軸受部を配設し、吸口体内に軸支している。317はプーリー316と一体で回転し、電動機の回転力を伝達する主動軸継手部である。
【0032】
回転清掃体104の一端側には、主動軸継手部317と係合する従動軸継手部318を有し、他端側に吸口体の軸支部に嵌脱自在に支持される軸受部319を有している。主動軸継手部317と従動軸継手部318には、最外周に凹凸の歯317aと318aを形成し、両者を噛み合わせることで係合している。305は軸受ユニット部315を覆うユニット押さえ部材である。
【0033】
回転清掃体104の清掃部材307,308は、繊維等による刷毛の他、軟質のブレード状のものを用いて構成することができ、刷毛やブレードをそれぞれ単独で、或いは刷毛とブレードとを混在させて構成することができる。また、筒状基体306を形成する部材で一体に成形した突出部で清掃部材を構成してもよい。いずれにしても、清掃部材は筒状基体306の外周面から外方に突出するように構成される。
【0034】
304は軸受押さえ部材であり、120は軸受押さえ部材304を吸口本体の下ケース101に着脱(開閉)可能に保持させる係止部材であり、吸口体本体の背面側に設置している。
【0035】
図4,図5に本実施例による係止部材120付近の分解斜視図を示す。係止部材120は、吸口体上ケース100と下ケース101から張り出した支持部100aと101aを回動軸とし、軸中心から一端側を開閉時の操作部120a,反対側を係止部120bとし、組み付けにより上下方向で支持し、係止部材120の抜け外れを規制している。この係止部材120の回動により、軸受押さえ部材304と吸口体101との開閉(着脱)が可能となる。
【0036】
軸受押さえ部材304の内側側面には、係止部材120の係止部120bが出没できるスリット上の穴304aを有し、先端には下ケース101と結合するための爪(図示せず)を設けている。
【0037】
図5(a)は、係止部材120の操作部120aを吸口体中央側から外側に回動した時に軸受押さえ部材304と係合している係止部120bが外れ、吸口体101から軸受押さえ部材304が離脱する状態を示す。(b)は、係止部材120の操作部120aを外側から吸口体中央側に回動し、係止部120bが軸受押さえ部材304と係合し、吸口体101に装着している状態を示す。操作部120aは吸口体ケースの外表面と同一か内側に収まるように構成している。
【0038】
次に本実施例の動作を説明する。掃除機使用者がハンドルグリップ203に設置されたスイッチ操作部204を操作すると、操作されたスイッチに従った動作モードで電気掃除機本体201内の電動送風機が運転する。電動送風機によって発生した吸引力は、ホース体202,延長管205を通って吸口体206に到達する。それと同時に、ホース体202および延長管205に設けられた電源線から供給された電源が、回路基板106を介して電動機105を駆動する。
【0039】
電動機105とプーリー,ベルトで連結している回転清掃体104が回転することにより、回転清掃体104の清掃部材である刷毛やブレードによって被掃除面からごみや塵埃を掻き出して吸い込んでいる。
【0040】
回転清掃体104の清掃部材307は、糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等が絡み付き易く、一旦絡み付くとこの種の塵埃は回転により徐々に蓄積され、清掃部材を固定する筒状基体に締め付けられようになる。
【0041】
図6から図9に従い、前記回転清掃体104の清掃部材307に絡んだ糸くずなどの繊維状のものや、髪の毛等を取り除く回転清掃体104のお手入れ方法について説明する。
【0042】
まず、使用者がスイッチ操作部204により、電源を遮断し、延長管から吸口体206を外す。
【0043】
図6に示すように、吸口体の下面側を上面側に向ける。係止部材120の操作部120aに操作者の指を添え、吸口体中央側から外側に回動し、軸受押さえ部材304と係止部120bの係合を解除する。そして、図7に示すように吸口体下ケース101から軸受押さえ部材304を開け、図8のように軸受押さえ部材304を外す。次に、図9のように、回転清掃体104の軸受部319側の清掃部材を摘み、上方に引き上げると、軸受部309が吸口体の軸支部から嵌脱され、次いで回転清掃体104を斜め上方に引き上げることにより、従動軸継手部318が主動軸継手部317との係合から解除され、回転清掃体104が吸口体206から離脱できる。離脱した回転清掃体104に、はさみやカッターを用い、絡み付いた塵埃の除去作業を行う。この時、回転清掃体104は水洗いも可能である。
【0044】
作業後は、上記の逆で、回転清掃体104を吸口体206に組み込むには、回転清掃体104の従動軸継手部318の歯を吸口体内部の主動軸継手部317の歯に挿入し、両者を噛み合わせることで係合させ、回転清掃体104の反対側の軸受部309を吸口体の軸支部に上方から押し込む。次に、軸受押さえ部材304の爪304aを吸口体下ケース101に引っ掛け、軸受押さえ部材304を取り付け、外側にはみ出している係止部材120の操作部120aを吸口体中央側に回動し、軸受押さえ部材304と係止部120bに係合させればよい。
【0045】
以上の構成により、回動係止部材120は吸口体上ケースと下ケースから張り出した支持部を回動軸としているので、係止部材120の摺動部は回動軸周りと小さい面積となる。したがって、ケースの隙間部から入り込んだ細かい砂や塵埃が摺動部に堆積しても、軸中心から離れた操作部を動作することにより容易に回動することができる。つまり、てこの原理のように、指の力で係止部材120の操作が容易に行える。少々の塵埃の堆積では係合・離脱させる時に動きが渋くなることはないので塵埃の詰りに有利である。
【0046】
また、係止部材120の操作部120aを吸口体中央側から外側に回動した時に軸受押さえ部材304が開く構造なので、操作部120aが吸口体から外側に突出(はみ出し)している時は開いており、操作部120aが吸口体内に収まっている時は閉じていると判断できる。したがって、軸受押さえ部材の開閉状態が明確になり、誤って開状態で吸口を動作させることがない。
【0047】
また、係止部材120を吸口体本体の背面側に設置したことにより、デザインの変更もなく、吸口体の大型化を回避することが可能である。操作部120aは吸口体ケースの外表面と同一か内側に収まるように構成しているので、家具の隙間などに挿入した際に、係止部材が接触して傷を付けたり、邪魔になることがない。
【0048】
さらに、回転清掃体104の取り外し操作には、コインなどの道具が不要なので、なかなか面倒で億劫になりがちな塵埃の清掃作業も容易に行うことができる。
【実施例2】
【0049】
図10に本実施例による下ケース401の前方下部の部分拡大斜視図を示す。402は軸受押さえ部材であり、軸受押さえ部材402の先端両側部分に突起部402aを形成し、下ケース401に軸支され、回転可能に保持されている。
【0050】
実施例1と同様に、回転清掃体104の清掃作業を行う際に、係止部材120を吸口体中央側から外側に回動し、軸受押さえ部材402との係合を解除する。次に、吸口体下ケース401から軸受押さえ部材402を開けるが、軸受押さえ部材402の一部が吸口体に支持されて、外れないようにしているので、紛失や散逸を妨げることができる。
【実施例3】
【0051】
図11に本実施例による下ケース501の係止部材120側の部分拡大斜視図を示す。係止部材120には、操作部120a,軸受押さえ部材304を開閉するための係止部120bと開閉動作時にクリック感を出す案内部120cが形成されている。下ケース501には前記案内部120cが回動した時に接触可能になるようにリブ502と503を設けている。
【0052】
(a)は、軸受押さえ部材304と吸口体101が係合している状態であり、係止部材120の操作部120aは吸口体に収められている。この時、前記案内部120cをリブ503で回動方向の動きを規制している。軸受押さえ部材304を開けようと、操作部120a中央側から外側に回動すると、まず、前記案内部120cがリブ503に接触し抵抗となるが、回動を続けるとリブ503を乗り越える。この時に一度、操作の抵抗感から開放されるクリック感が指に伝わり、操作が開始したことが実感できる。(b)のように、さらに外側に回動すると案内部120cがリブ502に接触し抵抗となり、回動を続けるとリブ502を乗り越え、二度目のクリックを感じ、軸受押さえ部材304と係合している係止部120bが外れ、吸口体101から軸受押さえ部材304が離脱できる状態になったことが実感できる。
【0053】
軸受押さえ部材304を係合する場合は上記と逆になる。
【0054】
このように、係止部材120の回動時に、クリック感を持たせたことにより、軸受押さえ部材304と吸口体101が係合・離脱する状態を指の感触と音で認識できるので、簡単操作で確実な作業が提供できる。
【実施例4】
【0055】
図12に本実施例による主動軸継手部317と係合する従動軸継手部318の斜視図を示し、図13に各々の断面図を示す。315は軸受ユニット部で、電動機105からの駆動力を伝達するプーリー316を配置し、プーリー316を挟んで両側に軸受323と322を内蔵した軸受部320と319を配設している。317はプーリー316と軸321を介して一体で回転し、電動機の回転力を伝達する主動軸継手部である。主動軸継手部317の外周には、回転力を回転清掃体104に伝達するための係合歯317aを形成している。
【0056】
回転清掃体104の一端側には、主動軸継手部317と係合する従動軸継手部318を有し、最外周に係合歯318aを形成し、両者を噛み合わせることで係合している。主動軸継手部317の内周には回転清掃体104の円筒筒体が挿入され、外周部には段差を設けて係合歯318aを形成している。
【0057】
係合歯318aを回転清掃体104の外周より外側に設けることにより、係合歯317a,318aの軸方向長さが短くても、係合歯318aの歯の噛み合わせ高さを確保することができ、軸方向の清掃部材の長さを有効に使うことができる。
【0058】
回転清掃体104の主動軸継手部317と従動軸継手部318の係合部において、両継手部は軸方向および周方向の間隙を介して対向することになるが、継手部の最外周部で係合しているので、同じ間隙が中心部付近にある場合よりも、軸芯のずれを小さくすることができる。
【0059】
図14に主動軸継手部317の係合歯317aと従動軸継手部318の係合歯318aの噛み合わせ状態を示す。係合歯317aと係合歯318aの噛み合う壁面の延長線の交点330を主動軸継手部317の中心軸よりも外周側に移動したことにより、主動軸継手部317の係合歯317a壁面が係合歯318a壁面を押す力は、接線方向の力F1と軸方向の力F2に分解する。軸方向の力F2により、従動軸継手部318の係合歯318aには外側へ押出される力が働く。このように全ての噛み合わせ箇所でこの力が働くので、お互いが打ち消し合って、主動軸継手部317と従動軸継手部318の回転が同軸となったところで安定する。
【0060】
これにより、回転清掃体104の回転時の振れよる騒音の発生が抑えられる。
【0061】
さらに、係合部が外周部で噛み合うため、目視確認し易いので、着脱が容易にできるとともに係合部に付着した塵埃も見つけやすく、清掃もし易くなる。
【実施例5】
【0062】
図15に本実施例による軸受ユニット315のプーリー部316の斜視図を示す。316aはプーリー316を挟んで両側に配設している軸受323と322を冷却するための放射状リブである。
【0063】
図13に示すように、軸受323と322の高速回転によって発生する熱は、軸321を伝わって、軸受部319の端面が外部空気に触れることによって放熱し、冷却が行われている。本実施例では冷却効果を高めるために、プーリー部316に放射状のリブ316aを設け、軸受部319との間で、空気を拡散させ、外部空気へ熱を逃がしている。
【0064】
したがって、外部空気との循環が効率良くなるので、軸受の温度上昇が起こらず、軸受の寿命劣化を防止できる。
【0065】
本発明の各実施例は床移動型の掃除機だけでなく、アップライト式やスティック式の掃除機にも適用できる。モータ駆動方式の吸口だけでなく、エアー駆動方式にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による吸口体の分解斜視図である。
【図2】本発明による電気掃除機の外観図である。
【図3】本発明による吸口体の下面図である。
【図4】本発明の係止部材の装着状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の係止部材の部分拡大平面図である。
【図6】本発明による吸口体の部分下面斜視図である。
【図7】本発明による吸口体の部分下面斜視図である。
【図8】本発明による吸口体の部分下面斜視図である。
【図9】本発明による吸口体の下面斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施例を示す下ケースの部分拡大斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施例を示す下ケースの部分拡大斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施例を示す軸継手部の斜視図である。
【図13】本発明の第4の実施例を示す軸受部の断面図である。
【図14】本発明の第4の実施例を示す軸継手部の部分拡大図である。
【図15】本発明の第5の実施例を示すプーリー部の斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
104…回転清掃体、120…係止部材、120a…操作部、120b…係止部、120c…案内部、201…掃除機本体、206…吸口体、304,402…軸受押さえ部材、309…軸受部、315…軸受ユニット部、316a…放射状リブ、317…主動軸継手部、317a,318a…係合歯、318…従動軸継手部、502,503…リブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と集塵部とを有する掃除機本体と、被清掃面に対面する開口部を有し前記集塵部に連通する吸口体とを備えた電気掃除機において、
前記吸口体内に回転清掃体と、前記回転清掃体を駆動するための電動機を備え、
前記吸口体内に軸受を内蔵する軸受ユニット部とその外周に前記電動機からの駆動力を伝達するプーリーを配置し、
前記プーリーと一体で回転し、前記電動機の回転力を伝達する主動軸継手を設け、
前記回転清掃体の一端側に、前記主動軸継手と係合する従動軸継手を有し、
前記回転清掃体の他端側に、前記吸口体の軸支部に嵌脱自在に支持される軸受部を有し、
前記主動軸継手と前記従動軸継手を係合する部位は最外周としたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1において、
軸受を内蔵する軸受ユニット部と前記主動軸継手を吸口体内に軸支する軸受部を軸受ユニット部のプーリーを挟んで両側に配設し、前記主動軸継手と反対側の軸受部とプーリーとの間に軸受冷却用のリブを設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
電動送風機と集塵部とを有する掃除機本体と、被清掃面に対面する開口部を有し前記集塵部に連通する吸口体とを備えた電気掃除機において、
前記吸口体は、回転清掃体と、前記回転清掃体を駆動するための電動機を備え、
前記吸口体は、軸受を内蔵する軸受ユニット部と前記電動機からの駆動力を伝達する伝達部を配置し、
前記回転清掃体の一端側に、前記伝達部が設けられ、
前記回転清掃体の他端側に、前記吸口体に嵌脱自在に支持される軸受部が設けられたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項3において、
前記伝達部は、前記電動機の回転力を伝達する第1の継手を有し、
前記回転清掃体の一端側に、前記第1の継手と係合する第2の継手を有し、
前記第1の継手と前記第2の継手は、外周側で係合されることを特徴とする電気掃除機。
【請求項1】
電動送風機と集塵部とを有する掃除機本体と、被清掃面に対面する開口部を有し前記集塵部に連通する吸口体とを備えた電気掃除機において、
前記吸口体内に回転清掃体と、前記回転清掃体を駆動するための電動機を備え、
前記吸口体内に軸受を内蔵する軸受ユニット部とその外周に前記電動機からの駆動力を伝達するプーリーを配置し、
前記プーリーと一体で回転し、前記電動機の回転力を伝達する主動軸継手を設け、
前記回転清掃体の一端側に、前記主動軸継手と係合する従動軸継手を有し、
前記回転清掃体の他端側に、前記吸口体の軸支部に嵌脱自在に支持される軸受部を有し、
前記主動軸継手と前記従動軸継手を係合する部位は最外周としたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
請求項1において、
軸受を内蔵する軸受ユニット部と前記主動軸継手を吸口体内に軸支する軸受部を軸受ユニット部のプーリーを挟んで両側に配設し、前記主動軸継手と反対側の軸受部とプーリーとの間に軸受冷却用のリブを設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項3】
電動送風機と集塵部とを有する掃除機本体と、被清掃面に対面する開口部を有し前記集塵部に連通する吸口体とを備えた電気掃除機において、
前記吸口体は、回転清掃体と、前記回転清掃体を駆動するための電動機を備え、
前記吸口体は、軸受を内蔵する軸受ユニット部と前記電動機からの駆動力を伝達する伝達部を配置し、
前記回転清掃体の一端側に、前記伝達部が設けられ、
前記回転清掃体の他端側に、前記吸口体に嵌脱自在に支持される軸受部が設けられたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項4】
請求項3において、
前記伝達部は、前記電動機の回転力を伝達する第1の継手を有し、
前記回転清掃体の一端側に、前記第1の継手と係合する第2の継手を有し、
前記第1の継手と前記第2の継手は、外周側で係合されることを特徴とする電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−45503(P2009−45503A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310373(P2008−310373)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【分割の表示】特願2006−173259(P2006−173259)の分割
【原出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【分割の表示】特願2006−173259(P2006−173259)の分割
【原出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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