説明

電気掃除機

【課題】駆動時の遮音性を向上しつつ停止時の放熱性を確保した電気掃除機を提供する。
【解決手段】掃除機本体13に収容した電動送風機27の上方を覆って、電動送風機27の駆動に伴って減圧する空間部81を設ける。電動送風機27の駆動時には、空間部81の減圧により空間部81での電動送風機27からの騒音の遮音性を向上できる。電動送風機27の停止時には空間部81の内圧が大気圧へと復帰することで、放熱性を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機本体に電動送風機を収容した電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機に用いられる電動送風機は、電動機であるモータの回転軸に遠心ファンが連結され、遠心ファンとモータとの間に整流板が配置され、遠心ファンの中心の吸込口を除く部分がファンカバーにより覆われて構成されている。そして、モータの駆動に伴って遠心ファンが回転することにより負圧を発生させ、遠心ファンから外周方向に吹き出された空気を整流板によって整流して、この空気をモータのケース体の内部に通過させた後、排気口から排気する。
【0003】
このような構成では、モータ、遠心ファンおよび整流板などから駆動音あるいは風切り音などの騒音が発生し、外部に漏れることがある。
【0004】
そこで、モータのケース体、あるいはファンカバーを気密な二重構造とし、それらの間を真空層とすることで、この真空層によって遮音性を向上した構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−320854号公報(第2−4頁、図1−3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成では、真空層を常時形成しているため、電動送風機から発生する騒音の漏れを抑制することが可能である一方で、同時に電動送風機から発生する熱の伝播をも真空層が遮断してしまい、掃除機本体の内部に熱が篭りやすくなるという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、駆動時の遮音性を向上しつつ停止時の放熱性を確保した電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、掃除機本体に収容した電動送風機の少なくとも一部を覆い、この電動送風機の駆動に伴って減圧される空間部を具備したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電動送風機の駆動に伴って減圧される空間部によって電動送風機の少なくとも一部を覆うことで、電動送風機の駆動時には、空間部の減圧によりこの空間部での電動送風機からの騒音の遮音性を向上できるとともに、電動送風機の停止時には空間部の内圧が復帰することで、放熱性を確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0010】
図3において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0011】
管部12は、掃除機本体13の前部に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0012】
手元操作部17には、作業者が把持するための把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、設定ボタン22が複数設けられている。
【0013】
また、掃除機本体13は、図1ないし図3に示すように、例えば合成樹脂などにより形成された本体ケース25を備え、この本体ケース25の内部には、前部に集塵室である本体集塵室26が区画され、後部の下側に、電動送風機27を収容する電動送風機室28、および、商用交流電源などの電源から電動送風機27などへと給電するための図示しない電源コードを出し入れ可能に巻回したコードリール29を収容するコードリール室30が左右幅方向に並んでそれぞれ区画され、これら電動送風機室28とコードリール室30との上側に、空間部区画体31を収容する収容室32が区画され、かつ、電動送風機室28、コードリール室30および収容室32の後部に、電動送風機室28の下流側に連通する排気空間部33が区画されている。
【0014】
本体ケース25は、上側が開口した下ケース34と、この下ケース34の上側後部を覆う上ケース35と、上ケース35あるいは下ケース34に対して上下方向に回動可能に後端側が軸支され本体集塵室26を開閉可能とする蓋体としての本体蓋36と、複数の排気孔37が穿設され排気空間部33の後部を覆う後部パネル38とを備えている。そして、下ケース34の両側方の後部寄りの位置には、掃除機本体13の走行用の大径の走行輪39が回転自在に軸支されている。
【0015】
本体集塵室26は、紙パック、あるいは集塵装置などの図示しない集塵部が着脱可能である。また、本体集塵室26は、下ケース34の前部に形成された本体吸込口40を介して管部12と連通接続される。さらに、この本体集塵室26の後部は、電動送風機室28およびコードリール室30と隔壁41を介して区画されており、この隔壁41には、円形状の連通口42が開口形成され、この連通口42が、略筒状の通気部としての負圧部である整流部43を介して電動送風機室28と連通している。
【0016】
連通口42の前部、すなわち本体集塵室26側には、格子状のリブ45が形成されている。また、このリブ45の前部には、本体集塵室26の後部に位置して、図示しないフィルタを保持する格子枠状のフィルタ保持枠47が取り付けられている。
【0017】
整流部43は、本体集塵室26(集塵部)を通過した空気を、電動送風機27へと整流しつつ導くインデューサ部であり、略筒状に形成され、隔壁41から後方へと突出している。
【0018】
電動送風機27は、電動機であるモータ51と、このモータ51の回転軸51aに連結される遠心ファン52と、これらモータ51と遠心ファン52との間に位置する整流板53と、遠心ファン52の一部を覆うファンカバー54とを備えている。また、この電動送風機27は、吸込側(上流側)である遠心ファン52側を前側に向けた状態で電動送風機室28に収容され、ファンカバー54の周囲および前側がシール部材としての緩衝部材であるモータクッション55を介して整流部43の後端すなわち下流側に気密に接続されている。
【0019】
モータ51は、例えば直流モータであり、電動機本体であるモータ本体部58と、このモータ本体部58を収容するケース体であるモータケース59とを有している。
【0020】
モータ本体部58は、回転軸51aと一体的に形成された回転極であるロータ(回転子(電機子))およびコンミュテータ(整流子)と、このロータを内部に配置する固定極である枠状のステータ(固定子)とを備え、コンミュテータの外周に、図示しないブラシ装置が弾性的に圧接され、このブラシ装置が電源側に電気的に接続されている。
【0021】
モータケース59は、ケース体本体である略有底円筒状のモータケース本体61と、このモータケース本体61の開口側に径方向に横断するように取り付けられた保持部62とを備えている。
【0022】
モータケース本体61は、モータ本体部58を内部に収容する部分であり、後部近傍の外周に、複数の排気口64が開口形成されている。これら排気口64は、例えばモータケース本体61の上部と下部とにそれぞれ位置している。また、このモータケース本体61の後部には、回転軸51aの後端部を回転可能に保持するためのベアリングを収容する図示しないモータヘッド部が突設され、このモータヘッド部が、電動送風機室28およびコードリール室30と排気空間部33とを区画する区画壁である後部隔壁65へと、保持部材としての緩衝部材である後部モータクッション66を介して弾性的に保持されている。
【0023】
後部モータクッション66は、例えばエラストマなどの弾性を有する部材により形成され、後部隔壁65に開口形成された取付開口67に装着および保持されている。
【0024】
保持部62は、回転軸51aの前端側を回転可能に保持するためのベアリングなどを内部に収容するとともに、モータケース本体61と反対側である前側に整流板53を保持する部分である。
【0025】
遠心ファン52は、円形状の吸気口68が前部に開口形成されており、後部が回転軸51aに図示しないナットなどを介して固定されている。また、遠心ファン52の内部には、吸気口68に連通する風路を区画する図示しない複数のファン翼が形成されており、これらファン翼によって、吸気口68から吸い込んだ空気を、外周側へと吹き出すように整流する。
【0026】
整流板53は、遠心ファン52の外周に一部が対向しており、遠心ファン52から吹き出された空気を整流しつつモータ51のモータケース59のモータケース本体61内へと、保持部62の両側から導くように複数の固定翼を備えている。
【0027】
ファンカバー54は、モータケース本体61の前部に後端部が取り付けられて遠心ファン52と整流板53とを覆っている。また、このファンカバー54は、前側へと縮径され、前端部に、遠心ファン52の吸気口68と連通する円形状の吸込口71が開口形成されている。
【0028】
モータクッション55は、エラストマなどの弾性を有する部材により略円筒状に形成されており、ファンカバー54の吸込口71の周囲を整流部53に対して気密に閉塞している。また、このモータクッション55の下部は、下ケース34の下部から上方に向けて突出した支持部である複数の支持リブ73の上端部に支持され、上側が、電動送風機室28およびコードリール室30と収容室32とを区画するカバー体74に支持されている。すなわち、モータクッション55は、支持リブ73とカバー体74とによって上下から挟持されている。
【0029】
ここで、カバー体74は、下ケース34に対して着脱可能に設けられ、下ケース34から上方に向けて突出し電動送風機室28とコードリール室30とのそれぞれの下側を区画するための区画壁部である下部隔壁76の上端部と、下ケース34のコードリール室30と反対側の一側部に段差状に形成された段差部77との間に両側の下端側が支持されている。また、このカバー体74は、放熱性が良好な合成樹脂などの部材により形成されている。
【0030】
コードリール29は、左右幅方向に沿って軸を有するコイルボビン状に形成されており、コードリール室30に回転可能に軸支されている。このコードリール室30の後部に位置する後部パネル38には、図示しないコード導出口が開口形成されており、このコード導出口から電源コードを掃除機本体13(本体ケース25)の外部へと出し入れ可能となっている。
【0031】
また、空間部区画体31は、内部に遮音用および放熱用の空間部81を区画する四角形箱状の区画体本体82と、この区画体本体82から突出した接続部としての連通部83とを備えている。さらに、空間部区画体31は、例えば熱伝導率が良好な樹脂または金属などの硬質の部材によって形成されている。なお、電動送風機27の駆動により発生する騒音は、例えば遠心ファン52のファン翼の枚数および回転数、あるいは整流板53の固定翼の枚数などにより設定される所定の周波数、例えば4.5kHzおよび9kHzなどにピークを有することが多いため、このような周波数を固有振動数としないように空間部区画体31を構成することが好ましい。
【0032】
区画体本体82は、図1および図2に示すように、電動送風機27の上方全体を覆っている。すなわち、この区画体本体82は、正面視で電動送風機27の左右幅方向の略全体の上部に対向し(図2)、かつ、側面視で電動送風機27の前端から後端に亘って略全体の上部に対向するように形成され、カバー体74の上部に密着するように載置されている。したがって、空間部81は、電動送風機27の上方全体を覆うように区画されている。
【0033】
また、連通部83は、区画体本体82の前端下側から前側下方へと傾斜状に突出し、先端側が整流部43の上部に気密に接続されている。すなわち、この連通部83(空間部81)は、電動送風機27の負圧側に気密に接続されて連通している。換言すれば、この連通部83を介して、空間部81と電動送風機27の負圧側との空気が互いに行き来できるように構成されている。さらに、この連通部83は、整流部43での微小な負圧変化量が空間部81へと伝わることを抑制するために、風路断面積が抑制されている。
【0034】
収容室32には、図示しないが、設定ボタン22(図3)により設定された動作モードで電動送風機27を駆動させる制御手段なども収容されている。
【0035】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0036】
掃除の際には、作業者は、まず本体ケース25の本体蓋36を開けて本体集塵室26に集塵部を装着し、本体蓋36を閉じる。
【0037】
この状態で、本体吸込口40にホース体16(接続管部15)、延長管18および床ブラシ19を順次連通接続するとともに、本体ケース25から電源コードを引き出して壁面などのコンセントに接続し、作業者が把持部21を把持して所定の設定ボタン22を操作すると、制御手段が電動送風機27を設定ボタン22で設定した動作モードで駆動させる。
【0038】
この電動送風機27の駆動に伴い、整流部43および連通部83を介して空間部81内の空気が吸い出されて減圧され、空間部81が真空状に減圧された状態となる。
【0039】
そして、作業者は、床ブラシ19を床面上で前後方向に走行させ、電動送風機27の負圧の作用により、床ブラシ19の先端側から床面上の塵埃を空気とともに吸い込む。
【0040】
この吸い込まれた空気は吸込風となり、塵埃とともに床ブラシ19から延長管18、ホース体16および本体吸込口40を経由して、集塵部へと吸い込まれる。
【0041】
集塵部で塵埃が捕集された吸込風は、隔壁41の連通口42を通過し、整流部43により整流されつつファンカバー54の吸込口71に吸い込まれ、さらに回転している遠心ファン52の吸気口68に吸い込まれる。
【0042】
さらに、この吸込風は、遠心ファン52にてファン翼により整流されつつ、この遠心ファン52の外周へと吹き出され、整流板53の固定翼によって整流されながらモータ51のモータケース59内へと流れ、モータ本体部58を冷却した後、排気風となって排気口64から電動送風機室28内へと排気される。
【0043】
そして、この排気風は、電動送風機室28から一部がコードリール室30へと分岐されてコードリール29を冷却した後、残りの他部とともに排気空間部33を介して排気孔37から掃除機本体13(本体ケース25)の外部へと排気される。
【0044】
このとき、内部が真空状となった空間部区画体31、すなわち減圧された空間部81が電動送風機27の上部に位置することにより、電動送風機27の駆動に伴う騒音、例えばモータ51の駆動音、遠心ファン52あるいは整流板53などの風切り音などが、空間部81によって遮断され、外部に漏れにくくなる。
【0045】
掃除が終了すると、作業者が所定の設定ボタン22を操作することで、制御手段が電動送風機27の駆動を停止させる。
【0046】
このとき、電動送風機27の駆動によって形成される負圧が低下していくことに伴って、整流部43および連通部83を介して空間部区画体31の内部、すなわち空間部81へと空気が吸い込まれ、空間部81の内部が整流部43および連通部83と同等の気圧、すなわち大気圧へと復帰する。
【0047】
そして、電動送風機27では、モータ51のモータケース59内を通過する空気が停止するため、モータ本体部58で発生する熱が上方へと放出され、カバー体74、および、空間部区画体31すなわち大気圧に復帰した空間部81を介して掃除機本体13(本体ケース25)の外部へと放熱される。
【0048】
このように、上記第1の実施の形態によれば、電動送風機27の駆動に伴って減圧される空間部81によって電動送風機27の上方を覆うことで、電動送風機27の駆動時には、空間部81が真空状に減圧されることによりこの空間部81での電動送風機27からの騒音の遮音性を向上できるとともに、電動送風機27の停止時には空間部81の内圧が大気圧まで復帰することで、この空間部81内の空気を介して熱の伝播が行われ、放熱性を確保できる。
【0049】
すなわち、電動送風機27からの騒音を遮断するために真空状の空間部を形成すると、遮音性が向上する一方で、断熱性も向上してしまい、電動送風機27で発生する熱の放熱を妨げるおそれがあるため、空間部81の内圧を、電動送風機27の駆動状態に対応させて変化させることで、遮音性を向上しながら、放熱性を確保することが可能になる。
【0050】
具体的に、空間部81を電動送風機27の負圧側に連通させることにより、電動送風機27の駆動に伴って空間部81の空気が吸い出されて空間部81が真空状となり、電動送風機27の駆動時には空間部81を真空状に維持することができるとともに、電動送風機27が停止すると、空間部81へと空気が吸い込まれて空間部81内が大気圧に復帰するように容易に構成できる。
【0051】
特に、電動送風機27は、駆動中には自ら吸い込んだ空気の流れがモータ51の内部を通過するため、発熱が抑制されているものの、停止するとこの空気の流れも停止し、発熱が抑制されなくなる。したがって、電動送風機27は、停止した直後が最も熱を多く放出するので、電動送風機27の負圧側に空間部81を連通させることにより、電動送風機27が停止すると直ちに空間部81へと空気が吸い込まれて空間部81が大気圧に復帰するため、最も放熱が要求されるタイミングで空間部81での良好な放熱性を得ることができる。
【0052】
しかも、電動送風機27は、上流の風量が絞られるほど負圧が高くなり、それに伴って、発生する騒音も大きくなるが、本実施の形態では、空間部81を電動送風機27の負圧側に連通させているので、電動送風機27の負圧が高いほど、空間部81内の真空度も高くなり、遮音効果を大きくすることができる。
【0053】
さらに、空間部81を区画する空間部区画体31を、放熱性が良好でかつ硬質な部材により形成することにより、空間部81内が減圧された状態でも空間部区画体31が変形しにくく、かつ、空間部81内が大気圧に復帰した状態での放熱を妨げることもない。
【0054】
そして、電動送風機27からの騒音および発熱は、他の方向と比較すると、それぞれ上方へと最も伝達されやすいので、空間部81を電動送風機27の上方に配置し、この電動送風機27の上方の略全体を空間部81で覆うことにより、効果的に遮音性および放熱性を得ることができる。
【0055】
なお、上記第1の実施の形態において、空間部区画体31は、カバー体74上に配置する構成に限定されるものではない。
【0056】
次に、第2の実施の形態を図4を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、空間部区画体31の区画体本体82が、電動送風機27の上方に位置する上部本体部82aと、電動送風機27の下流側である後方に位置する下流側本体部である後部本体部82bと、電動送風機27の下方に位置する下部本体部82cと、電動送風機27の両側方に位置する側部本体部82d(一方のみ図示)とを一体に備え、電動送風機27の上下左右および下流側すなわち後部を覆っているものである。
【0058】
上部本体部82aは、正面視で電動送風機27の左右幅方向の略全体の上部に対向し、かつ、側面視で電動送風機27の前端から後端に亘って略全体の上部に対向するように形成されて、電動送風機27の上方の略全体を覆っている。
【0059】
後部本体部82bは、上部本体部82aの後部から下方へと屈曲して形成されており、正面視で電動送風機27の左右幅方向の略全体の後部に対向し、かつ、側面視で電動送風機27の後部全体に対向するように形成されて、電動送風機27の後方の全体を覆っている。また、この後部本体部82bの前部には、後部モータクッション66が保持されている。
【0060】
下部本体部82cは、後部本体部82bの下端部から前方へと屈曲して形成されており、上部本体部82aと同様に、正面視で電動送風機27の左右幅方向の略全体の上部に対向し、かつ、側面視で電動送風機27の前端から後端に亘って略全体の下部に対向するように形成されて、電動送風機27の下方の略全体を覆っている。また、この下部本体部82cの前端側の上部は、モータクッション55の下側を支持している。
【0061】
側部本体部82dは、上部本体部82a、後部本体部82bおよび下部本体部82c全体に連続して形成されており、側面視で電動送風機27の側方の略全体に対向し、この電動送風機27の側方の全体を覆っている。
【0062】
なお、区画体本体82の外部には、図示しないが、電動送風機27の排気口と排気空間部33などの排気側とを連通する連通風路が形成されている。
【0063】
そして、電動送風機27の駆動に伴って減圧される空間部81によって電動送風機27の全体を覆うことで、電動送風機27の駆動時には、空間部81が真空状に減圧されることによりこの空間部81での電動送風機27からの騒音の遮音性を向上できるとともに、電動送風機27の停止時には空間部81の内圧が大気圧まで復帰することで、この空間部81内の空気を介して熱の伝播が行われ、放熱性を確保できるなど、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0064】
また、空間部81は、電動送風機27の吸込口71よりも下流側の全体を覆っているため、電動送風機27の駆動時の空間部81での遮音性をより向上できるとともに、空間部81の表面積が広がるので、電動送風機27の停止時の空間部81での放熱性をより向上できる。
【0065】
なお、上記第2の実施の形態において、空間部区画体31の区画体本体82に側部本体部82dを設けない構成としてもよい。この場合には、遮音性および放熱性を確保しつつ、空間部区画体31を比較的小さいスペースに配置できる。
【0066】
また、空間部81は、空間部区画体31などの1つの部材によって区画されるものだけでなく、例えばカバー体74と上ケース35とのそれぞれから壁部を突出して、これら壁部を接続することにより形成するなどの構成でもよい。
【0067】
さらに、空間部81は、電動送風機27の少なくとも一部を覆うように形成すれば、その覆う箇所は適宜設定できる。
【0068】
そして、電気掃除機11の細部は、上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電気掃除機の掃除機本体を示す縦断面図である。
【図2】同上電気掃除機を示す横断面図である。
【図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の電気掃除機の掃除機本体を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0070】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
27 電動送風機
81 空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の少なくとも一部を覆い、この電動送風機の駆動に伴って減圧される空間部と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。
【請求項2】
空間部は、電動送風機の負圧側に連通している
ことを特徴とした請求項1記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−148696(P2010−148696A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330692(P2008−330692)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】