説明

電気掃除機

【課題】利便性を向上できる電気掃除機を提供する。
【解決手段】把持部8及び気流路31bを有して吸込口体5と一体な状態と吸込口体5から独立した状態とを選択可能な可搬部31と、可搬部31に着脱自在に設けられて気流路31bを延長する延長パイプ6と、回動軸41aで回動自在に可搬部31に連結されて開口部41bが先端に形成されるブラシ保持部41と、開口部41bの周囲に配されるブラシ40と、可搬部31を延長パイプ6に取り付けた際にブラシ保持部41を収納する収納部6aとを備え、ブラシ保持部41は収納部6a内で配される収納位置と収納部6aから取り出した際に収納位置に対して傾斜した掃除位置との間を気流路31bの前方を遮らずに回動し、開口部41bが掃除位置で気流路31bの径方向外側まで延びて形成されて収納位置で気流路31bの端面よりも前方に配される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシと一体の把持部を着脱自在に設けた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機は特許文献1に開示されている。この電気掃除機は電動送風機を内装する本体部の下方に吸込口体が配される。吸込口体は床面に対峙する吸気口を有し、電動送風機に連通する。本体部には着脱自在の延長パイプが上方に延びて装着され、延長パイプの上部に把持部が設けられる。これにより、把持部を把持して吸込口体を本体部とともに移動して掃除することができる。
【0003】
また、延長パイプの一端は接続ホースを介して本体部に接続される。これにより、把持部を把持して本体部から脱着した延長パイプを吸込口体と独立して移動することができる。そして、延長パイプの先端から吸気して天井や家具の隙間等の掃除を行うことができる。
【0004】
また、延長パイプは接続ホースに対して着脱自在に設けられる。延長パイプが取外された接続ホースの先端にはブラシを保持して回動するブラシ保持部が配された実施例が開示される。延長パイプを接続ホースから脱着した際にブラシ保持部は接続ホースの端面の前方に配され、被掃除面に応じて所望の角度に傾斜して机上等の掃除を行うことができる。また、ブラシが手前に配されるようにブラシ保持部を回動して収納され、接続ホースに延長パイプを接続して使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−87508号公報(第4頁−第9頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の電気掃除機によると、ブラシ保持部は収納時に収納位置でブラシが接続ホースに沿って手前に配される。このため、ブラシを使用する際にブラシ保持部を使用者が把持して収納位置から使用位置に回動させる。また、ブラシを収納する際にブラシ保持部を使用者が把持して使用位置から収納位置に回動させる。このため、ブラシの使用時及び収納時にブラシ保持部を回動させる作業を必要とするとともに、ブラシ保持部に付着する塵埃で使用者の手指が汚れる。従って、電気掃除機の利便性が悪い問題があった。
【0007】
本発明は、利便性を向上できる電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
電動送風機と、
前記電動送風機に連通して床面に対峙する吸気口を有した吸込口体と、
使用者により把持される把持部を有して前記吸込口体と一体に移動する状態と前記吸込口体から独立して移動する状態とを択一的に選択可能に設けられ、前記電動送風機に連通する気流路を内部に有する可搬部と、
前記可搬部に着脱自在に設けられ、前記気流路を延長する延長パイプと、
前記気流路の気流方向に垂直な回動軸で回動自在に前記可搬部に連結されるとともに、前記可搬部を前記延長パイプから取外した際に前記気流路に連通する開口部が先端に形成されるブラシ保持部と、
前記開口部の周囲に配されるブラシと、
前記延長パイプに設けられるとともに前記可搬部を前記延長パイプに取り付けた際に前記ブラシ保持部を収納する収納部と、
を備え、前記ブラシ保持部は前記収納部内に収納した際に配される収納位置と、前記収納部から取り出した際に前記収納位置に対して傾斜した掃除位置との間を前記気流路の前方を遮らずに回動するとともに、前記開口部の一端が前記掃除位置で前記気流路の径方向外側まで延びて形成されて前記収納位置で前記気流路の端面よりも前方に配されることを特徴としている。
【0009】
この構成によると、電動送風機に連通する吸気口を有した吸込口体と把持部を有する可搬部とが一体に移動して床面等の掃除が行われる。可搬部を吸込口体から独立に移動可能な状態にすると、可搬部に設けられるブラシ保持部の先端のブラシにより机上や壁面等の掃除が行われる。この時、ブラシ保持部は被掃除面に応じて所望の角度に配され、被掃除面の塵埃はブラシ保持部の開口部から吸い込まれて可搬部の気流路を介して電動送風機に導かれる。また、開口部の一端は気流路の径方向外側に延びて形成され、広い範囲を容易に掃除できる。
【0010】
可搬部には気流路を延長する延長パイプが連結される。延長パイプと一体に可搬部を吸込口体から独立にすると、延長パイプの先端から塵埃を吸引して天井面等の掃除が行われる。ブラシ保持部は可搬部を延長パイプと一体化した際に収納位置に配されて延長パイプに設けた収納部に収納され、気流路と延長パイプとが連通する。可搬部を延長パイプから取り外すと、ブラシ保持部は収納部から取り出されて収納位置から回動して掃除位置に配される。
【0011】
ブラシ保持部は掃除位置と収納位置の間を気流路を遮らずに気流路の外側で回動する。この時、掃除位置で気流路の外側に延びる開口部の一端は収納位置で気流路の端面よりも前方に配され、収納位置のブラシ保持部が被掃除面と当接して掃除位置に配される。また、掃除位置のブラシ保持部が被掃除面や収納部と当接して収納位置に配される。尚、電気掃除機はアップライト型でもよく、キャニスター型でもよい。
【0012】
また本発明は、上記構成の電気掃除機において、前記回動軸が前記気流路の径方向の外側であって前記把持部を把持して前記ブラシを使用する際に立設される前記気流路に対して前方となる側に配されることを特徴としている。この構成によると、把持部を把持して可搬部を延長パイプから取り外すと収納位置のブラシ保持部は例えば、気流路の上方に沿って配される。ブラシ保持部を掃除位置に回動させると立設される気流路の前方に延びてブラシ保持部が配され、開口部が気流路の端面に対向する。
【0013】
また本発明は、上記構成の電気掃除機において、前記ブラシ保持部は前記掃除位置で前方となる前部が覆われて後方となる後部が開放され、前記後部が前記気流路の側壁と摺動して前記ブラシ保持部が回動することを特徴としている。この構成によると、ブラシ保持部は後部を開放して前部が閉塞された平面断面がコ字型に形成され、前部が収納位置で気流路の端面よりも前方に配される。
【0014】
また本発明は、上記構成の電気掃除機において、前記ブラシ保持部材を前記掃除位置の方向に付勢する弾性部材を設け、前記可搬部を前記延長パイプに装着した際に、前記弾性部材の付勢力に抗して前記ブラシ保持部材が前記収納部の内壁と摺動して前記収納位置に配されることを特徴としている。
【0015】
この構成によると、ブラシ保持部は掃除位置の方向に付勢され、収納部から取り出した際に掃除位置に配されて掃除が行われる。可搬部を延長パイプに装着するとブラシ保持部が弾性部材の付勢力に抗して収納部の内壁と摺動し、収納位置に配されて収納される。
【0016】
また本発明は、上記構成の電気掃除機において、前記電動送風機を収納する本体部に前記吸込口体が傾倒自在に連結されるとともに前記可搬部が前記延長パイプとともに前記本体部に着脱自在に設けられ、前記本体部に接続される可撓性の接続ホースを介して前記気流路が前記吸込口体と並列に前記電動送風機に連通することを特徴としている。
【0017】
この構成によると、電気掃除機はアップライト型に構成され、延長パイプ及び可搬部を装着した本体部と一体に吸込口体が移動する。また、可搬部には電動送風機に吸込口体と並列に連結される接続ホースが接続され、本体部に装着された延長パイプから可搬部を取り外すと、ブラシ保持部の開口部から吸い込まれた塵埃は可搬部の気流路及び接続ホースを介して電動送風機に導かれる。
【0018】
また本発明は、上記構成の電気掃除機において、前記延長パイプにより前記吸込口体と前記可搬部とを連結するとともに、前記電動送風機を収納する本体部に接続された可撓性の接続ホースとを有し、前記吸気口からの吸気が前記延長パイプ、前記気流路及び前記接続ホースを流通して前記電動送風機に導かれることを特徴としている。
【0019】
この構成によると、電気掃除機はキャニスター型に構成され、電動送風機に連通した接続ホースに可搬部が接続されて可搬部と吸込口体とが延長パイプを介して連結される。これにより、可搬部と一体に吸込口体が移動し、吸気口から吸い込まれる塵埃は延長パイプ、気流路及び接続ホースを流通して電動送風機に導かれる。延長パイプから可搬部を取り外すと、ブラシ保持部の開口部から吸い込まれた塵埃は可搬部の気流路及び接続ホースを介して電動送風機に導かれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、可搬部に設けたブラシ保持部が収納位置と掃除位置との間を気流路の前方を遮らずに回動するとともに、ブラシ保持部の開口部が掃除位置で気流路の径方向外側まで延びて形成されて収納位置で気流路の端面よりも前方に配されるので、収納位置のブラシ保持部材の先端を被掃除面に当接して容易にブラシ保持部材を掃除位置に配置することができる。また、掃除位置のブラシ保持部材の先端を被掃除面や収納部に当接して容易にブラシ保持部材を収納位置に配置することができる。
【0021】
このため、ブラシの使用時や収納時にブラシ保持部を回動させる作業が不要となり、ブラシ保持部に付着する塵埃による手指の汚れを低減できる。また、掃除時に被掃除面に応じて所望の角度にブラシ保持部を傾斜させることができるため、ブラシ全体を被掃除面に容易に当接させることができる。加えて、気流路の外側に延びる開口部によって広い範囲を簡単に掃除することができる。従って、電気掃除機の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態の電気掃除機を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施形態の電気掃除機を示す正面図
【図3】本発明の第1実施形態の電気掃除機の吸込口体を省いた側面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部を延長パイプと一体に取り外した状態を示す斜視図
【図5】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部を延長パイプと一体に取り外した状態を示す側面断面図
【図6】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部を取り外した状態を示す斜視図
【図7】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部を取り外した状態を示す側面断面図
【図8】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部を示す側面図
【図9】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部の要部を示す側面断面図
【図10】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部を示す側面図
【図11】本発明の第1実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の収納位置に配された状態を示す側面図
【図12】本発明の第1実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の収納位置に配された状態を示す上面図
【図13】図11のC−C断面図
【図14】図12のA−A断面図
【図15】図12のB−B断面図
【図16】本発明の第1実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の掃除位置に配された状態を示す側面断面図
【図17】本発明の第1実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の掃除位置に配された状態を示す側面図
【図18】本発明の第1実施形態の電気掃除機の延長パイプの先端のブラシ保持部の掃除位置に配された状態を示す側面断面図
【図19】本発明の第1実施形態の電気掃除機の延長パイプと一体の可搬部を可搬した使用状態を示す斜視図
【図20】本発明の第1実施形態の電気掃除機の可搬部を可搬した使用状態を示す斜視図
【図21】本発明の第2実施形態の電気掃除機を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の電気掃除機を示す斜視図である。電気掃除機1はアップライト型に構成され、電動送風機2及び集塵部3(いずれも図3参照)を内装する本体部4を備えている。本体部4の下方には床面に面した吸気口(不図示)を有する吸込口体5が設けられ、本体部4は吸込口体5に対して傾倒可能になっている。
【0024】
本体部4の上方には着脱自在の延長パイプ6が鉛直方向に延びて配される。延長パイプ6の上方には着脱自在の可搬部31が設けられる。可搬部31には使用者が把持する把持部8が設けられる。可搬部31と本体部4との間は伸縮自在の接続ホース7で連結される。
【0025】
これにより、可搬部31は延長パイプ6を介して本体部4に取り付けられた状態で把持部8を把持して吸込口体5と一体に移動する。また、可搬部31は延長パイプ6から取り外した状態及び延長パイプ6と一体に本体部4から取り外した状態で可搬となり、把持部8を把持して吸込口体5から独立して移動させることができる。
【0026】
図2は電気掃除機1の正面図を示し、図3は電気掃除機1の吸込口体5を省いた側面断面図を示している。本体部4内には電動送風機2の下方に集塵部3が連通して配される。吸込口体5と集塵部3とは本体部4に設けた気流路4aにより連通する。集塵部3は集塵容器3aを有し、旋回気流により塵埃を分離するサイクロン式になっている。本体部4の前面パネル4dは把手4eを把持して開閉可能になっており、前面パネル4dとともに塵埃を捕集した集塵容器3aを着脱可能になっている。
【0027】
本体部4の後部には上面を開口して集塵部3に連通する気流路4bが設けられる。気流路4bは気流路4aと並列に配されて電動送風機2に連通する。気流路4bの上端には接続ホース7の下端が嵌合する下支持部4cが形成される。下支持部4cによって接続ホース7の下部が略鉛直に支持される。接続ホース7の上端は可搬部31に設けられた上支持部31aに嵌合される。
【0028】
延長パイプ6の後部にはフック6fが設けられる。接続ホース7に挿通される環状の保持部20(図1参照)をフック6fに係止して接続ホース7を保持できるようになっている。
【0029】
電動送風機2と気流路4bとの間には本体部4の上面を開口する延長パイプ収納部4fが設けられる。延長パイプ収納部4fには延長パイプ6の先端部分が収納され、フック11の操作によって図4、図5に示すように本体部4から延長パイプ6が脱着可能になっている。
【0030】
図5において、延長パイプ6は二重管に構成され、外筒30に伸長パイプ32が内嵌される。延長パイプ6を本体部4から脱着した際に外筒30の先端から伸長パイプ32を引き出して延長パイプ6を伸長することができる。伸長パイプ32の先端には詳細を後述するブラシ50を有したブラシ保持部51が回動自在に配されている。
【0031】
また、可搬部31はフック12の操作によって図6、図7に示すように延長パイプ6から脱着可能になっている。これにより、延長パイプ6を本体部4に取り付けた状態で可搬部31を取り外すことができる。
【0032】
図7において、可搬部31は上支持部31aに連通する気流路31bを内部に有している。接続ホース7と延長パイプ6の外筒30とは気流路31bを介して連通する。これにより、延長パイプ6は接続ホース7に連通する気流路31bを延長する。
【0033】
可搬部31の先端にはブラシ保持部41が回動自在に配されている。ブラシ保持部41は先端に開口部41bを有して開口部41bの周囲にブラシ40が配される。延長パイプ6内にはブラシ保持部41が収納される収納部6aが外筒30に沿って設けられる。ブラシ保持部41は気流路31bに垂直な回動軸41aで回動自在に配され、図中、時計回りにブラシ保持部41を付勢する捻りバネから成る弾性部材42が設けられる。
【0034】
従って、可搬部31を延長パイプ6から取り外して収納部6aから取り出すと、図8に示すようにブラシ保持部41が回動して掃除位置に配される。この時、ブラシ保持部41は可搬部31に設けたストッパ31c(図9参照)に当接して所定の角度に設置される。
【0035】
また、可搬部31を延長パイプ6に装着すると、弾性部材42の付勢力に抗してブラシ保持部41の先端が収納部6aの内壁6b(図7参照)と摺動する。これにより、ブラシ保持部41は図7に示す収納位置に配されて収納部6a内に収納される。
【0036】
図9は可搬部31の要部の側面断面図を示している。気流路31bは断面矩形に形成され、掃除位置のブラシ保持部41の開口部41bの一端が気流路31bの径方向外側まで延びて形成される。これにより、ブラシ保持部41が掃除位置に配された可搬部31の把持部8を把持して気流路31bの外側まで広い範囲で机上等を掃除することができる。
【0037】
この時、弾性部材42の付勢力に抗して把持部8に対するブラシ保持部41の角度を可変することができる。このため、被掃除面に応じてブラシ保持部41の開口部41bを所望の角度に傾斜して良好に掃除を行うことができる。
【0038】
また、ブラシ保持部41を掃除位置に配して把持部8を把持した際にブラシ保持部41の前方となる前部41cは開口部41bの上方が塞がれており、後方となる後部41dは開放されている。開放された後部41dの内面が気流路31bの側壁に摺動してブラシ保持部41が回動する。このため、開口部41bの周囲に設けられるブラシ40は平面視コ字状に配される。
【0039】
ブラシ保持部41は弾性部材42によって掃除位置の方向に付勢されるため、延長パイプ6から可搬部31を取り外した際に使用者による回動操作を必要とせず掃除位置に配される。これにより、ブラシ40やブラシ保持部41に付着する塵埃に触れずに直ちに掃除を行うことができる。
【0040】
また、ブラシ保持部41は収納部6aに収納される際に内壁6b(図7参照)と摺動して弾性部材42の付勢力に抗して回動するため、使用者による回動操作を必要とせず収納位置に配される。これにより、ブラシ40やブラシ保持部41に付着する塵埃に触れずに迅速に可搬部31を延長パイプ6に取り付けてブラシ保持部41を収納することができる。
【0041】
この時、回動軸41aは気流路31bの径方向の外側であって把持部8を把持してブラシ40を使用する際に立設される気流路31bに対して前方となる側に配される。このため、ブラシ保持部41が掃除位置と収納位置との間を気流路31bの前方を遮らずに90゜以下の小さい回動角度で回動し、収納位置で開口部41bの一端は気流路31bの端面よりも前方に配される。
【0042】
これにより、掃除位置で前方に突出するブラシ保持部41は収納位置で気流路31bからの径方向の突出量が減少し、ブラシ保持部41を省スペースで収納することができる。また、収納位置で気流路31bの前方が塞がれずに延長パイプ6の外筒30と気流路31bとを連通させることができる。
【0043】
また、回動するブラシ保持部41の回動軸41aと前部41cの上面とが近接する。このため、可搬部31に設けた回動軸41aと同心の円筒面に前部41cの上面を摺動させて回動するブラシ保持部41の上面を簡単に塞ぐことができる。従って、気流漏れを防止することができる。
【0044】
図10は収納部6aにブラシ保持部41を収納した状態の可搬部31の側面図を示している。延長パイプ6の側面にはブラシ保持部41の後部41dに配されたブラシ40の一部が露出する窓部6dが形成される。これにより、ブラシ40が視認可能になり、延長パイプ6から可搬部31を取り外してブラシ40による掃除が可能であることを使用者に容易に知らせることができる。
【0045】
この時、ブラシ保持部41の開口部40bが形成される端面にブラシ40が設けられる。このため、把持部8を把持した際にブラシ40に向かう使用者の視線がブラシ保持部41によって遮られる。これにより、塵埃の付着するブラシ40を容易に視認できないため使用時の清潔感の低下を防止することができる。
【0046】
図11、図12は伸長パイプ32の先端のブラシ保持部51を示す側面図及び上面図を示している。また、図13は図11のC−C断面図を示し、図14、図15はそれぞれ図12のA−A断面図及びB−B断面図を示している。
【0047】
ブラシ保持部51は被掃除面に対向する開口部51bを先端に有し、開口部51bの周囲にブラシ50が配される。ブラシ保持部51は伸長パイプ32の側壁に設けた回動軸51aで枢支され、回動自在に保持される。伸長パイプ32に設けられるストッパ32b、32cにブラシ保持部51が当接してブラシ保持部51の回動範囲が規制される。延長パイプ6を延長パイプ収納部4fに収納する際にブラシ保持部51は図11に示すようにストッパ32bに当接する収納位置に配される。収納位置でブラシ保持部51は伸長パイプ32の延長上に配される。
【0048】
また、ブラシ保持部51は収納位置に配された際に伸長パイプ32の開口する端面32aに対して前方となる前部51cは開口部51bの上方が塞がれ、後方となる後部51dは開放されている。開放された後部51dの内面が伸長パイプ32の側壁に摺動してブラシ保持部51が回動する。このため、開口部51bの周囲に設けられるブラシ50は平面視コ字状に配される。
【0049】
ブラシ保持部51は開口部51bに対向する上面に上面開口部51eが形成される。ブラシ保持部51の回動によって上面開口部51e内を伸長パイプ32の上壁32fが通過する。上面開口部51eには樹脂成形品から成るブラシ保持部51と一体成形される弾性部材52が配される。弾性部材52によって上面開口部51eが塞がれて気流漏れを防止することができる。
【0050】
弾性部材52は上面開口部51eの前端から後方(伸長パイプ32側)に延びてS字状に蛇行するS字状部52aを有している。伸長パイプ32の端面32aは傾斜面に形成され、S字状部52aの後端は伸長パイプ32の上壁前端の相対的な回動範囲の内側に配されて端面32aに当接する。また、弾性部材52はS字状部52aの後端から上方に屈曲する屈曲部52bを有している。屈曲部52bはS字状部52aよりも幅が狭く、収納位置で端面32aよりも伸長パイプ32の内側に配される。
【0051】
ブラシ保持部51を前部51cが上方となる方向(図11において時計回り)に回動させると、S字状部52aが端面32aと摺動する。この時、蛇行するS字状部52aが傾斜面の端面32aに押し下げられて上下方向に広がるため、ブラシ保持部51は弾性部材52によって収納位置の方向に付勢される。
【0052】
そして、弾性部材の付勢力に抗してブラシ保持部51を回動すると、ブラシ保持部51は図16に示すように収納位置に対して傾斜した掃除位置に配される。ブラシ保持部51に配されるブラシ50の前端を被掃除面に当接して延長パイプ6を回動させることにより、容易にブラシ保持部51を掃除位置に配することができる。これにより、延長パイプ6と一体の可搬部31の把持部8を把持して天井面等を掃除することができる。
【0053】
この時、弾性部材52の付勢力に抗して把持部8に対するブラシ保持部51の角度を可変することができる。このため、被掃除面に応じてブラシ保持部51の開口部51bを所望の角度に傾斜して良好に掃除を行うことができる。また、被掃除面からブラシ50を離すと、弾性部材52の付勢力によってブラシ保持部51が収納位置に戻る。
【0054】
掃除位置で角度を可変のブラシ保持部51は図17、図18に示すようにストッパ32cに当接して伸長パイプ32に対して開口部51bが略垂直に配されるまで回動できる。この時、弾性部材52の屈曲部52bが伸長パイプ32の上壁32fの端部の平面部32dに摺動する。
【0055】
平面部32dは回動軸51aと伸長パイプ32の上壁前端とを結ぶ回動半径に対して鈍角に形成される。このため、ブラシ保持部51は被掃除面から離れると屈曲部52bが平面部32dを押圧する弾性力の周方向の分力によって収納位置に戻される。尚、平面部32dと屈曲部52bとの摩擦力が大きい場合は図18、図19の位置でブラシ保持部51を維持されるが、延長パイプ6の角度を僅かに可変するとブラシ保持部51が収納位置に戻る。
【0056】
ブラシ保持部51は弾性部材52によって収納位置の方向に付勢されるため、可搬部31と一体の延長パイプ6を収納する際に使用者による回動操作を必要とせず収納位置に配される。これにより、ブラシ50やブラシ保持部51に付着する塵埃に触れずに迅速に延長パイプ6と一体の可搬部31を本体部4に取り付けることができる。
【0057】
また、ブラシ50を被掃除面に当接することでブラシ保持部51が使用者による回動操作を必要とせず掃除位置に配される。これにより、ブラシ50やブラシ保持部51に付着する塵埃に触れずに直ちに掃除を行うことができる。
【0058】
上記構成の電気掃除機1において、延長パイプ6を本体部4に装着した状態で電動送風機2が駆動されると、吸込口体5の吸気口(不図示)から塵埃とともに空気が吸い込まれる。吸気口から吸い込まれた空気は気流路4aを介して集塵部3に流入し、旋回による遠心力によって塵埃が分離される。分離された塵埃は集塵容器3aに堆積し、前面パネル4dを開いて廃棄される。集塵部3によって塵埃が除去された空気は電動送風機2が配される室内を通って排気口(不図示)から排気される。これにより、床面の掃除が行われる。
【0059】
この時、延長パイプ6と延長パイプ収納部4f内面との間はパッキン(不図示)によりシールされており、延長パイプ収納部4fと気流路4bとの間に気流が流通しない。これにより、電気掃除機1の仕事率低下が防止される。
【0060】
フック11の操作によって延長パイプ6と一体に可搬部31を本体部4から脱着すると、延長パイプ6の先端から伸長パイプ32が引き出される。この時、ブラシ保持部51は収納位置に配される。電動送風機2を駆動すると伸長パイプ32の先端のブラシ保持部51の開口部51bから塵埃とともに空気が吸い込まれる。開口部51bから吸い込まれた空気は伸長パイプ32、外筒30、気流路31b、接続ホース7を流通し、気流路4bを介して集塵部3に流入する。
【0061】
これにより、図19に示すように室内の上方に配される空気調和機、天井面、家具の隙間等の掃除を楽に行うことができる。この時、ブラシ50が被掃除面に当接してブラシ保持部51が掃除位置に配される。
【0062】
また、フック12の操作によって可搬部31を本体部4から脱着すると、ブラシ保持部41が弾性部材42により掃除位置に配される。電動送風機2を駆動するとブラシ保持部41の開口部41bから塵埃とともに空気が吸い込まれる。開口部41bから吸い込まれた空気は気流路31b、接続ホース7を流通し、気流路4bを介して集塵部3に流入する。これにより、図20に示すように机上等の掃除を楽に行うことができる。
【0063】
本実施形態によると、可搬部31に設けたブラシ保持部41が収納位置と掃除位置との間を気流路31bの前方を遮らずに回動するとともに、ブラシ保持部41の開口部41bの一端が掃除位置で気流路31bの径方向外側まで延びて形成されて収納位置で気流路31bの端面よりも前方に配されるので、掃除位置のブラシ保持部材41の先端を収納部6aの内壁に当接して容易にブラシ保持部材41を収納位置に配置することができる。
【0064】
このため、ブラシ40の収納時にブラシ保持部41を回動させる作業が不要となり、ブラシ保持部41に付着する塵埃による手指の汚れを低減できる。また、掃除時に被掃除面に応じて所望の角度にブラシ保持部41を傾斜させることができるため、ブラシ40全体を被掃除面に容易に当接させることができる。加えて、気流路31bの外側に延びる開口部41bによって広い範囲を簡単に掃除することができる。従って、電気掃除機1の利便性を向上することができる。
【0065】
また、ブラシ保持部41の回動軸41aが気流路31bの径方向の外側であって把持部8を把持してブラシ40を使用する際に立設される気流路31bに対して前方となる側に配されるので、気流路31bの前方を遮らずに収納位置と掃除位置とを回動するブラシ保持部41を容易に実現することができる。
【0066】
また、ブラシ保持部41は掃除位置で前方となる前部41cが覆われて後方となる後部41dが開放され、後部41dが気流路31bの側壁と摺動してブラシ保持部41が回動するので、掃除位置でブラシ保持部41の後部41dが気流路31bの後端まで覆って吸気面積の広い開口部41bを容易に実現することができる。
【0067】
また、ブラシ保持部材41を掃除位置の方向に付勢する弾性部材42を設けたので、延長パイプ6から取り外した際にブラシ保持部材41が弾性部材42により掃除位置に配される。従って、ブラシ保持部材41に付着する塵埃に触れずに塵埃による手指の汚れをより低減し、迅速に掃除を行うことができる。
【0068】
また、可搬部31を延長パイプ6に装着した際に弾性部材42の付勢力に抗してブラシ保持部材41が収納部6aの内壁6bと摺動して収納位置に配されるので、ブラシ保持部41に触れずに容易にブラシ保持部41を収納することができる。
【0069】
次に、図21は第2実施形態の電気掃除機の側面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図20に示す第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付している。電気掃除機60はキャニスター型に構成され、電動送風機2及び集塵部(不図示)を内装する本体部4を備えている。
【0070】
本体部4には電動送風機2に連通する接続ホース7が取り付けられる。接続ホース7には第1実施形態と同様の可搬部31が取り付けられる。可搬部31の内部には気流路31b(図7参照)が形成され、使用者が把持する把持部8が設けられる。可搬部31には床面に面した吸気口(不図示)を有する吸込口体5が延長パイプ6を介して取り付けられる。
【0071】
可搬部31は延長パイプ6に対して着脱自在に設けられる。これにより、可搬部31は延長パイプ6に取り付けた状態で把持部8を把持して吸込口体5と一体に移動する。また、可搬部31は延長パイプ6から取り外した状態で可搬となり、把持部8を把持して吸込口体5から独立して移動させることができる。
【0072】
可搬部31は第1実施形態と同様のブラシ保持部41(図7参照)を有し、ブラシ保持部41を掃除位置の方向に付勢する弾性部材42(図9参照)が設けられる。延長パイプ6にはブラシ保持部41を収納する収納部6a(図7参照)が形成される。
【0073】
従って、第1実施形態と同様に、可搬部31に設けたブラシ保持部41が収納位置と掃除位置との間を気流路31bの前方を遮らずに回動するとともに、ブラシ保持部41の開口部41bの一端が掃除位置で気流路31bの径方向外側まで延びて形成されて収納位置で気流路31bの端面よりも前方に配されるので、掃除位置のブラシ保持部材41の先端を収納部6aの内壁に当接して容易にブラシ保持部材41を収納位置に配置することができる。
【0074】
このため、ブラシ40の収納時にブラシ保持部41を回動させる作業が不要となり、ブラシ保持部41に付着する塵埃による手指の汚れを低減できる。また、掃除時に被掃除面に応じて所望の角度にブラシ保持部41を傾斜させることができるため、ブラシ40全体を被掃除面に容易に当接させることができる。加えて、気流路31bの外側に延びる開口部41bによって広い範囲を簡単に掃除することができる。従って、電気掃除機1の利便性を向上することができる。
【0075】
尚、第1、第2実施形態において、弾性部材42によってブラシ保持部41が掃除位置の方向に付勢されるが、弾性部材42を省いてもよい。この時、ブラシ保持部41の開口部41bの一端が掃除位置で気流路31bの径方向外側まで延びて形成されて収納位置で気流路31bの端面よりも前方に配されるので、収納位置のブラシ保持部材41の先端を被掃除面に当接して容易にブラシ保持部材41を掃除位置に配置することができる。従って、ブラシ40による掃除時にブラシ保持部41を回動させる作業が不要となり、ブラシ保持部41に付着する塵埃による手指の汚れを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によると、ブラシと一体の把持部を着脱自在に設けた電気掃除機に利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1、60 電気掃除機
2 電動送風機
3 集塵部
4 本体部
4f 延長パイプ収納部
5 吸込口体
6 延長パイプ
6a 収納部
6b 内壁
6d 窓部
7 接続ホース
8 把持部
9 可動部
11、12 フック
30 外筒
31 可搬部
31b 気流路
32 伸長パイプ
32a 端面
32b、32c ストッパ
32d 平面部
40、50 ブラシ
41、51 ブラシ保持部
41a、51a 回動軸
41b、51b 開口部
51e 上面開口部
42、52 弾性部材
52a S字状部
52b 屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と、
前記電動送風機に連通して床面に対峙する吸気口を有した吸込口体と、
使用者により把持される把持部を有して前記吸込口体と一体に移動する状態と前記吸込口体から独立して移動する状態とを択一的に選択可能に設けられ、前記電動送風機に連通する気流路を内部に有する可搬部と、
前記可搬部に着脱自在に設けられ、前記気流路を延長する延長パイプと、
前記気流路の気流方向に垂直な回動軸で回動自在に前記可搬部に連結されるとともに、前記可搬部を前記延長パイプから取外した際に前記気流路に連通する開口部が先端に形成されるブラシ保持部と、
前記開口部の周囲に配されるブラシと、
前記延長パイプに設けられるとともに前記可搬部を前記延長パイプに取り付けた際に前記ブラシ保持部を収納する収納部と、
を備え、前記ブラシ保持部は前記収納部内に収納した際に配される収納位置と、前記収納部から取り出した際に前記収納位置に対して傾斜した掃除位置との間を前記気流路の前方を遮らずに回動するとともに、前記開口部の一端が前記掃除位置で前記気流路の径方向外側まで延びて形成されて前記収納位置で前記気流路の端面よりも前方に配されることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記回動軸が前記気流路の径方向の外側であって前記把持部を把持して前記ブラシを使用する際に立設される前記気流路に対して前方となる側に配されることを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記ブラシ保持部は前記掃除位置で前方となる前部が覆われて後方となる後部が開放され、前記後部が前記気流路の側壁と摺動して前記ブラシ保持部が回動することを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記ブラシ保持部材を前記掃除位置の方向に付勢する弾性部材を設け、前記可搬部を前記延長パイプに装着した際に、前記弾性部材の付勢力に抗して前記ブラシ保持部材が前記収納部の内壁と摺動して前記収納位置に配されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記電動送風機を収納する本体部に前記吸込口体が傾倒自在に連結されるとともに前記可搬部が前記延長パイプとともに前記本体部に着脱自在に設けられ、前記本体部に接続される可撓性の接続ホースを介して前記気流路が前記吸込口体と並列に前記電動送風機に連通することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記延長パイプにより前記吸込口体と前記可搬部とを連結するとともに、前記電動送風機を収納する本体部に接続された可撓性の接続ホースとを有し、前記吸気口からの吸気が前記延長パイプ、前記気流路及び前記接続ホースを流通して前記電動送風機に導かれることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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