説明

電気掃除機

【課題】延長管先等に取付けられる吸口ブラシに関し、ブラシが突出状態で固定されず、こびりついた塵埃を擦り取る際に、ブラシが収納方向へ回動し、使い勝手が悪かった。
【解決手段】延長管あるいはホースの先端のパイプ部に取り付けて使用する吸口ブラシ1に、回動自在なブラシ取付体2と、ブラシ取付体2の回動を規制する尾錠3を設け、ブラシ取付体2の回動軸20の下方を床面等に押し付けることで、ブラシ取付体2の回動軸20上方のブラシ部材5が回動軸20を中心に吸口ブラシ1の端面から突出する方向へ回動し、尾錠3により回動が固定されると共に、尾錠3の操作部分を押すことで回動固定が解除され、ブラシ取付体2が吸口ブラシ1へと収納できる構成としたもので、ブラシ取付体2を床面に擦りつけても、吸口ブラシ1の収納方向へ回動することがなく、使い勝手を向上した吸口ブラシを提供できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に取り付けて使用する吸口ブラシにおいて、構成を簡略化しながらも使い勝手を改善した吸口ブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の吸口ブラシは、収納状態と使用状態を切り替えるのにパイプの着脱が必要であったり(例えば、特許文献1参照)、収納状態と使用状態を切り替えることは容易であるが、ブラシ取付体がバネで下方に付勢されていた(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3683715号公報
【特許文献2】特開2007−21057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記の方法では、パイプの着脱に手間がかかったり、あるいはバネで付勢されたブラシではこびりついた汚れを除去するためにブラシを、汚れに強く押し付けて、擦り取ろうとしても、バネが縮む方向に押されてブラシ取付体が引っ込んでしまい、思うように擦り取れなかった。また、導電端子が延長管あるいはハンドルの下方に配置された掃除機に採用するには、導電端子部へのゴミ付着・進入を防ぐための対策として別部品や別機構の追加等が必要であった。さらに、ハンドルと延長管の間に継がれる形で取り付けるものでは、パワーノズルに対応するため内部に導電線が必要となり、部品点数UPや安全対策からコストUPの要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するため、吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込口と、前記吸込口と前記掃除機本体を連通させる、延長管およびホースと、前記延長管あるいは前記ホースの先端のパイプ部に取り付けて使用する吸口ブラシとを有し、前記吸口ブラシには、回動自在なブラシ取付体と、前記ブラシ取付体の回動軸まわりの回動を規制する尾錠とを設け、前記ブラシ取付体の回動軸の下方を床面等に押し付けることで、前記ブラシ取付体の回動軸の上方に構成されたブラシ部材が前記吸口ブラシ端面から突出する方向へ回動し、前記尾錠により前記ブラシ取付体の回動が固定され、前記尾錠の操作部分が吸口ブラシ外観表面より突出すると共に、前記突出した部分を押すことで前記尾錠によるブラシ取付体の回動固定が解除され、前記ブラシ取付体が前記吸口ブラシに収納可能となる構成とした。
【発明の効果】
【0005】
本発明の電気掃除機によれば、例えばブラシ取付体の回動軸の下方に設けられた、クッション部材等を被清掃面に押し付けるだけでブラシ部材が吸口ブラシから突出し、突出状態で回動固定され、被清掃面にこびりついた塵埃もブラシ部材でしっかりと擦り取ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
第1の発明は、吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込口と、前記吸込口と前記掃除機本体を連通させる、延長管およびホースと、前記延長管あるいは前記ホースの先端のパイプ部に取り付けて使用する吸口ブラシとを有し、前記吸口ブラシには、回動自在なブラシ取付体と、前記ブラシ取付体の回動軸まわりの回動を規制する尾錠とを設け、前記ブラシ取付体の回動軸の下方を床面等に押し付けることで、前記ブラシ取付体の回動軸の上方に構成されたブラシ部材が前記吸口ブラシ端面から突出する方向へ回動し、前記尾錠により前記ブラシ取付体の回動が固定され、前記尾錠の操作部分が吸口ブラシ外観表面より突出すると共に、前記突出した部分を押すことで前記尾錠によるブラシ取付体の回動固定が解除され、前記ブラシ取付体が前記吸口ブラシに収納可能となる構成としたもので、吸口ブラシからブラシ部材を突出あるいは収納させる動作が容易になることに加え、被清掃面にこびりついた塵埃をブラシ部材でしっかりと擦り取ることが可能となる。また、回動固定時には尾錠の操作部分が突出するため、操作が容易となる。さらに、ブラシ部材が吸口ブラシ内部へ収納されている状態では尾錠が外観から突出していないため、デザイン上すっきりとしたものとなることに加え、衣服などへ尾錠が引っかかることもない。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に加えて、吸口ブラシ端面の一部を略アーチ状に膨らませて凸部を構成し、前記凸部を押すことで、前記吸口ブラシ端面の開口部がたわみ、延長管あるいはホースの先端のパイプ部と前記吸口ブラシとの掛合部が離れることで、前記吸口ブラシが延長管あるいはホースの先端のパイプ部から取り外し可能としたもので、吸口ブラシ着脱用の尾錠部品やばね部品を使用することなく、ハンドル・延長管と吸口ブラシを容易に着脱可能とすることが可能であり、ハンドル・延長管を覆う吸口ブラシの外観部分すべてを1部品で構成することも可能となるため、大幅なコストダウンが可能であり、安価な吸口ブラシを提供することができる。
【0008】
第3の発明は、第1または第2の発明のブラシ取付体が吸口ブラシ端面から突出し、尾錠の爪面と前記ブラシ取付体の端部とが係合して、前記ブラシ取付体が尾錠により固定された状態において、前記係合するブラシ取付体の端部と前記ブラシ取付体の回動軸とを結ぶ面に対し、前記尾錠の爪面が傾斜するように構成して、前記ブラシ取付体が衝撃を受けた場合に、前記尾錠の爪面と前記ブラシ取付体の端部との係合が解除され易くし、前記ブラシ取付体が前記吸口ブラシ内部へと収納され易くしたもので、不意に吸口ブラシを壁に強く衝突させた際でも、尾錠の爪面がすべることでブラシ取付体の回動固定が解除されるため、吸口ブラシの部品破損を防止できる。
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施の形態1)
図1〜10は本発明の第1の実施の形態を示すもので、図1はブラシ部材が収納された状態の吸口ブラシの外観図、図2は図1の中央断面図である。ブラシ取付体2の回動軸20よりも上の部分には植毛ブラシなどのブラシ部材5が取付けられ、回動軸20よりも下の部分には起毛布などのクッション部材4を接着したクッション貼り付け部品21が取付けられている。ブラシ取付体2は植毛時の応力による割れを防ぐため、樹脂のポリプロピレン(PP)で成型されている。一方、クッション部材4は接着により固定されるが、ブラシ取付体2はPPのため接着が困難であるため、別部品としてABS樹脂で成型されたクッション貼り付け部品21を使用している。
【0011】
吸口ブラシ1の、ブラシ取付体2の上部にあたる部分には尾錠3がばね11とともに取付けられており、ブラシ取付体2が収納状態では尾錠3の先端部分がブラシ取付体2に当たり、これ以上、下がらない状態となっている。このとき尾錠3は吸口ブラシ1の外観表面に沿っており、凹凸がほとんどない状態となっている。
【0012】
図3はブラシ取付体が回動し、吸口ブラシからブラシ部材が突出した状態の外観図であり、図4は図3の中央断面図である。ブラシ取付体2の下部に構成されたクッション部材4を床面に押し付けることで、回動軸20を中心として、ブラシ部材5が吸口ブラシ1から突出する方向へ回動し図3および図4のような状態となる。このとき、尾錠3の爪面60は図1および図2の状態(収納状態)よりも下方に移動し、ブラシ取付体2の後端部61に当たりまたは係合して、ブラシ取付体2の回動を固定する。これにより、尾錠3の操作部分が吸口ブラシ1の外観表面から突出し、使用者が操作する部分を容易に認識できるようになっている。また、尾錠3の爪面60のブラシ取付体2と当たる面は、ブラシ取付体2の後端部61と回動軸20とを結ぶ面に対し、わずかに傾斜した角度となっているため、ブラシ取付体2に無理な力が加わったときには尾錠3の爪面60がすべり易くなり、回動固定が解除され、破損を防止する。
【0013】
図5は吸口ブラシがホースの先端のパイプ部8に取付けられた状態で、ブラシ部材5が突出した状態を表す外観図であり、図6はその中央断面図である。また図11は、吸口ブラシ1と接続されるホースの先端のパイプ部8まわりの外観図である。ブラシ取付体2に設けられた遮蔽リブ14が、ブラシ取付体2が回動することでホースの先端のパイプ部8の導電端子部13を覆うようになっており、これによって吸い込んだ塵埃が導電端子部13に進入し導電不良などの不具合を起こすのを防止している。
【0014】
図7〜図9は吸口ブラシ1がホースの先端のパイプ部8や延長管7に取付けられた状態の外観図を表しており、ホースの先端のパイプ部8や延長管7の外観外周にかぶせる形で吸口ブラシ1を取付ける。このとき、図6に示すようにホースの先端のパイプ部8下面のハンドル引っ掛け部22と吸口ブラシ1内面の吸口ブラシ引っ掛け部23が互いに引っかかり、吸口ブラシ1をホースの先端のパイプ部8へと固定させている。吸口ブラシ1の外観はABS樹脂よりもやわらかい樹脂のポリプロピレン(PP)で成型された単一部品となっており、コストダウンに貢献しているのに加えて、ABS樹脂で成型されたホースの先端のパイプ部8の外観面に傷を付け難くしている。
【0015】
図10は吸口ブラシ1を後方から見た図であり、吸口ブラシ1の両側面に側面凸部9が構成されている。側面凸部9を押さえることで、吸口ブラシ1の開口部がたわみ、上下方向の開口寸法が増加し、ハンドル引っ掛け部22と吸口ブラシ引っ掛け部23の係合が解除され、吸口ブラシ1がホースの先端のパイプ部8から着脱可能となる。図には示していないが、延長管7との固定についても同様である。
【0016】
(実施の形態2)
図12は本発明の第2の実施の形態を示すもので、吸口ブラシ1の上部内面にフェルトなどの軟質材10を取付けることで、ホースの先端のパイプ部8や延長管7の外観表面に傷を付けにくくする。特にホースの先端のパイプ部8の上面は目立つ部分でもあり、意匠面から塗装や印刷が求められることが多く、この場合でもホースの先端のパイプ部8の表面を傷つけないようにすることが可能となる。吸口ブラシ1の下部内面にも軟質材10を取付けることで、ホースの先端のパイプ部8の下面についても傷つき防止をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
以上のように本発明にかかる電気掃除機は、ブラシ部材の出し入れが容易で、かつシンプルな構成の吸口ブラシを有するため、品質が良く価格の安い電気掃除機を市場に提供することを可能としている。また、吸口ブラシのブラシ部材が回動固定されるため、こびりついた塵埃についてもしっかりと擦り取ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1におけるブラシ部材が収納状態の吸口ブラシの外観斜視図
【図2】同、ブラシ部材が収納状態の吸口ブラシの中央断面図
【図3】同、ブラシ部材が突出状態の吸口ブラシの外観斜視図
【図4】同、ブラシ部材が突出状態の吸口ブラシの中央断面図
【図5】同、吸口ブラシがホースの先端のパイプ部に取付けられた状態の外観斜視図
【図6】同、吸口ブラシがホースの先端のパイプ部に取付けられた状態の中央断面図
【図7】同、吸口ブラシがホースの先端のパイプ部に取付けられた状態の他の外観斜視図
【図8】同、吸口ブラシが延長管に取付けられた状態の外観斜視図
【図9】同、吸口ブラシを介してホースの先端のパイプ部と延長管を接続した状態の外観斜視図
【図10】同、吸口ブラシの背面図
【図11】同、吸口ブラシと接続されるホースの先端のパイプ部の外観図
【図12】本発明の実施の形態2における吸口ブラシの外観斜視図
【符号の説明】
【0019】
1 吸口ブラシ
2 ブラシ取付体
3 尾錠
4 クッション部材
5 ブラシ部材
6 尾錠突出部
7 延長管
8 ホースの先端のパイプ部
9 側面凸部
10 軟質材
11 ばね
12 指かけ部
13 導電端子部
14 遮蔽リブ
20 回動軸
21 クッション貼り付け部品
22 ハンドル引っ掛け部
23 吸口ブラシ引っ掛け部
60 爪面
61 後端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記吸引風とともに塵埃を吸引する吸込口と、前記吸込口と前記掃除機本体を連通させる、延長管およびホースと、前記延長管あるいは前記ホースの先端のパイプ部に取り付けて使用する吸口ブラシとを有し、前記吸口ブラシには、回動自在なブラシ取付体と、前記ブラシ取付体の回動軸まわりの回動を規制する尾錠とを設け、前記ブラシ取付体の回動軸の下方を床面等に押し付けることで、前記ブラシ取付体の回動軸の上方に構成されたブラシ部材が前記吸口ブラシ端面から突出する方向へ回動し、前記尾錠により前記ブラシ取付体の回動が固定され、前記尾錠の操作部分が吸口ブラシ外観表面より突出すると共に、前記突出した部分を押すことで前記尾錠によるブラシ取付体の回動固定が解除され、前記ブラシ取付体が前記吸口ブラシに収納可能となる構成とした電気掃除機。
【請求項2】
吸口ブラシ端面の一部を略アーチ状に膨らませて凸部を構成し、前記凸部を押すことで、前記吸口ブラシ端面の開口部がたわみ、延長管あるいはホースの先端のパイプ部と前記吸口ブラシとの掛合部が離れることで、前記吸口ブラシが延長管あるいはホースの先端のパイプ部から取り外し可能とした請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
ブラシ取付体が吸口ブラシ端面から突出し、尾錠の爪面と前記ブラシ取付体の端部とが係合して、前記ブラシ取付体が尾錠により固定された状態において、前記係合するブラシ取付体の端部と前記ブラシ取付体の回動軸とを結ぶ面に対し、前記尾錠の爪面が傾斜するように構成して、前記ブラシ取付体が衝撃を受けた場合に、前記尾錠の爪面と前記ブラシ取付体の端部との係合が解除され易くし、前記ブラシ取付体が前記吸口ブラシ内部へと収納され易くした請求項1または2に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−178944(P2010−178944A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25739(P2009−25739)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】