説明

電気掃除機

【課題】簡単な構成によって、本体底面の面強度の向上を図りながら段差をスムーズに乗り越えることができるようにした操作性の良い電気掃除機を提供する。
【解決手段】掃除機本体1に旋回自在な前輪14と従動後輪15を設けた電気掃除機100において、前記掃除機本体の本体ケース10が、底面と床面との間に隙間を有し本体ケース10の前後方向に延びる平行なソリ状の凸部41、42を底面に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関し、特に電気掃除機の掃除機本体の底面部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機の掃除機本体は、一般に、本体内部に電動送風機と集塵部とを有し、電動送風機により掃除機本体の吸込口より床用吸込具等を通して含塵空気を吸引するとともに、集塵部にて含塵空気中の塵埃を除去し、これにより清浄化された空気を掃除機本体の排気口より外部へ排出する構造となっている。そのため、掃除機本体は可能な限り小型化が図られている。その一方で、掃除機本体の内部容積を確保するために本体ケースは薄肉に形成される。そのため、本体ケースの面強度が問題になる。
従来、電気掃除機における振動・強度対策としては、本体ケースの内側にリブを設けたり、あるいは防振材を使用するなどの方法がとられる。
また、操作性の向上を目的として、本体ケース底面に補助輪を設けるなどの方法がとられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−075266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気掃除機において、使用時の振動は、騒音や吸引性能、寿命等に悪影響を与える。また、移動時における段差によって本体底面が引きずられる状態となり、傷が付いたり操作性が悪化するなどの問題がある。
一方、特許文献1のように補助輪を設けた場合には、掃除機本体を後部壁を下にして立てた状態にしたりするには都合がよい反面、構造が複雑化しコスト増などをまねくという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑み、簡単な構成によって、本体底面の面強度の向上を図りながら段差をスムーズに乗り越えることができるようにした操作性の良い電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気掃除機は、掃除機本体に旋回自在な前輪と従動後輪を設けた電気掃除機において、前記掃除機本体の本体ケースが、底面と床面との間に隙間を有し本体ケースの前後方向に延びる平行なソリ状の凸部を底面に有するものである。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、本発明の電気掃除機は、本体ケース底面にソリ状の凸部を設けているので、本体ケース底面の面強度が向上するとともに、段差をスムーズに乗り越えることができ操作性の良い電気掃除機を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機100の外観斜視図である。
【図2】掃除機本体1の上面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】掃除機本体1を立てた状態を底面側から見た外観斜視図である。
【図5】掃除機本体1の底面図である。
【図6】掃除機本体1の側面図である。
【図7】図5のB−B断面図である。
【図8】本発明の実施の形態2における掃除機本体1を立てた状態を底面側から見た外観斜視図で、凸部41、42の取付前の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電気掃除機について図面に基づいて説明する。ここでは、一例としてサイクロン分離式集塵装置を具備する電気掃除機について説明するが、本発明はこれに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、同じサイクロン分離式集塵装置であっても垂直円筒型のサイクロン集塵部を有する電気掃除機や紙パック式の集塵部を有する電気掃除機などにも同様に本発明を適用することができるものである。
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1における電気掃除機100を示す外観斜視図、図2は掃除機本体1の上面図、図3は図2のA−A断面図である。
この電気掃除機100は、掃除機本体1と、掃除機本体1の吸込口11に一端が回転自在で着脱自在に接続され他端に使用者が手に持って操作する手元操作部3を有する可撓性のあるホース2と、ホース2に着脱自在に接続される延長管4と、延長管4に着脱自在に接続され床面や絨毯等に存在する塵埃を吸引する床用吸込具5とを備えている。なお、延長管4は、パイプを伸縮させるパイプ伸縮方式、複数のパイプを繋いでいくパイプ継ぎ方式のいずれでも構わない。
【0011】
掃除機本体1は、電動送風機30を内蔵した本体ケース10と、本体ケース10上に着脱自在に傾斜させて装着されるサイクロン分離ユニット20(サイクロン分離式集塵装置の主要部をいう)とを備えている。
本体ケース10は、下ケース12と上ケース13とからなり、旋回自在な前輪14と前輪14より大径の後輪(従動後輪)15が取り付けられて掃除機本体1が床面上を移動可能となっている。前輪14は曲面を有する円形のキャスター14aに回転自在に装着されている。なお、図3では一方の前輪14の図示は省略してある。
掃除機本体1の移動方向前方に当たる本体ケース10の前部には、ホース2の一端の接続口部が接続される吸込口11と、掃除機本体1を持ち運びできる本体ハンドル部16が設けられている。
【0012】
サイクロン分離ユニット20は、本体ケース10に対して着脱自在に装着される。さらに、サイクロン分離ユニット20は、一次サイクロン分離部21と二次サイクロン分離部22とが一体的に並設されており、かつ、そのケースが4つの部分23〜26に分離可能に形成されている。そして、サイクロン分離ユニット20は、最終段である4段目の部分がそれぞれ集塵部26となっており、この集塵部26を前方側を下向きにして斜めに本体ケース10に装着されている。
一次サイクロン分離部21の2段目部分24の側面に含塵空気の流入口27が開口されており、この流入口27と吸込口11は掃除機本体1の幅方向の一方側に設けられた空気ダクト28を介して密接に接続されている。
【0013】
一次サイクロン分離部21と二次サイクロン分離部22は、ここでは詳細な構成の説明は省略するが、電動送風機30の吸引力により、いずれも内部で旋回気流を発生させて含塵空気から比重の大きい塵埃(例えば袋物の破片、髪の毛、砂、ご飯粒などの粒状物等)とこれよりさらに比重の小さいゴミ(例えば粉や綿ゴミなど)と空気とに遠心分離してこれらの塵埃・ゴミを分別して捕集するようになっている。
【0014】
含塵空気は、床用吸込具5から吸い込まれ、延長管4、ホース2を経て掃除機本体1の吸込口11に入り、引き続き空気ダクト28を通過して流入口27から一次サイクロン分離部21に流入する。そして、含塵空気は一次サイクロン分離部21から二次サイクロン分離部22を通過する間にサイクロン原理により塵埃が分離され捕集される。
サイクロン分離ユニット20を通過した空気は、二次サイクロン分離部22の1段目部分23に設けられた排出管29aを経て、排出管29aに密接に接続される本体ケース10上の排出管29bよりフィルター装置31へ導かれ、フィルター装置31を経由して電動送風機30により吸引される。このため、フィルター装置31によってサイクロン分離ユニット20で分離しきれなかった微細なゴミやダストを除去し、これにより清浄化された空気が上記の空気ダクト28と反対側の掃除機本体側方に設けられた排気口32より外部へ排出される。なお、フィルター装置31は複数設けてもよい。例えば、電動送風機30の吸い込み側と送風側(吐出側)のそれぞれにフィルター装置31を設けることができる。これによって、吸気と排気に対し2段階で除塵するため、電気掃除機100の排気をより清浄にすることが可能となる。
【0015】
次に、本発明の要部である電気掃除機100の本体ケース10の底面構造について図4から図7を参照して説明する。
【0016】
図4は掃除機本体1を立てた状態を底面側から見た外観斜視図であり、図5は掃除機本体1の底面図である。また、図6は掃除機本体1の側面図、図7は図5のB−B断面図である。
これらの図に示すように、本体ケース10の下ケース12の底面には前後方向に延びる平行なソリ状の凸部41、42が設けられている。凸部41、42は、図6に示すように、通常の床面清掃時には、底面と床面50との間に隙間43ができるように形成されている。ここで、凸部41、42は、下ケース12と一体成形で形成されている。一方の凸部41は一方側の前輪14の近傍から電動送風機30取付用凸部44まで連続して延設されている。他方の凸部42は他方側の前輪14の近傍からコードリール取付用凸部45まで連続して延設されている。
【0017】
本実施の形態1の電気掃除機100は、上記のように構成されているので、以下に示すような効果がある。
【0018】
(1)本体ケース10の底面に平行なソリ状の凸部41、42を設けているので、凸部41、42により面強度が向上する。そのため、振動による騒音を抑制または低減させることができる。
【0019】
(2)段差を乗り越える際において、本体ケース10の底面が段差に接触し、いくつかの前輪14あるいは後輪15が床面50に接触していない場合であっても、ソリ状の凸部41、42によって滑り運動を行っている状態となるため、引っかかりや転倒などは無くなり、段差をスムーズに乗り越えることができ、安定した操作性を得ることができる。また、本体ケース10底面の機械的強度が向上しているため、段差との強い接触または衝撃に対して、耐衝撃性および耐久性が向上する。
【0020】
(3)ソリ状の凸部41、42によって本体ケース10底面を外側に押し出す形状となり、本体ケース10内部の容積が増加するため、圧損の少ない風路を確保できる。
【0021】
実施の形態2.
図8は本発明の実施の形態2における掃除機本体1を立てた状態を底面側から見た外観斜視図で、凸部41、42の取付前の状態を示す斜視図である。電気掃除機については実施の形態1と同様である。
本実施の形態2は、凸部41、42を別部材として本体ケース10の底面に取り付けるものである。例えば、本体ケース10はPPあるいはABS樹脂成形品とし、凸部41、42は滑性のよい材料、例えばフッ素樹脂(PTFE等)、あるいはフッ素樹脂コーティングされた金属を選択することができる。また、本体ケース10と凸部41、42の取付・固定は、接着や溶着等による接合、あるいは2色成形により実施することができる。
【0022】
本実施の形態2によれば、実施の形態1の効果のほかに、凸部41、42を別部材として本体ケース10とは異なる滑性のよい材料を選択できるという効果がある。
また、凸部41、42を本体ケース10の底面と異なる材料としても同様の効果がある。
【符号の説明】
【0023】
1 掃除機本体、2 ホース、3 手元操作部、4 延長管、5 床用吸込具、10 本体ケース、11 吸込口、12 下ケース、13 上ケース、14 前輪、15 従動後輪、16 本体ハンドル部、17 凸部、20 サイクロン分離ユニット、21 一次サイクロン分離部、22 二次サイクロン分離部、26 集塵部、27 流入口、28 空気ダクト、29a 排出管、29b 排出管、30 電動送風機、31 フィルター装置、32 排気口、41 凸部、42 凸部、43 隙間、44 電動送風機取付用凸部、45 コードリール取付用凸部、50 床面、100 電気掃除機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体に旋回自在な前輪と従動後輪を設けた電気掃除機において、
前記掃除機本体の本体ケースが、底面と床面との間に隙間を有し本体ケースの前後方向に延びる平行なソリ状の凸部を底面に有することを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記凸部が別部材として前記本体ケースの底面に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記凸部と前記本体ケースの底面とが異なる材料で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−245052(P2011−245052A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121675(P2010−121675)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】