電気掃除機
【課題】被清掃面の掃除中に室内全体の空気を清浄化できる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】掃除機本体2では、所定のフィルタを通って浄化された空気が後方の排気口13から排気される。一方、排気口13の下方に設けられた噴出口20が、フィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させる。これにより、噴出口20から上方へ向かって噴き出た空気が、排気口13から排気された空気に下から衝突することで、排気口13から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けることができる。吸込具6では、床面Xに臨むメイン吸込口32が、床面Xの塵埃および周辺の空気を吸い込む一方で、床面Xと反対面に臨むサブ吸込口34が、掃除機本体2の後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込む。これにより、床面Xの塵埃とともに室内を漂う塵埃Yを捕獲しつつ、フィルタを通って浄化された空気を室内に行き渡らせることができる。
【解決手段】掃除機本体2では、所定のフィルタを通って浄化された空気が後方の排気口13から排気される。一方、排気口13の下方に設けられた噴出口20が、フィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させる。これにより、噴出口20から上方へ向かって噴き出た空気が、排気口13から排気された空気に下から衝突することで、排気口13から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けることができる。吸込具6では、床面Xに臨むメイン吸込口32が、床面Xの塵埃および周辺の空気を吸い込む一方で、床面Xと反対面に臨むサブ吸込口34が、掃除機本体2の後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込む。これにより、床面Xの塵埃とともに室内を漂う塵埃Yを捕獲しつつ、フィルタを通って浄化された空気を室内に行き渡らせることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
被清掃面に存在する塵埃を吸引するだけでなく、周囲に浮遊する塵埃も吸引することができる電気掃除機が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電気掃除機では、掃除機本体に、電動送風機が内蔵され、掃除機本体内に、電動送風機の吸引力で吸い込まれた塵埃および空気が通過する吸気通路が構成されている。吸気通路には、ごみ集塵部が設けられており、吸気通路を通過する塵埃および空気のうち、塵埃はごみ集塵部に捕集され、空気は、掃除機本体に設けられた排気口部から機外へ排出される。
【0003】
そして、特許文献1に記載の電気掃除機の掃除機本体には、上述した吸気通路(「第1の吸気通路」という。)とは別の第2の吸気通路が設けられている。第2の吸気通路は、機外と第1の吸気通路とをつないでおり、シャッター部によって開閉される。また、掃除機本体には、ごみ検知手段が設けられている。掃除機本体近傍で浮遊する塵埃をごみ検知手段が検知すると、シャッター部が第2の吸気通路を開き、掃除機本体近傍で浮遊する塵埃は、電動送風機の吸引力により、第2の吸気通路に吸い込まれ、第2の吸気通路に設けられた集塵フィルタに捕集される。
【0004】
そのため、特許文献1に記載の電気掃除機では、被清掃面の塵埃だけでなく、掃除機本体近傍で浮遊する塵埃も一緒に補集することで、被清掃面の掃除と同時に掃除機本体近傍の空気を清浄化することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−68676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電気掃除機では、被清掃面の掃除中において、掃除機本体近傍の空気を清浄化することができるものの、掃除機本体近傍の空気だけでなく、室内全体の空気を清浄化できると好ましい。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、被清掃面の掃除中に室内全体の空気を清浄化できる電気掃除機を提供することを主たる目的とする。
【0007】
また、この発明は、室内全体の空気を確実に清浄化できる電気掃除機を提供することを別の目的とする。
また、この発明は、空気を清浄化する構成の故障を防止できる電気掃除機を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、吸気口から空気および塵埃を吸い込み、塵埃を捕獲した後、空気を所定のフィルタを通して浄化し、後方の排気口から排気する掃除機本体と、前記排気口から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けるように、前記排気口の下方に設けられ、前記所定のフィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させるための噴出口と、前記吸気口にパイプまたはホースを介して接続され、被清掃面に臨む第1吸込口に加え、被清掃面と反対面に臨み、前記掃除機本体後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込むための第2吸込口を有する吸込具と、を備えることを特徴とする、電気掃除機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記掃除機本体において前記噴出口の上方に設けられ、前記掃除機本体内から電気コードを引き出すためのコード引出口を備えていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機である。
請求項3記載の発明は、前記掃除機本体の輪郭内に配置され、前記輪郭内で前記噴出口を開閉するシャッタを含むことを特徴とする、請求項1または2記載の電気掃除機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記噴出口は、前記輪郭内に形成されていることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、電気掃除機の掃除機本体では、所定のフィルタを通って浄化された空気が後方の排気口から排気される。一方、排気口の下方に設けられた噴出口が、所定のフィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させる。これにより、噴出口から上方へ向かって噴き出た空気が、排気口から排気された空気に下から衝突することで、排気口から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けることができる。
【0012】
そして、掃除機本体の吸気口にパイプまたはホースを介して接続された吸込具は、被清掃面に臨む第1吸込口と、被清掃面と反対面に臨む第2吸込口とを有している。第1吸込口が、被清掃面の塵埃および周辺の空気を吸い込む一方で、第2吸込口は、上述したように掃除機本体後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込む。
これにより、電気掃除機では、被清掃面の塵埃とともに室内を漂う塵埃を捕獲しつつ、所定のフィルタを通って浄化された空気を部屋内(室内)に行き渡らせることができるので、被清掃面の掃除中に室内全体の空気を清浄化できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、掃除機本体には、掃除機本体内から電気コードを引き出すためのコード引出口が設けられている。そのため、所定のフィルタを通って浄化された空気が電気コードを冷却した後にコード引出口から排気される。
ここで、コード引出口が噴出口の上方に設けられているので、噴出口から上方へ向かって噴き出た空気は、コード引出口から排気された空気に下から衝突し、コード引出口から流出する空気の流れを、排気口から排気された空気の流れと同様に、上方へ向けることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、噴出口を開閉するシャッタが設けられているので、噴出口から空気を噴き出す必要がないときには、シャッタが噴出口を閉じることで、外部のごみが噴出口から掃除機本体内に侵入することを防止できる。
そして、シャッタは、掃除機本体の輪郭内に配置され、この輪郭内で噴出口を開閉するので、掃除機本体に外力が加わっても、シャッタに外力が作用することはなく、シャッタ(空気を清浄化する構成)の故障を防止できる。
【0015】
また、噴出口が排気口の下方に位置することから、噴出口を開閉するシャッタも、排気口の下方に位置することになる。そのため、シャッタは、排気口から下方へ離れて配置されるので、排気口から排気される空気を浴びにくくなり、排気口から排気される空気の影響を受けることなく円滑に開閉することができる。
請求項4記載の発明によれば、噴出口は、掃除機本体の輪郭内に形成されているので、掃除機本体に何かが接触しても、噴出口が塞がれることはない。そのため、空気を噴出口から上方へ向かって確実に噴き出すことができるので、空気を部屋内で循環させることができ、室内全体の空気を確実に清浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の右側面図である。
【図2】掃除機本体2の右側断面図である。
【図3】掃除機本体2を背面側から見た斜視図である。
【図4】掃除機本体2の後側部分の右側断面図である。
【図5】電気掃除機1における吸込具6およびその周辺を正面側から見た斜視図である。
【図6】図4において変形例を適用した図である。
【図7】図6におけるA−A矢視断面図であって、(a)は、第1の例を示し、(b)は、第2の例を示している。
【図8】図6におけるB−B矢視断面図である。
【図9】第1フィルタ8の斜視図である。
【図10】第1フィルタ8の平断面図である。
【図11】掃除機本体2の右側断面図である。
【図12】床面Xに載置された第1フィルタ8の右側断面図である。
【図13】(a)は、変形例に係る電気掃除機1の掃除機本体2の要部右側断面図であり、(b)〜(d)は、(a)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の右側面図である。図2は、掃除機本体2の右側断面図である。図3は、掃除機本体2を背面側から見た斜視図である。図4は、掃除機本体2の後側部分の右側断面図である。図5は、電気掃除機1における吸込具6およびその周辺を正面側から見た斜視図である。以下では、電気掃除機1およびその構成部品の説明に関し、特に断りがない限り、便宜上、図1における左側を前側、右側を後側、手前側を右側、奥側を左側として説明する。なお、左右方向と幅方向とは同じである。
【0018】
図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース3と、操作部4と、パイプ5と、吸込具6とを備えている。
掃除機本体2は、前後にやや長手で丸みを帯びたボックス形状である。掃除機本体2は、その外郭をなす中空体である筐体7と、筐体7内に収納される第1フィルタ8および電動送風機9(図2参照)とを主に備えている。
【0019】
筐体7では、前面10に、吸気口11が形成され、後面12に、排気口13が形成され、筐体7内部に、吸気口11と排気口13とに連通する空気流路14(図2も参照)が区画されている。上述した第1フィルタ8および電動送風機9は、空気流路14内に配置されている(図2参照)。第1フィルタ8は、電動送風機9の前側に位置し、空気流路14における空気の流れ方向に見て、電動送風機9の上流側に位置している。
【0020】
また、筐体7の左右の側面15のそれぞれの後側部分には、車輪16が取り付けられ、筐体7の底面17には、キャスター18が取り付けられている。車輪16およびキャスター18が床面X(被清掃面)上で回転することによって、掃除機本体2は、床面X上を円滑に移動することができる。
ここで、図1に示すように、掃除機本体2が通常の姿勢にあって筐体7の底面17が床面Xに上から対向しつつ車輪16およびキャスター18が床面Xに接触している状態では、後面12は、垂直方向に沿ってほぼ平坦である。後面12では、上側部分に、上述した排気口13とコード引出口19(図3参照)とが形成されており、下側部分に、噴出口20(図2および図3参照)が形成されている。つまり、噴出口20は、排気口13およびコード引出口19の下方に設けられている。
【0021】
図3に示すように、排気口13は、幅方向に細長いスリット状であり、上下に並ぶように複数形成されている。
コード引出口19は、電動送風機9に電力を供給するための電気コード(図示せず)を筐体7(掃除機本体2)内から引き出すためのものである。ここで、後面12において背面視で右上側の端部には、前側へ窪む凹部12Aが形成されており、コード引出口19は、後面12において、凹部12Aの奥に形成されている。電気コード(図示せず)は、筐体7内から引き出されるとき、または、筐体7内に収納されるときにコード引出口19を通過する。コード引出口19は、空気流路14(図1および図2参照)に連通している。なお、筐体7の天面21には、ボタン35が設けられており、このボタン35を押すと、筐体7から引き出された電気コード(図示せず)を筐体7内に引き戻すことができる。
【0022】
噴出口20は、幅方向に長手であり、空気流路14(図1および図2参照)に連通している。噴出口20に関連して、筐体7の後面12において噴出口20が形成されている部分には、図2に示すように、前側へ窪む凹部22が形成されている。凹部22は、幅方向から見て、前側へ向かって細くなる略三角形状であり、幅方向に細長い(図3も参照)。後面12は、前下側へ延びて凹部22の前上側の部分をなす傾斜面23を備えている。噴出口20は、凹部22の前下側の部分をなしており、凹部22から後面12に露出されていて、後上側を臨んでいる。
【0023】
噴出口20には、幅方向に細長い板状をなすシャッタ24が設けられている。シャッタ24は、幅方向に延びる軸25を中心に回動することで、開閉自在である。図1では、シャッタ24は、後下側へ延びるように閉じていて、噴出口20を、筐体7の内側から塞いでいる。一方、シャッタ24は、閉じた状態から右側面視で反時計回りに所定量だけ回動すると、傾斜面23に下から沿って前上側へ延びるように開き、噴出口20を開放する(図4において破線で示したシャッタ24を参照)。清掃時以外では、シャッタ24は、閉じている。
【0024】
図1に示すホース3は、可撓性を有する蛇腹状のホースであり、その一端3Aが吸気口11に接続されることで、ホース3の内部と空気流路14とが互いに連通している。
ホース3の他端3Bに対して操作部4が接続されている。操作部4は、ホース3の他端3Bに直接接続される円筒状の筒部26と、筒部26の外周面に一体的に設けられるメイングリップ27およびサブグリップ28とを備えている。筒部26の内部とホース3の内部とは互いに連通している。メイングリップ27とサブグリップ28とは、筒部26の外周面において、この外周面の周方向で互いに約180°ずれた位置にあり、筒部26の径方向における外側へ突出している。図1において、メイングリップ27は、上向きに突出し、サブグリップ28は、下向きに突出している。メイングリップ27およびサブグリップ28を適宜掴むことによって、電気掃除機1を所望の方向へ移動させることができる。
【0025】
パイプ5は、操作部4と吸込具6とをつないでいる。パイプ5は、その長手方向において、操作部側パイプ29と吸込具側パイプ30とに分割可能である。吸込具側パイプ30の一端部(図1では後端部)が操作部側パイプ29内に対して挿通されており、操作部側パイプ29および吸込具側パイプ30のうち、一方を他方に対してスライドさせることで、パイプ5の全長を任意の長さに変更することができる。パイプ5の内部と操作部4の筒部26の内部とは互いに連通している。
【0026】
吸込具6は、幅方向に長手で上下にやや薄い中空のボックス形状である。吸込具6の内部とパイプ5の内部とは互いに連通している。これにより、吸込具6は、パイプ5、操作部4およびホース3(ホース3およびパイプ5のいずれか一方でもよい)を介して、掃除機本体2の吸気口11に接続されている。
吸込具6において、底面31にはメイン吸込口32(第1吸込口)が形成され、天面33にはサブ吸込口34(第2吸込口)が形成されている。メイン吸込口32およびサブ吸込口34は、ともに吸込具6内に連通しており、メイン吸込口32は、床面Xに対して上から臨み、サブ吸込口34は、上方(床面Xと反対面)を臨んでいる(図5も参照)。
【0027】
このような電気掃除機1において、清掃時には、電動送風機9(図2参照)が、電力を受けて駆動されることによって、吸引力を発生する。この吸引力は、吸込具6において、主としてメイン吸込口32に作用する。そのため、この吸引力によって、床面X上の塵埃(図5において符号Yを付している。)は、メイン吸込口32から吸込具6内に吸い込まれ、吸込具6、パイプ5、操作部4の筒部26、ホース3をこの順で通過した後、吸気口11から掃除機本体2の空気流路14まで吸い込まれる。また、吸込具6の周りの空気は、床面X上の塵埃とともに、空気流路14まで吸い込まれる。
【0028】
空気流路14まで吸い込まれた空気および塵埃は、図2において太い実線矢印で示すように、第1フィルタ8に受け入れられる。その際、塵埃が第1フィルタ8に捕獲され、これにより、空気と塵埃とが分離され、空気だけが、第1フィルタ8を通過して、引き続き空気流路14を流れる。第1フィルタ8を通過した空気は、電動送風機9によって、空気流路14において、上述した空気の流れ方向における電動送風機9の下流側へ吐き出される。
【0029】
ここで、空気流路14において、電動送風機9の下流側には、所定のフィルタとしての第2フィルタ36(ドットで塗り潰した部分)が設けられており、電動送風機9の下流側へ吐き出された空気は、第2フィルタ36を通過する。第2フィルタ36は、いわゆるULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)の部類に属する高い塵捕獲性能を有しており、第1フィルタ8よりも細かい塵埃を捕獲することができる。そのため、空気が第2フィルタ36を通過する際、この空気において第1フィルタ8によって捕獲しきれなかった微細な塵埃が、第2フィルタ36によって捕獲される。これにより、空気は、第2フィルタ36を通過することで、完全に清浄化される。
【0030】
第2フィルタ36を通過した空気のうち、大体は、空気流路14において、電動送風機9の周囲に沿うように上昇しながら筐体7の後面12側に向かい、排気口13から後方へ向かって機外へ排出(排気)されるが(太い実線矢印参照)、一部は、筐体7内にある電気コード(図示せず)に浴びせられた後に、コード引出口19(図3参照)から機外へ排出される。電気コード(図示せず)は、電動送風機9に電力を供給するのに応じて発熱することから、上述したように空気が浴びせられることによって冷却される。
【0031】
さらに、第2フィルタ36を通過した空気のうち、一部の空気は、空気流路14において、排気口13およびコード引出口19のいずれにも向かうことなく、分流されて、シャッタ24へ向かう。これにより、今まで閉位置にあったシャッタ24は、第2フィルタ36を通過した空気のうちシャッタ24まで到達した一部の空気(太い破線矢印参照)の風圧によって押し開けられ、後上側へ傾斜するまで回動する(図4において破線で示したシャッタ24を参照)。これにより、噴出口20が後上側へ開放され、シャッタ24まで到達した空気は、太い破線矢印で示すように、噴出口20から、上方(詳しくは後上側)へ向けて機外へ噴き出される。
【0032】
このように噴出口20から後上側へ向けて機外へ排出された空気(太い破線矢印参照)が、排気口13およびコード引出口19(図3参照)から機外へ排出された空気(太い実線矢印参照)に対して、前下側から衝突する。これにより、排気口13およびコード引出口19から排気されて後方へ流出する空気は、流れる向きが上向きに修正されて、図1において太い白色矢印で示すように、全体的に上方へ流れるようになる。このように上方へ流れるように空気が機外へ排気されることは、上方排気と呼ばれる。また、噴出口20から後上側へ向けて機外へ排出された空気(図2の太い破線矢印参照)は、エアカーテンと呼ばれる。
【0033】
ここで、図5を参照して、電動送風機9(図2参照)が発生した吸引力は、吸込具6において、メイン吸込口32だけでなく、サブ吸込口34にも作用する。なお、図5では、メイン吸込口32に作用する吸引力のイメージを、太い黒色矢印で示し、サブ吸込口34に作用する吸引力のイメージを、太い白色矢印で示している。
サブ吸込口34に作用する吸引力により、図1を参照して、上述したように排気口13およびコード引出口19(掃除機本体2の後方)から機外へ向けて上方へ排気された空気(噴出口20から排出された空気も含まれる)の流れる向きが前向きに修正され、この空気は、太い白色矢印で示すように、室内において上昇しつつ前側へ流れ、その後、サブ吸込口34から吸込具6内に吸い込まれる。
【0034】
つまり、排気口13およびコード引出口19から機外へ向けて上方へ排出(上方排気)された空気とサブ吸込口34に作用する吸引力とによって、電気掃除機1が配置される室内(部屋内)において、電気掃除機1の上方で排気口13、コード引出口19および噴出口20からサブ吸込口34へ向かう空気の流れZ(太い白色矢印)が発生する。これにより、室内に漂う塵埃Yが空気の流れZに乗ってサブ吸込口34から吸込具6に強制的に吸い込まれるので、この塵埃Yを掃除機本体2の空気流路14における第1フィルタ8および第2フィルタ36(図2参照)によって効率的に捕獲することができる。
【0035】
そして、室内に漂う塵埃Yがサブ吸込口34から吸い込まれているとき、床面Xの塵埃がメイン吸込口32から引き続き吸い込まれているので、吸込具6では、室内に漂う塵埃および床面Xの塵埃の両方を吸い込むことができる。
さらに、吸込具6に吸い込まれた後に第1フィルタ8および第2フィルタ36(図2参照)によって清浄化された空気が排気口13やコード引出口19や噴出口20から上方排気されて室内に行き渡ることから、室内の空気は、上述した流れZを形成しながら循環し、その途中で吸込具6のサブ吸込口34に吸い込まれて電気掃除機1によって清浄化されている。
【0036】
このように、この電気掃除機1では、床面Xの塵埃とともに室内を漂う塵埃Yを捕獲しつつ、第1フィルタ8および第2フィルタ36を通って浄化された空気を室内に行き渡らせることができるので、床面Xの掃除中に室内全体の空気を清浄化できる。
なお、空気流路14内から機外へ排出された空気が上方排気されることから、この空気が床面Xに浴びせられることで床面X上の塵埃が舞い上がることを防止できる。
【0037】
そして、図2を参照して、電動送風機9の駆動が停止すると、電動送風機9が吸引力を発生しなくなることから、空気流路14において空気が流れなくなるので、シャッタ24を押し開ける空気がなくなり(風圧が弱くなり)、シャッタ24は、自重によって閉じ、再び噴出口20を塞ぐ(図4において実線で示したシャッタ24も参照)。これにより、噴出口20から空気を噴き出す必要がないときには、外部のごみが噴出口20から筐体7内に入り込むことを防止できる。また、この状態では、噴出口20から筐体7内の構造が露出されないので、見映えがよい。
【0038】
ここで、図4を参照して、噴出口20を開閉するシャッタ24について詳説すると、シャッタ24は、上述した軸25を中心として、後側部分が前側部分よりも大きく回動するように開閉する。
そして、シャッタ24は、幅方向から見て、常に、上述した凹部22内で回動する。そのため、開いているとき(破線で示したシャッタ24を参照)と閉じているとき(実線で示したシャッタ24を参照)との間におけるシャッタ24の回動軌跡37(図4における拡大図を参照)は、凹部22内にある。換言すれば、回動軌跡37は、凹部22が形成された筐体7(掃除機本体2)の後面12における外側の輪郭38より内側にある。
【0039】
よって、筐体7の後面12に何かがぶつかったり、掃除機本体2が後面12側から床面X(図1参照)に落下したり、ユーザが後面12におけるシャッタ24付近を踏んだりしても、シャッタ24に代わって後面12が外力を受けるので、シャッタ24が破損することはない。
シャッタ24は、上述したように風圧で開かれて自重で閉じる構造上、軽い薄板状をなしており、強度が比較的低い。また、開く方向または閉じる方向へばね等で付勢されている訳ではないので、掃除機本体2の姿勢を変えると勝手に開閉することもある。そのため、シャッタ24に何かがぶつかると、シャッタ24が破損する虞がある。しかし、以上のように、シャッタ24およびその回動軌跡37を凹部22内(つまり、掃除機本体2の輪郭38の内側)に配置することによってシャッタ24に物がぶつからないようにしているので、シャッタ24の破損を防止し、風圧および自重でシャッタ24を開閉する構成を実現することができる。
【0040】
また、シャッタ24を凹部22内に配置することで後面12から突出させていないので、掃除機本体2の小型化を図ることができる。
そして、シャッタ24に開閉される噴出口20は、上述したように凹部22の前下側の部分をなしていることから、凹部22内(筐体7の後面12から筐体7内に奥まった位置であり、上述した輪郭38の内側)にあり、さらに、後面12において、排気口13およびコード引出口19より下方に位置している(図3も参照)。つまり、噴出口20およびシャッタ24は、排気口13およびコード引出口19から下方へ離れた位置にある。
【0041】
そのため、排気口13およびコード引出口19から機外に排出される空気(図2の太い実線矢印参照)がシャッタ24に浴びせられることでシャッタ24の回動が妨げられることはなく、シャッタ24は、排気口13およびコード引出口19から機外に排出される空気から離れた位置で、円滑に開くことができる。これにより、噴出口20が確実に開放されるので、上述した上方排気を確実に実現することができる。
【0042】
また、噴出口20は、上述した輪郭38の内側に形成されているので、掃除機本体2に何かが接触しても、噴出口20が塞がれることはない。そのため、空気を噴出口20から上方へ向かって確実に噴き出すことができるので、上述したように空気を部屋内で循環させることができ、室内全体の空気を確実に清浄化できる。
図6は、図4において変形例を適用した図である。図7は、図6におけるA−A矢視断面図であって、(a)は、第1の例を示し、(b)は、第2の例を示している。図8は、図6におけるB−B矢視断面図である。
【0043】
そして、上記した実施例、および、これから説明する変形例のいずれにおいても、空気流路14において噴出口20の手前側の位置には、リブ39が設けられている。図7に示すように、リブ39は、前後に薄くて幅方向に長手であって噴出口20の下方で上下に延びる複数本の第1リブ39A(図6も参照)と、幅方向に薄くて前後に長手であって噴出口20の下方で上下に延びる複数本の第2リブ39Bとを含んでいる。そして、複数本の第1リブ39Aが前後に並んで複数本の第2リブ39Bが幅方向に並び、さらに、第1リブ39Aと第2リブ39Bとが交差することで、リブ39全体は、平面視で格子状をなしている。
【0044】
ここで、図8を参照して、噴出口20から機外へ排出される空気は、電動送風機9(図2参照)に含まれるモータの回転方向の影響を受けて、背面視において、真上へ排出されることなく、幅方向(ここでは背面視で右側)へずれながら排出されようとする(太い破線矢印参照)。また、掃除機本体2において、電動送風機9の左側(背面視における右側)に、上述した電気コード(図示せず)および電気コードを巻き取るためのコードリール(図示せず)が配置されているので、電動送風機9は、背面視において、掃除機本体2の幅方向中央から左側へずれて配置されている。そのため、噴出口20から機外へ排出される空気は、背面視において、一層右側へずれながら排出されようとする(太い破線矢印参照)。
【0045】
この場合、噴出口20から機外へ排出された空気が、右側へずれながら排出されることによって、排気口13およびコード引出口19から機外へ排出された空気(図2の太い実線矢印参照)に効果的に衝突できなくなるので、上述した上昇排気が困難になる虞がある。
しかし、リブ39、特に、幅方向に並ぶ複数本の第2リブ39Bが、空気流路14において噴出口20へ向かう空気の流れを、噴出口20の手前で、背面視で真上に向くように整える。これにより、噴出口20から機外へ排出された空気は、幅方向へずれながら排出されることなく、背面視でほぼ真上へ排出される(太い実線矢印参照)。これにより、噴出口20から機外へ排出された空気は、排気口13およびコード引出口19から機外へ排出された空気に効果的に衝突できるので、上述した上昇排気を確実に実現することができる。
【0046】
そして、図6に示すように、空気流路14において、噴出口20の手前側には、フィルタ40が配置されている。フィルタ40は、スポンジ等で形成されており、噴出口20とほぼ同じ幅方向寸法を有する幅方向に長手の帯状である(図7も参照)。フィルタ40は、リブ39に載置されることによって、位置決めされている。
このフィルタ40は、シャッタ24によって開放された噴出口20から空気流路14に入り込もうとする外部のごみを捕獲する役目を有するとともに、空気流路14(つまり掃除機本体2)内の構造を噴出口20から外部に露出されないように隠す役目も有している。
【0047】
しかし、空気流路14の断面を全て塞ぐようにフィルタ40がリブ39に載置されると、空気流路14から噴出口20へ向かおうとする空気に対してフィルタ40が抵抗となることで、噴出口20へ向かおうとする空気の勢い(つまり、上述した風圧)が弱まることから、シャッタ24が円滑に開かず、上述した上昇排気が困難になる虞がある。
そこで、フィルタ40を、噴出口20付近の空気流路14において後方からのユーザの視界41に入る前側領域14Aにのみ配置する一方で、後側領域14Bをフィルタ40で塞がないようにしている。具体的には、フィルタ40において後側領域14Bに一致する部分を切欠いている。
【0048】
そのため、空気流路14から噴出口20へ向かおうとする空気は、フィルタ40に差し掛かっても、フィルタ40に塞がれていない後側領域14Bから噴出口20へ円滑に流れることができるので、上述した風圧の低下を抑えることができる。これにより、シャッタ24が円滑に開くので、上昇排気を確実に実現することができる。さらに、空気が後側領域14Bを流れると、その先には、シャッタ24において最も大きく回動する(回動軸25から最も遠い)後側部分24Aが位置しているので、後側領域14Bを流れた空気がシャッタ24の後側部分24Aに直接当たることで、シャッタ24は、効率的に回動して円滑に開くことができる。
【0049】
このように上昇排気を確実に実現できる一方で、ユーザの視界41に入る位置には、フィルタ40が位置していることから、空気流路14(掃除機本体2)内の構造がユーザの視界41に入らず、見映えがよい。
なお、フィルタ40が空気流路14の後側領域14Bを塞がない態様として、図7(a)に示すように、フィルタ40を後側領域14Bに全く配置しないようにしてもよく、図7(b)に示すように、フィルタ40が後側領域14Bを部分的に塞がないようにしてもよい。フィルタ40を後側領域14Bに全く配置しない場合には(図7(a)参照)、後側領域14Bにおいて空気を一層円滑に流すことができる一方で、フィルタ40が後側領域14Bを部分的に塞がない場合には(図7(b)参照)、フィルタ40が後側領域14Bにも存在することから、空気流路14へのごみの侵入を確実に防止できる。
【0050】
図9は、第1フィルタ8の斜視図である。図10は、第1フィルタ8の平断面図である。図11は、掃除機本体2の右側断面図である。図12は、床面Xに載置された第1フィルタ8の右側断面図である。
次に、第1フィルタ8について詳説する。
第1フィルタ8に関し、掃除機本体2の筐体7の内部は、図2に示すように、区画壁42によって、第1フィルタ8が収容される前側の第1室43と、電動送風機9が収容される後側の第2室44とに区画されている。区画壁42の上下方向途中には、連通口45が形成されていて、この連通口45を介して第1室43と第2室44とが互いに連通している。
【0051】
また、筐体7の天面21において、前後方向で第1室43と一致する部分は、開閉自在なカバー46をなしており、図2に示すようにカバー46が閉じている状態では、第1室43が外部から遮断されており、カバー46が開いている状態では(図示せず)、第1室43が上方へ露出されている。そのため、カバー46を開くことで、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して上方から着脱することができる。
【0052】
そして、第1フィルタ8は、前側へ向かって徐々に細くなる略直方体形状をなしている(図9も参照)。第1フィルタ8は、その外郭をなすケーシング51とメッシュフィルタ52とプリーツフィルタ53とを主に含んでいる。
ケーシング51は、前側へ向かって徐々に細くなるボックス形状であり、前面の略中央に、入口54が形成され、後面のほぼ全域に、出口55が形成されている(図9も参照)。入口54および出口55は、ともにケーシング51内部に連通している。また、第1フィルタ8が掃除機本体2に装着された状態において、入口54は、筐体7の吸気口11を介してホース3内(図1参照)に連通しており、出口55は、上述した区画壁42の連通口45を介して第2室44に連通している。そのため、掃除機本体2において第1フィルタ8が収容される第1室43では、ケーシング51の内部が空気流路14をなしている。
【0053】
また、ケーシング51の後面の外側周縁部(出口55を縁取る部分)には、パッキン61が全周に亘って取り付けられている(図9も参照)。このパッキン61が、連通口45を取り囲むように区画壁42に対して前側から密着しているので、第1フィルタ8と区画壁42との間における空気流路14の密閉度が高められている。
メッシュフィルタ52は、目の細かな通気性メッシュで形成されており、ケーシング51の内部を、前側の旋回室56と、後側の収容室57とに区画している。
【0054】
旋回室56には、前後方向に延びる中心軸回りに旋回する旋回流路が形成されており、空気流路14において入口54から旋回室56内に流入した空気は、この旋回流路で旋回される。このとき、空気に含まれる塵埃には遠心力が付与されるので、塵埃は、効果的に空気から分離され、メッシュフィルタ52に捕獲されて旋回室56内に溜められる。メッシュフィルタ52を通過して集塵が除去された空気は、収容室57内に流入する。
【0055】
収容室57には、プリーツフィルタ53が配置されている。プリーツフィルタ53は、上から見た断面形状が交互に反対方向に折り畳まれて幅方向に連続する山谷形状を有するフィルタである(図10参照)。プリーツフィルタ53は、旋回室56から収容室57内に流入した空気を通過させる一方で、メッシュフィルタ52では捕獲し切れなかった微細な塵埃を捕獲する。プリーツフィルタ53を通過した空気は、上述した出口55および区画壁42の連通口45を介して第2室44に流入してから、第2室44の電動送風機9を経て、上述したように機外へ排出される。
【0056】
このように、第1フィルタ8では、メッシュフィルタ52で比較的大きい塵埃を捕獲し、プリーツフィルタ53で比較的小さい塵埃を捕獲することによって、大きさの違いを問わずに、塵埃を確実に捕獲することができる。
そして、プリーツフィルタ53を保持するために、ケーシング51には、図9に示すように、ホルダ58が備えられている。ホルダ58は、ケーシング51の出口55から露出されつつ、プリーツフィルタ53の上側部分に対して後側(図9における手前側)から対向配置される幅方向に長手の棒状である。
【0057】
ホルダ58は、図10に示すように、プリーツフィルタ53に対向する面(前面)において、プリーツフィルタ53の山谷形状に合わせた凹凸を有しており、プリーツフィルタ53において前側へ窪む谷形状をなす各部分の最深部(前端部であり、図10では上端部)のみに接触することでプリーツフィルタ53を保持している。これにより、プリーツフィルタ53の剛性が補強されるので、プリーツフィルタ53の変形(特に幅方向への変形)が防止される。そのため、プリーツフィルタ53を空気が通過するときの勢いによってプリーツフィルタ53において幅方向に隣り合う山部分が変形して密着することで、プリーツフィルタ53における空気の流れが悪化したり、プリーツフィルタ53が急速に目詰りしたりするような不具合を防止できる。
【0058】
ここで、図2を参照して、掃除機本体2の上述した区画壁42において連通口45より下側の部分は、掃除機本体2に装着された第1フィルタ8のプリーツフィルタ53の下側部分に対して後側から対向しており、この部分には、除塵レバー59が取付けられている。除塵レバー59は、掃除機本体2に内蔵されたモータ等(図示せず)に駆動されることによって幅方向へスライドすることができる。また、除塵レバー59の先端(前端)部分は、プリーツフィルタ53の折目の山(図9参照)に接触する程度に前側へ突出している。そして、所定のタイミングで、除塵レバー59が幅方向に沿ってスライドすると、除塵レバー59の先端部分が、プリーツフィルタ53の折目の山(詳しくは、それぞれの山に一体化された樹脂製のリブ60であり、図9も参照)を弾く。これにより、プリーツフィルタ53が振動するので、プリーツフィルタ53に詰まった微小な塵埃をプリーツフィルタ53から剥離させて、プリーツフィルタ53の目詰まりを防止することができる。
【0059】
ここで、図10に示す上述したホルダ58は、プリーツフィルタ53において谷形状をなす各部分の最深部(前端部であって、図10では上端部)のみに接触していることから、プリーツフィルタ53において、除塵レバー59に弾かれる部分(上述したリブ60側の部分であって後端部)は、ホルダ58の保持されていない。そのため、プリーツフィルタ53は、除塵レバー59(図2参照)に弾かれると、リブ60側(図9参照)において自由に振動することができるので、プリーツフィルタ53から塵埃を確実に剥離させることができる。
【0060】
ここで、図9を参照して、プリーツフィルタ53のそれぞれの山に一体化されたリブ60は、幅方向に薄くて上下に長い板状であり、除塵レバー59に弾かれる部分が、突出部60Aとなって、後側へ突き出ている。各リブ60は、ケーシング51の出口55の下端において幅方向に並んでおり、外部へ露出されている。そのため、第1フィルタ8に触れたユーザの指先が出口55の下端まで届くと、リブ60に触れ、そのときの勢いでリブ60が折れてしまう虞がある。なお、リブ60が折れると、リブ60に一体化されたプリーツフィルタ53が破けてしまう虞もある。
【0061】
そこで、ケーシング51には、保護カバー62が取り付けられている。保護カバー62は、幅方向に細長い板状であり、各リブ60の下側部分(リブ60において触れられやすい根元部60B)を外側(図9では手前側)から覆っている。これにより、各リブ60が触れられにくくなるので、リブ60が折れること、および、プリーツフィルタ53が破けることを防止できる。また、リブ60が触れられたとしても、下側部分(根元部60B)でなく、上述した上側の突出部60Aなので、根元部60Bが触れられる場合に比べて、リブ60は折れにくい。
【0062】
また、各リブ60では、上述した突出部60Aが、除塵レバー59(図2参照)に弾かれるように、第1フィルタ8において、パッキン61よりも外側(後側)にはみ出ている。そのため、図12に示すように、パッキン61側が床面Xに対向するように第1フィルタ8を床面Xに載置すると、各リブ60の突出部60Aが床面Xにぶつかって変形する虞がある。
【0063】
しかし、突出部60Aよりも先に、上述した保護カバー62が、床面Xに接触する。そして、最終的には、第1フィルタ8では、保護カバー62およびパッキン61だけが床面Xに接触する。そのため、リブ60が床面Xにぶつかって変形することを防止できる。
そして、図2を参照して、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して上方から着脱する場合、着脱途中の第1フィルタ8(特にパッキン61)に除塵レバー59の先端(前端)部分が引っかからないように、掃除機本体2の上述した区画壁42には、図11に示すガイド部63が一体的に設けられている。ガイド部63は、除塵レバー59(図2参照)と上下方向においてほぼ同じにあり、幅方向から見て、区画壁42から前側へ膨出している。ガイド部63の前端は、除塵レバー59の前端よりも前側にある。
【0064】
そのため、掃除機本体2に対して装着されるために下方へ略垂直に移動する第1フィルタ8は、除塵レバー59(図2参照)に近付くと、保護カバー62(図9参照)の幅方向両端部においてガイド部63に接触することによって前側へずれ、除塵レバー59(図2参照)を避ける。そして、保護カバー62の幅方向両端部がガイド部63を乗り越えると、第1フィルタ8は、後側へずれる。その結果、第1フィルタ8を、除塵レバー59(図2参照)に引っ掛けることなく、掃除機本体2に対して装着できる。なお、第1フィルタ8は、掃除機本体2に装着される際に除塵レバー59に引っ掛からないので、掃除機本体2から離脱される際にも除塵レバー59に引っ掛かることはない。
【0065】
また、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して着脱する際、ガイド部63は、パッキン61でなく、上述した保護カバー62や、第1フィルタ8のケーシング51においてプリーツフィルタ53の両側に設けられたフレーム64といった樹脂製の部品に接触する(図9参照)。これにより、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して着脱する際、ガイド部63がパッキン61に接触することでパッキン61が傷付けられることを防止できる。もちろん、上述したように、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して着脱する際に、第1フィルタ8が除塵レバー59(図2参照)に引っ掛からないようにしているので、除塵レバー59がパッキン61に接触することでパッキン61が傷付けられることも防止できる。
【0066】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
また、シャッタ24に関し、図13に示す変形例を適用することもできる。図13において、(a)は、変形例に係る電気掃除機1の掃除機本体2の要部右側断面図であり、(b)〜(d)は、(a)の要部拡大図である。
【0067】
ここで、図13では、シャッタ24において空気流路14に臨む下面24Bの前端部に、幅方向から見て、下面24Bと略直交して空気流路14内に突出する補助翼47が一体的に設けられている。補助翼47は、幅方向に細長い薄板状である。図13(a)では、閉じているシャッタ24が後下側へ傾斜している一方で、補助翼47は、前下側へ延びている。
【0068】
このような補助翼47を設けた場合、シャッタ24が閉じている状態において、電動送風機9(図2参照)の出力(換言すれば、排気の風速)の変化に伴って上述した風圧が変化しても、シャッタ24は、常に最大限(最大角度)まで開くことができる。
詳しくは、太線矢印で示すようにシャッタ24へ向かって空気流路14を流れる空気が、図13(b)に示すようにシャッタ24に到達すると、シャッタ24の下面24Bにぶつかり、上述したように、シャッタ24を押し開けようとする。この際、空気がシャッタ24を押し開けようとする力(上述した風圧)が強ければ、シャッタ24は、速やかかつ確実に、最大限まで開くが(図13(d)参照)、風圧が弱い場合には、図13(c)に示すように、途中までしか開かない。このとき、シャッタ24は、空気流路14を流れる空気(図13(c)に示す2つの太線矢印のうちの大きい太線矢印を参照)に対して略平行になっていることから、空気流路14を流れる空気(風圧)がシャッタ24に効果的に当たらず、シャッタ24は、途中まで開いた状態からさらに開くことが困難である。
【0069】
ここで、シャッタ24へ向かう空気の一部は、図13(c)に示す2つの太線矢印のうちの小さい太線矢印で示すように、掃除機本体2内で空気流路14を区画する壁面48に沿って流れてシャッタ24の前側に回り込み、補助翼47にぶつかる。このとき、補助翼47は、この一部の空気に対して抵抗となるような(この一部の空気の流れに対して平行とならない)姿勢になっているので、シャッタ24は、下面24Bに加えて補助翼47で風圧を受けることで、さらに押し開けられ、上述した風圧が弱くても、結果として、図13(d)に示すように、最大限まで開くことができる。
【符号の説明】
【0070】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 ホース
5 パイプ
6 吸込具
11 吸気口
13 排気口
19 コード引出口
20 噴出口
24 シャッタ
32 メイン吸込口
34 サブ吸込口
36 第2フィルタ
38 輪郭
X 床面
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
被清掃面に存在する塵埃を吸引するだけでなく、周囲に浮遊する塵埃も吸引することができる電気掃除機が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電気掃除機では、掃除機本体に、電動送風機が内蔵され、掃除機本体内に、電動送風機の吸引力で吸い込まれた塵埃および空気が通過する吸気通路が構成されている。吸気通路には、ごみ集塵部が設けられており、吸気通路を通過する塵埃および空気のうち、塵埃はごみ集塵部に捕集され、空気は、掃除機本体に設けられた排気口部から機外へ排出される。
【0003】
そして、特許文献1に記載の電気掃除機の掃除機本体には、上述した吸気通路(「第1の吸気通路」という。)とは別の第2の吸気通路が設けられている。第2の吸気通路は、機外と第1の吸気通路とをつないでおり、シャッター部によって開閉される。また、掃除機本体には、ごみ検知手段が設けられている。掃除機本体近傍で浮遊する塵埃をごみ検知手段が検知すると、シャッター部が第2の吸気通路を開き、掃除機本体近傍で浮遊する塵埃は、電動送風機の吸引力により、第2の吸気通路に吸い込まれ、第2の吸気通路に設けられた集塵フィルタに捕集される。
【0004】
そのため、特許文献1に記載の電気掃除機では、被清掃面の塵埃だけでなく、掃除機本体近傍で浮遊する塵埃も一緒に補集することで、被清掃面の掃除と同時に掃除機本体近傍の空気を清浄化することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−68676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電気掃除機では、被清掃面の掃除中において、掃除機本体近傍の空気を清浄化することができるものの、掃除機本体近傍の空気だけでなく、室内全体の空気を清浄化できると好ましい。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、被清掃面の掃除中に室内全体の空気を清浄化できる電気掃除機を提供することを主たる目的とする。
【0007】
また、この発明は、室内全体の空気を確実に清浄化できる電気掃除機を提供することを別の目的とする。
また、この発明は、空気を清浄化する構成の故障を防止できる電気掃除機を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、吸気口から空気および塵埃を吸い込み、塵埃を捕獲した後、空気を所定のフィルタを通して浄化し、後方の排気口から排気する掃除機本体と、前記排気口から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けるように、前記排気口の下方に設けられ、前記所定のフィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させるための噴出口と、前記吸気口にパイプまたはホースを介して接続され、被清掃面に臨む第1吸込口に加え、被清掃面と反対面に臨み、前記掃除機本体後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込むための第2吸込口を有する吸込具と、を備えることを特徴とする、電気掃除機である。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記掃除機本体において前記噴出口の上方に設けられ、前記掃除機本体内から電気コードを引き出すためのコード引出口を備えていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機である。
請求項3記載の発明は、前記掃除機本体の輪郭内に配置され、前記輪郭内で前記噴出口を開閉するシャッタを含むことを特徴とする、請求項1または2記載の電気掃除機である。
【0010】
請求項4記載の発明は、前記噴出口は、前記輪郭内に形成されていることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、電気掃除機の掃除機本体では、所定のフィルタを通って浄化された空気が後方の排気口から排気される。一方、排気口の下方に設けられた噴出口が、所定のフィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させる。これにより、噴出口から上方へ向かって噴き出た空気が、排気口から排気された空気に下から衝突することで、排気口から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けることができる。
【0012】
そして、掃除機本体の吸気口にパイプまたはホースを介して接続された吸込具は、被清掃面に臨む第1吸込口と、被清掃面と反対面に臨む第2吸込口とを有している。第1吸込口が、被清掃面の塵埃および周辺の空気を吸い込む一方で、第2吸込口は、上述したように掃除機本体後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込む。
これにより、電気掃除機では、被清掃面の塵埃とともに室内を漂う塵埃を捕獲しつつ、所定のフィルタを通って浄化された空気を部屋内(室内)に行き渡らせることができるので、被清掃面の掃除中に室内全体の空気を清浄化できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、掃除機本体には、掃除機本体内から電気コードを引き出すためのコード引出口が設けられている。そのため、所定のフィルタを通って浄化された空気が電気コードを冷却した後にコード引出口から排気される。
ここで、コード引出口が噴出口の上方に設けられているので、噴出口から上方へ向かって噴き出た空気は、コード引出口から排気された空気に下から衝突し、コード引出口から流出する空気の流れを、排気口から排気された空気の流れと同様に、上方へ向けることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、噴出口を開閉するシャッタが設けられているので、噴出口から空気を噴き出す必要がないときには、シャッタが噴出口を閉じることで、外部のごみが噴出口から掃除機本体内に侵入することを防止できる。
そして、シャッタは、掃除機本体の輪郭内に配置され、この輪郭内で噴出口を開閉するので、掃除機本体に外力が加わっても、シャッタに外力が作用することはなく、シャッタ(空気を清浄化する構成)の故障を防止できる。
【0015】
また、噴出口が排気口の下方に位置することから、噴出口を開閉するシャッタも、排気口の下方に位置することになる。そのため、シャッタは、排気口から下方へ離れて配置されるので、排気口から排気される空気を浴びにくくなり、排気口から排気される空気の影響を受けることなく円滑に開閉することができる。
請求項4記載の発明によれば、噴出口は、掃除機本体の輪郭内に形成されているので、掃除機本体に何かが接触しても、噴出口が塞がれることはない。そのため、空気を噴出口から上方へ向かって確実に噴き出すことができるので、空気を部屋内で循環させることができ、室内全体の空気を確実に清浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の右側面図である。
【図2】掃除機本体2の右側断面図である。
【図3】掃除機本体2を背面側から見た斜視図である。
【図4】掃除機本体2の後側部分の右側断面図である。
【図5】電気掃除機1における吸込具6およびその周辺を正面側から見た斜視図である。
【図6】図4において変形例を適用した図である。
【図7】図6におけるA−A矢視断面図であって、(a)は、第1の例を示し、(b)は、第2の例を示している。
【図8】図6におけるB−B矢視断面図である。
【図9】第1フィルタ8の斜視図である。
【図10】第1フィルタ8の平断面図である。
【図11】掃除機本体2の右側断面図である。
【図12】床面Xに載置された第1フィルタ8の右側断面図である。
【図13】(a)は、変形例に係る電気掃除機1の掃除機本体2の要部右側断面図であり、(b)〜(d)は、(a)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の右側面図である。図2は、掃除機本体2の右側断面図である。図3は、掃除機本体2を背面側から見た斜視図である。図4は、掃除機本体2の後側部分の右側断面図である。図5は、電気掃除機1における吸込具6およびその周辺を正面側から見た斜視図である。以下では、電気掃除機1およびその構成部品の説明に関し、特に断りがない限り、便宜上、図1における左側を前側、右側を後側、手前側を右側、奥側を左側として説明する。なお、左右方向と幅方向とは同じである。
【0018】
図1に示すように、電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース3と、操作部4と、パイプ5と、吸込具6とを備えている。
掃除機本体2は、前後にやや長手で丸みを帯びたボックス形状である。掃除機本体2は、その外郭をなす中空体である筐体7と、筐体7内に収納される第1フィルタ8および電動送風機9(図2参照)とを主に備えている。
【0019】
筐体7では、前面10に、吸気口11が形成され、後面12に、排気口13が形成され、筐体7内部に、吸気口11と排気口13とに連通する空気流路14(図2も参照)が区画されている。上述した第1フィルタ8および電動送風機9は、空気流路14内に配置されている(図2参照)。第1フィルタ8は、電動送風機9の前側に位置し、空気流路14における空気の流れ方向に見て、電動送風機9の上流側に位置している。
【0020】
また、筐体7の左右の側面15のそれぞれの後側部分には、車輪16が取り付けられ、筐体7の底面17には、キャスター18が取り付けられている。車輪16およびキャスター18が床面X(被清掃面)上で回転することによって、掃除機本体2は、床面X上を円滑に移動することができる。
ここで、図1に示すように、掃除機本体2が通常の姿勢にあって筐体7の底面17が床面Xに上から対向しつつ車輪16およびキャスター18が床面Xに接触している状態では、後面12は、垂直方向に沿ってほぼ平坦である。後面12では、上側部分に、上述した排気口13とコード引出口19(図3参照)とが形成されており、下側部分に、噴出口20(図2および図3参照)が形成されている。つまり、噴出口20は、排気口13およびコード引出口19の下方に設けられている。
【0021】
図3に示すように、排気口13は、幅方向に細長いスリット状であり、上下に並ぶように複数形成されている。
コード引出口19は、電動送風機9に電力を供給するための電気コード(図示せず)を筐体7(掃除機本体2)内から引き出すためのものである。ここで、後面12において背面視で右上側の端部には、前側へ窪む凹部12Aが形成されており、コード引出口19は、後面12において、凹部12Aの奥に形成されている。電気コード(図示せず)は、筐体7内から引き出されるとき、または、筐体7内に収納されるときにコード引出口19を通過する。コード引出口19は、空気流路14(図1および図2参照)に連通している。なお、筐体7の天面21には、ボタン35が設けられており、このボタン35を押すと、筐体7から引き出された電気コード(図示せず)を筐体7内に引き戻すことができる。
【0022】
噴出口20は、幅方向に長手であり、空気流路14(図1および図2参照)に連通している。噴出口20に関連して、筐体7の後面12において噴出口20が形成されている部分には、図2に示すように、前側へ窪む凹部22が形成されている。凹部22は、幅方向から見て、前側へ向かって細くなる略三角形状であり、幅方向に細長い(図3も参照)。後面12は、前下側へ延びて凹部22の前上側の部分をなす傾斜面23を備えている。噴出口20は、凹部22の前下側の部分をなしており、凹部22から後面12に露出されていて、後上側を臨んでいる。
【0023】
噴出口20には、幅方向に細長い板状をなすシャッタ24が設けられている。シャッタ24は、幅方向に延びる軸25を中心に回動することで、開閉自在である。図1では、シャッタ24は、後下側へ延びるように閉じていて、噴出口20を、筐体7の内側から塞いでいる。一方、シャッタ24は、閉じた状態から右側面視で反時計回りに所定量だけ回動すると、傾斜面23に下から沿って前上側へ延びるように開き、噴出口20を開放する(図4において破線で示したシャッタ24を参照)。清掃時以外では、シャッタ24は、閉じている。
【0024】
図1に示すホース3は、可撓性を有する蛇腹状のホースであり、その一端3Aが吸気口11に接続されることで、ホース3の内部と空気流路14とが互いに連通している。
ホース3の他端3Bに対して操作部4が接続されている。操作部4は、ホース3の他端3Bに直接接続される円筒状の筒部26と、筒部26の外周面に一体的に設けられるメイングリップ27およびサブグリップ28とを備えている。筒部26の内部とホース3の内部とは互いに連通している。メイングリップ27とサブグリップ28とは、筒部26の外周面において、この外周面の周方向で互いに約180°ずれた位置にあり、筒部26の径方向における外側へ突出している。図1において、メイングリップ27は、上向きに突出し、サブグリップ28は、下向きに突出している。メイングリップ27およびサブグリップ28を適宜掴むことによって、電気掃除機1を所望の方向へ移動させることができる。
【0025】
パイプ5は、操作部4と吸込具6とをつないでいる。パイプ5は、その長手方向において、操作部側パイプ29と吸込具側パイプ30とに分割可能である。吸込具側パイプ30の一端部(図1では後端部)が操作部側パイプ29内に対して挿通されており、操作部側パイプ29および吸込具側パイプ30のうち、一方を他方に対してスライドさせることで、パイプ5の全長を任意の長さに変更することができる。パイプ5の内部と操作部4の筒部26の内部とは互いに連通している。
【0026】
吸込具6は、幅方向に長手で上下にやや薄い中空のボックス形状である。吸込具6の内部とパイプ5の内部とは互いに連通している。これにより、吸込具6は、パイプ5、操作部4およびホース3(ホース3およびパイプ5のいずれか一方でもよい)を介して、掃除機本体2の吸気口11に接続されている。
吸込具6において、底面31にはメイン吸込口32(第1吸込口)が形成され、天面33にはサブ吸込口34(第2吸込口)が形成されている。メイン吸込口32およびサブ吸込口34は、ともに吸込具6内に連通しており、メイン吸込口32は、床面Xに対して上から臨み、サブ吸込口34は、上方(床面Xと反対面)を臨んでいる(図5も参照)。
【0027】
このような電気掃除機1において、清掃時には、電動送風機9(図2参照)が、電力を受けて駆動されることによって、吸引力を発生する。この吸引力は、吸込具6において、主としてメイン吸込口32に作用する。そのため、この吸引力によって、床面X上の塵埃(図5において符号Yを付している。)は、メイン吸込口32から吸込具6内に吸い込まれ、吸込具6、パイプ5、操作部4の筒部26、ホース3をこの順で通過した後、吸気口11から掃除機本体2の空気流路14まで吸い込まれる。また、吸込具6の周りの空気は、床面X上の塵埃とともに、空気流路14まで吸い込まれる。
【0028】
空気流路14まで吸い込まれた空気および塵埃は、図2において太い実線矢印で示すように、第1フィルタ8に受け入れられる。その際、塵埃が第1フィルタ8に捕獲され、これにより、空気と塵埃とが分離され、空気だけが、第1フィルタ8を通過して、引き続き空気流路14を流れる。第1フィルタ8を通過した空気は、電動送風機9によって、空気流路14において、上述した空気の流れ方向における電動送風機9の下流側へ吐き出される。
【0029】
ここで、空気流路14において、電動送風機9の下流側には、所定のフィルタとしての第2フィルタ36(ドットで塗り潰した部分)が設けられており、電動送風機9の下流側へ吐き出された空気は、第2フィルタ36を通過する。第2フィルタ36は、いわゆるULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)の部類に属する高い塵捕獲性能を有しており、第1フィルタ8よりも細かい塵埃を捕獲することができる。そのため、空気が第2フィルタ36を通過する際、この空気において第1フィルタ8によって捕獲しきれなかった微細な塵埃が、第2フィルタ36によって捕獲される。これにより、空気は、第2フィルタ36を通過することで、完全に清浄化される。
【0030】
第2フィルタ36を通過した空気のうち、大体は、空気流路14において、電動送風機9の周囲に沿うように上昇しながら筐体7の後面12側に向かい、排気口13から後方へ向かって機外へ排出(排気)されるが(太い実線矢印参照)、一部は、筐体7内にある電気コード(図示せず)に浴びせられた後に、コード引出口19(図3参照)から機外へ排出される。電気コード(図示せず)は、電動送風機9に電力を供給するのに応じて発熱することから、上述したように空気が浴びせられることによって冷却される。
【0031】
さらに、第2フィルタ36を通過した空気のうち、一部の空気は、空気流路14において、排気口13およびコード引出口19のいずれにも向かうことなく、分流されて、シャッタ24へ向かう。これにより、今まで閉位置にあったシャッタ24は、第2フィルタ36を通過した空気のうちシャッタ24まで到達した一部の空気(太い破線矢印参照)の風圧によって押し開けられ、後上側へ傾斜するまで回動する(図4において破線で示したシャッタ24を参照)。これにより、噴出口20が後上側へ開放され、シャッタ24まで到達した空気は、太い破線矢印で示すように、噴出口20から、上方(詳しくは後上側)へ向けて機外へ噴き出される。
【0032】
このように噴出口20から後上側へ向けて機外へ排出された空気(太い破線矢印参照)が、排気口13およびコード引出口19(図3参照)から機外へ排出された空気(太い実線矢印参照)に対して、前下側から衝突する。これにより、排気口13およびコード引出口19から排気されて後方へ流出する空気は、流れる向きが上向きに修正されて、図1において太い白色矢印で示すように、全体的に上方へ流れるようになる。このように上方へ流れるように空気が機外へ排気されることは、上方排気と呼ばれる。また、噴出口20から後上側へ向けて機外へ排出された空気(図2の太い破線矢印参照)は、エアカーテンと呼ばれる。
【0033】
ここで、図5を参照して、電動送風機9(図2参照)が発生した吸引力は、吸込具6において、メイン吸込口32だけでなく、サブ吸込口34にも作用する。なお、図5では、メイン吸込口32に作用する吸引力のイメージを、太い黒色矢印で示し、サブ吸込口34に作用する吸引力のイメージを、太い白色矢印で示している。
サブ吸込口34に作用する吸引力により、図1を参照して、上述したように排気口13およびコード引出口19(掃除機本体2の後方)から機外へ向けて上方へ排気された空気(噴出口20から排出された空気も含まれる)の流れる向きが前向きに修正され、この空気は、太い白色矢印で示すように、室内において上昇しつつ前側へ流れ、その後、サブ吸込口34から吸込具6内に吸い込まれる。
【0034】
つまり、排気口13およびコード引出口19から機外へ向けて上方へ排出(上方排気)された空気とサブ吸込口34に作用する吸引力とによって、電気掃除機1が配置される室内(部屋内)において、電気掃除機1の上方で排気口13、コード引出口19および噴出口20からサブ吸込口34へ向かう空気の流れZ(太い白色矢印)が発生する。これにより、室内に漂う塵埃Yが空気の流れZに乗ってサブ吸込口34から吸込具6に強制的に吸い込まれるので、この塵埃Yを掃除機本体2の空気流路14における第1フィルタ8および第2フィルタ36(図2参照)によって効率的に捕獲することができる。
【0035】
そして、室内に漂う塵埃Yがサブ吸込口34から吸い込まれているとき、床面Xの塵埃がメイン吸込口32から引き続き吸い込まれているので、吸込具6では、室内に漂う塵埃および床面Xの塵埃の両方を吸い込むことができる。
さらに、吸込具6に吸い込まれた後に第1フィルタ8および第2フィルタ36(図2参照)によって清浄化された空気が排気口13やコード引出口19や噴出口20から上方排気されて室内に行き渡ることから、室内の空気は、上述した流れZを形成しながら循環し、その途中で吸込具6のサブ吸込口34に吸い込まれて電気掃除機1によって清浄化されている。
【0036】
このように、この電気掃除機1では、床面Xの塵埃とともに室内を漂う塵埃Yを捕獲しつつ、第1フィルタ8および第2フィルタ36を通って浄化された空気を室内に行き渡らせることができるので、床面Xの掃除中に室内全体の空気を清浄化できる。
なお、空気流路14内から機外へ排出された空気が上方排気されることから、この空気が床面Xに浴びせられることで床面X上の塵埃が舞い上がることを防止できる。
【0037】
そして、図2を参照して、電動送風機9の駆動が停止すると、電動送風機9が吸引力を発生しなくなることから、空気流路14において空気が流れなくなるので、シャッタ24を押し開ける空気がなくなり(風圧が弱くなり)、シャッタ24は、自重によって閉じ、再び噴出口20を塞ぐ(図4において実線で示したシャッタ24も参照)。これにより、噴出口20から空気を噴き出す必要がないときには、外部のごみが噴出口20から筐体7内に入り込むことを防止できる。また、この状態では、噴出口20から筐体7内の構造が露出されないので、見映えがよい。
【0038】
ここで、図4を参照して、噴出口20を開閉するシャッタ24について詳説すると、シャッタ24は、上述した軸25を中心として、後側部分が前側部分よりも大きく回動するように開閉する。
そして、シャッタ24は、幅方向から見て、常に、上述した凹部22内で回動する。そのため、開いているとき(破線で示したシャッタ24を参照)と閉じているとき(実線で示したシャッタ24を参照)との間におけるシャッタ24の回動軌跡37(図4における拡大図を参照)は、凹部22内にある。換言すれば、回動軌跡37は、凹部22が形成された筐体7(掃除機本体2)の後面12における外側の輪郭38より内側にある。
【0039】
よって、筐体7の後面12に何かがぶつかったり、掃除機本体2が後面12側から床面X(図1参照)に落下したり、ユーザが後面12におけるシャッタ24付近を踏んだりしても、シャッタ24に代わって後面12が外力を受けるので、シャッタ24が破損することはない。
シャッタ24は、上述したように風圧で開かれて自重で閉じる構造上、軽い薄板状をなしており、強度が比較的低い。また、開く方向または閉じる方向へばね等で付勢されている訳ではないので、掃除機本体2の姿勢を変えると勝手に開閉することもある。そのため、シャッタ24に何かがぶつかると、シャッタ24が破損する虞がある。しかし、以上のように、シャッタ24およびその回動軌跡37を凹部22内(つまり、掃除機本体2の輪郭38の内側)に配置することによってシャッタ24に物がぶつからないようにしているので、シャッタ24の破損を防止し、風圧および自重でシャッタ24を開閉する構成を実現することができる。
【0040】
また、シャッタ24を凹部22内に配置することで後面12から突出させていないので、掃除機本体2の小型化を図ることができる。
そして、シャッタ24に開閉される噴出口20は、上述したように凹部22の前下側の部分をなしていることから、凹部22内(筐体7の後面12から筐体7内に奥まった位置であり、上述した輪郭38の内側)にあり、さらに、後面12において、排気口13およびコード引出口19より下方に位置している(図3も参照)。つまり、噴出口20およびシャッタ24は、排気口13およびコード引出口19から下方へ離れた位置にある。
【0041】
そのため、排気口13およびコード引出口19から機外に排出される空気(図2の太い実線矢印参照)がシャッタ24に浴びせられることでシャッタ24の回動が妨げられることはなく、シャッタ24は、排気口13およびコード引出口19から機外に排出される空気から離れた位置で、円滑に開くことができる。これにより、噴出口20が確実に開放されるので、上述した上方排気を確実に実現することができる。
【0042】
また、噴出口20は、上述した輪郭38の内側に形成されているので、掃除機本体2に何かが接触しても、噴出口20が塞がれることはない。そのため、空気を噴出口20から上方へ向かって確実に噴き出すことができるので、上述したように空気を部屋内で循環させることができ、室内全体の空気を確実に清浄化できる。
図6は、図4において変形例を適用した図である。図7は、図6におけるA−A矢視断面図であって、(a)は、第1の例を示し、(b)は、第2の例を示している。図8は、図6におけるB−B矢視断面図である。
【0043】
そして、上記した実施例、および、これから説明する変形例のいずれにおいても、空気流路14において噴出口20の手前側の位置には、リブ39が設けられている。図7に示すように、リブ39は、前後に薄くて幅方向に長手であって噴出口20の下方で上下に延びる複数本の第1リブ39A(図6も参照)と、幅方向に薄くて前後に長手であって噴出口20の下方で上下に延びる複数本の第2リブ39Bとを含んでいる。そして、複数本の第1リブ39Aが前後に並んで複数本の第2リブ39Bが幅方向に並び、さらに、第1リブ39Aと第2リブ39Bとが交差することで、リブ39全体は、平面視で格子状をなしている。
【0044】
ここで、図8を参照して、噴出口20から機外へ排出される空気は、電動送風機9(図2参照)に含まれるモータの回転方向の影響を受けて、背面視において、真上へ排出されることなく、幅方向(ここでは背面視で右側)へずれながら排出されようとする(太い破線矢印参照)。また、掃除機本体2において、電動送風機9の左側(背面視における右側)に、上述した電気コード(図示せず)および電気コードを巻き取るためのコードリール(図示せず)が配置されているので、電動送風機9は、背面視において、掃除機本体2の幅方向中央から左側へずれて配置されている。そのため、噴出口20から機外へ排出される空気は、背面視において、一層右側へずれながら排出されようとする(太い破線矢印参照)。
【0045】
この場合、噴出口20から機外へ排出された空気が、右側へずれながら排出されることによって、排気口13およびコード引出口19から機外へ排出された空気(図2の太い実線矢印参照)に効果的に衝突できなくなるので、上述した上昇排気が困難になる虞がある。
しかし、リブ39、特に、幅方向に並ぶ複数本の第2リブ39Bが、空気流路14において噴出口20へ向かう空気の流れを、噴出口20の手前で、背面視で真上に向くように整える。これにより、噴出口20から機外へ排出された空気は、幅方向へずれながら排出されることなく、背面視でほぼ真上へ排出される(太い実線矢印参照)。これにより、噴出口20から機外へ排出された空気は、排気口13およびコード引出口19から機外へ排出された空気に効果的に衝突できるので、上述した上昇排気を確実に実現することができる。
【0046】
そして、図6に示すように、空気流路14において、噴出口20の手前側には、フィルタ40が配置されている。フィルタ40は、スポンジ等で形成されており、噴出口20とほぼ同じ幅方向寸法を有する幅方向に長手の帯状である(図7も参照)。フィルタ40は、リブ39に載置されることによって、位置決めされている。
このフィルタ40は、シャッタ24によって開放された噴出口20から空気流路14に入り込もうとする外部のごみを捕獲する役目を有するとともに、空気流路14(つまり掃除機本体2)内の構造を噴出口20から外部に露出されないように隠す役目も有している。
【0047】
しかし、空気流路14の断面を全て塞ぐようにフィルタ40がリブ39に載置されると、空気流路14から噴出口20へ向かおうとする空気に対してフィルタ40が抵抗となることで、噴出口20へ向かおうとする空気の勢い(つまり、上述した風圧)が弱まることから、シャッタ24が円滑に開かず、上述した上昇排気が困難になる虞がある。
そこで、フィルタ40を、噴出口20付近の空気流路14において後方からのユーザの視界41に入る前側領域14Aにのみ配置する一方で、後側領域14Bをフィルタ40で塞がないようにしている。具体的には、フィルタ40において後側領域14Bに一致する部分を切欠いている。
【0048】
そのため、空気流路14から噴出口20へ向かおうとする空気は、フィルタ40に差し掛かっても、フィルタ40に塞がれていない後側領域14Bから噴出口20へ円滑に流れることができるので、上述した風圧の低下を抑えることができる。これにより、シャッタ24が円滑に開くので、上昇排気を確実に実現することができる。さらに、空気が後側領域14Bを流れると、その先には、シャッタ24において最も大きく回動する(回動軸25から最も遠い)後側部分24Aが位置しているので、後側領域14Bを流れた空気がシャッタ24の後側部分24Aに直接当たることで、シャッタ24は、効率的に回動して円滑に開くことができる。
【0049】
このように上昇排気を確実に実現できる一方で、ユーザの視界41に入る位置には、フィルタ40が位置していることから、空気流路14(掃除機本体2)内の構造がユーザの視界41に入らず、見映えがよい。
なお、フィルタ40が空気流路14の後側領域14Bを塞がない態様として、図7(a)に示すように、フィルタ40を後側領域14Bに全く配置しないようにしてもよく、図7(b)に示すように、フィルタ40が後側領域14Bを部分的に塞がないようにしてもよい。フィルタ40を後側領域14Bに全く配置しない場合には(図7(a)参照)、後側領域14Bにおいて空気を一層円滑に流すことができる一方で、フィルタ40が後側領域14Bを部分的に塞がない場合には(図7(b)参照)、フィルタ40が後側領域14Bにも存在することから、空気流路14へのごみの侵入を確実に防止できる。
【0050】
図9は、第1フィルタ8の斜視図である。図10は、第1フィルタ8の平断面図である。図11は、掃除機本体2の右側断面図である。図12は、床面Xに載置された第1フィルタ8の右側断面図である。
次に、第1フィルタ8について詳説する。
第1フィルタ8に関し、掃除機本体2の筐体7の内部は、図2に示すように、区画壁42によって、第1フィルタ8が収容される前側の第1室43と、電動送風機9が収容される後側の第2室44とに区画されている。区画壁42の上下方向途中には、連通口45が形成されていて、この連通口45を介して第1室43と第2室44とが互いに連通している。
【0051】
また、筐体7の天面21において、前後方向で第1室43と一致する部分は、開閉自在なカバー46をなしており、図2に示すようにカバー46が閉じている状態では、第1室43が外部から遮断されており、カバー46が開いている状態では(図示せず)、第1室43が上方へ露出されている。そのため、カバー46を開くことで、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して上方から着脱することができる。
【0052】
そして、第1フィルタ8は、前側へ向かって徐々に細くなる略直方体形状をなしている(図9も参照)。第1フィルタ8は、その外郭をなすケーシング51とメッシュフィルタ52とプリーツフィルタ53とを主に含んでいる。
ケーシング51は、前側へ向かって徐々に細くなるボックス形状であり、前面の略中央に、入口54が形成され、後面のほぼ全域に、出口55が形成されている(図9も参照)。入口54および出口55は、ともにケーシング51内部に連通している。また、第1フィルタ8が掃除機本体2に装着された状態において、入口54は、筐体7の吸気口11を介してホース3内(図1参照)に連通しており、出口55は、上述した区画壁42の連通口45を介して第2室44に連通している。そのため、掃除機本体2において第1フィルタ8が収容される第1室43では、ケーシング51の内部が空気流路14をなしている。
【0053】
また、ケーシング51の後面の外側周縁部(出口55を縁取る部分)には、パッキン61が全周に亘って取り付けられている(図9も参照)。このパッキン61が、連通口45を取り囲むように区画壁42に対して前側から密着しているので、第1フィルタ8と区画壁42との間における空気流路14の密閉度が高められている。
メッシュフィルタ52は、目の細かな通気性メッシュで形成されており、ケーシング51の内部を、前側の旋回室56と、後側の収容室57とに区画している。
【0054】
旋回室56には、前後方向に延びる中心軸回りに旋回する旋回流路が形成されており、空気流路14において入口54から旋回室56内に流入した空気は、この旋回流路で旋回される。このとき、空気に含まれる塵埃には遠心力が付与されるので、塵埃は、効果的に空気から分離され、メッシュフィルタ52に捕獲されて旋回室56内に溜められる。メッシュフィルタ52を通過して集塵が除去された空気は、収容室57内に流入する。
【0055】
収容室57には、プリーツフィルタ53が配置されている。プリーツフィルタ53は、上から見た断面形状が交互に反対方向に折り畳まれて幅方向に連続する山谷形状を有するフィルタである(図10参照)。プリーツフィルタ53は、旋回室56から収容室57内に流入した空気を通過させる一方で、メッシュフィルタ52では捕獲し切れなかった微細な塵埃を捕獲する。プリーツフィルタ53を通過した空気は、上述した出口55および区画壁42の連通口45を介して第2室44に流入してから、第2室44の電動送風機9を経て、上述したように機外へ排出される。
【0056】
このように、第1フィルタ8では、メッシュフィルタ52で比較的大きい塵埃を捕獲し、プリーツフィルタ53で比較的小さい塵埃を捕獲することによって、大きさの違いを問わずに、塵埃を確実に捕獲することができる。
そして、プリーツフィルタ53を保持するために、ケーシング51には、図9に示すように、ホルダ58が備えられている。ホルダ58は、ケーシング51の出口55から露出されつつ、プリーツフィルタ53の上側部分に対して後側(図9における手前側)から対向配置される幅方向に長手の棒状である。
【0057】
ホルダ58は、図10に示すように、プリーツフィルタ53に対向する面(前面)において、プリーツフィルタ53の山谷形状に合わせた凹凸を有しており、プリーツフィルタ53において前側へ窪む谷形状をなす各部分の最深部(前端部であり、図10では上端部)のみに接触することでプリーツフィルタ53を保持している。これにより、プリーツフィルタ53の剛性が補強されるので、プリーツフィルタ53の変形(特に幅方向への変形)が防止される。そのため、プリーツフィルタ53を空気が通過するときの勢いによってプリーツフィルタ53において幅方向に隣り合う山部分が変形して密着することで、プリーツフィルタ53における空気の流れが悪化したり、プリーツフィルタ53が急速に目詰りしたりするような不具合を防止できる。
【0058】
ここで、図2を参照して、掃除機本体2の上述した区画壁42において連通口45より下側の部分は、掃除機本体2に装着された第1フィルタ8のプリーツフィルタ53の下側部分に対して後側から対向しており、この部分には、除塵レバー59が取付けられている。除塵レバー59は、掃除機本体2に内蔵されたモータ等(図示せず)に駆動されることによって幅方向へスライドすることができる。また、除塵レバー59の先端(前端)部分は、プリーツフィルタ53の折目の山(図9参照)に接触する程度に前側へ突出している。そして、所定のタイミングで、除塵レバー59が幅方向に沿ってスライドすると、除塵レバー59の先端部分が、プリーツフィルタ53の折目の山(詳しくは、それぞれの山に一体化された樹脂製のリブ60であり、図9も参照)を弾く。これにより、プリーツフィルタ53が振動するので、プリーツフィルタ53に詰まった微小な塵埃をプリーツフィルタ53から剥離させて、プリーツフィルタ53の目詰まりを防止することができる。
【0059】
ここで、図10に示す上述したホルダ58は、プリーツフィルタ53において谷形状をなす各部分の最深部(前端部であって、図10では上端部)のみに接触していることから、プリーツフィルタ53において、除塵レバー59に弾かれる部分(上述したリブ60側の部分であって後端部)は、ホルダ58の保持されていない。そのため、プリーツフィルタ53は、除塵レバー59(図2参照)に弾かれると、リブ60側(図9参照)において自由に振動することができるので、プリーツフィルタ53から塵埃を確実に剥離させることができる。
【0060】
ここで、図9を参照して、プリーツフィルタ53のそれぞれの山に一体化されたリブ60は、幅方向に薄くて上下に長い板状であり、除塵レバー59に弾かれる部分が、突出部60Aとなって、後側へ突き出ている。各リブ60は、ケーシング51の出口55の下端において幅方向に並んでおり、外部へ露出されている。そのため、第1フィルタ8に触れたユーザの指先が出口55の下端まで届くと、リブ60に触れ、そのときの勢いでリブ60が折れてしまう虞がある。なお、リブ60が折れると、リブ60に一体化されたプリーツフィルタ53が破けてしまう虞もある。
【0061】
そこで、ケーシング51には、保護カバー62が取り付けられている。保護カバー62は、幅方向に細長い板状であり、各リブ60の下側部分(リブ60において触れられやすい根元部60B)を外側(図9では手前側)から覆っている。これにより、各リブ60が触れられにくくなるので、リブ60が折れること、および、プリーツフィルタ53が破けることを防止できる。また、リブ60が触れられたとしても、下側部分(根元部60B)でなく、上述した上側の突出部60Aなので、根元部60Bが触れられる場合に比べて、リブ60は折れにくい。
【0062】
また、各リブ60では、上述した突出部60Aが、除塵レバー59(図2参照)に弾かれるように、第1フィルタ8において、パッキン61よりも外側(後側)にはみ出ている。そのため、図12に示すように、パッキン61側が床面Xに対向するように第1フィルタ8を床面Xに載置すると、各リブ60の突出部60Aが床面Xにぶつかって変形する虞がある。
【0063】
しかし、突出部60Aよりも先に、上述した保護カバー62が、床面Xに接触する。そして、最終的には、第1フィルタ8では、保護カバー62およびパッキン61だけが床面Xに接触する。そのため、リブ60が床面Xにぶつかって変形することを防止できる。
そして、図2を参照して、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して上方から着脱する場合、着脱途中の第1フィルタ8(特にパッキン61)に除塵レバー59の先端(前端)部分が引っかからないように、掃除機本体2の上述した区画壁42には、図11に示すガイド部63が一体的に設けられている。ガイド部63は、除塵レバー59(図2参照)と上下方向においてほぼ同じにあり、幅方向から見て、区画壁42から前側へ膨出している。ガイド部63の前端は、除塵レバー59の前端よりも前側にある。
【0064】
そのため、掃除機本体2に対して装着されるために下方へ略垂直に移動する第1フィルタ8は、除塵レバー59(図2参照)に近付くと、保護カバー62(図9参照)の幅方向両端部においてガイド部63に接触することによって前側へずれ、除塵レバー59(図2参照)を避ける。そして、保護カバー62の幅方向両端部がガイド部63を乗り越えると、第1フィルタ8は、後側へずれる。その結果、第1フィルタ8を、除塵レバー59(図2参照)に引っ掛けることなく、掃除機本体2に対して装着できる。なお、第1フィルタ8は、掃除機本体2に装着される際に除塵レバー59に引っ掛からないので、掃除機本体2から離脱される際にも除塵レバー59に引っ掛かることはない。
【0065】
また、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して着脱する際、ガイド部63は、パッキン61でなく、上述した保護カバー62や、第1フィルタ8のケーシング51においてプリーツフィルタ53の両側に設けられたフレーム64といった樹脂製の部品に接触する(図9参照)。これにより、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して着脱する際、ガイド部63がパッキン61に接触することでパッキン61が傷付けられることを防止できる。もちろん、上述したように、第1フィルタ8を掃除機本体2に対して着脱する際に、第1フィルタ8が除塵レバー59(図2参照)に引っ掛からないようにしているので、除塵レバー59がパッキン61に接触することでパッキン61が傷付けられることも防止できる。
【0066】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
また、シャッタ24に関し、図13に示す変形例を適用することもできる。図13において、(a)は、変形例に係る電気掃除機1の掃除機本体2の要部右側断面図であり、(b)〜(d)は、(a)の要部拡大図である。
【0067】
ここで、図13では、シャッタ24において空気流路14に臨む下面24Bの前端部に、幅方向から見て、下面24Bと略直交して空気流路14内に突出する補助翼47が一体的に設けられている。補助翼47は、幅方向に細長い薄板状である。図13(a)では、閉じているシャッタ24が後下側へ傾斜している一方で、補助翼47は、前下側へ延びている。
【0068】
このような補助翼47を設けた場合、シャッタ24が閉じている状態において、電動送風機9(図2参照)の出力(換言すれば、排気の風速)の変化に伴って上述した風圧が変化しても、シャッタ24は、常に最大限(最大角度)まで開くことができる。
詳しくは、太線矢印で示すようにシャッタ24へ向かって空気流路14を流れる空気が、図13(b)に示すようにシャッタ24に到達すると、シャッタ24の下面24Bにぶつかり、上述したように、シャッタ24を押し開けようとする。この際、空気がシャッタ24を押し開けようとする力(上述した風圧)が強ければ、シャッタ24は、速やかかつ確実に、最大限まで開くが(図13(d)参照)、風圧が弱い場合には、図13(c)に示すように、途中までしか開かない。このとき、シャッタ24は、空気流路14を流れる空気(図13(c)に示す2つの太線矢印のうちの大きい太線矢印を参照)に対して略平行になっていることから、空気流路14を流れる空気(風圧)がシャッタ24に効果的に当たらず、シャッタ24は、途中まで開いた状態からさらに開くことが困難である。
【0069】
ここで、シャッタ24へ向かう空気の一部は、図13(c)に示す2つの太線矢印のうちの小さい太線矢印で示すように、掃除機本体2内で空気流路14を区画する壁面48に沿って流れてシャッタ24の前側に回り込み、補助翼47にぶつかる。このとき、補助翼47は、この一部の空気に対して抵抗となるような(この一部の空気の流れに対して平行とならない)姿勢になっているので、シャッタ24は、下面24Bに加えて補助翼47で風圧を受けることで、さらに押し開けられ、上述した風圧が弱くても、結果として、図13(d)に示すように、最大限まで開くことができる。
【符号の説明】
【0070】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 ホース
5 パイプ
6 吸込具
11 吸気口
13 排気口
19 コード引出口
20 噴出口
24 シャッタ
32 メイン吸込口
34 サブ吸込口
36 第2フィルタ
38 輪郭
X 床面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口から空気および塵埃を吸い込み、塵埃を捕獲した後、空気を所定のフィルタを通して浄化し、後方の排気口から排気する掃除機本体と、
前記排気口から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けるように、前記排気口の下方に設けられ、前記所定のフィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させるための噴出口と、
前記吸気口にパイプまたはホースを介して接続され、被清掃面に臨む第1吸込口に加え、被清掃面と反対面に臨み、前記掃除機本体後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込むための第2吸込口を有する吸込具と、
を備えることを特徴とする、電気掃除機。
【請求項2】
前記掃除機本体において前記噴出口の上方に設けられ、前記掃除機本体内から電気コードを引き出すためのコード引出口を備えていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記掃除機本体の輪郭内に配置され、前記輪郭内で前記噴出口を開閉するシャッタを含むことを特徴とする、請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記噴出口は、前記輪郭内に形成されていることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機。
【請求項1】
吸気口から空気および塵埃を吸い込み、塵埃を捕獲した後、空気を所定のフィルタを通して浄化し、後方の排気口から排気する掃除機本体と、
前記排気口から後方へ流出する空気の流れを上方へ向けるように、前記排気口の下方に設けられ、前記所定のフィルタを通過した空気の一部を分流して上方へ向かって噴き出させるための噴出口と、
前記吸気口にパイプまたはホースを介して接続され、被清掃面に臨む第1吸込口に加え、被清掃面と反対面に臨み、前記掃除機本体後方から上方へ向けて排気されて部屋内を循環する空気を吸い込むための第2吸込口を有する吸込具と、
を備えることを特徴とする、電気掃除機。
【請求項2】
前記掃除機本体において前記噴出口の上方に設けられ、前記掃除機本体内から電気コードを引き出すためのコード引出口を備えていることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記掃除機本体の輪郭内に配置され、前記輪郭内で前記噴出口を開閉するシャッタを含むことを特徴とする、請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記噴出口は、前記輪郭内に形成されていることを特徴とする、請求項3記載の電気掃除機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−24611(P2011−24611A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170134(P2009−170134)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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