説明

電気掃除機

【課題】簡単にモップアタッチメントを清掃することが出来る電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、電動送風機による負圧により塵埃を吸引する吸込具と、吸込具側に先端パイプ5を有すると共に電動送風機と吸込具を連通するホースと、モップアタッチメント7を挿入する挿入口9を有すると共にモップアタッチメント7を収納する収納部8を備え、収納部8は、外殻を形成する収納部外壁10と、その内部に設けられ、一つあるいは複数の穴11aを有する内かご11からなり、収納部外壁10に、先端パイプ5が着脱自在に接続される吸引開口12を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するもので、特に、棚などに積もった埃を除去するモップアタッチメントを備えた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機のアタッチメントとして、ホースの先端に取り付けて使用される先細り形状の隙間ノズルや、硬い植毛ブラシを有するブラシノズル等が存在するが、この種の吸口ブラシは、置物や棚などの凹凸の多いものの表面に付着したほこりを掃除したい状況では、ホースの先端に取り付けて使用することによる取り回しの不便さが問題となったり、きれいにほこりが取れなかったりと、使い勝手に欠けるものであった。そのため、図8に示すように、電気掃除機のハンドル部分を着脱可能とし、この先端にモップブラシを取りつけたものが発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された電気掃除機の構成では、吸込具から電動送風機へと向かう風路内に、モップアタッチメントのモップブラシを配置しているため、吸込具から吸引された塵埃がモップブラシに付着する可能性が高い。これを避けるためにモップアタッチメントを別室として清浄な外気を、別途設けた外気取入口から吸い込むことでモップブラシを清掃する構成にすると、電動送風機の吸引力が吸込具と外気取入口で2分され、通常清掃時の吸引力が大幅に低下するという課題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、モップアタッチメントが不用意に汚れることがなく、また随時気がついたときに簡単にモップアタッチメントを清掃することが出来る電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するため、本発明の電気掃除機は、吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記電動送風機により発生する負圧により塵埃を吸引する吸込具と、前記吸込具側に先端パイプを有すると共に前記電動送風機と前記吸込具を連通する風路と、モップアタッチメントを挿入する挿入口を有すると共に前記モップアタッチメントを収納する収納部を備え、前記収納部は、外殻を形成する収納部外壁と、その内部に設けられ、一つあるいは複数の穴を有する内かごからなり、前記収納部外壁に、前記先端パイプが着脱自在に接続される吸引開口を設けたもので、棚や置物に付着したほこり等の細かい塵埃を効果的に除去可能なモップアタッチメントを電気掃除機に搭載することにより、使いたいときにさっと使用できることに加え、モップアタッチメントが汚れてきた際には、先端パイプを収納部外壁の吸引開口に接続し掃除機本体を運転させることで容易に、また効率的にモップアタッチメントに付着した汚れを除去できる。また吸込具から掃除機本体へとつながる風路に開口や弁などを構成する必要がないため、容易かつ安価に実現可能であり、経年変化や生産ばらつきなどによる吸気漏れも生じないため、掃除機本来の性能である吸込具からの吸引力を落とすことがない。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気掃除機によれば、モップアタッチメントの清掃を吸込具から吸引した塵埃を含む空気で行わないため、モップアタッチメントが不用意に汚れることがなく、また随時気がついたときに簡単にモップアタッチメントを清掃できるため、棚・家具・置物に降り積もった埃等を効果的に掃除できる。また、吸込具から電動送風機へと向かう風路からは完全独立しているため、エアタイトや弁などの複雑な構成とする必要がない。このため、収納部を搭載する場所の制限が少なく、例えば本体上、延長管横、あるいは吸込口付近など、先端パイプが届く場所であればどこでも良いため、製品の特性に応じて、最も使い勝手のよい場所を選択して搭載することが可能となる。つまり、モップアタッチメントを使用する際にホースの先端に取り付ける等の手間が不要で、気が付いたときにさっと使える、使用勝手の良い電気掃除機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体構成を示す斜視図
【図2】同電気掃除機の延長管付近の斜視図
【図3】同電気掃除機のモップアタッチメントを掃除している状態を示す図
【図4】同モップアタッチメントを収納する収納部の断面図
【図5】同収納部にモップアタッチメントを挿入した状態を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態2における電気掃除機のモップアタッチメントの清掃動作を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態3における電気掃除機の掃除機本体の斜視図
【図8】従来の電気掃除機の概略構成及びモップアタッチメントを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記電動送風機により発生する負圧により塵埃を吸引する吸込具と、前記吸込具側に先端パイプを有すると共に前記電動送風機と前記吸込具を連通する風路と、モップアタッチメントを挿入する挿入口を有すると共に前記モップアタッチメントを収納する収納部を備え、前記収納部は、外殻を形成する収納部外壁と、その内部に設けられ、一つあるいは複数の穴を有する内かごからなり、前記収納部外壁に、前記先端パイプが着脱自在に接続される吸引開口を設けたもので、棚や置物に付着したほこり等の細かい塵埃を効果的に除去可能なモップアタッチメントを電気掃除機に搭載することにより、使いたいときにさっと使用できることに加え、モップアタッチメントが汚れてきた際には、先端パイプを収納部外壁の吸引開口に接続し掃除機本体を運転させることで容易に、また効率的にモップアタッチメントに付着した汚れを除去できる。また吸込具から掃除機本体へとつながる風路に開口や弁などを構成する必要がないため、容易かつ安価に実現可能であり、経年変化や生産ばらつきなどによる吸気漏れも生じないため、掃除機本来の性能である吸込具からの吸引力を落とすことがない。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明の収納部に挿入口を有する収納部ふたを設け、内かごを、収納部外壁と前記収納部ふたとの間で回動自在とし、前記内かごに受圧リブを設け、前記収納部に吸引風が流入すると、それを前記受圧リブで受けて、前記内かごを回転させるようにしたもので、上記第1の発明同様、棚や置物に付着したほこり等の細かい塵埃を効果的に除去し、使いたいときにさっと使用でき、モップアタッチメントの汚れを容易に除去可能であり、容易かつ安価に実現可能であり、吸込具からの吸引力を落とすことがないことに加えて、モップアタッチメントが内かごと共に回転することで、モップアタッチメントのモップブラシ表面に付着した比較的質量の大きい塵埃を遠心力でモップブラシから除去し、掃除機本体内部へと吸引できるため、第1の発明よりもさらにモップアタッチメントの汚れを効果的に除去可能となる。
【0011】
第3の発明は、特に、第2の発明の内かごの回転時に、収納部に収納されたモップアタ
ッチメントが共回りしないようにしたもので、上記第1の発明同様、棚や置物に付着したほこり等の細かい塵埃を効果的に除去し、使いたいときにさっと使用でき、モップアタッチメントの汚れを容易に除去可能であり、容易かつ安価に実現可能であり、吸込具からの吸引力を落とすことがないことに加えて、内かごがモップアタッチメントとは別に回転し、モップブラシ表面を摺動することで、モップアタッチメントのモップブラシ表面に強固に付着し、吸引だけでは除去できないような汚れでも除去可能となり、第1の発明よりもさらにモップアタッチメントの汚れを効果的に除去可能となる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明のモップアタッチメントを、中空構造でかつ芯部材となるモップ芯と、毛やエラストマーなどの軟質材料からなり、前記モップ芯に取り付けられたモップブラシで構成し、前記モップ芯の、前記モップブラシが取り付けられている部分に、前記モップ芯の内外を連通する芯穴を設けたもので、収納部外壁に設けられた吸引開口に先端パイプを接続し掃除機本体を運転することで、モップ芯内部からモップブラシ、内かごへと流れる気流が生じ、モップブラシの根元付近に付着した塵埃を効果的に除去することが可能となる。
【0013】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の吸込具と風路との間に着脱自在に配される延長管を備え、収納部を前記延長管に設けたもので、吸込具から塵埃を吸引するといった通常の掃除をする際に、モップアタッチメントが手元近くに位置するため使用したいときにさっと使用しさっと収納できるのに加え、モップアタッチメントに付着した塵埃を除去する際には片手で先端パイプを保持しながら延長管に設けられた収納部へ先端パイプを接続し、反対の手で延長管を保持することで、先端パイプから取り外された延長管を床に置いたり、どこかに立てかけたりする必要がないため、モップアタッチメントの掃除動作が容易となる。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の収納部を、掃除機本体に設けたもので、吸込具から塵埃を吸引するといった通常の掃除をする際に、手元から先部分が大型化、重量化することがないため、突出した収納部が家具などにあたることで狭いところへ吸込具が入りにくかったり、家具を傷つけたりするといった不便さが生じることなく、使いやすい電気掃除機を提供することが可能となる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気掃除機の全体構成を示す斜視図、図2は、同電気掃除機の延長管付近の斜視図、図3は、同電気掃除機のモップアタッチメントを掃除している状態を示す図(延長管から外した先端パイプを、収納部に設けられた吸引開口に接続した状態)、図4は、同モップアタッチメントを収納する収納部の断面図(モップアタッチメントを収納部から取り外した状態)、図5は、同収納部にモップアタッチメントを挿入した状態を示す断面図である。
【0017】
図1において、本実施の形態における電気掃除機の掃除機本体2の後部には電動送風機1が収納され、前部には、掃除機本体2と後述の吸込具3を連通する風路を形成するホース4の接続パイプ4aが接続される。ホース4の他端側に設けられた先端パイプ5には、床面の塵埃を吸引する吸込具3が、延長管6を介して接続される。8は、後述のモップアタッチメント7が挿入される収納部で、延長管6の側面に形成されている。
【0018】
図2〜5において、モップアタッチメント7のモップ芯15は、中空円筒形状であり、その表面にモップブラシ16が取り付けられている。また、このモップ芯15の、モップ
ブラシ16取り付け部根元付近には、モップ芯15の内外を連通する芯穴18が多数設けられている。
【0019】
収納部8は、収納部外壁10と、収納部ふた13と、内かご11から構成され、収納部外壁10と収納部ふた13の間に、内かご11が回転自在に取り付けられている。内かご11の外面には、外向きに立てて設けられた受圧リブ14が放射状に設けられている。内かご11には多数の穴11aが開いており、収納部外壁10には吸引開口12が設けられ、収納部ふた13には挿入口9が設けられている。
【0020】
モップアタッチメント7が挿入口9から収納部8内部、すなわち内かご11内部に収納された状態で、先端パイプ5を吸引開口12に接続し、掃除機本体2を運転すると、モップ芯15の内部と、挿入口9から吸引された外気が、受圧リブ14を押し、吸引開口12を通って先端パイプ5へと流れることで、内かご11とモップアタッチメント7が共に回転する。
【0021】
モップ芯15から吸引された外気は、モップ芯15に設けられた多数の芯穴18からモップブラシ16の間を抜け出る際にモップブラシ16に付着した塵埃を吹き飛ばし、この塵埃は、外気と共に先端パイプ5の内部へと吸引される。また、モップブラシ16と内かご11が共に回転する際の振動がモップブラシ16に加わることで、モップブラシ16に付着した塵埃がさらに取れやすくなる。
【0022】
モップブラシ16は、PPなどの化学繊維や、毛やエラストマーなどの軟質材料から成っており、上記のようにモップアタッチメント7を掃除することで、外気とモップブラシ16、あるいはモップブラシ16と内かご11の間で摩擦が生じ、モップブラシ16が帯電する。そして帯電したモップブラシ16を使用して、棚の上などを掃除することにより、埃などが効率良く吸着し、掃除性能が増す。
【0023】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における電気掃除機のモップアタッチメントの清掃動作を示す断面図である。なお、上記実施の形態1における電気掃除機と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
本実施の形態は、モップアタッチメント7のモップ芯15に、刀の鍔のようなフランジ19を設け、モップアタッチメント7を、収納部ふた13の挿入口9より収納部8に挿入したときに、フランジ19の外周19aが、傾きの大きいテーパー嵌合により挿入口9に固定されるようにしたものである。
【0025】
収納部外壁10の吸引開口12に先端パイプ5を接続し掃除機を運転し、収納部8内部を負圧にすることで、モップ芯15のフランジ19と収納部ふた13の嵌合がさらにしっかりとしたものとなり固定される。吸引がなくなれば、モップ芯15と収納部ふた13の固定は解除され、小さな力で嵌合を解除できる。
【0026】
収納部8内部に負圧がかかることで、モップ芯15の内部から先端パイプ5へと流れる気流が生じ、これが受圧リブ14を押すことで内かご11が回転する。モップアタッチメント7は、収納部ふた13に固定されているため、内かご11のみが回転し、モップアタッチメント7上のモップブラシ16が内かご11で擦られ、モップブラシ16表面の塵埃が擦り取られ、先端パイプ5内部へと吸引される。
【0027】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3における電気掃除機の掃除機本体の斜視図である。上記
実施の形態1、2では、モップアタッチメント7を収納する収納部8を延長管6の側面に設けたが、本実施の形態では、収納部8を掃除機本体2の後部に設けたもので、他の構成は、上記実施の形態1における電気掃除機と同一なので、同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
モップアタッチメント7を掃除する際には、収納部8の後方に設けられた吸引開口12に先端パイプ5を接続することで、上記実施の形態1および2と同様な構成をした収納部8によりモップアタッチメント7が掃除される。
【0029】
本実施の形態によれば、延長管6に収納部8を取り付けるのに比べ、先端パイプ5、延長管6といった操作部の軽量化と共に余分な突起をなくすことが可能となり、通常の掃除操作に悪影響を及ぼすことが無い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように本発明にかかる電気掃除機は、使いたいときにさっと使え、さっと収納でき、モップアタッチメントを容易に掃除する手段を有しているため、床の上から棚の上などの広範囲にわたって簡単かつ効率的に掃除できるようになる。
【符号の説明】
【0031】
1 電動送風機
2 掃除機本体
3 吸込具
4 ホース(風路)
5 先端パイプ
6 延長管
7 モップアタッチメント
8 収納部
9 挿入口
10 収納部外壁
11 内かご
11a 穴
12 吸引開口
13 収納部ふた
14 受圧リブ
15 モップ芯
16 モップブラシ
17 吸気風
18 芯穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を生成する電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記電動送風機により発生する負圧により塵埃を吸引する吸込具と、前記吸込具側に先端パイプを有すると共に前記電動送風機と前記吸込具を連通する風路と、モップアタッチメントを挿入する挿入口を有すると共に前記モップアタッチメントを収納する収納部を備え、前記収納部は、外殻を形成する収納部外壁と、その内部に設けられ、一つあるいは複数の穴を有する内かごからなり、前記収納部外壁に、前記先端パイプが着脱自在に接続される吸引開口を設けた電気掃除機。
【請求項2】
収納部に挿入口を有する収納部ふたを設け、内かごを、収納部外壁と前記収納部ふたとの間で回動自在とし、前記内かごに受圧リブを設け、前記収納部に吸引風が流入すると、それを前記受圧リブで受けて、前記内かごを回転させるようにした請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
内かごの回転時に、収納部に収納されたモップアタッチメントが共回りしないようにした請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
モップアタッチメントを、中空構造でかつ芯部材となるモップ芯と、毛やエラストマーなどの軟質材料からなり、前記モップ芯に取り付けられたモップブラシで構成し、前記モップ芯の、前記モップブラシが取り付けられている部分に、前記モップ芯の内外を連通する芯穴を設けた請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
吸込具と風路との間に着脱自在に配される延長管を備え、収納部を前記延長管に設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
収納部を、掃除機本体に設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−87669(P2011−87669A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−242015(P2009−242015)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】