説明

電気掃除機

【課題】排気効率の向上を図ることができる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】電気掃除機1の本体ケース2では、後方に排気口8が形成され、塵埃を溜めるための集塵室22を区画する集塵ケース20が前方に配置され、電動送風機11を覆うモータカバー21が後方に配置されている。モータカバー21は、電動送風機11が吐出した空気を流出させる流出口52が下面21Aに形成されたモータ室51を区画している。主排気流路Yが、モータ室51の外表面と本体ケース2の内壁面2Bとの隙間E、F、Gによって形成されており、流出口52から流れ出た空気をモータ室51の外表面沿いに排気口8へ流す。副排気流路Xが、集塵室22の下面20Bおよび側面20Eと本体ケース2の内壁面2Bとの隙間B、Cによって形成されており、流出口52から流れ出た空気の一部を、隙間Bへ逃がし、かつ、集塵室22の外表面沿いに後方の排気口8へ流す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
掃除機本体内部において、前方に塵埃が溜められ、後方に電動送風機が配置される電気掃除機が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電気掃除機では、掃除機本体内部が、中央区画壁によって、前方の集塵室と後方の電動送風機室とに区画されている。集塵室には、塵埃を捕獲する集塵袋が収容され、電動送風機室には、モーターケースに覆われた電動送風機が収容される。
【0003】
電動送風機が吸引力を発生すると、掃除機本体外(機外)における床面の塵埃が空気とともに掃除機本体内に吸い込まれて集塵室に進入し、集塵袋に溜まる。集塵室に進入した空気は、電動送風機によってモーターケース内に吸い込まれる。モーターケース内に吸い込まれた空気は、モーターケースの排気口からモーターケース外に排出され、集塵室側へ流れることなく、モーターケースの外表面と電動送風機室における掃除機本体の内壁面との隙間を通って掃除機本体の後方から機外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−75446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気掃除機に対して、吸引力の向上と小型化とが常に望まれている。しかし、吸引力が向上されることによって、掃除機本体内に吸い込まれる空気の量が増える一方で、掃除機本体が小型化されることによって、掃除機本体内における空気の流路が狭くなり、結果として機外への排気効率の向上を図れない虞がある。
特許文献1に記載の電気掃除機において、集塵室を通過した後にモーターケース外に排出された空気が流れる流路は、モーターケースの外表面と電動送風機室における掃除機本体の内壁面との隙間だけである。そのため、電動送風機の吸引力の増加に伴って、モーターケース外に排出される空気の量が増加した場合、この隙間だけでは、空気を機外へ円滑に排出できない虞がある。
【0006】
また、排気効率の向上とともに、排気による騒音の低減も、常に望まれている。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、排気効率の向上を図ることができる電気掃除機を提供することを主たる目的とする。
また、この発明は、排気による騒音の低減を図ることができる電気掃除機を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、後方に排気口が形成された本体ケースと、前記本体ケースの前方に配置され、前記本体ケース内に吸引される塵埃を溜めるための集塵室を区画する集塵ケースと、前記本体ケースの後方に配置され、電動送風機を覆っており、前記電動送風機が吐出した空気を流出させる流出口が下面に形成されたモータ室を区画するモータカバーと、前記モータカバーが区画する前記モータ室の外表面と前記本体ケースの内壁面との隙間によって形成され、前記モータカバーの流出口から下方へ流れ出た空気を前記モータ室の外表面沿いに前記排気口へ流す主排気流路と、を有する電気掃除機であって、前記集塵ケースが区画する前記集塵室の下面および側面と前記本体ケースの内壁面との隙間によって形成され、前記モータカバーの流出口から下方へ流れ出た空気の一部を、前記集塵室の下面と前記本体ケースの内底面との隙間へ逃がし、かつ、前記集塵室の外表面沿いに後方の前記排気口へ流す副排気流路を有することを特徴とする、電気掃除機である。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記集塵ケースの外表面には、補強用のリブまたは凹凸が形成され、前記リブまたは凹凸によって、前記副排気流路のための隙間が確保されることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機である。
請求項3記載の発明は、前記モータ室の側方に配置され、電気コードが巻回されるコードリールを有し、前記副排気流路は、空気を、前記コードリールを経由するように前記排気口へ流すことを特徴とする、請求項1または2記載の電気掃除機である。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記本体ケースにおいて、間隔を隔てて配列されるように複数設けられ、前記流出口から前記排気口へ向かう空気の流れに沿って延び、前記モータカバーを支持するための支持部材を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電気掃除機である。
請求項5記載の発明は、前記電動送風機は、回転軸を有するモータと、前記回転軸に連結され、前記モータによって回転されるファンと、前記ファンを覆う円筒状であって、その周面に複数の貫通孔が形成されたファンカバーとを有し、前記モータカバーは、前記モータを覆い、下面に前記流出口が形成された第1カバー部と、前記ファンカバーを覆う第2カバー部とを有し、前記第2カバー部において上側の前記貫通孔に対向する部分は、当該貫通孔から流出した空気を前記流出口へ導く空間が形成されるように、当該貫通孔から離れる方向へ膨れていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機である。
【0010】
請求項6記載の発明は、前記第2カバー部において下側の前記貫通孔に対向する部分には、前記第2カバー部を貫通して空気を前記モータカバー外へ流出させる補助流出口が形成されていることを特徴とする、請求項5記載の電気掃除機である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、電気掃除機では、本体ケースの後方に排気口が形成されている。本体ケースにおいて、前方に集塵ケースが配置され、後方にモータカバーが配置されている。集塵ケースは、本体ケース内に吸引される塵埃を溜めるための集塵室を区画している。モータカバーは、電動送風機を覆っていて、この電動送風機が吐出した空気を流出させる流出口が下面に形成されたモータ室を区画している。
【0012】
電気掃除機には、モータカバーが区画するモータ室の外表面と本体ケースの内壁面との隙間によって、主排気流路が形成されている。主排気流路は、モータカバーの流出口から下方へ流れ出た空気をモータ室の外表面沿いに排気口へ流す。
そして、電気掃除機には、集塵ケースが区画する集塵室の下面および側面と本体ケースの内壁面との隙間によって、副排気流路が形成されている。副排気流路は、モータカバーの流出口から下方へ流れ出た空気の一部を、集塵室の下面と本体ケースの内底面との隙間へ逃がし、かつ、集塵室の外表面沿いに後方の排気口へ流す。
【0013】
つまり、この電気掃除機では、本体ケースの内部に、主排気流路だけでなく、副排気流路も形成されているので、モータカバーの流出口から流れ出た空気の量が多くても、その空気を、主排気流路および副排気流路の両方に流すことで、排気口から円滑に排出させることができる。その結果、排気効率の向上を図ることができる。
また、モータカバーの流出口から流れ出た空気の一部を前方の副排気流路へ一旦逃がすことによって、モータカバーの流出口から流れ出た全ての空気が主排気流路を通って排気口に殺到することを防止している。これにより、排気口を一度に流れる空気の量を抑えることができるので、排気による騒音の低減を図ることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、集塵ケースの外表面に補強用のリブまたは凹凸を形成するといった簡単な構成により、このリブまたは凹凸によって、副排気流路のための隙間を確保することができる。また、リブが副排気流路における空気の流れを整えることによって、空気を副排気流路において排気口へ向けて円滑に流すことができる。これにより、排気効率の更なる向上を図ることができる。
【0015】
また、電動送風機が吸引力を発生することによって集塵ケースの内部(集塵室)が真空状態になるが、リブまたは凹凸によって集塵ケースの強度の向上が図られているので、真空状態における集塵ケースの変形を防止できる。
請求項3記載の発明によれば、副排気流路は、空気を、モータ室の側方に配置されたコードリールを経由するように排気口へ流すので、この空気によって、コードリールに巻回された電気コードを冷却することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、本体ケースには、モータカバーを支持するための支持部材が設けられている。支持部材は、流出口から排気口へ向かう空気の流れに沿って延びているので、この空気の流れを妨げず、空気を流出口から排気口へ円滑に流すことができる。これにより、排気効率の更なる向上を図ることができる。
そして、支持部材は、間隔を隔てて配列されるように複数設けられているので、モータカバーを確実に支持することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、電動送風機は、回転軸を有するモータと、回転軸に連結され、モータによって回転されるファンと、ファンを覆う円筒状のファンカバーとを有している。ファンカバーの周面に複数の貫通孔が形成されている。
モータカバーは、モータを覆い、下面に流出口が形成された第1カバー部と、ファンカバーを覆う第2カバー部とを有している。
【0018】
そして、第2カバー部においてファンカバーの上側の貫通孔に対向する部分は、当該貫通孔から流出した空気を流出口へ導く空間が形成されるように、当該貫通孔から離れる方向へ膨れている。そのため、当該貫通孔から流出した空気を、この空間に流して流出口へ導くことで、流出口へ向けて円滑に流すことができる。これにより、流出口から空気を円滑に流出させることができるので、排気効率の更なる向上を図ることができる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、第2カバー部においてファンカバーの下側の貫通孔に対向する部分には、第2カバー部を貫通して空気をモータカバー外へ流出させる補助流出口が形成されている。これにより、当該貫通孔から流出した空気については、モータカバー内で流出口へ一旦流した後に流出口から流出させることなく、補助流出口からモータカバー外へ直接流出させることができる。これにより、排気効率の更なる向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の本体ケース2の右側面図であって、要部を断面で示している。
【図2】図2は、集塵ケース20およびモータカバー21の右側面図である。
【図3】図3は、集塵ケース20およびモータカバー21を底面側から見た斜視図である。
【図4A】図4Aは、本体ケース2の平断面を示す。
【図4B】図4Bは、図4AのA−A矢視断面図である。
【図5】図5は、図4Bの断面およびその前側部分を背面側から見た斜視図である。
【図6】図6は、本体ケース2の分解斜視図である。
【図7】図7は、集塵ケース20およびモータカバー21のそれぞれの底面が見える位置における本体ケース2の断面を底面側から見た図である。
【図8】図8は、電動送風機11の側面図である。
【図9】図9は、モータカバー21が見える位置における本体ケース2の断面およびその後側部分を正面側から見た斜視図である。
【図10】図10は、本体ケース2を底面側から見た斜視図であって、本体ケース2の内部を部分的に露出させている。
【図11】図11は、本体ケース2の左側面図であって、要部を断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気掃除機1の本体ケース2の右側面図であって、要部を断面で示している。
ここで、図1において、左側を電気掃除機1の前側、右側を電気掃除機1の後側、紙面奥側を電気掃除機1の左側、紙面手前側を電気掃除機1の右側として説明し、以降の説明においても、方向を特定する場合は、この方向に従って電気掃除機1の前後、左右および上下を特定する。なお、左右方向と幅方向とは同じである。
【0022】
図1を参照して、電気掃除機1は、本体ケース2、ホース3、パイプ(図示せず)および吸込具(図示せず)を含んでいる。
本体ケース2は、上下に所定の厚みを有して前後にやや長手のボックス形状(中空体)である。本体ケース2の左右両側面の後側には、車輪4が取り付けられている。本体ケース2の底面の前側には、ローラ5が取り付けられている。車輪4およびローラ5が床面U上で転がることによって、本体ケース2が床面U上を移動できる。
【0023】
本体ケース2の天面2Aの後端部には、折畳ハンドル6が取り付けられている。折畳ハンドル6は、天面2Aに沿う傾倒位置(実線で示す折畳ハンドル6を参照)と、天面2Aから上方へ起き上がった起立位置(図示せず)との間で回動自在である。折畳ハンドル6を起立位置まで回動させると(細線の破線矢印参照)、折畳ハンドル6を掴むことができる。これにより、本体ケース2を床面Uから浮かせて移動させることができる。
【0024】
本体ケース2において、前面には吸気口7が形成され、後面には、排気口8が形成されている。排気口8は、幅方向に長手のスリット状であり、上下左右に並んで複数形成されている。なお、排気口8は、本体ケース2において後面に形成される以外に、左右の側面や天面2Aの後側領域に形成されていてもよい。つまり、排気口8は、本体ケース2の後方に形成されている。また、排気口8の形状および数は適宜設定される。
【0025】
本体ケース2内部には、吸気口7と排気口8とに連通する空気流路Zが区画されている。空気流路Zには、集塵容器10と、電動送風機11とが、吸気口7→集塵容器10→電動送風機11→排気口8と並ぶように、配置されている。集塵容器10は、たとえば本体ケース2の天面2Aの前側部分を開放することによって、本体ケース2に対して着脱可能である。
【0026】
ホース3は、可撓性を有する蛇腹ホースであり、任意の形態に曲げることができる。ホース3において、その一端(図1では後端)には、接続筒12が連結されている。詳しくは、接続筒12の内側にホース3の一端が収容されている。この状態で、ホース3の一端と接続筒12とは、ほぼ同軸状をなしている。ホース3の他端には、前述したパイプ(図示せず)の一端が接続され、パイプの他端には、前述した吸込具(図示せず)が接続されている。
【0027】
接続筒12は、吸気口7に対して前側から挿通されるとともに、集塵容器10に連結されている。これにより、ホース3の内部が集塵容器10の内部に連通している。
電気掃除機1の運転が開始されると、電動送風機11が電力を受けて駆動されることによって、吸引力を発生する。この吸引力によって、床面U上の塵埃は、上述した吸込具(図示せず)内に吸い込まれ、吸込具、パイプ(図示せず)、ホース3をこの順で通過した後、吸気口7から本体ケース2の空気流路Zまで吸い込まれる。また、吸込具(図示せず)の周りの空気は、床面U上の塵埃とともに、空気流路Zまで吸い込まれる。
【0028】
空気流路Zまで吸い込まれた空気と塵埃とは、まず、集塵容器10において分離される。これにより、塵埃が集塵容器10に溜められる一方で、空気は、電動送風機11によって、空気流路Zにおいて、空気の流れ方向における電動送風機11の下流側へ吐き出される。吐き出された空気は、排気口8から機外へ排出される。ここで、最下位の排気口8Aは、他の排気口8よりも斜め上方を向いているので、各排気口8から排出された空気は、最下位の排気口8Aから排出された斜め上向きの空気によって、全体的に斜め上向きに流れる。これにより、排気口8から排出された空気によって床面Uの塵埃が巻き上げられることが防止されている。最下位の排気口8Aは、掃除以外のときは、シャッター14によって塞がれている。
【0029】
このような電気掃除機1において、中空体である本体ケース2の内部には、比較的大きな部品として、集塵ケース20およびモータカバー21が配置されている。
図2は、集塵ケース20およびモータカバー21の右側面図である。図3は、集塵ケース20およびモータカバー21を底面側から見た斜視図である。図4Aは、本体ケース2の平断面を示す。図4Bは、図4AのA−A矢視断面図である。図5は、図4Bの断面およびその前側部分を背面側から見た斜視図である。図6は、本体ケース2の分解斜視図である。図7は、集塵ケース20およびモータカバー21のそれぞれの底面が見える位置における本体ケース2の断面を底面側から見た図である。
【0030】
図2を参照して、本体ケース2の内壁面2B(本体ケース2の内部空間を区画する面)が、点線で示されている。
本体ケース2の内部において、前方に集塵ケース20が配置されていて、後方にモータカバー21が配置されている。
集塵ケース20は、上面20Aが開放されていて下面20Bに底を有するバケツ形状である。集塵ケース20は、その内部に、前述した集塵容器10(図1参照)を収容する。集塵容器10には、電気掃除機1の運転時に本体ケース2内に吸引される塵埃が溜められるので、集塵容器10を収容する集塵ケース20の内部空間である集塵室22に、本体ケース2内に吸引される塵埃が溜められる。集塵ケース20は、集塵室22を区画している。集塵室22の外表面が集塵ケース20となる。
【0031】
集塵ケース20の上面20Aの周縁は、幅方向から見て、前下側へ傾斜している。集塵ケース20の上面20Aにおいて開放された部分を、着脱口23という(図4Aも参照)。前述したように、集塵容器10が本体ケース2に対して装着される際、集塵容器10は、着脱口23を通過して集塵ケース20(集塵室22)に収容され、集塵容器10が本体ケース2から離脱される際、集塵容器10は、着脱口23を通過して集塵ケース20内から取り外される。
【0032】
ここで、平面視において、本体ケース2の前側部分が前側へ向かって次第に細くなっており、これに対応して、集塵ケース20も前側へ向かって次第に細くなっている(図4A参照)。集塵ケース20の前面20Cは、略垂直方向に沿って略平坦であり、前面20Cには、集塵ケース20内に連通する前連通口24が形成されている(図4Bも参照)。前連通口24は、本体ケース2の前面の吸気口7に直接連通している。そのため、本体ケース2内に吸い込まれた塵埃および空気は、吸気口7を通過した後、本体ケース2と集塵ケース20との間に漏れることなく、前連通口24を通って集塵ケース20内の集塵容器10の内部に流入するようになっている。
【0033】
集塵ケース20の後面20Dは、略垂直方向に沿って平坦である(図4A参照)。後面20Dにおいて右寄り(後ろから見て左寄り)の位置には、集塵ケース20内に連通する丸い後連通口25が形成されている(図4B参照)。後連通口25には、後面20Dにおける後連通口25の周縁から連続して延びる格子26が設けられている(図4Bおよび図5参照)。
【0034】
図5を参照して、後面20Dには、後連通口25を縁取りつつ後側へ突出する2重の円環状をなす環状リブ34が形成されている。環状リブ34の下側外周面には、ガイド部材35が一体的に設けられている。ガイド部材35は、後側から見て、格子状である。そのため、後側からガイド部材35を見ると、ガイド部材35の格子の隙間Aから、それより前側の部分が見える。つまり、ガイド部材35の格子の隙間Aを介して、ガイド部材35の前後の空間が連通している。そして、後側から見たガイド部材35の全体の輪郭は、幅広かつ上下に扁平な略矩形状をなしており、その下端面は、略水平方向に平坦である。
【0035】
後面20Dにおいて、環状リブ34より外側の部分のほぼ全域には、後側へ張り出す格子状のリブ(「格子リブ36」という。)が形成されている。
集塵ケース20の下面20Bには、図3に示すように、幅方向両端部に第1凹部27が形成され、これらの第1凹部27の間の位置に第2凹部28が形成されている。各凹部は、所定の深さで上側(上面20A側)へ窪んでいる。各凹部において底になる部分は、略水平方向に沿って平坦である。
【0036】
左側の第1凹部27は、下面20Bの左端縁を縁取りつつ、前面20Cの左端部と後面20Dの左端部とをつなぐように形成されており、途中で右側へ膨れている。膨れた部分には、この部分を前後に並ぶ2つの領域に区切る略T字状のリブ(「第1下リブ29」という。)が形成されている。
右側の第1凹部27は、下面20Bの右端縁を縁取りつつ、前面20Cの右端部と後面20Dの右端部とをつなぐように形成されており、途中で左側へ膨れている。膨れた部分には、左側の第1凹部27と同様に、第1下リブ29が形成されている。
【0037】
第2凹部28は、幅方向に長手の略矩形状であり、いずれの第1凹部27にも連続していない。第2凹部28には、第2凹部28を左右に並ぶ4つの領域に区切るように前後に延びる3本のリブ(「第2下リブ30」という。)が形成されている。
このように下面20Bに第1凹部27および第2凹部28を形成することによって、集塵ケース20の底では、第1凹部27および第2凹部28が形成された部分が、他の部分よりも高くなっている(底上げされている)。また、下面20Bには、第1凹部27および第2凹部28によって凹凸37が形成されていると言える。
【0038】
下面20Bの幅方向略中央、かつ、第2凹部28に前側から隣接する位置には、下側へ突出する凸部31が一体的に設けられている。凸部31に関連して、図2に示す本体ケース2の内壁面2Bにおいて底面をなす部分(「内底面2C」という。)の前側部分の略中央には、所定の厚みを有する略円盤状の載置部15が一体的に設けられている。載置部15は、内底面2Cから、その厚み分だけ上側へ膨出している。載置部15の天面は、水平方向に略平坦であり、その円中心位置には、下方へ窪む嵌め込み孔13が形成されている。嵌め込み孔13に凸部31が上から嵌めこまれることで、集塵ケース20が、載置部15の天面上に載置され、本体ケース2の内部の前方において位置決めされている。
【0039】
集塵ケース20が本体ケース2の内部で位置決めされた状態において、集塵ケース20の下面20Bが本体ケース2の内底面2Cに対して上側から対向している。このとき、下面20Bにおいて第1凹部27および第2凹部28に挟まれたほとんどの部分(図3参照)と内底面2Cの載置部15との間には、ほとんど隙間がない。しかし、下面20Bにおいて左右の第1凹部27が形成された部分およびその周辺と内底面2C(載置部15以外の部分)との間には、第1凹部27の深さおよび載置部15の厚みの合計に相当する大きさの隙間Bが形成されている。
【0040】
隙間Bに対して間隔を隔てた後側の位置に、前述したガイド部材35が位置している。ガイド部材35では、略水平方向に平坦な下端面が、本体ケース2の内底面2Cに対して上から接触している(図4B参照)。この状態で、ガイド部材35の格子の隙間Aが隙間Bに対して後側から連通している。ガイド部材35は、本体ケース2の内底面2Cの前後方向略中央に位置している。
【0041】
集塵ケース20の外表面において、上面20Aと下面20Bとの間、かつ、前面20Cと後面20Dとの間の部分は、側面20Eとされる。側面20Eは、幅方向に間隔を隔てて1対存在している。平面視において、集塵ケース20が前側へ向かって次第に細くなっているのに対応して、1対の側面20Eは、前側へ向かって互いに接近するように円弧状に湾曲している(図4A参照)。
【0042】
各側面20Eには、前後方向に間隔を隔てて配置されて略垂直方向に延びる複数本(ここでは、5本)の縦リブ32と、上下方向に間隔を隔てて配置されて略水平方向に延びる複数本(ここでは、2本)の横リブ33とが形成されている。各リブは、側面20Eから幅方向外側へ張り出すように形成されている。各側面20Eにおいて、各縦リブ32と各横リブ33とは略直交しており、そのため、縦リブ32および横リブ33は、まとまった状態で格子状をなしている。各側面20Eにおいて上下に並ぶ横リブ33の間隔は、後側へ向かって若干広がっている。また、各横リブ33の外側の縁は、平面視において、側面20Eに沿って湾曲している(図4A参照)。
【0043】
また、図3を参照して、各側面20Eの後端部の上端部には、幅方向外側へ突出する突出部38が一体的に設けられており、この突出部38の底面には、挿通穴39が形成されている。突出部38に関連して、本体ケース2の内壁面2Bにおいて各突出部38の近傍には、上向きに延びる支持柱56が形成されている(図5参照)。各支持柱56の上端部が、対応する突出部38の挿通穴39に下から挿通されることで、集塵ケース20の後側の両端部が本体ケース2に対して位置決めされている(図5参照)。
【0044】
ここで、本体ケース2は、図6に示すように、内底面2C(図2参照)が形成されるとともに左右の車輪4を支持する下ケース41と、下ケース41より上側の上ケース40とを組み合わせることで完成する。
具体的には、集塵ケース20およびモータカバー21を下ケース41の内底面2Cに載置してから、上ケース40を下ケース41に対して上から被せることで本体ケース2が完成する。
【0045】
図2に示すように本体ケース2が完成した状態において、本体ケース2内の集塵ケース20の左右の各側面20Eと、本体ケース2の内壁面2Bにおいて側面20Eに対向する部分(「内側面2D」という。)との間には、隙間Cが確保されている(図7参照)。隙間Cは、平面視において横リブ33よりやや大きく(図7参照)、集塵ケース20の下面20Bと本体ケース2の内壁面2B(内底面2C)との隙間Bに連通している。前述したように、隙間Bは、ガイド部材35の格子の隙間Aに連通している。そのため、連通している隙間A、隙間Bおよび隙間Cのまとまりは、副排気流路Xとされる。副排気流路Xは、集塵ケース20の下面20B(集塵室22の下面でもある。)および側面20E(集塵室22の側面でもある。)と本体ケース2の内壁面2Bとの隙間(隙間Bおよび隙間C)と、隙間Aとによって形成されたものである。前述した下面20Bの凹凸37(図3参照)または各側面20Eの縦リブ32および横リブ33によって、副排気流路Xのための隙間Bおよび隙間Cが確保されている。つまり、集塵ケース20の外表面に縦リブ32や横リブ33や凹凸37を形成するといった簡単な構成により、これらのリブまたは凹凸37によって、副排気流路Xのための隙間B、Cを確保することができる。
【0046】
モータカバー21は、電動送風機11(図1参照)を覆うものである。モータカバー21は、中空のボックス状をなしており、その内部に電動送風機11を収容している(図1参照)。
図8は、電動送風機11の側面図である。図9は、モータカバー21が見える位置における本体ケース2の断面およびその後側部分を正面側から見た斜視図である。図10は、本体ケース2を底面側から見た斜視図であって、本体ケース2の内部を部分的に露出させている。図11は、本体ケース2の左側面図であって、要部を断面で示している。
【0047】
ここで、図8を参照して、電動送風機11について説明すると、電動送風機11は、略水平に延びる回転軸42(図1参照)を有するモータ43と、回転軸42の前端部に連結されるファン44と、ファン44を覆うファンカバー45とを有している(図1も参照)。
ファン44は、モータ43が駆動されることによって、回転軸42を中心に回転し、前述した吸引力を発生させる。ファンカバー45は、回転軸42を円中心とする円筒状であって、モータ43に前側から取り付けられており、回転軸42を中心とする径方向外側、かつ、前側からファン44を覆っている。ファンカバー45の前面には、内部に連通する開口48が形成されていて、開口48からファン44が前側へ露出されている。また、ファンカバー45の周面には、多数の貫通孔49が、ファンカバー45の周面の周方向に沿って並んで形成されている。また、モータ43の外表面の後側部分には、モータ43の内部に連通する略矩形状の吐出口50が複数形成されている。
【0048】
ファン44が吸引力を発生させると、開口48の前側の空気が開口48からファンカバー45内に吸い込まれ、その後、各貫通孔49から排出されたり、モータ43内を通過してから吐出口50から排出されたりする。
図2を参照して、このような電動送風機11をモータカバー21が覆っている。ここで、電動送風機11では、モータ43(図8参照)が発熱したり、モータ43から火花が出たりするので、モータカバー21は、電動送風機11を周囲の他の部品から熱的に遮断するために、一般的に、難燃性を有する材料で形成されている。
【0049】
ここで、電動送風機11を収容するモータカバー21の内部空間をモータ室51という。換言すれば、モータカバー21は、モータ室51を区画しており、モータ室51の外表面がモータカバー21となる。
そして、図3を参照して、モータカバー21において、モータ43を覆う後側部分を第1カバー部46とし、ファンカバー45を覆う前側部分を第2カバー部47とする。
【0050】
第1カバー部46の下面(図3では、手前側に見える側面)には、第1カバー部46の内部に連通する流出口52が形成されている。流出口52は、幅方向に長手である。図3では、流出口52から、モータ43の一部やモータ43の吐出口50が露出されている。
また、第2カバー部47の下面(図3では、手前側に見える側面)には、第2カバー部47の内部に連通する補助流出口53が形成されている。補助流出口53は、幅方向に長手である。図3では、補助流出口53から、ファンカバー45の下側周面、および、この下側周面の貫通孔49が露出されている。換言すれば、第2カバー部47において、下面(下側の側壁)は、ファンカバー45の下側の貫通孔49に対向する部分であって、補助流出口53は、この部分における第2カバー部47を貫通している。
【0051】
このように、モータカバー21の下面21A(モータ室51の下面でもある。)には、後側に流出口52が形成され、前側に補助流出口53が形成されている。補助流出口53は、流出口52に対して前側から隣接している。下面21Aには、流出口52および補助流出口53におけるモータカバー21の剛性を保つために、前後に延びて流出口52および補助流出口53を複数の領域に区画するビーム部材54が複数設けられている。流出口52および補助流出口53では、後述するように、モータカバー21外へ流出しようとする空気が流れるが、ビーム部材54は、空気の流れる方向に沿って薄く形成されているので、流出口52および補助流出口53における空気の流れをほとんど邪魔しない。
【0052】
また、図1を参照して、第2カバー部47においてファンカバー45の上側の貫通孔49に対向する部分(「上側周壁47A」という。)は、当該上側の貫通孔49から離れる方向(上側)へ膨れている。これにより、第2カバー47の内部において、上側周壁47Aと当該上側の貫通孔49との間には、所定の大きさの空間Dが形成されている。
そして、図9に示すように、モータカバー21の前面21Bには、モータカバー21の内部に連通する連通口55が形成されている。連通口55を介して、電動送風機11の前面(つまり、ファンカバー45の前面)が前側に露出されている。
【0053】
このようなモータカバー21は、図2に示すように集塵ケース20に対して後側から連結された状態で、本体ケース2内に収容されている。この状態で、モータカバー21の前面21Bの連通口55(図9参照)が、集塵ケース20の後面20Dの後連通口25(図5参照)に対して後側から直接連通している。集塵ケース20とモータカバー21との連結部分は、パッキン等で密封されており、後連通口25を通過した空気は、外部に漏れることなく連通口55を通過してモータカバー21内に流入するようになっている。
【0054】
また、モータカバー21の後面21Dの幅方向両端部には、後側へ突出する突出部57が一体的に設けられている(図3参照)。各突出部57には、上下に延びる貫通孔58が形成されている(図3参照)。本体ケース2の内部において各突出部57の近傍には、内底面2Cから上方ヘ延びる支持軸59が一体的に設けられており(図4A参照)、各支持軸59が対応する突出部57の貫通孔58に下から挿通されることで、モータカバー21は本体ケース2において位置決めされている(図6参照)。
【0055】
また、集塵ケース20の後面20Dの後連通口25は、前述したように、後面20Dにおいて右寄り(後ろから見て左寄り)の位置に形成されている(図4B参照)。そのため、集塵ケース20に対して後面20Dの後連通口25で連結されたモータカバー21は、図3に示すように、集塵ケース20の後面20Dにおいて、後ろから見て左寄りの位置に配置されている。そのため、図7を参照して、本体ケース2内には、モータカバー21の側方(後ろから見て右側方)にスペースSがあり、このスペースSには、電気コードが巻回されるコードリール60が配置される。コードリール60は、ドラム形状であり、その外周面において、電気コード61を巻き取ることができる(図10参照)。
【0056】
また、図9を参照して、本体ケース2内に収容されたモータカバー21を上から支持(位置決め)するための支持部材70が、本体ケース2の天壁側の内壁面2Bに複数設けられている。支持部材70は、幅方向に薄い板状であって、この実施形態では、3つの支持部材70が、幅方向に間隔を隔てて配列されている。各支持部材70においてモータカバー21の上部に隣接する部分は、モータカバー21(詳しくは、第2カバー部47の上側周壁47A)の形状に沿うように形成されている。これにより、各支持部材70の下端縁とモータカバー21との間には、ほとんど隙間がない。そのため、モータカバー21が本体ケース2内で上下に動かないように、各支持部材70によって上側から位置決めされている。このように、薄い板状であっても、間隔を隔てて配列されるように複数設けられた支持部材70によって、モータカバー21を確実に支持することができる。
【0057】
そして、図2を参照して、本体ケース2に収容されたモータカバー21と本体ケース2の内壁面2Bとの間には隙間が確保されている。詳しくは、モータカバー21の下面21Aと本体ケース2の下側の内壁面2B(内底面2C)との間には、隙間Eが確保されていて、モータカバー21の右面21Cと、右面21Cに対向する右側の内壁面2Bとの間には、隙間Fが確保されていて(図9参照)、モータカバー21の後面21Dと、後面21Dに対向する後側の内壁面2Bとの間には、隙間Gが確保されている。隙間E、隙間Fおよび隙間Gは連通しており、隙間E、隙間Fおよび隙間Gのまとまりは、主排気流路Yとされる。後側の内壁面2Bは、本体ケース2の後面が形成された後側壁において後面の裏側をなす面なので、内壁面2Bには、排気口8が形成されている。そのため、主排気流路Yは、隙間Gにおいて排気口8に連通している。
【0058】
また、モータカバー21と上側の内壁面2Bとの間には、隙間Hが確保されており、隙間Hも主排気流路Yの一部とされる。そして、前述したコードリール60が配置されるスペースS(図10参照)は、主排気流路Yに連通している。
ここで、集塵ケース20側のガイド部材35は、隙間Eに対して前側から臨んでいる。これにより、ガイド部材35の格子の隙間Aと隙間Eとが連通している。隙間Aを含む副排気流路Xと、主排気流路Yとは、連通している。副排気流路Xは、主排気流路Yを介して、排気口8に連通している。副排気流路Xおよび主排気流路Yは、前述した空気流路Zの一部である。空気流路Zは、本体ケース2の吸気口7と排気口8とをつないでいて、集塵室22、モータ室51、副排気流路Xおよび主排気流路Yによって構成されている。
【0059】
図1を参照して、前述したように電動送風機11が吸引力を発生させると、この吸引力が、ファンカバー45の開口48(図8参照)および集塵ケース20の後連通口25(図5参照)を介して、集塵室22(集塵ケース20の内部)に作用する。これにより、集塵室22内が真空状態になる。ここで、集塵室22を区画する集塵ケース20は、下面20Bに凹凸37が形成され、側面20Eに縦リブ32および横リブ33が形成され、後面20Dに格子リブ36が形成されることで、補強されている(図3参照)。そのため、集塵室22内が真空状態になることで集塵ケース20が内側へ縮もうとしても、縦リブ32や横リブ33や凹凸37を設けるといった簡易な構成によって集塵ケース20の強度の向上が図られているので、真空状態における集塵ケース20の変形を防止できる。
【0060】
集塵室22に作用している吸引力は、集塵ケース20の前連通口24(図2参照)および本体ケース2の吸気口7を介して、前述したホース3(図1参照)、パイプ(図示せず)および吸込具(図示せず)のそれぞれの内部にも作用する。
これにより、吸込具(図示せず)の周囲の空気および塵埃が、集塵室22内に吸い込まれて集塵容器10内に流入し、集塵容器10によって分離される。塵埃が集塵容器10に溜められる。一方、空気は、集塵ケース20の後連通口25(図5参照)を介してモータ室51内に流入し、ファンカバー45の開口48(図8参照)から電動送風機11内に吸い込まれる。
【0061】
電動送風機11内に吸い込まれた空気のうち、一部の空気は、破線の太線矢印で示すように、モータ43内を流れ、モータ43の吐出口50を経由して、モータカバー21の下面21Aの流出口52から、隙間Eへと流出する。
また、一部の空気は、1点鎖線の太線矢印で示すように、ファンカバー45の上側の貫通孔49からファンカバー45の上外側へ流れる。この空気は、モータカバー21の内部において、第2カバー部47の上側周壁47Aと当該上側の貫通孔49との間の空間Dに一旦流れ込んだ後、第1カバー部46とモータ43との隙間を通って、流出口52から隙間Eへと流出する。つまり、この空間Dは、当該上側の貫通孔49から流出した空気を流出口52側へ導いている。そのため、当該上側の貫通孔49から流出した空気を、この空間Dに流して流出口52へ導くことで、流出口52へ向けて円滑に流すことができる。これにより、流出口52から空気を円滑に流出させることができるので、結果的に、排気口8における排気効率(換言すれば、電気掃除機1の吸込仕事率)の向上を図ることができる。
【0062】
また、一部の空気は、2点鎖線の太線矢印で示すように、ファンカバー45の下側の貫通孔49からファンカバー45の下外側へ流れる。この空気は、第2カバー部47において当該下側の貫通孔49に対して対向する位置にある補助流出口53から隙間Eへと速やかに流出する。つまり、補助流出口53は、当該下側の貫通孔49からファンカバー45の下外側へ流れる空気をモータカバー21外へ流出させる。これにより、当該下側の貫通孔49から流出した空気については、モータカバー21内で流出口52へ一旦流した後に流出口52から流出させることなく、補助流出口53からモータカバー21外へ直接流出させることができる。これにより、結果として、排気口8における排気効率の向上を図ることができる。
【0063】
つまり、電動送風機11内の空気を電動送風機11外へ円滑に流出させるために、モータ43の吐出口50以外に、ファンカバー45に貫通孔49を形成しているが(図8参照)、この貫通孔49から空気が円滑に流出するように、前述した空間Dや補助流出口53を形成しているのである。
なお、モータカバー21の上面にも、図示しない流出口があって、この流出口からも一部の空気が流れ出て、モータカバー21の上部の電気部品80を冷却する。
【0064】
そして、このように流出口52または補助流出口53から隙間Eへと流出した空気のうち、一部の空気は、図2において破線の太線矢印で示すように、隙間Eから隙間Fおよび隙間Hを経て隙間Gに流れたり、隙間EからスペースS(図9参照)を経て隙間Gに流れたり、隙間Eから直接隙間Gに流れたりすることで主排気流路Yを流れ、排気口8から機外に排出される。つまり、主排気流路Yは、モータカバー21の流出口52や補助流出口53から下方へ流れ出た空気の一部をモータカバー21(モータ室51)の外表面沿いに排気口8へ流している。
【0065】
一方、流出口52または補助流出口53から隙間Eへと流出した空気のうち、別の空気は、実線の太線矢印で示すように、集塵ケース20側のガイド部材35の隙間Aを通ってガイド部材35の前側へ流れ、隙間Bに流入する。図10を参照して、この空気は、実線の太線矢印で示すように、隙間Bにおいて、本体ケース2の右側の内側面2Dに沿って、右側の第1凹部27付近を前側へ流れ、その後、本体ケース2の前側の内壁面2Bに沿うことで、流れる向きを変え、今度は、本体ケース2の左側の内側面2Dに沿って、左側の第1凹部27付近を後側へ流れる。つまり、隙間Bに流入した空気は、隙間Bにおいて、前述した載置部15を取り囲むように底面視で反時計回りに流れる。
【0066】
そして、左側の第1凹部27付近を通過した空気の先には、コードリール60が位置している。そのため、この空気は、スペースSに流入してコードリール60を経由してから(図11の実線の太線矢印参照)、隙間Gに到り、排気口8から機外に排出される。
また、図2を参照して、隙間Bに流入した空気のうち、一部の空気は、1点鎖線の太線矢印で示すように、上昇することで隙間Bから隙間Cに流れ、集塵ケース20の側面20Eを後側へ流れる。隙間Cを流れる空気は、集塵ケース20の側面20Eの各リブ(縦リブ32や横リブ33)によって導かれることで、後上側へ流れる。そして、この空気は、主排気流路Yを構成する隙間Fに至り、排気口8から機外に排出される。また、一部の空気は、コードリール60(図11参照)を経由してから隙間Gに到り、排気口8から機外に排出される。
【0067】
また、隙間Bから隙間Cに流れた空気のうち、一部の空気は、2点鎖線の太線矢印で示すように、モータカバー21と本体ケース2における上側の内壁面2Bとの隙間Hを後側へ通過して、隙間Gに到り、排気口8から機外に排出される。隙間Hを通過する空気は、前述した支持部材70の間を通る。支持部材70は、幅方向に薄い板状なので(図9参照)、流出口52または補助流出口53から隙間Hを経由して排気口8へ向かう空気の流れに沿って延びている。そのため、支持部材70は、この空気の流れを妨げず、空気を流出口52から排気口8へ円滑に流すことができる。これにより、排気効率の向上を図ることができる。
【0068】
このように、隙間A、BおよびCで構成される副排気流路Xは、流出口52または補助流出口53から下方へ流れ出た空気の一部を、集塵ケース20の下面20Bと本体ケース2の内底面2Cとの隙間Bへ逃がし、かつ、集塵室22(集塵ケース20)の外表面沿いに後方の排気口8へ流している。また、副排気流路Xへ流れた空気の一部は、コードリール60を経由してから排気口8に到るので、副排気流路Xは、空気を、コードリール60を経由するように排気口8へ流している(図11参照)。そのため、この空気によって、コードリール60に巻回された電気コード61(図10参照)を冷却することができる。
【0069】
以上のように、この電気掃除機1では、本体ケース2の内部に、主排気流路Yだけでなく、副排気流路Xも形成されているので、本体ケース2内において、比較的広い空気流路Zが確保されている。そのため、モータカバー21の流出口52や補助流出口53から流れ出た空気の量が多くても、その空気を、主排気流路Yおよび副排気流路Xの両方に流すことで、排気口8から円滑に排出させることができる。その結果、排気効率の向上を図ることができる。
【0070】
また、縦リブ32や横リブ33が副排気流路Xにおける空気の流れを整えることによって、空気を副排気流路Xにおいて排気口8へ向けて円滑に流すことができる。これにより、排気効率の更なる向上を図ることができる。
また、モータカバー21の流出口52や補助流出口53から流れ出た空気の一部を前方の副排気流路Xへ一旦逃がすことによって、モータカバー21の流出口52や補助流出口53から流れ出た全ての空気が主排気流路Yを通って排気口8に殺到することを防止している。これにより、排気口8を一度に流れる空気の量を抑えることができるので、排気による騒音の低減を図ることができる。
【0071】
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 電気掃除機
2 本体ケース
2B 内壁面
2C 内底面
8 排気口
11 電動送風機
20 集塵ケース
20B 下面
20E 側面
21 モータカバー
21A 下面
22 集塵室
32 縦リブ
33 横リブ
37 凹凸
42 回転軸
43 モータ
44 ファン
45 ファンカバー
46 第1カバー部
47 第2カバー部
47A 上側周壁
49 貫通孔
51 モータ室
52 流出口
53 補助流出口
60 コードリール
61 電気コード
70 支持部材
B 隙間
C 隙間
D 空間
E 隙間
F 隙間
G 隙間
X 副排気流路
Y 主排気流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方に排気口が形成された本体ケースと、
前記本体ケースの前方に配置され、前記本体ケース内に吸引される塵埃を溜めるための集塵室を区画する集塵ケースと、
前記本体ケースの後方に配置され、電動送風機を覆っており、前記電動送風機が吐出した空気を流出させる流出口が下面に形成されたモータ室を区画するモータカバーと、
前記モータカバーが区画する前記モータ室の外表面と前記本体ケースの内壁面との隙間によって形成され、前記モータカバーの流出口から下方へ流れ出た空気を前記モータ室の外表面沿いに前記排気口へ流す主排気流路と、
を有する電気掃除機であって、
前記集塵ケースが区画する前記集塵室の下面および側面と前記本体ケースの内壁面との隙間によって形成され、前記モータカバーの流出口から下方へ流れ出た空気の一部を、前記集塵室の下面と前記本体ケースの内底面との隙間へ逃がし、かつ、前記集塵室の外表面沿いに後方の前記排気口へ流す副排気流路を有することを特徴とする、電気掃除機。
【請求項2】
前記集塵ケースの外表面には、補強用のリブまたは凹凸が形成され、前記リブまたは凹凸によって、前記副排気流路のための隙間が確保されることを特徴とする、請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記モータ室の側方に配置され、電気コードが巻回されるコードリールを有し、
前記副排気流路は、空気を、前記コードリールを経由するように前記排気口へ流すことを特徴とする、請求項1または2記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記本体ケースにおいて、間隔を隔てて配列されるように複数設けられ、前記流出口から前記排気口へ向かう空気の流れに沿って延び、前記モータカバーを支持するための支持部材を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記電動送風機は、回転軸を有するモータと、前記回転軸に連結され、前記モータによって回転されるファンと、前記ファンを覆う円筒状であって、その周面に複数の貫通孔が形成されたファンカバーとを有し、
前記モータカバーは、前記モータを覆い、下面に前記流出口が形成された第1カバー部と、前記ファンカバーを覆う第2カバー部とを有し、
前記第2カバー部において上側の前記貫通孔に対向する部分は、当該貫通孔から流出した空気を前記流出口へ導く空間が形成されるように、当該貫通孔から離れる方向へ膨れていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記第2カバー部において下側の前記貫通孔に対向する部分には、前記第2カバー部を貫通して空気を前記モータカバー外へ流出させる補助流出口が形成されていることを特徴とする、請求項5記載の電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−10878(P2012−10878A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149227(P2010−149227)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】