説明

電気掃除機

【課題】収納時に延長管がぐらついたりすることが無く、使い勝手の良い電気掃除機を提供する。
【解決手段】掃除機本体1の後端面5に形成された係止凹部6に、延長管3または床ノズル(図示せず)に形成した被係止凸部7を挿入係止して、前記延長管3及び前記床ノズルを立て掛け状態に保持可能な電気掃除機において、前記係止凹部6又は前記被係止凸部7のいずれか一方に永久磁石8を、他方に鉄などの磁性体材料から成る保持部材9をそれぞれ設けたもので、永久磁石8の磁力(吸引力)により前記延長管3を確実に保持できるようになり、延長管3がぐらついたり、外れて倒れたりするようなことがなくなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するもので、特に、掃除機本体の後端面に延長管を立て掛け状態に保持することができる電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電気掃除機について図5、図6を用いて説明する。図5は、同電気掃除機の延長管を立て掛けた状態の斜視図、図6(a)は、同電気掃除機の掃除機本体の上部後面斜視図、図6(b)は、同電気掃除機の被係止凸部の斜視図である。
【0003】
図5、6において、従来の電気掃除機は、電動送風機(図示せず)と紙パックなどのフィルター(図示せず)を内蔵した掃除機本体1と連通したホース2、延長管3、床ノズル4が接続されて構成されている。前記掃除機本体1の後端面5に係止凹部6を形成していると共に、延長管3または床ノズル4に、前記係止凹部6と対向して被係止凸部7を形成している。前記被係止凸部7を前記係止凹部6に挿入係止することにより延長管3および床ノズル4を立て掛けた状態に保持することができるようになっていた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以上のように構成された従来の電気掃除機の動作について説明すると、電動送風機が運転すると気流が発生し、ごみと一緒に気流が床ノズル4から吸い込まれ、延長管3、ホース2を通って掃除機本体1内に内蔵された紙パックでごみが捕集された後、空気のみが掃除機本体1から排出されるものであった。
【0005】
ここで、掃除機本体1の運転を途中で一旦止めて周囲の片付けなどをする場合、被係止凸部7を係止凹部6に挿入係止することにより、延長管3、床ノズル4を掃除機本体1に立て掛けて簡単に保持でき、次に掃除機本体1を再運転する時にも「サッと」すぐに使用できるので使い勝手が良いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3129320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に開示されたような従来の電気掃除機の構成では、掃除機本体1の後端面5に形成した係止凹部6と、延長管3または床ノズル4に設けた被係止凸部7の寸法ばらつきにより、被係止凸部7を挿入した時に硬くて挿入し難かったり、外す時に掃除機本体1が持ち上がったり、逆にがたつきが発生して立て掛けた延長管3がぐらついて倒れたりして使い勝手が悪くなるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、延長管及び床ノズルを立て掛けて保持する場合、延長管のぐらつきがなく確実に保持できると共に、簡単に取り外すこともできるようにして、使い勝手を著しく向上させた電気掃除機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために本発明の電気掃除機は、掃除機本体の後端面に形成された係止凹部に、延長管または床ノズルに形成した被係止凸部を挿入係止して、前記延長
管及び前記床ノズルを立て掛け状態に保持可能な電気掃除機において、前記係止凹部又は前記被係止凸部のいずれか一方に永久磁石を、他方に鉄などの磁性体材料から成る保持部材をそれぞれ設けたもので、永久磁石の磁力(吸引力)により前記延長管を確実に保持できるようになり、延長管がぐらついたり、外れて倒れたりするようなことがなくなるものである。
【0010】
また、本発明の電気掃除機は、手元操作部を有するホースを備え、掃除機本体の後端面に形成された係止凹部に、延長管または床ノズルに形成した被係止凸部を挿入係止して、前記延長管及び前記床ノズルを立て掛け状態に保持可能な電気掃除機において、前記係止凹部に電磁石を、前記被係止凸部に鉄などの磁性体材料から成る保持部材をそれぞれ設け、前記電磁石の電源をオン、オフするスイッチを前記手元操作部に設けたもので、延長管を保持する時はスイッチをオンして電磁石の磁力(吸引力)で延長管を確実に保持できると共に、延長管を取り外す時はスイッチをオフして電磁石の磁力をなくすることで簡単に取り外すことができるので更に使い勝手が良くなるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気掃除機は、延長管及び床ノズルを立て掛けて保持する場合、延長管のぐらつきがなく確実に保持できると共に、簡単に取り外すこともできるので、使い勝手を著しく向上させることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の掃除機本体の上部後面斜視図、(b)同電気掃除機の被係止凸部の斜視図、(c)同被係止凸部の裏面図
【図2】本発明の第2の実施の形態における電気掃除機の全体斜視図
【図3】(a)同電気掃除機の掃除機本体の上部後面斜視図、(b)同電気掃除機の被係止凸部の斜視図、(c)同被係止凸部の裏面図
【図4】本発明の第3の実施の形態における電気掃除機の動作を説明するブロック図
【図5】従来の電気掃除機の延長管を立て掛けた状態の斜視図
【図6】(a)同電気掃除機の掃除機本体の上部後面斜視図、(b)同電気掃除機の被係止凸部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、掃除機本体の後端面に形成された係止凹部に、延長管または床ノズルに形成した被係止凸部を挿入係止して、前記延長管及び前記床ノズルを立て掛け状態に保持可能な電気掃除機において、前記係止凹部又は前記被係止凸部のいずれか一方に永久磁石を、他方に鉄などの磁性体材料から成る保持部材をそれぞれ設けたもので、永久磁石の磁力(吸引力)により前記延長管を確実に保持できるようになり、延長管がぐらついたり、外れて倒れたりするようなことがなくなるものである。
【0014】
第2の発明は、手元操作部を有するホースを備え、掃除機本体の後端面に形成された係止凹部に、延長管または床ノズルに形成した被係止凸部を挿入係止して、前記延長管及び前記床ノズルを立て掛け状態に保持可能な電気掃除機において、前記係止凹部に電磁石を、前記被係止凸部に鉄などの磁性体材料から成る保持部材をそれぞれ設け、前記電磁石の電源をオン、オフするスイッチを前記手元操作部に設けたもので、延長管を保持する時はスイッチをオンして電磁石の磁力(吸引力)で延長管を確実に保持できると共に、延長管を取り外す時はスイッチをオフして電磁石の磁力をなくすることで簡単に取り外すことができるので更に使い勝手が良くなるものである。
【0015】
第3の発明は、特に、第2の発明の被係止凸部に、保持部材に代え永久磁石を設け、電磁石の極性がスイッチをオン、オフした時に切り替わるようにしたもので、延長管を保持
する時は電磁石の極性を前記永久磁石と異極にして磁力(吸引力)で確実に保持でき、延長管を取り外す時は電磁石と永久磁石の極性を同極にすることにより磁力(反発力)で簡単に外れるようにしたもので更に使い勝手が向上するものである。
【0016】
第4の発明は、特に、第2又は第3の発明の電磁石のオン、オフと、掃除機本体に内蔵された電動送風機の運転とを連動させたもので、掃除機本体の運転を停止した時に電磁石の磁力で延長管が確実に保持され、次に電気掃除機の運転を再開した時に電磁石の磁力が無くなり延長管が簡単に外れるようになるもので、更に使い勝手が向上できる。
【0017】
第5の発明は、特に、第2〜4のいずれか一つの発明の電磁石を動作させる電源を、電池または二重層キャパシタにしたもので、掃除機本体の電源コードをコンセントから外した時でも電磁石の磁力によって延長管を確実に保持できるものである。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態における電気掃除機の掃除機本体の上部後面斜視図、図1(b)は、同電気掃除機の被係止凸部の斜視図、図1(c)は、同被係止凸部の裏面図である。なお、上記従来の電気掃除機と同一構成の部品については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
図1において、本実施の形態における電気掃除機は、掃除機本体1の後端面5に形成した係止凹部6に永久磁石8を設けると共に、延長管3または床ノズル4に形成した被係止凸部7に鉄などの磁性体材料から成る保持部材9を設けたもので、他の構成は、従来の電気掃除機と同一である。
【0021】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機の動作について説明すると、掃除機本体1の運転を途中で一旦止めて周囲の片付けなどをするため、延長管3、床ノズル4を掃除機本体1に立て掛ける時に、延長管3または床ノズル4に設けた保持部材9が掃除機本体1の後端面5に形成した係止凹部6に設けた永久磁石8と磁力(吸引力)で吸着するので、延長管3が外れて倒れることも無く確実に保持できるようになる。
【0022】
また、係止凹部6と被係止凸部7のクリアランス寸法をやや大きめにしておけば、挿入時に挿入しやすくなり挿入性の改善も図れる。
【0023】
次に、掃除機本体1を再運転する時にも「サッと」すぐに延長管3を外して使用できるので使い勝手の向上が図れるものである。
【0024】
また、前記永久磁石8は、電磁石10にしても同様な効果が得られ、かつ、係止凹部6の位置は、掃除機本体1の後端面5に限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態における電気掃除機の全体斜視図、図3(a)は、同電気掃除機の掃除機本体の上部後面斜視図、図3(b)は、同電気掃除機の被係止凸部の斜視図、図3(c)は、同被係止凸部の裏面図である。なお、上記従来の電気掃除機と同一構成の部品については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0026】
本実施の形態における電気掃除機は、係止凹部6には電磁石10を、被係止凸部7には永久磁石8をそれぞれ設け、前記電磁石10を動作させるスイッチ11を手元操作部12
に設けたもので、その他の構成は、従来の電気掃除機と同一である。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機の動作について説明すると、まず前記永久磁石8の極性をN極(またはS極)にした場合、掃除機本体1の運転を途中で一旦止めて周囲の片付けをするために延長管3を立て掛ける時に、スイッチ11で係止凹部6の電磁石10の極性をS極(またはN極)にすると、被係止凸部7の永久磁石8との間に磁力による吸引力が働き、延長管3は確実にしっかりと保持される。
【0028】
次に、掃除機本体1を再運転する時に、スイッチ11により電磁石10の極性をN極(またはS極)にすると、前記永久磁石8の極性と同極になるため磁力による反発力が働き、延長管3を簡単に取り外すことができるので、更に使い勝手の向上が図れるものである。
【0029】
なお、上記実施の形態では、被係止凸部7に永久磁石8を設け、スイッチ11で電磁石10の極性を切替えるようにしたが、被係止凸部7に、実施の形態1の保持部材9を設け、スイッチ11で単に電磁石10をオン、オフするようにしても良い。
【0030】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における電気掃除機の動作を説明するブロック図である。なお、上記実施の形態における電気掃除機と同一構成の部品については同一符号を付し、説明を省略する。
【0031】
本実施の形態における電気掃除機は、制御回路部13と、電動送風機14用のリレーA15と、係止凹部6に設けた電磁石10用のリレーB16を備えている。その他の構成は、上記実施の形態2における電気掃除機のそれと同じである。
【0032】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機の動作について説明すると、まず、手元操作部12のスイッチ11でリレーA15をオンさせて電動送風機14を運転させた時、制御回路部13によりリレーB16をオフにして係止凹部6に設けた電磁石10を動作させないようにする。
【0033】
次に、掃除を中断してスイッチ11によりリレーA15をオフにして電動送風機14を停止させた時は、リレーB16をオンして係止凹部6に設けた電磁石10を動作させることにより、延長管3または床ノズル4に設けた保持部材9との間に磁力による吸引力が働くので延長管3を確実に保持することが出来る。
【0034】
次に、掃除機本体1の運転を再開した場合は、前述のとおり電磁石10の磁力がなくなるので簡単に延長管3を取り外すことができる。
【0035】
このように電動送風機14の運転と電磁石10の動作を連動させることにより、更に使い勝手の向上が図れるものである。
【0036】
なお、電磁石10を動作させる電源として、電池(図示せず)または二重層キャパシタを用いるようにすれば、掃除機本体1の電源コード(図示せず)をコンセントから外した時でも電磁石10の磁力によって延長管3を確実に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、延長管を掃除機本体に立て掛けた時に、確実に延長管を保持できるとともに、取り外しも簡単に出来るので、アタッチメント等を本体に保持するような家庭用電化機器、及び産業機器等の用途にも幅広く適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 掃除機本体
2 ホース
3 延長管
4 床ノズル
5 後端面
6 係止凹部
7 被係止凸部
8 永久磁石
9 保持部材
10 電磁石
11 スイッチ
12 手元操作部
13 制御回路部
14 電動送風機
15 リレーA
16 リレーB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体の後端面に形成された係止凹部に、延長管または床ノズルに形成した被係止凸部を挿入係止して、前記延長管及び前記床ノズルを立て掛け状態に保持可能な電気掃除機において、前記係止凹部又は前記被係止凸部のいずれか一方に永久磁石を、他方に鉄などの磁性体材料から成る保持部材をそれぞれ設けたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
手元操作部を有するホースを備え、掃除機本体の後端面に形成された係止凹部に、延長管または床ノズルに形成した被係止凸部を挿入係止して、前記延長管及び前記床ノズルを立て掛け状態に保持可能な電気掃除機において、前記係止凹部に電磁石を、前記被係止凸部に鉄などの磁性体材料から成る保持部材をそれぞれ設け、前記電磁石の電源をオン、オフするスイッチを前記手元操作部に設けたことを特徴とした電気掃除機。
【請求項3】
被係止凸部に、保持部材に代え永久磁石を設け、電磁石の極性がスイッチをオン、オフした時に切り替わるようにしたことを特徴とした請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
電磁石のオン、オフと、掃除機本体に内蔵された電動送風機の運転とを連動させたことを特徴とした請求項2又は3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
電磁石を動作させる電源を、電池または二重層キャパシタにした請求項2〜4のいずれか1項に記載の電気掃除機。

【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−183248(P2012−183248A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49809(P2011−49809)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】