説明

電気掃除機

【課題】聴覚に頼らなくても、電動送風機の入力の切り替わりを、使用者が触感で確実に検知することができる、使い勝手のよい電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸引風を発生させる電動送風機2を内蔵する掃除機本体1と、前記電動送風機2の入力を切り替える手元操作部5と、前記手元操作部5の近傍に設けられると共に、前記手元操作部5が操作されて、前記電動送風機2の入力が切り替わったときに前記手元操作部5に振動を与える振動部7を備えたもので、電動送風機2の入力の切り替わりを、使用者の手元へ振動により報知するため、使用者が電動送風機2の入力の切り替わりを、触感で確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機として、ホース先端部に設けられた手元操作部を操作することにより、電動送風機の入力を切り替える構成を有するものが数多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された電気掃除機は、手元操作部の一つのスイッチに電動送風機の一つの入力を対応させ、各スイッチを選択することにより入力を切り換えるよう構成されている。また、近年の電気掃除機では、多くの種類の電動送風機の入力が選択可能となっているため、特許文献2に記載された電気掃除機のように、一つのスイッチに複数の入力を割り当て、そのスイッチを押す毎に電動送風機の入力が順番に切り換わっていく構成をとっているものが多い。
【0004】
以上のように構成された電気掃除機においては、使用者が電動送風機の入力の切り替わりを判断する主な方法として、電動送風機の騒音を聴覚で確認する方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−122344号公報
【特許文献2】特開平3−39129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1、2に記載されたような従来の電気掃除機で、特に、昨今開発が進んでいる低騒音の電気掃除機においては、電動送風機の入力の変化が聴覚では分かりにくくなっているため、使用者が手元操作部を操作し、電動送風機の入力が切り替わった事を聴覚で確認することが難しく、使い勝手が悪くなってしまうといった課題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、使用者が、電動送風機の入力の切り替わりを確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電気掃除機は、吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記電動送風機の入力を切り替える手元操作部と、前記手元操作部の近傍に設けられると共に、前記手元操作部が操作されて、前記電動送風機の入力が切り替わったときに前記手元操作部に振動を与える振動部を備えたもので、電動送風機の入力の切り替わりを、使用者の手元へ振動により報知するため、使用者が電動送風機の入力の切り替わりを、触感で確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気掃除機は、電動送風機の入力の切り替わりを、使用者が確実に検知することができる使い勝手のよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における電気掃除機の斜視外観図
【図2】同電気掃除機の手元操作部のスイッチ配置図
【図3】同電気掃除機の制御ブロック図
【図4】(a)同電気掃除機の電動送風機の入力に応じて振動の振幅を可変させた場合の、振動部の振動と時間の関係の一例を表したグラフ、(b)同電動送風機の入力に応じて振動の時間を可変させた場合の、振動部の振動と時間の関係の一例を表したグラフ
【図5】(a)同電気掃除機の電動送風機の入力に応じて振動を間欠制御した場合の、振動部の振動と時間の関係の一例を表したグラフ、(b)同電動送風機の入力に応じて振動を間欠制御し、入力を切り替えた時以外も周期的に振動を与える場合の、振動部の振動と時間の関係の一例を表したグラフ
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記電動送風機の入力を切り替える手元操作部と、前記手元操作部の近傍に設けられると共に、前記手元操作部が操作されて、前記電動送風機の入力が切り替わったときに前記手元操作部に振動を与える振動部を備えたもので、電動送風機の入力の切り替わりを、使用者の手元へ振動により報知するため、使用者が電動送風機の入力の切り替わりを、触感で確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の振動部は、電動送風機の入力に応じて手元操作部に与える振動の強さを変化させるもので、使用者が電動送風機の入力の切り替わりだけでなく、入力の大きさも触感により確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の振動部は、電動送風機の入力に応じて手元操作部に与える振動の時間を変化させるもので、使用者が電動送風機の入力の切り替わりだけでなく、入力の大きさも触感により確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の振動部は、電動送風機の入力に応じて手元操作部に与える振動を間欠制御するもので、使用者が電動送風機の入力の切り替わりだけでなく、入力の大きさも触感により確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電気掃除機の斜視外観図、図2は、同電気掃除機の手元操作部のスイッチ配置図、図3は、同電気掃除機の制御ブロック図、図4(a)は、同電気掃除機の電動送風機の入力に応じて振動の振幅を可変させた場合の、振動部の振動と時間の関係の一例を表したグラフである。
【0017】
図1〜3において、本実施の形態における電気掃除機の掃除機本体1は、後部に吸引風を発生する電動送風機2を内蔵している。また、後部に、コンセントなどの商用電源12に接続して、掃除機本体1に内蔵されている回路基板14(図示せず)に電源を供給するための電源コード10が設けられている。
【0018】
また、延長管4に取り付けられ、塵埃を吸引する吸込具3を有し、延長管4は、電動送
風機2の各種入力(例えば、「強」、「中」、「弱」、「停止」等)のいずれかを選択できる手元操作部5とホース接続部8付きのホース6とを介して掃除機本体1に連結されている。手元把持部9は、吸込具3や延長管4を動かす際に使用者が握って操作するためのものである。
【0019】
振動部7は、手元操作部5もしくは手元把持部9近傍に設けられ、手元操作部5もしくは手元把持部9を振動させるためのものである。振動部7で起こされた振動は、手元操作部5もしくは手元把持部9に伝達され、手元把持部9を持つ使用者の手で触感として認知される。振動部7は、特に図示しないが、振動モータや圧電デバイス、電磁デバイスなど、振動を発生させるデバイスとその駆動回路等で構成されている。
【0020】
図2に示すように、手元操作部5は、数個のスイッチ(本実施の形態では、「強」スイッチ5a、「中/弱」スイッチ5b、「切」スイッチ5cの3つのスイッチ)で構成され、「強」スイッチ5a、「中/弱」スイッチ5bのそれぞれに電動送風機2の入力の大きさが割り振られている。ここで、ひとつのスイッチ(本実施の形態では、「中/弱」スイッチ5b)に複数の入力を割りあてる場合、そのスイッチ5bを押す毎に入力が切り替わるように構成している。
【0021】
次に、図3を用いて、本実施の形態における電気掃除機の制御方法について説明する。
【0022】
掃除機本体1内には、電動送風機2を駆動するための双方向性サイリスタなどで構成された駆動手段13が設けられ、それで電動送風機2を位相制御し、吸込み力を変えるようにしている。
【0023】
マイクロコンピュータなどで構成された制御手段11は、使用者が操作する手元操作部5のスイッチ操作情報を取り込み、その情報をもとに駆動手段13へ位相制御するための点弧パルスを出力する制御を行うと共に、振動部7にも信号を送り、振動部7が振動する。
【0024】
以上のように構成された本実施の形態における電気掃除機について、以下、その動作、作用を説明する。
【0025】
例えば、使用者が手元操作部5を操作し、「強」スイッチ5aを選択すると、制御手段11は、手元操作部5からの情報を基に、駆動手段13に予め定められた信号を送り、電動送風機2を駆動させる。このとき、制御手段11は、駆動手段13に信号を送るのと同時に振動部7にも信号を送り、振動部7を振動させると、振動が手元把持部9を持つ使用者の手に触感として伝わる。
【0026】
また、「中/弱」スイッチ5bを選択した場合には、「中/弱」スイッチ5bが押される毎に、電動送風機2の入力が「中」と「弱」で切り替わり、切り替わる毎に手元把持部9も振動する。
【0027】
このように、手元操作部5が操作され、電動送風機2の入力が変わるたびに、使用者が把持している手元把持部9が振動する為、電動送風機2からの騒音が小さく、入力の変化を聴覚で判断する事が難しい場合でも、電動送風機2の入力の切り替わりを触感で確実に検知することができる。
【0028】
また、手元把持部9への振動の与え方として、手元操作部5が操作され切り替わった後の電動送風機2の入力の大きさに応じて、下記のようにさまざまな設定が可能である。
【0029】
まず、図4(a)に示すように、入力と振動の大きさ(振幅)を対応させ、例えば、「強」など入力が高いときには、手元把持部9への振動を大きくし、「弱」など入力が低いときには、手元把持部9への振動を小さくするように設定することで、使用者は、電動送風機2の入力の切り替わりだけでなく、入力の大きさも触感でより直感的に検知することができる。
【0030】
また、図4(b)に示すように、入力の大きさと振動の長さを対応させて、「強」のときは振動の時間を長く、「弱」の時は、振動の時間を短くするなどの設定も可能である。
【0031】
さらに、図5(a)に示すように、振動を間欠制御することも可能である。図5(a)の例では、「強」のときに間欠の周期を短く、「弱」の時に周期を長くしているが、勿論逆でもよい。
【0032】
また、図5(b)に示すように、手元操作部5が操作され、電動送風機2の入力が切り替わった時だけ振動を与えるのではなく、所定の間隔(本実施の形態では、1分とした)で振動を与え続けることもできる。これにより、電動送風機2の入力を切り替え後、同じ入力で掃除をしているとき、使用者が現在の入力が分からなくなってしまった場合でも、周期的に振動を与え続ける為、使用者が現在の電動送風機2の入力を検知することができる。
【0033】
なお、上記実施の形態では、電動送風機2の入力の大きさに応じて手元把持部9へ与える振動の振幅や時間、間欠制御をすることをそれぞれ個別に説明したが、それら組み合わせて使用できることは言うまでもない。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、手元操作部5が操作され、電動送風機2の入力が切り替わった時に、振動部7を振動させることにより、使用者が把持している手元把持部9が振動する為、電動送風機2からの騒音が小さく、入力の変化を聴覚で判断する事が難しい場合でも、触感で電動送風機2の入力の切り替わりを確実に検知することができる使い勝手のよい電気掃除機を提供することができる。
【0035】
また、手元操作部5が操作され、切り替わった後の電動送風機2の入力の大きさに応じて、振動の振幅、時間、間欠周期を自由に変えることができる為、使用者は電動送風機2の入力の切り替わりだけでなく、入力の大きさも触感でより直感的に検知することができ、使い勝手のより電気掃除機を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明にかかる電気掃除機は、電動送風機の入力の切り替わりを使用者が確実に検知できる、使い勝手の良いもので、家庭用、業務用、店舗用の各種電気掃除機に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 掃除機本体
2 電動送風機
5 手元操作部
7 振動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引風を発生させる電動送風機を内蔵する掃除機本体と、前記電動送風機の入力を切り替える手元操作部と、前記手元操作部の近傍に設けられると共に、前記手元操作部が操作されて、前記電動送風機の入力が切り替わったときに前記手元操作部に振動を与える振動部を備えた電気掃除機。
【請求項2】
振動部は、電動送風機の入力に応じて手元操作部に与える振動の強さを変化させる請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
振動部は、電動送風機の入力に応じて手元操作部に与える振動の時間を変化させる請求項1または2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
振動部は、電動送風機の入力に応じて手元操作部に与える振動を間欠制御する請求項1〜3の何れか1項に記載の電気掃除機。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−52005(P2013−52005A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190302(P2011−190302)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】