説明

電気接続箱

【課題】 コンパクトでありながら配線板等の配索面積の増大が可能であり、製造組立を容易とすることを可能とする。
【解決手段】 メインカバー1とアンダーカバー3と基板カバー5とを備え、内部に少なくとも分岐配線を有する配線板19と分岐回路を有する基板23とブスバー17とを収容した電気接続箱において、アンダーカバー3の一面側及び他面側に、それぞれ一側及び他側周壁部25,27によって囲まれた一側収容部29及び他側収容部31を設け、一側収容部29に、少なくともブスバー17及び配線板19を収容すると共に、他側収容部31に、少なくとも基板23を収容し、一側周壁部25に、メインカバー1を取り付けると共に、他側周壁部27に、基板カバー5を取り付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジャンクションボックス等の電気接続箱に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の電気接続箱としては、例えば図3,図4に示すものがある(実開昭55−167716号公報参照)。図3,図4に示すものは、メインカバー1とアンダーカバー3と基板カバー5とを備えたジャンクションボックス等の電気接続箱である。
【0003】前記メインカバー1には電気部品7が備えられ、周囲にメインカバー嵌合周壁1aが備えられている。前記アンダーカバー3にはコネクタ9が取り付けられ、該アンダーカバー3にメインカバー1の嵌合周壁1a内周に嵌合するアンダーカバー嵌合周壁3aが設けられている。前記メインカバー1とアンダーカバー3との間には絶縁板11を挟んでブスバー13a,13bが設けられている。前記基板カバー5にはスカート部13が設けられ、前記メインカバー1のメインカバー嵌合周壁1aの外側及びアンダーカバー3の外周面に嵌合して取り付けられている。このようなメインカバー1、アンダーカバー3、及び基板カバー5の嵌合取り付けによって電気接続箱内への浸水等を防止することができるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のようなカバー1,3,5の嵌合構造であると、例えばブスバー13a,13b及び絶縁板11でなる配線板の外周部にアンダーカバー嵌合周壁3a、メインカバー嵌合周壁1a、及びスカート部13が重なる構造であるため、配線板等の外周の大きさが制限されたものとなり、配索面積が減少するという問題があった。
【0005】又、基板カバー5のスカート部13は、メインカバー1のメインカバー嵌合周壁1aの外周面とアンダーカバー3の外周面との双方に対する嵌合精度を維持しなければならず、製造組立が煩雑になるという問題がある。
【0006】そこで、本発明は、全体をコンパクトにしながら配索面積を増大し、かつ製造組立が容易な電気接続箱の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、メインカバーとアンダーカバーと基板カバーとを備え、内部に少なくとも分岐配線を有する配線板と分岐回路を有する基板とブスバーとを収容した電気接続箱において、前記アンダーカバーの一面側及び他面側に、それぞれ一側及び他側周壁部によって囲まれた一側収容部及び他側収容部を設け、前記一側収容部に、少なくとも前記ブスバー及び配線板を収容すると共に、前記他側収容部に、少なくとも前記基板を収容し、前記一側周壁部に、前記メインカバーを取り付けると共に、前記他側周壁部に、前記基板カバーを取り付けたことを特徴とする。
【0008】従って、アンダーカバーの一面側に形成される一側収容部に少なくともブスバー及び配線板を収容すると共に、他面側に形成される他側収容部に少なくとも基板を収容し、一側周壁部にメインカバーを取り付け、他側周壁部に基板カバーを取り付けることによって電気接続箱を組み立てることができる。従って、メインカバーとアンダーカバーと基板カバーとが三重に重なることはない。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の電気接続箱であって、前記メインカバーは、前記一側周壁部の端部開口内に嵌合させ、前記基板カバーは、前記他側周壁部の端部開口内に嵌合させたことを特徴とする。
【0010】従って、請求項1の発明の作用に加え、メインカバーを一側周壁部の端部開口内に嵌合させ、基板カバーを他側周壁部の端部開口内に嵌合させることによって、一側周壁部及び他側周壁部の外周面に嵌合の境目をなくすことができる。
【0011】請求項3の発明は、請求項1又は2記載の電気接続箱であって、前記基板は、前記基板カバー側に固定されていることを特徴とする。
【0012】従って、請求項1又は2の発明の作用に加え、基板が基板カバーに固定されることにより基板の組付けを容易にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。尚、図3,図4と対応する構成部分には同符号を付して説明し、また重複した説明は省略する。
【0014】図1は、本発明の一実施形態を適用した電気接続箱の一例としてジャンクションボックスの分解斜視図を示している。又、図2はジャンクションボックスの概略断面図を示している。尚、図3,図4と対応する構成部分には同符号を付して説明し、また重複した説明は省略する。
【0015】本発明一実施形態のジャンクションボックスは、図1のようにメインカバー1とアンダーカバー3と基板カバー5とを備え、アンダーカバー3の一面側にメインカバー1、他面側に基板カバー5を組付けたものである。尚、前記アンダーカバー3の一面側にはコネクタブロック15、ブスバー17、配線板(布線シート)19が取り付けられている。21は電線である。又、前記基板カバー5には分岐配線した基板23が固定されている。
【0016】そして、これらメインカバー1、アンダーカバー3、及び基板カバー5等の嵌合構造を概略断面で示したのが、図2である。図2のようにアンダーカバー3の一面側及び他面側にはそれぞれ一側周壁部25及び他側周壁部27によって囲まれた一側収容部29及び他側収容部31が設けられている。本実施形態において、前記一側周壁部25及び他側周壁部27はアンダーカバー3に対して略同高さに形成されている。一側周壁部25と他側周壁部27は、端部開口25a,27aを有している。
【0017】前記メインカバー1の外周には、該メインカバー1の厚みよりも一側収容部29内へ突出した高さを有するメインカバー嵌合部33を有し、前記基板カバー5の外周には、該基板カバー5の厚みよりも他側収容部31内へ突出する高さを有する基板カバー嵌合部35が設けられている。
【0018】そして、メインカバー1はメインカバー嵌合部33において一側収容部29の端部開口25aに着脱自在に嵌合固定され、基板カバー5は他側周壁部27の端部開口27aに着脱自在に嵌合固定されている。前記メインカバー1の外面と一側周壁部25の先端とは略面一となり、前記基板カバー5の外面と前記他側周壁部27の先端との間も略面一となっている。なお、前記メインカバー1の一側周壁部25に対する固定は、例えば凹部と突起等によってクリック嵌合固定されるものであり(図示せず)、基板カバー5の他側周壁部27に対する固定も同様である。尚、ねじ止め等の他の手段の固定構造をとることも可能である。
【0019】この図2において、一側収容部29内において、アンダーカバー3の一面側にブスバー17及び配線板19が取り付けられている。又、他側収容部31内において、前記基板23がブラケット37を介して基板カバー5に取り付けられている。ブラケット37に対する基板23の取り付けは、ビス39によって行われ、ブラケット37の基板カバー5に対する取り付けもビス41によって行われている。
【0020】そして、組付けに際しては、前記アンダーカバー3に対しブスバー17や配線板19を取り付け、また基板カバー5に対して基板23を取り付けておく。その後、アンダーカバー3の端部開口25aにメインカバー1を嵌合固定し、同端部開口27aに基板カバー5を嵌合固定して図2のような状態とし、密閉状のジャンクションボックスを組み立てることができる。
【0021】従って、メインカバー1とアンダーカバー3と基板カバー5との間に三重に重なる部分がないので、例えば配線板19や基板23等の外周の大きさを従来のように制限することがなく、全体をコンパクトにしながら拡大することも可能である。従って、配索面積の増大を図ることができる。
【0022】又、アンダーカバー3に対するメインカバー1及び基板カバー5の嵌合はそれぞれ別々であるため、嵌合精度は別々に考慮すればよく、製造組立が極めて容易となる。
【0023】更に、図2のようにして、アンダーカバー3の一側他側周壁部25,27が上下方向に向くようにして用いることにより、上方からの水の侵入等に対し、アンダーカバー3の外周側にカバー嵌合の境目が存在しないため、この方向からの水の侵入等を防止することができ、耐久性を著しく向上させることができる。
【0024】又、基板23を基板カバー5に対し予め固定しておくことができるため、取り付けが極めて容易である。
【0025】
【発明の効果】請求項1の発明では、メインカバーとアンダーカバーと基板カバーとが三重に重なることはないので、全体をコンパクトにしながら一側収容部及び他側収容部の内周容積を大きくすることが可能となり、配線板等の配索面積増大を可能にする。又、メインカバーは一側周壁部側に基板カバーは他側周壁部側にそれぞれ別々に取り付けるものであるため、それぞれ別々に取付精度等を考慮すればよく、製造組立が容易となる。
【0026】請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、アンダーカバーの一側周壁部及び他側周壁部の外周面に嵌合の境目が存在しないので、この方向からの浸水を防止することができる。
【0027】請求項3の発明では、請求項1又は2の発明の効果に加え、組立てが極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気接続箱の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電気接続箱の概略断面図である。
【図3】従来例に係る電気接続箱の一部切欠斜視図である。
【図4】従来例に係る電気接続箱の概略断面図である。
【符号の説明】
1 メインカバー
3 アンダーカバー
5 基板カバー
17 ブスバー
19 配線板
23 基板
25 一側周壁部
25a 端部開口
27 他側周壁部
27a 端部開口
29 一側収容部
31 他側収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 メインカバー1とアンダーカバー3と基板カバー5とを備え、内部に少なくとも分岐配線を有する配線板19と分岐回路を有する基板23とブスバー17とを収容した電気接続箱において、前記アンダーカバー3の一面側及び他面側に、それぞれ一側及び他側周壁部25,27によって囲まれた一側収容部29及び他側収容部31を設け、前記一側収容部29に、少なくとも前記ブスバー17及び配線板19を収容すると共に、前記他側収容部31に、少なくとも前記基板23を収容し、前記一側周壁部25に、前記メインカバー1を取り付けると共に、前記他側周壁部27に、前記基板カバー5を取り付けたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】 請求項1記載の電気接続箱であって、前記メインカバー1は、前記一側周壁部25の端部開口25a内に嵌合させ、前記基板カバー5は、前記他側周壁部27の端部開口27a内に嵌合させたことを特徴とする電気接続箱。
【請求項3】 請求項1又は2記載の電気接続箱であって、前記基板23は、前記基板カバー5側に固定されていることを特徴とする電気接続箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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