説明

電気機器の接続装置

【課題】電気機器間の接続部に形成される界面の耐電圧特性を向上させ、長期信頼性に優れ且つコンパクト化する。
【解決手段】電気機器11もしくは母線14を固体絶縁物でモールドしたモールド機器1、3間を接続する電気機器の接続装置において、接続するモールド機器1、3の一方は凸形、他方は凹形をしており、この間には、前記電気機器11もしくは母線14をモールドした固体絶縁物13a、13bより弾性率が小さい固体絶縁物2を挿入して接続し、電界強度が高い中心側の面圧が外周側の面圧より高くなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮断器、断路器などの電気機器を固体絶縁物でモールドし、これらを接続して電源系統を構成するスイッチギヤ等における電気機器の接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な従来のスイッチギヤの構成例を図15に示す(例えば、特許文献1参照)。
図15において、外周を軟鋼板で囲まれた容器51を隔壁52で前後に仕切り、前方の遮断器室51aには真空バルブ53aが装着された遮断器53を収納し、また後方の母線室51bには遮断器53側の上下の主回路に合せてそれぞれ同形の断路器54A、54Bを上下に設けている。断路器54A側は、支持碍子56に固定された母線55に接続され、隣接された盤への接続が行われる。また、断路器54B側は、電力ケーブル57aから受電されたケーブルヘッド57に接続されている。そして、これらの機器は、接続導体58で相互が接続されている。また、電源側と負荷側を仕切っている隔壁52には、図示していない貫通穴に主回路導体を絶縁層でモールドした絶縁スペーサ59を設け、相互の室51a、51bの仕切りと、主回路の接続が行われている。これらの室51a、51bには、絶縁媒体として例えばSFガスのような絶縁ガスが封入されている。
【0003】
SFガスは、無色、無害、不活性などの特徴があり、大気圧のガス圧力で空気に比べて2〜3倍の絶縁耐力を有している。このように管理された絶縁ガスを封入したスイッチギヤにより、電力の安定した供給が行われている。
【0004】
しかしながら、SFガスは、地球温暖化防止京都会議(1997年12月)で温暖化に寄与する効果が炭酸ガスの約23000倍とされ、大気に漏らしたり放出したりしないようにするべきであるということになった。
【0005】
このためには、角形の容器51を接合させている鉄板相互の気密溶接部や、ケーブルヘッド57のガス/気中部分に用いられているOリングのガス漏れ検証などが重要となってくる。また、容器51の内部点検などのガス開放時には、開放する前に封入されているガスをガス回収機で回収する必要がある。これらは、従来方法の機器においても当然行われていたことであるが、更に重要性が高まり万全の対応が必要となってくる。
【0006】
これらのことから、SFガスを使用しなければ前述の対応は不必要となるが、SFガスに優る絶縁媒体がないのが現状である。例えば、空気を絶縁媒体にすれば絶縁耐力が劣るので、劣った割合で絶縁距離などを広げなければならず全体形状が大型化してしまう。また、一般の気中絶縁では、塵挨や湿潤の影響を受けるので、これらの汚損特性を考慮して沿面距離などを大きくしなければならなかった。これは、最近の趨勢である縮小化に逆行するものである。
【0007】
一方、SFガスを使用しない方法として、真空バルブを固体絶縁物で直接一体モールドする固体絶縁構成がある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
代表的な固体絶縁構成を図16に示す。なお、図16において、(a)は縦断面図、(b)は(a)のC−C矢示図である。これは、遮断器62、断路器61A、61B、避雷器63の機器を固体絶縁物でモールドして一つの要素ブロック70A、70B、70C、70Dとし、その要素ブロックの接続は固体絶縁物でモールドした導体ブロック71A、71B、71C、71Dで接続して構成したものである。なお、64は母線、65A、65B、65C、65Dは導体である。
【特許文献1】特公平8−22124号公報 (第2ページ、図1)
【特許文献2】特開平10−210615号公報 (第4ページ、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の従来の固体絶縁構成のスイッチギヤにおいては、次のような問題がある。
固体絶縁物は、SFガスに比べ絶縁耐圧が高く、絶縁距離の縮小化に大きく寄与する。このように固体絶縁物でモールドした電気機器を接続して構成するスイッチギヤの場合、接続時に形成される固体絶縁物間における界面が絶縁性能上重要となる。そこで、この界面の絶縁性能を向上させ、且つ小形で長期信頼性を向上させた接続方法の提案が望まれている。
【0010】
本発明の目的は、電気機器間の接続部に形成される界面の耐電圧特性を向上させ、長期信頼性に優れ且つコンパクト化した電気機器の接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の電気機器の接続装置は、電気機器もしくは母線を固体絶縁物でモールドしたモールド機器間を接続する電気機器の接続装置において、接続するモールド機器の一方は凸形、他方は凹形をしており、この間には、前記電気機器もしくは母線をモールドした固体絶縁物より弾性率が小さい固体絶縁物を挿入して接続し、電界強度が高い中心側の面圧が外周側の面圧より高くなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電気機器の接続装置によれば、接続部に形成される界面の耐電圧性能が向上し、接続部の縮小化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
先ず、本発明の実施例1に係る電気機器の接続装置を図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の実施例1に係る接続装置の接続過程を示す図、図2は、本発明の実施例1に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。ここでは、電気機器の接続装置として、真空バルブを固体絶縁物でモールドした機器と母線を固体絶縁物でモールドした機器とを接続する接続装置の場合について説明する。
【0015】
図1に示すように、真空バルブ11の固定側端子には通電金属12が接続され、例えばエポキシのような固体絶縁物13aでモールドし、真空バルブモールド機器1を形成している。通電金属12側は凹形の開口部となっている。
【0016】
一方、母線14は導体15と接続され、例えばエポキシのような固体絶縁物13bでモールドし、母線モールド機器3を形成している。導体15側は凸形の突起部となっている。真空バルブモールド機器1と母線モールド機器3との間には、真空バルブモールド機器1および母線モールド機器3の固体絶縁物13a、13bより弾性率の小さい例えばシリコーンゴム、EPゴムのような固体絶縁物からなる柔軟性絶縁物2を挿入して接続される。このとき、母線モールド機器3の導体15は真空バルブモールド機器1の通電金属12の窪みに挿入され、導体15に設けられた接触子16により母線14側と真空バルブ11側の通電が可能となる。柔軟性絶縁物2の厚さt´は、柔軟性絶縁物2を挿入せずに構成したときにできる隙間20の隙間幅tより大きくなっている。
【0017】
また、図2に示すように、柔軟性絶縁物2を挿入せずに真空バルブモールド機器1と母線モールド機器3を組み合わせた時に凸側と凹側の間に形成される隙間20の隙間幅tより、接続部に挿入する前記柔軟性絶縁物2の厚さt´を大きくすることにより、母線モールド機器3の導体15と真空バルブモールド機器1の中心部で柔軟性絶縁物2が最初に接触し、この部分から外周方向に向かって面圧がかかるようになる。面圧は、中心部から外周方向に向かって直線的に低下する分布が好ましい。これにより、異種固体絶縁物の界面の中で電界強度が高い中心側に最も面圧がかかるため、耐電圧性能が向上する。
【0018】
ここで、柔軟性絶縁物2は、固体絶縁物13a、13bよりも弾性率が小さく柔らかいため、モールド機器1、3を組み合わせた時に凸側と凹側の間に押し潰されて密着する。同時に柔軟性絶縁物2が圧縮されるので、その反発力で凸側と凹側の間に面圧がかかり、優れた耐電圧性能を得ることができる。面圧は、隙間20の隙間幅tと柔軟性絶縁物2の厚さt´との比で決まり、t´/t=1.05〜1.25が好ましい。t´/t=1.05未満では、面圧が充分にかからず、面圧がアンバランスとなり易く耐電圧性能が低下する。t´/t=1.25超過では、面圧は充分となるものの固体絶縁物13a、13bへ加わる機械的応力が高くなり、クラックなどの発生の可能性が生じてくるので好ましくない。
【0019】
なお、上記実施例1では、真空バルブを固体絶縁物でモールドした機器と母線を固体絶縁物でモールドした機器を接続する場合について説明したが、遮断器、断路器などの電気機器のうち少なくとも一つを固体絶縁物で単相もしくは三相一体でモールドし、且つモールドした電気機器間またはモールドした電気機器と単相もしくは三相一体でモールドした母線との間を接続して構成する電気機器の接続装置に適用することができる。
【0020】
また、上述したように電気機器の接続装置を真空バルブ11と母線14との接続について述べたが、避雷器、PTなどでも同様である。更に、スイッチギヤの構成で端部となる構成も出てくるが、このときに端部処理を行うなうための絶縁栓との接続も同様である。また、上述の説明では真空バルブ側を凹形、母線側を凸形として述べているが、逆でも同様である。
【実施例2】
【0021】
次に、本発明の実施例2に係る電気機器の接続装置を図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施例2に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例2が実施例1と異なる点は、柔軟性絶縁物の厚さである。図3において、実施例1と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0022】
図3に示すように、柔軟性絶縁物2の厚さは、中心側の厚さをt1、外周側の厚さをt2とすると、t1>t2としている。柔軟性絶縁物2の厚さを、中心側の方が外周側より厚くすることにより、実施例1の構成よりさらに中心側に面圧がかかる構造となるため、耐電圧性能が向上する。
【実施例3】
【0023】
次に、本発明の実施例3に係る電気機器の接続装置を図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施例3に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例3が実施例1または2と異なる点は、柔軟性絶縁物端を電界緩和したことである。図4において、実施例1または2と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0024】
図4に示すように、真空バルブモールド機器1の凹形開口部の中心を包囲するように導電性シールド17を具備し、真空バルブモールド機器1と母線モールド機器3を接続したときに機器間に挿入された柔軟性絶縁物2の中心側端が導電性シールド17内に包囲される位置となっている。
【0025】
このように、凹側モールド機器1の接続面の中心部を包囲するように導電性シールド17を具備し、且つモールド機器1、3間を接続したときにモールド機器1、3間に挿入された弾性率が小さい柔軟性絶縁物2の中心側端が前記導電性シールド17に包囲される位置とすることにより、柔軟性絶縁物2の中心側端と凹側若しくは凸側モールド機器との間に形成されるトリプルジャンクション21の電界を緩和することができ、耐電圧性能が向上する。
【実施例4】
【0026】
次に、本発明の実施例4に係る電気機器の接続装置を図5を参照して説明する。図5は、本発明の実施例4に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例4が実施例1または3と異なる点は、柔軟性絶縁物を挿入する隙間の大きさである。図5において、実施例1または3と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0027】
図5に示すように、柔軟性絶縁物2を挿入せずにモールド機器1、3を組み合わせた時に凸形と凹側の間に形成される隙間20の中心側をt1、外周側をt2とすると、t1<t2とする。
【0028】
柔軟性絶縁物2を挿入せずにモールド機器1、3を組み合わせた時に凸形と凹側の間に形成される隙間20の中心側を外周側より小さくすることにより、実際に柔軟性絶縁物2を挿入して構成したとき、電界強度が高い中心側により面圧をかけることができるため、耐電圧性能が向上する。
【実施例5】
【0029】
次に、本発明の実施例5に係る電気機器の接続装置を図6を参照して説明する。図6は、本発明の実施例5に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例5が実施例1または3と異なる点は、柔軟性絶縁物の厚さである。図6において、実施例1または3と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0030】
図6に示すように、例えば実施例1または3のように構成された電気機器の接続装置において、凹側のモールド機器1には接続面の中心部を包囲する導電性シールド17を具備しており、且つ柔軟性絶縁物2を挿入せずにモールド機器1、3を組み合わせた時に凸形と凹側の間に形成される隙間20のうち、導電性シールド17の先端部から軸方向にみて隙間20と交差する領域の隙間をt3、中心側をt1、外周側をt2とすると、t3<t1、t2とする。
【0031】
柔軟性絶縁物2を挿入せずにモールド機器1、3を組み合わせた時に凸形と凹側の間に形成される隙間20のうち、導電性シールド17の先端部から軸方向にみて隙間20と交差する領域を最も狭くすることにより、実際に柔軟性絶縁物2を挿入して構成した時に形成される異種絶縁物の界面で最も電界強度が高い部分は凹側モールド機器1に具備された導電性シールド17の先端部から軸方向にみて界面と交差する領域であることから、この最大電界の領域の面圧を最も高くすることができる。このため、耐電圧性能が向上する。
【実施例6】
【0032】
次に、本発明の実施例6に係る電気機器の接続装置を図7および図8を参照して説明する。図7は、本発明の実施例6に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図、図8は、本発明の実施例6における界面の角度θと界面における最大電界強度の関係図である。なお、この実施例6が実施例1乃至5と異なる点は、柔軟性絶縁物の角度である。図7において、実施例1乃至5と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
図7に示すように、例えば実施例1乃至5のように構成された電気機器の接続装置において、凹形の開口部を持ったモールド機器1にはその開口部の中心を包囲する導電性シールド17を具備している。導電性シールド17の先端部から軸方向にみて接続面と交差する領域における凸側および凹側の接続面の傾きが、軸に対する鉛直方向を0度とし、鉛直方向に対する鋭角をとると25度〜50度の間で構成されている。
【0034】
図8に示すように、界面角度θには、電界強度を最も低減できる最適値が存在することがわかる。このため、モールド機器1、3と柔軟性絶縁物2との界面の角度θを25度〜50度の範囲で構成することにより、異種絶縁物界面の電界強度を最も低減することができ、耐電圧性能が向上する。
【0035】
界面角度θが25度未満では、電界強度の上昇率が大きく、耐電圧性能が低下する。界面では、耐電圧性能にとって最も弱点部となり易いので、電界強度が急激に上昇することは避けなければならない。界面角度θが50度超過では、電界強度の上昇が緩やかであり耐電圧性能を大きく低下させないが、モールド機器1、3の軸方向の長さが長くなるので好ましくない。なお、界面角度θが35度のとき、電界強度が最低値となり最も好ましい。
【実施例7】
【0036】
次に、本発明の実施例7に係る電気機器の接続装置を図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施例7に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例7が実施例1乃至6と異なる点は、界面を構成する導体の大きさである。図9において、実施例1乃至6と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0037】
図9に示すように、例えば実施例1乃至6のように構成された電気機器の接続装置において、凹側のモールド機器1には接続面の中心部を包囲する導電性シールド17を具備している。モールド機器1、3の接続時において導電性シールド17先端から径方向に見て凸側のモールド機器3の中心導体15と交差する領域の中心導体径をφC、通電金属12との接触部の導体径をφA、母線側の導体径をφBとすると、φC<φA、φBとなって構成されている。
【0038】
導体15をφC<φA、φBとなるように構成することにより、柔軟性絶縁物2の中心側端と凹側モールド機器1若しくは凸側モールド機器3との間に形成されるトリプルジャンクション21およびその近傍の電界を緩和することができ、耐電圧性能が向上し、且つ接触部の導体径を大きくできるため通電容量も増加する。
【実施例8】
【0039】
次に、本発明の実施例8に係る電気機器の接続装置を図10を参照して説明する。図10は、本発明の実施例8に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例8が実施例1乃至7と異なる点は、モールド機器の外形形状である。図10において、実施例1乃至7と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
図10に示すように、例えば実施例1乃至7のように構成された電気機器の接続装置において、モールド電気機器1、3の外層には接地層22を形成している。また凹側モールド機器、凸側モールド機器3の少なくとも一方は、接続端より軸方向側に接続端より径が小さい環状の窪み23a、23bを設けて形成している。
【0041】
モールド機器1、3の外部の接続端より軸方向側に接続端より径が小さい窪み23a、23bを設けることにより、柔軟性絶縁物2の外周側端と凹側若しくは凸側モールド機器1、3との間に形成されるトリプルジャンクション24およびその近傍の電界を緩和することができ、耐電圧性能が向上する。
【実施例9】
【0042】
次に、本発明の実施例9に係る電気機器の接続装置を図11を参照して説明する。図11は、本発明の実施例9に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例9が実施例1乃至8と異なる点は、柔軟性絶縁物の形状である。図11において、実施例1乃至8と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図11に示すように、接続するモールド機器1、3の接続面は両者とも同一形状で凹形をしており、この間には、モールド機器1、3間を接続する導体25および柔軟性絶縁物2を挿入して接続している。且つ柔軟性絶縁物2の中心部の径は接続導体25の径より小さく、挿入前の柔軟性絶縁物2の接続面における軸の鉛直成分に対する鋭角はモールド機器側の角度θより大きくなっている。
【0044】
接続するモールド機器1、3の接続面は両者とも同一形状で凹形とし、この間に、モールド機器1、3間を接続する導体25および柔軟性絶縁物2を挿入して接続することにより、界面形状を全て同じにできるため、界面形状の標準化が図れる。さらに、柔軟性絶縁物2の中心径は接続導体25の径より小さく、挿入前の柔軟性絶縁物2の接続面における軸の鉛直成分に対する鋭角をモールド機器側の角度θより大きくすることにより、電界強度が高い中心側の面圧を外周側に対してより高くすることができ、耐電圧性能が向上する。
【0045】
なお、本実施例9は、遮断器、断路器などの電気機器のうち少なくとも一つを固体絶縁物で単相もしくは三相一体でモールドし、且つモールドした電気機器間またはモールドした電気機器と単相もしくは三相一体でモールドした母線との間を接続して構成する電気機器の接続装置に適用することができる。
【実施例10】
【0046】
次に、本発明の実施例10に係る電気機器の接続装置を図12を参照して説明する。図12は、本発明の実施例10に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例10が実施例9と異なる点は、モールド機器の外形形状である。図12において、実施例9と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図12に示すように、例えば実施例9のように構成された電気機器の接続装置において、モールド電気機器1、3の外層には接地層22を形成しており、且つ接続されたモールド機器1、3の少なくとも一方は、接続端より軸方向側に接続端より径が小さい環状の窪み23a、23bを設けて形成している。
【0048】
接続されたモールド機器1、3の少なくとも一方に、接続端より軸方向側に接続端より径が小さい窪み23a、23bを設けて形成することにより、柔軟性絶縁物2の外周側端とモールド機器との間に形成されるトリプルジャンクション26およびその近傍の電界を緩和することができ、耐電圧性能が向上する。
【実施例11】
【0049】
次に、本発明の実施例11に係る電気機器の接続装置を図13を参照して説明する。図13は、本発明の実施例11に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図である。なお、この実施例11が実施例10と異なる点は、モールド機器の固定方法である。図13において、実施例10と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図13に示すように、例えば実施例10のように構成された電気機器の接続装置において、モールド機器1、3間の締め付けにボルト27およびナット29を用い、片側若しくは両側にばね28を挿入して締め付ける。
【0051】
モールド機器1、3間の締め付け時に片側若しくは両側にばね28を挿入して締め付けることにより、長期的に安定した面圧を印加しつづけることができ、長期信頼性がより向上する。
【実施例12】
【0052】
次に、本発明の実施例12に係る電気機器の接続装置を図14を参照して説明する。図14は、本発明の実施例12に係る電気機器の接続装置の構成を示し、図13におけるA−A矢示図である。なお、この実施例12が実施例11と異なる点は、モールド機器の外形形状である。図14において、実施例11と同様の構成部分においては、同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図14に示すように、例えば実施例11のように構成された電気機器の接続装置において、モールド機器1、3の接続端の外径を四角とする。
【0054】
モールド機器1、3の接続端の外径を四角とすることにより、四隅で接続面を固定するためのボルト27によるボルト締めができるためスペースの有効活用ができ、円形で形成されたものよりコンパクトな接続装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1に係る接続装置の接続過程を示す図。
【図2】本発明の実施例1に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図3】本発明の実施例2に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図4】本発明の実施例3に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図5】本発明の実施例4に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図6】本発明の実施例5に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図7】本発明の実施例6に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図8】本発明の実施例6における界面の角度θと界面における最大電界強度の関係図。
【図9】本発明の実施例7に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図10】本発明の実施例8に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図11】本発明の実施例9に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図12】本発明の実施例10に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図13】本発明の実施例11に係る電気機器の接続装置の構成を示す断面図。
【図14】本発明の実施例12に係る電気機器の接続装置の構成を示し、図13におけるA−A矢示図。
【図15】従来のスイッチギヤの構成例を示す側面図。
【図16】従来のスイッチギヤの構成例を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は(a)のC−C矢示図。
【符号の説明】
【0056】
1 真空バルブモールド機器
2 柔軟性絶縁物
3 母線モールド機器
11 真空バルブ
12 通電金属
13a、13b 固体絶縁物
14 母線
15 導体
16 接触子
17 導電性シールド
20 隙間
21、24、26 トリプルジャンクション
22 接地層
23a、23b 窪み
25 接続導体
27 ボルト
28 ばね
29 ナット
51 容器
52 隔壁
53、62 遮断器
54(54A、54B)、61A、61B 断路器
55、64 母線
56 支持碍子
57 ケーブルヘッド
58 接続導体
59 絶縁スペーサ
63 避雷器
65A、65B、65C、65D 導体
70A、70B、70C、70D 要素ブロック
71A、71B、71C、71D 導体ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器もしくは母線を固体絶縁物でモールドしたモールド機器間を接続する電気機器の接続装置において、
接続するモールド機器の一方は凸形、他方は凹形をしており、この間には、前記電気機器もしくは母線をモールドした固体絶縁物より弾性率が小さい固体絶縁物を挿入して接続し、電界強度が高い中心側の面圧が外周側の面圧より高くなることを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器の接続装置において、
前記弾性率が小さい固体絶縁物を挿入せずに前記モールド機器を組み合わせた時に凸側モールド機器と凹側モールド機器との間に形成される隙間より、挿入前の前記弾性率が小さい固体絶縁物の厚さの方が大きいことを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電気機器の接続装置において、
前記弾性率が小さい固体絶縁物の厚さは、中心側の方が外周側より厚くなっていることを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項4】
請求項1または請求項3に記載の電気機器の接続装置において、
前記凹側モールド機器の接続面の中心部を包囲するように導電性シールドを具備しており、且つ前記モールド機器間を接続したときに前記モールド機器間に挿入された前記弾性率が小さい固体絶縁物の中心側端が前記導電性シールドに包囲される位置となることを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項5】
請求項1または請求項4に記載の電気機器の接続装置において、
前記弾性率が小さい固体絶縁物を挿入せずに前記モールド機器を組み合わせた時に前記凸側モールド機器と前記凹側モールド機器との間に形成される隙間が、中心側の方が外周側より小さくなっており、この間に前記弾性率の小さい固体絶縁物を挿入して構成することを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項6】
請求項1または請求項4に記載の電気機器の接続装置において、
前記凹側モールド機器には接続面の中心部を包囲する導電性シールドを具備しており、且つ前記弾性率が小さい固体絶縁物を挿入せずに前記モールド機器を組み合わせた時に前記凸側モールド機器と前記凹側モールド機器との間に形成される隙間のうち、前記導電性シールドの先端部から軸方向にみて前記隙間と交差する領域が最も狭く、この間に前記弾性率の小さい固体絶縁物を挿入して構成することを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電気機器の接続装置において、
前記凹側モールド機器には接続面の中心部を包囲する導電性シールドを具備しており、且つ前記導電性シールドの先端部から軸方向にみて接続面と交差する領域における前記凸側モールド機器および前記凹側モールド機器の接続面の傾きが、軸に対する鉛直方向を0度とし、鉛直方向に対する鋭角をとると25度〜50度の間で構成されていることを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電気機器の接続装置において、
前記凹側モールド機器には接続面の中心部を包囲する導電性シールドを具備しており、且つ前記モールド機器接続時において前記導電性シールド先端から径方向に見て前記凸側モールド機器の中心導体と交差する領域の前記凸側モールド機器の中心導体径が、前記凹側モールド機器の導体との接触部の導体径及び前記凹側モールド機器とは反対側の部分の導体径より小さくなっていることを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の電気機器の接続装置において、
前記モールド機器の外層には接地層を形成しており、且つ凸側モールド機器と凹側モールド機器の少なくとも一方は、接続端より軸方向側に接続端より径が小さい環状の窪みを設けて形成したことを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項10】
電気機器もしくは母線を固体絶縁物でモールドしたモールド機器間を接続する電気機器の接続装置において、
接続するモールド機器の接続面は両者とも同一形状で凹形をしており、この間には、電気機器間もしくは電気機器と母線との間を接続する導体、および電気機器もしくは母線をモールドした固体絶縁物より弾性率が小さい固体絶縁物を挿入して接続し、且つ前記弾性率が小さい固体絶縁物の中心径は前記導体より小さく、挿入前の前記弾性率が小さい固体絶縁物の接続面における軸の鉛直成分に対する鋭角は前記モールド機器側の角度より大きいことを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電気機器の接続装置において、前記モールド機器の外層には接地層を形成しており、且つ前記モールド機器の少なくとも一方は、接続端より軸方向側に接続端より径が小さい環状の窪みを設けて形成したことを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の電気機器の接続装置において、
前記モールド機器間の締め付け時に片側若しくは両側にばねを挿入して締め付けることを特徴とする電気機器の接続装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の電気機器の接続装置において、
前記モールド機器の接続端の外径を四角とすることを特徴とする電気機器の接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−99384(P2008−99384A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276129(P2006−276129)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】