説明

電気機器

【課題】回路基板に対するコネクタの接続信頼性を高めることのできる電気機器を提供する。
【解決手段】電気機器において、パネル14により形成され回路基板15を収容する筐体13と、パネル14に形成されるコネクタ用開口部と、回路基板15に接続部を介して電気的に接続され接続部を導出する本体部18にはコネクタ用開口部よりも大きい外形の座面25が形成され、かつ、座面25にはコネクタ用開口部に挿通されて筐体外部26に突出する相手コネクタ接続部27が形成されるコネクタ11と、筐体13の内部のパネル内面に基端部31が固定されて先端部16が自由端となり先端部16が本体部18の座面25と反対側の被規制面に当接する規制板32と、を設けた。規制板32は、相手コネクタの結合により生じる応力よりも大きい弾性限度の弾性を有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具の調光操作を行う調光操作卓等の電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器には、他の装置と電気的に接続するためのコネクタを装備するものが多くある。例えば、スポットライト等の多数の照明器具をコンピュータにより調光操作する場合に使用される調光操作卓には、左右方向に増設できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図4に示すように、この種の調光操作卓100は、筐体101が、側面視台形状の扁平な箱状に形成される。筐体101の上面には図示しない複数の操作ボタンが配置される操作部102がほぼ全面に設けられる。筐体101の内部には図5(A)に示す回路基板103が収容され、回路基板103は支持柱104によって筐体101の底パネル105に固定されている。
【0003】
回路基板103にはコネクタ106が実装される。コネクタ106は、本体部107から導出されるバスバーが回路基板103の導体部に半田付けされる半田付け部108で固定されることにより、回路基板103に実装される。本体部107のバスバー導出側と反対側には、相手コネクタ接続部109が突出して設けられている。本体部107には、相手コネクタ接続部109を挟んで両側に、図示しない相手コネクタからの固定ボルトがねじ込まれるナット部110が設けられる。筐体101の背面パネル111には、コネクタ106を実装した回路基板103が正規に位置決め固定された状態で、本体部107の外形と一致して本体部107を内方に配置して表出させるコネクタ用開口部112が形成されている。
【0004】
回路基板103が筐体101に固定されると、コネクタ106がコネクタ用開口部112に一致し、コネクタ用開口部112からは相手コネクタ接続部109と、ナット部110とが表出する。図示しないケーブルの末端に接続された相手コネクタが、相手コネクタ接続部109に結合され、相手コネクタに設けられた図示しない固定ボルトがナット部110にねじ込まれることで、相手コネクタを離脱不能に固定することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−52511号公報(図1〜図3、段落0006〜0010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のコネクタ106を回路基板103に半田付け実装しただけの固定では、コネクタ106にケーブルを接続した場合、ケーブルによる荷重をコネクタ106と回路基板103の半田付け部108のみで受けることになる。その結果、半田付け部108の破損を招く虞があった。また、コネクタ自身を調光操作卓100の筐体101に固定することにより、外部からの荷重に耐える方策も考えられる。この場合、コネクタ106、回路基板103、筐体101の相対位置を高精度に保つことが重要となる。これらの部材同士の位置に誤差が生じると、応力がコネクタ106の接続部における半田付け部108に常時与えられることになり、接続部の寿命を短くしてしまう虞がある。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、回路基板に対するコネクタの接続信頼性を高めることのできる電気機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気機器は、パネルにより形成され回路基板を収容する筐体と、前記パネルに形成されるコネクタ用開口部と、前記回路基板に接続部を介して電気的に接続され該接続部を導出する本体部には前記コネクタ用開口部よりも大きい外形の座面が形成され、かつ、該座面には前記コネクタ用開口部に挿通されて筐体外部に突出する相手コネクタ接続部が形成されるコネクタと、筐体内部のパネル内面に基端部が固定されて先端部が自由端となり該先端部が前記本体部の前記座面と反対側の被規制面に当接する規制板と、を具備するものである。
【0009】
また、本発明の電気機器は、前記規制板が、相手コネクタの結合により生じる応力よりも大きい弾性限度の弾性を有するものである。
【0010】
さらに、本発明の電気機器は、前記規制板が、前記筐体の背面パネル内面に固定されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電気機器によれば、相手コネクタのケーブルの自重によっても、コネクタを回路基板から外すような力が接続部に作用しなくなるので、回路基板に対するコネクタの接続信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電気機器本発明に係る実施形態の要部拡大断面図
【図2】図1に示したコネクタを筐体内部から見た正面図
【図3】図1に示したコネクタを筐体外部から見た正面図
【図4】(A)は従来の電気機器の平面図、(B)は(A)の電気機器を背面側から見た倒立の正面図、(C)は(A)の左側面図、(D)は(A)を前方から見た正面図
【図5】(A)は図4に示した電気機器のコネクタ固定部の要部拡大断面図、(B)は(A)のコネクタを筐体外部から見た正面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は電気機器本発明に係る実施形態の要部拡大断面図、図2は図1に示したコネクタを筐体内部から見た正面図、図3は図1に示したコネクタを筐体外部から見た正面図である。
本発明に係る電気機器は、例えば調光操作卓10として好適に用いることができる。本実施形態では、電気機器が調光操作卓10である場合を例に説明する。
調光操作卓10は、通常コンピュータを備えていて、図示しない監視画像表示器を有した監視用表示装置の前方にコネクタ11で接続されて設置される。調光操作卓10は、操作部12のフェーダ等を操作してリハーサルで決めた明かりをシーン別にコンピュータに記憶させておき、そのシーンをオンエアの時に再生する。また、この再生時に必要に応じてオペレータのフェーダ操作等により、スタジオでの照明負荷(照明器具)の明るさを修正する等の制御を担っている。オペレータは、接続した監視表示装置の監視画像表示器を視認して、テレビ番組毎に異なる修正操作を行う。
【0014】
調光操作卓10は、筐体13が、パネル14により扁平の箱状に形成されている。筐体13は、側面視が台形状となり、前方(図1の左方)に向かって傾斜した上面には、複数のフェーダ等を配置した操作部12が設けられる。筐体13の内部には回路基板15が収容される。回路基板15には、上記の操作部12が接続される他、演算装置としての図示しないCPU、メモリや、コネクタ11が実装される。
【0015】
コネクタ11は、接続部であるバスバー17を導出する本体部18が絶縁性樹脂材により形成される。コネクタ11の実装される回路基板15は、支持柱19によって筐体13の底パネル20に固定されている。コネクタ11は、本体部18から導出されるバスバー17が回路基板15の導体部に半田付け部21で固定される。コネクタ11は、バスバー17が半田付け部21で固定されることで、回路基板15に実装される。
【0016】
筐体13の背面パネル22には、コネクタ11に対応して図3に示す矩形状のコネクタ用開口部23が形成されている。また、背面パネル22には、このコネクタ用開口部23を挟む左右に円形状のナット表出孔24が形成されている。
【0017】
本体部18のバスバー導出側と反対側には、コネクタ用開口部23よりも大きい外形の座面25が形成される。
なお、座面25は、本体部18に特別に形成するものでなくてもよい。市販品コネクタのブロック状に形成される本体部18の一側面を利用してもよい。
【0018】
座面25には、コネクタ用開口部23に挿通されて筐体外部26に突出する相手コネクタ接続部27が形成される。相手コネクタ接続部27は、金属製のフード部28を有する。フード部28の内側には、複数の端子が縦横に配列して設けられる。本体部18の相手コネクタ接続部27を挟んで両側にはナット部29が設けられ、ナット部29はナット表出孔24と一致する。従って、ナット部29には図示しない相手コネクタの固定ボルトが筐体外部26からねじ込み可能となっている。
【0019】
筐体13の内部のパネル内面には、基端部31が固定されて先端部16が自由端となる規制板32が設けられる。規制板32は、短冊状に形成された素板の長手方向両端を平行な基端部31と先端部16とし、この基端部31と先端部16とを傾斜部33によって接続したZ字状に形成できる。規制板32の基端部31は、筐体13の背面パネル内面34に、例えばボルト35とナット36等によって固定される。この他、規制板32は、加締め構造、リベット、溶接やロー付け等によって固定されてもよい。規制板32の先端部16は、本体部18の座面25と反対側の被規制面37に当接する。本実施形態では、本体部18の長手方向両側に被規制面37が形成され、それぞれの被規制面37に、単独の規制板32が当接している。つまり、二つの規制板32が用いられている。
なお、規制板32は、二つの先端部16を備えた単独の部材であってもよい。
【0020】
規制板32は、図示しない相手コネクタの結合により生じる応力よりも大きい弾性限度の弾性を有する。規制板32の材質としては、ばね性を有する金属板、例えばりん青銅等を用いることができる。
【0021】
次に、上記構成を有する調光操作卓10の作用を説明する。
調光操作卓10では、相手コネクタ接続部27に、図示しない相手コネクタが接続されると、相手コネクタに接続されているケーブルの自重がコネクタ11に加わる。コネクタ11に加わった荷重は、コネクタ11を筐体外部26へ引き出そうとする力となる。コネクタ11に筐体外部26へ引き出そうとする力が加わると、コネクタ11は、本体部18の座面25が背面パネル内面34に当接する。さらに引き出そうとする力が加わっても、本体部18が座面25からの反力によって引き出し方向へは移動せず、コネクタ11と回路基板15とを接続する接続部には外力の作用することが抑制される。すなわち、半田付け部21に過大な外力の加わることが抑制される。これにより、コネクタ11は、外部から受ける荷重に対し、耐力を向上させることができる。
【0022】
一方、相手コネクタ接続部27に相手コネクタが結合されるとき、コネクタ11には筐体13の内方へ押し込まれる方向(図1の左方向)の外力が加わる。この際、本体部18は、被規制面37に当接した規制板32からの反力を受け、押し込み方向には移動しない。つまり、半田付け部21には、コネクタ結合による外力が作用しない。これに加え、各部品の製造公差により生じているコネクタ11の座面25と背面パネル内面34との変位は、規制板32が弾性変形することにより吸収される。従って、座面25が常に背面パネル内面34に当接する。これにより、公差の積み上げによる変位を吸収でき、本体部18をがたつき無く良好に組み立てることができる。
【0023】
さらに、筐体13が扁平の箱状に形成される調光操作卓10である場合、一般的に上面が操作面となる。この場合、本実施形態のように、コネクタ11を背面パネル22に設ければ、筐体13の前方に操作者が位置するので、操作者の最も操作の邪魔とならない背面パネル22にケーブルを接続できる。これにより、操作性が良好で、しかも、コネクタ11の接続信頼性が高い電気機器を得ることができる。
【0024】
従って、本実施形態に係る調光操作卓10によれば、相手コネクタのケーブルの自重によっても、コネクタ11を回路基板15から外すような力が接続部であるバスバー17や半田付け部21に作用しなくなるので、回路基板15に対するコネクタ11の接続信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0025】
11 コネクタ
13 筐体
14 パネル
15 回路基板
16 先端部
17 バスバー(接続部)
18 本体部
23 コネクタ用開口部
25 座面
26 筐体外部
27 相手コネクタ接続部
31 基端部
32 規制板
34 背面パネル内面
37 被規制面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルにより形成され回路基板を収容する筐体と、
前記パネルに形成されるコネクタ用開口部と、
前記回路基板に接続部を介して電気的に接続され該接続部を導出する本体部には前記コネクタ用開口部よりも大きい外形の座面が形成され、かつ、該座面には前記コネクタ用開口部に挿通されて筐体外部に突出する相手コネクタ接続部が形成されるコネクタと、
筐体内部のパネル内面に基端部が固定されて先端部が自由端となり該先端部が前記本体部の前記座面と反対側の被規制面に当接する規制板と、
を具備する電気機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器において、
前記規制板が、相手コネクタの結合により生じる応力よりも大きい弾性限度の弾性を有する電気機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気機器において、
前記規制板が、前記筐体の背面パネル内面に固定されている電気機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−4259(P2013−4259A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133120(P2011−133120)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】