説明

電気機械変換装置

【課題】エレメントを配置した複数の領域間の間隔に起因するエレメント間の放射インピーダンスの不均一性を低減して、エレメント間の間隔の影響を受け難い送受信特性を有する電気機械変換装置を提供する。
【解決手段】電気機械変換装置は、第1の電極102と第1の電極102と間隙104を介して対向して設けられた第2の電極105とを夫々有する複数のセル200を基板106上に備える。少なくとも2つのセル200の第1の電極または第2の電極同士が電気的に接続されてなるセルグループであるエレメント201が複数設けられている。複数のエレメントの放射インピーダンスを同等とするように、基板上で複数のエレメントを配置していない間隔202に、基板と間隙112を介して設けられた振動膜110を含む振動膜構造が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波などの弾性波の送受信(本明細書で送受信と言う場合、送信と受信のうちの少なくとも一方を意味する)を行う静電容量型電気機械変換装置などの電気機械変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波の送受信を行う目的で、静電容量型超音波トランスデューサであるCMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)が提案されている。CMUTは、半導体プロセスを応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスを用いて作製されたものである。図9(a)はアレイCMUTの断面とその接続を示した模式図であり、図9(b)は基板上のアレイCMUTの模式図である。図9(a)は、図9(b)でのX-X’断面を示している。図9において、101は振動膜、102は第1の電極(上部電極)、103は支持部、104は空隙、105は第2の電極(下部電極)、106は基板、107は絶縁膜である。また、200はセル、201はエレメント、301は直流電位印加手段、302は駆動検出手段である。図9(b)においては、振動膜101と支持部103は、セル200として示してある。振動膜101上に第1の電極102が形成され、その振動膜101は、基板106上に形成された支持部103により支持されて、基板上に配置されている。基板106上には第2の電極105が、振動膜101上に形成した第1の電極102と間隙104(通常数十nm〜数百nmの厚さ)を挟んで対向する位置に配置されている。以下、基板106のCMUTが形成された面(図9(a)で上側の面)をCMUT形成面、逆側の面(図9(a)で下側の面)をCMUT非形成面と呼ぶ。振動膜101(通常数十ミクロン程度の大きさ)と間隙104を挟んで対向した第1の電極と第2の電極を1組としてセル200と呼ぶ。第1の電極102と第2の電極105がそれぞれ電気的に接続された複数のセルを、超音波の送受信を行う単位としてエレメント201と呼ぶ。エレメント内の第1の電極と第2の電極は、エレメント外に設けられた配線108、109により、アレイCMUTの外側に引き出される。基板106上には絶縁膜107が配置され、基板106と配線108、109が絶縁されているため、異なるエレメントの配線同士も電気的に絶縁されている。
【0003】
直流電位印加手段301は、配線108を介して接続された第1の電極(上部電極)102に、直流電位を印加することができる。直流電位印加手段301により、第1の電極を所定の電位とすることで、対向する第2の電極102との間に、所定の直流電位差VBを発生させている。この電極間の所定の電位差VBにより、超音波を受けて電極間の距離が変化した時に、電極に誘導電流(電荷)が発生する。また、この電極間の所定の電位差VBにより、電極間に静電引力が発生し、振動膜101は基板106側に撓んだ状態となる。これにより、電極間の距離が狭くなるので、CMUTの超音波送受信動作時の送受信効率を高める。駆動検出手段302は、電極に交流電圧を印加する交流電圧印加手段と、電極に発生した電流を検出する電流検出手段の少なくとも何れかを有している。そのため、駆動検出手段302は、配線108を介して接続された第1の電極(上部電極)102に、交流電位を印加したり、発生した電流を検出したりすることができる。印加した交流電圧により、2つの電極間に静電引力を発生させることで、振動を発生し弾性波を送信する動作を行うことができる。また、弾性波を受けて振動した振動膜の容量変化による電荷(電流)の変化を検出し、到達した弾性波の大きさを検出する動作を行うことができる。
【0004】
以上のように、アレイCMUTのエレメント201の間には、電極からの電気信号を外部とやり取りするための配線108、109を配置する必要があるため、エレメントは或る間隔を空けて、アレイ状に配置されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Knight J, McLean J, andDegertekin F L, 2004 “Low temperature fabrication of capacitive micromachinedultrasonic immersion wave transducers on silicon and dielectric substrates”(IEEE Trans. Ultrason., Ferroelect., Freq. Contr. 51 10 1324-1333)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
セル200の有する送受信特性は、セルが有する振動膜(メンブレン)の放射インピーダンスにより影響を受ける。各セルの振動膜の放射インピーダンスは、周囲の流体を介して、セル周辺の振動膜の配置により変化する。そのため、セルが連続して配置されている場合と、セルが一部の領域では配置されておらず基板面の一部が媒質に接している場合と、では、セルが有する振動膜の放射インピーダンスが異なる。
【0007】
また、アレイCMUTでは配線を配置するため、エレメント201は間隔を空けて配置されているので、エレメント中央に配置されたセルと、エレメント周辺部に配置されたセルでは、セルの振動膜の放射インピーダンスが異なる。つまり、間隔を空けて配置した複数のエレメントでは、エレメント201内のセルを配置する場所によって、当該セル200の送受信特性は影響を受けてしまう。そのため、このセル毎の送受信特性のばらつきにより、エレメント201全体の送受信特性が劣化する。以上のように、複数のエレメントを間隔を空けて配置するアレイCMUTでは、それにより送受信特性が劣化してしまう。本発明は、複数のエレメントを間隔を空けて配置した構成において、エレメントの送受信特性がエレメント間の間隔の影響を受け難い電気機械変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明の電気機械変換装置は、次の特徴を有する。この装置は、第1の電極と前記第1の電極と間隙を介して対向して設けられた第2の電極とを夫々有する複数のセルを基板上に備える。また、この装置は、複数のセルにおける少なくとも2つのセルの第1の電極または第2の電極同士が電気的に接続されてなるセルグループであるエレメントを複数有する。そして、複数のエレメントの放射インピーダンスを同等とするように、基板上で複数のエレメントを配置していない間隔に、基板と間隙を介して設けられた振動膜を含む振動膜構造が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気機械変換装置によれば、上記の如き振動膜構造が設けられているので、送受信エレメントを配置した複数の領域の間の間隔に起因する複数のエレメント間の放射インピーダンスの不均一性を低減することができる。そのため、複数の送受信エレメント間の間隔の影響を受け難い送受信特性を有する電気機械変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図2】第2の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図3】第3の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図4】第4の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図5】第5の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図6】第6の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図7】第7の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図8】第8の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図9】従来の静電容量型電気機械変換装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明で重要な点は、基板上において、複数のエレメントを配置していない間隔に、基板と間隙を介して設けられた振動膜を含む振動膜構造を設けることである。この様な構成により、機械的振動と弾性波との間の変換効率に係るエレメントの放射インピーダンスの同等化を達成することができる。典型的には、各エレメント内の複数のセルの放射インピーダンスの同等化を通して、複数のエレメントの放射インピーダンスの同等化を達成することができる。つまり、エレメント内の各セルについて、周りの構造を同等にしてその構造パラメータが周りの流体の音響インピーダンスに及ぼす影響が同等になるようにし、更に各セルの構造を同等にして、該音響インピーダンスを折り込んだ放射インピーダンスを同等にする。本発明において、「同等」とは完全に同じの場合だけでなく、無視できる程度の誤差を含んでいる場合も含む。図1を用いて、CMUTの送受信動作を行うときの特性として説明すると次の様になる。この特性は、セル200が有する振動膜101の放射インピーダンスと、セル200やエレメント201と接する媒質の音響インピーダンスにより決まる。ここで、セルが有する振動膜の放射インピーダンスは、振動膜101や第1の電極102の持つ機械特性と第1及び第2の電極102、105間の電界分布特性などに加えて、周囲の流体を介して、当該セルの周辺の振動膜の配置により変化する。つまり、振動膜を含むセルがエレメント内に配置されている場合と、セルがエレメント内に配置されず周りの基板106の表面(またはその上の絶縁膜、配線等)が媒質に接している場合では、セルの放射インピーダンスが大きく異なる。アレイCMUTでは複数のエレメントが間隔202をもって配置されているため、エレメント内でも中心部と周辺部のセルの振動膜の放射インピーダンスが異なり、エレメント内のセルの場所により、セルの振動膜と媒質間の放射インピーダンス特性が不均一になる。このことは、セルの構造が同じであっても起こり得る。放射インピーダンス特性の不均一性は、エレメント全体の送受信特性が不均一になる原因となり、送受信特性を劣化させる。こうした問題点を解消する本発明の電気機械変換装置は、上記趣旨の考え方に基づき、課題を解決するための手段のところで述べた様な基本的な構成を有する。
【0012】
以下、図面を用いて、本発明による電気機械変換装置の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明の電気機械変換装置は、以下の実施形態の具体的形態、寸法、材料、要素間の相対位置関係などに限られるものではなく、本発明の上記趣旨の範囲内で種々に変更、変形が可能である。また、構造的に可能であれば、以下の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、図2の構造と図5の構造を組み合わせたり、図4の構造と図5の構造を組み合わせたりすることもできる。
(第1の実施形態)
第1の実施形態を示す断面の模式図である図1において、101は振動膜、102は第1の電極(上部電極)、103は振動膜支持部、104は、エレメント201を構成するセル200の間隙(大気から減圧された空隙、気体が充填された空隙など)である。また、105は第2の電極(下部電極)、106は基板、107は絶縁膜、108は第1の電極の配線、109は第2の電極の配線である。さらに、110は、エレメント201を構成しない振動膜構造の振動膜、111は、振動膜110の振動膜支持部、112は、振動膜構造の間隙である。絶縁膜107が基板106上に設けられており、その上に第2の電極105が配置されている。この第2の電極105と間隙104を挟んで、振動膜101が振動膜支持部103により支持されている。第1の電極102は、第2の電極105に対向するように振動膜101上に配置されており、振動膜101と一体となって振動する構造となっている。
【0013】
第1の電極と第2の電極のどちらかは、全体的に電気的に接続されて共通の電位を有している。以後の説明では、この共通電位を有する電極を共通電極と呼び、第2の電極105が共通電極である構成で説明する。第2の電極(共通電極)の配線109により、この第2の電極105は、所望の電位を印加することのできる直流電位印加手段301(図9参照)に接続されており、対向する第1の電極102との間に、所定の直流電位差VBを発生させている。第1の電極と第2の電極のうちの共通電極でない方の電極は、或るセルグループ毎(本明細書中ではエレメント201と呼ぶ)に電気的に接続され等電位となっている。以後の説明では、このグループ(エレメント)毎に等電位となっている電極を信号用電極と呼び、第1の電極102が信号用電極である構成で説明する。それぞれの第1の電極(信号用電極)102は、第1の電極の配線108により、駆動検出手段302(図9参照)に接続されている。駆動検出手段302を動作させることで、送信動作と受信動作の少なくとも一方を行うことができる。ここで、送信動作とは、次の動作である。駆動検出手段302が交流電圧を発生させ、第1の電極102に印加する。それにより、第1及び第2の電極102、105間に交流の静電引力を発生させて、第1の電極102と一体の振動膜101を振動させ、外部に弾性波を送り出す(送信する)。一方、受信動作とは、次の動作である。弾性波を受信して振動膜101と一体の第1の電極102が振動することにより、第1及び第2の電極102、105間の容量が変化する。それにより、第1の電極102に誘導される電荷が変化することにより発生する電流の大きさを、駆動検出手段302が検出することで、受け取った弾性波の大きさを検出する(受信する)。以上の様に、本実施形態は、第2の電極と間隙を介して対向して設けられた第1の電極を含む振動膜を夫々有する複数のセルを基板上に備える。そして、駆動検出手段が、第1の電極を振動させることによる弾性波の送信機能及び弾性波を受けて第1の電極が振動することによる弾性波の受信機能の少なくとも一方を実行する。また、複数のセルにおける少なくとも2つのセルの第1の電極または前記第2の電極同士が配線を介して共通の駆動検出手段に接続されてなるセルグループであるエレメントを複数有する。つまり、第1の電極同士又は第2の電極同士が電気的に接続されたセルグループがエレメントである。更に、基板上で複数のエレメントを配置していない領域に、基板と間隙を介して設けられた振動膜を含む振動膜構造が設けられている。
【0014】
このようにCMUTが送受信動作を行うために、それぞれの電極102、105に配線108、109を接続する必要があり、弾性波の送受信を行う複数のエレメント201は、或る間隔202をもって、アレイ状に配置される。このアレイは、例えば、長方形領域を持つエレメントを1列または複数列に配置した構成、正方形領域を持つエレメントを2次元に配置した構成などを有する。
【0015】
CMUTの送受信動作を行うときの特性は、セル200が有する振動膜101の放射インピーダンスと、セル200やエレメント201と接する媒質の音響インピーダンスにより決まる。アレイCMUTでは複数のエレメントは或る間隔202をもって配置されている。そのため、この間隔202をそのままにしておくと、セルの構造が同じであっても、エレメント内におけるセルの場所により、セルの振動膜と媒質間の放射インピーダンス特性が不均一になってしまう。
【0016】
本実施形態では、エレメント間の間隔202に振動膜110を備える構成(電極を備えない振動膜構造)を配置することで、エレメント中央部のセルと周辺部のセルが有する振動膜101の放射インピーダンスを均一に近づけることができる。それにより、エレメント間の間隔202があることによる送受信特性への影響を小さくできる。このように、本実施形態によると、複数の送受信エレメント間の間隔202の影響を受け難い送受信特性を有する電気機械変換装置を提供できる。
【0017】
本実施形態において、エレメント間の間隔202にある振動膜110の厚さや大きさ、材質、配置間隔などは、エレメント201内のセルの振動膜101とできるだけ同等のものにすることがより望ましい。これにより、エレメント間の間隔202における放射インピーダンスを、エレメント内のものにより近づけることができる。よって、エレメント間の間隔202があることによる影響がより少ない送受信特性を得られる。
【0018】
(第2の実施形態)
次に、図2を用いて、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、エレメント間の間隔202に配置する配線に関する。それ以外は、第1の実施形態と同じである。本実施形態は、エレメント間の間隔に配置された配線108、109上に、振動膜110が形成されている構成であることが1つの特徴である。図2(a)はアレイCMUTの断面の模式図であり、図2(b)は基板上のアレイCMUTの模式図である。図2(a)は、図2(b)のY-Y’断面を表している。図2では、アレイCMUTの複数のエレメントの間隔202には、配線108、109が配置されている。ただし、図2(a)では、エレメントの間隔202にある配線なしの1列の振動膜構造は省略している。
【0019】
これらの配線108、109は、基板106上に、基板106から絶縁膜107により絶縁された状態で配置されている。信号用電極102を駆動検出手段302に接続するための配線108と、共通電極105を直流電位印加手段301に接続するための配線109が、エレメント毎に備えられている。これらの配線108、109は、、基板106の外周部まで引き出され、それぞれ駆動検出手段302と直流電位印加手段301に接続されている。本実施形態では、この配線上に、間隙112を介して、振動膜110が振動膜支持部111により支持されている。この振動膜110があることより、配線108、109を配置した領域であっても、その放射インピーダンスを、エレメント内での振動膜101の放射インピーダンスと同等のものとすることができる。また、配線を配置する領域に、振動膜110を配置することができるので、第1の実施形態1の構成に比べて、複数のエレメント間の間隔を狭くすることができる。
【0020】
また、エレメント間の間隔202の振動膜110上には、配線108、109が配置されていないことが、本実施形態のもう1つの特徴である。これにより、振動膜110の振動により、配線部から送受信ノイズが発生することがなく、ノイズによる送受信特性の劣化を生じさせることがない。以下、具体的に説明する。もし、エレメント間の間隔に配置した配線に対向する振動膜110上に、異なる電位の配線がある場合を考える。この構成であると、配線に送信信号が印加された時に、配線上の振動膜110が振動して、所望のエレメントの領域以外から弾性波が送信されてしまう。これは、所望の送信信号に、配線部から送信されるノイズが重畳されることになり、送信特性を劣化させてしまう。また、受信動作を行う時には、配線上の振動膜110が弾性波を受けて振動することで、配線に電荷が誘導され、受信エレメントの領域以外の部分の振動による信号が受信信号に加わってしまう。これは、所望の受信信号に配線部で受信されるノイズが重畳されることになり、受信特性を劣化させてしまう。一方、本実施形態では、エレメント間の振動膜110上には、配線を配置していないため、配線に送信信号が印加されても振動膜110が振動することがない。また、振動膜110が振動しても電荷が誘導されることがない。つまり、本実施形態を用いることで、複数のエレメント間の間隔202において配線上に振動膜110を形成した場合でも、配線部でのノイズにより送受信特性が劣化することがない。こうして、本実施形態では、送受信エレメント間の配線上に振動膜110を配置しているので、複数の送受信エレメント間の間隔202に配線を配置した場合でも、その影響を受け難い電気機械変換装置を提供できる。
【0021】
本実施形態において、エレメント間の間隔202の配線108、109の幅は、振動膜110の大きさより大きくてもよく、この構成にすることにより、振動膜110を支持する支持部111を、同じ高さ(段差の無い)の均一な面を有する配線上に形成できる。そのため、支持部111やその上の振動膜110を均一に形成しやすくなり、エレメント間の間隔202の振動膜110の機械特性を所望の値に近づけやすくなる。よって、配線を配置したエレメント間領域でのインピーダンスを、エレメント内の放射インピーダンスにより容易に近づけることができる。こうして、複数の送受信エレメント間の間隔に配線を配置した場合でも、その影響をより受け難い電気機械変換装置を提供することができる。
【0022】
(第3の実施形態)
次に、図3を用いて、第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、エレメント間の間隔に配置する配線に関する。それ以外は、第1の実施形態と同じである。本実施形態は、エレメント間の間隔に配置された振動膜110上に配線108、109が形成されており、且つ振動膜に対向する基板106上には配線が配置されていない構成であることが特徴である。図3では、アレイCMUTの複数のエレメントの間の基板106上には、間隙112を介して、振動膜110が振動膜支持部111により支持されている。振動膜110上に配線108、109が形成されており、振動膜110と共に振動する構造となっている。この振動膜101上に配線が形成されている構成は、エレメント内のセルの構造と同じであるため、エレメント間の間隔202での媒質の音響インピーダンスを、エレメント内のものにより近くすることができる。
【0023】
エレメント間の間隔に配置された振動膜110とその上の配線は、エレメント内に配置されたセルと同等の機械(バネ)特性を有したものであることが望ましい。具体的には、振動膜110の厚さや大きさ、材質、配置間隔などは、エレメント内のものとできるだけ同等のものにすることに加えて、振動膜110上の配線の材質や厚さなどを同等のものにすることで、近い機械特性を得ることができる。また、振動膜110や配線108、109の夫々有するパラメータが異なっていても、振動膜と配線を合わせた機械特性が、エレメント内のものの機械特性と近くする構成になっていればよい。本実施形態では、エレメント間の間隔に配置された振動膜110上に配線が形成されているので、複数の送受信エレメント間の間隔に配線を配置した場合でも、その影響をより受け難い電気機械変換装置を提供できる。上述した様に、第2及び第3の実施形態では、配線が、振動膜構造の振動膜または振動膜構造の振動膜に対向した基板の領域にも配されている。
【0024】
(第4の実施形態)
次に、図4を用いて、第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、エレメント間の間隔に配置する配線に関する。それ以外は、第1から第3の実施形態の何れかと同じである。本実施形態では、エレメント間の間隔202に配置された配線上に、振動膜110が形成されており、更に振動膜110上に配線が形成されている。ここで、間隙112を介して対向している2つの配線108、109は、同じ電位を有していることが特徴である。つまり、本実施形態では、配線が、振動膜構造の振動膜及び振動膜構造の振動膜に対向した基板の領域にも配され、振動膜構造の振動膜の配線と振動膜構造の振動膜に対向した基板の領域の配線は等電位に保たれている。
【0025】
図4(a)は、アレイCMUTの断面の模式図である。また、図4(b)は、図2(b)でのZ-Z’位置の断面を示した模式図である。図4(a)では、エレメント間の基板106上には、基板106と絶縁されて第1の配線が配置され、この配線上には、間隙112を介して、振動膜110が支持部111により支持されている。更に、この振動膜110上には、第2の配線が配置されており、振動膜110以外の部分では、第1の配線と第2の配線は、絶縁膜107により電気的に分離されている。この構造は、エレメント内のセルと同じ構造なので、アレイCMUTの形成時に同時に作製することができる。この第1の配線と第2の配線は、基板106周辺部で電気的に接続されており、同じ電位を有する構造となっている。
【0026】
基板106上に第1の配線を配置しているため、振動膜110を支持する支持部111を、同じ高さ(段差の無い)の均一な面を有する配線上に形成することができる。そのため、支持部材111やその上の振動膜110を均一に形成しやすくなり、エレメント間の間隔にある振動膜110の機械特性を所望の値に近づけやすくなる。加えて、エレメント間の間隔に配置された振動膜110とその上の第2の配線は、エレメント内に配置されたセルと同等の構造とすることができるので、このセルの有する機械特性に容易に近づけることができる。
【0027】
一方、この第1の配線と第2の配線が等電位となっているため、配線に送信信号が印加されても振動膜110が振動することがなく、逆に振動膜110が振動しても電荷が誘導されることがない。つまり、本実施形態を用いることで、エレメント間の配線上に空隙111を介して配線を有した振動膜110を形成した場合でも、配線部でのノイズにより送受信特性が劣化することがない。このように、本実施形態では、エレメント間での放射インピーダンスをエレメント内のそれに近づけやすい構造をとった際にも、配線部によるノイズが発生することがない。そのため、複数の送受信エレメント間の間隔に配線を配置した場合でも、その影響を更に受け難い電気機械変換装置を提供できる。
【0028】
本実施形態の変形形態として、第1の配線と第2の配線を基板106の周辺部以外でも接続する形態をとることができる。具体的には、図4(c)に示したように、エレメント間の間隔に配置した振動膜110間にある第1の配線と第2の配線を絶縁する絶縁膜107が一部なく、その部分で接続されている構造にできる。ここで、図4(c)は、図2(b)でのZ-Z’位置の断面を示した模式図である。これにより、配線の抵抗を低減できるので、配線部による送受信信号の劣化を低減することができる。そのため、より送受信特性の劣化の少ない電気機械変換装置を提供できる。
【0029】
(第5の実施形態)
次に、図5を用いて、第5の実施形態を説明する。第5の実施形態は、エレメント間以外に配置する振動膜110に関する。それ以外は、第1から第4の実施形態の何れかと同じである。図5(a)はアレイCMUTの断面の模式図であり、図5(b)は遮音部311を説明する模式図である。図5(a)は、図5(b)でのZ-Z’断面を示している。図5で、311は遮音部である。図5(b)では、基板上のセル200とエレメント201、振動膜110、遮音部311のみを示し、他は省略してある。
【0030】
本実施形態では、エレメント(送受信素子)が配置されていない基板106周辺領域にも、振動膜110が配置されている。また、基板106周辺部には、空隙310を介して、遮音部311が配されている。弾性波を受信する際には、この遮音部311のある部分は、弾性波が遮蔽されるので、基板106上まで弾性波が届かない構成になっている。また、基板106周辺に配置した振動膜110は、遮音部311の配置された領域と一部重なるように配置されているので、外部からの弾性波が基板106に届く領域内には、必ず振動膜110が配置されている。そのため、外部からの弾性波が基板に届く領域内は、基板106上でのセル200や振動膜101の機械特性がほぼ一様になっており、その影響を受ける放射インピーダンスも同等になっている。そのため、弾性波の届く範囲内では、振動膜の放射インピーダンスが不均一な場所や、放射インピーダンスが大きく変化している場所がない。これにより、エレメントの基板内の配置場所によらず、受信特性の劣化を抑制することができる。
【0031】
また、基板が露出している面や、セル200または振動膜110を配置した領域の端部に、弾性波が当たることがない構成となっている。そのため、入力された弾性波がセル200や振動膜110のない場所で反射等をすることによる受信時のノイズが発生しにくい。そのため、より受信特性の劣化を抑制することができる
【0032】
また、エレメントが送信動作をする際に、直接送信した弾性波が遮音部311に当たらないように、遮音部311を配置する。具体的には、エレメント201を配置した基板領域から、遮音部311を離す距離は、エレメントから弾性波を送信する際のエレメントのサイズと弾性波の周波数により決まる主極の送信音波(メインローブ)の広がりを考慮して、決めることができる。ここで、エレメント一辺の長さを2a(m)、送信音波の下限周波数をf(Hz)、音速をC(m/s)、基板上面から遮音部の上面までの距離をH(m)とする。すると、最外周に配置したエレメントの最外周の端部から遮音部301までの距離Y(m)は、以下の式(1)を満たすことが望ましい。
Y=H×tan(|sin((2π×f/c)×a×sinθ)/((2π×f/c)×a×sinθ)|)・・式(1)
式(1)を満たす構成とすることで、送信動作時に、送信の音波による主極の送信波形(メインローブ)以外の弾性波を、静電容量型電気機械変換装置の外側に出力することがなくなり、より良好な送信特性を得られる。
【0033】
以上のように、遮音部311を配置することで、受信時に弾性波を受ける領域では、放射インピーダンスが同等であり、受信のノイズとなる弾性波の反射などが発生しにくい。また、送信時も、送信に用いるエレメントは、位置によらず、放射インピーダンスが同等であり、送信時に、所望の送信波以外による送信ノイズを少なくすることができる。遮音部311は、アルミニウムなどをはじめとする金属、アクリルなどをはじめとする樹脂など、送受信を行う所定の周波数領域で、弾性波を反射させることが可能なものであれば用いられる。反射材の音響インピーダンスと媒質の音響インピーダンスとの差を大きくすることで、反射の効果を大きくできる。
【0034】
本実施形態では、送受信エレメントの外側の音が来ない(または、出ない)所まで振動膜110が配置されているので、基板最外周のエレメント周辺の放射インピーダンスについて、送受信特性に影響を与える程の不均一性を低減できる。そのため、複数の送受信エレメントを配置した最外周部のエレメントが、エレメントを配置していない周辺領域の影響を受け難い電気機械変換装置を提供できる。
【0035】
(第6の実施形態)
次に、図6を用いて、第6の実施形態を説明する。第6の実施形態は、エレメント間以外に配置する振動膜110に関する。それ以外は、第5の実施形態と同じである。図6はアレイCMUTの断面の模式図である。図6で、312は吸音材である。吸音材312は、第5の実施形態での遮音部311の配置される位置に、代わりに配置される。吸音材312は、送受信を行う所定の周波数領域において、吸音材312表面に到達した弾性波を吸収して、内部で所望の値まで減衰することができる。基板周辺の振動膜110を配置している領域上には、吸音材312が配置されている。媒質の音響インピーダンスと、音響インピーダンスの近い物質を選ぶことで、吸音材表面に到達した弾性波をほぼ全て吸音材312に吸収することができる。また、吸音材312の内部には、金属などの粒を分散させて配することで、内部に侵入した弾性波が減衰しやすい構成にできる。
【0036】
受信時に弾性波が入射された時、遮音材311の場合、その端部等で弾性波が反射し、受信動作時のノイズとして影響する場合がある。本実施形態では、吸音材312のある部分では、弾性波が吸収・減衰されるため、基板106上では、振動膜110のある領域以外には、吸音材312の表面の反射などによる弾性波は殆ど到達しない。そのため、振動膜110を配置した領域と配置していない領域の境界付近に、弾性波が到達しないため、放射インピーダンスの不均一部(セルまたは振動膜110が途切れている箇所)でノイズが発生することはない。また、送信動作をするときについては、送信の音波による主極の送信波形(メインローブ)の他にも、大きさは小さいが、副極の送信波形(サイドローブ)がメインローブより大きな角度を持って送信される。このサイドローブの送信音圧が反射することにより、全体の送信特性に影響を与える場合がある。本実施形態では、送信波形のサイドローブが吸音材302に当たったとしても、吸音材302に吸収・減衰されるので、基板106上に戻ったり外の送信方向に伝わったりして、送信ノイズとなることが殆どない。
【0037】
本実施形態では、送受信エレメントの外側に、吸音材312により、音が来ない(または、出ない)領域が形成され、その領域に重なるように基板内に振動膜110が配置されている。そのため、基板最外周のエレメント周辺の放射インピーダンスについて、送受信特性に影響を与える程の不均一性をより低減できる。こうして、複数の送受信エレメントを配置した最外周部のエレメントが、エレメントを配置していない周辺領域の影響をより受け難い電気機械変換装置を提供できる。上述した様に、第5及び第6の実施形態では、基板と空隙を介して、弾性波を遮蔽する遮音手段または弾性波を吸収し減衰させる吸音手段が配置されている。そして、基板の面と垂直な方向から見て、遮音手段または吸音手段を配置していない領域は、基板上で複数のエレメントを配置している領域に、全て含まれている。
【0038】
(第7の実施形態)
次に、図7を用いて、第7の実施形態を説明する。第7の実施形態は、エレメント内及びそれ以外に配置する振動膜110(101)に関する。それ以外は、第1から第6の実施形態の何れかと同じである。図7(a)はアレイCMUTの断面とその接続を示した模式図であり、図7(b)は基板上のアレイCMUTの模式図である。図7(a)は、図7(b)でのQ-Q’断面を示している。図7(b)においては、振動膜101と支持部103はセル200として示して、第1及び第2の電極などは省いている。また、振動膜110と支持部111は符号110として簡略化して示している。
【0039】
本実施形態では、基板106上に同じ形状の振動膜110(101)が、同じ周期性を持ち、均一に並んでいることが特徴である。つまり、振動膜構造の振動膜とセルの振動膜が、同一の形状であり、同じ周期で配置されている。同じ形状の振動膜110(101)が、均一に並んでいることで、基板106上にある振動膜110(101)の機械特性は同等となる。そのため、基板106上で振動膜110(101)を形成した領域内では、基板106または振動膜110(101)の放射インピーダンスは、ほぼ同等にすることができる。そのため、送受信エレメントをどの領域に配置しても、エレメントの持つ放射インピーダンスに影響を与えにくい。それにより、基板106内の振動膜110(101)を配置した領域においては、送受信エレメントの配置位置により放射インピーダンスが不均一になって送受信特性が劣化することが殆どない。
【0040】
本実施形態では、同じ形状の振動膜が基板上に周期的に並んでいるので、送受信エレメントの配置間隔や配置位置による送受信特性の劣化が殆どない電気機械変換装置を提供できる。
【0041】
(第8の実施形態)
次に、図8(a)を用いて第8の実施形態を説明する。第8の実施形態は、第1から第7の実施形態の何れかに記載の静電容量型電気機械変換装置を用いた超音波測定装置に関する。図8(a)において、402は測定対象物、403は静電容量型電気機械変換装置、404は画像情報生成装置、405は画像表示器である。また、501、502は超音波、503は超音波送信情報、504は超音波受信信号、505は再現画像情報、400は超音波測定装置である。
【0042】
電気機械変換装置403から測定対象物402に向かって出力された超音波501は、測定対象物402の表面で、その界面での固有音響インピーダンスの差により、反射する。反射した超音波502は、電気機械変換装置403で受信され、受信信号の大きさや形状、時間の情報が超音波受信信号504の情報として画像情報生成装置404に送られる。一方、電気機械変換装置403から、送信超音波の大きさや形状、時間の情報が超音波送信信号情報503として、画像情報生成装置404に送られている。画像情報生成装置404では、超音波受信信号504と超音波送信信号の情報503を基に、測定対象物402の画像信号を生成して再現画像情報505として送り、画像表示器405で表示される。この様に、本実施形態の測定装置は、弾性波の送信及び弾性波の受信の少なくとも一方を行う本発明の電気機械変換装置と、これからの送信信号の情報と受信信号の情報の少なくとも一方を用いて測定対象物の画像情報を生成する画像情報生成装置を有する。
【0043】
本実施形態の電気機械変換装置403には、上記実施形態の何れかに記載したCMUTが用いられている。これにより、複数の送受信エレメント間の間隔の影響を受け難いため、良好な特性を持つ送受信動作を行うことができる。よって、測定対象物402で反射した超音波502のより正確な情報を得ることができるため、測定対象物402の画像をより正確に再現することができる。尚、本実施形態は、上記の構成に限ったものではなく、図7(b)で示すように、別の超音波送信器(弾性波送信器)401と、本発明の電気機械変換装置403の両方を組み合わせた構成にしてもよい。
【0044】
また、本明細書中では、基板106上に絶縁膜107を配置した構成で説明したが、本発明はこれに限ったものではない。基板106上の絶縁膜107が一部の領域内にある構成や、基板106に低抵抗を用いて基板106が第2の電極105の機能を有する構成にも適用できる。尚、本明細書中では、第2の電極105が共通の電位を有している共通電極として説明しているが、本発明はこの構成に限ったものではなく、第1の電極102を共通電極とした構成にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
101・・セルの振動膜、102・・第1の電極(上部電極)、104・・セルの間隙、105・・第2の電極(下部電極)、106・・基板、108、109・・配線、110・・振動膜構造の振動膜、112・・振動膜構造の間隙、200・・セル、201・・エレメント、202・・エレメント間の間隔、302・・駆動検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と前記第1の電極と間隙を介して対向して設けられた第2の電極とを夫々有する複数のセルを基板上に備えた電気機械変換装置であって、
前記複数のセルにおける少なくとも2つのセルの前記第1の電極または前記第2の電極同士が電気的に接続されてなるセルグループであるエレメントを複数有し、
前記複数のエレメントの放射インピーダンスを同等とするように、前記基板上で前記複数のエレメントを配置していない間隔に、前記基板と間隙を介して設けられた振動膜を含む振動膜構造を設けたことを特徴とする電気機械変換装置。
【請求項2】
前記第1の電極または前記第2の電極同士を電気的に接続する配線が、前記振動膜構造の振動膜または前記振動膜構造の振動膜に対向した前記基板の領域にも配されていることを特徴とする請求項1に記載の電気機械変換装置。
【請求項3】
前記第1の電極または前記第2の電極同士を電気的に接続する配線が、前記振動膜構造の振動膜及び前記振動膜構造の振動膜に対向した前記基板の領域にも配され、
前記振動膜構造の振動膜の配線と前記振動膜構造の振動膜に対向した前記基板の領域の配線は等電位に保たれていることを特徴とする請求項1に記載の電気機械変換装置。
【請求項4】
前記振動膜構造の振動膜と前記第1の電極が形成された振動膜が、同一の形状であり、同じ周期で配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電気機械変換装置。
【請求項5】
前記基板と空隙を介して、弾性波を遮蔽する遮音手段または弾性波を吸収し減衰させる吸音手段が配置されており、
前記基板の面と垂直な方向から見て、前記遮音手段または吸音手段を配置していない領域は、前記基板上で前記複数のエレメントを配置している領域に、全て含まれていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の電気機械変換装置。
【請求項6】
測定対象物への弾性波の送信及び測定対象物からの弾性波の受信の少なくとも一方を行う請求項1から5の何れか1項に記載の電気機械変換装置と、
前記電気機械変換装置からの送信信号の情報と受信信号の情報の少なくとも一方を用いて測定対象物の画像情報を生成する画像情報生成装置と、
を有することを特徴とする測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106188(P2013−106188A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248680(P2011−248680)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】