説明

電気機械変換装置

【課題】異なる形状のエレメントで選択的に送受信動作を行うことができる電気機械変換装置を提供する。
【解決手段】電気機械変換装置は、第1の電極102と間隙104を介して設けられた第2の電極105を含む振動膜101を夫々有する複数のセル、駆動検出手段301、302、電位差設定手段303、切替手段304を有する。駆動検出手段は、送信機能及び受信機能の少なくとも一方を実行する。複数のセルの第1または第2の電極同士が電気的に接続されて共通の第1または第2の駆動検出手段に接続されてなる第1または第2のエレメントが構成される。第1及び第2のエレメントの少なくとも一方は複数設けられる。電位差設定手段は、第1及び第2の駆動検出手段が夫々有する基準電位間に所定の電位差を設定し、切替手段は、送受信動作時に、機能を実行する駆動検出手段を、第1及び第2の駆動検出手段間で切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波などの弾性波の送受信(本明細書で送受信と言う場合、送信と受信のうちの少なくとも一方を意味する)を行う静電容量型電気機械変換装置などの電気機械変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波の送受信を行う目的で、静電容量型超音波トランスデューサであるCMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducer)が提案されている。CMUTは、半導体プロセスを応用したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)プロセスを用いて作製されたものである。図10は、非特許文献1のアレイCMUTの断面模式図である。図10において、101は振動膜、102は第1の電極(上部電極)、103は支持部、104は間隙、105は第2の電極(下部電極)、106は基板、107は絶縁膜である。振動膜101上に第1の電極102が形成され、振動膜101は、基板106上に形成された支持部103により支持されて基板上に配置されている。基板106上には第2の電極105が、振動膜101上の第1の電極102と間隙104(通常数十nm〜数百nmの厚さ)を挟んで対向する位置に配置されている。この振動膜101と間隙104を挟んで対向した第1及び第2の電極を含む構造を1組としてセル200と呼ぶ。第1及び第2の電極のどちらかは、電気的に接続されて共通の電位を有している。この共通電位を有する電極を共通電極と呼び、ここでは第2の電極105が共通電極である構成で説明する。配線108により第2の電極(共通電極)105は、所望の電位を印加できる電位差設定手段121に接続され、対向する第1の電極102との間に所定の直流電位差が設定されている。第1及び第2の電極のうち共通電極でない方の電極は、或るセルグループ毎に電気的に接続されて等電位となっている。このセルグループは、弾性波の送受信を行う素子の単位としてエレメント201と呼ぶ。以後の説明では、そのセルグループ(エレメント)毎に等電位となっている電極を信号用電極と呼び、ここでは、第1の電極102が信号用電極である構成で説明する。各エレメントの第1の電極(信号用電極)102は、配線109により駆動検出手段122に接続されている。基板106上には絶縁膜107が備えられ、基板106と配線が絶縁されているため、異なるエレメントの信号用電極
の配線同士や、共通電極の配線は電気的に絶縁されている。
【0003】
駆動検出手段122を動作させることで、送信動作と受信動作の少なくとも一方を行うことができる。送信動作とは、駆動検出手段122が交流電圧を発生させ、第1の電極(信号用電極)に印加して、第1及び第2の電極102、105間に交流の静電引力を発生させて第1の電極102と一体の振動膜101を振動させ、外部に弾性波を送信する動作である。一方、受信動作とは、弾性波を受信して振動膜101と一体の第1の電極102が振動することで、受け取った弾性波の大きさを検出する(受信する)動作である。つまり、振動膜101の振動で第1及び第2の電極102、105間の容量が変化し、第1の電極(信号用電極)に誘導される電荷が変化することで発生する電流の大きさを、駆動検出手段122が検出して弾性波の大きさを検出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Knight J, McLean J, andDegertekin F L, 2004 “Low temperature fabrication of capacitive micromachinedultrasonic immersion wave transducers on silicon and dielectric substrates”(IEEE Trans. Ultrason., Ferroelect., Freq. Contr. 51 10 1324-1333)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成において、弾性波の送受信を行う素子単位としてのエレメントは、上記信号用電極が電気的に接続されている領域により決まるため、エレメントの形状は変更できない。一方、弾性波の送受信を行う場合、使用する用途(例えば、異なる対象物の弾性波測定など)によって、エレメントの最適な形状が異なる。そのため、形状が固定されたエレメントを有する電気機械変換装置では、異なる用途に用いるのが容易とは言い難い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の電気機械変換装置は、次の特徴を有する。この装置は、第1の電極と間隙を介して対向して設けられた第2の電極を含む振動膜を夫々有する複数のセルと、駆動検出手段と、電位差設定手段と、切替手段と、を有する。駆動検出手段は、第1及び第2の電極間に交流電位を発生させて振動膜を振動させる送信機能、及び第1及び第2の電極間の容量変化により振動膜の変位を検出する受信機能の少なくとも一方を実行するための第1及び第2の駆動検出手段を含む。複数のセルのうちの少なくとも2つのセルの第1の電極同士が電気的に接続されて共通の第1の駆動検出手段に接続されてなるセルを1グループとする第1のエレメントが構成されている。また、複数のセルのうちの少なくとも2つのセルの第2の電極同士が電気的に接続されて共通の第2の駆動検出手段に接続されてなるセルを1グループとする第2のエレメントが構成され、第1及び第2のエレメントの少なくとも一方が複数設けられている。そして、電位差設定手段は、第1及び第2の駆動検出手段における夫々の機能実行のための基準電位間に所定の電位差を設定し、切替手段は、送受信動作時に、機能を実行する駆動検出手段を、第1及び第2の駆動検出手段間で切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の電気機械変換装置によれば、送受信動作を行う際に、駆動検出信号をやり取りする電極を、第1のセルグループ(第1のエレメント)のものと第2のセルグループ(第2のエレメント)のものとの間で切り替えて動作させる手段を有している。そのため、異なる形状のエレメントで選択的に送受信動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図2】第2の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図3】第3の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図4】第4及び第5の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図5】第6及び第7の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図6】第8の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図7】第9の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図8】第10の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図9】第11の実施形態に係る電気機械変換装置を説明する図である。
【図10】従来の静電容量型電気機械変換装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明で重要な点は、送受信動作を行う際に、駆動検出手段と駆動検出信号をやり取りする電極とを、第1のセルグループ(第1のエレメント)に係るものと第2のセルグループ(第2のエレメント)に係るものとの間で切り替えて装置を動作させることである。この考え方に基づき、本発明の電気機械変換装置は、課題を解決するための手段のところで述べた様な基本的な構成を有する。
【0010】
以下、図面を用いて、本発明による電気機械変換装置の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のアレイCMUTの断面模式図である。図1において、上述の図10中の番号と同じ番号は、同じ機能要素を示す。301は第1の駆動検出手段、302は第2の駆動検出手段である。また、303は、第1及び第2の駆動検出手段が夫々機能実行のために有する基準電位間に電位差を設定する電位差設定手段、304は、送受信動作時に、動作する駆動検出手段を、第1の駆動検出手段と第2の駆動検出手段との間で切り替える切替手段である。第1の電極同士は、第1のグループ毎に電気的に接続されて等電位となっている。以後、このグループのことを、第1のエレメント212と呼ぶ。また、第2の電極同士は、第2のグループ毎に電気的に接続されて等電位となっている。以後、このグループのことを、第2のエレメント211と呼ぶ。本実施形態では、第1のエレメント212を形成する領域Xにあるセル200と、第2のエレメント211を形成する領域Yにあるセル200において、片方のエレメントにしか含まれないセルがあることが特徴である。言い換えると、第1のエレメント212を配置している領域Xと、第2のエレメント211を配置している領域Yにおいて、重ならない部分がある。
【0011】
第1の電極102は、エレメント212毎に第1の電極の配線109により、基板106の外側に引き出され、第1の駆動検出手段301に接続されている。第2の電極105は、エレメント211毎に第2の電極の配線108により、基板106の外側に引き出され、第2の駆動検出手段302に接続されている。そのため、本実施形態の電気機械変換装置は、第1のエレメント212と同じ数(図1では3)だけ、第1の駆動手段301を備え、第2のエレメント211と同じ数(図1では2)だけ、第2の駆動手段302を備えている。駆動検出手段301、302は、夫々、駆動検出信号をやり取りするために接続された各エレメントの電極を、所定の電位を基準として動作させる基準電位V1、V2を有している。複数ある第1の駆動検出手段301では、駆動信号を発生させる時や検出信号を出力する時に用いる基準電位V1が、全て同一の電位となっている。そのため、第1の電極102の電位は、通常は基準電位V1に固定されている。同様に、複数ある第2の駆動検出手段302が有する基準電位V2は、全て同一の電位となっている。そのため、第2の電極105の電位は、通常は基準電位V2に固定されている。
【0012】
第1の駆動検出手段301が有する基準電位V1と第2の駆動検出手段302が有する基準電位V2は、電位差設定手段303により、所定の電位差VBを有するように設定されている。そのため通常時は、第1の電極102の電位V1と第2の電極105の電位V2は、電位差VBを有している。CMUTを動作させる時には、弾性波の送受信の効率を高めるために、2つの電極間には所定の電位差VBが印加され、電極間に発生する静電引力により、振動膜101は基板106側に撓んだ状態となる。弾性波を送信する場合には、静電引力は距離の二乗に反比例するため、電極間の距離を近づけた方が高効率となる。一方、弾性波を受信する場合には、振動膜の変位による検出微小電流の大きさは、電極間の距離に反比例し、電極間の電位差に比例するので、やはり電極間の距離を近づけ、且つ電位差VBを大きくした方が高効率となる。電位差設定手段303により、第1及び第2の電極102、105間に、所定の電位差VBを設定することができ、異なる形状のエレメントで送受信動作をした際にも、送受信効率の良い動作をさせることができる。
【0013】
第1及び第2の駆動検出手段301、302は、一方が送受信の駆動検出動作を行っている時は、片方は、これに接続された電極の電位を、駆動検出手段が持つ基準電位に固定する動作を行う。切替手段304は、第1及び第2の駆動検出手段301、302のうちのどちらが送受信動作を行うか決定して、決定した方に切り替えて、送受信動作を行う駆動検出手段は駆動用信号の伝達及び検出信号の取り込みを行う。第1の駆動検出手段301が送受信動作を行うように選択された場合は、第1のエレメント毎に、第1の電極102について駆動信号の印加或いは誘導電流の検出が行われる。第2の駆動検出手段302は駆動検出動作をしておらず(静止)、第1の電極102と対向する第2の電極105は、全て基準電位V2となっている。こうして、第2の電極105は、一様の直流電位を有する共通電極として機能する。そのため、第1のエレメントを1つの単位として、送受信動作を行うことができ、第1のエレメントの形状が、送受信を行う素子の単位となる。
【0014】
一方、第2の駆動検出手段302が駆動検出動作を行うように選択された場合は、第2のエレメント毎に、第2の電極105について駆動信号の印加或いは誘導電流の検出が行われる。第2の電極105と対向する第1の電極102については、第1の駆動検出手段301が駆動検出動作をしておらず(静止)、全て基準電位V1となっていて、一様の直流電位を有する共通電極として機能する。そのため、第2のエレメントを1つの単位として、送受信動作を行うことができ、第2のエレメントの形状が、送受信を行う素子の単位となる。
【0015】
本発明では、第1のエレメントと第2のエレメントは、重ならない部分があるように、異なる形状で配置されている。そのため、第1のエレメントを送受信の素子単位とした時と、第2のエレメントを送受信の素子単位とした時との間では、送受信するエレメント形状を変化させられる。このように、切替手段304で、第1の駆動検出手段301と第2の駆動検出手段302との間で、駆動検出動作を行う駆動検出手段を切り替えることで、電極の電気接続を固定したままで、異なる形状のエレメント単位で送受信動作を行うことができる。即ち、本実施形態では、駆動検出信号をやり取りする電極を、第1の電極のグループと第2の電極のグループとの間で切り替える(選択する)だけで、エレメント形状を変えることができる。そのため、駆動検出手段と電極の間の複数の配線をスイッチにより切り替える構成などに比べて、エレメントと配線間の特性変化が少なく、良好な送受信特性を得ることができる。
【0016】
(第2の実施形態)
次に、図2を用いて第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、第1の駆動検出手段301と第2の駆動検出手段302の構成に関する。それ以外は、第1の実施形態と同じである。 本実施形態中では、第1の駆動検出手段301と第2の駆動検出手段302は、駆動検出手段401として説明し、この駆動検出手段401が持つ基準電位をV3として説明する。また、動作している駆動検出手段に接続されている電極を信号用電極
402として、もう一方の電極を共通電極403として説明する。
【0017】
図2(a)は、本実施形態の駆動検出手段401を説明する模式図である。駆動検出手段401は、弾性波を送受信するために、CMUTを駆動する交流電位発生手段404と、CMUTの容量(誘導電流)変化を検出する電流検出手段405と、保護スイッチ406とから構成される。弾性波の送信時は、信号用電極402に接続された交流電位発生手段404により、信号用電極402に基準電位V3を基準とした交流の電位が印加される。これにより、信号用電極 402と共通電極403との間に交流的な電位差が発生し、振動膜101に交流的な静電引力が発生する。この時は、信号用電極 402に接続された保護スイッチ406がOFFとなることにより、交流電位発生手段404が発生する電位から電流検出手段405の入力部を保護する。こうして発生した静電引力により振動膜101が振動し、CMUTは弾性波の送信を行う。
【0018】
図2(b)は、交流電位発生手段404の一具体例を説明する模式図である。最も簡単には、出力端子(信号用電極 402に繋がった端子)と基準電位V3間と、出力端子と所定の交流電圧電位VP間に、夫々スイッチ411、412を配置した構成で、交流電位発生手段404を実現できる。ここで、交流電圧電位VPは、基準電位V3を基に生成されている。送信時、最初は出力端子と基準電位V3間のスイッチ412のみONされており、出力端子が基準電位V3となっている。交流電位を印加する間だけ、出力端子と基準電位V3間のスイッチ412をOFFにして、出力端子と所定の交流電圧電位VP間のスイッチ411をONにする。所定の時間が経過した後、出力端子と交流電圧電位VP間のスイッチ411をOFFにして、出力端子と基準電位V3間のスイッチ412をONにして、出力端子を基準電位V3とする。これにより、出力端子に一定の間だけ、交流電圧電位VPを印加することができる。
【0019】
一方、弾性波の受信時は、交流電位発生手段404の出力端子は、ハイ・インピーダンス状態(電位が固定されない状態)になり、信号用電極 402の電位に影響を与えない。ハイ・インピーダンス状態は、出力端子に繋がっているスイッチ411、412を全てオフ(オープン状態)にすることで容易に作り出せる。他方、保護スイッチ406はONされて、信号用電極 402と電流検出手段405の入力部が接続された状態になる。この時、外部より印加された弾性波により振動膜101が振動すると、信号用電極402と共通電極403との間で静電容量の変化が起こる。共通電極403は或る電位に固定され、電極間には電位差VBが生じているので、信号用電極402に発生する誘導電荷により、信号用電極402の配線に微小な電流が流れる。電流検出手段405でこの微小な電流の変化を検出することで、容量変化を起こした弾性波の大きさを検出できる。この時、信号用電極402の電位は、電流検出手段405により、ほぼ基準電位V3に固定され、電流のみ取り出す動作を行っている。ここで、信号用電極402の電位は、厳密には電流検出動作時に若干変動(最大数十mV程度)することはあるが、電極間の電位差VB(数十Vから数百V程度)に比べると非常に小さい値なので、静電引力の変化に対する影響は無視することができる。
【0020】
図2(c)は、電流検出手段405の一具体例を説明する模式図である。オペアンプを用いたトランスインピーダンス回路により、電流検出手段405を構成することができる。オペアンプ421の出力端子(OUT)については、並列に接続された抵抗422とコンデンサ423が反転入力端子(−IN)に接続され、その出力信号がフィードバックされる。オペアンプ421の非反転入力端子(+IN)は、並列に接続された抵抗424とコンデンサ425により、基準電位V3端子に接続されている。オペアンプ421に電力を供給する正電源VDD(不図示)と負電源VSS(不図示)は、基準電位端子を基準電位V3に設定している。この構成により、信号用電極402に接続された端子の電位を殆ど変化させること無く、入力された電流を出力電圧として取り出すことができる。送受信の駆動検出動作を行っていない(静止している)時は、交流電位発生手段404により、信号用電極402に基準電位V3が直流電位としてそのまま印加される(スイッチ411がOFF、スイッチ412がONの状態)。この時、信号用電極402に接続された保護スイッチ406はOFFとなり、電流検出手段405の入力部と信号用電極402は接続されていない。
【0021】
本実施形態の駆動検出手段を用いることで、簡単な構成で送受信の駆動検出動作をさせたり、静止させたりできるので、動作させるエレメントの切替を切替手段により容易に行うことができる。尚、駆動検出動作を行っていない(静止している)時の動作について、交流電位発生手段404により直流電位を印加する構成で説明したが、この構成に限らない。交流電位発生手段404をハイ・インピーダンス状態とし、保護スイッチ406をONとして、電流検出手段405により基準電位V3に固定する構成などを取ることもできる。つまり、この構成では、送受信動作時に切替手段により第1の駆動検出手段に切り替えられた場合は、第2の駆動検出手段により、第2の電極を第2の駆動検出手段の基準電位に固定する。更にこれと共に、第1の駆動検出手段により、第1の電極を第1のエレメント毎に、第1の駆動検出手段の送信機能を実行する駆動回路又は受信機能を実行する検出回路に接続する。他方、送受信動作時に切替手段により第2の駆動検出手段に切り替えられた場合は、第1の駆動検出手段により、第1の電極を第1の駆動検出手段の基準電位に固定する。更にこれと共に、第2の駆動検出手段により、第2の電極を第2のエレメント毎に、第2の駆動検出手段の送信機能を実行する駆動回路又は受信機能を実行する検出回路に接続する。
【0022】
(第3の実施形態)
次に、図3を用いて第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、電位差設定手段303に関する。それ以外は、上記実施形態の何れかと同じである。本実施形態の電位差設定手段303は、直流電源431、駆動制御信号のレベル変換手段432、検出信号のレベル変換手段433を有していることが特徴である。本発明では、第1の駆動検出手段301と第2の駆動検出手段302の少なくとも一方は複数あるが、説明を簡略化するため、図3では第1の駆動検出手段301と第2の駆動検出手段302を1個ずつ示し、これに基づき説明する。
【0023】
電位差設定手段303は、第1の駆動検出手段301が有する基準電位V1と第2の駆動検出手段302が有する基準電位V2との間に所定の電位差VBを発生させるように動作する必要がある。このために、直流電源431の2端子を、第1の駆動検出手段301の基準電位端子441(基準電位V1)と第2の駆動検出手段302の基準電位端子442(基準電位 V2)に夫々接続する。これにより、直流電源431で発生させる電位差を制御することで容易に電位差VBの設定を実現できる。第1の駆動検出手段301は基準電位V1を基に動作し、第2の駆動検出手段302は基準電位V2を基に動作するので、それらの端子間(441、442)に直流の電位を印加するだけで、2つの電極102、105間に電位差VBを発生させられる。
【0024】
ここで、説明のため、切替手段304が有する基準電位V0がV2である場合を考える。切替手段304は、駆動検出手段301、302へ夫々の駆動信号451、452を出力し、駆動検出手段301、302から夫々の検出信号461、462を取り込む。駆動信号451は、駆動制御信号のレベル変換手段432により、基準電位をVBだけ高くして、駆動信号453に変換(レベルシフト)される。レベルシフトされた駆動信号453は、第1の駆動検出手段301に、駆動をコントロールする信号として入力される。また、第1の駆動検出手段301から出力される検出信号461は、検出信号のレベル変換手段433により、基準電位をVBだけ低くして、検出信号463に変換(レベルシフト)される。
【0025】
電位差設定手段303により、第1及び第2の駆動検出手段301、302の基準電位を異なるように設定しているため、駆動検出手段がやり取りする信号のレベルが電位差VB分ずれてしまう。この電位差VBは、 数十Vから数百V程度と、通常のデジタルの制御信号やアナログ信号に比べて非常に大きな値である。そのため、どちらかの基準電位V1またはV2(この説明では、V0でもある)を基準電位として切替手段304と制御信号や検出信号のやり取りを行う場合、信号のレベルズレが大きくなってやり取りがうまくいかない。本実施形態では、駆動制御信号のレベル変換手段432、検出信号のレベル変換手段433を有している。そのため、切替手段304の基準電位を基にして、駆動制御信号453、452や検出信号463、462のやり取りを容易に行うことができる。本実施形態によれば、直流電源と複数のレベルシフト手段を用いることで、異なる基準電位を容易に生成し、入出力信号の外部とのやり取りを円滑に行えるので、動作させるエレメントの切替を切替手段304により確実に行うことができる。
【0026】
(第4の実施形態)
次に、図4(a)を用いて第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、切替手段304に関する。それ以外は、第1から第3の実施形態の何れかと同じである。図4(a)は切替手段304を説明する模式図である。471は第1の信号生成手段、472は第2の信号生成手段、473は第1の検出信号取得手段、474は第2の検出信号取得手段、481は駆動制御切替手段、482は信号選択手段、491は選択信号、492は選択検出信号である。切替手段304は、外部から入力される選択信号491を基に、送受信動作を行う際に駆動検出信号をやり取りする電極を、第1の電極のグループ(第1のエレメントのもの)と第2の電極のグループ(第2のエレメントのもの)との間で切り替える。
【0027】
まず、第1のエレメントで送受信動作を行う場合を説明する。図4(a)において、第1のエレメントによる動作を選択した選択信号491が、切替手段304に入力されると、駆動制御切替手段481から指令信号493、494が出される。第1の信号生成手段471への指令信号493は、 第1の駆動検出手段301が送受信動作をするように指示し、第1の信号生成手段471において駆動制御信号451(453、図3参照)を生成する。一方、第2の信号生成手段472への指令信号494は、 第2の駆動検出手段302が静止状態を保つように指示し、第2の信号生成手段472において駆動制御信号452を生成する。また、第1のエレメントの動作を選択した選択信号491を受け取った信号選択手段482は、第1の駆動検出手段301から出力される検出信号463(461、図3参照)を選択して、外部に選択検出信号492として出力する。一方、第2の駆動検出手段302から出力される検出信号462は、信号選択手段482に入力されるが、外部には出力されない。
【0028】
同様に、第2のエレメントで送受信動作を行う場合を説明する。第2のエレメントの動作を選択した選択信号491が、切替手段304に入力されると、駆動制御切替手段481から、指令信号493、494が出される。第1の信号生成手段471への指令信号493は、第1の駆動検出手段301が静止状態を保つように指示し、第1の信号生成手段451において駆動制御信号451(453)を生成する。一方、第2の信号生成手段472への指令信号494は、
第2の駆動検出手段302が送受信動作をするように指示し、第2の信号生成手段472において駆動制御信号452を生成する。また、第2のエレメントの動作を選択した選択信号491を受け取った信号選択手段482は、第2の駆動検出手段302から出力される検出信号462を選択して、外部に選択検出信号492として出力する。一方、第1の駆動検出手段301から出力される検出信号463(461)は、信号選択手段482に入力されるが、外部には出力されない。
【0029】
以上のように、本実施形態の切替手段304を用いて、駆動検出信号の切替動作を行うことで、送受信動作を行うエレメントを、第1のエレメントと第2のエレメントとの間で切り替えて送受信動作をすることができる。
【0030】
(第5の実施形態)
次に、図4(b)を用いて第5の実施形態を説明する。第5の実施形態は、切替手段304での検出信号の処理に関する。それ以外は、第4の実施形態と同じである。本実施形態は、切替手段304が、検出信号の極性反転手段475を有していることが特徴である。極性反転手段475は、基準電位V2を中心として、検出信号463(461)の極性を反転させて、極性反転検出信号464として出力する。極性反転検出信号464は、 第1の駆動検出手段301から出力される検出信号463(461)の代わりに、信号選択手段482に入力される。
【0031】
弾性波で振動膜101が同じ振動を行った場合でも、極性反転手段475により、第1のエレメントからの検出信号463(461)と第2のエレメントからの検出信号462を、同じ極性に揃えることができる。本発明では、第1のエレメントと第2のエレメントの基準電位間は、所定の電位差VBを有している。ここで、第1のエレメントの電位V1が第2のエレメントの電位V2よりVBだけ高いとする。すると、第2のエレメントを基準として見た時の第1のエレメントの電位は+VB、 第1のエレメントを基準として見た時の第2のエレメントの電位は−VBとなり、極性が逆となる。弾性波を受信する場合は、検出される微小電流は電極間の電位差VBに比例するので、電位差の極性が異なると、極性が反転された検出信号が出力される。本実施形態では、切替手段304が極性反転手段475を有しているので、第1のエレメントからの出力信号461と第2のエレメントからの出力信号462の極性を揃えることができる。
【0032】
尚、本実施形態では、極性反転手段475は、切替手段304が有しているとして説明したが、これに限らない。極性反転手段475は、第1の駆動検出手段301または第2の駆動検出手段302が有する構成とすることもできる。また、電位差設定手段303や、その中の検出信号のレベル変換手段433(図3参照)が有する構造とすることもできる。更には、電気機械変換装置と選択信号491や選択検出信号492をやり取りする手段自体が有する構成としてもよい。
【0033】
(第6の実施形態)
次に、図5(a)を用いて第6の実施形態を説明する。第6の実施形態は、エレメント形状に関する。それ以外は、第1から第5の実施形態の何れかと同じである。図5(a)は、基板106の上面方向から見て第1のエレメントの領域Xと第2のエレメントの領域Y(斜線の領域)を模式的に表した図である。図5(a)では、図面を見やすくするため、Xの領域とYの領域の端を少しずらして示しているが、実際は一致している。
【0034】
第1のエレメント領域Xは長方形状で1次元に配置されており、第2のエレメントの領域Yは、大きめの長方形状で1次元に配置されている。各エレメントは、例えば、2次元的に配置された複数のセル(夫々間隙を挟んで設けられた第1及び第2の電極を有する)で構成されている。ここで、第1のエレメントの短辺の幅は、第2のエレメントの短辺の幅より狭くなっている。この第1のエレメントと第2のエレメントの間で送受信動作を切り替えることで、異なる幅のエレメントの1次元アレイにより送受信動作を行うことができる。つまり、送受信する弾性波の周波数領域によって、1次元アレイの最適な幅が変わり、本実施形態では、使用する周波数に合わせて、エレメントの幅を切り替えることができる。この様に、本実施形態により、送受信する弾性波の周波数に合わせて、送受信動作する1次元アレイのエレメントの幅を切り替えられる静電容量型電気機械変換装置を提供できる。
【0035】
(第7の実施形態)
次に、図5(b)を用いて第7の実施形態を説明する。第7の実施形態も、エレメント形状に関する。それ以外は、第1から第5の実施形態の何れかと同じである。図5(b)も、基板106の上面方向から見て第1のエレメント領域Xと第2のエレメント領域Y(斜線の領域)を模式的に表した図である。図5(b)でも、図面を見やすくするため、Xの領域とYの領域の端を少しずらして示しているが、実際は一致している。
【0036】
本実施形態では、複数設けられた第1のエレメント領域Xは長方形状で1次元に配置されており、同じく複数設けられた第2のエレメント領域Yは長方形状で、その長辺方向が領域Xの長辺方向に直交するように1次元に配置されている。この直交している第1のエレメントと第2のエレメントの間で、送受信動作するエレメントを切り替えることで、弾性波を送受信する方向を切り替えて1次元アレイの送受信動作を行うことができる。この様に、本実施形態により、送受信動作する1次元アレイのエレメントのアレイ方向を切り替えることができる静電容量型電気機械変換装置を提供できる。
【0037】
(第8の実施形態)
次に、図6を用いて第8の実施形態を説明する。第8の実施形態も、エレメント形状に関する。それ以外は、第1から第5の実施形態の何れかと同じである。図6も、基板106の上面方向から見て第1のエレメント領域Xと第2のエレメント領域Y(斜線の領域)を模式的に表した図である。図6でも、図面を見やすくするため、Xの領域とYの領域の端を少しずらして示しているが、実際は一致している。
【0038】
第1のエレメント領域Xは正方形状で2次元に配置されており、第2のエレメント領域Yは長方形状で1次元に配置されている。この第1のエレメントと第2のエレメントの間で、送受信動作するエレメントを切り替えることで、同じ静電容量型電気機械変換装置において、2次元アレイのエレメントと1次元アレイのエレメントとの間で送受信動作を切り替えて行うことができる。この様に、本実施形態により、2次元アレイと1次元アレイとによる送受信動作を切り替えることができる静電容量型電気機械変換装置を提供できる。
【0039】
(第9の実施形態)
次に、図7を用いて第9の実施形態を説明する。第9の実施形態は、駆動検出手段に関する。それ以外は、第1から第8の実施形態の何れかと同じである。本実施形態の駆動検出手段では、第1の駆動検出手段301は受信動作のみを行うことができ、第2の駆動検出手段302は送受信動作を行うことができる。
【0040】
第1のエレメントが動作するように選択された場合は、外部から入力される弾性波を第1のエレメントにより受信する。この際、第1の駆動検出手段301は受信動作のみを行うので、その構成要素を減らすことができる。具体的には、第2の実施形態に記載の交流電位発生手段404を備える必要が無く、場合によっては保護スイッチ406が無い構成を用いることもできる。一方、第2のエレメントで送受信動作を行う際の動作、構成は、他の実施形態と同様である。
【0041】
また、送受信を行うエレメントの駆動検出手段302が有する基準電位を、切替手段304の有する基準電位V0と一致させるのが望ましい。そのため、本実施形態では、切替手段304の有する基準電位V0を、第2の駆動検出手段302の有する基準電位V2と一致させている。これにより、上記電位差設定手段303が備えていた駆動制御信号のレベル変換手段432の構成を、より簡単な構成にしたり、省いたりすることができる。本実施形態により、片方のエレメントを受信動作のみを行う構成にしたので、より簡単な構成で、より高速な駆動検出信号のやり取りや切替動作を行うことのできる静電容量型電気機械変換装置を提供できる。
【0042】
(第10の実施形態)
次に、図8(a)を用いて第10の実施形態を説明する。第10の実施形態は、第1から第9の実施形態の何れかに記載の電気機械変換装置を用いた超音波測定装置に関する。図8(a)において、500は超音波測定装置、502は測定対象物、503は静電容量型電気機械変換装置、504は画像情報生成装置、505は画像表示器である。また、511、512は超音波、513は超音波送信情報、514は超音波受信信号、515は再現画像情報である。
【0043】
電気機械変換装置503から測定対象物502に向かって出力された送信信号による超音波511は、測定対象物502の表面で、その界面での固有音響インピーダンスの差により、反射する。反射した超音波512は、電気機械変換装置503で受信され、受信信号の大きさや形状、時間の情報が超音波受信信号514として画像情報生成装置504に送られる。一方、電気機械変換装置503から、送信超音波(すなわち上記送信信号)の大きさや形状、時間の情報が超音波送信情報513として、画像情報生成装置504に送られている。画像情報生成装置504では、超音波受信信号514と超音波送信情報513を基に測定対象物502の画像信号を生成して再現画像情報515として送り、画像表示器505で表示される。
【0044】
本実施形態の静電容量型電気機械変換装置503には、上記実施形態の何れかに記載したCMUTが用いられている。これにより、異なる形状のエレメント間で切り替えて送受信動作ができるため、測定対象物502に合わせた最適なエレメント形状での送受信動作を行うことができる。よって、測定対象物502で反射した超音波512のより正確な情報が得られ、測定対象物502の画像をより正確に再現できる。尚、本実施形態は、上記の構成に限ったものではなく、図8(b)で示すように、別の超音波送信器(弾性波送信器)501と本発明の電気機械変換装置(弾性波受信器)503とを組み合わせた構成としてもよい。
【0045】
(第11の実施形態)
次に、図9を用いて第11の実施形態を説明する。第11の実施形態は、第8及び第9の実施形態に記載の静電容量型電気機械変換装置を用い光音響効果を利用した超音波測定装置に関する。図9において、600は超音波測定装置、602は測定対象物、603は静電容量型電気機械変換装置、604は光音響信号による第1の画像情報生成装置、605は超音波送受信による第2の画像情報生成装置、606は画像表示器である。また、611は光源、621は発光指示信号、622は光、623は光音響信号による超音波、624は光音響信号の超音波受信信号、625は光音響信号による再現画像情報である。また、631は送信される超音波、632は受信される超音波、633は超音波送信情報、634は超音波送受信による超音波受信信号、635は超音波送受信による再現画像情報である。
【0046】
本実施形態の超音波測定装置600は、光音響効果を利用した超音波測定と、送信した超音波を用いた超音波測定を同じ電気機械変換装置603を用いて行うことが特徴である。第8及び第9の実施形態に記載の電気機械変換装置を用いることで、光音響効果を利用した超音波測定と、送信した超音波を用いた超音波測定と、を切り替えて行うことができる。本実施形態の電気機械変換装置603は、第1のエレメントが正方形状で2次元に配置されており、第1の駆動検出手段301は受信動作のみを行うことができる、また、第2のエレメントは長方形状で1次元に配置されており、第2の駆動検出手段302は送受信動作を行うことができる(図6と図7参照)。
【0047】
まず、光音響効果を利用した超音波測定について説明する。切替手段304により、2次元アレイとして配置された第1のエレメントが検出動作を行うように選択される。発光指示信号621に基づいて、光源611から光622(パルス光)を発生させることにより、測定対象物602に光622を照射する。測定対象物602では光622の照射により音響波(超音波)623が発生し、この超音波623を2次元アレイのエレメントを持つ電気機械変換装置603で受信する。受信信号の大きさや形状、時間の情報が超音波受信信号624として画像情報生成装置604に送られる。一方、光源611で発生させた光622の大きさや形状、時間の情報を有する発光指示信号621
が、光音響信号の画像情報生成装置604に入力される。光音響信号の画像情報生成装置604では、超音波受信信号624と発光指示信号621を基に測定対象物502の画像信号を生成して、光音響信号による再現画像情報625として出力する。
【0048】
次に、送信した超音波を用いた超音波測定について説明する。切替手段304により、1次元アレイとして配置された第2のエレメントが送受信動作を行うように選択される。電気機械変換装置603から、測定対象物602に向かって超音波631が出力(送信)される。測定対象物602の表面で、その界面での固有音響インピーダンスの差により、超音波が反射する。反射した超音波632は、電気機械変換装置603で受信され、受信信号の大きさや形状、時間の情報が超音波受信信号634として画像情報生成装置605に送られる。一方、電気機械変換装置603から、送信超音波の大きさや形状、時間の情報が超音波送信情報633として、超音波送受信による画像情報生成装置605に送られている。画像情報生成装置605では、超音波受信信号634と超音波送信情報633を基に測定対象物602の画像信号を生成して、超音波送受信による再現画像情報635として出力する。画像表示器605では、上記入力された光音響信号による再現画像情報625と、超音波送受信による再現画像情報635を基に、測定対象物602を画像として表示する。
【0049】
本実施形態の超音波測定装置603は、異なる形状のエレメントの間で切り替えて送受信動作を行うことができる電気機械変換装置603を用いている。そのため、光音響効果を利用した超音波測定と、送信した超音波を用いた超音波測定と、を同じ電気機械変換装置603を用いて行うことができる。よって、測定対象物602に対する超音波測定を、複数の方法で、共通に用いる電気機械変換装置603と測定対象物602との位置関係を変えずに行うことができる。そのため、測定対象物602について、より詳細な情報を得ることができ、画像をより正確に再現できる。
【符号の説明】
【0050】
101・・振動膜、102・・第1の電極(上部電極)、104・・間隙、105・・第2の電極(下部電極)、301・・第1の駆動検出手段、302・・第2の駆動検出手段、303・・電位差設定手段、304・・切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と間隙を介して対向して設けられた第2の電極を含む振動膜を夫々有する複数のセルと、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に交流電位を発生させて前記振動膜を振動させる送信機能、及び前記第1の電極と前記第2の電極との間の容量変化により前記振動膜の変位を検出する受信機能の少なくとも一方を実行するための、第1及び第2の駆動検出手段を含む駆動検出手段と、
電位差設定手段と、
切替手段と、
を備えた電気機械変換装置であって、
前記複数のセルのうちの少なくとも2つのセルの前記第1の電極同士が電気的に接続されて共通の前記第1の駆動検出手段に接続されてなるセルを1グループとする第1のエレメント、及び前記複数のセルのうちの少なくとも2つのセルの前記第2の電極同士が電気的に接続されて共通の前記第2の駆動検出手段に接続されてなるセルを1グループとする第2のエレメントが夫々構成され、前記第1及び第2のエレメントの少なくとも一方が複数設けられ、
前記電位差設定手段は、前記第1の駆動検出手段における機能実行のための基準電位と前記第2の駆動検出手段における機能実行のための基準電位との間に所定の電位差を設定し、
前記切替手段は、送受信動作時に、機能を実行する駆動検出手段を、前記第1の駆動検出手段と前記第2の駆動検出手段との間で切り替えることを特徴とする電気機械変換装置。
【請求項2】
送受信動作時に前記切替手段により前記第1の駆動検出手段に切り替えられた場合は、前記第2の駆動検出手段により、前記第2の電極を前記第2の駆動検出手段の基準電位に固定すると共に、前記第1の駆動検出手段により、前記第1の電極を第1のエレメント毎に、前記第1の駆動検出手段の送信機能を実行する駆動回路又は受信機能を実行する検出回路に接続し、
送受信動作時に前記切替手段により前記第2の駆動検出手段に切り替えられた場合は、前記第1の駆動検出手段により、前記第1の電極を前記第1の駆動検出手段の基準電位に固定すると共に、前記第2の駆動検出手段により、前記第2の電極を第2のエレメント毎に、前記第2の駆動検出手段の送信機能を実行する駆動回路又は受信機能を実行する検出回路に接続することを特徴とする請求項1に記載の電気機械変換装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のエレメントは、夫々、長方形状の領域を有し、
前記第1のエレメントの領域の短辺の長さと前記第2のエレメントの領域の短辺の長さが、異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気機械変換装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のエレメントは、夫々、長方形状の領域を有し、
前記第1のエレメントの領域の長辺方向と前記第2のエレメントの領域の長辺方向が、互いに直交するように配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電気機械変換装置。
【請求項5】
送信信号による測定対象物への弾性波の送信と測定対象物からの弾性波の信号の受信の少なくとも一方を行う請求項1から4の何れか1項に記載の電気機械変換装置と、
前記電気機械変換装置からの送信信号と受信信号の少なくとも一方を用いて測定対象物の画像情報を生成する画像情報生成装置と、
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項6】
送信信号による測定対象物への弾性波の送信と測定対象物からの弾性波の信号の受信の少なくとも一方を行う請求項1から4の何れか1項に記載の電気機械変換装置と、
測定対象物に照射された光により発生する音響波を前記電気機械変換装置により受信して得た受信信号を用いて測定対象物の画像情報を生成する第1の画像情報生成装置と、
前記電気機械変換装置により弾性波を当てられた測定対象物からの弾性波を前記電気機械変換装置により受信して得た受信信号を用いて測定対象物の画像情報を生成する第2の画像情報生成装置と、
を有することを特徴とする測定装置。
【請求項7】
前記第1の画像情報生成装置は、前記切替手段により、機能を実行する駆動検出手段が、前記第1の駆動検出手段と前記第2の駆動検出手段の一方に切り替えられた前記電気機械変換装置により受信して得た受信信号を用いて測定対象物の画像情報を生成し、
前記第2の画像情報生成装置は、前記切替手段により、機能を実行する駆動検出手段が、前記第1の駆動検出手段と前記第2の駆動検出手段の他方に切り替えられた前記電気機械変換装置により受信して得た受信信号を用いて測定対象物の画像情報を生成することを特徴とする請求項6に記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−58900(P2013−58900A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195785(P2011−195785)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】