説明

電気泳動移動性有機着色剤を含むカプセル化分散剤

本発明は、電極並びに少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子、無極性液体及び分散剤を含有するセルを含み、少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子が、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる基本的に凝集体であり、分散剤が、ポリアクリラート、ポリエステル、ポリウレタン及びコポリマーからなる群より選択される、電気泳動ディスプレイに関する。一般に、セル中に存在する顔料の全量及び全アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の主要部分、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは95%〜100%は、凝集体中に存在し、実質的に顔料は全く凝集体と物理的に区別することができず、アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体のごくわずかな部分のみが、物理的に凝集体と区別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電気泳動ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイに代わるものとして、重要性が増している。しかし、十分に満足できるフルカラー系は、まだ入手可能ではない。このため、この有望な技術の改善が望まれる。
【0002】
JP−A−2003/330179は、場合により、ポリマー、チタナート又はシランを用いて、例えばグラフト重合により、表面処理した有機顔料を含む、電気泳動に適した感光記録材料を開示している。
【0003】
JP−A−2004/117934は、異なる粒径分布を有する顔料の混合物を使用することを教示しており、それら顔料のうちの1つは、0.04〜0.3μmの範囲にある。これらの混合物は、電気絶縁溶媒中に使用される帯電可能な粒子に組み込まれる。1例では、二酸化チタンをIsopar(登録商標)L(C10〜C12イソアルカン[STN登録番号65072−03−9]の混合物)とBontron(登録商標)P-51(トリエチル−ベンジル−アンモニウム 4−ヒドロキシ−ナフチル−1−スルフォナート[STN登録番号100783−78−6])とを一緒に粉砕し、プラスに帯電した粒子を得る。
【0004】
同様の思想がUS−A−2004/0218252に開示されている(ここで使用されている用語は、通常の「顆粒」及び「粒子」の意味とは一致しない)。例えば、平均一次粒子径10〜50nmの顔料が、平均一次粒子径100〜700nmの他の顔料と組み合わされている。しかし、これらの顔料が埋め込まれたポリマー顆粒は、1〜3μmとはるかに大きい粒子径であり、精密な制御が難しい。
【0005】
WO2004/067593は、電気泳動粒子に吸着した分散剤の脱着は、ディスプレイの品質に関わる問題であり、反応性界面活性剤のグラフト重合により、電気泳動粒子(有機顔料を含んでよい)の表面に両親媒性の残留基を固定させることにより解決可能であると開示している。反応性界面活性剤の例は、CH=CH−(CH−OSONa及びCH=C(CH)−COO−CHCH−NE(CH−(CH11CH・Brである。
【0006】
WO2004/068234は、ハロゲン化ポリマーシェルを含む非水性電気泳動カプセルを開示している。好ましくは非イオン性のポリフッ素化染料及び有機顔料(それ自体又はカプセル化したもの)をはじめとする数多くの可能な成分が開示されている。しかし、これら着色剤は、液相中で使用されており、一次着色粒子とは、色の著しい差異があるはずである。また表面処理剤として使用されるスルフォナート又はスルファートについての記載も示唆もない。
【0007】
WO02/35502は、改質された、約0.05μm〜約100μmの粒子径範囲の、少なくともバイクロマル粒子を含むジリコンディスプレイを開示している。その中では、ボール又はエレメントとその周囲物質との相互作用は、懸濁液の助けが必要ないように最小限化されている。唯一詳細に記載された実施態様において、粒子は、ポリマーコーティングされている。しかし、ジリコンディスプレイは、制御電界に対する反応が望ましくないほど遅い。何故ならば、比較的高質量のバイクロマル粒子が回転しなければならず、比較的小さい比表面積がさらに比較的低い電荷/質量比を招くためである。
【0008】
WO2006/038731は、0.001〜0.1μmの粒径の顔料を含む光硬化性顔料分散体から製造される、液晶ディスプレイ用の従来型の高コントラストカラーフィルターを開示している。
【0009】
したがって、従来技術の電気泳動ディスプレイの着色及び/又は電気泳動特性は、他の技術と有利に競うには、依然改良が必要である。さらに、ポリマー顆粒に埋め込まれた一次顔料粒子の粒径分布の精密な制御は困難であり、分散性や凝集の問題に影響を受け、さらには、電気泳動特性が満足な状態で維持されなければならないという問題もある。特に望まれるのは、高い彩度を有するマルチカラーの電気泳動ディスプレイであるが、まだ入手可能ではない。
【0010】
ここに、単位重量当たりの精密な電荷及び精密な大きさを有し、電気泳動的に移動度の高い顔料を提供する新しい思想が展開された。この取り組みは、カーボンブラックのような炭素原子を含む顔料及び特に芳香族又は複素環式芳香族基を含む合成着色有機顔料を含む顔料に、驚くべき改良結果を提供する。
【0011】
したがって、本発明は、少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子、無極性液体及び分散剤を含有する電極及びセルを含む電気泳動ディスプレイに関するものであって、少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子は、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる、基本的に凝集体であり、分散剤が、ポリアクリラート、ポリエステル、ポリウレタン及びコポリマーからなる群より選択される。
【0012】
一般に、セルは、1、2、3、4又は5種類のモノクローム粒子を含むが、すべての種類のモノクローム粒子が、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる、基本的に凝集体である必要はない。それどころか、異なる種類のイオン性のモノクローム粒子は、異なる極性の顔料誘導体を含んでよい。異なる種類のモノクローム粒子は、好ましくは、異なる色を有する。
【0013】
顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる、基本的に凝集体であるモノクローム粒子は、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の凝集体に影響しない限りにおいて、不純物又は添加物のような、さらなる構成要素を含むことができる。
【0014】
分散剤が、コポリマーである場合、それは、ブロック、勾配、グラフト及び/又はランダムコポリマーのような、公知の任意のポリマー構造を有することができる。好ましくは、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマー、最も好ましくは、ブロックコポリマー、特にWO06/074969に開示されるようなエステル交換反応によって得られたブロックコポリマーである。好ましくは、分散剤は、ポリアクリラート、又はアクリラート、エステル及びウレタン成分からなる群より選択される少なくとも2種の成分から構成されたコポリマー、最も好ましくは、少なくとも1種のアクリラートである。
【0015】
適宜、分散剤は、極性及び無極性又は低極性成分を含む。好ましくは、極性成分は、窒素原子を含む成分及び芳香族環を含む成分からなる群より選択され、無極性又は低極性成分は、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アリルエステル及びビニルエステルからなる群より選択され、これらのエステル基は、1〜24個の炭素原子及び場合により1〜12個の酸素及び/又はシリコン原子、アリル並びにビニルC〜C24アルキルエーテル、スチレン、C〜C24アルキル−置換スチレン、C〜C12ラクトン及びヒドロキシ−C〜C24酸を含む。
【0016】
窒素原子又は芳香族環を含む適切な成分の例は、特に、第一級、第二級及び第三級モノ−、オリゴ−又はポリアミン;第一級及び第二級アミド、飽和、不飽和および芳香族N−複素環;並びにフェニル及びナフチル基、例えば、ジメチルアミノエチルアクリラート、ジメチルアミノエチルメタクリラート、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、tert−ブチルアミノエチルメタアクリラート、2−、3−又は4−ビニルピリジン、4−ジメチルアミノスチレン、N−ビニルイミダゾール又は有機酸もしくは無機酸とのそれらの塩等のアミノ官能(メタ)クリラート;N−ビニル−2−ピロリドン;ベンジル(メタ)クリラート;ジメチルアクリルアミド;2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチルメタクリラート;アミンの又は芳香族のグリシジルメタアクリラートとの化合物の付加物;ポリエチレンイミン;ポリアリルアミン;ポリビニルアミン;N−ジメチルアミノエタノール;N−ジエチルアミノエタノール;エチレンジアミン;3−N−ジメチルアミノプロピルアミン;ジエチレントリアミン;トリエチレンテトラミン;テトラエチレンペンタミン;3−アミノプロピル−イミダゾール及びN−(2−ヒドロキシエチル)モルホリンである。
【0017】
上記のリストから明らかなように、窒素原子又は芳香族環を含む成分は、場合により、さらに、追加的な窒素及び/又は酸素原子のような官能基を有することができる。特に好ましい極性成分は、ポリエチレンイミン、N−ジエチルアミノエタノール、3−アミノプロピルイミダゾール及び置換又は非置換のビニルピリジンである。窒素原子を含む成分を、スチレンとの組み合わせのように、窒素原子を欠くエレメントと組み合わせて使用することも適切であり、これが、コポリマー極性ビルディングブロックとなる。
【0018】
適切な(メタ)クリラート(すなわち、アクリラート又はメタアクリラート)の例は、例えば、C〜C24飽和又はC〜C24不飽和、直鎖又は分岐鎖の脂肪族又は不飽和アルコールの(メタ)クリラート;C〜C24アラルキルアルコールの(メタ)クリラート、例えばメチル(メタ)クリラート、ブチル(メタ)クリラート、イソブチル(メタ)クリラート、tert−ブチル(メタ)クリラート、2−エチルヘキシル(メタ)クリラート、イソデシル(メタ)クリラート、ステアリル(メタ)クリラート、オレイル(メタ)クリラート及びフェネチル(メタ)クリラート;1つ以上のエーテル結合を含有するアルコールの(メタ)クリラート、例えば、2−フェノキシエタノール又はエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物の(メタ)クリラート、例えば、分子量300〜3000のブチルグリコール、ブチルジグリコール、エチルトリグリコール又はメトキシ−もしくはエトキシポリエチレングリコール;グリコールの(メタ)クリラートのような、場合により1つ以上のエーテル結合を含有するポリオールの(メタ)クリラート、例えば、2−ヒドロキシエタノール又は2−ヒドロキシプロパノール、あるいは分子量300〜5000のOH−末端官能性ポリジメチルシリコーンのようなオリゴシリコーンアルコールの(メタ)クリラートである。
【0019】
好ましい(メタ)クリラートは、少なくとも部分的に分岐長鎖脂肪族であるC10〜C18アルコールのブチルアクリラート及び(メタ)クリラートから選択されるモノマーを含有する混合物、特に、ブチルアクリラートと少なくとも部分的に分岐鎖のC12〜C15アルコールとを含有する混合物から得られる。最も好ましい(メタ)クリラートは、特に、WO06/074969に開示されているような、制御されたフリーラジカル重合により得られたものである。
【0020】
適切なC〜C24アルキル−置換スチレン、C〜C12ラクトン及びヒドロキシ−C〜C24酸の例は、それぞれ、ビニルトルエン又はtert−ブチルスチレン、ε−カプロラクトン又はδ−バレロラクトン、及び12−ヒドロキシステアリン酸であり、好ましくは12−ヒドロキシステアリン酸である。
【0021】
無極性又は低極性成分、例えば、アルキル、アルコキシ又はアルキルエステル基は、無極性液体に親和性を付与する。窒素原子又は芳香族環を含む極性成分、例えばアミノ基、N−複素環基またはフェニル環は、顔料に親和性を付与する。
【0022】
分散剤は、好ましくは、少ないイオン基数を有し、その結果、分散剤のイオン基の総数は、アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体のイオン基の総数以下となる。アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体のイオン基と分散剤のイオン基との比は、好ましくは、少なくとも1:1、特に少なくとも5:1である。最も好ましくは、分散剤は非イオン性である。
【0023】
分散剤は、好ましくは、主としてポリ(アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステル)からなる鎖と、窒素原子を含む成分で構成された鎖とを含むブロックコポリマーである。より好ましくは、分散剤は、主としてポリ(アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステル)からなる鎖、窒素原子を含む成分で構成された鎖、及び2つの末端基からなる直鎖のブロックコポリマーである。窒素原子を含む成分で構成された鎖は、好ましくは、ポリエチレンイミン及び/又はポリ(ビニルピリジン)、最も好ましくは、ポリビニルピリジンである。分散剤は、好ましくは、数平均分子量Mが、約2000〜20000、好ましくは、3000〜10000であり、ポリ(アクリル酸エステル及び/又はメタアクリル酸エステル)中のエステル基が、20個〜150個、好ましくは40個〜120個であり、さらに、ポリエチレンイミン及び/又はポリ(ビニルピリジン)中の芳香族基が5個〜40個であり、好ましくは、10個〜20個である。
【0024】
適切な分散剤の例は、EP0876413、EP1071681、WO00/40630、EP1275689、WO03/046029又はWO06/074969に記載されているようなものであり、特に、Disperbyk(登録商標)2000、Disperbyk(登録商標)2001、EFKA(登録商標)4300、EFKA(登録商標)4340、Solsperse(登録商標)17000、Solsperse(登録商標)18000及びNoveon(商標)が特に無極性液体としてのテトラ−クロロ−エチレンとの組み合わせにおいて興味深い。WO06/074969による分散剤は、溶解度及び相溶性が容易に調整できるので、脂肪族炭化水素、シリコーン液、Isopar(商標)G、Isopar(商標)M及びHalocarbon(商標)0.8のような電子ペーパーとの特別な関連性を有する特殊な溶媒との組み合わせにおいても特に好ましい。
【0025】
顔料は、無機であることができ、好ましくは有機、例えば、カーボンブラック又は1−アミノアントラキノン、アンサントロン、アントラピリミジン、アゾ、アゾメチン、キナクリドン、キナクリドンキノン、キノフタロン、ジオキサジン、ジケトピロロピロール、フラバントロン、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン又はチオインジゴシリーズの顔料であり、適用可能な場合、金属錯体又はレーキの形態のそれらであって、特に、銅、亜鉛又はニッケルフタロシアニン、1,4−ジケト−3,6−ジアリール−ピロロ[3,4−c]ピロール、ジオキサジン、イソインドリノン、インダントロン、ペリレン及びキナクリドンのような、非置換又は部分的にハロゲン化されたフタロシアニンを含む。アゾ顔料は、例えば、カップリング、縮合又はレーキ生成により得られる、任意の公知のサブクラスからのモノ−又はジアゾ顔料であることができる。
【0026】
特に有効な顔料は、カラーインデックス(Colour Index)に記載されている顔料、たとえば、ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、17、24、34、42、53、62、73、74、83、93、95、108、109、110、111、119、120、123、128、129、139、147、150、151、154、164、168、173、174、175、180、181、184、185、188、191、191:1、191:2、193、194及び199;ピグメントオレンジ5、13、16、22、31、34、40、43、48、49、51、61、64、71、73及び81;ピグメントレッド2、4、5、23、48、48:1、48:2、48:3、48:4、52:2、53:1、57、57:1、88、89、101、104、112、122、144、146、149、166、168、170、177、178、179、181、184、185、190、192、194、202、204、206、207、209、214、216、220、221、222、224、226、242、248、254、255、262、264、270及び272;ピグメントブラウン23、24、25、33、41、42、43及び44;ピグメントバイオレット19、23、29、31、37及び42;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、25、26、28、29、60、64及び66;ピグメントグリーン7、17、36、37及び50;ピグメントブラック7、12、27、30、31、32及び37;バットレッド74;3,6−ジ(3’,4’−ジクロロ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン、3,6−ジ(4’−シアノ−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン及び3−フェニル−6−(4’−tert−ブチル−フェニル)−2,5−ジヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−1,4−ジオン;ならびにそれらの混合物及び固体溶液である。
【0027】
アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体は、一般に、上記有機顔料のうちの1つの誘導体であり、好ましくは、スルフォナート、スルファート、カルボキシラート、カルボナート、ホスホナート又はホスファート、最も好ましくは、スルフォナート又はスルファートである。これらの基は、非共役連結基、例えば、アルキレン、エーテル及び/又はチオ鎖を介して結合させることができるが、好ましくは、直接、発色団の芳香族基に結合させる。アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体は、あるいは、顔料の脱プロトン化体であることができる。適切には、アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の含有量は、プロトン化した酸の形態で計算した場合、顔料に基づき0.1〜15重量%、好ましくは、1〜12重量%、最も好ましくは、5〜10重量%である。1種類を超えるモノクローム粒子が存在する場合、これが、好ましくは、すべての種類のモノクローム粒子に当てはまる。
【0028】
アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体は、一般に、アルカリ又はアンモニウム塩、好ましくは、第4級アンモニウム塩として存在し、そのため、アルカリ又はアンモニウムイオンは、適宜電界中又は極性液状媒体中で解離する。好ましくは、アルカリ又はアンモニウムイオンの少なくとも50%、最も好ましくは80%〜100%が、電界中又は極性液状媒体中に解離する。解離が少ないと、ディスプレイの効率低下を招く。
【0029】
第4級アンモニウムカチオンは、例えば、式:
【化1】


(式中、R及びRは、互いに独立して、C〜C24アルキル、C〜C24アルケニル又はC12〜C24シクロアルケニル、R及びRは、互いに独立して、C〜C12アルキル、C〜C12シクロアルキル、C〜C12シクロアルケニル、C〜C12アリール、C〜C12アラルキル又は[C〜Cアルキレン−O]であり、Rは、H又はC〜C12アルキルであり、nは、1〜12の数である)である。
【0030】
好ましくは、Rは、C12〜C24アルキル、Rは、C〜C20アルキル、Rは、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル又は[C〜Cアルキレン−O]H、そしてRは、C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル又は[C〜Cアルキレン−O]Hである。
【0031】
〜C24アルキル又はC〜C24シクロアルキルは、直鎖又は分岐鎖、あるいは単環式又は多環式であることができる。アルキルは、例えば、メチル、直鎖C〜C24アルキル又は好ましくは、分岐鎖C〜C24アルキルである。C〜C24アルキルは、したがって、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘネイコシル、ドコシル又はテトラコシルである。C〜C24シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、メンチル、ツジル、ボルニル、1−アダマンチル、2−アダマンチル又はステロイドラジカルである。
【0032】
〜C24アルケニル又はC〜C24シクロアルケニルは、モノ−又はポリ−不飽和であるC〜C20アルキル又はC〜C24シクロアルキルであって、2つ以上の二重結合は、分離するか共役化することができ、例えば、ビニル、アリル、2−プロペン−2−イル、2−ブテン−1−イル、3−ブテン−1−イル、1,3−ブタジエン−2−イル、2−シクロブテン−1−イル、2−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−2−イル、2−メチル−1−ブテン−3−イル、2−メチル−3−ブテン−2−イル、3−メチル−2−ブテン−1−イル、1,4−ペンタジエン−3−イル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、1−p−メンテン−8−イル、4(10)−ツジェン−10−イル、2−ノルボルネン−1−イル、2,5−ノルボルナジエン−1−イル、7,7−ジメチル−2,4−ノルカラジエン−3−イル、あるいはヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル、ヘネイコセニル、ドコセニル、テトラコセニル、ヘキサジエニル、オクタジエニル、ノナジエニル、デカジエニル、ドデカジエニル、テトラデカジエニル、ヘキサデカジエニル、オクタデカジエニル又はエイコサジエニルの種々の異性体である。
【0033】
〜C12アラルキルは、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、9−フルオレニル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル又はω−フェニル−ヘキシルである。
【0034】
〜C12アリールは、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニリイル又は2−フルオレニルである。
【0035】
一般に、セル中に存在する顔料の全量及び全アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の主要部分、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは95%〜100%は、凝集体中に存在し、実質的に顔料は全く凝集体と物理的に区別することができず、アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体のごくわずかな部分のみが、凝集体と物理的に区別できる。フリー顔料は、ヘーズを招き、フリーアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の含有量が多くなるほど、ディスプレイに乱れが生じ、不安定になる。
【0036】
凝集体を調製する適切な方法は、顔料とアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体とを、不活性極性液体中、例えば、湿式ミル又は高速混合を通して、−20〜200℃の温度で、好ましくは−20〜200℃、最も好ましくは、0〜50℃で共分散し、極性液体から凝集体を分離することである。適切な極性液体は、誘電率εが、(25℃で)10〜100、好ましくは、30〜80である。最も適切なものは、水、モノ−又はポリアルコール、ケトン、アミド、スルホキシド及びスルホンのような親水性の極性液体、好ましくは水である。
【0037】
25℃では、セル中の無極性液体は、適宜、誘電率εが、0〜20、好ましくは、0〜5、好ましくは、0〜3.2であり、伝導率κが、0〜0.1S・m−1、好ましくは、0〜10−2S・m−1、特に10−16〜10−8S・m−1であり、1cm厚の石英セル中、400〜700nmの範囲における1波長で測定した透明度が、90〜100%、好ましくは、95〜100%である。同じ伝導率範囲が、セル(分散体)の全量に関しても有効である。無極性液体は、特に、双極子モーメントμが、0〜10−18esu、好ましくは、0〜3・10−19esuである。
【0038】
無極性液体の例は、トルエン、キシレン又はアルキルベンゼンのような芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン又はドデカンのような脂肪族炭化水素;シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサンのような脂環式炭化水素;メチレンクロリド、クロロホルム、カーボンテトラクロリド、テトラクロロエチレン又は1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素;シリコーン;シリコンオイル又はフルオロカーボンオイルのような鉱油;オリーブオイルのようなベジタブルオイル及び長鎖脂肪酸エステルを含む。これら無極性液体は、単独で又は混合物として使用することができる。市販の混合物の例は、Isopar(商標)G、Isopar(商標)M及びHalocarbon(商標)0.8である。
【0039】
液状分散媒は、本発明による官能性粒子を、0.01〜25重量%、特に0.1〜10重量%の量で含むことができる。
【0040】
本発明のモノクローム粒子は、例えば(適用可能であれば、好ましくは、異なる対照的な色からなる)1種類以上の電気泳動移動度粒子を含む、あらゆるタイプの電気泳動ディスプレイ(「電子ペーバー」)の調製に特に有用である。本モノクローム粒子の電気泳動移動度及び分散体の安定性は、驚くほど高い。
【0041】
モノクローム粒子は、一般に、分散剤の助けを借りて、無極性液体に分散している。モノクローム粒子は、透明又は又は不透明であり、黒、白又は好ましくは、例えば、赤、青、緑、黄、マゼンタ又はシアンに着色されていることができる。本発明のセルは、同色又は異なる色の、2種類以上のモノクローム粒子を含むこともできる。例えば、それぞれ、黒、白、赤、青、緑、黄、マゼンタ又はシアン色のうちから2種類以上、あるいは黒又は白と、赤、青、緑、黄、マゼンタ又はシアン色のモノクローム粒子とを合わせることもできる。しかし、各粒子は、適切に均一に着色されている−すなわち、視野方向からは、個々に同一の色を示す。
【0042】
同様に、電気泳動ディスプレイは、同一又は異なる組成のセル、例えば、それぞれ、黒、白、赤、青、緑、黄、マゼンタ又はシアン色の単色のモノクローム粒子を含む、1〜8種類のセル、あるいは、それぞれが、黒又は白と赤、青、緑、黄、マゼンタ又はシアン色のモノクローム粒子を含む1〜6種類のセルからなることができる。好ましくは、電気泳動ディスプレイは、すべて同一の組成のセルから、あるいは、黒、白、赤、青、緑、黄、マゼンタ又はシアンのうちの1〜6色のセル、特に、赤と青と緑と、そして場合により黒もしくは白との、又は、黄とマゼンタとシアンのような、3色もしくは4色のセルからなる。電気泳動ディスプレイが、異なる色のモノクローム粒子からなる場合、本構成を得るには、一般に、1色のみのモノクローム粒子又はC.I.E.1976 L*C*h 色空間に基づき、120度を超えない異なる色相角の複数色のモノクローム粒子であることが適切であり、他の色のモノクローム粒子、特に黒又は白のセルは、逆極性を有している必要がある。
【0043】
セルは、公知の方法と同様に製造することができる。好ましくは、表皮、無極性液体、分散剤及びその無極性液体に分散した少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子を含むセルであって、その少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子が、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる基本的に凝集体であり、分散剤が、ポリアクリラート、ポリエステル、ポリウレタン及びコポリマーからなる群より選択され、その製造方法が、(1)少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子を無極性液体に分散して懸濁液を形成する工程;(2)懸濁液を無極性液体と混和しない第2の液体に分散し、液体粒子を形成する工程;及び(3)好ましくは第2の液体に溶解又は分散した、1つ以上の前駆体のコアセルベーション、エマルション重合及び/又はエマルション重縮合により液体粒子の周囲に表皮を生成する工程を含む製造方法である。コアセルベーションは、当技術分野で周知であり、例えば、US−5、432、445、US−5、460、817、US−2005/0156340及びUS−2006/0007528に記載されている。その場(In-situ)重合方法は、例えば、WO−01/54809及びWO−05/105291に記載されている。コアセルベーション又はポリマー層形成に適した前駆体、及びポリマー層形成方法も、当技術分野で周知である。第2の液体は、好ましくは水性である。
【0044】
フルカラー透過型ディスプレイ(バックライト又は白色の反射体を用いてのサブトラクティブ法)は、好ましくは、互いに積み重ねた黄、マゼンタ及びシアン色の層を含む。一方、フルカラー反射ディスプレイ(アディティブ法)は、好ましくは、並列させた赤、青及び緑の色を含む。
【0045】
セルは、適宜、複数の粒子を含有するが、その数は、個々の実施態様により異なる。各実施態様は、コンパートメント(隔室)で又はカプセルで構成されたセルで具現化される。唯一の違いは、コンパートメントは直接電気泳動ディスプレイ上に構築されるのに対し、カプセルは個別に製造され、その後電気泳動ディスプレイ上にコーティングされる点である。各セルには、本発明のモノクローム粒子を、単独で、組み合わせて、又は他の任意の電気泳動移動度粒子、好ましくはカチオン性の黒色又は白色の粒子と組み合わせて使用することができる。主に2つの実施態様があるが、本発明は、当然さらに異なる方法によっても実施することが可能である。
【0046】
第1の実施態様では、本発明のモノクローム粒子は、透明であり、重量平均粒径が10〜100nm、好ましくは20〜80nmである。セル当たりの粒子数は、一般に、10個〜1015個、好ましくは10個〜1012個である。この場合、電極の一方は、セル方向に、又はセル(ピクセル)の側面に配設され、もう一方の電極は、ディスプレイの表面に平行に配設されるが、どちらも電気泳動ディスプレイに対し断面が垂直である。このような構成は、例えば、US−A−2004/0218252の図5Bに示されている。無極性液体は、400〜700nmの全領域において、1cm厚の石英セルで測定した透明度が90〜100%、好ましくは95〜100%を有する、実質的に無色である。本実施態様は、白色の反射下地上の反射型ディスプレイとして、又はバックライトを有する透過型ディスプレイのいずれかとして使用することができる。
【0047】
ピクセルに向けて又はピクセルの側面に配設した電極に陽電位を印加すると、本発明のモノクローム粒子は、ピクセルの側面に移動し、ほぼ全部の通常白色である光が、ピクセルを透過する。アノードに切換えたピクセルに向けて又はピクセルの側面に配設した電極に負電位を印加すると、本発明のモノクローム粒子は、もう一方の、プラスに帯電した電極に移動し、ピクセル表面のほとんどを覆うので、可視光スペクトルの一部がモノクローム粒子に吸収され、ほぼ補色のみがピクセルを透過する。
【0048】
第2の実施態様では、本発明のモノクローム粒子は不透明であり、重量平均粒径が100〜500nm、好ましくは200〜400nmである。セル当たりの粒子数は、一般に、10個〜10個、好ましくは10個〜10個である。この場合、両電極は、ピクセルの反対側に、断面が電気泳動ディスプレイに垂直になるようにディスプレイの表面に平行に配設される。このような構成は、例えば、JP−A−2003/330179の例えば図8(カプセル)、又はWO2004/067593の図8(コンパートメント)に示されている。他の黒色、白色又はC.I.E.1976 L*C*h 色空間に基づき、120度を超す異なる色相角を有するモノクローム粒子も存在する場合、無極性液体は、着色されているか無色のいずれかであることができるが、好ましくは、400〜700nmの全領域において、1cm厚の石英セルで測定した透明度が90〜100%、好ましくは95〜100%を有する、実質的に無色である。このような更なるモノクローム粒子が存在しない場合、無極性液体は逆に、好ましくは、400〜700nmの全領域において、1cm厚の石英セルで測定した透明度が0〜20%、好ましくは0〜10%を有する、着色されたものである。
【0049】
陽電位がピクセル上部に配設された電極に印加されると、本発明のモノクローム粒子はピクセル上部に移動し、着色光はピクセルにより反射される。負電位がピクセル上に配設された電極に印加されると、本発明のモノクローム粒子は底部に移動し、光はピクセル上部に向かって移動している異なる極性の異なって着色された粒子、又は媒体に浮遊しているより動きの少ない反射粒子、例えば白色又は黒色の粒子、により反射されるか、あるいは本発明のモノクローム粒子により反射された光は、無極性液体の色に吸収され、色の変化を生じる。例えば、橙赤色のモノクローム粒子と青緑色の無極性液体とでは、明るい橙赤色から暗い褐色へと魅力的に切り換わるであろう。青緑色の無極性液体を、より動きの少ない、反射性の緑の粒子に置き換えられた場合、電気泳動ディスプレイを、赤色から緑色に切り換えることが可能であろう。
【0050】
より動きの少ない粒子は、例えば、すでに公知のもの、又は、よく分散した顔料のような単にイオン化しにくい粒子であってよい。しかし、本発明の粒子の電荷は、有利には精密に制御できるので、凝集体中のアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の量を少なくすることにより、より動きの少ない粒子を得ることも可能である。移動度の異なる本発明の粒子を組み合わせることにより、次は、例えば、赤色のジケトピロロピロール顔料と比較的多量のジケトピロロピロール誘導体とを含む、赤色の不透明なモノクローム粒子となることも、また緑色のフタロシアニン顔料と比較的少量のフタロシアニン誘導体とを含む、緑色の不透明なモノクローム粒子となることもあろう。電極の間に電位を印加すると、赤色の粒子は、より速く移動し、緑色の粒子よりも先に目的の電極に到達する。
【0051】
本発明のモノクローム粒子は、所望であれば、ポリマーに埋め込むこともできる。そのための適切な方法は、例えば、電極の間にプロトン透過性膜を用いることにより、極性溶媒中に溶解している遊離酸から、イオンを電気化学的に分離し、次にポリマー製の薄い保護用絶縁層をアニオン性顔料粒子上にラジカル的に重合することである。所望のアンモニウムカチオンを、それらの水酸化物の形態で最終的に付加した後、電界を除去する。
【0052】
コンパートメント又はカプセルの製造は、当技術分野で周知である。カプセルは、支持体の上に、均質な層として又は模様のように、例えば固体粒子の堆積に関して当技術分野で周知の方法、例えば、DE3540796及びEP0051830に記載されているChromalin(商標)法のような、色校正刷りにおけるトナーに用いられる方法により配設することができる。所望であれば、このプロセスを繰返し行って、多色層を作製することができる。電極は、必要に応じてこれも従来周知の方法により製造することができる。カプセルは、あるいは、例えば、基板上に積層することもできる。
【0053】
言うまでもなく、本発明の電気泳動ディスプレイは、自在に曲がる基板を使用すれば、自在に曲げることができる。
【0054】
以下の実施例は、本発明を説明するものであるが、本発明を限定しない。(「%」は、特に指定のない限り重量%である。):
【0055】
実施例1:DE4037556A1の実施例1a+bで得た、塩混練C.I.ピグメントレッド254の41.1%水性プレスケーキ39.1gとスルフォン化C.I.ピグメントレッド254誘導体のナトリウム塩の28.6%水性フィルターケーキ0.28gとを、カウレス溶解機(Cowles dissolver)を用いて水150ml中に90分間分散した。水性イソプロパノール(ARQUAD(登録商標)MCB-50[68424-85-1], AKZO)中のココベンジルジメチルアンモニウムクロリド50重量%の溶液0.16gをスラリーに加えた。さらに30分撹拌した後、懸濁液を濾過し、水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0056】
実施例2:28.6%水性スルフォン化C.I.ピグメントレッド254を0.28gではなく0.56g、そしてARQUAD(登録商標)MCB-50を0.16gではなく0.32g使用した以外、実施例1のとおり実施した。
【0057】
実施例3:スルフォン化C.I.ピグメントレッド254を、同量(乾燥重量での計算)のUS4,914,211の実施例11によるジケトピロロピロールカルボキシラートに置き換えた以外、実施例1のとおり実施した。
【0058】
実施例4:スルフォン化C.I.ピグメントレッド254を、同量(乾燥重量での計算)のUS4,914,211の実施例16によるジケトピロロピロールホスホナートに置き換えた以外、実施例1のとおり実施した。
【0059】
実施例5:スルフォン化C.I.ピグメントレッド254を、同量(乾燥重量での計算)のUS4,791,204の実施例18によるジケトピロロピロールモノスルフォナートに置き換えた以外、実施例1のとおり実施した。
【0060】
実施例6:塩混練C.I.ピグメントブルー15:3の49.2%水性フィルターケーキ23.1gと銅フタロシアニンナトリウムモノスルフォナート0.42g(26.4%水性フィルターケーキとして)とを、カウレス溶解機を用いて水100ml中に90分間分散した。次にARQUAD(登録商標)MCB-50 0.2gを加えた。さらに30分間撹拌した後、懸濁液を濾過し、水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0061】
実施例7:塩混練C.I.ピグメントブルー15:3の49.2%水性フィルターケーキ23.4gと、ジヘプタデシルジメチルアンモニウム銅フタロシアニンモノ−及びジスルフォナート(SOLSPERSE(登録商標)5000, Lubrizol)の1:2混合物0.23gとを、カウレス溶解機を用いて水100ml中に90分間分散した。次に、懸濁液を濾過し、水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0062】
実施例8:塩混練C.I.ピグメントグリーン7の38.9%水性フィルターケーキ13.5gと、下記の理想式(I)の化合物0.11gとを、カウレス溶解機を用いて水100ml中に90分間分散した。次にARQUAD(登録商標)MCB-50 0.22gを加えた。さらに30分間撹拌した後、懸濁液を濾過し、水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【化2】

【0063】
実施例9:塩混練C.I.ピグメントグリーン36の35.5%水性フィルターケーキ14gと、実施例8の式(I)の化合物0.12gとを、カウレス溶解機を用いて水100ml中に90分間分散した。ARQUAD(登録商標)MCB-50 0.22gを加えた。さらに30分間撹拌した後、懸濁液を濾過し、水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0064】
実施例10:微粉化したC.I.ピグメントブラック7 10gを、水100ml中に18時間分散した。水2.9g中のスルファニル酸0.7gと35%塩酸1.38gとを別々に、4℃で、4M 水性NaNO溶液1.08mlで処理した。ジアゾニウム塩を顔料懸濁液に徐々に加えた。懸濁液を次に4℃から23℃に撹拌し、次に40℃まで2時間かけて撹拌した。次にARQUAD(登録商標)MCB-50 0.4gを加えた。さらに30分間撹拌した後、懸濁液を濾過し、注意深く水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0065】
実施例11:C.I.ピグメントレッド122(Cromophtal(登録商標)Jet Magenta)20gと、モノスルフォン化したピグメントレッド122のナトリウム塩の28.6%水性フィルターケーキ0.40gとを、カウレス溶解機を用いて水150ml中に90分間分散した。水性イソプロパノール(ARQUAD(登録商標)MCB-50[68424-85-1], AKZO)中のココベンジルジメチルアンモニウムクロリド50重量%の溶液0.20gをスラリーに加えた。さらに30分間撹拌した後、懸濁液を濾過し、水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0066】
実施例12:28.6%水性モノスルフォン化ピグメントレッド122を0.20gではなく0.80g、そしてARQUAD(登録商標)MCB-50を0.16gではなく0.32g使用した以外、実施例11のとおり実施した。
【0067】
実施例13:C.I.ピグメントイエロー128(Cromophtal(登録商標)Jet Yellow)5gをメタノール(d=0.791g/ml(25℃)、Fluka, Switzerland)100ml中に分散し、10分間撹拌した。同時に、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド水和物(ABCR(商標), GmbH & Co. KG, Germany)260mgをメタノール(d=0.791g/ml(25℃)、Fluka, Switzerland)50ml中に溶解した。ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド水和物の溶液を、ピグメントイエロー128のスラリーに加え、顔料を脱プロトン化した。混合物をさらに4時間撹拌し、最後の懸濁液を濾過し、生成物を40℃/10Paで乾燥させた。メタノール中のベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド水和物の濃縮物は、顔料濃縮物の0.1〜5重量%に適切に変化させることができる。
【0068】
実施例14:C.I.ピグメントブルー15:3(Cromophtal(登録商標)Jet Cyan GLX)20gと、スルフォン化フタロシアニン誘導体(Solsperse 5000(登録商標), Noveon(商標))0.40gとを、カウレス溶解機を用いて水150ml中に90分間分散した。さらに30分間撹拌した後、懸濁液を濾過し、水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0069】
実施例15:スルフォン化フタロシアニン(Solsperse(登録商標)5000)を、0.40gではなく0.80g使用した以外、実施例14のとおりに実施した。
【0070】
実施例16a:撹拌器、冷却器、温度計及びモノマー供給管付き5リットルガラス反応器中で、n−ブチルアクリラート1304gと式:
【化3】


の重合調節剤72gとを混合し、N/真空サイクルにより完全に脱気した。混合物を1時間内に115℃まで加熱し、次にさらに1時間同じ温度に維持した。続く3.5時間以内に、n−ブチルアクリラート2800gを反応器に連続供給しながら、128℃に昇温させ、さらに6時間混合物をこの温度に保持した。非反応モノマーを減圧下で剥離することにより、清澄な粘性ポリマー2011gを単離した。GPC-analysis:M=8800g/mol、PD=1.20。H−NMRによる重合度は、76であった。
【0071】
実施例16b:実施例16aと同じ反応器において、実施例16aのポリ(n−BA)生成物2000gと4−ビニルピリジン505gとを混合し、N/真空サイクルで脱気し、125℃で5時間重合した。清澄な橙色のポリマー2224gを、減圧下で残留モノマーを留去することにより単離した。高い粘性があるため、ジブロックコポリマーをプロピレングリコール−モノメチルエーテル−アセタート(MPA)1483gでさらに処理することにより希釈した。GPC-analysis:M=8834g/mol、PD=1.27。H−NMRによる4−ビニルピリジンブロックの重合度は、14であった。
【0072】
実施例16c:実施例16bによるジブロックコポリマーのMPA−溶液83.3gと分岐鎖イソ−C12〜C15−アルコール混合物(Neodol(登録商標)25E, Shell)55.3gとを、磁気撹拌子及び蒸留カラムを備えた250mlフラスコ中に充填した。混合物を125℃に加熱した後、MPAを減圧下で蒸留し、その後イソプロパノール中のビス−アセチルアセトナート−チタニウム−ビス−イソプロピラート75重量%からなる触媒溶液0.28gを加えた。減圧下でn−ブタノールを徐々に留去し、145℃に昇温しながら、エステル交換反応を開始した。次に、各々0.28gの追加触媒溶液2回分を、1回目分は1時間後に、2回目分は2時間後に加えた。4時間の全反応時間後、さらなるn−ブタノールの生成が観察されなくなった後、エステル交換反応を終了させた。液体ブロックコポリマー78gを得た。GPC(M=12465、PDI=1.33)及びH−NMRによる分析は、分岐鎖イソ−C12〜C15−アルコールの定量的変換を示し、n−ブチルエステルとイソ−C12〜C15エステルとピリジン基との比は16:60:14であった。
【0073】
この液体ブロックコポリマー分散剤は、WO06/074969にしたがって得られる類似の分散剤又はEFKAから市販されている分散剤と置き換えることができる。
【0074】
実施例17〜31は、赤色、青色、緑色及び黒色の、分散した電気泳動性顔料粒子を含有する油相の調製方法を説明するものである。
【0075】
実施例17:C.I.ピグメントイエロー128((Cromophtal(登録商標)Jet Yellow)10gを、実施例16cの液体ブロックコポリマー分散剤5gの存在下、ドデカン(d=0.75g/ml(25℃), Fluka, Switzerland)10ml中に分散した。同時に、キヌクリジン(Fluka, Switzerland)100mgをドデカン(d=0.75g/ml(25℃)、Fluka, Switzerland)5mlに溶解し、次に顔料スラリーに加えることにより、顔料を脱プロトン化した。混合物をさらにジルコニウムオキシドビーズ5g存在下、Skandex(登録商標)SO-100混合機でさらに15時間撹拌した。キヌクリジンの濃度は、顔料濃度の0.1〜5重量%で適切に変化させることができる。
【0076】
実施例18:実施例1による赤色の荷電粒子0.23gを、EFKA(登録商標)4300(分散剤,EFKA添加剤)0.048g存在下、テトラクロロエチレン(Riedel de Haen,d=1.622g/cm3)10ml中に、Bandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器(sonicator)を用いて、25℃で1.5時間、超音波分散することにより、赤色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径495nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−47.2mVであり、スモルコフスキー関係式(Smoluchowsky relation)(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=0.844cPは、媒体粘度;ε=2.6は、誘電率)により算出した電気泳動移動度μが−0.01・10−8m2/Vsであった。
【0077】
実施例19:実施例1による赤色の荷電粒子0.15gを、実施例16cの液体ブロックコポリマー0.0449g存在下、Isopar(登録商標)G(Exxon Mobil, d=0.748g/cm3)10ml中に、Bandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1.5時間、超音波分散することにより、赤色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径40〜60nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−36.0mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.46cPは、媒体粘度;ε=2.0は、誘電率)により算出した電気泳動移動度μが−1.2・10−8m2/Vsであった。
【0078】
実施例20:実施例6による青色の荷電粒子0.2gを、EFKA(登録商標)4300(分散剤,EFKA添加物)0.045g存在下、テトラクロロエチレン(Riedel de Haen,d=1.622g/cm3)10ml中に、Bandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1時間、超音波分散することにより、青色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径210nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−40.00mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.844cPは、媒体粘度;ε=2.6は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.15・10−8m2/Vsであった。
【0079】
実施例21:実施例6による青色の荷電粒子0.145gを、実施例16cの液体ブロックコポリマー0.05g存在下、Isopar(登録商標)G(Exxon Mobil, d=0.748g/cm3)10ml中に、Bandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1.5時間、超音波分散することにより、青色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径40〜60nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−28.2mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.46cPは、媒体粘度;ε=2.0は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.60・10−8m2/Vsであった。
【0080】
実施例22:実施例8による緑色の荷電粒子0.15gを、実施例16cの液体ブロックコポリマー0.040g存在下、Isopar(登録商標)G(Exxon Mobil, d=0.748g/cm3)10ml中に、Bandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1時間、超音波分散することにより、緑色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径250nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−38.5mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.46cPは、媒体粘度;ε=2.0は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.07・10−8m2/Vsであった。
【0081】
実施例23:実施例8による緑色の荷電粒子0.15gを、EFKA(登録商標)4300(分散剤,EFKA添加物)0.045g存在下、テトラクロロエチレン(Riedel de Haen, d=1.622g/cm3)10ml中に、Bandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1時間、超音波分散することにより、緑色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径250nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−74.49mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.844cPは、媒体粘度;ε=2.6は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.25・10−8m2/Vsであった。
【0082】
実施例24:微粉化したC.I.ピグメントブラック7 12gを水400ml中に18時間分散した。塩酸プロカインアミド0.54gを水5ml中に分散し、37%HCl水溶液で別個に処理した。ジアゾ−プロカインアミドを形成するために、塩酸プロカインアミドの量に基づき、10%モル過剰量のNaNOを、塩酸プロカインアミド分散体に加えた。ジアゾ−プロカインアミド化合物を顔料懸濁液に4℃で徐々に加えた。懸濁液を次に4℃〜40℃に、そして63℃に2時間かけて加熱しながら撹拌した。次に懸濁液を濾過し、注意深く水で洗浄し、生成物を80℃/10Paで乾燥させた。
【0083】
実施例25:実施例24による黒色の荷電粒子1mgを、EFKA(登録商標)4300(分散剤, EFKA添加物)50mg存在下、テトラクロロエチレン(Riedel de Haen,d=1.622g/cm3)10ml中に、Bandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1時間、超音波分散することにより、黒色の電気泳動性分散体を調製した。
【0084】
実施例26:実施例18による赤色電気泳動性分散体55mlと実施例25による黒色の電気泳動性分散体55mlとをBandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1時間超音波分散により混合した。
【0085】
実施例27:実施例20による青色電気泳動性分散体55mlと実施例25による黒色の電気泳動性分散体55mlとをBandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1時間超音波分散により混合した。
【0086】
実施例28:実施例23による緑色電気泳動性分散体55mlと実施例25による黒色の電気泳動性分散体55mlとをBandelin(登録商標)Sonorex(登録商標)Super RH 102 H(商標)超音波処理器を用いて25℃で1時間超音波分散により混合した。
【0087】
実施例29:実施例13による黄色の荷電粒子5gを、実施例16cによる液体ブロックコポリマー分散剤2.5g存在下、ドデカン(d=0.75g/ml(25℃)、Fluka, Switzerland)10ml中に、25℃で超音波分散することにより、黄色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径260nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−40mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.383cPは、媒体粘度;ε=2.01は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.043・10−8m2/Vsであった。
【0088】
実施例30:実施例11によるマゼンタ色の荷電粒子5gを、実施例16cによる液体ブロックコポリマー分散剤2.5g存在下、ドデカン(d=0.75g/ml(25℃)、Fluka, Switzerland)10ml中に、25℃で超音波分散することにより、マゼンタ色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径211nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−35mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.383cPは、媒体粘度;ε=2.01は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.06・10−8m2/Vsであった。
【0089】
実施例31:実施例14によるシアン色の荷電粒子5gを、実施例16cによる液体ブロックコポリマー分散剤2.5g存在下、ドデカン(d=0.75g/ml(25℃)、Fluka, Switzerland)10ml中に、25℃で超音波分散することにより、シアン色の電気泳動性分散体を調製した。分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径172nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−45mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.383cPは、媒体粘度;ε=2.01は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.0725・10−8m2/Vsであった。
【0090】
実施例32:実施例17により調製された黄色の電気泳動性分散体の分散した荷電粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いて動的光散乱で測定すると、直径247nmであった。表面が改質された分散荷電顔料粒子は、Malvern Zetasizer Nanoseriesを用いた測定で、ゼータ電位(ζ)が−50mVであり、スモルコフスキー関係式(ζ=μη/ε、ここでμは、移動度;η=1.383cPは、媒体粘度;ε=2.01は、誘電率)から算出した電気泳動移動度μが−0.04・10−8m2/Vsであった。
【0091】
実施例33:水相をエチレン−無水マレイン酸コポリマー(Zeeland Chemicals)の10%水溶液70gと70%メラミンホルムアルデヒド樹脂(Beetle Resin PT336, BIP Ltd)37.5gと脱イオン水270gとを混合して調整した。この水性混合物を水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、pH4.0に調整した。得られた水相を、次にタービン翼撹拌器を備えた1リットル反応フラスコに移し、恒温水槽に浸した。撹拌速度を1000r.p.m.に上げ、次に実施例26による油相175gを水相に加え、光学顕微鏡の測定で推定される、約30μmの平均粒径を有する油滴の水中油型エマルションを形成した。次に、撹拌速度を450r.p.m.に下げ、反応フラスコの内容物を徐々に40℃に温め、メラミンホルムアルデヒド樹脂の重縮合反応を生じさせ、マイクロカプセルシェルを形成した。カプセル化混合物の温度をさらに2時間40℃に維持し、次に60℃に昇温し、マイクロカプセルシェルの形成を完了した。水中のマイクロカプセル懸濁液を次に23℃に冷却し、混合物のpHを水酸化ナトリウム水溶液で8.0に調整した。次に、水中のマイクロカプセル懸濁液を濾過し、水で洗浄し、残留不純物を除去した。湿潤マイクロカプセルケーキは、メラミンホルムアルデヒドシェルと顔料粒子の油分散体を含有する内部コアとを有する60%固体マイクロカプセルを含んでいた。カプセルを30℃で乾燥させた。
【0092】
実施例34:実施例26の油相を実施例27の油相に置き換えた以外、実施例33のとおりに実施した。
【0093】
実施例35:実施例26の油相を実施例28の油相に置き換えた以外、実施例33のとおりに実施した。
【0094】
実施例36:メチルエチルケトン(MEK)中の2,6−ジメチル−4−(2’ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3,5−ジカルボン酸ジメチルエステル(DHPM)と2,6−ジメチル−4−(2’ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン−3、5−ジカルボン酸ジエチルエステル(DHPE)との混合物の5%溶液を1000r.p.m.で30秒間、基板上で高速回転させた。この基板を、UV暴露試験機(Karl Suss MA 6)を用いて、1mW/cm2のマスクを介して20秒間暴露した。実施例33の赤/黒色のカプセルを次に、綿球に浸み込ませて基板に付着させた。ガラスプレートを振動機械(Vortex Genie 2'')上に置いて、カプセルの行き過ぎ量を除去した。この後、暴露領域のべとつきを断つため、基板を気体塩化水素で処理した。この方法を実施例34及び35の青色/黒色及び緑色/黒色のカプセルで2回繰返した。最後に、基板を約50秒、均一に暴露し、1000r.p.m.のスピンコーター上で30秒間、MEK中の20%ポリメチルメタクリラート溶液をコーティングし、ホットプレート上で2〜5分間、100℃で乾燥させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極並びに少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子、無極性液体及び分散剤を含有するセルを含み、少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子が、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる基本的に凝集体であり、分散剤が、ポリアクリラート、ポリエステル、ポリウレタン及びコポリマーからなる群より選択される、電気泳動ディスプレイ。
【請求項2】
セル中に存在する顔料の全量及び全アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の主要部分、好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは95%〜100%が、凝集体中に存在し、実質的に顔料が全く凝集体と物理的に区別することができず、アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体のごくわずかな部分のみが、凝集体と物理的に区別できる、請求項1記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項3】
少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子が、第4級アンモニウムで中和される、請求項1又は2記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項4】
分散剤が、極性並びに無極性又は低極性成分を含み、極性成分は、好ましくは窒素原子を含む成分及び芳香族環を含む成分からなる群より選択され、無極性又は低極性成分は、エステル基が、1個〜24個の炭素原子及び場合により1個〜12個の酸素原子及び/又はシリコン原子、アリル並びにビニルC〜C24アルキルエーテル、スチレン、C〜C24アルキル−置換スチレン、C〜C12ラクトン及びヒドロキシ−C〜C24酸を含む、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、アリルエステル及びビニルエステルからなる群より選択される、請求項1、2又は3記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項5】
分散剤が、イオン基を含み、分散剤のイオン基の総数が、アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体のイオン基の総数以下であり、アニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体のイオン基と分散剤のイオン基との率が、好ましくは少なくとも1:1、特に少なくとも5:1である、請求項1、2、3又は4記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項6】
セル内のアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の含有量が、プロトン化した酸の形態で計算した場合、顔料に基づき0.1〜15重量%、好ましくは1〜12重量%、最も好ましくは、5〜10重量%である、請求項1、2、3、4又は5記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項7】
無極性液体が、0〜20、好ましくは、0〜5、好ましくは、0〜3.2の誘電率ε、0〜0.1S・m−1、好ましくは、0〜10−2S・m−1、特に10−16〜10−8S・m−1の伝導率κ、1cm厚の石英セル中、400〜700nmの範囲における1波長で測定した場合、90〜100%、好ましくは、95〜100%の透明度を有する、請求項1、2、3、4、5又は6記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項8】
少なくとも2種類のモノクローム粒子が存在し、少なくとも1種のモノクローム粒子が、主としてカチオン性黒色又は白色粒子からなる、請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の電気泳動ディスプレイ。
【請求項9】
顔料とアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体とを、不活性極性液体中、例えば、湿式ミル又は高速混合を通して、−20〜200℃の温度で、好ましくは−20〜200℃、最も好ましくは、0〜50℃で共分散することと、極性液体から凝集体を分離することとを含む、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる凝集体を調製する方法であって、極性液体が、(25℃で)10〜100、好ましくは30〜80の誘電率εを有する方法。
【請求項10】
顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる基本的に凝集体であるモノクローム粒子の、電気泳動ディスプレイの調製のための使用。
【請求項11】
モノクローム粒子中のアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体の含有量が、プロトン化した酸の形態で計算した場合、顔料に基づき0.1〜15重量%、好ましくは1〜12重量%、最も好ましくは、5〜10重量%である、請求項10記載の使用。
【請求項12】
表皮、無極性液体、分散剤及びその無極性液体に分散した少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子を含むセルであって、その少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子が、顔料及びアニオン性顔料又はアニオン性顔料誘導体を含有する炭素からなる基本的に凝集体であり、分散剤が、ポリアクリラート、ポリエステル、ポリウレタン及びコポリマーからなる群より選択され、その製造方法は、(1)少なくとも1種のイオン性モノクローム粒子を無極性液体に分散して懸濁液を形成する工程;(2)懸濁液を無極性液体に混和しない第2の液体に分散し、液体粒子を形成する工程;及び(3)好ましくは第2の液体に溶解又は分散した、1つ以上の前駆体のコアセルベーション、エマルション重合及び/又はエマルション重縮合により液体粒子の周囲に表皮を生成する工程を含む、セルの製造方法。
【請求項13】
少なくとも2種類のモノクローム粒子が存在し、少なくとも1種のモノクローム粒子が、主としてカチオン性黒色又は白色粒子からなる請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2009−543102(P2009−543102A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517179(P2009−517179)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056387
【国際公開番号】WO2008/003619
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508120547)チバ ホールディング インコーポレーテッド (81)
【氏名又は名称原語表記】CIBA HOLDING INC.
【Fターム(参考)】