説明

電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液、表示媒体、及び表示装置

【課題】被接触物に対する固着が抑制された電気泳動粒子を提供する。
【解決手段】表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれたセル中には、電気泳動粒子分散液が封入されている。電気泳動粒子分散液の分散媒50に分散された電気泳動粒子34は、電気泳動粒子本体の表面に、電解質高分子である電解質材料として、アニオン性電解質材料及びカチオン性電解質材料が、電気泳動粒子本体の径方向に向かって交互に積層した電解質層を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液、表示媒体、及び表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像維持性(所謂メモリー性)を有するディスプレイとして電気泳動表示媒体が盛んに研究されている。本表示方式では、液体中に帯電した電気泳動粒子を用いて、電場付与によって泳動粒子をセル内(二枚の電極基板を重ねてその間に電気泳動材料を分散媒と共に封入した構成)の視野面及び背面へ交互に移動させることによって表示が行なわれる。
【0003】
一般的に、電気泳動表示媒体において、電気泳動粒子は分散媒中で分散媒からのイオンの吸着、又は表面の解離反応によって表面電荷を帯びており、分散媒中の電気泳動粒子の電荷状態と電気泳動粒子に働く力を利用して、電気泳動粒子を泳動させ、表示が行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、母粒子と呼ばれるミクロンオーダーの粒子に帯電特性、色、流動性を付与するため複数種類のサブミクロンからナノオーダーの微粒子を機械的及び化学的方法で母粒子表面に付着させて混合粒子を作って画像を表示する技術が提案されている。
本技術では、母粒子と小粒子とから構成された複合粒子を有する。一方の粒子は、母粒子としてウレタン粒子(平均粒子径5.8μm)を、小粒子としてカーボン(平均粒子径0.03μm)を、荷電制御剤としてボロントロンNo.7を混合して、メカノフュージョン法にて母粒子の表面に小粒子と荷電制御剤を固定化している。そして、両基板の電極間に電圧を印加して両基板間に電界を付与することにより、小粒子が母粒子に帯電特性、流動性を付与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−233092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、被接触物に対する固着を抑制した電気泳動粒子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
電気泳動粒子本体と、
前記電気泳動粒子本体の表面に付着した電解質材料と、
有する電気泳動粒子。
【0008】
請求項2に係る発明は、
前記電気泳動粒子本体の表面に、前記電解質材料としてアニオン性電解質材料及びカチオン性電解質材料が前記電気泳動粒子本体の径方向に向かって交互に積層した電解質層を有する請求項1に記載の電気泳動粒子。
【0009】
請求項3に係る発明は、
前記電解質材料が、電解質高分子である請求項1又は2に記載の電気泳動粒子。
【0010】
請求項4に係る発明は、
分散媒と、
前記分散媒に分散された電気泳動粒子であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気泳動粒子と、
を備えた電気泳動粒子分散液。
【0011】
請求項5に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板間に封入された、請求項4に記載の電気泳動粒子分散液と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
【0012】
請求項6に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、
前記一対の電極間に設けられた、請求項4に記載の電気泳動粒子分散液を有する領域と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
【0013】
請求項7に係る発明は、
請求項5又は6に記載の表示媒体と、
前記表示媒体の前記一対の基板間又は前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
を備えた表示装置。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、電気泳動粒子本体の表面に電解質材料が付着していない場合に比べ、被接触物に対する固着が抑制された電気泳動粒子を提供できる。
請求項2に係る発明によれば、電解質材料としてアニオン性電解質材料及びカチオン性電解質材料のうち、一方を単独で、電気泳動粒子本体の表面に付着させた場合に比べ、異形状であっても被接触物に対する固着が抑制されたれた電気泳動粒子を提供できる。
請求項3に係る発明によれば、電解質材料として電解質単量体を適用した場合に比べ、被接触物に対する固着がより抑制された電気泳動粒子を提供できる。
【0015】
請求項4、5、6、7に係る発明によれば、電気泳動粒子本体の表面に電解質材料が付着していない電気泳動粒子を適用した場合に比べ、電気泳動粒子の被接触物に対する固着が抑制された電気泳動粒子分散液、表示媒体、及び表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
【図3】第2実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
【図4】第2実施形態に係る表示装置における、印加する電圧と粒子の移動量(表示濃度)との関係を模式的に示す線図である。
【図5】表示媒体の基板間へ印加する電圧態様と、粒子の移動態様との関係を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
(電気泳動粒子、電気泳動粒子分散液)
本実施形態に係る電気泳動粒子は、電気泳動粒子本体と、電気泳動粒子本体の表面に付着した電解質材料と、を有して構成されている。
【0019】
ここで、表示媒体に使用される電気泳動粒子は、一般的に粉砕法や乳化重合法等を用い、帯電制御剤を含有させることで帯電の制御を行うが、帯電制御剤が均一に粒子の表面に形成されにくいため、粒子の表面電荷密度のバラツキが生じやすい。そのため、電気泳動粒子が接触する被接触物(例えば、分散媒以外で、電気泳動粒子同士、基板、電極、間隙部材(スペーサ)等)に対する固着が生じることがある。その結果、正確な駆動が出来ず、制御や画像の安定性に欠けることが多い。また、電気泳動粒子の表面に帯電制御剤を粒子として付着させる際には、付着強度が十分でない場合には、繰り返し表示するにつれて電気泳動粒子同士の衝突や摩擦により家電制御剤の粒子が剥離し、他の電気泳動粒子や電極の表面に移行してしまう。その結果、本来の目的である帯電の制御が行えず、電気泳動粒子が十分に駆動せず、所望の表示濃度が出なくなったり、また、画像保持特性が悪化したりするため、繰り返し表示による表示特性が劣化してしまう傾向がある。
これに対して、本実施形態に係る電気泳動粒子は、上記構成により、粒子表面にバラツキが少なくかつ高密度の帯電層が形成されると考えられ、電気泳動粒子が接触する被接触物(例えば、分散媒以外で、電気泳動粒子同士、基板、電極、間隙部材(スペーサ)等)に対する固着が抑制される。
特に、電解質材料として、電解質高分子を用いた場合、この層は吸着安定性に優れるものと考えられるため、長時間の駆動においても画像保持特性も安定する傾向がある。
また、電解質材料として、電解質高分子を用いた場合、表面にナノオーダーの構造が形成される。これにより超撥水効果が発現するものと考えられるため、結果として電気泳動粒子が接触する被接触物(例えば、分散媒以外で、電気泳動粒子同士、基板、電極、間隙部材(スペーサ)等)に対する固着がより抑制される。
【0020】
また、本実施形態に係る電気泳動粒子は、電気泳動粒子の表面に電解質材料が露出して存在すると考えられることから、その表面に露出した電解質材料の極性(アニオン性、カチオン性)に応じた帯電極性も付与され、電気泳動粒子としての電気泳動性も確保される。
【0021】
電気泳動粒子の各要素について詳細に説明する。
【0022】
電解質材料について説明する。
電解質材料とは、側鎖、又は主となる分子構造中に荷電基(乖離可能な官能基)を持つ材料である。
【0023】
電解質材料としては、例えば、有機電解材料(例えば、電解質高分子(電解質ポリマー)、電解質低分子(電解質モノマー))、無機電解質材料(例えば表面に電離基を持つ無機酸化物粒子等)が挙げられる。
【0024】
電解質高分子としては、例えば、カチオン性電解質高分子(例えば、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミンアミド硫酸塩、ポリジアリルアミン塩酸塩、ポリアリルアミン酢酸塩、ポリメチルジアリルアミン塩酸塩、ポリメチルジアリルアミンアミド硫酸塩)。アニオン性電解質高分子(例えば、ポリアクリル酸、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリアクリル酸ナトリウム等)が挙げられる。
【0025】
電解質高分子の重量平均分子量としては、例えば、1000以上500,000以下(望ましくは5000以上300,000以下)の範囲が挙げられる。
なお、重量平均分子量は静的光散乱法又はサイズ排除カラムクロマトグラフィーにより測定され、本明細書に記載の数値は当該方法によって測定されたものである。以下、同様である。
【0026】
電解質低分子としては、例えば、カチオン性電解質低分子(例えばチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド等)、アニオン性電解質高分子(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等)が挙げられる。
電解質低分子の重量平均分子量としては、例えば、50以上500以下(望ましくは100以上400以下)の範囲が挙げられる。
【0027】
表面に電離基を持つ無機酸化物粒子としては、例えば、カチオン性無機酸化物粒子(例えばFe、Al等)、アニオン性無機酸化物粒子(例えば、TiO、SiO等)等が挙げられる。
【0028】
これらの中でも、電解質材料としては、電解質高分子であることがよい。電解質高分子は、電気泳動粒子本体の表面を覆うように層状に付着し易く、電気泳動粒子の帯電性のバラツキが抑制される(つまり、帯電分布が狭くなる)傾向がある。
特に、電解質高分子のうち、強電解質高分子(例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合体、ジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェイト・二酸化硫黄共重合体、メチルジアリルアミン塩酸塩・二酸化硫黄共重合体等)がよい。強電解質高分子により、電気泳動粒子の帯電性のバラツキがより抑制され(つまり、帯電分布がより狭くなる)、表示媒体に適用した際、表示濃度が向上、そしてそれが維持され易くなる。
【0029】
電解質材料は、電気泳動粒子本体の表面に付着してなるが、具体的には、例えば、電気泳動粒子本体の表面に静電吸着して、電解質層(分子層又は粒子層)を形成した状態で付着している。
特に、電解質材料としてアニオン性電解質材料及びカチオン性電解質材料が電気泳動粒子本体の径方向に向かって交互に積層した電解質層の状態で、電気泳動粒子本体の表面に付着していることがよい。
つまり、電気泳動粒子本体の表面に、アニオン性電解質材料のアニオン性電解質層とカチオン性電解質材料のカチオン性電解質層が2層以上で交互に積層されていることがよい。
【0030】
これにより、電気泳動粒子の形状制御が実現される。
電解質材料は、後述するように、静電吸着によりアニオン性電解質材料及びカチオン性電解質材料を交互に積層させることで、厚みを持たせた電解質層が形成され、そして、この交互に静電吸着させる際、部分的に厚みを持たせて吸着させることで、部分的に厚みの異なる電解質層が形成させられる。このため、電気泳動粒子本体自体の形状を問わず、電解質層により電気泳動粒子の形状を球状から異形状のいずれにも、選択して形成され得る。例えば、駆動の制御性を重視した場合、粒子を小さく、表面がなめらかな粒子とすれば良い。また、被接触物に対する電気泳動粒子の固着や付着を防ぎたい場合は粒子を大きく、表面が入り組んだ構造を持つ粒子とすれば良い。このように駆動方式や表示方式の違いに合わせた粒子の形状選択が実現され易くなる。
また、厚みを持たせた電解質層が形成されることから、電気泳動粒子の形状が球状ではなく異形状の場合であっても、帯電極性のバラツキも抑制され、電気泳動粒子が接触する被接触物(例えば、分散媒以外で、電気泳動粒子同士、基板、電極、間隙部材(スペーサ)等)に対する固着が抑制され、表示媒体に適用した際、表示濃度が向上、そしてそれが維持され易くなる。
なお、電気泳動粒子の最外に位置する電解質材料(その電解質層)の極性を選択することで、帯電極性が選択される。
【0031】
電解質材料の付着量としては、電気泳動粒子本体に対して0.001質量%以上5質量%以下(望ましくは0.01質量%以上1質量%以下、より望ましくは0.05質量%以上0.1質量%以下)の範囲が挙げられる。
電解質材料の付着量を上記範囲とすることで、被接触物に対する電気泳動粒子の固着が抑制される。
【0032】
電気泳動粒子本体について説明する。
電気泳動粒子本体としては、例えば、金属酸化物粒子(例えばガラスビーズ、アルミナ、酸化チタン等の絶縁性)、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂粒子、これらの樹脂粒子の表面に着色剤を固定したもの、熱可塑性若しくは熱硬化性樹脂中に着色剤を含有する粒子、及びプラズモン発色機能を有する金属コロイド粒子等が挙げられる。
【0033】
電気泳動粒子本体を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、
スチレン類(例えばスチレン、クロロスチレン等)、モノオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等)、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等)、ビニルエーテル類(例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)の単独重合体、又はこれら2種以上の共重合体が挙げられる。
【0034】
電気泳動粒子本体を構成する熱硬化性樹脂としては、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体や架橋ポリメチルメタクリレート等の架橋樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
【0035】
着色剤としては、有機顔料、無機顔料、油溶性染料等が挙げられ、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。
着色剤として具体的には、例えば、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして例示される。
【0036】
電気泳動粒子本体を構成する樹脂には、必要に応じて、帯電制御剤を混合してもよい。帯電制御剤としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子が挙げられる。
【0037】
電気泳動粒子本体の内部や表面には、必要に応じて、磁性材料を混合してもよい。磁性材料は必要に応じてカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料を使用する。また、透明な磁性材料、特に、透明有機磁性材料は着色顔料の発色を阻害せず、比重も無機磁性材料に比べて小さく、より望ましい。
着色した磁性材料(磁性粉)として、例えば、特開2003−131420公報記載の小径着色磁性粉を用いてもよい。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが望ましい。この光干渉薄膜とは、SiOやTiO等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光を波長選択的に反射するものである。
【0038】
以下、本実施形態に係る電気泳動粒子の製造方法について説明する。
【0039】
まず、電気泳動粒子本体の製造方法の一例について説明する。
電気泳動粒子本体を作製する方法としては、従来公知のどの方法を用いてもよい。例えば、特開平7−325434公報記載のように、樹脂、顔料及び帯電制御剤を目的とする混合比になるように計量し、樹脂を加熱溶融させた後に顔料を添加して混合、分散させ、冷却した後、ジェットミル、ハンマーミル、ターボミル等の粉砕機を用いて粒子を調製し、得られた粒子をその後分散媒に分散する方法が使用される。また、懸濁重合、乳化重合、分散重合等の重合法やコアセルベーション、メルトディスパージョン、エマルジョン凝集法で帯電制御剤を粒子中に含有させた粒子を調製し、その後分散媒に分散して粒子分散媒を作製してもよい。さらにまた、樹脂が可塑性を有しており、分散媒が沸騰せず、かつ、樹脂、帯電制御剤及び着色剤の少なくとも一方の分解点よりも低温で、前記の樹脂、着色剤、帯電制御剤及び分散媒の原材料を分散及び混錬する適当な装置を用いる方法がある。具体的には、流星型ミキサー、ニーダー等で顔料と樹脂、帯電制御剤を分散媒中で加熱溶融し、樹脂の溶媒溶解度の温度依存性を利用して、溶融混合物を撹拌しながら冷却し、凝固/析出させて粒子を作製する。
【0040】
さらにまた、分散及び混練のための粒状メデイアを装備した適当な容器、例えばアトライター、加熱したボールミル等の加熱された振動ミル中に上記の原材料を投入し、この容器を望ましい温度範囲、例えば80℃以上160℃以下で分散及び混練する方法を使用してもよい。粒状メデイアとしては、ステンレス鋼、炭素鋼等の鋼、アルミナ、ジルコニア、シリカ等が望ましく用いられる。この方法によって泳動粒子を作製するには、あらかじめ流動状態にした原材料をさらに粒状メデイアによって容器内に分散させた後、分散媒を冷却して分散媒から着色剤を含む樹脂を沈殿させる。粒状メデイアは冷却中及び冷却後にも引き続き運動状態を保ちながら、剪断及び/又は、衝撃を発生させ粒子径を小さくする。
【0041】
次に、電気泳動粒子本体の表面に、電解質材料を付着させる方法の一例について説明する。
ここで、表面が帯電した部材を、反対電荷を持つ材料が溶解又は分散した溶液に浸漬すると、本部材と本材料間に静電相互作用(静電吸着作用)が働き、本部材の表面に本材料の層が形成される。この静電相互作用(静電吸着作用)は、吸着対象のデバイ長、van der Waals力、エントロピー等が相互に働くことで作用するものと考えられる。
【0042】
つまり、電解質材料を電気泳動粒子本体の表面に付着させる方法は、この静電相互作用(静電吸着作用)を利用する。
例えば、表面が帯電した電気泳動粒子本体に応じて、そのカウンターチャージを持つ電解質材料(電気泳動粒子の表面が正帯電の場合、アニオン性電解質材料、電気泳動粒子の表面が負帯電の場合、カチオン性電解質材料)を選択することで、当該電解質材料を電気泳動粒子の表面に吸着(付着)させられる。
また、電気泳動粒子の表面の帯電性にバラツキ(つまり帯電部位に密度バラツキ)があっても、例えば、電解質材料が溶解又は分散した溶液のPhを調整し、デバイ長の効果を大きくすることで、電気泳動粒子全体としてのゼータ電位をプラス(正帯電)、若しくはマイナス(負帯電)とすることで、そのカウンターチャージを持つ電解質材料を吸着(付着)させられる。
そして、吸着後(付着後)、純水での洗浄を行うことにより、電気泳動粒子本体の表面に厚みを持って電解質層が形成された電気泳動粒子が得られる。
【0043】
具体的には、例えば、得られる電気泳動粒子にマイナス電荷(負帯電)を持たせたい場合、電気泳動粒子本体のゼータ電位が+電位を持つph濃度に調整した純水中に、電解質材料を溶解又は分散させ、当該溶液と電気泳動粒子本体を混合することで、電気泳動粒子本体の表面への電解質層の形成を行った後、純水中で微粒子の洗浄を行えばよい。
一方、得られる電気泳動粒子にプラス電荷(正帯電)を持たせたい場合、電気泳動粒子のゼータ電位が−電位を持つph濃度に調整した純水中に、カチオン性電解質材料を溶解又は分散させ、当該溶液と電気泳動粒子本体を混合することで、電気泳動粒子本体の表面への電解質層の形成を行った後、純水中で微粒子の洗浄を行えばよい。
【0044】
また、電解質材料としてアニオン性電解質材料及びカチオン性電解質材料が電気泳動粒子本体の径方向に向かって交互に積層した電解質層を形成する場合には、上記操作を繰り返し行うことで実現される。
ここで、アニオン性電解質材料の電解質層、カチオン性電解質材料の電解質層を交互に形成する際、各電解質層の厚みを部分的に異ならせ、得られる電気泳動粒子の形状を制御するためには、例えば、弱電解質アニオンと強電解質カチオンを交互に積層すれば、弱電解質アニオンは解離度が低いため表面に微小な凹凸を生じ、積層を繰り返すことで凹凸の大きさを制御した粒子形状が得られる。
【0045】
以下、本実施形態に係る電気泳動粒子について説明する。
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液は、分散媒と、分散媒に分散された電気泳動粒子と、を備える。
そして、電気泳動粒子として、上記本実施形態に係る電気泳動粒子を適用する。
【0046】
なお、本実施形態に係る電気泳動粒子分散液は、1種の電気泳動粒子が分散媒に分散されたものであってもよいが、1)帯電極性が異なる電気泳動粒子と、2)帯電極性が同じであっても、電界に応じて移動するために必要な電圧が異なる電気泳動粒子と、を組み合わせて、複数種の電気泳動粒子が分散媒に分散されているもよい。
【0047】
分散媒について説明する。
電気泳動粒子が分散される分散媒としては、絶縁性液体であることが望ましい。ここで、「絶縁性」とは、体積固有抵抗が1011Ωcm以上であることを示している。以下同様である。
【0048】
絶縁性液体として具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、パラフィン、イソパラフィン、シリコーンオイル、高純度石油、エチレングリコール、アルコール類、エーテル類、エステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ベンジン、ジイソプロピルナフタレン、オリーブ油、トリクロロトリフルオロエタン、テトラクロロエタン、ジブロモテトラフルオロエタンなどや、それらの混合物が好適に使用される。これらの中でも、シリコーンオイルを適用することがよい。
【0049】
また、下記体積抵抗値となるよう不純物を除去することで、水(所謂、純水)も、分散媒として好適に使用される。該体積抵抗値としては、10Ωcm以上であることが望ましく、10Ωcm以上1019Ωcm以下であることがより好適であり、さらに1010Ωcm以上1019Ωcm以下であることがより良い。本範囲の体積抵抗値とすることで、より効果的に、電気泳動粒子に電界を印加させ、かつ、電極反応に起因する液体の電気分解による気泡の発生が抑制され、通電毎に電気泳動粒子の泳動特性が損なわれることが少なく、優れた繰り返し安定性が付与される。
【0050】
なお、絶縁性液体には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよいが、上記で示した特定の体積抵抗値の範囲となるように添加することが望ましい。
【0051】
また、絶縁性液体には、帯電制御剤として、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、金属石鹸、アルキルリン酸エステル類、コハク酸イミド類等を添加して使用してもよい。
【0052】
イオン性及び非イオン性の界面活性剤としては、より具体的には以下があげられる。ノニオン活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸等がある。カチオン界面活性剤としては、第一級ないし第三級のアミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら帯電制御剤は、粒子固形分に対して0.01質量%以上、20質量%以下が望ましく、特に0.05質量%以上10質量%以下の範囲が望ましい。0.01質量%を下回ると、希望とする帯電制御効果が不充分であることがあり、また20質量%を越えると、現像液の過度な電導度の上昇を引き起こすことがあり、使い難くなるからである。
【0053】
なお、分散媒は、前記絶縁性液体と共に高分子樹脂を併用してもよい。高分子樹脂としては、高分子ゲル、高分子ポリマー等であることも望ましい。
【0054】
高分子樹脂としては、アガロース、アガロペクチン、アミロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、イソリケナン、インスリン、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カードラン、カゼイン、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、カロース、寒天、キチン、キトサン、絹フィブロイン、クアーガム、クインスシード、クラウンゴール多糖、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、ケラチン蛋白質、コラーゲン、酢酸セルロース、ジェランガム、シゾフィラン、ゼラチン、ゾウゲヤシマンナン、ツニシン、デキストラン、デルマタン硫酸、デンプン、トラガカントゴム、ニゲラン、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、プスツラン、フノラン、分解キシログルカン、ペクチン、ポルフィラン、メチルセルロース、メチルデンプン、ラミナラン、リケナン、レンチナン、ローカストビーンガム等の天然高分子由来の高分子ゲルが挙げられる他、合成高分子の場合にはほとんどすべての高分子ゲルが挙げられる。
【0055】
更に、アルコール、ケトン、エーテル、エステル、及びアミドの官能基を繰り返し単位中に含む高分子等が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミドやその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドやこれら高分子を含む共重合体が挙げられる。
【0056】
これら中でも、製造安定性、電気泳動特性等の観点から、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリルアミド等が望ましく用いられる。
【0057】
また、分散媒に下記着色剤を混合することで、例えば、表示媒体に電気泳動粒子の色とは異なる色を表示させる。例えば、着色剤として白色を示す着色剤を混合することにより、電気泳動粒子の色が黒色の場合には、例えば、表示媒体にいて白色と黒色とを表示する。
【0058】
分散媒に混合する着色剤としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして挙げられる。
【0059】
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散剤、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。また、本実施形態に係る電気泳動粒子分散液には、帯電制御剤を添加してもよい。
【0060】
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液中の電気泳動粒子の濃度は、表示特性や応答特性あるいはその用途によって種々選択されるが0.1質量%以上30質量%以下の範囲で選択されることが望ましい。色の異なった粒子を混合する場合にはその粒子総量が上記範囲であると望ましい。
【0061】
以上説明した本実施形態に係る電気泳動粒子(その分散液)は、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)、液体現像方式電子写真システムの液体トナーなどに利用される。なお、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)としては、公知である電極(基板)面の対向方向に粒子群を移動させる方式、それとは異なり電極(基板)面に沿った方向に移動させる方式(いわゆるインプレーン型素子)、又はこれらを組み合わせたハイブリッド素子がある。
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液において、電気泳動粒子として色や帯電極性の異なる複数種の粒子を混合して使用すれば、カラー表示が実現される表示媒体が得られる。
【0062】
(表示媒体、表示装置)
以下、実施形態に係る表示媒体、及び表示装置の一例について説明する。
【0063】
−第1実施形態−
図1は、第1実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図2は、第1実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
【0064】
第1実施形態に係る表示装置10は、その表示媒体12の分散媒50と粒子群34とを含む粒子分散液として、本実施形態に係る電気泳動粒子分散液を適用する形態である(つまり、粒子群34として本実施形態に係る電気泳動粒子分散液を適用する形態である)。
具体的には、粒子群34として、粒子群34Aと、当該粒子群34Aとは異なる色を呈し、且つ帯電極性が異なる粒子群34Bと、を適用した形態である。
【0065】
本実施形態に係る表示装置10は、図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
【0066】
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を特定間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子群36を含んで構成されている。
【0067】
上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。セル中には、分散媒50が封入されている。粒子群34は、複数の粒子から構成されており、この分散媒50中に分散され、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との基板間を反射粒子群36の間隙を通じて移動する。
【0068】
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎の表示を行うように構成してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0070】
まず、一対の基板について説明する。表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を積層した構成となっている。
【0071】
表示基板20、又は表示基板20と背面基板22との双方は、透光性を有している。ここで、本実施形態における透光性とは、可視光の透過率が60%以上であることを示している。
【0072】
支持基板38及び支持基板44の材料としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
【0073】
表面電極40及び背面電極46の材料としては、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が挙げられる。表面電極40及び背面電極46は、これらの単層膜、混合膜又は複合膜のいずれであってもよい。表面電極40及び背面電極46の厚さは、例えば、100Å以上2000Å以下であることがよい。背面電極46及び表面電極40は、例えば、マトリックス状、又はストライプ状に形成されていてもよい。
【0074】
また、表面電極40を支持基板38に埋め込んでもよい。また、背面電極46を支持基板44に埋め込んでもよい。この場合、支持基板38及び支持基板44の材料を粒子群34の各粒子の組成等に応じて選択する。
【0075】
なお、背面電極46及び表面電極40各々を表示基板20及び背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
【0076】
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40及び背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にだけ設けるようにして、アクティブマトリクス駆動させるようにしてもよい。
【0077】
また、アクティブマトリックス駆動を実施するために、支持基板38及び支持基板44は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。TFTは表示基板ではなく背面基板22に備えることがよい。
【0078】
次に、表面層について説明する。表面層42及び表面層48は、表面電極40及び背面電極46各々上に形成されている。表面層42及び表面層48を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0079】
表面層42及び表面層48は、上記樹脂と電荷輸送物質を含んで構成されていてもよく、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を含んで構成されてもよい。
【0080】
次に、間隙部材について説明する。表示基板20と背面基板22との基板間の隙を保持するための間隙部材24は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で構成される。
【0081】
間隙部材24は表示基板20及び背面基板22の何れか一方と一体化されてもよい。この場合には、支持基板38又は支持基板44をエッチングするエッチング処理、レーザー加工処理、予め作製した型を使用してプレス加工処理又は印刷処理等を行うことによって作製する。
この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、又は双方に作製する。
【0082】
間隙部材24は有色でも無色でもよいが、無色透明であることがよく、その場合には、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等で構成される。
【0083】
また、粒子状の間隙部材24もまた透明であることが望ましく、ポリスチレン、ポリエステル又はアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用される。
なお、「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
【0084】
次に、反射粒子群について説明する。反射粒子群36は、粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子から構成され、粒子群34とは異なる色を表示する反射部材として機能するものである。そして、表示基板20と背面基板22との基板間の移動を阻害することなく、移動させる空隙部材としての機能も有している。すなわち、反射粒子群36の間隙を通って、背面基板22側から表示基板20側、又は表示基板20側から背面基板22側へ粒子群34の各粒子は移動される。この反射粒子群子36の色としては、例えば、背景色となるように白色又は黒色を選択することがよいが、その他の色であってもよい。また、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群(つまり電界に応じて移動しない粒子郡)であってもよいし、帯電されている粒子群(電界に応じて移動する粒子郡)であってもよい。なお、本実施形態では、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群で、白色である場合を説明するが、これに限定されることはない。
【0085】
反射粒子群36の粒子は、例えば、白色顔料(例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛など)を、樹脂(例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物等)に分散した粒子が挙げられる。また、反射粒子群36の粒子として、白色以外の粒子を適用する場合、例えば、所望の色の顔料、あるいは染料を内包した前記した樹脂粒子を使用してもよい。顔料や染料は、例えばRGBやYMC色であれば、印刷インキやカラートナーに使用されている一般的な顔料又は染料が挙げられる。
【0086】
反射粒子群36を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、反射粒子群36を固定化する場合、例えば、反射粒子群36を封入した後、加熱(及び必要があれば加圧)して、反射粒子群36の粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行われる。
【0087】
表示媒体12における上記セルの大きさとしては、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度な画像を表示する表示媒体12を作製することができ、通常、表示媒体12の表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下程度である。
【0088】
上記表示基板20及び背面基板22を、間隙部材24を介して互いに固定するには、ボルトとナットの組み合わせ、クランプ、クリップ、基板固定用の枠等の固定手段を使用する。また、接着剤、熱溶融、超音波接合等の固定手段も使用してもよい。
【0089】
このように構成される表示媒体12は、例えば、画像の保存及び書換えがなされる掲示板、回覧版、電子黒板、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、及び複写機・プリンタと共用するドキュメントシート等に使用する。
【0090】
上記に示したように、本実施形態に係る表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18とを含んで構成されている(図1参照)。
【0091】
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、表面電極40及び背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40及び背面電極46の一方が、接地されており、他方が電圧印加部16に接続された構成であってもよい。
【0092】
電圧印加部16は、制御部18に信号授受されるように接続されている。
【0093】
制御部18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。
【0094】
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40及び背面電極46間に印加する
【0095】
次に、表示装置10の作用を説明する。この作用は制御部18の動作に従って説明する。
【0096】
ここで、表示媒体12に封入されている粒子群34のうち、粒子群34Bが負極性に帯電されており、粒子群34Bが正極性に帯電されている場合を説明する。また、分散媒50は透明であり、反射粒子群36が白色であるものとして説明する。すなわち、本実施形態では、表示媒体12は、粒子群34A及び粒子群34Bの移動によって、それぞれの呈する色を表示し、その背景色として白色を表示する場合を説明する。
【0097】
まず、電圧を、特定時間、表面電極40が負極となり背面電極46が正極となるように印加することを示す初期動作信号を、電圧印加部16へ出力する。基板間に負極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、負極に帯電している粒子群34Aを構成する粒子が背面基板22側へと移動して、背面基板22に到る(図2(A)参照)。一方で、正極に帯電している粒子群34Bを構成する粒子が表示基板20側へと移動して、表示基板20に至る(図2(A)参照)。
このとき、表示基板20側から視認される表示媒体12の色は、反射粒子群36の色としての白色を背景色とし、粒子群34Bの呈する色が視認される。なお、粒子群34Aは、反射粒子群36に隠蔽され、視認され難くなる。
【0098】
このT1時間は、初期動作における電圧印加における電圧印加時間を示す情報として、予め制御部18内の図示を省略するROM等のメモリ等に記憶しておけばよい。そして、処理実行のときに、この特定時間を示す情報を読み取るようにすればよい。
【0099】
次に、表面電極40と背面電極46との電極間に、基板間に印加した電圧とは極性を反転させて、表面電極40を正極とし背面電極46を負極として電圧を印加すると、負極に帯電している粒子群34Aは表示基板20側へと移動し、表示基板20側に至る(図2(B)参照)。一方で、正極に帯電している粒子群34Bを構成する粒子が背面基板22側へと移動して、背面基板22に至る(図2(B)参照)。
このとき、表示基板20側から視認される表示媒体12の色は、反射粒子群36の色としての白色を背景色とし、粒子群34Aの呈する色が視認される。なお、粒子群34Bは、反射粒子群36に隠蔽され、視認され難くなる。
【0100】
このように、本実施形態に係る表示装置10では、粒子群34(粒子群34A、粒子群34B)が表示基板20又は背面基板22に到達して、付着することで表示が行われる。
【0101】
−第2実施形態−
以下、第2実施形態に係る表示装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図4は、第2実施形態に係る表示装置における、印加する電圧と粒子の移動量(表示濃度)との関係を模式的に示す線図である。図5は、第2実施形態に係る表示装置における、表示媒体の基板間へ印加する電圧態様と、粒子の移動態様との関係を模式的に示す説明図である。
【0102】
第2実施形態に係る表示装置10は、2種類以上の粒子群を適用した形態である。なお、2種類以上の粒子群は、全て同じ極性で帯電されている。
【0103】
第2実施形態に係る表示装置10は、図3に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
なお、本実施形態に係る表示装置10は、上記第1実施形態で説明した表示装置10と略同一の構成であるため、同一構成には同一符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0104】
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を定められた間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34、および粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子群36を含んで構成されている。
表示基板20および背面基板22の対向面は、第1実施形態に記載のごとく帯電処理されており、この対向面上には、表面層42および表面層48各々が設けられている。
【0105】
本実施形態では、粒子群34として、互いに色の異なる複数種の粒子群34が分散媒50に分散されている。
【0106】
なお、本実施形態では3種類の粒子群34として、互いに色の異なる粒子群34、即ちイエロー色のイエロー粒子群34Y、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、およびシアン色のシアン粒子群34Cが分散されているとして説明するが、3種類に限られない。
この複数種類の粒子群34は、基板間を電気泳動する粒子群であり、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。すなわち、各色の粒子群34(イエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、およびシアン粒子群34C)は、色毎に各色の粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲を有し、当該電圧範囲がそれぞれ異なる。
【0107】
この電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が異なる複数種の粒子群34の各粒子としては、前述の泳動粒子を構成する材料の内の、例えば、粒子を構成する樹脂の種類や濃度、帯電制御剤の量等を換える等して、帯電量の異なる粒子を含む粒子分散液をそれぞれ作製し、これを混合することで得られる。
【0108】
ここで、上述のように、本実施形態に係る表示媒体12には3種類の粒子群34として、互いに色の異なるイエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、およびシアン粒子群34Cが分散されており、これらの複数種類の粒子群34は、電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が各色の粒子群でそれぞれ異なる。
【0109】
なお、本実施形態では、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、およびイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々が移動を開始するときの電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vtm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vtc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vty|であるとして説明する。また、各色粒子群34のゼンタ色のマゼンタ粒子群34M、シアン色のシアン粒子群34C、およびイエロー色のイエロー粒子群34Yの3色の粒子群各々を全て移動させるための最大電圧の絶対値として、マゼンタ色のマゼンタ粒子群34Mが|Vdm|、シアン色のシアン粒子群34Cが|Vdc|、イエロー色のイエロー粒子群34Yが|Vdy|であるとして説明する。
【0110】
なお、以下で説明するVtc、−Vtc、Vdc、−Vdc、Vtm、−Vtm、Vdm、−Vdm、Vty、−Vty、Vdy、及び−Vdyの絶対値は、|Vtc|<|Vdc|<|Vtm|<|Vdm|<|Vty|<|Vdy|の関係であるとして説明する。
【0111】
具体的には、図4に示すように、例えば、3種類の粒子群34は、全て同極性に帯電された状態で分散媒50内に分散され、シアン粒子群34Cを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtc≦Vc≦Vdc|(Vtc以上Vdc以下の値の絶対値)、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(Vtm以上Vdm以下の値の絶対値)、およびイエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以下の値の絶対値)が、この順で重複することなく、大きくなるように設定されている。
【0112】
また、各色の粒子群34を独立駆動するために、シアン粒子群34Cを全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdc|が、マゼンタ粒子群34Mを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vtm≦Vm≦Vdm|(Vtm以上Vdm以下の値の絶対値)、およびイエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以下の値の絶対値)よりも小さく設定されている。また、マゼンタ粒子群34Mを全て移動させるための最大電圧の絶対値|Vdm|が、イエロー粒子群34Yを移動させるために必要な電圧範囲の絶対値|Vty≦Vy≦Vdy|(Vty以上Vdy以上の値の絶対値)よりも小さく設定されている。
【0113】
即ち、本実施形態では、各色の粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲が重ならないように設定することによって、各色の粒子群34が独立駆動されるようにしている。
【0114】
なお、「粒子群34を移動させるために必要な電圧範囲」とは、粒子が移動開始するために必要な電圧と移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和するまでの電圧範囲を示す。
また、「粒子群34を全て移動させるために必要な最大電圧」とは上記の移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和する電圧を示す。
また、「全て」とは、各色の粒子群34の特性バラツキがあるため、一部の粒子群34の特性が表示特性に寄与しない程度異なるものがあることを含む。すなわち上述した移動開始からさらに電圧および電圧印加時間を増加させても、表示濃度の変化が生じなくなり、表示濃度が飽和した状態である。
また、「表示濃度」は、表示面側における色濃度を光学濃度(Optical Density=OD)の反射濃度計X−rite社の反射濃度計で測定しながら、表示面側と背面側との間に電圧を印加して且つこの電圧を測定濃度が増加する方向に徐々に変化(印加電圧を増加または減少)させて、単位電圧あたりの濃度変化が飽和し、且つその状態で電圧および電圧印加時間を増加させても濃度変化が生じず、濃度が飽和したときの濃度を示している。
【0115】
そして、本実施形態に係る表示媒体12では、表示基板20と背面基板22との基板間に0Vから電圧を印加して除々に印加電圧の電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtcを超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdcとなると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0116】
さらに電圧値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vtmを超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が+Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0117】
さらに、電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vtyを超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値を上昇させて、基板間に印加された電圧が+Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0118】
反対に、表示基板20と背面基板22との基板間に0Vからマイナス極の電圧を印加して除々に電圧の絶対値を上昇させ、基板間に印加された電圧−Vtcの絶対値を超えると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの基板間の移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに、電圧値の絶対値を上昇させ、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdc以上となると、表示媒体12においてシアン粒子群34Cの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0119】
さらに電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表示基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtmの絶対値を超えると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、表示基板20と背面基板22との基板間に印加された電圧が−Vdmとなると、表示媒体12においてマゼンタ粒子群34Mの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0120】
さらに電圧値の絶対値を上昇させてマイナス極の電圧を印加し、表示基板20と背面基板22との基板間に印加される電圧が−Vtyの絶対値を超えると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動により表示濃度に変化が現れ始める。さらに電圧値の絶対値を上昇させて、基板間に印加された電圧が−Vdyとなると、表示媒体12においてイエロー粒子群34Yの移動による表示濃度の変化が止まる。
【0121】
すなわち、本実施形態では、図4に示すように、基板間に印加される電圧が−Vtcから+Vtcの範囲内(電圧範囲|Vtc|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子群34(シアン粒子群34C、マゼンタ粒子群34M、およびイエロー粒子群34Y)の粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtcおよび電圧−Vtcの絶対値より高い電圧が印加されると、3色の粒子群34の内のシアン粒子群34Cについて表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じはじめて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdcおよび電圧Vdcの絶対値|Vdc|以上の電圧が印加されると、単位電圧あたりの表示濃度に変化は生じなくなる。
【0122】
さらに、基板間に印加される電圧が−Vtmから+Vtmの範囲内(電圧範囲|Vtm|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程のマゼンタ粒子群34Mおよびイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtmおよび電圧−Vtmの絶対値より高い電圧が印加されると、マゼンタ粒子群34Mおよびイエロー粒子群34Yの内のマゼンタ粒子群34Mについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じはじめて単位電圧あたりの表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdmおよび電圧Vdmの絶対値|Vdm|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
【0123】
さらに、基板間に印加する電圧が−Vtyから+Vtyの範囲内(電圧範囲|Vty|以下)となる電圧が表示基板20と背面基板22との基板間に印加された場合には、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程のイエロー粒子群34Yの粒子の移動は生じていないといえる。そして、基板間に、電圧+Vtyおよび電圧−Vtyの絶対値より高い電圧が印加されると、イエロー粒子群34Yについて、表示媒体12の表示濃度に変化が発生する程の粒子の移動が生じ始めて表示濃度に変化が生じはじめ、電圧−Vdyおよび電圧Vdyの絶対値|Vdy|以上の電圧が印加されると、表示濃度に変化は生じなくなる。
【0124】
次に、図5を参照して、表示媒体12に画像を表示するときの粒子移動のメカニズムを説明する。
【0125】
例えば、表示媒体12に、複数種類の粒子群34として、図4を用いて説明したイエロー粒子群34Y、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34Cが封入されているとして説明する。
【0126】
また、以下では、イエロー粒子群34Yを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つイエロー粒子群34Yの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「大電圧」と称し、マゼンタ粒子群34Mを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つマゼンタ粒子群34Mの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「中電圧」と称し、シアン粒子群34Cを構成する粒子が移動開始するために必要な電圧の絶対値より大きく、且つシアン粒子群34Cの上記最大電圧以下で基板間に印加する電圧を「小電圧」と称して説明する。
【0127】
また、表示基板20側に背面基板22側より高い電圧を基板間に印加する場合には、各々の電圧を、「+大電圧」、「+中電圧」、及び「+小電圧」と各々と称する。また、背面基板22側に表示基板20側より高い電圧を基板間に印加する場合には、各々の電圧を、「−大電圧」、「−中電圧」、及び「−小電圧」と各々と称して説明する。
【0128】
図5(A)に示すように、初期状態では全ての粒子群としてのマゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yの全てが背面基板22側に位置されるとすると(白色表示状態)、この初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+大電圧」を印加させると、全ての粒子群として、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yが表示基板20側に移動する。この状態で、電圧印加を解除しても、各粒子群各々は表示基板20側に付着したまま移動せずに、マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Yによる減色混合(マゼンタと、シアンと、イエロー色の減色混合)により黒色を表示したままの状態となる。(図5(B)参照)。
【0129】
次に、図5(B)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−中電圧」を印加させると、全ての色の粒子群34の内、マゼンタ粒子群34Mと、シアン粒子群34Cと、が背面基板22側に移動する。このため、表示基板20側にはイエロー粒子群34Yのみが付着した状態となることから、イエロー色表示がなされる(図5(C)参照)。
【0130】
さらに、図5(C)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+小電圧」を印加させると、背面基板22側に移動したマゼンタ粒子群34Mおよびシアン粒子群34Cの内、シアン粒子群34Cが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、イエロー粒子群34Yおよびシアン粒子群34Cが付着した状態となり、イエローとシアンとの減色混合による緑色が表示される(図5(D)参照)。
【0131】
また、上記図5(B)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−小電圧」を印加させると、全ての粒子群34の内、シアン粒子群34Cが背面基板22側に移動する。このため、表示基板20側にはイエロー粒子群34Yとマゼンタ粒子群34Mが付着した状態となることから、シアンとマゼンタの加色混合による赤色表示がなされる(図5(I)参照)。
【0132】
一方、図5(A)に示す上記初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+中電圧」を印加させると、全ての粒子群34(マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Y)の内、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cとが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、マゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cとが付着するので、マゼンタとシアンの減色混合による青色が表示される(図5(E)参照)。
【0133】
この図5(E)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−小電圧」を印加させると、表示基板20側に付着しているマゼンタ粒子群34Mとシアン粒子群34Cの内の、シアン粒子群34Cが背面基板22側に移動する。
このため、表示基板20側には、マゼンタ粒子群34Mのみが付着した状態となるので、マゼンタ色が表示される(図5(F)参照)。
【0134】
この図5(F)の状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、表示基板20側に付着しているマゼンタ粒子群34Mが背面基板22側に移動する。
このため、表示基板20側には、何も付着しない状態となるため、反射粒子群36の色としての白色が表示される(図5(G)参照)。
【0135】
また、上記図5(A)に示す上記初期状態から、表示基板20と背面基板22との間に「+小電圧」を印加させると、全ての粒子群34(マゼンタ粒子群34M、シアン粒子群34C、およびイエロー粒子群34Y)の内、シアン粒子群34Cが表示基板20側に移動する。このため、表示基板20側には、シアン粒子群34Cが付着するので、シアン色が表示される(図5(H)参照)。
【0136】
さらに、上記図5(I)に示す状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、図5(G)に示すように全ての粒子群34が背面基板22側に移動して白色表示がなされる。
また、上記図5(D)に示す状態から、表示基板20と背面基板22との間に「−大電圧」を印加させると、図5(G)に示すように全ての粒子群34が背面基板22側に移動して白色表示がなされる。
【0137】
本実施形態では、各粒子群34に応じた電圧を基板間に印加することで、当該電圧による電界に応じて選択的に目的とする粒子を移動させるので、目的とする色以外の色の粒子が分散媒50中を移動することを抑制され、目的とする色以外の色が混じる混色が抑制され、表示媒体12の画質劣化を抑制しつつ、カラー表示がなされる。
なお、各粒子群34は、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧の絶対値が異なれば、互いに電界に応じて移動するために必要な電圧範囲が重なっていても、鮮明なカラー表示が実現されるが、当該電圧範囲が互いに異なるほうが、より混色を抑制してカラー表示が実現される。
【0138】
また、シアン、マゼンタ、イエローの3色の粒子群34を分散媒50中に分散することによって、シアン、マゼンタ、イエロー、青色、赤色、緑色、および黒色を表示すると共に、例えば、白色の反射粒子群36によって白色を表示し、特定のカラー表示を行うことが実現される。
【0139】
なお、上記いずれの実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、表示基板20に表面電極40、背面基板22に背面電極46を設けて当該電極間(即ち基板間)に電圧を印加して、当該基板間を粒子群34を移動させて表示させる形態を説明したが、これに限られず、電極間を移動する形態(電極間に電気泳動粒子分散媒)、例えば、表示基板20に表面電極40を設ける一方で、間隙部材に電極を設けて、当該電極間に電圧を印加して、表示基板20と間隙部材との間を粒子群34を移動させて表示させる形態であってもよい。
【0140】
上記いずれの実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、表示基板20に表面電極40、背面基板22に背面電極46を設けて、表示媒体12を構成した形態を説明したが、各電極を表示媒体12の外部に配した形態であってもよい。
【0141】
また、上記いずれの実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、粒子群34として2又は3種種類(2色又は3色)の粒子群(34A、34B)を適用した形態を説明したが、1種類(1色)の粒子群を適用した形態であってもよいし、4種類(4色)以上の粒子群を適用した形態であってもよい。
【実施例】
【0142】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
【0143】
[実施例1]
(マゼンタ粒子分散液の調製)
−分散液Aの調製−
下記成分を混合し、10mmΦのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施して分散液Aを調製した。
<組成>
・メタクリル酸シクロヘキシル:53質量部
・マゼンタ顔料 (カーミン6B:大日精化社製):3質量部
・帯電制御剤(COPY CHARGE NY VP2351:クラリアントジャパン製):2質量部
・シクロヘキサン:5質量部
【0144】
−炭カル分散液Bの調製−
下記成分を混合し、上記と同様にボールミルにて微粉砕して炭カル分散液Bを調製した。
<組成>
・炭酸カルシウム:40質量部
・水:60質量部
【0145】
−混合液Cの調製−
下記成分を混合し、超音波機で脱気を10分間おこない、ついで乳化機で攪拌して混合液Cを調製した。
<組成>
・2質量%セロゲン水溶液(第一工業製薬社製):4.3g
・炭カル分散液B:8.5g
・20質量%食塩水:50g
【0146】
分散液A35gとジビニルベンゼン1g、重合開始剤AIBN(アゾビスイソブチロニトリル):0.35gをはかりとり、充分混合し、超音波機で脱気を10分おこなった。
これを前記混合液Cに加え、乳化機で乳化を実施した。
次に、この乳化液をビンにいれ、シリコーン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に60℃で10時間反応させ粒子を調製した。冷却後、この分散液を凍結乾燥機により−35℃、0.1Paの下で2日間でシクロヘキサンを除去した。得られた粒子をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。その後、蒸留水で洗浄した後、10−2M/pH7.5のポリアリルアミン塩酸液水溶液中で粒子を撹拌し、3時間、ポリアリルアミン塩酸塩を粒子表面に吸着させた。得られた粒子を乾燥させた後、2質量部をノニオン系界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテル2質量部と共に、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製KF−96L−1cs)98質量部に投入し、攪拌分散してマゼンタ粒子分散液を調製した。マゼンタ粒子の体積平均粒子径は1μmであった。
本分散液中のマゼンタ粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、正帯電であった。
【0147】
[実施例2]
(シアン粒子分散液の調製>
マゼンタ顔料に代えて、シアン顔料(シアニンブルー4933M;大日精化社製))を用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリアリルアミン塩酸塩を粒子表面に吸着させた。
次に、粒子を10−2M/pH3.5ポリアクリル酸水溶液中で微粒子を撹拌し、一時間ポリアニオンを表面粒子に吸着させた。得られた粒子を乾燥させた後、2質量部をノニオン系界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテル2質量部と共に、ジメチルシリコーンオイル(信越シリコーン社製KF−96L−1cs)98質量部に投入し、攪拌分散してシアン粒子分散液を調製した。シアン粒子の体積平均粒子径は1μmであった。
本分散液中のシアン粒子の帯電極性を、枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
【0148】
[実施例3]
ポリアリルアミン塩酸塩に代えて、強電解質であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを用いた以外は、実施例1と同様にして、マゼンタ粒子を作製した。
本分散液中のマゼンタ粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、正帯電であった。
【0149】
[実施例4]
実施例3にて、マゼンタ顔料に代えてシアン顔料を用い、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを吸着させた後、粒子をチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド50%水溶液中で微粒子を撹拌し、一時間電解質低分子を表面粒子に吸着させた。その後、実施例2と同様にしてシアン粒子分散液を調整した。
本分散液中のシアン粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
【0150】
[実施例5]
実施例2にて、ポリアリルアミン塩酸塩の代わりにAl粒子1%、pH3.5水溶液、ポリアクリル酸水溶液の代わりにTiO粒子1%、pH7.5水溶液を用い、Al、TiOを交互吸着させた以外は同様にして、シアン粒子分散液を調整した。本分散液中のシアン粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
【0151】
[実施例6]
実施例1で調整したマゼンタ粒子分散液のマゼンタ粒子の形状を観察したところ球状をなしていた。また、電解質材料を吸着(付着)させる前の粒子の形状も球状をなしていた。
これに対して、実施例1にて、ポリアリルアミン塩酸塩を粒子表面に吸着させた後、粒子を10−2M/pH3.5ポリアクリル酸水溶液中で微粒子を撹拌し、一時間ポリアニオンを表面粒子に吸着させた。さらに同様にポリアリルアミン塩酸塩/ポリアクリル酸を交互に10層吸着させ、最後に表面にポリアクリルアミン塩酸塩を吸着させた。このように作製したマゼンダ粒子を観察したところ、異形状(具体的には凸凹形状)をなしていた。
【0152】
[実施例7]
実施例1で調製したマゼンタ粒子分散液(固形分0.1質量部) 0.1質量部と、実施例2で作製したシアン泳動粒子分散液(固形分0.1質量部) 0.1質量部と、を混合し、混合電気泳動粒子分散液を調整した。
そして、実施例1及び2と同様にして、電気泳動粒子の固着、表示色濃度につき評価を行ったところ、各色(マゼンタ表示、シアン表示)の際、混色が見られず、実施例1及び2と同様の結果が得られた。
【0153】
[比較例1]
ポリアリルアミン塩酸塩を粒子表面に吸着させる処理を行わなかった以外は、実施例2と同様にして、シアン粒子分散液を調整した。
本分散液中のシアン粒子の帯電極性を、枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、正帯電であった。
【0154】
[評価]
(表示媒体の作製)
以下のようにして、上記第1実施形態と同様な構成の表示媒体を作製した(図1参照)。厚さ0.7mmのガラスからなる支持基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜した。このITO/ガラス基板で構成された背面基板に、サイトップ(旭硝子社製、CTL809M)を用いて層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ50μm、幅20μmの間隙部材を形成した。
【0155】
間隙部材の上部に熱融着性の接着層(図示せず)を形成した後、下記白色粒子群及び各例で得られた電気泳動粒子分散を充填し、背面基板と同様にして作製したITO/ガラスで構成され、且つ処理層の形成された表示基板を、互いの処理層の形成された側の面(電極面)が対向するように背面基板に張り合わせて熱をかけて表示媒体を作製した。
【0156】
このようにして表示媒体を作製した。
【0157】
(白色粒子の調製)
−分散液Aの調製−
下記成分を混合し、10mmΦのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施して分散液Aを調製した。
<組成>
・メタクリル酸シクロヘキシル :53質量部
・酸化チタン1(白色顔料) (一次粒子径0.3μm、タイペークCR63:石原産業社製) :45質量部
・シクロヘキサン:5質量部
【0158】
−炭カル分散液Bの調製−
下記成分を混合し、上記と同様にボールミルにて微粉砕して炭カル分散液Bを調製した。
<組成>
・炭酸カルシウム:40質量部
・水:60質量部
【0159】
−混合液Cの調製−
下記成分を混合し、超音波機で脱気を10分間おこない、ついで乳化機で攪拌して混合液Cを調製した。
<組成>
・2質量%セロゲン水溶液(第一工業製薬社製):4.3g
・炭カル分散液B:8.5g
・20質量%食塩水:50g
【0160】
分散液A35gとジビニルベンゼン1g、重合開始剤AIBN(アゾビスイソブチロニトリル):0.35gをはかりとり、充分混合し、超音波機で脱気を10分おこなった。これを前記混合液Cに加え、乳化機で乳化を実施した。次にこの乳化液をビンにいれ、シリコーン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に65℃で15時間反応させ粒子を調製した。冷却後、この分散液を凍結乾燥機により−35℃、0.1Paの下で2日間でシクロヘキサンを除去した。得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。その後充分な蒸留水で洗浄し、目開き:20μm、25μmのナイロン篩にかけ、粒度を揃えた。これを乾燥させ、体積平均粒子径20μmの白色粒子群を得た。これを白色粒子(反射粒子群)とした。
【0161】
(評価)
作製した表示媒体を用いて、表示基板の電極がプラス、背面基板の電極がマイナスとなるように両電極に50Vの電圧を印加し、また、表示基板の電極がマイナス、背面基板の電極がプラスとなるように両電極に50Vの電圧を印加し、この繰り返しにより、粒子を表示基板と背面基板との間を移動させ、電気泳動粒子の色を表示・非表示を行う操作を行った。
なお、電気泳動粒子の色の非表示のとき、表示媒体は白色粒子(反射粒子群)による白色を呈する。
【0162】
−電気泳動粒子の固着−
電気泳動粒子の固着について、上記表示・非表示の表示操作を、1回、100回、500回行った後に、それぞれ表示媒体を分解して、表示基板、背面基板及び間隙部材の各表面(セル構成面)を、光学顕微鏡にて観察して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
◎:粒子の固着なし
○:粒子の固着が僅かに見られるが、実用上問題ないレベル
×:多量の固着が見られ、目視でもはっきりとわかるレベル
【0163】
−表示色濃度−
電気泳動粒子の表示色濃度について、上記表示・非表示の操作を、1回、100回、500回行った後に、電気泳動粒子により呈する表示色濃度をX−Rite530(X−Rite社)にて測定した。そして、1回目の表示色濃度を初期濃度として、当該初期濃度に対する、100回、500回行った後の表示色濃度の比をそれぞれ調べた。評価基準は以下の通りである。
◎:初期濃度に対して98%以上
○:初期濃度に対して90%以上98%未満
△+:初期濃度に対して85%以上90%未満
△−:初期濃度に対して75%以上85%未満
×:初期濃度に対して75%未満
【0164】
【表1】

【0165】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、電気泳動粒子の固着、表示色濃度につき、良好な結果が得られたことがわかる。
【符号の説明】
【0166】
10 表示装置
12 表示媒体
16 電圧印加部
18 制御部
20 表示基板
22 背面基板
24 間隙部材
34(34A、34B、34Y、34C、34M) 粒子群
36 反射粒子群
38 支持基板
40 表面電極
42 表面層
44 支持基板
46 背面電極
48 表面層
50 分散媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気泳動粒子本体と、
前記電気泳動粒子本体の表面に付着した電解質材料と、
有する電気泳動粒子。
【請求項2】
前記電気泳動粒子本体の表面に、前記電解質材料としてアニオン性電解質材料及びカチオン性電解質材料が前記電気泳動粒子本体の径方向に向かって交互に積層した電解質層を有する請求項1に記載の電気泳動粒子。
【請求項3】
前記電解質材料が、電解質高分子である請求項1又は2に記載の電気泳動粒子。
【請求項4】
分散媒と、
前記分散媒に分散された電気泳動粒子であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気泳動粒子と、
を備えた電気泳動粒子分散液。
【請求項5】
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板間に封入された、請求項4に記載の電気泳動粒子分散液と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
【請求項6】
少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、
前記一対の電極間に設けられた、請求項4に記載の電気泳動粒子分散液を有する領域と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の表示媒体と、
前記表示媒体の前記一対の基板間又は前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−194248(P2012−194248A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56516(P2011−56516)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】