電気泳動表示装置、その製造方法及び腕時計
【課題】針穴等の貫通部を設けた場合においても、当該貫通部周辺領域に潰れ等の不良が発生することがなく、高い防水性を担保することが可能な電気泳動表示装置を提供すること。
【解決手段】この電気泳動表示装置は、積層体100と、積層体100を両面から被覆して封止する保護シート100a、100bとを含む。積層体100の貫通部5aに対応するの位置には、積層体100の厚み方向に向け第1の貫通部36が形成される。リング部材120は、積層体100と略同一の厚みをもち、積層体100の両面と略面一となるように所与のシール幅をもって第1の貫通部36の内周端を封止する。前記保護シート100a、100bは、前記略面一の積層体100及びリング部材120を両面から被覆して封止する。これにより、リング部材内周のリング穴122が前記貫通部5cとして構成される。
【解決手段】この電気泳動表示装置は、積層体100と、積層体100を両面から被覆して封止する保護シート100a、100bとを含む。積層体100の貫通部5aに対応するの位置には、積層体100の厚み方向に向け第1の貫通部36が形成される。リング部材120は、積層体100と略同一の厚みをもち、積層体100の両面と略面一となるように所与のシール幅をもって第1の貫通部36の内周端を封止する。前記保護シート100a、100bは、前記略面一の積層体100及びリング部材120を両面から被覆して封止する。これにより、リング部材内周のリング穴122が前記貫通部5cとして構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置、その製造方法及び腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液相分散媒と電気泳動粒子とを含む電気泳動分散液(電気的刺激に対して光学特性が変化する表示材料)を有し、電界を印加することにより、該電気泳動粒子の分布状態が変化して該電気泳動分散液の光学特性が変化することを利用した電気光学パネル(EPD:Electrophoretic Display)として、電気泳動表示装置が知られている。
【0003】
このような電気泳動表示装置は、バックライトが必要無いことから低コスト化や薄型化が可能となり、さらに、視野角が広くコントラストが高いことに加え、表示のメモリ性を有するために、次世代の表示デバイスとして注目を集めている。
【0004】
また、このような電気泳動表示装置においては、電気泳動分散液をマイクロカプセルに封入し、このマイクロカプセルを、例えば共通電極(透明電極)を有する透明基板と、画素電極(駆動電極)を有する基板との間に挟着したものが知られている。
【0005】
電気泳動分散液をマイクロカプセルに封入することにより、表示パネルの製造工程において分散液の流出を防止することができるとともに、電気泳動粒子の沈降や凝集を減少させることができるという利点がある。なお、これらの基板には、可撓性や割れ難さ、軽量化等の観点から、プラスチック等の材料が用いられている。このように、分散系を予めマイクロカプセル化する手法は近年広く利用されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、少なくとも一方が透明な一組の対向電極板間に、電気泳動粒子を含む分散系を封入したマイクロカプセルを配装した電気泳動表示装置が提案されている。
【0007】
また、特許文献2には、互いに対向配置される透光性の透明基板と非透光性の素子基板(背面基板)との対向する面それぞれに透明電極が形成され、これら透明電極間に形成される閉空間に多数のマイクロカプセルを配置した電気泳動表示装置が提案されている。
【0008】
このように、分散系をマイクロカプセル化することによって、分散系封入処理の容易化と良好な表示を実現させることを図っている。
【特許文献1】特開昭64−86116号公報
【特許文献2】特開平10−149118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような電気泳動表示装置は、液晶表示パネルと同様に、「小さく」、「薄く」構成することが可能なことから、最近では、腕時計に応用されつつある。
【0010】
この場合、表示パネルの中央部に、時針、秒針等の指針軸が挿通される針穴等の貫通部を設ける必要がある。
【0011】
しかし、このように電気泳動表示装置に貫通部等を設けると、貫通部において、電気泳動表示層の端部が露出し、ここから湿潤な環境に弱いこの表示層に水蒸気等の水分が進入してその電気的特性が劣化するという問題が発生する。
【0012】
このため、マイクロカプセルを用いた表示層を含む積層体を防水性の透明な保護シートで被覆し、保護する対策が講じられている。
【0013】
しかし、このような保護シートを設ける場合には、電気泳動表示装置に設けられた前記貫通部を、腕時計の表示パネルとしての製品の魅力を損なわないように、狭いシール幅でシールし当該個所の耐水性を確保することが難しいという問題が発生する。
【0014】
さらに、表示パネルの製造工程において、前記保護シート等をラミネートする際の加圧により、ダメージが当該貫通部周辺領域に局部的に集中して加わり、この局部ストレスにより当該個所に潰れ等の不良が発生しやすいという問題があった。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば針穴等の貫通部を設けた場合においても、当該貫通部周辺領域に潰れ等の不良が発生することがなく、高い防水性を担保することが可能な電気泳動表示装置、その製造方法及びこれを用いた腕時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)前記目的を達成するため、本発明は、透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、を少なくとも含み、前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置であって、前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の所与の位置に厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端を積層体の両面と略面一となるように所与のシール幅をもって封止する内周側のリング部材を設け、前記保護シートは、前記略面一の積層体及び内周側のリング部材を両面から被覆して封止し、前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部とすることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、積層体とほぼ同一の厚みを持つリング部材を用い、積層体の所与の位置に形成された第1の貫通部の内周端を、積層体の両面と略面一となるように封止する構成を採用する。
【0018】
これにより、積層体の両面を保護シートで被覆して封止する際に発生する加圧によるダメージが、積層体の第1の貫通部付近に局部的に発生することを確実に防止するとともに、前記加圧により積層体が第1の貫通部の周辺において撓んで保護シートに皺が発生することを防止できる。したがって、本発明によれば、積層体の所与の位置に貫通部を形成した場合であっても、その周辺領域のその外観を損なうことなく積層体を保護シートにより効果的に封止し、高い防水性が担保された電気泳動表示装置を実現することができる。
【0019】
加えて、本発明によれば、狭いシール幅のリング部材でも、貫通部の周辺領域に十分な強度を確保することができる。これにより、外観上も見栄えのよい貫通部を有する電気泳動表示装置を実現することができる。
【0020】
なお、前記第1の貫通部は、前記リング部材の外径と略等しい内径を有するように構成することが好ましい。
【0021】
また、少なくとも前記電気泳動表示層側に設けられる保護シートとしては、例えば腕時計が使用されることが想定される常温の範囲内で、防水シートとして機能する透明の防水性保護シートを用いることが好ましい。
【0022】
(2)また本発明においては、前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の外周端を、積層体の両面と略面一となるように封止する外周側のリング部材を設け、前記保護シートは、前記略面一の積層体、内周側のリング部材及び外周側のリング部材を両面から被覆して封止する構成を採用してもよい。
【0023】
このように、積層体と同一の厚みをもつリング部材を用い、積層体の外周端を、積層体の両面と面一となるように封止する構成を採用することにより、積層体を保護シートによりその両面から被覆して封止する際に発生する加圧ダメージが、積層体の外周側に発生することを確実に防止できる。
【0024】
(3)また本発明において、前記リング部材は、前記積層体より機械的強度が大きな部材として形成された構成を採用してもよい。
【0025】
これにより、積層体に保護シートを被覆する際に発生する加圧ダメージをより確実に防止することが可能となる。
【0026】
例えば、前記リング部材は、金属製のリング部材として形成してもよい。
【0027】
(4)また本発明は、時計ケース内に、ムーブメントと、このムーブメントに備える針取付体に取付られる表示指針と、前記ムーブメントと前記表示指針との間に位置する表示パネルとを備えた腕時計において、前記表示パネルとして、前記本発明に係る電気泳動表示装置を用い、前記電気泳動表示装置の前記貫通部を、前記針取付体を通す針穴として形成したことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、アナログ式腕時計の時針、秒針などの針取付体(指針軸)が挿通される貫通部は、その周辺領域の外観を損なうことなく効果的に封止される。これにより、針穴としての貫通部を小さくし、かつ当該貫通部周辺における耐水性を狭いシール幅のリング部材を用い確実に確保することができる。このため、電気泳動表示装置が表示パネルとして見栄えがよく、長期間安定して機能する腕時計を実現することができる。
【0029】
(5)また本発明は、透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、を少なくとも含み、前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置の製造方法であって、前記積層体の厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端に、前記積層体と略同一の厚みをもつ内周側のリング部材を前記積層体の両面と略面一となるように配置する工程と、前記略面一の積層体及び内周側のリング部材をその両面から前記保護シートで被覆して封止し、前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部として構成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、貫通部を有する電気泳動表示装置を、積層体の貫通部付近に加圧ダメージを発生させることなく製造することが可能となる。
【0031】
なお、本発明では、前記リング部材のリング穴が前記貫通部として構成される。したがって、前記第1の貫通部は、リング部材によるシール幅分だけ貫通孔より大きめに形成することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
【0033】
(構成)
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置を備えた腕時計(電子機器)1の正面図である。
【0034】
同図に示すように、腕時計1は、時計ケース2と、当該時計ケース2に連結された一対のバンド3とを主体として構成されている。
【0035】
時計ケース2は、ステンレス等の金属又はプラスチック樹脂等の樹脂からなる。時計ケース2の正面には、表示部50と、秒針21と、分針22と、時針23とが設けられている。時計ケース2の側面には、操作子としての竜頭10と操作ボタン11とが設けられている。竜頭10は、ケース内部に設けられる巻真(図示せず)に連結されており、当該巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。
【0036】
図2は、腕時計1の側断面図である。
【0037】
同図に示すように、時計ケース2の内部には収容部2Aが設けられている。収容部2Aには、ムーブメント4と表示部50とが収容されている。
【0038】
ムーブメント4は、秒針21、分針22及び時針23からなるアナログ指針が連結された運針機構(図示せず)を有している。この運針機構が前記アナログ指針21〜23を回転駆動することにより、設定された時刻を表示する時刻表示部として機能するようになっている。
【0039】
表示部50は、例えばアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置5によって構成されており、ムーブメント4の時計正面側に配置されている。表示部50の表示面は、ここでは円形状になっている。表示面の形状については、円形状のほか、例えば四角形、正八角形状、十六角形状など、他の形状になっていても構わない。また、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0040】
電気泳動表示装置5の中央部には、表裏を貫通する貫通部としての貫通孔5aが形成されている。貫通孔5aには、前記ムーブメント4の運針機構(図示せず)の秒車24、2番車25及び筒車26の各軸が挿入されている。各軸の先端には、上述した秒針21、分針22及び時針23がそれぞれ取り付けられている。また、電気泳動表示装置5は、図中破線で示した表示領域5bにおいて表示を行うようになっている。したがって、貫通孔5aは平面視で表示領域5b内に設けられていることになる。
【0041】
収容部2Aの一端側(時計正面側)には、ガラス製又は樹脂製の透明カバー7が設けられている。この透明カバー7は、樹脂製又は金属製の圧入リング6を介して収容部2Aに圧入固定されている。収容部2Aの他端側(時計裏側)には、パッキン8を介して裏蓋9が螺合されている。裏蓋9及び透明カバー7によって時計ケース2の内部の密封性が確保されている。
【0042】
図3は電気泳動表示装置5のうち表示領域5bの構成を概略的に示す断面図である。以下の説明においては、主として電気泳動表示装置5がアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置である場合を例にとり説明するが、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0043】
同図に示すように、電気泳動表示装置5は、積層体100と、前記積層体100を両面から被覆して封止する保護シート110a、110bとを少なくとも含み、前記積層体100の厚さ方向に貫通した貫通部としての貫通孔5aが設けられている。
【0044】
前記積層体100は、透明基板31と透明電極層32と電気泳動表示層33とが表面側から積層されて構成されている電気泳動表示シート30と、前記電気泳動表示層33を駆動するための複数の画素電極(駆動電極に対応)34aが形成された画素電極層(駆動電極層に対応)34と、素子基板(背面基板に対応)35とが表面側から積層されて構成されている。
【0045】
前記透明電極層32は、電気泳動表示層33に対する共通電極として形成されている。前記素子基板35には、前記各画素電極34aに対する電圧供給を行う半導体回路層が形成されている。本実施形態において、半導体回路層はTFT回路層として形成され、TFT回路層には、直行配置された複数の走査線と、複数のデータ線が設けられ、両者の交差部分には、前記各画素電極34に対する供給電圧を制御するためのスイッチング素子が設けられている。
【0046】
電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合には、前記各画素電極34aはセグメント電極(駆動電極に対応)に、前記画素電極層34はセグメント電極層(駆動電極層に対応)に、前記素子基板35は図示しない駆動回路に配線接続された配線基板(背面基板に対応)にそれぞれ対応する。前記各画素電極34aは、例えば配線基板上に形成された銅箔により構成される。
【0047】
前記積層体100には、前記貫通孔5aに対応した位置に、厚み方向に向けて第1の貫通孔36が形成されている。この第1の貫通孔36には、その内周端を封止する内周側リング部材120が設けられている。
【0048】
ここにおいて前記第1の貫通孔36は、その内径が、内周側リング部材120の外径とほぼ同一に形成されている。
【0049】
内周側リング部材120は、前記積層体100とほぼ同一の厚みdを持つ金属製のワッシャとして形成されている。そして、このリング部材120は、前記積層体100の第1の貫通部36の内周端に、前記積層体100の両面と略面一となるように配置され、積層体100の内周端を封止する構成となっている。
【0050】
保護シート110a、110bは、略面一に配置された積層体100及び内周側リング部材120の両面を、リング部材120のリング穴122の両端開口部を塞ぐことがないように被覆し封止する構成になっている。
【0051】
これにより、前記リング部材120の内側には、積層体100及び保護シート110a、110bを、その厚さ方向に貫通した前記リング穴122が前記貫通孔5aとして形成されることになる。
【0052】
素子基板35は、例えばガラス基板、石英基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板などの無機基板や、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)などを用いた基板上に不図示の半導体回路層が形成された構成になっている。平面的な半導体回路の形成領域は、表示領域5bと略一致している。素子基板35の厚さは0.01〜0.5mm程度になっている。なお、本実施形態においては、好適な事例として無機基板を用いることとして説明する。
【0053】
電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合には、配線基板(素子基板35に対応)は、例えばポリイミドやガラスエポキシ等で構成され、表面側に銅箔を貼り付けてセグメント電極(画素電極34aに対応)を形成する。
【0054】
透明基板31は電気泳動層33を保持する基板であり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネイト(PC)など光透過性の高い材料からなる基板である。透明基板31の表面側は電気泳動表示装置5の表示面になっている。
【0055】
共通電極として機能する透明電極層32は、ITO(Indium Tin Oxide)などによる透明な電極材で構成されている。この共通電極として機能する透明電極層32は、表示領域5bの略全体にわたって設けられている。すなわち、画素電極34は、表示領域5bの画素毎に設けられているが、共通電極として機能する透明電極層32は各画素に対して共通なものとされている。
【0056】
電気泳動表示層33は、複数のマイクロカプセル330と、マイクロカプセル330を保持するためのバインダ材(図示せず)を含んで構成されている。バインダ材は、透明電極層32及び画素電極層34とマイクロカプセル330との接着剤としても機能してもよい。バインダ材は、マイクロカプセル330のカプセル壁膜に対する親和性が良好で、透明電極層32及び画素電極層34と接着性に優れ、かつ絶縁性の良い接着剤であることが好ましい。
【0057】
電気泳動表示層33は、裏面側(画素電極層34側)に、画素電極層34との接着性を高めるための接着層(図示せず)をさらに含んでも良い。接着層は、画素電極層34と接着性に優れ、かつ絶縁性の良い接着剤であることが好ましい。
【0058】
マイクロカプセル330は、多数の帯電粒子が分散した電気泳動粒子分散液が封入されている。電気泳動粒子分散液には、黒色の電気泳動粒子(以下、黒粒子という)と、白色の電気泳動粒子(以下、白粒子という)とが分散され、二色の粉体流体方式の電気泳動層が構成されている。これら黒粒子及び白粒子は、互いに異なる極性に帯電しており、本実施形態では、黒粒子がマイナス(負)に帯電し、白粒子がプラス(正)に帯電している。
【0059】
なお、本実施形態では、マイクロカプセル330の直径は約30μm(0.03mm)であり、黒粒子の直径は10〜30nm、白粒子の直径は100〜300nmである。
【0060】
一対の保護シート110a、110bは、前記積層体100の両面をラミネートする。これにより、電気泳動表示装置5の表裏面全体は、これら保護シート110a、110bによって覆われた状態となっている。すなわち、一対の保護シート110a、110bの内部に電気泳動表示装置5を有した状態で、その内周側及び外周側の周縁部間が、接着剤を介して封止され、これによって封止部112が形成されている。接着剤としては、例えば熱可塑性樹脂からなる接着剤を用いてもよい。本例では、保護シート110a、110bの周囲が全周にわたって溶着され、封止部112とされており、該封止部112が電気泳動表示装置5の全周を囲った状態となっている。
【0061】
保護シート110a、110bは、電気泳動表示装置5の全体を被覆可能な大きさで、例えば丸形状を呈し、高分子材料からなる樹脂層と無機材料からなるバリア層との2層構造から構成されている。このような保護シート110a、110bによって電気泳動表示装置5を封止する際には、保護シート110a、110bのバリア層は樹脂層よりも基板側(内側)となるように配置される。バリア層を外側に配置した場合には、バリア層に生じる欠陥部から水分が内部に浸入するおそれがある。これに対し、保護シート110a、110bのバリア層を樹脂層よりも基板側に配置することで、バリア層に欠陥部が生じた場合でも外側の樹脂層により外部からの水分等の浸入を遮断することができる。さらに、樹脂層は、水分バリア性は高いが、吸水性を有するものが多く、バリア層よりも基板側に配置すると樹脂層に吸収された水分により電気泳動表示装置5内に水分が浸入してしまうおそれがある。これに対し、樹脂層をバリア層よりも外側に配置することで、樹脂層から電気泳動表示装置5への直接の水分等の浸入を防止することができる。
【0062】
バリア層の材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機材料、又はアルミ箔、銅箔、コバール箔等の金属箔が好適に用いられる。
【0063】
樹脂層の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネイト(PC)などの樹脂、又はアルミ箔、銅箔、コバール箔等の金属箔又は金属薄膜と樹脂膜とを積層したものが好適に用いられる。
【0064】
また、電気泳動表示装置5には、平面視で表示領域5bのほぼ中央部に上記の素子基板35、画素電極層34、電気泳動表示シート30及び保護シート110a、110bを貫通するように前述した貫通孔5aが設けられている。貫通孔5aは素子基板35、画素電極層34、電気泳動表示シート30及び保護シート110a、110bの面方向(図中左右方向)に対して垂直となるように形成されている。
【0065】
リング部材120は、内側にリング穴122を有している。このリング穴122は前記貫通孔5aとして機能し、このリング穴122には上記のムーブメント4の運針機構(図示せず)の秒車24、2番車25及び筒車26の各軸が挿入されるようになっている。リング穴122が設けられた状態でのリング部材120のシール幅は、0.65mm程度になっている。
【0066】
貫通孔5aの形成方向(図中上下方向)におけるリング部材120の両端部、すなわち端部120a、120bは、リング穴122の開口状態を維持した状態で、保護シート110a、110bにより被覆されている。
【0067】
(動作)
次に、上記のように構成された電気泳動表示装置5の動作を簡単に説明する。
【0068】
画素電極34aと共通電極(透明電極層32)との間に共通電極の電圧が相対的に高くなるように電圧を印加すると、正に帯電された黒色の電気泳動粒子はクーロン力によってマイクロカプセル内のうち画素電極側に引き寄せられる。一方、負に帯電された白色の電気泳動粒子はクーロン力によってマイクロカプセル内の共通電極側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル内の素子基板35側には白色の電気泳動粒子が集まることになり、電気泳動表示装置5の表示領域5bにはこの白色の電気泳動粒子の色(白色)が表示されることとなる。
【0069】
逆に、画素電極と共通電極との間に画素電極の電位が相対的に高くなるように電圧を印加すると、負に帯電された白色の電気泳動粒子はクーロン力によって画素電極側に引き寄せられる。一方、正に帯電された黒色の電気泳動粒子はクーロン力によって共通電極側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル内の透明基板側には黒色の電気泳動粒子が集まることになり、電気泳動表示装置5の表示領域5bには黒色の電気泳動粒子の色(黒色)が表示されることとなる。
【0070】
なお、電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合においても、上記の画素電極がセグメント電極に対応し、同様の原理で動作する。
【0071】
(製造方法)
次に、上記のように構成された電気泳動表示装置5の製造方法を説明する。以下の説明においては、主として電気泳動表示装置5がアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置である場合を例にとり説明するが、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0072】
まず、図4に示すように、素子や配線等を形成した素子基板35に画素電極層34を形成し、画素電極層34上に電気泳動表示シート30を貼り付け、積層体100を形成する。
【0073】
次に、図5に示すように、積層体100の表示領域5bのほぼ中央部に、素子基板35、画素電極層34、電気泳動表示シート30を貫通するように第1の貫通孔36を第1の貫通部として形成する。
【0074】
なお、予め前記第1の貫通孔36が形成された電気泳動表示シート30、画素電極層34及び素子基板35を前述のように積層し、積層体100を構成してもよい。
【0075】
次に、積層体100と同一の厚さを持つリング部材120を、前記第1の貫通孔36の内周面に配置し、積層体100の第1の貫通孔36の内周面を封止する。
【0076】
この状態において、積層体100の両面とリング部材120の両面は、段差のない面一の状態となる。
【0077】
次に、図3に示すように、略面一に配置された積層体100及び内周側リング部材120の両面を、保護シート110a、110bにより、リング部材120のリング穴122の両端開口部を塞ぐことがないように被覆し封止する。
【0078】
このとき、前記積層体100と、内周側リング部材120は、両面において互いに段差のない面一となるように配置されている。しかも、前記リング部材120の機械的強度は、積層体100より大きい。このため、前記保護シート110a、110bを前記積層体100及びリング部材120の両面からラミネートする際、積層体100の第1の貫通孔36周辺に局部的に加圧ダメージが発生することを防止することができ、腕時計の表示パネルを構成する電気泳動表示装置5の針穴、すなわち貫通孔5a周辺における電気泳動表示シート30の損傷を防止することができる。
【0079】
さらに、積層体100とリング部材120との間に段差がないため、保護シート110a、110bを積層体の両面からラミネート加工する際に、貫通孔周辺において、保護シート110a、110bにしわが発生することを防止することができる。したがって、この面からも腕時計の表示パネルとしての美観を高めることができる。
【0080】
加えて、リング部材120は、積層体100よりも機械的強度の強い材料、例えば金属を用いて形成されている。このため、リング部材120のシール幅を狭くしても高い耐水性を確保することが可能となり、この面からも腕時計としての美観を高めることができる。
【0081】
なお、本実施形態では、リング部材120として、金属製のワッシャを用いている。このため、前記シール幅はワッシャの肉厚で調整可能となるため、シール幅の調整をワッシャの交換で簡単に行うことができる。
【0082】
なお、電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合においても、上記の素子基板が配線基板に、画素電極層がセグメント電極層に対応し、同様の工程で製造することができる。
【0083】
(比較例との対比)
図6(A)に比較例、図6(B)に本実施例を概略的に示す。
【0084】
図6(A)に比較例では、リング部材120が無い場合を想定する。この場合、積層体100の両面側から保護シート110a、110bをラミネートすると、ラミネートする際の加圧ダメージが電気泳動表示シート30の貫通部周辺領域に局部的に集中して加わり、この局部ストレスにより当該個所に潰れ30a等の不良が発生しやすいという問題があった。
【0085】
さらに、このような潰れ30aが発生すると、貫通部の周囲に被覆される保護シート110a、110bにも潰れ30aに起因したしわ等が発生する。
【0086】
これに対し、図6(B)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置5では、積層体100の第1の貫通孔36には、積層体100と同一の厚さを持つリング部材120が配置され、これにより積層体100と、内周側リング部材120の両面が、段差のない面一の状態となる構成を採用する。
【0087】
この構成を採用することにより、前述した問題を解消し、見栄えがよく、かつ品質の担保された電気泳動表示装置5を実現することができる。
【0088】
(腕時計の製造方法)
次に、本実施形態の電気泳動表示装置5を表示パネルとして用いた腕時計の製造方法の一例を説明する。以下の説明においては、主として電気泳動表示装置5がアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置である場合を例にとり説明するが、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0089】
まず、図8(A)に示す、腕時計用の素子基板35を用意する。図8(A)には、この腕時計用の素子基板35の平面図が概略的に示されている。この素子基板35は、表示領域5bを構成する領域35aと、当該領域35aの片側から延びた引き出し領域35bとを含む。領域35aの中心には、前記第1の貫通孔36が設けられている。また、表示領域5bとなる領域35aの表面には、画素電極層34(図示せず)を形成する。
【0090】
また、図7(A)に示す電子ペーパー300を用意する。この電子ペーパー300は、前述した電気泳動表示シート30を大きな一枚のシート状に形成したものである。
【0091】
次に、図7(A)に示す電子ペーパー300から、図7(B)に示すように、前記素子基板35の領域35aに積層する複数の電気泳動表示シート30が金型などで切り出され、図7(C)に示す電気泳動表示シート30が作成される。
【0092】
図7(C)に示すように、切り出された電気泳動表示シート30は、その中央部に第1の貫通孔36が設けられており、その全体の形状は素子基板35の領域35aとほぼ同一の円板状に形成されている。
【0093】
この電気泳動表示シート30を、次に、図8(B)に示すように素子基板35の領域35a上に、画素電極層34を挟んで互いの第1の貫通孔36が一致するように貼り合わせ積層体100を形成する。
【0094】
次に、図9に示すように、積層体100の第1の貫通孔36に、前述したリング部材120を配置する。
【0095】
次に、同図に示すように、リング部材120の内側のリング穴122、すなわち貫通孔5aと同一径の貫通孔5aを持つ2枚の保護シート110a、110bを用意し、貫通孔5aの位置が互いに一致するように、積層体100の両面側に保護シート110a、110bを配置する。
【0096】
このとき保護シート110a、110bは、積層体100の表面より幅広に形成しておく。
【0097】
図11は、このような組み付けの際に使用される組付け用治具の一例が使用される。この治具の受け台200には、その中央に、前記貫通孔5aに挿通される位置決め軸210が立設されている。
【0098】
各部材の位置決めの配置に先立ち、保護シート110a、110bの裏面側には図示しない接着剤を予め塗布しておく。
【0099】
そして、電気泳動表示装置5の製造にあっては、前記保護シート110b、リング部材120が配置された積層体100、保護シート110aの順で、各部材の貫通孔5aを位置決め軸210に挿通しながら積層する。
【0100】
これにより、貫通孔5aを一致した状態で、各部材の位置決めが完了する。
【0101】
この状態で、図示しない装置を用いて保護シート110a、110bを積層体100に加圧することにより、保護シート110a、110bにより前記積層体100がその両面側から良好な状態でラミネートされ、しかも保護シート110a、110bの内周側が前記リング部材120の両端に確実に接着され、かつその外周側が積層体100の外周側で、互いに確実に接着されることになる。
【0102】
そして、保護シート110a、110bの外周側の不要部分をカットすることにより、図10に示す腕時計用の電気永動表示装置5を作成することができる。
【0103】
そして、作成された腕時計用の電気永動表示装置5の貫通孔5aに、図12に示すようにムーブメント4の運針機構の各軸を挿通し、各軸の先端に前述した分針22及び時針23を取り付ける。
【0104】
このようにすることにより、電気永動表示装置5を表示パネルとして用い、これに分針、時針などのアナログ表示を組み合わせた腕時計を形成することができる。しかも、本実施形態では、電子永動表示装置5に針穴(貫通孔5a)を設けても、当該針穴を、腕時計としての製品の魅力を損なわない狭いシール幅でシールでき、かつ充分な耐水性を確保しつつ形成することができる。
【0105】
なお、電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合においても、上記の素子基板が配線基板に、画素電極層がセグメント電極層に対応し、同様の工程で製造することができる。
【0106】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0107】
例えば、前記実施形態においては、電気泳動表示装置に形成する貫通孔5aとして、腕時計の針穴を構成する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らずこれ以外の貫通部、例えば腕時計の曜日の表示窓として貫通部を形成することができ、またその形状も丸、四角形とは限らず、必要に応じて各種形状のものとして形成することができる。
【0108】
また、本発明においては、必要に応じて、図13に示すように、前記積層体100の同一の厚さを持ち、前記積層体100の外周端を、積層体100の両面と略面一となるように封止する外周側リング部材140を設ける構成を採用してもよい。この外周側リング部材140は、積層体より機械的強度の強い材料のものを用いることが好ましく、例えば各種の金属等を用いて形成することができる。
【0109】
そして、このような外周側リング部材140を用いる場合には、前記一対の保護シート110a、110bの外周側端部は、外周側リング部材140の両端面を被覆し接着される構成を採用することが好ましい。このようにすることにより、積層体100のラミネート加工を行う際に外周側周辺に発生するダメージを、前記貫通孔5a周辺と同様に、前記外周側リング部材140により確実に防止することが可能となる。
【0110】
また、前記実施形態では、マイクロカプセル型の電気永動方式の表示層を用いる場合を例にとり説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、これ以外の電気永動方式の表示層を用いる場合、例えば水平移動型電気永動方式や垂直移動型電気永動方式の表示層を用いる場合にも適用可能である。
【0111】
また、本実施形態では、電気泳動表示装置を腕時計等の時計に適用する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らず、これ以外の電子機器用の電気泳動表示装置として用いることが可能である。
【0112】
ここにおいて、電子機器は、前述した電気泳動表示装置を表示部として備えるあらゆる機器を意味するものであり、ディスプレイ装置、テレビジョン装置、電子ブック、電子ペーパー、電子手帳、電卓、携帯電話、携帯情報端末等を含む。
【0113】
また、「機器」という概念から外れるもの、例えば可撓性のある紙状/フィルム状の物体、これら物体が貼り付けられた壁紙等の不動産に属するもの、車両、飛行体、船舶等の移動体に属するものをも含む。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の表示装置に係る腕時計の正面図。
【図2】腕時計の側断面図。
【図3】電気泳動表示装置の側断面図。
【図4】電気泳動表示装置の製造過程を示す工程図。
【図5】同、工程図。
【図6】比較例の説明図。
【図7】電子ペーパーから電気永動表示シートを切り出す工程の説明図。
【図8】同図(A)は、素子基板の概略平面説明図、同図(B)は、切り出された電気永動シートと、素子基板とを貼り合わせて構成された腕時計用の積層体の概略平面説明図。
【図9】前記腕時計用の積層体にリング部材及び保護シートを取付けた状態の概略平面説明図。
【図10】図9に示す状態から、保護シート外周の不要部分をカットし作成された腕時計用の電子永動表示装置の概略説明図。
【図11】図9に示す積層体用の位置決め治具の概略断面説明図。
【図12】図11に示す腕時計用の電子永動表示装置に、腕時計用のアナログムーブメントを組み付けた状態の説明図。
【図13】積層体の外周にリング部材を配置した電子泳動表示装置の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0115】
1 電子時計、2 時計ケース、4 ムーブメント、5 電気泳動表示装置、5a 貫通部としての貫通孔、5b 表示領域、21 秒針、22 分針、23 時針、21〜23 アナログ指針、24 秒車、25 2番車、26 筒車、30 電気泳動表示シート、 、31 透明基板、32 透明電極層、 33 電気泳動表示層、34a 画素電極、 34 画素電極層、35 素子基板 、36 第1の貫通孔、50 表示部、100 積層体、110a,100b 保護シート、120 内周側リング部材、122 リング穴、140 外周側リング部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置、その製造方法及び腕時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液相分散媒と電気泳動粒子とを含む電気泳動分散液(電気的刺激に対して光学特性が変化する表示材料)を有し、電界を印加することにより、該電気泳動粒子の分布状態が変化して該電気泳動分散液の光学特性が変化することを利用した電気光学パネル(EPD:Electrophoretic Display)として、電気泳動表示装置が知られている。
【0003】
このような電気泳動表示装置は、バックライトが必要無いことから低コスト化や薄型化が可能となり、さらに、視野角が広くコントラストが高いことに加え、表示のメモリ性を有するために、次世代の表示デバイスとして注目を集めている。
【0004】
また、このような電気泳動表示装置においては、電気泳動分散液をマイクロカプセルに封入し、このマイクロカプセルを、例えば共通電極(透明電極)を有する透明基板と、画素電極(駆動電極)を有する基板との間に挟着したものが知られている。
【0005】
電気泳動分散液をマイクロカプセルに封入することにより、表示パネルの製造工程において分散液の流出を防止することができるとともに、電気泳動粒子の沈降や凝集を減少させることができるという利点がある。なお、これらの基板には、可撓性や割れ難さ、軽量化等の観点から、プラスチック等の材料が用いられている。このように、分散系を予めマイクロカプセル化する手法は近年広く利用されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、少なくとも一方が透明な一組の対向電極板間に、電気泳動粒子を含む分散系を封入したマイクロカプセルを配装した電気泳動表示装置が提案されている。
【0007】
また、特許文献2には、互いに対向配置される透光性の透明基板と非透光性の素子基板(背面基板)との対向する面それぞれに透明電極が形成され、これら透明電極間に形成される閉空間に多数のマイクロカプセルを配置した電気泳動表示装置が提案されている。
【0008】
このように、分散系をマイクロカプセル化することによって、分散系封入処理の容易化と良好な表示を実現させることを図っている。
【特許文献1】特開昭64−86116号公報
【特許文献2】特開平10−149118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような電気泳動表示装置は、液晶表示パネルと同様に、「小さく」、「薄く」構成することが可能なことから、最近では、腕時計に応用されつつある。
【0010】
この場合、表示パネルの中央部に、時針、秒針等の指針軸が挿通される針穴等の貫通部を設ける必要がある。
【0011】
しかし、このように電気泳動表示装置に貫通部等を設けると、貫通部において、電気泳動表示層の端部が露出し、ここから湿潤な環境に弱いこの表示層に水蒸気等の水分が進入してその電気的特性が劣化するという問題が発生する。
【0012】
このため、マイクロカプセルを用いた表示層を含む積層体を防水性の透明な保護シートで被覆し、保護する対策が講じられている。
【0013】
しかし、このような保護シートを設ける場合には、電気泳動表示装置に設けられた前記貫通部を、腕時計の表示パネルとしての製品の魅力を損なわないように、狭いシール幅でシールし当該個所の耐水性を確保することが難しいという問題が発生する。
【0014】
さらに、表示パネルの製造工程において、前記保護シート等をラミネートする際の加圧により、ダメージが当該貫通部周辺領域に局部的に集中して加わり、この局部ストレスにより当該個所に潰れ等の不良が発生しやすいという問題があった。
【0015】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば針穴等の貫通部を設けた場合においても、当該貫通部周辺領域に潰れ等の不良が発生することがなく、高い防水性を担保することが可能な電気泳動表示装置、その製造方法及びこれを用いた腕時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)前記目的を達成するため、本発明は、透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、を少なくとも含み、前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置であって、前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の所与の位置に厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端を積層体の両面と略面一となるように所与のシール幅をもって封止する内周側のリング部材を設け、前記保護シートは、前記略面一の積層体及び内周側のリング部材を両面から被覆して封止し、前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部とすることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、積層体とほぼ同一の厚みを持つリング部材を用い、積層体の所与の位置に形成された第1の貫通部の内周端を、積層体の両面と略面一となるように封止する構成を採用する。
【0018】
これにより、積層体の両面を保護シートで被覆して封止する際に発生する加圧によるダメージが、積層体の第1の貫通部付近に局部的に発生することを確実に防止するとともに、前記加圧により積層体が第1の貫通部の周辺において撓んで保護シートに皺が発生することを防止できる。したがって、本発明によれば、積層体の所与の位置に貫通部を形成した場合であっても、その周辺領域のその外観を損なうことなく積層体を保護シートにより効果的に封止し、高い防水性が担保された電気泳動表示装置を実現することができる。
【0019】
加えて、本発明によれば、狭いシール幅のリング部材でも、貫通部の周辺領域に十分な強度を確保することができる。これにより、外観上も見栄えのよい貫通部を有する電気泳動表示装置を実現することができる。
【0020】
なお、前記第1の貫通部は、前記リング部材の外径と略等しい内径を有するように構成することが好ましい。
【0021】
また、少なくとも前記電気泳動表示層側に設けられる保護シートとしては、例えば腕時計が使用されることが想定される常温の範囲内で、防水シートとして機能する透明の防水性保護シートを用いることが好ましい。
【0022】
(2)また本発明においては、前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の外周端を、積層体の両面と略面一となるように封止する外周側のリング部材を設け、前記保護シートは、前記略面一の積層体、内周側のリング部材及び外周側のリング部材を両面から被覆して封止する構成を採用してもよい。
【0023】
このように、積層体と同一の厚みをもつリング部材を用い、積層体の外周端を、積層体の両面と面一となるように封止する構成を採用することにより、積層体を保護シートによりその両面から被覆して封止する際に発生する加圧ダメージが、積層体の外周側に発生することを確実に防止できる。
【0024】
(3)また本発明において、前記リング部材は、前記積層体より機械的強度が大きな部材として形成された構成を採用してもよい。
【0025】
これにより、積層体に保護シートを被覆する際に発生する加圧ダメージをより確実に防止することが可能となる。
【0026】
例えば、前記リング部材は、金属製のリング部材として形成してもよい。
【0027】
(4)また本発明は、時計ケース内に、ムーブメントと、このムーブメントに備える針取付体に取付られる表示指針と、前記ムーブメントと前記表示指針との間に位置する表示パネルとを備えた腕時計において、前記表示パネルとして、前記本発明に係る電気泳動表示装置を用い、前記電気泳動表示装置の前記貫通部を、前記針取付体を通す針穴として形成したことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、アナログ式腕時計の時針、秒針などの針取付体(指針軸)が挿通される貫通部は、その周辺領域の外観を損なうことなく効果的に封止される。これにより、針穴としての貫通部を小さくし、かつ当該貫通部周辺における耐水性を狭いシール幅のリング部材を用い確実に確保することができる。このため、電気泳動表示装置が表示パネルとして見栄えがよく、長期間安定して機能する腕時計を実現することができる。
【0029】
(5)また本発明は、透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、を少なくとも含み、前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置の製造方法であって、前記積層体の厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端に、前記積層体と略同一の厚みをもつ内周側のリング部材を前記積層体の両面と略面一となるように配置する工程と、前記略面一の積層体及び内周側のリング部材をその両面から前記保護シートで被覆して封止し、前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部として構成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、貫通部を有する電気泳動表示装置を、積層体の貫通部付近に加圧ダメージを発生させることなく製造することが可能となる。
【0031】
なお、本発明では、前記リング部材のリング穴が前記貫通部として構成される。したがって、前記第1の貫通部は、リング部材によるシール幅分だけ貫通孔より大きめに形成することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。
【0033】
(構成)
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置を備えた腕時計(電子機器)1の正面図である。
【0034】
同図に示すように、腕時計1は、時計ケース2と、当該時計ケース2に連結された一対のバンド3とを主体として構成されている。
【0035】
時計ケース2は、ステンレス等の金属又はプラスチック樹脂等の樹脂からなる。時計ケース2の正面には、表示部50と、秒針21と、分針22と、時針23とが設けられている。時計ケース2の側面には、操作子としての竜頭10と操作ボタン11とが設けられている。竜頭10は、ケース内部に設けられる巻真(図示せず)に連結されており、当該巻真と一体となって多段階(例えば2段階)で押し引き自在、かつ、回転自在に設けられている。
【0036】
図2は、腕時計1の側断面図である。
【0037】
同図に示すように、時計ケース2の内部には収容部2Aが設けられている。収容部2Aには、ムーブメント4と表示部50とが収容されている。
【0038】
ムーブメント4は、秒針21、分針22及び時針23からなるアナログ指針が連結された運針機構(図示せず)を有している。この運針機構が前記アナログ指針21〜23を回転駆動することにより、設定された時刻を表示する時刻表示部として機能するようになっている。
【0039】
表示部50は、例えばアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置5によって構成されており、ムーブメント4の時計正面側に配置されている。表示部50の表示面は、ここでは円形状になっている。表示面の形状については、円形状のほか、例えば四角形、正八角形状、十六角形状など、他の形状になっていても構わない。また、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0040】
電気泳動表示装置5の中央部には、表裏を貫通する貫通部としての貫通孔5aが形成されている。貫通孔5aには、前記ムーブメント4の運針機構(図示せず)の秒車24、2番車25及び筒車26の各軸が挿入されている。各軸の先端には、上述した秒針21、分針22及び時針23がそれぞれ取り付けられている。また、電気泳動表示装置5は、図中破線で示した表示領域5bにおいて表示を行うようになっている。したがって、貫通孔5aは平面視で表示領域5b内に設けられていることになる。
【0041】
収容部2Aの一端側(時計正面側)には、ガラス製又は樹脂製の透明カバー7が設けられている。この透明カバー7は、樹脂製又は金属製の圧入リング6を介して収容部2Aに圧入固定されている。収容部2Aの他端側(時計裏側)には、パッキン8を介して裏蓋9が螺合されている。裏蓋9及び透明カバー7によって時計ケース2の内部の密封性が確保されている。
【0042】
図3は電気泳動表示装置5のうち表示領域5bの構成を概略的に示す断面図である。以下の説明においては、主として電気泳動表示装置5がアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置である場合を例にとり説明するが、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0043】
同図に示すように、電気泳動表示装置5は、積層体100と、前記積層体100を両面から被覆して封止する保護シート110a、110bとを少なくとも含み、前記積層体100の厚さ方向に貫通した貫通部としての貫通孔5aが設けられている。
【0044】
前記積層体100は、透明基板31と透明電極層32と電気泳動表示層33とが表面側から積層されて構成されている電気泳動表示シート30と、前記電気泳動表示層33を駆動するための複数の画素電極(駆動電極に対応)34aが形成された画素電極層(駆動電極層に対応)34と、素子基板(背面基板に対応)35とが表面側から積層されて構成されている。
【0045】
前記透明電極層32は、電気泳動表示層33に対する共通電極として形成されている。前記素子基板35には、前記各画素電極34aに対する電圧供給を行う半導体回路層が形成されている。本実施形態において、半導体回路層はTFT回路層として形成され、TFT回路層には、直行配置された複数の走査線と、複数のデータ線が設けられ、両者の交差部分には、前記各画素電極34に対する供給電圧を制御するためのスイッチング素子が設けられている。
【0046】
電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合には、前記各画素電極34aはセグメント電極(駆動電極に対応)に、前記画素電極層34はセグメント電極層(駆動電極層に対応)に、前記素子基板35は図示しない駆動回路に配線接続された配線基板(背面基板に対応)にそれぞれ対応する。前記各画素電極34aは、例えば配線基板上に形成された銅箔により構成される。
【0047】
前記積層体100には、前記貫通孔5aに対応した位置に、厚み方向に向けて第1の貫通孔36が形成されている。この第1の貫通孔36には、その内周端を封止する内周側リング部材120が設けられている。
【0048】
ここにおいて前記第1の貫通孔36は、その内径が、内周側リング部材120の外径とほぼ同一に形成されている。
【0049】
内周側リング部材120は、前記積層体100とほぼ同一の厚みdを持つ金属製のワッシャとして形成されている。そして、このリング部材120は、前記積層体100の第1の貫通部36の内周端に、前記積層体100の両面と略面一となるように配置され、積層体100の内周端を封止する構成となっている。
【0050】
保護シート110a、110bは、略面一に配置された積層体100及び内周側リング部材120の両面を、リング部材120のリング穴122の両端開口部を塞ぐことがないように被覆し封止する構成になっている。
【0051】
これにより、前記リング部材120の内側には、積層体100及び保護シート110a、110bを、その厚さ方向に貫通した前記リング穴122が前記貫通孔5aとして形成されることになる。
【0052】
素子基板35は、例えばガラス基板、石英基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板などの無機基板や、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)などを用いた基板上に不図示の半導体回路層が形成された構成になっている。平面的な半導体回路の形成領域は、表示領域5bと略一致している。素子基板35の厚さは0.01〜0.5mm程度になっている。なお、本実施形態においては、好適な事例として無機基板を用いることとして説明する。
【0053】
電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合には、配線基板(素子基板35に対応)は、例えばポリイミドやガラスエポキシ等で構成され、表面側に銅箔を貼り付けてセグメント電極(画素電極34aに対応)を形成する。
【0054】
透明基板31は電気泳動層33を保持する基板であり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネイト(PC)など光透過性の高い材料からなる基板である。透明基板31の表面側は電気泳動表示装置5の表示面になっている。
【0055】
共通電極として機能する透明電極層32は、ITO(Indium Tin Oxide)などによる透明な電極材で構成されている。この共通電極として機能する透明電極層32は、表示領域5bの略全体にわたって設けられている。すなわち、画素電極34は、表示領域5bの画素毎に設けられているが、共通電極として機能する透明電極層32は各画素に対して共通なものとされている。
【0056】
電気泳動表示層33は、複数のマイクロカプセル330と、マイクロカプセル330を保持するためのバインダ材(図示せず)を含んで構成されている。バインダ材は、透明電極層32及び画素電極層34とマイクロカプセル330との接着剤としても機能してもよい。バインダ材は、マイクロカプセル330のカプセル壁膜に対する親和性が良好で、透明電極層32及び画素電極層34と接着性に優れ、かつ絶縁性の良い接着剤であることが好ましい。
【0057】
電気泳動表示層33は、裏面側(画素電極層34側)に、画素電極層34との接着性を高めるための接着層(図示せず)をさらに含んでも良い。接着層は、画素電極層34と接着性に優れ、かつ絶縁性の良い接着剤であることが好ましい。
【0058】
マイクロカプセル330は、多数の帯電粒子が分散した電気泳動粒子分散液が封入されている。電気泳動粒子分散液には、黒色の電気泳動粒子(以下、黒粒子という)と、白色の電気泳動粒子(以下、白粒子という)とが分散され、二色の粉体流体方式の電気泳動層が構成されている。これら黒粒子及び白粒子は、互いに異なる極性に帯電しており、本実施形態では、黒粒子がマイナス(負)に帯電し、白粒子がプラス(正)に帯電している。
【0059】
なお、本実施形態では、マイクロカプセル330の直径は約30μm(0.03mm)であり、黒粒子の直径は10〜30nm、白粒子の直径は100〜300nmである。
【0060】
一対の保護シート110a、110bは、前記積層体100の両面をラミネートする。これにより、電気泳動表示装置5の表裏面全体は、これら保護シート110a、110bによって覆われた状態となっている。すなわち、一対の保護シート110a、110bの内部に電気泳動表示装置5を有した状態で、その内周側及び外周側の周縁部間が、接着剤を介して封止され、これによって封止部112が形成されている。接着剤としては、例えば熱可塑性樹脂からなる接着剤を用いてもよい。本例では、保護シート110a、110bの周囲が全周にわたって溶着され、封止部112とされており、該封止部112が電気泳動表示装置5の全周を囲った状態となっている。
【0061】
保護シート110a、110bは、電気泳動表示装置5の全体を被覆可能な大きさで、例えば丸形状を呈し、高分子材料からなる樹脂層と無機材料からなるバリア層との2層構造から構成されている。このような保護シート110a、110bによって電気泳動表示装置5を封止する際には、保護シート110a、110bのバリア層は樹脂層よりも基板側(内側)となるように配置される。バリア層を外側に配置した場合には、バリア層に生じる欠陥部から水分が内部に浸入するおそれがある。これに対し、保護シート110a、110bのバリア層を樹脂層よりも基板側に配置することで、バリア層に欠陥部が生じた場合でも外側の樹脂層により外部からの水分等の浸入を遮断することができる。さらに、樹脂層は、水分バリア性は高いが、吸水性を有するものが多く、バリア層よりも基板側に配置すると樹脂層に吸収された水分により電気泳動表示装置5内に水分が浸入してしまうおそれがある。これに対し、樹脂層をバリア層よりも外側に配置することで、樹脂層から電気泳動表示装置5への直接の水分等の浸入を防止することができる。
【0062】
バリア層の材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機材料、又はアルミ箔、銅箔、コバール箔等の金属箔が好適に用いられる。
【0063】
樹脂層の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリカーボネイト(PC)などの樹脂、又はアルミ箔、銅箔、コバール箔等の金属箔又は金属薄膜と樹脂膜とを積層したものが好適に用いられる。
【0064】
また、電気泳動表示装置5には、平面視で表示領域5bのほぼ中央部に上記の素子基板35、画素電極層34、電気泳動表示シート30及び保護シート110a、110bを貫通するように前述した貫通孔5aが設けられている。貫通孔5aは素子基板35、画素電極層34、電気泳動表示シート30及び保護シート110a、110bの面方向(図中左右方向)に対して垂直となるように形成されている。
【0065】
リング部材120は、内側にリング穴122を有している。このリング穴122は前記貫通孔5aとして機能し、このリング穴122には上記のムーブメント4の運針機構(図示せず)の秒車24、2番車25及び筒車26の各軸が挿入されるようになっている。リング穴122が設けられた状態でのリング部材120のシール幅は、0.65mm程度になっている。
【0066】
貫通孔5aの形成方向(図中上下方向)におけるリング部材120の両端部、すなわち端部120a、120bは、リング穴122の開口状態を維持した状態で、保護シート110a、110bにより被覆されている。
【0067】
(動作)
次に、上記のように構成された電気泳動表示装置5の動作を簡単に説明する。
【0068】
画素電極34aと共通電極(透明電極層32)との間に共通電極の電圧が相対的に高くなるように電圧を印加すると、正に帯電された黒色の電気泳動粒子はクーロン力によってマイクロカプセル内のうち画素電極側に引き寄せられる。一方、負に帯電された白色の電気泳動粒子はクーロン力によってマイクロカプセル内の共通電極側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル内の素子基板35側には白色の電気泳動粒子が集まることになり、電気泳動表示装置5の表示領域5bにはこの白色の電気泳動粒子の色(白色)が表示されることとなる。
【0069】
逆に、画素電極と共通電極との間に画素電極の電位が相対的に高くなるように電圧を印加すると、負に帯電された白色の電気泳動粒子はクーロン力によって画素電極側に引き寄せられる。一方、正に帯電された黒色の電気泳動粒子はクーロン力によって共通電極側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル内の透明基板側には黒色の電気泳動粒子が集まることになり、電気泳動表示装置5の表示領域5bには黒色の電気泳動粒子の色(黒色)が表示されることとなる。
【0070】
なお、電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合においても、上記の画素電極がセグメント電極に対応し、同様の原理で動作する。
【0071】
(製造方法)
次に、上記のように構成された電気泳動表示装置5の製造方法を説明する。以下の説明においては、主として電気泳動表示装置5がアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置である場合を例にとり説明するが、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0072】
まず、図4に示すように、素子や配線等を形成した素子基板35に画素電極層34を形成し、画素電極層34上に電気泳動表示シート30を貼り付け、積層体100を形成する。
【0073】
次に、図5に示すように、積層体100の表示領域5bのほぼ中央部に、素子基板35、画素電極層34、電気泳動表示シート30を貫通するように第1の貫通孔36を第1の貫通部として形成する。
【0074】
なお、予め前記第1の貫通孔36が形成された電気泳動表示シート30、画素電極層34及び素子基板35を前述のように積層し、積層体100を構成してもよい。
【0075】
次に、積層体100と同一の厚さを持つリング部材120を、前記第1の貫通孔36の内周面に配置し、積層体100の第1の貫通孔36の内周面を封止する。
【0076】
この状態において、積層体100の両面とリング部材120の両面は、段差のない面一の状態となる。
【0077】
次に、図3に示すように、略面一に配置された積層体100及び内周側リング部材120の両面を、保護シート110a、110bにより、リング部材120のリング穴122の両端開口部を塞ぐことがないように被覆し封止する。
【0078】
このとき、前記積層体100と、内周側リング部材120は、両面において互いに段差のない面一となるように配置されている。しかも、前記リング部材120の機械的強度は、積層体100より大きい。このため、前記保護シート110a、110bを前記積層体100及びリング部材120の両面からラミネートする際、積層体100の第1の貫通孔36周辺に局部的に加圧ダメージが発生することを防止することができ、腕時計の表示パネルを構成する電気泳動表示装置5の針穴、すなわち貫通孔5a周辺における電気泳動表示シート30の損傷を防止することができる。
【0079】
さらに、積層体100とリング部材120との間に段差がないため、保護シート110a、110bを積層体の両面からラミネート加工する際に、貫通孔周辺において、保護シート110a、110bにしわが発生することを防止することができる。したがって、この面からも腕時計の表示パネルとしての美観を高めることができる。
【0080】
加えて、リング部材120は、積層体100よりも機械的強度の強い材料、例えば金属を用いて形成されている。このため、リング部材120のシール幅を狭くしても高い耐水性を確保することが可能となり、この面からも腕時計としての美観を高めることができる。
【0081】
なお、本実施形態では、リング部材120として、金属製のワッシャを用いている。このため、前記シール幅はワッシャの肉厚で調整可能となるため、シール幅の調整をワッシャの交換で簡単に行うことができる。
【0082】
なお、電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合においても、上記の素子基板が配線基板に、画素電極層がセグメント電極層に対応し、同様の工程で製造することができる。
【0083】
(比較例との対比)
図6(A)に比較例、図6(B)に本実施例を概略的に示す。
【0084】
図6(A)に比較例では、リング部材120が無い場合を想定する。この場合、積層体100の両面側から保護シート110a、110bをラミネートすると、ラミネートする際の加圧ダメージが電気泳動表示シート30の貫通部周辺領域に局部的に集中して加わり、この局部ストレスにより当該個所に潰れ30a等の不良が発生しやすいという問題があった。
【0085】
さらに、このような潰れ30aが発生すると、貫通部の周囲に被覆される保護シート110a、110bにも潰れ30aに起因したしわ等が発生する。
【0086】
これに対し、図6(B)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置5では、積層体100の第1の貫通孔36には、積層体100と同一の厚さを持つリング部材120が配置され、これにより積層体100と、内周側リング部材120の両面が、段差のない面一の状態となる構成を採用する。
【0087】
この構成を採用することにより、前述した問題を解消し、見栄えがよく、かつ品質の担保された電気泳動表示装置5を実現することができる。
【0088】
(腕時計の製造方法)
次に、本実施形態の電気泳動表示装置5を表示パネルとして用いた腕時計の製造方法の一例を説明する。以下の説明においては、主として電気泳動表示装置5がアクティブマトリクス駆動の電気泳動表示装置である場合を例にとり説明するが、電気泳動表示装置5は、セグメント駆動の電気泳動表示装置であってもよい。
【0089】
まず、図8(A)に示す、腕時計用の素子基板35を用意する。図8(A)には、この腕時計用の素子基板35の平面図が概略的に示されている。この素子基板35は、表示領域5bを構成する領域35aと、当該領域35aの片側から延びた引き出し領域35bとを含む。領域35aの中心には、前記第1の貫通孔36が設けられている。また、表示領域5bとなる領域35aの表面には、画素電極層34(図示せず)を形成する。
【0090】
また、図7(A)に示す電子ペーパー300を用意する。この電子ペーパー300は、前述した電気泳動表示シート30を大きな一枚のシート状に形成したものである。
【0091】
次に、図7(A)に示す電子ペーパー300から、図7(B)に示すように、前記素子基板35の領域35aに積層する複数の電気泳動表示シート30が金型などで切り出され、図7(C)に示す電気泳動表示シート30が作成される。
【0092】
図7(C)に示すように、切り出された電気泳動表示シート30は、その中央部に第1の貫通孔36が設けられており、その全体の形状は素子基板35の領域35aとほぼ同一の円板状に形成されている。
【0093】
この電気泳動表示シート30を、次に、図8(B)に示すように素子基板35の領域35a上に、画素電極層34を挟んで互いの第1の貫通孔36が一致するように貼り合わせ積層体100を形成する。
【0094】
次に、図9に示すように、積層体100の第1の貫通孔36に、前述したリング部材120を配置する。
【0095】
次に、同図に示すように、リング部材120の内側のリング穴122、すなわち貫通孔5aと同一径の貫通孔5aを持つ2枚の保護シート110a、110bを用意し、貫通孔5aの位置が互いに一致するように、積層体100の両面側に保護シート110a、110bを配置する。
【0096】
このとき保護シート110a、110bは、積層体100の表面より幅広に形成しておく。
【0097】
図11は、このような組み付けの際に使用される組付け用治具の一例が使用される。この治具の受け台200には、その中央に、前記貫通孔5aに挿通される位置決め軸210が立設されている。
【0098】
各部材の位置決めの配置に先立ち、保護シート110a、110bの裏面側には図示しない接着剤を予め塗布しておく。
【0099】
そして、電気泳動表示装置5の製造にあっては、前記保護シート110b、リング部材120が配置された積層体100、保護シート110aの順で、各部材の貫通孔5aを位置決め軸210に挿通しながら積層する。
【0100】
これにより、貫通孔5aを一致した状態で、各部材の位置決めが完了する。
【0101】
この状態で、図示しない装置を用いて保護シート110a、110bを積層体100に加圧することにより、保護シート110a、110bにより前記積層体100がその両面側から良好な状態でラミネートされ、しかも保護シート110a、110bの内周側が前記リング部材120の両端に確実に接着され、かつその外周側が積層体100の外周側で、互いに確実に接着されることになる。
【0102】
そして、保護シート110a、110bの外周側の不要部分をカットすることにより、図10に示す腕時計用の電気永動表示装置5を作成することができる。
【0103】
そして、作成された腕時計用の電気永動表示装置5の貫通孔5aに、図12に示すようにムーブメント4の運針機構の各軸を挿通し、各軸の先端に前述した分針22及び時針23を取り付ける。
【0104】
このようにすることにより、電気永動表示装置5を表示パネルとして用い、これに分針、時針などのアナログ表示を組み合わせた腕時計を形成することができる。しかも、本実施形態では、電子永動表示装置5に針穴(貫通孔5a)を設けても、当該針穴を、腕時計としての製品の魅力を損なわない狭いシール幅でシールでき、かつ充分な耐水性を確保しつつ形成することができる。
【0105】
なお、電気泳動表示装置5が、セグメント駆動の電気泳動表示装置である場合においても、上記の素子基板が配線基板に、画素電極層がセグメント電極層に対応し、同様の工程で製造することができる。
【0106】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0107】
例えば、前記実施形態においては、電気泳動表示装置に形成する貫通孔5aとして、腕時計の針穴を構成する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らずこれ以外の貫通部、例えば腕時計の曜日の表示窓として貫通部を形成することができ、またその形状も丸、四角形とは限らず、必要に応じて各種形状のものとして形成することができる。
【0108】
また、本発明においては、必要に応じて、図13に示すように、前記積層体100の同一の厚さを持ち、前記積層体100の外周端を、積層体100の両面と略面一となるように封止する外周側リング部材140を設ける構成を採用してもよい。この外周側リング部材140は、積層体より機械的強度の強い材料のものを用いることが好ましく、例えば各種の金属等を用いて形成することができる。
【0109】
そして、このような外周側リング部材140を用いる場合には、前記一対の保護シート110a、110bの外周側端部は、外周側リング部材140の両端面を被覆し接着される構成を採用することが好ましい。このようにすることにより、積層体100のラミネート加工を行う際に外周側周辺に発生するダメージを、前記貫通孔5a周辺と同様に、前記外周側リング部材140により確実に防止することが可能となる。
【0110】
また、前記実施形態では、マイクロカプセル型の電気永動方式の表示層を用いる場合を例にとり説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、これ以外の電気永動方式の表示層を用いる場合、例えば水平移動型電気永動方式や垂直移動型電気永動方式の表示層を用いる場合にも適用可能である。
【0111】
また、本実施形態では、電気泳動表示装置を腕時計等の時計に適用する場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限らず、これ以外の電子機器用の電気泳動表示装置として用いることが可能である。
【0112】
ここにおいて、電子機器は、前述した電気泳動表示装置を表示部として備えるあらゆる機器を意味するものであり、ディスプレイ装置、テレビジョン装置、電子ブック、電子ペーパー、電子手帳、電卓、携帯電話、携帯情報端末等を含む。
【0113】
また、「機器」という概念から外れるもの、例えば可撓性のある紙状/フィルム状の物体、これら物体が貼り付けられた壁紙等の不動産に属するもの、車両、飛行体、船舶等の移動体に属するものをも含む。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の表示装置に係る腕時計の正面図。
【図2】腕時計の側断面図。
【図3】電気泳動表示装置の側断面図。
【図4】電気泳動表示装置の製造過程を示す工程図。
【図5】同、工程図。
【図6】比較例の説明図。
【図7】電子ペーパーから電気永動表示シートを切り出す工程の説明図。
【図8】同図(A)は、素子基板の概略平面説明図、同図(B)は、切り出された電気永動シートと、素子基板とを貼り合わせて構成された腕時計用の積層体の概略平面説明図。
【図9】前記腕時計用の積層体にリング部材及び保護シートを取付けた状態の概略平面説明図。
【図10】図9に示す状態から、保護シート外周の不要部分をカットし作成された腕時計用の電子永動表示装置の概略説明図。
【図11】図9に示す積層体用の位置決め治具の概略断面説明図。
【図12】図11に示す腕時計用の電子永動表示装置に、腕時計用のアナログムーブメントを組み付けた状態の説明図。
【図13】積層体の外周にリング部材を配置した電子泳動表示装置の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0115】
1 電子時計、2 時計ケース、4 ムーブメント、5 電気泳動表示装置、5a 貫通部としての貫通孔、5b 表示領域、21 秒針、22 分針、23 時針、21〜23 アナログ指針、24 秒車、25 2番車、26 筒車、30 電気泳動表示シート、 、31 透明基板、32 透明電極層、 33 電気泳動表示層、34a 画素電極、 34 画素電極層、35 素子基板 、36 第1の貫通孔、50 表示部、100 積層体、110a,100b 保護シート、120 内周側リング部材、122 リング穴、140 外周側リング部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、
前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、
を少なくとも含み、
前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、
前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置であって、
前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の所与の位置に厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端を積層体の両面と略面一となるように所与のシール幅をもって封止する内周側のリング部材を設け、
前記保護シートは、
前記略面一の積層体及び内周側のリング部材を両面から被覆して封止し、
前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の外周端を、積層体の両面と略面一となるように封止する外周側のリング部材を設け、
前記保護シートは、
前記略面一の積層体、内周側のリング部材及び外周側のリング部材を両面から被覆して封止する電気泳動表示装置。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかにおいて、
前記リング部材は、前記積層体より機械的強度が大きな部材として形成された電気泳動表示装置。
【請求項4】
時計ケース内に、ムーブメントと、このムーブメントに備える針取付体に取付られる表示指針と、前記ムーブメントと前記表示指針との間に位置する表示パネルとを備えた腕時計において、
前記表示パネルとして、
請求項1〜3のいずれかの電気泳動表示装置を用い、
前記電気泳動表示装置の前記貫通部を、前記針取付体を通す針穴として形成した腕時計。
【請求項5】
透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、
前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、
を少なくとも含み、
前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、
前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置の製造方法であって、
前記積層体の厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端に、前記積層体と略同一の厚みをもつ内周側のリング部材を前記積層体の両面と略面一となるように配置する工程と、
前記略面一の積層体及び内周側のリング部材をその両面から前記保護シートで被覆して封止し、前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部として構成する工程と、
を含む電気泳動表示装置の製造方法。
【請求項1】
透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、
前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、
を少なくとも含み、
前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、
前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置であって、
前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の所与の位置に厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端を積層体の両面と略面一となるように所与のシール幅をもって封止する内周側のリング部材を設け、
前記保護シートは、
前記略面一の積層体及び内周側のリング部材を両面から被覆して封止し、
前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記積層体と略同一の厚みをもち、前記積層体の外周端を、積層体の両面と略面一となるように封止する外周側のリング部材を設け、
前記保護シートは、
前記略面一の積層体、内周側のリング部材及び外周側のリング部材を両面から被覆して封止する電気泳動表示装置。
【請求項3】
請求項1、2のいずれかにおいて、
前記リング部材は、前記積層体より機械的強度が大きな部材として形成された電気泳動表示装置。
【請求項4】
時計ケース内に、ムーブメントと、このムーブメントに備える針取付体に取付られる表示指針と、前記ムーブメントと前記表示指針との間に位置する表示パネルとを備えた腕時計において、
前記表示パネルとして、
請求項1〜3のいずれかの電気泳動表示装置を用い、
前記電気泳動表示装置の前記貫通部を、前記針取付体を通す針穴として形成した腕時計。
【請求項5】
透明基板と、透明電極層と、電気泳動表示層と、前記電気泳動表示層を駆動するための駆動電極が形成された駆動電極層と、背面基板とが表面側から積層された積層体と、
前記積層体を両面から被覆して封止する保護シートと、
を少なくとも含み、
前記透明電極層は、前記電気泳動表示層に対する共通電極として形成され、
前記積層体の厚さ方向に貫通した貫通部が設けられた電気泳動表示装置の製造方法であって、
前記積層体の厚み方向に向け形成された第1の貫通部の内周端に、前記積層体と略同一の厚みをもつ内周側のリング部材を前記積層体の両面と略面一となるように配置する工程と、
前記略面一の積層体及び内周側のリング部材をその両面から前記保護シートで被覆して封止し、前記リング部材内周のリング穴を前記貫通部として構成する工程と、
を含む電気泳動表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−66564(P2010−66564A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233237(P2008−233237)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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