説明

電気泳動表示装置および電子機器

【課題】本発明は、電気泳動粒子の移動を制御することによって、明度、彩度、色相の3つまたは少なくとも1つを制御することができ、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置および電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【解決手段】本発明の電気泳動表示装置は、第1基板および第2基板と、第1基板および第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入された粒子とを有する電気泳動層と、第1基板の電気泳動層側に島状に形成され、1画素内に設けられる複数の第1電極および複数の第2電極と、第2基板の電気泳動層側に形成され第1電極および第2電極よりも広い面積の第3電極と、を備え、第1電極および第2電極は互いに独立に駆動され、第3電極側から電気泳動層を見たときに視認される粒子の面積により階調を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ペーパーなどの表示部として、電気泳動表示装置が用いられるようになっている。電気泳動表示装置は、液相分散媒(分散媒)に複数の電気泳動粒子が分散された電気泳動分散液を有する構成になっている。電気泳動表示装置は、電界を印加することで電気泳動粒子の分布状態が変化し、電気泳動分散液の光学特性が変化することを表示に利用した装置である。
このような電気泳動表示装置において、下記特許文献1,2に記載されているような3粒子を用いたカラー電気泳動表示装置の概念が提案されている。これらには、電荷が正に帯電した粒子、負に帯電した粒子、無帯電の粒子の3粒子が3つの電極を用いて駆動されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−9092号公報
【特許文献2】特開2009−98382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献には、1つのサブ画素内で2つの画素電極を用いて2つの帯電粒子を制御する概念が記載されているが、具体的な画素電極の形状やトランジスタ形状との関係が示されていない。カラー電気泳動表示装置を実現するために1つのサブ画素で明度および彩度の制御性に課題があり、フルカラー表示を行うことが困難である。そこで、カラー電気泳動表示装置において、明度、彩度、色相の3つまたは少なくとも1つをアナログ的に制御する方法が望まれている。
また、規則正しいレイアウトで画素電極を配置してマトリクス状の電気泳動表示装置を作製すると画素電極の配置規則に従ったスジが表示される。これを解決する画素レイアウトや形状も課題である。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、電気泳動粒子の移動を制御することによって、明度、彩度、色相の3つまたは少なくとも1つを制御することができ、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置および電子機器を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気泳動表示装置は、上記課題を解決するために、第1基板および第2基板と、前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入された粒子とを有する電気泳動層と、前記第1基板の前記電気泳動層側に島状に形成され、画素ごとに設けられる複数の第1電極と、前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極よりも広い面積の第2電極と、を備え、前記第2電極側から前記電気泳動層を見たときに視認される前記粒子の面積により階調を制御することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、画素ごとに複数の第1電極が設けられており、これら複数の第1電極に印加する電圧の極性や大きさなどによって電気泳動層の分散媒内に混入された粒子の移動や第2電極側での分布範囲を制御することができる。また、1粒子系から3粒子系に対応した表示部となり、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置を提供することができる。本発明では、第1電極および第2電極に任意の電圧を印加することで粒子を第2電極上に分布させることができるため、第2電極側から電気泳動層を見たときに視認される粒子の面積により階調を制御することによって所望とするカラー表示が得られる。
【0008】
また、前記複数の第1電極は、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された接続電極により相互に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、複数の第1電極に対して同電圧を同時に印加することができ、電圧印加制御が容易になる。
【0009】
また、走査線、データ線を有し、前記画素には、前記走査線、前記データ線に接続されたトランジスタが配置され、前記接続電極は、前記トランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、接続電極がトランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることから、トランジスタ上にも第1電極を配置することが可能となる。これにより電極の配置における設計自由度が向上してより多くの電極を設けることが可能となる。
【0010】
また、前記接続電極は平面視で前記トランジスタの少なくとも一部と重なっていることが好ましい。
本発明によれば、トランジスタ上にも第1電極を配置することができる。これにより、第1電極の配置における設計自由度が向上してより多くの電極を設けることが可能となる。
【0011】
また、前記画素における前記複数の第1電極の総面積が前記画素の面積の1/4以下であることが好ましい。
本発明によれば、画素における複数の第1電極の総面積が画素の面積の1/4以下であることから、第2電極上に小さなドット領域で粒子を分布させることができ、その結果、階調の幅が広がる。
【0012】
また、前記第1電極どうしが隣り合う方向における前記第1電極の幅が、前記第1電極と前記第2電極との間隔よりも短いことが好ましい。
本発明によれば、小さなドット表示を行うことが可能である。このドットの大きさで階調(色)を調整することが可能である。
【0013】
また、前記画素内に設けられた前記複数の第1電極は、互いに大きさの異なる2種類以上の電極を含むことが好ましい。
本発明によれば、表示時に発生するスジや干渉縞を解消することができて良好なカラー表示が得られる。
【0014】
本発明の電気泳動表示装置は、第1基板および第2基板と、前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入された粒子とを有する電気泳動層と、前記第1基板の前記電気泳動層側に島状に形成され、1画素内に設けられる複数の第1電極および複数の第3電極と、前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極および前記第3電極よりも広い面積の第2電極と、を備え、前記第1電極および前記第3電極は互いに独立に駆動され、前記第2電極側から前記電気泳動層を見たときに視認される前記粒子の面積により階調を制御することを特徴とする。
本発明によれば、画素ごとに複数の第1電極および第3電極が設けられており、これら複数の第1電極および複数の第3電極に印加する電圧の極性や大きさなどによって電気泳動層の分散媒内に混入された粒子の移動や第2電極側での分布範囲を制御することができる。また、1粒子系から3粒子系に対応した表示部となり、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置を提供することができる。本発明では、第1電極、第2電極および第3電極に任意の電圧を印加することで粒子を第2電極上に分布させることができるため、第2電極側から電気泳動層を見たときに視認される粒子の面積により階調を制御することによって所望とするカラー表示が得られる。
【0015】
また、前記複数の第1電極は、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された第1接続電極により相互に接続されており、前記複数の第3電極は、前記第3電極より前記第1基板側の層に形成された第2接続電極により相互に接続されていることが好ましい。
本発明によれば、画素内の同種の電極(複数の第1電極あるいは複数の第3電極)に対して同時に同じ電圧を印加することができるため、電圧印加制御が容易に行える。
【0016】
また、第1の走査線、第2の走査線、第1のデータ線、第2のデータ線を有し、前記画素には、前記第1の走査線、前記第1のデータ線に接続された第1トランジスタと、前記第2の走査線、前記第2のデータ線に接続された第2トランジスタとが配置され、前記第1接続電極は、前記第1トランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成され、前記第2接続電極は、前記第2トランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることが好ましい。
本発明によれば、第1および第2接続電極が第1および第2トランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることから、第1および第2トランジスタ上にも第1電極あるいは第2電極を配置することが可能となる。これにより第1および第2接続電極に接続される第1電極および第3電極の配置における設計自由度が向上してより多くの電極を設けることが可能となる。
【0017】
また、前記第1接続電極は平面視で前記第1トランジスタの少なくとも一部と重なっており、前記第2接続電極は平面視で前記第2トランジスタの少なくとも一部と重なっていることが好ましい。
本発明によれば、第1トランジスタ上に第1接続電極、第2トランジスタ上に第2接続電極を配置することが可能なため、第1接続電極および第2接続電極に接続される第1電極および第3電極の配置における設計自由度が向上してより多くの電極を設けることが可能となる。
【0018】
また、前記1画素における前記複数の第1電極および前記複数の第3電極の総面積が前記1画素の面積の1/4以下であることが好ましい。
本発明によれば、1画素における複数の第1電極および複数の第3電極の総面積が1画素の面積の1/4以下であることから、第2電極上に小さなドット領域で粒子を分布させることができ、その結果、階調の幅が広がる。
【0019】
また、前記第1電極と前記第3電極とが隣り合う方向における前記第1電極および前記第3電極の幅が前記第1電極と前記第2電極との間隔より短いことが好ましい。
本発明によれば、小さなドット表示を行うことが可能である。このドットの大きさで階調(色)を調整することが可能である。
【0020】
また、前記画素内に設けられた前記複数の第1電極は、互いに大きさの異なる2種類以上の電極を含み、前記画素内に設けられた前記複数の第3電極は、互いに大きさの異なる2種類以上の電極を含むことが好ましい。
本発明によれば、表示時に発生するスジや干渉縞を解消することができて良好なカラー表示が得られる。
【0021】
また、前記複数の第1電極が等間隔で配置されていることが好ましい。
本発明によれば、複数の第1電極を等間隔な配置にすることで第1電極のレイアウトが容易になる。
【0022】
また、前記複数の第1電極がランダムな位置に配置されていることが好ましい。
本発明によれば、表示時に発生するスジや干渉縞を解消することができて良好なカラー表示が得られる。
【0023】
また、前記複数の第1電極の大きさがランダムであることが好ましい。
本発明によれば、表示時に発生するスジや干渉縞を解消することができて良好なカラー表示が得られる。
【0024】
また、第1の前記画素と第2の前記画素とを有し、前記第1の画素における前記複数の第1電極のレイアウトは、前記第2の画素における前記複数の第1電極のレイアウトと異なることが好ましい。
本発明によれば、表示時に発生するスジや干渉縞を解消することができて良好なカラー表示が得られる。
【0025】
また、前記画素の配列方向に沿って、前記第1の画素と前記第2の画素とが交互に配列されていることが好ましい。
本発明によれば、表示時に発生するスジや干渉縞を解消することができて良好な表示が得られる。
【0026】
また、前記画素は、前記第1電極のレイアウトが互いに異なる2つの領域を含むことが好ましい。
本発明によれば、表示スジや干渉縞の発生をより防止することができるようになる。また、画素ごとのパターンが同じであるため製造しやすい。
【0027】
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、1画素内に複数の電極を備えた構成とすることにより、良好なカラー表示に対応した表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】(a)第1実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成を示す平面図、(b)電気泳動表示装置の全体構成を示し等価回路図。
【図2】電気泳動表示装置の1画素における部分断面図。
【図3】3粒子を用いた電気泳動表示装置の動作原理を説明するための図。
【図4】3粒子を用いた電気泳動表示装置の動作原理を説明するための図。
【図5】1画素内の画素電極の分布を示す説明図。
【図6】シアン表示のときのシアン粒子の分布状態を示す図。
【図7】黒表示のときのシアン粒子、イエロー粒子、マゼンタ粒子の分布状態を示す図。
【図8】白表示のときのシアン粒子、イエロー粒子、マゼンタ粒子の分布状態を示す図。
【図9】電気泳動表示装置における等価回路図。
【図10】1画素における概略構成を示す平面図。
【図11】1画素における具体的な構成例を示す平面図。
【図12】図11のA−A線に沿う断面図。
【図13】電気泳動表示装置の1画素における概略構成を示す断面図。
【図14】第1実施形態における電気泳動表示装置の製造工程を説明するための部分断面図。
【図15】同、工程図。
【図16】同、工程図。
【図17】第2実施形態の1画素における概略構成を示す平面図。
【図18】図17のB−B線に沿う断面図。
【図19】第2実施形態における電気泳動表示装置の製造工程を説明するための部分断面図。
【図20】同、工程図。
【図21】同、工程図。
【図22】(a)第3実施形態の電気泳動表示装置の表示領域における画素配列の状態を模式的に示す平面図、(b)1画素における構成を示す平面図。
【図23】1画素における具体的な構成を示す平面図。
【図24】変形例1の画素構成を簡略化して示す平面図。
【図25】図24に示す画素構成を具体的に示す平面図。
【図26】変形例2の画素構成を示す平面図。
【図27】変形例3における1画素内での画素電極のレイアウトを示す平面図。
【図28】1画素内の構成を簡略化して示す平面図。
【図29】1画素内の構成を具体的に示す平面図。
【図30】画素電極の別のレイアウトを示す平面図。
【図31】画素電極の他の構成例について示す平面図。
【図32】図31に示した1画素の構成を具体的に示す平面図。
【図33】他の実施例の概略構成を示す断面図。
【図34】他の実施例の概略構成を示す断面図。
【図35】1粒子系における等価回路図。
【図36】画素電極のレイアウトを示す平面図。
【図37】1画素における概略構成を示す平面図(等間隔)。
【図38】1画素における他の構成を示す平面図(ランダム)。
【図39】画素電極の変形例を示す図。
【図40】電子機器の一例を示す図。
【図41】電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図。
【図42】電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図。
【図43】1画素におけるレイアウトの変形例(図10および図11に示す構成の変形例)を示す平面図。
【図44】図43のC−C線に沿う断面図。
【図45】電気泳動表示装置の他の構成例における帯電粒子の分布状態を示す図。
【図46】電気泳動表示装置の他の構成例における帯電粒子の分布状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
本明細書では、赤、緑、青の各色をそれぞれR、G、Bとも表記し、シアン、マゼンタ、イエローの各色をそれぞれC、M、Yとも表記する。
【0030】
[第1実施形態]
図1(a)は、電気泳動表示装置100の全体構成を示す平面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置100は、素子基板300が対向基板310よりも大きな平面寸法を有しており、対向基板310よりも外側に張り出した素子基板300上に2つの走査線駆動回路61と2つのデータ線駆動回路62とが外部機器と接続するためのフレキシブル基板201,202上にCOF(Chip On Film)実装(あるいはTAB(Tape Automated Bonding)実装)されている。そして、走査線駆動回路61が実装されたフレキシブル基板201が、素子基板300の一短辺に沿った辺縁部に形成された端子形成領域に、ACP(異方性導電ペースト)やACF(異方性導電フィルム)等を介して実装されている。ここで、素子基板300は、後述する第1基板30を基体として構成され、対向基板310は、後述する第2基板31を基体として構成されている。
【0031】
また、データ線駆動回路62が実装されたフレキシブル基板202が、素子基板300の一長辺に沿った辺縁部に形成された端子形成領域に、ACPやACF等を介して実装されている。各端子形成領域には、それぞれ複数の接続端子が形成されており、各々の接続端子に対して表示部5から延びる後述の走査線やデータ線が接続されている。
【0032】
また、素子基板300と対向基板310とが重なる領域に表示部5が形成されており、表示部5から延びる配線(走査線66やデータ線68)は、走査線駆動回路61及びデータ線駆動回路62が実装されている領域に延出され、当該実装領域に形成された接続端子に接続されている。そして、かかる接続端子に対してフレキシブル基板201,202がACPやACFを介して実装されている。
【0033】
図1(b)は、電気泳動表示装置の全体構成を示す等価回路図である。
図1(b)に示すように、電気泳動表示装置100の表示部5には、複数の画素40がマトリクス状に配列されている。表示部5の周辺には、走査線駆動回路61およびデータ線駆動回路62が配置されている。走査線駆動回路61およびデータ線駆動回路62は、それぞれコントローラー(不図示)と接続されている。コントローラーは、上位装置から供給される画像データや同期信号に基づき、走査線駆動回路61およびデータ線駆動回路62を総合的に制御する。
【0034】
表示部5には走査線駆動回路61から延びる複数の走査線66と、データ線駆動回路62から延びる複数のデータ線68とが形成されており、これらの交差位置に対応して画素40が設けられている。各画素40には、2本の異なるデータ線68が接続されている。
【0035】
走査線駆動回路61は、複数の走査線66を介して各々の画素40に接続されており、コントローラーの制御のもと、各走査線66を順次選択し、画素40に設けられた選択トランジスタTR1、TR2(図9参照)のオンタイミングを規定する選択信号を、選択した走査線66を介して供給する。データ線駆動回路62は、複数のデータ線68を介して各々の画素40に接続されており、コントローラーの制御のもと、画素40の各々に対応する画素データを規定する画像信号を画素40に供給する。
【0036】
次に、電気泳動表示装置におけるカラー表示方法について述べる。
図2は電気泳動表示装置の1画素における部分断面図である。なお、図5においては原理を説明するために各構成については簡略化してある。
【0037】
電気泳動表示装置は、図2に示すように、第1基板30と第2基板31との間に電気泳動層32が挟持されてなる。電気泳動層32は、透明な分散媒21(T)中に、マイナスに帯電したシアン色の負帯電粒子26(C)(第2の電気泳動粒子)と、プラスに帯電したイエロー色の正帯電粒子27(Y)(第1の電気泳動粒子)と、マゼンタ色の無帯電粒子28(M)(第3の電気泳動粒子)と、を保持(分散)している。帯電した粒子(負帯電粒子26(C)、正帯電粒子27(Y))は、電気泳動層32中において電気泳動粒子として振る舞う。
【0038】
第1基板30の電気泳動層32側には、互いに独立に駆動される第1画素電極35A(第1電極)および第2画素電極35B(第3電極)が形成されており、第2基板31の電気泳動層32側には、第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bより面積の広い対向電極37(第2電極)が形成されている。対向電極37は、平面視で第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bを覆い、第2基板31の少なくとも表示に寄与する部分を覆う領域に形成されている。電気泳動表示装置100は、第2基板31側から観察するものとする。
【0039】
第1画素電極35Aと対向電極37との間に生じる電界、および第2画素電極35Bと対向電極37との間に生じる電界により、負帯電粒子26(C)と正帯電粒子27(Y)とが制御される。図2において、対向電極37はグランド電位となっているものとする。
また、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに印加される正の電圧のうち絶対値が最大となる電圧を電圧VH(以下、正の最大値とも称する)、負の電圧のうち絶対値が最大となる電圧を電圧VL(以下、負の最大値とも称する)とする。また、電圧Vhを、絶対値が電圧VHより小さい正の電圧とし、電圧Vlを、絶対値が電圧VLより小さい負の電圧とする。なお、「電極に電圧を印加する」とは、「電極に対して、グランド電位との間で当該電圧を生じさせるような電位を供給する」ことと同義である。
【0040】
図2は、第2基板31側の対向電極37(第3電極)上に負帯電粒子26(C)と正帯電粒子27(Y)とがどのように分布するかを示している。図2の左側において、第1画素電極35Aには絶対値が電圧VLより小さい中程度の大きさのマイナス電圧Vlが印加されている。第1画素電極35Aと対向電極37との間には、第1画素電極35Aの電圧Vlに対応する電位と、共通電極37のグランド電位との電位差に起因した電界が生じており、この電界によりマイナスに帯電した負帯電粒子26(C)は対向電極37側に移動する。ここでは、電極間の電圧があまり大きくないため負帯電粒子26(C)は対向電極37上であまり広がらないで分布する。これは、以下の理由による。
【0041】
すなわち、負帯電粒子26(C)は斜め電界(第1画素電極35Aから、第1基板30の法線に対して傾いた方向に出る電気力線を有する電界)でも移動するが、もともとの電界が大きくないため斜め電界も大きくはならない。よって、負帯電粒子26(C)の第2基板31に平行な方向についての移動量が少なくなり、負帯電粒子26(C)が狭い範囲に集中してスポット的な分布を実現できる。また、移動する粒子数も少なくなる。よって、ここでは小さい面積のシアン表示が行われる。
【0042】
なお、第1画素電極35Aに電圧VL(負の最大値)を印加すると、電極間電圧が図2の左側の状態より大きくなるため、電極間に生じる電界が大きくなり、図2の左側の状態より多くの負帯電粒子26(C)が第2基板31側に移動する。典型的には、すべての負帯電粒子26(C)が第2基板31側に移動する。また、もともとの電界が大きくなるため、これに従って斜め電界も大きくなり、負帯電粒子26(C)の第2基板31に平行な方向についての移動量が大きくなって、負帯電粒子26(C)が図2より広い範囲に分布した状態となる。この場合には、図2より大きい面積のシアン表示が行われる。
【0043】
また、図2の右側において、第2画素電極35Bにプラス電圧VH(正の最大値)が印加されると、全ての正帯電粒子27(Y)が対向電極37側に移動し、第2基板31に平行な面内での分布領域も大きくなる。ここではイエロー表示が行われる。
【0044】
なお、第2画素電極35Bに電圧VHより小さい電圧Vhを印加すると、電極間電圧が図2の右側の状態より小さくなるため、電極間に生じる電界が小さくなり、図2の右側の状態より少数の正帯電粒子27(Y)が第2基板31側に移動する。また、もともとの電界が小さくなるため、これに従って斜め電界も小さくなり、正帯電粒子27(Y)の第2基板31に平行な方向についての移動量が小さくなって、正帯電粒子27(Y)が図2より狭い範囲に分布した状態となる。この場合には、図2より小さい面積のイエロー表示が行われる。
【0045】
また、例えば第1画素電極35Aに電圧VHを印加し、第2画素電極35Bに電圧VLを印加することにより、負帯電粒子26(C)は第1画素電極35A側に引き寄せられ、正帯電粒子27(Y)は第2画素電極35B側に引き寄せられる。この場合には、負帯電粒子26(C)および正帯電粒子27(Y)より相対的に対向電極37側にマゼンタ色の無帯電粒子28(M)が分布することになり、第2基板31側からはマゼンタ色の無帯電粒子28(M)が視認され、1画素の表示がマゼンタとなる。
【0046】
ここでのポイントは、分散媒中に各色(CMY)の3粒子をプラス、マイナス、無帯電の3つに分けて用いることである。対向電極37に比べて面積の小さい第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bは負帯電粒子26(C)、正帯電粒子(Y)のそれぞれに対して用いられ、各画素電極に印加される電圧の極性に応じて粒子の対向電極37上での分布が制御されるようになっている。ここで、対向電極37上での粒子の分布は、電圧の大きさだけでなく、電圧を印加する時間の長短によっても制御することが可能である。
【0047】
シアン色の負帯電粒子26(C)は、透明な粒子に対しRの波長域を下げたものであり、B、Gの光を透過し、Rの光を吸収する。あるいは、粒子表面でB,Gの光に対するある程度の反射を持たせても良い。すなわち半透明な粒子にしてもよい。例えば、粒子は、透明部と着色部とを有し、このうち着色部が波長により反射率又は透過率が異なるように構成される。マゼンタ色及びイエロー色の粒子についても同様である。
【0048】
図3に、3粒子を用いた電気泳動表示装置の動作原理を示す。
電気泳動表示装置の電気泳動層32は、透明な分散媒21(T)中にマイナスに帯電したシアン色の負帯電粒子26(C)、プラスに帯電したイエロー色の正帯電粒子27(Y)と、マゼンタ色の無帯電粒子28(M)が保持されてなる。第2基板31の電気泳動層32側には表示エリアほぼ全面に対向電極37が形成されており、第1基板30の電気泳動層32側には1画素ごとに第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bがそれぞれ複数ずつ形成されている(図3中では1ずつ図示してある)。これら第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bは対向電極37よりも小さく形成されている。
【0049】
図3(a)はマゼンタ表示のときの状態を示す。
ここでは、第1画素電極35Aにプラスの電圧VHを印加し、第2画素電極35Bにマイナスの電圧VLを印加している。すると、マイナスに帯電した負帯電粒子26(C)は第1画素電極35A上に吸着し、プラスに帯電した正帯電粒子27(Y)は第2画素電極35B上に吸着する。外部から入射した光(図中矢印で示す。以下同じ)は分散媒21中を浮遊するマゼンタ色の無帯電粒子28(M)にて青および赤の波長域の成分が散乱され、マゼンタ色となって対向電極37側から出光する。
【0050】
図3(b)はシアン表示のときの状態を示す。
ここでは、図3(a)の状態から第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bにマイナスの電圧VLを印加する。すると、マイナスに帯電した負帯電粒子26(C)は全て対向電極37側へと移動する。一方、プラスに帯電した正帯電粒子27(Y)は第2画素電極35B上に吸着する。外部から入射した光は対向電極37上に分布する負帯電粒子26(C)にて青および緑の波長域の成分が散乱され、シアン色となって対向電極37側から出光する。
【0051】
図3(c)は白表示のときの状態を示す。
ここでは、まず図3(a)に示した状態から第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bに対して電圧を印加する。具体的には、第1画素電極35Aに上記マイナス電圧VLよりも絶対値の小さいマイナス電圧Vl1を印加し、第2画素電極35Bに上記プラス電圧VHよりも絶対値の小さいプラス電圧Vh1を印加する。すると、第1画素電極35A上の負帯電粒子26(C)の一部が対向電極37側へと移動し、第2画素電極35B上の正帯電粒子27(Y)の一部が対向電極37側へと移動する。対向電極37上に分布した負帯電粒子26(C)および正帯電粒子27(Y)による小さなシアンドット、イエロードットと、これらの間に分布する無帯電粒子28(M)とがそれぞれ画素の面請の約1/3ずつを占有する。この状態の場合、入射光は、RGBそれぞれの波長域においてほぼ同じ量だけ反射されるため白表示となる。
【0052】
図3(d)は緑表示のときの状態を示す。
ここでは、まず図3(a)に示した状態から第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bに対して電圧を印加する。具体的には、第1画素電極35Aに、絶対値が電圧VLより小さくかつ電圧Vl1より大きいマイナス電圧Vl2を印加して負帯電粒子26(C)を対向電極37上に分布させる。同時に、第2画素電極35Bに、絶対値が電圧VHより小さくかつ電圧Vh1より大きいプラス電圧Vh2を印加して、正帯電粒子27(Y)を対向電極37上に分布させる。
すると、負帯電粒子26(C)と正帯電粒子27(Y)はそれぞれ白表示の場合より広範囲に分布し、対向電極37上で重なり合う。外部から入射した光は、負帯電粒子26(C)と正帯電粒子27(Y)の両方の粒子で散乱され、その際にRとBの光が相対的に多く吸収される。結果としてGの光が表に出る。
【0053】
ここでのポイントは、CMYの各粒子は互いに一部エリアで重なり合う(混ざり合う)ことで、混色が表現される点である。ただし、図3(d)に示すように、対向電極37の全面において負帯電粒子26(C)と正帯電粒子27(Y)の粒子が混ざり合う必要はない。例えば緑色を表示する場合には、一部のエリアにおいてのみ負帯電粒子26(C)と正帯電粒子27(Y)とが混ざり合い、その他の領域はCMYそれぞれの単色エリアとなっていても(白表示も含む)G表示は可能である。その時は淡い(彩度の低い)緑色となる。さらに先の白表示の時のように、負帯電粒子26(C)と正帯電粒子27(Y)が別エリアにあっても、さらに淡い緑色表示は可能である。
【0054】
図4を用いて黒を表示する場合の動作を説明する。
図4では、図3(a)を出発点とし、まず、第1画素電極35Aに小さなマイナス電圧Vl3、第2画素電極35Bに小さなプラス電圧Vh3を印加する。このときの印加電圧の大きさは図3(c),(d)で印加した電圧の大きさの中間であり、その絶対値は|Vl1|<|Vl3|<|Vl2|、Vh1<Vh3<Vh2の関係にある。すると、対向電極37上には実質的にCMYの3色の粒子がほぼ均等に分布することになる。外部から入射した光はCMYの各色の粒子で次々に透過、散乱されるため、RGB全ての波長域の成分がほぼ均等に吸収される。このため、反射光は黒になる。その後、第1画素電極35Aにプラス、第2画素電極35Bにマイナスの電圧を印加すると、図3(a)のマゼンタ表示に戻ることができる。
【0055】
以上のように、電気泳動表示装置100は、第1画素電極35A、第2画素電極35Bを独立に駆動することにより、対向電極37側から見たときに視認されるCMY各色の粒子の面積を制御することにより階調を表現する。ここで、CMYそれぞれの粒子の分布領域の境界では粒子の量が少なく完全なCMYそれぞれの色を呈するとは限らない。しかし、この領域においてもCMY各色の表示に対する寄与分は存在する。このような領域の寄与分を含めて視認される実効的な面積、すなわち実効的な粒子の分布面積により階調の制御が行われる。また、粒子によりCMY各色の色またはそれらの混色を呈するためには、入射光が粒子により複数回散乱されることが必要なため、電気泳動層32内の3次元的な深さ方向の分布も必要になる。上記した視認される面積とは、粒子の2次元、3次元的分布を含めて実際に視認される実効的な面積をさす。このように、電気泳動表示装置100においては、対向電極37側から見て実効的な粒子の面積により階調表示が行われる。ここで指す階調とは色粒子が作る実効的な色の濃淡を指す。これを用いて混色の明度、彩度、色度の制御が可能になる。
【0056】
図3(c)、(d)および図4において、第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bに対して同時に書き換えのための電圧を印加したが、各電極に順次印加しても構わない。順次に印加するというのは1フレーム内において時間差を設けてそれぞれ印加しても良いし、複数フレームを用いて順次印加を実施しても良い。例えば、あるフレームでは第1画素電極35Aに電圧を印加し、次のフレームでは第2画素電極35Bに電圧を印加するとしてもよい。
【0057】
ここで、図3(d)および図4で示すように、2〜3色の混色を表現する時、粒子は100%の透明性を有する構成ではなく、ある程度の反射性を有していると混色が効率的に行なわれる。例えば、透過率が100%に近いと入射した光は表に出るまで多くの屈折等の反射が必要となり、光を表に出すための厚い粒子層が必要になる。厚い粒子層を対向電極37側の全面に作るのはエネルギー的にも効率的ではない。また、粒子層が薄いと光が表に出ずにセルの底に到達して本来不要な粒子の色を感じて不必要な混色が生じてしまう。それよりも、粒子にある程度の反射性を持たせて、厚くない粒子層で光を表に導く方が混色を行ないやすい。
【0058】
図5は1画素内の画素電極の分布を示す説明図である。
第1基板上には、第1画素電極35A、第2画素電極35Bおよび電極未形成領域Sが設けられている。これらは1画素内においてそれぞれ均等に分布されている。ここでは原理説明のため一方向に繰り返すパターンとした。1画素内の複数の第1画素電極35Aには、同一の信号が供給され、1画素内の複数の第2画素電極35Bには、同一の信号が供給される。よって、負帯電粒子26(C)および正帯電粒子27(Y)は第1画素電極35A、第2画素電極35Bのいずれかに対応して動作する。なお、マゼンタ色の無帯電粒子28(M)は、第1画素電極35A、第2画素電極35Bに供給される信号に関わらず動作しないため、対応する電極がない。
【0059】
具体的には、第1画素電極35Aと第2画素電極35Bとを3つずつ用い、それぞれが正三角形を描くレイアウトを基本としている。ここでは、各電極35A,35Bの基本レイアウトを組み合わせて六角形を呈するように配列されたパターンとされている(第1のレイアウトL1)。各電極35A,35Bは六角形の6つの頂部にそれぞれ位置し、隣り合う画素電極どうしが異なるように交互に配列されている。
電極未形成領域Sはこれら六角形状に配置された6つの電極35A,35Bの配列の中央に配置することとなる。
【0060】
換言すれば、各第1画素電極35Aの周囲には、当該第1画素電極35Aの位置が重心となるように3つの第2画素電極35Bが正三角形を形成するように配置されており、また、各第2画素電極35Bの周囲には、当該第2画素電極35Bの位置が重心となるように3つの第1画素電極35Aが正三角形を形成するように配置されている。また、各第1画素電極35A、各第2画素電極35Bの周囲には、これら第1画素電極35A又は第2画素電極35Bの位置が重心となるように3つの電極未形成領域Sが位置する。
【0061】
なお、電極35A,35Bの配列は六角形に限定されることはなく、電極35A,35Bおよび電極未形成領域Sどうしが互いに等間隔で配置されていればこれ以外の配列形状であってもよい。
【0062】
図6はシアン表示のときのシアン粒子の分布状態を示す図である。
第1画素電極35Aにマイナスの電圧を印加すると、マイナスに帯電したシアン色の負帯電粒子26(C)が対向電極37側へ全て移動し、負帯電粒子26(C)が第1画素電極35Aを中心とする平面視円形状の領域(分布領域R(C))に分布する。各画素電極35A上に形成される複数の分布領域R(C)どうしは部分的に重なっている。
このように、対向電極37の表面全体においてシアン粒子層が形成されることにより、外部から入射した光はシアン粒子によって反射されてシアン色となり、外部に出光する。
よってシアン表示となる。
【0063】
図7は黒表示のときのシアン粒子、イエロー粒子、マゼンタ粒子の分布状態を示す図である。
図7に示すように、シアン粒子およびイエロー粒子が隣り合う画素電極35A(35B)あたりまで分布している。第1画素電極35A上に分布するシアン粒子はその分布領域R(C)が隣り合う第2画素電極35Bにまで広がっており、第2画素電極35B上に分布するイエロー粒子はその分布領域R(Y)が隣り合う第1画素電極35Aにまで広がっている。マゼンタ粒子は例えばシアン粒子層およびイエロー粒子層の隙間やそれらの下層側に分布する。
このように、対向電極37の表面全体においてシアン粒子、イエロー粒子およびマゼンタ粒子が互いに重なり合うようにして分布する。その結果、外部から入射した光は各粒子に吸収されて黒色となり、黒表示となる。
【0064】
図8は白表示のときのシアン粒子、イエロー粒子、マゼンタ粒子の分布状態を示す図である。
図8に示すように、第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bに対してそれぞれシアン表示、イエロー表示のときに印加した電圧よりも小さい電圧を印加すると、図7に示した分布領域よりも小さい面積の分布領域R(C),R(Y)が形成される。シアン粒子およびイエロー粒子の分布領域R(C),R(Y)の総面積はそれぞれ1画素の面積の1/3ずつを占める。マゼンタ粒子はシアン粒子およびイエロー粒子の分布領域R(C),R(Y)の隙間を含む領域に分布しているため、この領域において対向電極37側に露出した状態となる。マゼンタ粒子が露出する領域の面積も、1画素の面積の約1/3となる。
このように、対向電極37の表面全体においてシアン粒子、イエロー粒子、マゼンタ粒子がそれぞれ略均一に混在することによって、外部から入射した光は各粒子に反射されて白色となり、外部に出光する。
【0065】
図9は、電気泳動表示装置における等価回路図である。
図9に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置では1画素内に2つの選択トランジスタTR1,TR2が設けられている。1画素における画素回路は、電気光学材料としての電気泳動層32と、この電気泳動層32に電圧を供給するためのスイッチング動作を行う選択トランジスタTR1,TR2と、を含んでそれぞれ構成されている。2つの選択トランジスタTR1,TR2で第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bへの印加電圧を独立に制御することでクロストークのない画像表示を行うことができる。
【0066】
選択トランジスタTR1は、ゲートに走査線66(第1走査線)が接続され、ソースにデータ線68A(第1データ線)が接続され、ドレインに電気泳動層32が接続されている。選択トランジスタTR2は、ゲートに走査線66(第2走査線)が接続され、ソースにデータ線68B(第2データ線)が接続され、ドレインに電気泳動層32が接続されている。具体的には、列方向で隣り合う画素40A,40Bのうち画素40Aにおいては、選択トランジスタTR1,TR2のそれぞれのゲートにm行の走査線66が接続されている。そして、選択トランジスタTR1のソースにN(A)行のデータ線68Aが接続され、ドレインに電気泳動層32が接続されている。一方、選択トランジスタTR2のソースにN(B)行のデータ線68Bに接続され、ドレインに電気泳動層32が接続されている。
【0067】
ここで、選択トランジスタTR1のドレインは第1接続電極44A(図10)を介して電気泳動層32に接続され、選択トランジスタTR2のドレインは第2接続電極44B(図10)を介して電気泳動層32に接続されている。
【0068】
図10は1画素における概略構成を示す平面図であり、図11は1画素における具体的な構成例を示す平面図である。
図10および図11に示すように、1画素40内には複数の第1画素電極35Aと複数の第2画素電極35Bと電極未形成領域Sとが互いに均等な間隔を空けて配置されている。そして、これら複数の第1画素電極35Aどうしはこれら複数の第1画素電極35Aより第1基板30側の層に形成された第1接続電極44Aにより相互に接続され、複数の第2画素電極35Bどうしはこれら複数の第2画素電極35Bより第1基板30側の層に形成された第2接続電極44Bにより相互に接続されている。
【0069】
第1接続電極44Aおよび第2接続電極44Bは平面視櫛歯状を呈しており、画素内に形成された選択トランジスタTR1および選択トランジスタTR2の各ドレイン電極41dとそれぞれ接続されている。つまり、第1接続電極44Aおよび第2接続電極44Bは、選択トランジスタTR1、TR2の各ドレイン電極41dと同じ層に位置しており、これら各ドレイン電極41dと一体に形成されている。
第1接続電極44AにはコンタクトホールH1を介して第1画素電極35Aが接続され、第2接続電極44BにはコンタクトホールH2を介して第2画素電極35Bが接続されている(図11)。
【0070】
本実施形態では走査線66を順次選択することによって選択トランジスタTR1および選択トランジスタTR2を介して各接続電極44A,44Bおよび各画素電極35A,35Bに電圧を供給する。
【0071】
各接続電極44A,44Bは、上記2方向(例えば、走査線66あるいはデータ線68の延在方向)に沿って延在する2辺からなり、全体的にく字状を呈する幹部441と当該幹部441によって連結された複数の枝部442とを有してなる。複数の枝部442は、幹部441の延在方向とは異なる方向(ここでは、枝部442の各辺に対して約60°の方向。これに限らず、例えば45°の方向とすることもできる)に、互いに平行して延在しており、すべての枝部442の延在長さを異ならせてある。幹部441の角部(屈曲部分)付近から延出する枝部442が最も長く、該枝部441から遠ざかる枝部441ほど短い長さとなっている。各接続電極44A,44Bは櫛歯状を呈しており、互いにかみ合うようにして画素40内に配置されている。つまり、第1接続電極44Aの枝部442aの両側に第2接続電極44Bの枝部442b,442bが存在する状態となっている。ここで、第1接続電極44Aの枝部442aは、その両側に存在する第2接続電極44Bの枝部442b、442bのうちの一方側に片寄るようにして形成されている。
第1接続電極44Aの各枝部442aは複数の第1画素電極35Aに対応し、第2接続電極44Bの各枝部442bは複数の第2画素電極35Bに対応している。
【0072】
そして、第1接続電極44Aおよび第2接続電極44Bにおける特定の枝部442どうしの間に無帯電粒子に対応する電極未形成領域Sが位置している(図10)。もっとも、電極未形成領域Sに対応する位置に第1接続電極44Aおよび第2接続電極44Bが配置されていても良い。
【0073】
本実施形態では、島状に形成された第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bは画素ごとに複数ずつ設けられており、1画素における第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bの総面積が、1画素の面積の1/4以下となっている。
【0074】
ここで、画素面積は、画素に含まれる電気泳動層32がシール材により区画されている場合には、シール材により区画された領域の面積とすることができる。また、画素に含まれる電気泳動層32がシール材により区画されていない場合には、選択トランジスタTR1に接続される走査線66の配置ピッチと、選択トランジスタTR1に接続されるデータ線68の配置ピッチとの積で定められる面積を画素面積と定義することができる。
【0075】
図11に示すように、第1画素電極35Aと第2画素電極35Bは同一画素エリア内で重ならないように、互いに所定の間隔をおいて混在するようにして形成されている。第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bは平面視で円形状に形成されている。これら各電極35A,35Bの直径はセルギャップ(第1画素電極35A又は第2画素電極35Bと、対向電極37との距離)よりも小さい寸法とされており、セルギャップの1/2以下がより好ましい。これにより、対向電極37上での表示ドットの大きさを小さくすることができ、淡い色表示が可能となる。これで表現できる色範囲が広がる。
なお、各電極35A,35Bの形状は円形に限らず、多角形であってもよい。
【0076】
素子基板300と対向基板310との間隔を保持するためのスペーサーSPは、感光性アクリルを用いて柱状を呈する厚さ(高さ)40μmを有してなり、複数の画素40ごとに1つの割合で用いた。
【0077】
本実施形態では、1画素内に複数の島状の画素電極35A,35Bが形成されている。
これら複数の画素電極35A,35Bにより、対向電極37上での粒子の混合をより効率的に行え、混色を効果的に行うことが可能となる。
【0078】
図12は、図11のA−A線に沿う断面図である。
図12に示すように、第1基板30は厚さ0.6mmのガラス基板からなり、その表面上に厚さ300nmのアルミニウム(Al)からなるゲート電極41e(走査線66)が形成されている。そして、このゲート電極41eを覆うようにして第1基板30の表面全体に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜41bが形成され、ゲート電極41eの直上に厚さ50nmのa−IGZO(In、Ga、Znの酸化物)からなる半導体層41aが形成されている。
【0079】
このゲート絶縁膜41b上には、厚さ300nmのAlからなるソース電極41c(データ線68)およびドレイン電極41dがゲート電極41eおよび半導体層41aと一部重なるようにそれぞれ設けられている。ソース電極41cとドレイン電極41dは半導体層41aに一部乗り上げるようにして形成されている。また、同じく厚さ300nmのアルミニウム(Al)からなる接続電極44がゲート絶縁膜41b上に形成されている。この接続電極44は、ソース電極41cおよびドレイン電極41dと同時にパターン形成されるものでドレイン電極41dと接続されている。
【0080】
ここで、選択トランジスタTR1(TR2)としては、一般的なa−SiTFT、ポリSiTFT、有機TFT、酸化物TFT等が使用可能である。構造もトップゲート、ボトムゲート構造共に可能である。
【0081】
選択トランジスタTR1(TR2)および接続電極44上にはこれらを覆うようにして、厚さ300nmの酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜42Aと、厚さ1μmの感光性アクリルからなる層間絶縁膜42Bとが形成されている。層間絶縁膜42Bは平坦化膜として機能する。なお、層間絶縁膜42Aに平坦化膜としての機能を付与できれば層間絶縁膜42Bは必ずしも必要ではなく、省略することができる。そして、これら層間絶縁膜42Aおよび層間絶縁膜42Bに形成されたコンタクトホールH2(H1)を介して50nmのITOからなる画素電極35B(35A)が複数設けられている。第1基板30から画素電極35B(35A)までの要素により、素子基板300が構成される。
【0082】
そして、第1基板30の最表面上に上記したスペーサーSPが形成されている。
【0083】
図13は、電気泳動表示装置の1画素における概略構成を示す断面図である。
図13に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置は、第1基板30と第2基板31との間に電気泳動層32が挟持されてなるもので、第1基板30の電気泳動層32側には選択トランジスタおよびその他の配線等を含む回路層34と複数の第1画素電極35Aおよび複数の第2画素電極35Bが設けられ、第2基板31の電気泳動層32側には対向電極37が設けられている。複数の第1画素電極35Aおよび複数の第2画素電極35Bに対向する対向電極37は、島状の第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bの面積の総和より広い面積を有し、少なくとも画素内の表示に寄与する領域において一繋がりの電極(ベタ電極)となっている。対向電極37には、必要に応じて、電極の無い切り欠き部を設けても良い。1画素内に配置された第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bは互いに独立に駆動されるようになっている。
【0084】
より詳しくは、第1基板30、回路層34、第1画素電極35A、第2画素電極35Bを含む素子基板300と、第2基板31及び対向電極37を含む対向基板310との間に電気泳動層32が挟持されている。素子基板300と対向基板310との間には、平面視で表示部5(図1(a))の周囲全体を取り囲むように配置されたシール材63が形成されている。電気泳動層32は、素子基板300、対向基板310、及びシール材63によって封止されている。なお、平面視で各画素を囲むように、素子基板300と対向基板310との間にシール材を形成することもできる。
また、図示していないが、画素電極と対向電極との間にカプセルを配置し、カプセル内に分散媒及び帯電粒子を封入したカプセル型の電気泳動層を用いることも可能である。このようなカプセル型の電気泳動層においても、他の実施例同様の動作を行なうことができる。
【0085】
電気泳動層32は、無色透明な分散媒21(T)中に3種の粒子を複数ずつ保持してなる。3種の粒子としては、マイナスに帯電したシアン色の負帯電粒子26(C)と、プラスに帯電したイエロー色の正帯電粒子27(Y)と、マゼンタ色の無帯電粒子28(M)である。
【0086】
対向電極37、第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bに用いる透明電極の構成材料としては、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金等の金属材料、カーボンブラック等の炭素系材料、ポリアセチレン、ポリピロール、またはこれらの誘導体等の電子導電性高分子材料、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンオキシド等のマトリックス樹脂中に、NaCl、LiClO、KCl、LiBr、LiNO、LiSCN等のイオン性物質を分散させたイオン導電性高分子材料、インジウム錫酸化物(ITO)、フッ素ドープした錫酸化物(FTO)、錫酸化物(SnO)、インジウム酸化物(IO)等の導電性酸化物材料のような各種導電性材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0087】
なお、画素電極35A,35Bに用いる電極の材料としては、視認側とは反対側に位置するため透明である必要はなく、金属、シリサイド、銀などのペースト等を用いてもよい。
【0088】
分散媒21の材料としては、実質的に無色透明であることが好ましい。このような分散媒としては、比較的高い絶縁性を有するものが好適に使用される。かかる分散媒としては、例えば各種類(蒸留水、純水、イオン交換水等)、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、シクロへキサン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエンのような長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ピラジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、流動パラフィンなどの鉱物油類、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の植物油類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、ハイドロフルオロエーテル等のフッ素系液体またはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。分散媒21として気体や真空を用いても良い。
【0089】
また、分散媒21中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等カップリング剤の分散剤、潤滑剤、安定化剤等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0090】
分散媒21中に含まれる、帯電粒子、無帯電粒子および透明粒子は、それぞれいかなるものをも用いることができ、特に限定はされないが、染料粒子、顔料粒子、樹脂粒子、セラミックス粒子、金属粒子、金属酸化物粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に使用される。これらの粒子は、製造が容易であるとともに、荷電の制御を比較的容易に行うことができるという利点を有している。
【0091】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫化亜鉛、亜鉛華等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー等の黄色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料、フェロシアン化第二鉄等のシアン色顔料、あるいは無機酸化鉄等のマゼンタ色顔料等が挙げられる。無機顔料、有機顔料を用いることも出来る。
これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
上記顔料の代わりに染料を用いて染料粒子を構成できる。この場合は白色顔料に染料を混入させても良いし、着色の顔料と混ぜて用いても良い。例えばカルボニウム系のマゼンタ等の染料を用いることもできる。
【0093】
また、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、スチレンとアクリロニトリルを共重合したAS樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0094】
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆したもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆したもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。また、分散媒21中に含まれる各種粒子としては、粒子の中心を空洞にした構造のものを用いても良い。このような構成によれば、粒子の表面で光を散乱させることに加えて、粒子内部の、空洞を構成する壁面においても光を散乱させることができ、光の散乱効率を向上させることが可能となる。よって、白、及びその他の色の発色性を向上させることができる。
【0095】
また、このような電気泳動粒子の分散媒中における分散性を向上させることを目的に、各粒子の表面に、分散媒と相溶性の高い高分子を物理的に吸着させたり、化学的に結合させたりすることができる。これらの中でも、電気泳動粒子の表面からの離脱着の問題から、高分子が化学的に結合しているものが特に好ましい。かかる構成とすれば、電気泳動粒子の見かけの比重が小さくなる方向に作用して、電気泳動粒子の分散媒での親和性、すなわち分散性を向上させることができる。
【0096】
このような高分子としては、例えば、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基を有する高分子、電気泳動粒子と反応性を有する基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子、および、電気泳動粒子と反応性を有する基と帯電性官能基と長鎖アルキル鎖、長鎖エチレンオキシド鎖、長鎖フッ化アルキル鎖、長鎖ジメチルシリコーン鎖等を有する高分子等が挙げられる。
【0097】
上述したような高分子において、電気泳動粒子と反応性を有する基としては、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基、アルコキシシラン基、シラノール基、アルキルアミド基、アジリジン基、オキサゾン基、およびイソシアネート基等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を選択して用いることができるが、用いる電気泳動粒子の種類等に応じて、選択するようにすればよい。
【0098】
電気泳動粒子の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜10μm程度であるのが好ましく、0.02〜5μm程度であるのがより好ましい。
【0099】
また、画素電極35A,35Bと接続電極44A,44Bとの絶縁性を確保するための層間絶縁膜42A,42Bの材料としてはアクリルを用いている。これ以外の材料を用いることも可能であり、シリコン酸化膜等の無機絶縁膜、有機絶縁膜も可能である。
【0100】
素子基板300および対向基板310としては、PET基板以外の有機絶縁基板や薄ガラス等の無機ガラス基板、あるいは無機材料および有機材料からなる複合基板を用いてもよい。
【0101】
[電気泳動表示装置の製造方法]
以下に、電気泳動表示装置の製造方法について述べる。
図14〜図16は電気泳動表示装置の製造工程を説明するための部分断面図である。
【0102】
まず、図14(a)に示すように、0.6mm厚のガラス基板からなる第1基板30上にスパッタ法で300nmのアルミニウム(Al)を基板面全体に成膜し、フォトエッチング法でゲート電極41eを形成する。
【0103】
次に、図14(b)に示すように、厚さ300nmの酸化シリコン膜をプラズマCVD法で基板面全体に形成し、ゲート絶縁膜41bを形成する。その後、ゲート絶縁膜41b上に、スパッタ法によりa―IGZO(In、Ga、Znの酸化物)からなる厚さ50nmの半導体層41aを形成する。このとき、フォトエッチングプロセスでゲート電極41e上を部分的に残すように島状態に加工した。酸化物半導体のソース、ドレイン領域は特に不純物導入等を行なわなくても自然に形成されることが知られている。本実施形態においても不純物導入等は行っていない。また、層間絶縁膜42Bと半導体層41aの形成は、アモルファスシリコンのように、必ずしも真空中での連続成膜である必要はない。
【0104】
次に、図14(c)に示すように、ゲート絶縁膜41b上の全面にアルミニウム(Al)膜をスパッタ法により厚さ300nmで成膜し、該アルミニウム膜をフォトエッチング法でパターニングすることによって、半導体層41aに一部乗り上げるようにしてソース電極41cおよびドレイン電極41dを形成するとともに第1接続電極44A(不図示)および第2接続電極44Bを形成する。
【0105】
次に、図15(a)に示すように、ソース電極41c、ドレイン電極41d、第1接続電極44A及び第2接続電極44Bを覆うようにして、厚さ300nmの酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜42AをプラズマCVD法で形成した。
次に、図15(b)に示すように、層間絶縁膜42A上に厚さ1umの感光性アクリルをスピンコート法で塗布することによって層間絶縁膜42Bを形成する。その後、第1接続電極44A(不図示)および第2接続電極44B上の層間絶縁膜42Aおよび層間絶縁膜42Bを部分的に露光、現像してドレイン電極41d上を一部露出させる貫通孔11aを複数形成する。
【0106】
次に、図15(c)に示すように、層間絶縁膜42Bの表面全体にスパッタ法で厚さ50nmのITO膜を成膜し、フォトエッチング法でパターニングすることで複数の画素電極35B(35A)および複数のコンタクトホールH2(H1)を形成した。これらコンタクトホールH1,H2を介して第1画素電極35Aは第1接続電極44Aに接続され、第2画素電極35Bは第2接続電極44Bに接続される。
【0107】
次に、図16に示すように、素子基板300の最表面(層間絶縁膜42B)上に高さ40μmのスペーサーSPを形成する。図示しないが、続けて、素子基板300上に表示領域を囲むようにしてシール材を形成し、該シール材によって囲まれた領域内に電気泳動材料を塗布した後、素子基板300上に対向基板310を貼り合わせる。このようにして電気泳動表示装置が完成する。
【0108】
本実施形態の電気泳動表示装置100は、第1基板30および第2基板31と、第1基板30および第2基板31との間に配置され、少なくとも分散媒21と当該分散媒21内に混入された電気泳動粒子(負帯電粒子26、正帯電粒子27)および無帯電粒子28とを有する電気泳動層32と、第1基板30の電気泳動層32側に島状に形成され、1画素内に設けられる複数の第1画素電極35Aおよび複数の第2画素電極35Bと、第2基板31の電気泳動層32側に形成され対向電極37および画素電極35A,35Bよりも広い面積の対向電極37と、を備え、第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bは互いに独立に駆動され、対向電極37側から電気泳動層32を見たときに視認される上記各粒子の面積により階調を制御する構成となっている。
【0109】
このような電気泳動表示装置100によれば、複数の第1画素電極35Aおよび複数の第2画素電極35Bに印加する電圧の極性や大きさなどによって電気泳動層32の分散媒内に混入された負帯電粒子26,正帯電粒子27の移動や対向電極37上での分布範囲などを制御することができる。このように、1画素内に複数の画素電極35A,35Bを備えた構成とすることにより1粒子系から3粒子系に対応した表示部となり、良好なカラー表示が行える電気泳動表示装置100を提供することができる。
【0110】
本実施形態では、第1画素電極35A、第2画素電極35Bおよび対向電極37に任意の電圧を印加することで負帯電粒子26や正帯電粒子27を対向電極37近傍に分布させることができるため、対向電極37側から電気泳動層32を見たときに視認される各色の粒子26,27,28の実効的な分布面積により階調を制御することによって色相、明度、彩度を制御し所望とする表示が得られる。
【0111】
また、複数の第1画素電極35Aおよび複数の第2画素電極35Bおよび電極未形成領域Sが等間隔で配置されていることから、各粒子を均等に分布させることができ、また第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bのレイアウトが容易になる。
【0112】
また、画素ごとに設けられた第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bの1画素における総面積が1画素の面積の1/4以下としてもよく、このような構成によれば、対向電極37上に小さなドット領域で粒子を分布させることができ、その結果、より多くの階調を表現することができる。
【0113】
また、画素40内の同電極どうしは下層側において相互に接続されていることから、画素40内の同電極に対して同時に同じ電圧を印加することができて制御が容易に行える。
【0114】
また、上記した第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bの幅がセルギャップよりも短い寸法に設定されていることから、対向電極37上において小さなドット表示を行うことが可能である。このドットの大きさで階調(色)を調整することが可能である。第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bの幅がセルギャップの半分以下の長さとすることがより好ましい。これにより、より小さいドット表示を行うことが可能となって鮮明な表示が得られる。
【0115】
なお、正帯電粒子、負帯電粒子、無帯電粒子の色は、CMYから任意に選ぶことができる。
【0116】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電気泳動表示装置について述べる。以下では、第1実施形態と異なる部分について説明する。その他の部分については第1実施形態と同様である。
図17は第2実施形態の1画素における概略構成を示す平面図であり、図18は図17のB−B線に沿う断面図である。
第2実施形態の電気泳動表示装置は、1画素内に、複数の第1画素電極35A、複数の第2画素電極35B、第1接続電極44A、第2接続電極44B、選択トランジスタTR1、選択トランジスタTR2が設けられている点においては先の実施形態と同様であるが、本実施形態においてはさらにドレイン接続電極45A,45Bおよび後述する層間絶縁膜42Cが設けられている点において異なっている。
【0117】
図17に示すように、各選択トランジスタTR1,TR2の近傍にはそれぞれドレイン接続電極45A,45Bが設けられている。ドレイン接続電極45Aは、選択トランジスタTR1のドレイン電極41dとコンタクトホールH3を介して電気的に接続されている。また、ドレイン接続電極45Aと第1接続電極44Aとは、同一の層に一繋がりに形成されている。ドレイン接続電極45Bは、選択トランジスタTR2のドレイン電極41dとコンタクトホールH3を介して電気的に接続されている。また、ドレイン接続電極45Bと第2接続電極44Bとは、同一の層に一繋がりに形成されている。
【0118】
図18に示すように、接続電極44A,44Bは選択トランジスタTR1,TR2の各ドレイン電極41dとは異なる層にそれぞれ形成されている。第1基板30上に形成された選択トランジスタTR1(TR2)上には層間絶縁膜42Cが形成されており、その表面上に接続電極44B(44A)と同時にパターン形成されたドレイン接続電極45A(45B)が形成されている。このドレイン接続電極45A(45B)は、層間絶縁膜42Cに形成されたコンタクトホールH3を介して下層に位置するドレイン電極41dと接続されている。このように、接続電極44A,44Bは平面視で選択トランジスタTR1,TR2の少なくとも一部と重なっている。
【0119】
ドレイン接続電極45A,45Bは、上述したように、接続電極44A,44Bと同じ層にこれらと同時にパターン形成されており、対応する接続電極44A,44Bとそれぞれ一体的に形成されている(図17)。ドレイン接続電極45Aは接続電極44Aと一体の形状とされ、ドレイン接続電極45Bは接続電極44Bと一体の形状となるように形成されている。
【0120】
これらドレイン接続電極45A,45Bには、これらを覆うようにして形成された層間絶縁膜42Aおよび層間絶縁膜42Bが形成され、層間絶縁膜42B上には画素電極35A,35Bが形成されている。ドレイン接続電極45A,45B(接続電極44A,44B)は、それぞれ層間絶縁膜42A,42Bに形成されたコンタクトホールH1、H2を介して画素電極35A,35Bに接続されている。
【0121】
本実施形態の構成によれば、選択トランジスタTR1,TR2の近傍や平面視で重なる領域にも接続電極44A,44B(ドレイン接続電極45A,45B)及び画素電極35A,35Bを形成することができる。1画素内において選択トランジスタが占める面積の割合は、その他の領域と比較して無視できないため、開口率を向上させるためにはできるだけ小さくすることが好ましいが、ある所定の値以下に小さくすることは製造上困難である。上述した構成を採用することによって選択トランジスタTR1,TR2上にも画素電極35を形成することが可能となり、1画素内における表示に寄与する領域の割合を拡大することができる。
【0122】
先の実施形態においては、選択トランジスタTR1、TR2の各ドレイン電極41dと接続電極44A,44Bとを同一層上に形成した構成であったため、ドレイン電極41dと接続電極44A,44Bとの絶縁性を確保するためにある程度の距離が設けられていたが、本実施形態では各トランジスタTR1,TR2の各ドレイン電極41dと接続電極44A,44Bとの間に配置された層間絶縁膜42Cによって双方の絶縁性が確保されている。このため、選択トランジスタTR1,T2の近傍あるいは平面視で重なるようにして接続電極44A,44Bを形成することが可能となる。
【0123】
また、本実施形態の構成によればドレイン電極41dだけでなくデータ線68(ソース電極41c)とも異なる層に接続電極44A,44Bが形成されていることから、データ線68上にも画素電極35を形成することが可能である。これにより、表示に寄与する面請をさらに拡大することができ、より明るく高精細な表示が可能となる。
【0124】
[第2実施形態の電気泳動表示装置の製造方法]
次に、第2実施形態の電気泳動表示装置の製造方法について述べる。
図19から図21は電気泳動表示装置の製造工程を説明するための部分断面図である。
なお、先の実施形態の製造方法と同様の説明については適宜省略するものとする。
【0125】
まず、図19(a)に示すように、0.6mm厚のガラス基板からなる第1基板30上にスパッタ法で300nmのアルミニウム(Al)を基板面全体に成膜し、フォトエッチング法でゲート電極41eを形成する。
【0126】
次に、図19(b)に示すように、プラズマCVD法で厚さ300nmの酸化シリコン膜を基板面全体に形成し、ゲート絶縁膜41bを形成する。その後、ゲート絶縁膜41b上にa―IGZO(In、Ga、Znの酸化物)からなる厚さ50nmの半導体層41aをスパッタ法で形成する。
【0127】
次に、図19(c)に示すように、300nmのAlをスパッタ法で形成し、フォトエッチング法でパターニングすることにより、半導体層41aに一部乗り上げるようにしてソース電極41cおよびドレイン電極41dを形成し、第1接続電極44A(不図示)および第2接続電極44Bを形成する。
【0128】
次に、図19(d)に示すように、ソース電極41cおよびドレイン電極41dを覆うようにして、厚さ300nmの窒化シリコン膜からなる層間絶縁膜42CをプラズマCVD法によって形成した。その後、ドレイン電極41dの一部を露出させる貫通孔11bをフォトエッチング法で形成する。
【0129】
次に、図20(a)に示すように、層間絶縁膜42CにコンタクトホールH3をフォトエッチング法で形成する。その後、層間絶縁膜42C上に厚さ300nmのAlをスパッタ法で製膜し、フォトエッチング法でドレイン接続電極45A(45B)および接続電極44A(44B)を同時にパターン形成する。ドレイン接続電極45A(45B)はコンタクトホールH3を介してドレイン電極41dと接続されている。
【0130】
次に、図20(b)に示すように、層間絶縁膜42C上およびその上に設けられたドレイン接続電極45A,44Bおよびこれら接続電極44A,44Bを覆うようにして300nmの酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜42AをプラズマCVD法で形成する。
【0131】
次に、図20(c)に示すように、層間絶縁膜42A上に厚さ1μmの感光性アクリルからなる層間絶縁膜42Bを塗布、露光、現像することで層間絶縁膜42Bに層間絶縁膜42Aに達する貫通孔を形成する。その後、層間絶縁膜42Bをマスクとしてエッチング法で層間絶縁膜42Aに貫通孔を形成し、貫通孔11c(コンタクトホールH1)、貫通孔11d(コンタクトホールH2)を形成する。
【0132】
次に、図21(a)に示すように、層間絶縁膜42Bの表面全体にITO膜を形成し、パターニングすることによって複数の画素電極35A,35BおよびコンタクトホールH1,H2を形成した。これらコンタクトホールH1を介して第1画素電極35Aは接続電極44Aに接続され、コンタクトホールH2を介して第2画素電極35Bは接続電極44Bに接続されている。
【0133】
次に、図21(b)に示すように、素子基板300の最表面(層間絶縁膜42B)上に高さ50μmのスペーサーSPを形成する。図示しないが、続けて、素子基板300上に電気泳動材料を塗布した後、素子基板300上に対向基板310を貼り合わせる。このようにして本実施形態の電気泳動表示装置が完成する。
本実施形態の製造方法によれば、ドレイン接続電極45A,45Bを接続電極44A,44Bと同時にパターン形成することができるため、ドレイン接続電極45A,45Bを形成する工程を別途も受ける必要がない。
【0134】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の電気泳動表示装置について述べる。以下では、第1実施形態と異なる部分について説明する。その他の部分については第1実施形態と同様である。
図22(a)は第3実施形態の電気泳動表示装置の表示領域における画素配列の状態を模式的に示す平面図、(b)1画素における構成を示す平面図である。図23は、1画素における具体的な構成を示す平面図である。
【0135】
図22(a)に示すように、本実施形態の電気泳動表示装置は、表示領域内に画素電極35A,35Bが第1のレイアウトL1で配列された画素40Aと、画素電極35A、35Bが第2のレイアウトL2で配列された画素40Bとをマトリクス状に混在させている。すなわち、行方向、列方向のいずれについても、第1のレイアウトL1で配列された画素40Aと、第2のレイアウトL2で配列された画素40Bとが交互に配置されている。
前記画素の配列方向に沿って、前記第1の画素と前記第2の画素とが交互に配列されている。
【0136】
一方、画素40Bは、図22(b)に示すように、1画素内に複数の画素電極35A,35B、複数の電極未形成領域S,接続電極57A、57B、および選択トランジスタTR1,TR2が設けられている。
図22(b)および図23に示すように、複数の画素電極35A,35Bおよび複数の電極未形成領域Sはそれぞれ画素40B内において均等に分布されている。第1実施形態と同様に一方向に繰り返すパターンで配列されている。本実施形態においても、画素電極35A,35Bをそれぞれ3つずつ用い、これら各電極35A,35Bが六角形を呈するように配列されている。ただし、本実施形態では先の第1実施形態で示した第1のレイアウトL1をその中央に位置する電極未形成領域Sを中心にして所定の角度で回転させたレイアウトにしてある。具体的には、第1のレイアウトL1を30°回転させた第2のレイアウトL2となっている。なお、回転角度は30°に限らない。
【0137】
電極未形成領域Sが六角形状に配置された6つの電極35A,35Bの配列の中央に位置することは先の実施形態と同様である。
【0138】
接続電極55A、55Bは、走査線66と平行に延在する幹部551と、データ線68と平行して多数配列されたストライプ状の複数の枝部552とを有して構成されており、これら枝部552どうしが幹部551によって連結された櫛歯形状とされている。
第1接続電極55Aの各枝部552は複数の第1画素電極35Aに対応し、第2接続電極57Bの各枝部552は複数の第2画素電極35Bに対応している。
【0139】
本実施形態では、表示領域の画素40A,40Bごとに画素電極35A,35Bの配列パターンを異ならせてある。画素電極35A,35Bの配列が第1のレイアウトL1とされた画素40Aと第2のレイアウトL2とされた画素40Bとがマトリックス状に縦横に配列されていることにより、表示領域全体において画素電極35A,35Bの配列をランダムにすることができる。全ての画素40A,40Bにおける画素配列が同一であると表示にスジが発生しやすく、場合によってはモアレによる干渉縞も発生する。画素40A,40Bの画素電極35A,35Bの配列パターンを非同一とし、より好ましくはランダムな配列とすることでこのスジ等を解消することができる。これにより、視認性が高められ良好な表示が得られるようになる。
なお、隣り合う画素どうしで複数の画素電極35A,35Bの配列パターンを異ならせてもいいが、各画素ごとに各画素電極35A,35Bの配列パターンを異ならせてもよい。
図22(a)においてはレイアウトL1とレイアウトL2を縦横に交互に並べたが、レイアウトL1とレイアウトL2をランダムに配置してもよい。さらに3種類以上のレイアウトをもちいてランダム性を実現しても良い。
【0140】
以下、上記実施形態の変形例及び他の実施形態について説明する。これら変形例及び他の実施形態は、相互に組み合わせて実施してもよく、また第1実施形態乃至第3実施形態のいずれとも組み合わせて実施することができる。
【0141】
[変形例1]
図24は、変形例1の画素構成を簡略化して示す平面図、図25は図24に示した画素構成を具体的に示す平面図である。
図24に示すように、1画素40内に、画素電極35A,35Bが第1のレイアウトL1で配列された画素パターン領域A1と、第2のレイアウトL2で配列された画素パターン領域A2とを有していても良い。
図24および図25に示すように、画素40内には、幹部58と、該幹部58によって連結された複数の枝部59とを有してそれぞれ構成された櫛歯形状を呈する接続電極57A、57Bとが設けられている。
【0142】
画素40を、走査線66に平行な線分で仮想的に2つの領域に分けた場合に、接続電極57A,57Bは、二分されたそれぞれの領域において異なる互いにレイアウトで配置されている。具体的には、接続電極57A,57Bの枝部59は、二分された領域のうち接続電極57A側の領域においては、幹部58から垂直な方向に延在する直線部57aとなっており、二分された領域のうち接続電極57B側の領域においては、該直線部57aに対して所定の角度で傾斜する傾斜部57bとなっている。
【0143】
ここで、各接続電極57A、57Bの直線部57aどうし、および傾斜部57bどうしは互いに平行して配列されている。また、画素電極35A,35Bは、二分された領域のうち接続電極57A側の領域においては、レイアウトL2で配列され、二分された領域のうち接続電極57B側の領域においては、レイアウトL1で配列されている。
【0144】
このように、1画素内において画素電極35A,35Bの配列を領域A1,A2ごとに異ならせることによって、表示スジや干渉縞の発生をより防止することができるようになる。また、画素40ごとのパターンが同じであるため製造しやすい。
なお、画素内を3つ以上の領域に分割し、それぞれで画素電極の配置を異ならせても良い。また、分割は画素のデータ線方向だけでなくゲート線方向で分割しても良い。
【0145】
[変形例2]
図26は、変形例2の画素構成を示す平面図である。
図26に示すように、1画素内において第1画素電極35A同士および第2画素電極35B同士の平面視における大きさがそれぞれ異なっている。直径を異ならせた画素電極35A,35Bを各画素40内でランダムに配置することによって、方向性(スジ)が定まりにくくなるため表示時に発生するスジが見えにくくなるという効果が得られる。
また、画素電極35A,35Bはそれぞれ2種類以上の大きさで形成され、各電極35A,35B同士の配置がランダムであっても良い。
1画素内に複数の画素電極35A,35Bがランダムに配列されていることにより、表示スジをなくす効果をより高めることが可能となる。
また、このようなランダム配置は2種類以上用いて、図22(a)の例のように、異なる画素40において異なるランダム配置となるようにしてもよい。
【0146】
[変形例3]
図27は、変形例3における1画素内での画素電極のレイアウトを示す平面図であって、図28は、1画素内の構成を簡略化して示す平面図、図29は1画素内の構成を具体的に示す平面図である。
図27〜図29に示すように、第1画素電極35Aと第2画素電極35Bとが互いに等間隔に交互に配列されている。第1画素電極35Aはマイナスに帯電した負電気泳動粒子に対応し、第2画素電極35Bはプラスに帯電した正電気泳動粒子に対応している。電極未形成領域Sは設けていない。
【0147】
第1画素電極35Aに対応する接続電極77Aの枝部79どうしと、第2画素電極35Bに対応する接続電極77Bの枝部どうしとのピッチは互いに一定となっている。
【0148】
あるいは図30に示すように、画素内における第1画素電極35Aと第2画素電極35Bとがランダムに配置されていてもよい。このような構成によっても表示のスジや干渉縞を解消できる。
【0149】
表示スジを消す方法として以上のような構成例を挙げたが、画素電極の大きさ、位置、画素間での画素電極のレイアウト、画素内での画素電極のレイアウトをランダムにする方法を示したが、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0150】
[他の実施形態]
図31は、画素電極の他の構成例について示す平面図である。
図31に示すように、1画素40内にストライプ状に複数の画素電極35C(第1電極)および画素電極35D(第3電極)が配列されていても良い。各画素電極35C,35Dは平面視矩形状を呈しており、各画素電極35C,35Dは互いの延在方向を揃えて短辺方向に所定の間隔をおいて配置されている。これら各画素電極35C,35Dの短辺の長さはセルギャップよりも小さい寸法に設定されている。例えば、セルギャップの1/2以下の長さであることが最も好ましい。
【0151】
マイナスに帯電した負帯電粒子26(C)に対応する第1画素電極35Cと、プラスに帯電した正帯電粒子27(Y)に対応する第2画素電極35Dとの間には電極未形成領域Sが設けられている。この電極未形成領域Sには実際に電極は形成されておらず、スペースが設けられている。第1画素電極35C、第2画素電極35Dおよび電極未形成領域Sの配置順としては、一方向に第1画素電極35C、電極未形成領域S、第2画素電極35Dの順に繰り返しパターン配列されている。
【0152】
本実施形態の画素電極35C,35Dは、先の実施形態において述べた円形状の画素電極よりも面積が広いため、粒子を効率よく吸着させることができる。
【0153】
図32は、図31に示した1画素の構成を具体的に示す平面図である。
図32に示すように、素子基板上には画素電極35C,35Dの配列方向に沿って延在する2つの接続電極44C,44Dが形成されている。第1接続電極44CにはコンタクトホールH5を介して第1画素電極35Cが接続されており、第2接続電極44DにはコンタクトホールH6を介して第2画素電極35Dが接続されている。
【0154】
次に、電気泳動表示装置の他の実施例について述べる。
図33および図34は他の実施例の概略構成を示す断面図である。
図33(a)では、無色透明な分散媒21(T)中に、マイナスに帯電した赤色の負帯電粒子26(R)とプラスに帯電した青色の正帯電粒子27(B)と緑色の無帯電粒子28(G)が保持されている。この場合、第1画素電極35Aにプラスの電圧を印加するとともに第2画素電極35Bにマイナスの電圧を印加することで緑表示が可能となる。各粒子の色は相互に変更することもできる。
【0155】
図33(b)ではマゼンタ色の分散媒21(M)中にシアン色の負帯電粒子26(C)およびイエロー色の正帯電粒子27(Y)が保持されている。この場合、第1画素電極35Aにプラスの電圧を印加するとともに第2画素電極35Bにマイナスの電圧を印加することでマゼンタ表示が可能となる。正帯電粒子、負帯電粒子及び分散媒の色は、相互に変更することもできる。また、CMYの3色に代えてRGBの3色としてもよい。
【0156】
図33(c)では透明な分散媒21(T)中に黒色の負帯電粒子26(Bk)と、白色の正帯電粒子27(W)と、赤色の無帯電粒子28(R)とが保持されている。この場合、第1画素電極35Aにプラスの電圧を印加するとともに第2画素電極35Bにマイナスの電圧を印加することで赤色の無帯電粒子28(M)による赤表示が可能となる。また、白色、黒色の各粒子の対向電極37側での分布状態を制御することにより、赤の明度、彩度を調整することができる。赤色に代えて、青色、緑色の無帯電粒子を有する画素を並べることにより、カラー表示を行うこともできる。
また、無帯電粒子の色としてはCMYなどを用いてもよい。
【0157】
図33(d)では、赤色の分散媒21(R)中に黒色の負帯電粒子26(Bk)と、白色の正帯電粒子27(W)とが保持されている。この場合、第1画素電極35Aにプラスの電圧を印加するとともに第2画素電極35Bにマイナスの電圧を印加することで赤色の分散媒21(R)による赤表示が可能となる。また、白色、黒色の各粒子の対向電極37側での分布を制御することにより、赤の明度、彩度を調整することができる。赤色に代えて、青色、緑色の分散媒を有する画素を並べることにより、カラー表示を行うこともできる。
また、分散媒の色としてはCMYなどを用いてもよい。
【0158】
図34(a)に2粒子系の構成について示し、(b)に1粒子系の構成について示す。
図34(a)では、無色透明な分散媒21(T)中に、マイナスに帯電した黒色の負帯電粒子26(Bk)とプラスに帯電した白色の正帯電粒子27(W)とが保持されている。また、ここでは、画素電極35A,35Bの下層に赤色のカラーフィルターCF(R)が設けられている。この場合、第1画素電極35Aにプラスの電圧を印加するとともに第2画素電極35Bにマイナスの電圧を印加することによって赤表示が可能となる。
また、図34(a)の構成において、カラーフィルターCF(R)のない構成としてもよい。この場合は、黒色の負帯電粒子26(Bk)及び白色の正帯電粒子27(W)により白黒表示を行うことができる。
【0159】
図34(b)では、黒色の分散媒21(Bk)中に、マイナスに帯電した白色の負帯電粒子26(W)のみが保持されている。素子基板上には複数の画素電極35が形成されておりこれらはその下層側において相互に接続されている。この場合、各画素電極35に一斉にプラスの電圧を印加することによって白色の負帯電粒子26(W)が画素電極35側に移動するため、黒色の分散媒21(Bk)が視認されて黒表示が可能となる。
なお、分散媒を白色とし、帯電粒子を黒色としてもよい。
【0160】
次に、1粒子系の構成について図35〜図38を用いて述べる。
図35は、1粒子系における等価回路図である。
図35に示すように、各画素40には、選択トランジスタTRsと電気泳動層32とが設けられている。なお、図示してはいないが画素電極35に接続された保持容量を付加した構成としても良い。
図36に示すように、画素40内には画素電極35が多数整列配置されている。これら複数の画素電極35どうしは互いに等間隔に配置されており、図37に示すような下層側に形成された接続電極91により相互に接続されている。この接続電極91は、走査線66と平行する幹部92と該幹部92によって連結されるとともにデータ線68と平行する複数の枝部93とにより櫛歯形状を呈してなる。このような接続電極91は、画素内に設けられた選択トランジスタTRsのドレイン電極41dと同時にパターン形成されたもので、一体的に構成されている。
【0161】
また、図38に示すように画素領域の略全体にベタ状に形成された接続電極95を設けてもよい。この様な形状により、複数の画素電極35をランダムに配置したとしても下層側の接続電極95との位置あわせが不要なため、製造上において有利となる。
また、保持容量線を用いる場合は接続電極95と保持容量線間で保持容量が形成されるため大きな保持容量が形成できる。
【0162】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0163】
例えば、先の実施形態では、各画素電極35が平面視円形状となっていたが、図39(a)に示すような長方形状や、図39(b)に示すような四角形状であってもよく、各画素電極35がコンタクトホールHを介して下層側の接続電極44と確実に接続されていれば他の形状も採用できる。あるいは、図39(c)に示すように平面視で略星型を呈していてもよい。隣り合う画素電極35に向かって部分的に突出する形状にすることで、隣り合う画素電極側へ電界が向かいやすくなり、混色が生じやすくなるという効果が得られる。ここでは、画素電極35A,35Bの配置が平面視で六角形をなす配置であることから、6つの突出部を有した形状となっている。画素電極の配置が平面視で三角形をなす配置である場合は3つの突出部を有した形状とすることで同様の効果が得られるようになる。
このように、電極の形状としては様々なものが適用できる。
また、図39(b)に示すように、コンタクトホールH内が画素電極35によって埋められた形状とし、粒子がコンタクトホール内に入り込むのをあらかじめ防止するような構成であってもよい。
【0164】
また、図22〜図25、図28〜図30の構成においてもドレイン接続電極を設けた構成としてもよい。
【0165】
また、1画素内に第1画素電極35Aおよび第2画素電極35Bを複数ずつ設けるのではなく、図37および図38に示すように各画素内に少なくとも2つ以上の画素電極35が設けられていてもよく、その数は問わない。その際、素子基板300上の画素電極35どうしが等間隔で配置されていてもよいし、ランダムに配置されていても良い。なお、各画素電極35の大きさを1画素内に配置される画素電極の総面積が1/4画素以下となるように設定する。
【0166】
また、1つの選択トランジスタで1粒子系あるいは2粒子系の構成とすることも可能である。
また、各実施形態では液体の分散媒を用いているが、分散媒は気体でも良い。
【0167】
[電子機器]
次に、上記各実施形態の電気泳動表示装置を電子機器に適用した場合について説明する。
図40は、本発明の電気泳動表示装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
図40(a)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1004と、を備えている。
【0168】
図40(b)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1101を備えている。
【0169】
図40(c)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、本発明の電気泳動表示装置によって構成された表示部1202を備えている。
【0170】
例えば電子ブックや電子ペーパーなどは、白地の背景上に文字を繰り返し書き込む用途が想定されるため、消去時残像や経時的残像の解消が必要とされる。
なお、本発明の電気泳動表示装置を適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。
【0171】
以上の電子ブック1000、腕時計1100及び電子ペーパー1200によれば、本発明に係る電気泳動表示装置が採用されているので、カラー表示手段を備えた電子機器となる。
【0172】
なお、上記の電子機器は、本発明に係る電子機器を例示するものであって、本発明の技術範囲を限定するものではない。例えば、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの電子機器の表示部にも、本発明に係る電気泳動表示装置は好適に用いることができる。
【0173】
図41は、電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図である。
上記した図2の左側の図においては、画素電極35Aから対向電極37に向かって、画素電極35A上に吸着していた負帯電粒子26(C)の一部が移動した状態を示している。この時、移動する粒子の大多数が対向電極37に到達してその近傍に位置している。しかし、実際には、画素電極35Aを離れて対向電極37に到達せずに、画素電極35Aと対向電極37との間の分散媒21(T)中に位置する帯電粒子27(W)もいくつか存在する。この場合においても、透明な分散媒21(T)中のシアン色の負帯電粒子26(C)を含めた、対向電極37側から見て実効的な粒子の分布面積により階調や混色を表現する。
【0174】
図42(a),(b)は、電圧印加時における帯電粒子の分布状態を示す図であって、(a)は、マイナス電圧印加時、(b)は、プラス電圧印加時の様子を示している。
上記した図3(a)では、画素電極35Aに対してプラス電圧VHを印加すると略全ての負帯電粒子26(C)が画素電極35Aの近傍に配置され、画素電極35Aに対してマイナス電圧VLを印加すると略全ての負帯電粒子26(C)が対向電極37の近傍に配置されているが、このような分布状態にするには、ある程度長い時間又は大きな電圧を電圧を印加し続ける必要がある。
【0175】
画素電極35Aへの電圧印加時間が短い場合、図42(a)に示すように、全ての帯電粒子26(C)が画素電極35A側へと移動しきらず、一部の帯電粒子26(C)が分散媒21(T)中に位置することになる。また、図42(b)に示すように、画素電極35Aへのマイナス電圧VLの印加時間が短い場合には、全ての帯電粒子26(C)が対向電極37側へと移動しきらず、一部の帯電粒子26(C)が分散媒21(T)中に位置することになる。
この場合においても、分散媒21(T)中の帯電粒子26(C)を含めた、対向電極37側から見て実効的な粒子の分布面積により階調や混色を表現する。
【0176】
以上のように、一部の帯電粒子26(C)が分散媒21(T)中に位置していても、電気泳動表示装置の動作は可能である。
【0177】
図43は、1画素におけるレイアウトの変形例(図10および図11に示す構成の変形例)を示す平面図であり、図44は、図43のC−C線に沿う断面図である。
図43に示すように、ここでは、画素電極を別途形成しない構成となっており、それ以外は先の実施形態と同様である。
本実施例では、第1基板30から層間絶縁膜42Bまでを含む素子基板300(画素電極を除く)と、第2基板31および対向電極37を含む対向基板310との間に電気泳動層32が挟持されてなり、第1基板30上に形成された接続電極44の一部が外部回路との接続部44aとなっている。
【0178】
接続電極44A(44B)上に積層された層間絶縁膜42A,42Bには、接続電極44A(44B)を部分的に露出させるためのホールHが多数形成されている。具体的には、図43および図44に示すように、接続電極44A(44B)と重なるように接続電極44A(44B)の櫛歯形状に倣って多数のホールHが所定の間隔をおいて形成されており、各ホールHを介して接続電極44A(44B)が部分的に露出している。これら多数のホールH内において露出する接続電極44A(44B)の一部は、先の実施形態で設けた島状の画素電極35A,35Bとして機能するものであり、電気泳動層32と接している。このような構成であっても、電気泳動表示装置としての動作は、上記実施形態と同様である。
【0179】
例えば、接続電極44Bにプラス電圧VHを印加すると、負帯電粒子26(C)がホールH内で露出する接続電極44B側に引き寄せられるようにして、ホールH内へ入り込むことになる。このため、接続電極44への電圧の印加をやめた場合でも、多数の負帯電粒子26(W)がホールH内に保持されるので、非電圧印加状態へ移行した際の粒子同士の広がりを防止することができる。
また、図43,44に示したように画素電極35を別層で設けない場合は、少なくとも貫通孔51内の接続電極44の表面の材料を対向電極37と同一材料とする事が信頼性の点から好ましい。
【0180】
ここで、接続電極44A,44Bはかならす必ずしも絶縁膜から露出させなくてもよい。例えば、図44では、層間絶縁膜42A,42Bにこれらを貫通するホールを形成して接続電極44を露出させる構成としたが、層間絶縁膜42Bのみを貫通させて、層間絶縁膜42Aを残しておく構成としてもよい。この構成であっても、層間絶縁膜42Bが除去された部分はこれが存在する他の領域よりも層間絶縁膜42Bでの電圧降下が少なく、より効率的に電気光学材料に電圧を印加することができる。このため、層間絶縁膜42Bのみに形成されたホールの直下に位置する接続電極44A,44Bの一部が、実効的に画素電極35A,35Bとして機能することとなる。
【0181】
上記した実施形態や変形例において、接続電極は細い配線で形成されており、画素エリアを覆うベタ状の電極ではない。ベタ状電極の場合、画素エリア以外の領域でも、層間絶縁膜を介して電気光学材料に多少なりとも電圧が印加される。これは、本発明の電気泳動表示装置の動作を阻害する方向に働いてしまう。
【0182】
例えば、帯電粒子を画素電極35A,35B上に集める際に、一部の帯電粒子が画素電極35A,35Bの周囲に存在する接続電極上に残されるなどして集めにくくなってしまう。このような現象を少なくするために、接続電極44A,44Bの電位が電気光学材料に印加されない構成とすることが好ましい。そのためには、接続電極44A,44Bを細い配線で形成したり、接続電極44A,44B上の層間絶縁膜42A,42Bの膜厚を厚くしたり、高抵抗とすることが望ましい。
【0183】
図45および図46は、電気泳動表示装置の他の構成例における帯電粒子の分布状態を示す図である。
図45(a)〜(d)および図46(a),(b)に示す電気泳動表示装置は、1画素内に互いに独立に駆動される2種類の画素電極35A,35Bの下層側に、基板面上に形成された反射電極45が設けられている。
上記した図2に示す電気泳動表示装置の構成では、分散媒21(T)中の帯電粒子26(C)の散乱により色表示を行っていた。本例では、反射電極45の反射も利用して表示を行う構成となっている。
【0184】
図45および図46に示す電気泳動表示装置は、透明な分散媒21(T)中に、透明粒子からなる2色の負帯電粒子26(R)および正帯電粒子27(B)が保持されてなる電気泳動層32を備えた構成となっている。
【0185】
図45(a)では、画素電極35Aにプラス電圧VH、画素電極35Bにマイナス電圧VLが印加され、画素電極35A上に負帯電粒子26(R)が集合し、画素電極35B上に正帯電粒子27(B)が集合した状態を示している。この時、対向電極37側から入射した外光は反射電極45で反射されて外部へ出射する。このため、白表示が得られる。この白表示を行う動作を、画像の書き換え時に行うプリセット動作としてもよい。
【0186】
図45(b)では、図45(a)に示した白表示を行うプリセット動作の実行後、画素電極35A(および画素電極35B)にマイナス電圧VLが印加されることで、赤色の負帯電粒子26(R)が対向基板310側に移動した状態を示している。この時、赤粒子は透明性を有するため、外部からの入射光は赤粒子を透過した後、反射電極45で反射され、再度、赤粒子を透過して表に出て行くことになる。赤粒子は、図13(b)に示した透過率特性を有し、赤以外の光を吸収する。このため、赤表示となる。
【0187】
図45(c)では、上記したプリセット動作の実行後、画素電極35B(および画素電極35A)に対してプラス電圧が印加されることで、プリセット時に画素電極35B上に集合していた正帯電粒子27(B)が対向基板310側に移動した状態を示している。この時、青粒子において青色光以外が吸収される。そして、正帯電粒子27(B)を透過した青色光は、反射電極45で反射されるため青表示となる。
【0188】
図45(d)では、上記したプリセット動作の実行後、各画素電極35A,35Bに対する電圧の印加タイミングを異ならせることによって、赤粒子と青粒子とが対向電極37上で積層配置された状態を示している。具体的には、まず、画素電極35Aにマイナス電圧VLを印加することで負帯電粒子26(R)が全て対向電極37側へと移動し、続けて、画素電極35Bにプラス電圧VHを印加することで正帯電粒子27(B)が対向電極37側へと移動して、負帯電粒子26(R)の直下に配置されることになる。このようにして赤粒子と青粒子とを対向電極37近傍に積層させる。その結果、赤粒子および青粒子を共に通過できる可視光はないため黒表示となる。
【0189】
なお、本例では、赤粒子を対向電極37に接触させる配置としたが、青粒子を対向電極37に接触させるように移動させた後、赤粒子が青粒子の下方に配置されるように、画素電極35A,35Bに対して印加タイミングを制御してもよい。黒表示が可能になのは、赤粒子と青粒子との波長が重ならないからである。つまり、補色等の波長が重ならない2色の粒子を用いることによって、黒表示を行うことが可能となる。
【0190】
図46(a)では、淡い赤表示を行う時の粒子の分布状態を示す。
上記したプリセット動作後、画素電極35Aに対してマイナス電圧Vl(Vl<|VL|)を印加し、赤色の負帯電粒子26(R)の一部を対向基板310側に移動させている。ここでも、対向基板側から見て実効的に視認される粒子の面積により、表示色の階調を制御している。
【0191】
図46(b)に示すように、分散媒21(T)中にランダムに粒子を分散させた状態であっても黒表示を行うことは可能である。
ここでは、各画素電極35A,35Bに対する印加電圧の大きさおよび印加時間を制御することにより、赤色の負帯電粒子26(R)および青色の正帯電粒子27(B)の一部を対向電極37側へと移動させるとともに分散媒21(T)中に浮遊させ、各粒子をランダムに分散させる。このような粒子の分布状態であっても、外光は各帯電粒子26(R),27(B)において吸収されるため、黒表示が得られる。
【0192】
なお、反射電極45の電位はフローティングでも良いし、電位が印加されていても良い。
また、以上の説明は電気泳動を用いた表示装置について説明したが、現実にはその中に誘電泳動が含まれることもある。両者が混在する場合は厳密にそれらを分離することは困難である。その場合も本願の説明と同様の現象が発生する場合は本願の1事例と考える事が出来る。
また、粒子26,27等の移動により生じる分散媒21の移動により粒子の移動が補助され、移動しやすくなる事もあるが、この場合も上記と同様である。
【符号の説明】
【0193】
5 表示部、7A, 接続電極、R 分布領域、S 電極未形成領域、11a,11b,11c 貫通孔、21 分散媒、26 負帯電粒子、27 正帯電粒子、28 無帯電粒子、30 第1基板、300 素子基板、31 第2基板、310 対向基板、32 電気泳動層、34 回路層、35A 画素電極(第1電極)、35B 第2画素電極(第3電極)、35C 第1画素電極(第1電極)、35D 第2画素電極(第3電極)、37 対向電極(第2電極)、40,40A,40B 画素、41a 半導体層、41b ゲート絶縁膜、41c ソース電極、41d ドレイン電極、41e ゲート電極、42A,42B,42C 層間絶縁膜、44A,44C,57A 第1接続電極、44B,44D,57B 第2接続電極、45A,45B ドレイン接続電極、57a 直線部、57b 傾斜部、58,92,441,551 幹部、59,79,93,442,442a,442b,552 枝部、61 走査線駆動回路、62 データ線駆動回路、66 走査線、68,68A,68B データ線、91,95 接続電極、A1,A2 画素パターン領域、CF カラーフィルター、H1,H2,H3,H5,H6 コンタクトホール、L1,L2 第2のレイアウト、SP スペーサー、100 電気泳動表示装置、201,202 フレキシブル基板、TR1,TR2,TRs 選択トランジスタ、1000 電子ブック(電子機器)、1001 フレーム、1002 カバー、1003 操作部、1004 表示部、1100 腕時計(電子機器)、1101 表示部、1200 電子ペーパー(電子機器)、1201 本体部、1202 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入された粒子とを有する電気泳動層と、
前記第1基板の前記電気泳動層側に島状に形成され、画素ごとに設けられる複数の第1電極と、
前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極よりも広い面積の第2電極と、を備え、
前記第2電極側から前記電気泳動層を見たときに視認される前記粒子の面積により階調を制御することを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項2】
前記複数の第1電極は、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された接続電極により相互に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気泳動表示装置。
【請求項3】
走査線、データ線を有し、
前記画素には、前記走査線、前記データ線に接続されたトランジスタが配置され、
前記接続電極は、前記トランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることを特徴とする請求項2記載の電気泳動表示装置。
【請求項4】
前記接続電極は平面視で前記トランジスタの少なくとも一部と重なっていることを特徴とする請求項3に記載の電気泳動表示装置。
【請求項5】
前記画素における前記複数の第1電極の総面積が前記画素の面積の1/4以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項6】
前記第1電極どうしが隣り合う方向における前記第1電極の幅が、前記第1電極と前記第2電極との間隔よりも短いことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項7】
前記画素内に設けられた前記複数の第1電極は、互いに大きさの異なる2種類以上の電極を含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項8】
第1基板および第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板との間に配置され、少なくとも分散媒と当該分散媒内に混入された粒子とを有する電気泳動層と、
前記第1基板の前記電気泳動層側に島状に形成され、1画素内に設けられる複数の第1電極および複数の第3電極と、
前記第2基板の前記電気泳動層側に形成され前記第1電極および前記第3電極よりも広い面積の第2電極と、を備え、
前記第1電極および前記第3電極は互いに独立に駆動され、
前記第2電極側から前記電気泳動層を見たときに視認される前記粒子の面積により階調を制御することを特徴とする電気泳動表示装置。
【請求項9】
前記複数の第1電極は、前記第1電極より前記第1基板側の層に形成された第1接続電極により相互に接続されており、
前記複数の第3電極は、前記第3電極より前記第1基板側の層に形成された第2接続電極により相互に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の電気泳動表示装置。
【請求項10】
第1の走査線、第2の走査線、第1のデータ線、第2のデータ線を有し、
前記画素には、前記第1の走査線、前記第1のデータ線に接続された第1トランジスタと、前記第2の走査線、前記第2のデータ線に接続された第2トランジスタとが配置され、
前記第1接続電極は、前記第1トランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成され、
前記第2接続電極は、前記第2トランジスタのドレイン電極とは異なる層に形成されていることを特徴とする請求項9記載の電気泳動表示装置。
【請求項11】
前記第1接続電極は平面視で前記第1トランジスタの少なくとも一部と重なっており、
前記第2接続電極は平面視で前記第2トランジスタの少なくとも一部と重なっていることを特徴とする請求項10に記載の電気泳動表示装置。
【請求項12】
前記1画素における前記複数の第1電極および前記複数の第3電極の総面積が前記1画素の面積の1/4以下であることを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項13】
前記第1電極と前記第3電極とが隣り合う方向における前記第1電極および前記第3電極の幅が前記第1電極と前記第2電極との間隔より短いことを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項14】
前記画素内に設けられた前記複数の第1電極は、互いに大きさの異なる2種類以上の電極を含み、
前記画素内に設けられた前記複数の第3電極は、互いに大きさの異なる2種類以上の電極を含むことを特徴とする請求項8から13のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項15】
前記複数の第1電極が等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項16】
前記複数の第1電極がランダムな位置に配置されていることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項17】
前記複数の第1電極の大きさがランダムであることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項18】
第1の前記画素と第2の前記画素とを有し、
前記第1の画素における前記複数の第1電極のレイアウトは、前記第2の画素における前記複数の第1電極のレイアウトと異なることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項19】
前記画素の配列方向に沿って、前記第1の画素と前記第2の画素とが交互に配列されていることを特徴とする請求項18に記載の電気泳動表示装置。
【請求項20】
前記画素は、前記第1電極のレイアウトが互いに異なる2つの領域を含むことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の電気泳動表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate


【公開番号】特開2011−237771(P2011−237771A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56717(P2011−56717)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】