説明

電気泳動表示装置

【課題】電気光学特性が優れ、特にコントラストの向上に寄与するマイクロカプセル型の電気泳動表示装置の提供にある。
【解決手段】基材上に、電極層、マイクロカプセル表示層、透明電極層、及び表面層を順に備え、前記マイクロカプセル表示層は、黒色粒子、白色粒子及びこれらを分散する分散媒がカプセル殻内に収容されたマイクロカプセルからなる電気泳動表示装置において、前記マイクロカプセル110が、黒色粒子114と第一の分散媒112が第一のカプセル殻111内に収容されている複数の内部マイクロカプセルと、もう一方の白色粒子113と第二の分散媒116とが第二のカプセル殻115内に収容されて2重構造を有していることを特徴とする電気泳動表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動表示装置に関するものであり、特に、優れた電気光学特性を示し、よりコントラストを向上せしめるマイクロカプセル型の電気泳動表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラットパネル表示装置として、液晶表示装置(LCD)が、厚さが薄く、小型化が可能であることから、様々な用途において広範に使用されている。このようなLCDよりも更に薄型化、低消費電力化を目指す他の表示方式として、電気泳動現象を利用した表示装置が開発されている。
【0003】
電気泳動現象を利用した表示装置の一つとして、マイクロカプセル型電気泳動方式が実用化されている。マイクロカプセル型電気泳動方式の表示装置は、例えばモノクロ表示の場合、絶縁性を有する白色液体と黒色の帯電粒子を分散させたマイクロカプセル、若しくは、正、負に帯電した白色粒子と黒色粒子を分散媒中に分散させたマイクロカプセルを用い、外部電圧の印加によって粒子を表示面に引き上げたりすることにより画像を形成する方式が提案されている。
【0004】
上記マイクロカプセルのサイズは径数十μm〜数百μmと小さいので、このマイクロカプセルを透明なバインダに分散させると、インクのようにコーティングすることができる。このインクは、外部から電圧を印加することで画像を描くことができるので、電子インクと呼ばれる。
【0005】
透明電極を形成した透明樹脂膜にこの電子インクをコーティングし、アクティブマトリクス駆動用の電極回路を形成した基板に貼り合わせると、アクティブマトリクスディスプレイパネルを得ることができる。通常、透明電極を形成した透明樹脂膜に電子インクをコーティングした部品を「前面板」と呼び、アクティブマトリクス駆動用の電極回路を形成した基板を「背面板」と呼んでいる。
【0006】
このようなマイクロカプセル型電気泳動式表示装置において、コントラストの向上を図ることが提案されている。即ち、一対の基板(15)間に帯電粒子(32)と着色液体(33)を内包する複数のマイクロカプセル(41)が挟持された電気泳動式表示装置において、一対の透明電極(14)を備えた基板(41)間にスペーサー(13)を配置し、その一対の基板(41)を貼り合せ、加圧しながら固定することにより、隣接するマイクロカプセル(41)の間隙を無くそうとするものである(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかし、従来のようにマイクロカプセルの内部構造が、透明溶媒が満たされたマイクロカプセル中に正、負に帯電した白色粒子と黒色粒子を入れた1層構造では、必ずしもコントラストの向上を図ることが出来ないという問題があった。
【0008】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開2002−202534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、コントラスト等に係る電気光学特性が良好な電気泳動表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に於いて上記課題を達成するために、請求項1の発明では、基材上に、電極層、画像表示層、透明電極層、及び表面層を順に備え、前記画像表示層は、黒色粒子、白色粒子及びこれらを分散する分散媒がカプセル殻内に収容されたマイクロカプセルからなる電気泳動表示装置において、前記マイクロカプセルが、黒色粒子もしくは白色粒子のいずれか一方の粒子とその分散媒が第一のカプセル殻内に収容されている複数の内部マイクロカプセルと、もう一方の粒子とその分散媒とが第二のカプセル殻内に収容されて2重構造を有していることを特徴とする電気泳動表示装置としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明者らは、マイクロカプセル型の電気泳動表示装置の電気光学特性、特にコントラストを改善するために検討を重ねた結果、黒色顔料と白色顔料との相互作用がコントラストに大きな影響を与えることを見出した。
【0012】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、マイクロカプセル型の電気泳動表示装置において、マイクロカプセルを、その中に複数の内部マイクロカプセルとその分散媒が収容された2重構造とし、黒色粒子(顔料)と白色粒子(顔料)を分離することにより、優れた電気光学特性、特にコントラストの向上した、例えば7以上のコントラストを得ることができるようなマイクロカプセル型の電気泳動表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一形態に係るマイクロカプセル型の電気泳動表示装置を示す断面図である。即ち、基材1上に、電極層2、粘着層3、マイクロカプセル表示層4、透明電極層5、透明樹脂層6、及び表面層8が順次積層されて、マイクロカプセル型電気泳動式表示パネルが構成されている。
【0015】
図1に示すマイクロカプセル型電気泳動式表示パネルで構成される電気泳動表示装置において、マイクロカプセル表示層4は、表面に透明電極層(ITO膜)5が形成されているポリエチレンテレフタレート等からなる透明樹脂層6の透明電極層5の面に、電子インクを公知のコーティング法を用いてコーティングすることにより形成される。次いで、透明電極層(ITO膜)5及びマイクロカプセル表示層4を有する透明樹脂層6は、粘着層3を介して、表面に電極層2を有する基材1に貼りつけられる。
【0016】
粘着層3としては、公知の感圧接着剤や感熱接着剤を用いることが出来る。これらは、粘着面に剥離紙を有する片面粘着テープ又は両面粘着テープの形で用いることが出来る。即ち、粘着層3は、片面粘着テープの非粘着面を接着剤によりマイクロカプセル表示層4に貼るか、又は両面粘着テープの一方の剥離テープを剥がしてマイクロカプセル表示層4に貼ることにより形成することが出来る。
【0017】
上記貼りつけは、例えば剥離紙を剥がして、第1の粘着層3の粘着面を基材1に貼り合せ、押圧又は加熱することにより行うことが出来る。基材1としてはガラス、フィルム等を用いることができ、表面の電極層2が画素電極として画素毎に独立してパターニングされ、図示しない薄膜トランジスタ、信号電極、および走査電極が併設されたものを用いることが出来る。このとき、透明電極層5は、全面を同一の電位とする共通電極とすることが出来る。
【0018】
表面層8は、防眩ハードコート層、紫外線吸収層、及びガスバリア層からなる群から選
ばれた少なくとも1種の機能層を含むものとすることが出来る。これらの機能層は、公知の材料を用い、公知の方法で成膜することが出来る。
【0019】
本発明は、以上説明したマイクロカプセル型の電気泳動式表示装置において、マイクロカプセル表示層4に含まれるマイクロカプセルが、2層構造を有しているものである。
【0020】
図2に本発明のマイクロカプセル表示層4に含まれるマイクロカプセル110の一事例を模式的に示した。図2においては、第一のカプセル殻111内部にカーボンブラックからなる黒色粒子114がシリコーンオイル、テトラクロロエチレン等の第一の分散媒112とともに封入されている。さらに、この黒色粒子114が封入された第一のマイクロカプセル殻111と酸化チタンからなる白色粒子113が、第二のカプセル殻115内部にシリコーンオイル、テトラクロロエチレン等の第二の分散媒116とともに封入されている。このとき、白色粒子113である酸化チタンは正電荷を帯びており、一方、黒色粒子114であるカーボンブラックは負電荷を帯びている。
【0021】
上記第一及び第二のマイクロカプセル殻111,115の形成材料としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、ゼラチン、アラビアゴム等を用いることができる。
【0022】
そのカプセル壁形成方法としては、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、スプレイードライング法、パンコーティング法、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被膜法、界面反応法等、好適な方法を用いることができる。
【0023】
上記隔壁形成を2回行うことにより、本発明である2層構造を有するマイクロカプセルを得ることができる。すなわち、黒色粒子114と第一の分散媒112からなる電気泳動分散液に対し、第一のカプセル殻111でなるカプセルを形成して、マイクロカプセル化し、次いで、黒色粒子114が封入されたマイクロカプセルと、白色粒子113と第二の分散媒116からなる電気泳動分散液に対し、第一のカプセル殻111でなるカプセルを形成し、マイクロカプセル化することにより2層構造を有するマイクロカプセル110とすることができる。
【0024】
上記マイクロカプセルは必要に応じて、ふるい分け、比重分離法などの任意の方法により、その径を制御することが可能となる。黒色粒子114と第一の分散媒112を封入した第一のカプセル殻111の径としては、5〜25μm程度が望ましく、また、この黒色粒子114と第一の分散媒112が封入されている第一のカプセル殻111と白色粒子113と第二の分散媒116を封入した第二のカプセル殻115の径としては、20〜100μm程度が望ましい。
【0025】
本発明において、第一のカプセル殻111の形成材料と第二のカプセル殻115の形成材料は同じであってもよく、異なっていても良い。同様に、第一の分散媒112と第二の分散媒116についても異なっていてもよいく、同じであっても良い。また、図2では黒色粒子と分散媒が封入されたマイクロカプセルと白色粒子と分散媒をマイクロカプセル化することにより、2層構造を有するマイクロカプセルとしているが、図4に示すように、例えば、白色粒子と黒色粒子を逆にして、白色粒子113と第一の分散媒112が封入された第一のカプセル殻111と黒色粒子111と第二の分散媒116をマイクロカプセル化することにより、2層構造を有するマイクロカプセル110としても良い。
【0026】
図2に示すマイクロカプセル110を含むマイクロカプセル型の電気泳動方式を用いた表示体は、次のようにして動作する。即ち、その動作として、例えば、図3に示すように、透明樹脂膜の側の透明電極層5と基材の側の電極層2に電界を印加し、透明電極層5を
5極、電極層2を正極とした場合、正に帯電した白色粒子113が透明電極層5側に引かれ、負に帯電した黒色粒子114は電極層2側に引かれるので、透明電極層5側の上方から観察するとその部分が白く見える。
【0027】
逆に、透明電極層5が正極で、電極層2が負極になった場合には、正に帯電した白色粒子113が電極層2側に引かれ、負に帯電した黒色粒子114は透明電極層5側に引かれるので、透明電極層5側の上方から観察するとその部分が黒く見えることになる。
【0028】
また、図4に示すマイクロカプセル110を含むマイクロカプセル型の電気泳動方式を用いた表示体の場合では、例えば、図5に示すように、透明樹脂膜の側の透明電極層5と基材の側の電極層2に電界を印加し、透明電極層5を正極、電極層2を負極とした場合、正に帯電した黒色粒子114が透明電極層5側に引かれ、負に帯電した白色粒子113は電極層2側に引かれるので、透明電極層5側の上方から観察するとその部分が黒く見える。
【0029】
逆に、透明電極層5が負極で、電極層2が正極になった場合には、正に帯電した黒色粒子114が電極層2側に引かれ、正に帯電した白色粒子113は透明電極層5側に引かれるので、透明電極層5側の上方から観察するとその部分が白く見えることになる。
【0030】
上記マイクロカプセル表示層4は、例えば、図1の側断面図に示すように、マイクロカプセル110を多数含んでおり、透明電極層5を同一電位の共通電極とし、電極層2の各アドレス電極の電界を制御することで、上述の原理に基づきマイクロカプセル内の粒子を移動させることで、所望の文字や図形を白と黒の画素として表示させることができる。
【0031】
同様に、電極層2を共通電極とし(電位をゼロとする)、透明電極5側の各アドレス電極の電界を制御する(正または負の電位を与える)ことで、電極位置のマイクロカプセル内の粒子を移動させて、所望の画像を表示させるようにしてもよい。
【0032】
マイクロカプセル110の径は、種々のものを採用することが可能であるが、85%が約30μm〜約60μmのものを採用すると、十分な解像度と応答性を得ることができる。表示画像の解像度は、主として電極層中の電極の配置に依存するが、マイクロカプセルの径が小さければ分散媒中のマイクロカプセルの移動速度が速くなり、結果として表示の際の応答性に優れるというメリットがある。
【0033】
上記図1に示すようなマイクロカプセル型電気泳動方式表示パネルを用いたペーパー状電子ディスプレイは、可撓性を有する材料で作製し、電極等のパターニングも印刷法、蒸着法でプラスチックフィルムに形成することで、実現が可能となる。表示画面サイズも、用途、要望に応じて任意のサイズのものを作成することができる。
【0034】
上記マイクロカプセル表示層4においては、マイクロカプセル110の位置配置は多少の変動があっても表示に問題は生じない。従って、折り曲げて使用したり、曲面の箇所に取付けて使用したりすることなども可能である。
【0035】
図1に示すようなマイクロカプセル型電気泳動式表示パネルにおいて、各粒子は粘性の高い分散媒に分散されているため、一度電界を印加した後は、電源が切断されても粒子の位置は変化しない。このように、ディスプレイの電源を切っても表示画像が消えない不揮発性(メモリー性)を有するので、初期の表示や書き換え時のみ電界を印加すればよく、通常の表示装置に比べて表示に必要な電力も少なくてすみ、大幅な省電力化が可能となるである。
【0036】
更に、表示パネル内においては、マイクロカプセル110の位置配置は多少の変動があっても表示に問題は生じない。従って、透明電極層5、電極層2を含め、ディスプレイ全体を薄く可携性を持たせる材料を用いることによって、紙のような柔軟性を持たせることができる。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0038】
<実施例1>
本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではなく、また実施例中、「部」は、特に断らない限り重量部を示す。
【0039】
まず、テトラクロロエチレン溶媒100部に、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドで表面処理した平均粒径4μmのカーボンブラック粉末(黒色粒子)40部とが分散された分散液を作成した。
【0040】
次いで、この分散液40部について、水80部にゼラチン10部とポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.1部とを配合した水溶液と混合し、液温を40℃に調整した後、液温を保ちながら、ホモジナイザーにより攪拌し、O/Wエマルジョンを得た。
【0041】
次に、得られたO/Wエマルジョンと、40℃に調製された水80部にアラビアゴム10部を配合した水溶液とを、ディスペンサーを用いて混合し、溶液の液温を40℃に維持しつつ、酢酸を用いて溶液のpHを4に調整し、コアセルベーションによりマイクロカプセル壁を形成した。
【0042】
更に、両サンプルの液温を5℃に低下させた後、37重量%ホルマリン溶液1.9部を加えてマイクロカプセル壁を硬化させ、黒色粒子(カーボンブラック粒子)が分散した分散液を封入したマイクロカプセルを得た。このようにして得られた黒色粒子が封入されたマイクロカプセルを篩い分けして、平均粒径が15μm、10−20μmの粒径の割合が80%以上になるように、粒径を揃えた。
【0043】
次に、得られたマイクロカプセル60部とポリエチレン樹脂で表面を被覆した平均粒径3μmの酸化チタン粉末(白色粒子)60部とがテトラクロロエチレン溶媒100部に分散された分散液を作成した。
【0044】
まず、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドで表面処理した平均粒径4μmのカーボンブラック粉末(黒色粒子)40部とが分散された分散液を作成した。次いで、この分散液40部について、水80部にゼラチン10部とポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.1部とを配合した水溶液と混合し、液温を40℃に調整した後、液温を保ちながら、ホモジナイザーにより攪拌し、O/Wエマルジョンを得た。
【0045】
次に、得られたO/Wエマルジョンと、40℃に調製された水80部にアラビアゴム10部を配合した水溶液とを、ディスペンサーを用いて混合し、溶液の液温を40℃に維持しつつ、酢酸を用いて溶液のpHを4に調整し、コアセルベーションによりマイクロカプセル壁を形成した。
【0046】
更に、両サンプルの液温を5℃に低下させた後、37重量%ホルマリン溶液1.9部を加えてマイクロカプセル壁を硬化させ、黒色粒子(カーボンブラック粒子)と分散媒を封入したマイクロカプセルと白色粒子と分散媒を封入した2層構造を有するマイクロカプセルを得た。
【0047】
次に、固形分40重量%の水分散マイクロカプセルを2000部、固形分40重量%のウレタン系バインダー250部、界面活性剤2部、増粘剤9部、純水300部を混合し、スラリーを作成した。
【0048】
このスラリーをITO/PET基材上に塗布し、ITO/PET/マイクロカプセル表示層からなるシートを得た。得られたシートをポリエステル−ウレタン系接着剤によりTFT基板に貼り合せ、画像表示装置を得た。
【0049】
以下に、本発明の比較例について説明する。
<比較例1>
まず、テトラクロロエチレン溶媒100部に、ポリエチレン樹脂で表面を被覆した平均粒径3μmの酸化チタン粉末(白色粒子)60部と、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドで表面処理した平均粒径4μmのカーボンブラック粉末(黒色粒子)40部とが分散された分散液を作成した。
【0050】
次いで、この分散液40部について、水80部にゼラチン10部とポリスチレンスルホン酸ナトリウム0.1部とを配合した水溶液と混合し、液温を40℃に調整した後、液温を保ちながら、ホモジナイザーにより攪拌し、O/Wエマルジョンを得た。
【0051】
次に、得られたO/Wエマルジョンと、40℃に調製された水80部にアラビアゴム10部を配合した水溶液とを、ディスペンサーを用いて混合し、溶液の液温を40℃に維持しつつ、酢酸を用いて溶液のpHを4に調整し、コアセルベーションによりマイクロカプセル壁を形成した。この操作を1回行ったサンプルと2回行ったサンプルを作成した。
【0052】
更に、両サンプルの液温を5℃に低下させた後、37重量%ホルマリン溶液1.9部を加えてマイクロカプセル壁を硬化させ、白色粒子(酸化チタン粒子)と黒色粒子(カーボンブラック粒子)が分散した分散液を封入した、内部構造が1層のマイクロカプセルを得た。
【0053】
このようにして得られたマイクロカプセルを篩い分けして、平均粒径が40μmで、20〜60μmの粒径の割合が80%以上になるように、粒径を揃えた。
【0054】
上記で得られたマイクロカプセルを用い、実施例と同様にして画像表示装置を得た。
【0055】
上記実施例1と比較例1で得られた画像表示装置について電気光学特性の評価を行った。即ち、パルス長400msのプラス側波形h、続いてレストレングス2000msのi、パルス長400msのマイナス側波形j、続いてレストレングス2000msの矩形波を、15Vの電圧で印加し、白の反射率WS(White State)及び黒の反射率DS(Dark State)の測定を行った。この測定は、米国Labsphere社製国際標準の白色拡散反射板及び黒色拡散反射板を、それぞれ99%、5%の基準として行った。またWS/DSでなるコントラスト比を求めた。さらに、人間の目の視感度を考慮するため、CIE L* * * に基づいてWS、DSそれぞれのL* 値WL* 、DL* を求めた。そして、それらの結果の総合評価を下記の基準で行った。
【0056】
上記総合評価として、好ましい目標値目標値を満たしている場合は○、好ましい目標値を満たしていない場合は×印で示した。以上の結果を下記表1に示す。
【0057】
【表1】

上記表1から、マイクロカプセルが2層の場合(実施例1)に、そのコントラストは7
以上で、総合評価は○であった。
【0058】
これに対し、マイクロカプセルが1層の場合(比較例1)に、そのコントラストは7未満であり、総合評価は×であった。
【0059】
以上の結果から、マイクロカプセルの内部構造を2層とすることが、優れた電気光学特性、特にコントラストの向上に寄与することが判った。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の電気泳動表示装置は、優れた電気光学特性を有しているため、前述のペーバー状電子ディスプレイの他様々な用途における表示装置として広範に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の電気泳動表示装置の一例の一部を側断面で表した説明図である。
【図2】本発明の電気泳動表示装置の一例を構成するマイクロカプセル表示層に含まれるマイクロカプセルの断面を表す模式図である。
【図3】本発明の電気泳動表示装置の一例を構成するマイクロカプセル表示層の表示形態の事例を断面で表した模式図である。
【図4】本発明の電気泳動表示装置の他の一例を構成するマイクロカプセル表示層に含まれるマイクロカプセルの断面を表す模式図である。
【図5】本発明の電気泳動表示装置の他の一例を構成するマイクロカプセル表示層の表示形態の事例を断面で表した模式図である。
【図6】従来の電気泳動方式の表示体の原理を示す概念図である。
【符号の説明】
【0062】
1‥‥基材
2‥‥電極層
3‥‥粘着層
4‥‥マイクロカプセル表示層
5‥‥透明電極層
6‥‥透明樹脂層
8‥‥表面層
110‥‥マイクロカプセル
111‥‥第一のカプセル殻
112‥‥第一の分散媒
113‥‥白色粒子
114‥‥黒色粒子
115‥‥第一のカプセル殻
116‥‥第二の分散媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、電極層、画像表示層、透明電極層、及び表面層を順に備え、前記画像表示層は、黒色粒子、白色粒子及びこれらを分散する分散媒がカプセル殻内に収容されたマイクロカプセルからなる電気泳動表示装置において、前記マイクロカプセルが、黒色粒子もしくは白色粒子のいずれか一方の粒子とその分散媒が第一のカプセル殻内に収容されている複数の内部マイクロカプセルと、もう一方の粒子とその分散媒とが第二のカプセル殻内に収容されて2重構造を有していることを特徴とする電気泳動表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−206145(P2007−206145A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22068(P2006−22068)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)