説明

電気泳動装置の製造方法、電子機器

【課題】 耐湿性を向上させることが可能な電気泳動装置の製造技術を提供すること。
【解決手段】 第1基板(10)の一方面上と第2基板(30)の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層(20)を設ける工程と、電気泳動層を介在させて第1基板と第2基板とを貼り合わせる工程と、第1防湿フィルム(40)を、第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、第1基板の他方面に貼り付ける工程と、第2防湿フィルム(42)を、第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、第2基板の他方面に貼り付ける第4工程と、
第1基板及び第2基板の外縁を囲むように、第1防湿フィルムと第2防湿フィルムのそれぞれの余剰部位の相互間に封止樹脂(44)を設ける工程と、を含む電気泳動装置の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体中の荷電粒子が電圧の印加によって移動する電気泳動を画像形成などに利用する電気泳動装置及びこの電気泳動装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動現象を利用した表示装置、特にマイクロカプセル型電気泳動表示装置の優れた特長の一つにフレキシビリティがある。すなわち、電気泳動分散液を挟む2枚の基板として樹脂等のフィルムを使うことにより、可撓性を有する表示装置を容易に実現することが可能であり、電子ペーパー等の電気機器への応用が期待されている。一方、基板としてガラス等ではなくフィルムを使用した場合、水分の侵入による電気泳動表示装置の劣化が問題となる。つまり、ガラス基板であれば水分の侵入を抑制する効果が高いが、フィルム基板の場合には当該効果が低いため、フィルムを使用して構成された電気泳動表示装置を高温度、高湿度下に長期間晒したような場合には、水分の侵入により劣化が生じ、表示品質が著しく低下するという問題がある。このような問題に対する解決策として、特開2005−114820号公報(特許文献1)及び特開2005−114822号公報(特許文献2)には、表示面側の基板(第1基板)に透明樹脂保護膜を積層するとともに、表示面の周辺端面部においては、透明樹脂保護膜と非表示面側の基板(第2基板)との隙間に水蒸気遮断性樹脂層を設けることにより、水分の侵入を遮断する構造の電気泳動表示装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、上記従来技術によっても依然として、高温(例えば、60℃程度程度)・高湿度(例えば、90%程度)の環境下において、周辺端面部や背面からの水分の侵入により、表示特性や保持特性の劣化や電気泳動材料の変質を招く可能性が懸念されている。このため、耐湿性をより向上させることのできる電気泳動装置が期待される。
【0004】
【特許文献1】特開2005−114820号公報
【特許文献2】特開2005−114822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、耐湿性をより向上させることが可能な電気泳動装置の製造技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の本発明は、第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、上記第1基板の一方面側と上記第2基板の一方面側とが上記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、上記第1基板と上記第2基板とを貼り合わせる第2工程と、第1防湿フィルムを、上記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第1基板の他方面に貼り付ける第3工程と、第2防湿フィルムを、上記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第2基板の他方面に貼り付ける第4工程と、上記第1基板及び上記第2基板の外縁を囲むように、上記第1防湿フィルムと上記第2防湿フィルムのそれぞれの上記余剰部位の相互間に封止樹脂を設ける第5工程と、を含む電気泳動装置の製造方法である。
【0007】
第2の態様の本発明は、第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、第1防湿フィルムを、上記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第1基板の他方面に貼り付ける第2工程と、第2防湿フィルムを、上記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第2基板の他方面に貼り付ける第3工程と、上記第1基板の一方面側と上記第2基板の一方面側とが上記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、上記第1基板と上記第2基板とを貼り合わせる第4工程と、上記第1基板及び上記第2基板の外縁を囲むように、上記第1防湿フィルムと上記第2防湿フィルムのそれぞれの上記余剰部位の相互間に封止樹脂を設ける第5工程と、を含む電気泳動装置の製造方法である。
【0008】
上記第1又は第2の態様の本発明によれば、第1基板と第2基板との間に電気泳動層を介在させてなる電気泳動パネルに対して、その一方面側と他方面側がそれぞれ防湿フィルムに覆われ、かつ外縁が封止樹脂によって封止されてなる防湿性の高い電気泳動装置が得られる。
【0009】
上記第1又は第2の態様の本発明に関する更なる好適な態様について以下に説明する。
【0010】
好ましくは、上記第5工程の後に、上記第1防湿フィルム及び上記第2防湿フィルムのそれぞれの上記余剰部位の一部と上記封止樹脂の一部を、上記第1防湿フィルム及び上記第2防湿フィルムの端面と上記封止樹脂の端面とが面一になるように切断する第6工程を含む。
【0011】
これにより、封止樹脂の幅が一定となり、封止性能の均質化を図ることができる。また、封止樹脂の幅(封止幅)が一定となることにより、封止樹脂の選択についての自由度が増す。また、必要最小限の封止幅を確保し、余分な領域を除去できるので、電気泳動装置の狭額縁化を図ることができる。
【0012】
更に好ましくは、上記第6工程は、上記封止樹脂に凹部が生じているときに、当該凹部が解消されて上記第1防湿フィルム及び上記第2防湿フィルムの端面と上記封止樹脂の端面とが面一になるように切断を行う。
【0013】
封止樹脂の材質等によっては、樹脂の表面張力の関係等により、第1防湿フィルム及び第2防湿フィルムの各端面から電気泳動層側に窪んだ凹部が顕著に生じる場合がある。この場合、凹部の底となる部位において封止樹脂の幅が小さくなるので、この底部においても十分な耐湿性を確保しようとすると、封止樹脂の全体幅が大きくなってしまい、電気泳動装置の狭額縁化が妨げられる。したがって、予め第1防湿フィルム、第2防湿フィルム及び封止樹脂を余分に形成しておき、その後、凹部の底となる部位を通るように切断するなど、凹部が解消されるような切断方法を採ることにより、防湿性確保と狭額縁化を両立させることが可能となる。
【0014】
第3の態様の本発明は、第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、上記第1基板の一方面側と上記第2基板の一方面側とが上記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、上記第1基板と上記第2基板とを貼り合わせる第2工程と、第1防湿フィルムを、上記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第1基板の他方面に貼り付ける第3工程と、第2防湿フィルムを、上記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第2基板の他方面に貼り付ける第4工程と、上記第1防湿フィルムの上記余剰部位と上記第2防湿フィルムの上記余剰部位とを接合し、上記第1基板及び上記第2基板の外縁を覆う封止部を形成する第5工程と、上記封止部の周囲に、少なくとも上記第1防湿フィルム及び上記第2フィルムの端面を覆うようにして封止樹脂を設ける第6工程と、を含む電気泳動装置の製造方法である。
【0015】
第4の態様の本発明は、第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、第1防湿フィルムを、上記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第1基板の他方面に貼り付ける第2工程と、第2防湿フィルムを、上記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、上記第2基板の他方面に貼り付ける第3工程と、上記第1基板の一方面側と上記第2基板の一方面側とが上記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、上記第1基板と上記第2基板とを貼り合わせる第4工程と、上記第1防湿フィルムの上記余剰部位と上記第2防湿フィルムの上記余剰部位とを接合し、上記第1基板及び上記第2基板の外縁を覆う封止部を形成する第5工程と、上記封止部の周囲に、少なくとも上記第1防湿フィルム及び上記第2フィルムの端面を覆うようにして封止樹脂を設ける第6工程と、を含む電気泳動装置の製造方法である。
【0016】
上記第1又は第2の態様の本発明によれば、第1基板と第2基板との間に電気泳動層を介在させてなる電気泳動パネルに対して、その一方面側と他方面側がそれぞれ防湿フィルムに覆われ、かつ外縁については防湿フィルム同士を接合して封止したうえに封止樹脂によって封止されてなる防湿性の高い電気泳動装置が得られる。
【0017】
上記第3又は第4の態様の本発明に関する更なる好適な態様について以下に説明する。
【0018】
好ましくは、上記第4工程と上記第5工程との間に、上記第1防湿フィルム及び上記第2防湿フィルムの端面を面一に切断する第7工程を更に含む。
【0019】
これにより、必要最小限の封止幅を確保し、余分な領域を除去できるので、電気泳動装置の狭額縁化を図ることができる。
【0020】
好ましくは、上記第6工程は、上記封止樹脂をその断面が略コ字状となるように形成する。
【0021】
これにより、防湿性をより強固にすることが可能となる。
【0022】
第5の態様の本発明は、上述した電気泳動装置を表示部として備える電子機器である。ここで、「電子機器」は、電気泳動材料による表示を利用する表示部を備えるあらゆる機器を含むもので、ディスプレイ装置、テレビジョン装置、電子ペーパ、時計、電卓、携帯電話、携帯情報端末等を含む。また、「機器」という概念からはずれるもの、例えば可撓性のある紙状/フィルム状の物体、これら物体が貼り付けられた壁面等の不動産に属するもの、車両、飛行体、船舶等の移動体に属するものも含み得る。
【0023】
かかる構成によれば、防湿性が高く耐久性に優れた表示部を備える電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の態様について図面を参照しながら説明する。
【0025】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態の電気泳動装置の断面構造を示す図である。図1に示す電気泳動表示装置1は、第1基板10、薄膜半導体回路層12、電気泳動層20、第2基板30、透明電極層32、第1防湿フィルム40、第2防湿フィルム42、封止樹脂44、を含んで構成されている。
【0026】
第1基板10は、電気回路を形成する絶縁性下地基板としての可撓性の基板からなる。この第1基板10の厚さは、例えば、薄膜回路形成の際の基板の物理的強度の点から25μm以上あることが望ましく、基板の可撓性(フレキシビリティ)確保の点からは200μm以下であることが望ましい。この第1基板10としては、例えば板厚200μm程度のポリカーボネート基板を用いることができる。この第1基板10上に、例えばUV(紫外線)硬化型接着剤からなる接着層を介して半導体回路層12が貼りつけられている。このような第1基板10上に薄膜半導体回路層12を形成する場合には、例えば、特開平10−125931号公報、特開平11−26733号公報、特開2004−327836号公報等で紹介されている薄膜素子転写技術を使用することができる。これらの文献では、耐熱基板(ガラス基板)上で薄膜半導体回路を形成し、その後この耐熱基板から薄膜半導体回路を含む薄膜半導体回路層を剥離して樹脂基板上に全体的にあるいは部分的に転写する薄膜回路の転写技術が開示されている。
【0027】
ここで、第1基板10を構成する可撓性基板としては、軽量性、可撓性、弾性などに優れた樹脂材料を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れでもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ-(4-メチルペンテン-1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル-スチレン共重合体、ブタジエンースチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロへキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不蝕和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば2層以上の積層体として)用いることができる。
【0028】
薄膜半導体回路層12は、行方向及び列方向にそれぞれ複数配列された配線群、画素電極群、画素駆動回路、接続端子、駆動画素を選択する行デコーダ及び列デコーダ等を含んで構成されている。画素駆動回路は、薄膜トランジスタ(TFT)等の回路素子を含んで構成されている。第1基板10と薄膜半導体回路層12との間の接着層として用いられる材料は、例えば、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤等の光硬化型接着剤、嫌気硬化型接着剤等の各種硬化型接着剤を用いることができる。特に、工程のタクトタイム低減の観点からは光硬化性接着剤を用いることが好ましい。上記の光硬化性材料としては、例えば、エポキシ系、アクリレート系、シリコーン系の光硬化性材料を用いることができる。また、接着層の厚さは、1μm〜1mm程度、さらに好ましくは10〜100μm程度である。
【0029】
電気泳動層20は、第1基板10の一方面と第2基板30の一方面との間に介在するように設けられている。この電気泳動層20は、バインダによって固定された多数のマイクロカプセルを含んで構成されている。マイクロカプセル内には電気泳動分散媒、電気泳動粒子が含まれている。電気泳動粒子は印加電圧に応じて電気泳動分散媒中を移動する性質を有し、一種類(一色)以上の電気泳動粒子が使用される。電気泳動層20の厚さは、例えば50μm〜75μm程度である。電気泳動層20は、上述のマイクロカプセルをバインダ中に所望の誘電率調節剤とともに混合し、得られた樹脂組成物(エマルジョンあるいは有機溶媒溶液)を基材上にロールコーターを用いる方法や、スクリーン印刷による方法、スプレー法等の公知のコーティング法を用いて形成することができる。
【0030】
ここで、電気泳動分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩又はその他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合したものを用いることができる。
【0031】
電気泳動粒子は、前述したように、電気泳動分散媒中で電位差による電気泳動を行って所望の電極側に移動する性質を有する粒子(高分子あるいはコロイド)である。例えば、アニリンブラックやカーボンブラック等の黒色顔料、二酸化チタンや亜鉛華、三酸化アンチモン、酸化アルミニウム等の白色顔料、モノアゾやジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノンや黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、キナクリドンレッドやクロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルーやインダスレンブルー、アントラキノン系染料、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等である。此等の粒子は単独で使用しても良いし、或いは二種類以上を共に用いても良い。さらにこれらの顔料には必要に応じて電解質や界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、或いはチタンカップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0032】
マイクロカプセルを構成する材料としては、アラビアゴム・ゼラチン系の化合物やウレタン系の化合物等の柔軟性を有するものを用いるのが好ましい。マイクロカプセルは界面重合法や不溶化反応法、相分離法或いは界面沈殿法等の公知のマイクロカプセル化手法を用いて形成できる。またマイクロカプセルは、大きさがほぼ均一であることが優れた表示機能を発揮させる上で好ましい。大きさがほぼ均一なマイクロカプセルは、例えば、濾過又は比重差分級等を用いて得ることができる。マイクロカプセルの大きさは通常30〜60μm程度である。
【0033】
バインダとしては、マイクロカプセルと親和性が良好で電極との密着性に優れ、かつ絶縁性を有するものであれば特に制限はない。かかるバインダとして、上述した絶縁性合成樹脂基材と同様、下記に例示するものを用いることができる。例えば、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリプロピレン、ABS樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール−塩化ビニル共重合体、プロピレン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアリレート、グラフト化ポリフィニレンエーテル、ポリエーテルエテルケトン、ポリエーテルイミド等の高分子。ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレン、四フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体、エチレン−四フッ化エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン、フッ素ゴム等のフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、シリコンゴム等の珪素樹脂。その他のバインダ材として、メタクリル酸−スチレン共重合体、ポリブチレン、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等を用いることができる。また、バインダ材は、例えば特開平10−149118号公報に記載されているように、電気泳動表示液の誘電率と分散剤の誘電率を略同じとするのが好ましい。
【0034】
第2基板30は、一方面側に透明電極層32が形成された薄膜フィルム(透明な絶縁性合成樹脂基材)からなり、電気泳動層20上を覆うように形成されている。第2基板30の厚さは、10〜200μmが望ましく、より好ましくは25〜75μmである。この第2基板30を構成する薄膜フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが用いられる。薄膜フィルムとしては絶縁性の透明材であれば、上述した第1基板10と同様に種々の材料を用いることができる。薄膜フィルムの厚みは第1基板10の厚みよりも薄い方がよい。より好ましくは第1基板10の厚みの半分以下程度である。
【0035】
透明電極層32は、例えば、錫がドープされた酸化インジウム膜(ITO膜)などの透明導電膜を用いて構成されている。透明電極層32は、第2基板30の一方面のほぼ全体に渡って形成されている。第1基板10の回路配線と第2基板30の透明電極層32とは、電気泳動層20の形成領域の外側において電気的に接続されている。具体的には、透明電極層32と薄膜半導体回路層12の接続電極(端子)とが導電性接続体を介して接続される。透明電極層32を構成する透明導電膜としては、例えば、上述したITO膜の他に、フッ素がドープされた酸化スズ膜(FTO膜)、アンチモンがドープされた酸化亜鉛膜、インジウムがドープされた酸化亜鉛膜、アルミニウムがドープされた酸化亜鉛膜等を例示することができる。薄膜フィルム上に透明電極を形成する方法には特に制限はないが、例えば、スパッタ法、電子ビーム法、イオンプレーティング法、真空蒸着法又は化学的気相成長法(CVD法)等を採用することができる。
【0036】
第1防湿フィルム40は、第1基板10の他方面側に貼り付けられており、電気泳動層20の封止及び保護の役割を担う。この第1防湿フィルム40は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの透光性を有するものを用いて構成される。ここで、第1防湿フィルム40の形状について説明する。図2は、第1基板10と第1防湿フィルム40の各々の形状について説明するための図であり、第1基板10と第1防湿フィルム40との接合体を第1防湿フィルム40側から見た模式的な平面図を示している。図2に示すように、第1防湿フィルム40(図中、梨地で表現)は、第1基板10の他方面と接する部位のほかに、当該部位の周囲に配される額縁状の余剰部位を有する。この余剰部位は、後述するように封止剤(封止樹脂)44を設ける空間を形成する等のために利用される。
【0037】
第2防湿フィルム42は、第2基板30の他方面側に貼り付けられており、電気泳動層20の封止及び保護の役割を担う。この第2防湿フィルム42は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどを用いて構成される。この第2防湿フィルム42は、上述した第1防湿フィルム40と同様に(図2参照)、第2基板30の他方面と接する部位のほかに、当該部位の周囲に配される額縁状の余剰部位を有する。この余剰部位は、後述するように封止剤(封止樹脂)44を設ける空間を形成する等のために利用される。
【0038】
封止剤(封止樹脂)44は、第1基板10及び第2基板30の外縁を囲むようにして、第1防湿フィルム40と第2防湿フィルム42のそれぞれの余剰部位の相互間に設けられる。本実施形態の電気泳動装置1では、図示のように第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面と封止剤44の端面とが面一に形成されている。ここで、封止剤44としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂などが好適に用いられる。更に、これらの樹脂中にシリカ、アルミナ等の無機微粒子を分散させたものも好適に用いられる。
【0039】
次に、第1の実施形態にかかる電気泳動装置1を製造する方法について説明する。
【0040】
図3は、第1の実施形態の電気泳動装置の製造方法を説明する工程断面図である。
【0041】
まず、第1基板10の一方面上と第2基板30の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層20を設ける(図3(A))。図示の例では、第2基板30の一方面上に電気泳動層20が設けられている。なお、第1基板10の一方面上に電気泳動層20が設けられてもよいし、第1基板10と第2基板30の双方に電気泳動層20が設けられてもよい。
【0042】
次に、第1基板10の一方面側と第2基板30の一方面側とが電気泳動層20を介在させながら対向するようにして、第1基板10と第2基板30とを貼り合わせる(図3(B))。
【0043】
次に、第1防湿フィルム40を、第1基板10の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして(図2参照)、第1基板10の他方面に貼り付ける(図3(C))。第1防湿フィルム40の貼り付けは、第1防湿フィルム40と第1基板10との間に光硬化性接着剤や熱硬化型接着剤などを介在させ、あるいは両面粘着材を介在させることにより行われる。真空ラミネーターを用いて第1防湿フィルム40をラミネートすることが好ましい。
【0044】
また、上記工程と並んで、第2防湿フィルム42を、第2基板30の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位(図2参照)とが設けられるようにして、第2基板30の他方面に貼り付ける(図3(C))。第2防湿フィルム42の貼り付けについても、第2防湿フィルム42と第2基板30との間に光硬化性接着剤や熱硬化型接着剤などを介在させ、あるいは両面粘着材を介在させることにより行われる。真空ラミネーターを用いて第2防湿フィルム42をラミネートすることが好ましい。
【0045】
次に、第1基板10及び第2基板30の外縁を囲むように、第1防湿フィルム40と第2防湿フィルム42のそれぞれの余剰部位の相互間に封止樹脂44を設ける(図3(D))。封止樹脂44としては、光硬化型、熱硬化型、或いは2液混合硬化型のいずれも採用することができる。この封止樹脂44は、充填時に気泡を巻き込まない程度に低粘度であり、かつ流出しない程度に高粘度(具体的には、0.1〜10cP程度)であることが好ましい。充填方法としては、例えばマイクロディスペンサにより適量を吐出しながら、第1防湿フィルム40と第2防湿フィルム42との間に充填する方法を採用し得る。気泡の混入を極力回避するために、真空状態(低圧状態)で作業を行うのも好ましい。
【0046】
次に、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42のそれぞれの余剰部位の一部と封止樹脂44の一部を、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面と封止樹脂44の端面とが面一になるように切断する(図3(E))。この切断工程では、所望の封止幅(例えば、0.5mm〜1.5mm程度)の封止樹脂44が確保されるようにして、この封止幅よりも外側に存在する第1防湿フィルム40、第2防湿フィルム42及び封止樹脂44が除去される。本工程には、トムソン刃、金型刃、レーザーカット等の様々な切断方法を採用可能である。ここで、本工程の更なる好適態様について以下に説明する。
【0047】
図4は、切断工程について更に詳細に説明するための図であり、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面付近が拡大して示されている。硬化後の封止樹脂44を厳密に観察すると、封止樹脂44として用いた樹脂材料の性質等の条件によっては、図4(A)に示すように、樹脂の表面張力の関係等により凹部46が生じる場合がある。このような場合、凹部46の底となる部位において最も樹脂の幅が小さくなるので、この部位における封止幅が防湿性の確保に必要十分となるように封止樹脂44を設ける必要がある。このように凹部46の底部においても必要十分な耐湿性を確保すると、樹脂の封止幅が大きくなってしまい狭額縁化の妨げとなる。したがって、封止樹脂44に凹部46が生じている場合には、図4(B)に示すように、凹部46が解消されて第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面と封止樹脂44の端面とが面一になるようにして、本工程における切断がなされることが望ましい。具体的には、図示のように封止樹脂44の凹部46の底となる部位を通るようにして切断が行われる。これにより、防湿性確保と狭額縁化を両立させることが可能となる。
【0048】
図5は、第1の実施形態の電気泳動装置の製造方法についての他の態様を説明する工程断面図である。なお、上述した図3に示した製造方法と以下に説明する製造方法とは、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42を貼り付けるまでの工程が相違している。以下、主に両者の相違点について説明し、両者に共通する事項については説明を適宜省略し、
【0049】
まず、第1基板10の一方面上と第2基板30の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層20を設ける(図5(A))。図示の例では、第2基板30の一方面上に電気泳動層20が設けられている。なお、第1基板10の一方面上に電気泳動層20が設けられてもよいし、第1基板10と第2基板30の双方に電気泳動層20が設けられてもよい。
【0050】
次に、第1防湿フィルム40を、第1基板10の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして(図2参照)、第1基板10の他方面に貼り付ける(図5(B))。第1防湿フィルム40の貼り付けは、第1防湿フィルム40と第1基板10との間に光硬化性接着剤や熱硬化型接着剤などを介在させ、あるいは両面粘着材を介在させることにより行われる。真空ラミネーターを用いて第1防湿フィルム40をラミネートすることが好ましい。
【0051】
また、上記工程と並んで、第2防湿フィルム42を、第2基板30の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位(図2参照)とが設けられるようにして、第2基板30の他方面に貼り付ける(図5(A))。第2防湿フィルム42の貼り付けについても、第2防湿フィルム42と第2基板30との間に光硬化性接着剤や熱硬化型接着剤などを介在させ、あるいは両面粘着材を介在させることにより行われる。真空ラミネーターを用いて第2防湿フィルム42をラミネートすることが好ましい。
【0052】
なお、第1防湿フィルム40や第2防湿フィルム42の貼り付けを行った後に、電気泳動層20を形成してもよい。
【0053】
次に、第1基板10の一方面側と第2基板30の一方面側とが電気泳動層20を介在させながら対向するようにして、第1基板10と第2基板30とを貼り合わせる(図5(C))。
【0054】
次に、第1基板10及び第2基板30の外縁を囲むように、第1防湿フィルム40と第2防湿フィルム42のそれぞれの余剰部位の相互間に封止樹脂44を設ける(図5(D))。本工程の好適条件については上記と同様である。
【0055】
次に、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42のそれぞれの余剰部位の一部と封止樹脂44の一部を、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面と封止樹脂44の端面とが面一になるように切断する(図5(E))。本工程の好適条件については上記と同様である。より好適な切断条件についても同様である(図4参照)。
【0056】
以上のように第1の実施形態によれば、第1基板と第2基板との間に電気泳動層を介在させてなる電気泳動パネルに対して、その一方面側と他方面側がそれぞれ防湿フィルムに覆われ、かつ外縁が封止樹脂によって封止されてなる防湿性の高い電気泳動装置が得られる。
【0057】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態の電気泳動装置の断面構造を示す図である。図6に示す電気泳動表示装置1aは、第1基板10、薄膜半導体回路層12、電気泳動層20、第2基板30、透明電極層32、第1防湿フィルム40、第2防湿フィルム42、封止樹脂44a、を含んで構成されている。本実施形態の電気泳動装置1aは、基本的に上述した第1の実施形態の電気泳動装置1と同様の構成を備えており、第1防湿フィルム40、第2防湿フィルム42及び封止樹脂44aからなる封止構造が相違している。以下、相違点に着目して説明し、両者の共通構成については図6において図1と同符号を付したうえで詳細な説明を省略する。
【0058】
図6に示すように、第2の実施形態の電気泳動装置1aは、第1防湿フィルム40の余剰部位と第2防湿フィルム42の余剰部位とを接合して構成され、第1基板10及び第2基板30の外縁を覆う封止部48を備えている。そして、この封止部48の周囲には、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面を覆うようにして封止樹脂44aが設けられている。本実施形態の封止樹脂44aは、図示のように略コ字状の断面となるように形成されている。この封止樹脂44aは、少なくとも第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面を覆うように設けられていればよいが、図示のように略コ字状の断面となるようにすることで防湿性がより高まる。封止樹脂44aとして用いる材料等の好適条件は上述した封止樹脂44の場合と同様である。また、図示のように、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42は、これらの端面が面一に形成されている。これにより、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の外縁部の幅を必要最小限に狭め、電気泳動装置1aの狭額縁化を達成できる。また、封止樹脂44aの使用量も低減することができる。
【0059】
次に、第2の実施形態にかかる電気泳動装置1aを製造する方法の好適な一例について説明する。なお、上述した第1の実施形態の場合と共通する事項については適宜省略する。
【0060】
図7は、第2の実施形態の電気泳動装置の製造方法を説明する工程断面図である。
【0061】
まず、第1基板10の一方面上と第2基板30の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層20を設ける(図7(A))。次に、第1基板10の一方面側と第2基板30の一方面側とが電気泳動層20を介在させながら対向するようにして、第1基板10と第2基板30とを貼り合わせる(図7(B))。次に、第1防湿フィルム40を、第1基板10の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして(図2参照)、第1基板10の他方面に貼り付ける(図7(C))。また、この工程と並んで、第2防湿フィルム42を、第2基板30の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位(図2参照)とが設けられるようにして、第2基板30の他方面に貼り付ける(図7(C))。ここまでの工程についての好適条件は上述した第1の実施形態と同様である。
【0062】
なお、図5に示した例のように、第1基板10の一方面上と第2基板30の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層20を設けた後に、第1防湿フィルム40を第1基板10の他方面に貼り付け、かつ第2防湿フィルム42を第2基板30の他方面に貼り付け、その後、第1基板10と第2基板30とを貼り合わせる、という工程順にしてもよい。
【0063】
次に、第1防湿フィルム40の余剰部位と第2防湿フィルム42の余剰部位とを接合し、第1基板10及び第2基板30の外縁を覆う封止部48を形成する(図7(D))。本工程は、例えば真空ラミネーターを用いて行われる。このとき、第1防湿フィルム40と第2防湿フィルム42との貼り合わせ幅に余裕を持たせておき、両者を接合した後に、第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面を面一に切断する工程を更に追加してもよい。これにより、端面の寸法精度が向上する。また、封止部48の幅を必要最小限に狭め、電気泳動装置1aの狭額縁化を図ることができる。
【0064】
次に、封止部48の周囲に、少なくとも第1防湿フィルム40及び第2防湿フィルム42の端面を覆うようにして封止樹脂44aを設ける(図7(E))。上述したように本実施形態では、封止樹脂44aはその断面が略コ字状となるように形成される。封止樹脂44aの供給は、例えばマイクロディスペンサを用いて行うことができる。気泡の混入を極力回避するために、本工程の作業を真空状態(低圧状態)で行うのも好ましい。
【0065】
以上のように第2の実施形態によれば、第1基板と第2基板との間に電気泳動層を介在させてなる電気泳動パネルに対して、その一方面側と他方面側がそれぞれ防湿フィルムに覆われ、かつ外縁については防湿フィルム同士を接合して封止したうえに封止樹脂によって封止されてなる防湿性の高い電気泳動装置が得られる。
【0066】
(第3の実施形態)
次に、上述した各実施形態にかかる電気泳動装置を備える電子機器の具体例について説明する。
【0067】
図8は、電気泳動装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。図8(A)は、電子機器の一例である電子ブックを示す斜視図である。この電子ブック1000は、ブック形状のフレーム1001と、このフレーム1001に対して回動自在に設けられた(開閉可能な)カバー1002と、操作部1003と、上述した電気泳動装置1又は1aによって構成された表示部1004と、を備えている。図8(B)は、電子機器の一例である腕時計を示す斜視図である。この腕時計1100は、電気泳動装置1又は1aによって構成された表示部1101を備えている。図8(C)は、電子機器の一例である電子ペーパーを示す斜視図である。この電子ペーパー1200は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体部1201と、電気泳動装置1又は1aによって構成された表示部1202と、を備えている。なお、電気泳動装置1又は1aを適用可能な電子機器の範囲はこれに限定されず、帯電粒子の移動に伴う視覚上の色調の変化を利用した装置を広く含むものである。例えば、上記のような装置の他、電気泳動フィルムが貼り合わせられた壁面等の不動産に属するもの、車両、飛行体、船舶等の移動体に属するものも該当し得る。
【0068】
(他の実施態様の例示)
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0069】
例えば、上述した実施形態では電気泳動層の具体例としてマイクロカプセルを利用するタイプを説明していたが、例えば隔壁を用いて構成した複数のセル(小空間)のそれぞれに電気泳動分散液を封入するタイプ等、他のタイプの電気泳動層を用いることも可能である。
【0070】
また、上述した第1基板10は、大型あるいはロール状のシートに対して第1防湿フィルム40の貼り付けに必要な接着層を設けたものを切断し、複数に分割することによって形成してもよい。同様に、上述した第2基板30は、大型あるいはロール状のシートに対して第2防湿フィルム42の貼り付けに必要な接着層を設けたものを切断し、複数に分割することによって形成してもよい。これらの場合においては、後工程の便宜上、接着層の表面には剥離シートを設けておくことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1の実施形態の電気泳動装置の断面構造を示す図である。
【図2】第1基板と第1防湿フィルムの形状を説明するための図である。
【図3】第1の実施形態の電気泳動装置の製造方法(その1)を説明する工程断面図である。
【図4】切断工程について詳細に説明するための図である。
【図5】第1の実施形態の電気泳動装置の製造方法(その2)を説明する工程断面図である。
【図6】第2の実施形態の電気泳動装置の断面構造を示す図である。
【図7】第2の実施形態の電気泳動装置の製造方法を説明する工程断面図である。
【図8】電気泳動装置を適用した電子機器の具体例を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0072】
1、1a…電気泳動装置、10…第1基板、20…電気泳動層、30…第2基板、40…第1防湿フィルム、42…第2防湿フィルム、44、44a…封止樹脂、46…凹部、48…封止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、
前記第1基板の一方面側と前記第2基板の一方面側とが前記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる第2工程と、
第1防湿フィルムを、前記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第1基板の他方面に貼り付ける第3工程と、
第2防湿フィルムを、前記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第2基板の他方面に貼り付ける第4工程と、
前記第1基板及び前記第2基板の外縁を囲むように、前記第1防湿フィルムと前記第2防湿フィルムのそれぞれの前記余剰部位の相互間に封止樹脂を設ける第5工程と、
を含む電気泳動装置の製造方法。
【請求項2】
第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、
第1防湿フィルムを、前記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第1基板の他方面に貼り付ける第2工程と、
第2防湿フィルムを、前記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第2基板の他方面に貼り付ける第3工程と、
前記第1基板の一方面側と前記第2基板の一方面側とが前記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる第4工程と、
前記第1基板及び前記第2基板の外縁を囲むように、前記第1防湿フィルムと前記第2防湿フィルムのそれぞれの前記余剰部位の相互間に封止樹脂を設ける第5工程と、
を含む、電気泳動装置の製造方法。
【請求項3】
前記第5工程の後に、前記第1防湿フィルム及び前記第2防湿フィルムのそれぞれの前記余剰部位の一部と前記封止樹脂の一部を、前記第1防湿フィルム及び前記第2防湿フィルムの端面と前記封止樹脂の端面とが面一になるように切断する第6工程を含む、請求項1又は2に記載の電気泳動装置の製造方法。
【請求項4】
前記第6工程は、前記封止樹脂に凹部が生じているときに、当該凹部が解消されて前記第1防湿フィルム及び前記第2防湿フィルムの端面と前記封止樹脂の端面とが面一になるように切断を行う、請求項3に記載の電気泳動装置の製造方法。
【請求項5】
第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、
前記第1基板の一方面側と前記第2基板の一方面側とが前記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる第2工程と、
第1防湿フィルムを、前記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第1基板の他方面に貼り付ける第3工程と、
第2防湿フィルムを、前記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第2基板の他方面に貼り付ける第4工程と、
前記第1防湿フィルムの前記余剰部位と前記第2防湿フィルムの前記余剰部位とを接合し、前記第1基板及び前記第2基板の外縁を覆う封止部を形成する第5工程と、
前記封止部の周囲に、少なくとも前記第1防湿フィルム及び前記第2フィルムの端面を覆うようにして封止樹脂を設ける第6工程と、
を含む電気泳動装置の製造方法。
【請求項6】
第1基板の一方面上と第2基板の一方面上の少なくともいずれかに電気泳動層を設ける第1工程と、
第1防湿フィルムを、前記第1基板の他方面と接する部位と当該部位の周囲に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第1基板の他方面に貼り付ける第2工程と、
第2防湿フィルムを、前記第2基板の他方面と接する部位と当該部位の周辺に配される余剰部位とが設けられるようにして、前記第2基板の他方面に貼り付ける第3工程と、
前記第1基板の一方面側と前記第2基板の一方面側とが前記電気泳動層を介在させながら対向するようにして、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる第4工程と、
前記第1防湿フィルムの前記余剰部位と前記第2防湿フィルムの前記余剰部位とを接合し、前記第1基板及び前記第2基板の外縁を覆う封止部を形成する第5工程と、
前記封止部の周囲に、少なくとも前記第1防湿フィルム及び前記第2フィルムの端面を覆うようにして封止樹脂を設ける第6工程と、
を含む電気泳動装置の製造方法。
【請求項7】
前記第4工程と前記第5工程との間に、前記第1防湿フィルム及び前記第2防湿フィルムの端面を面一に切断する第7工程を更に含む、請求項5又は6に記載の電気泳動装置の製造方法。
【請求項8】
前記第6工程は、前記封止樹脂をその断面が略コ字状となるように形成する、請求項5又は6に記載の電気泳動装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法により製造された電気泳動装置を表示部として備える電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−72128(P2007−72128A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258376(P2005−258376)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)