説明

電気温水器

【課題】 夜間時間帯に低い沸き上げ温度設定で沸き上げ、不足分を昼間追いだきすると、割高な電気料金で沸かすことになり、不経済である。
【解決手段】 熱量設定手段4で1日の総沸き上げ熱量を設定し、その設定熱量が夜間時間帯に貯湯できる最大熱量より大きい場合は、沸き上げ温度を最高温度に設定して夜間の沸き上げを行い、昼間時間帯では設定熱量から夜間時間帯に貯湯できる熱量を差し引いた熱量を沸き上げる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、沸き上げ温度の設定を変えることができ、さらに昼間時間帯にも追いだきが可能な電気温水器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電力の使用量が増加するとともに、昼間と夜間の電力不均衡による夜間電力の有効利用が課題となっている。このような状況において、電気温水器は、夜間電力を有効利用するものとして推進がはかられているが、一面夜間電力で沸き上げて貯湯する方式であるため、普段より多めにお湯を使ったときにお湯が足らなくなったり、また、使用量の多いときに合わせて貯湯槽を選択すると大きな貯湯槽になり、電気温水器の設置場所に困るなどの課題もあった。
【0003】そこで、近年では、夜間時間帯に沸き上げるだけでなく、夜間時間帯の沸き上げだけでは足らない湯量を、昼間時間帯に沸き上げることができる電気温水器も普及してきた。
【0004】従来、この種の電気温水器は、特開平4−86454号公報に示されているように貯湯槽内の水の温度を何度まで沸き上げるのかを設定するための沸き上げ温度設定と、昼間追いだきをするのかしないのか設定するための昼間追いだき設定とがある。この2つの設定を最適に設定することにより、経済的な沸き上げを行うようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の電気温水器では、沸き上げ温度設定と昼間追いだき設定を別々に設定するようになっていたため、沸き上げ温度設定と昼間追いだき設定を使用者がそれぞれ設定しなければならず、使用者はどのように設定すれば経済的であるの分かりにくいという課題を有していた。使用者は、直感的に沸き上げ温度は低く、かつ昼間追いだきはしない方が経済的であると認識できる。沸き上げ温度が低い方が、気温との温度差が少なくなり、放熱ロスが少なく経済的であり、夜間に比べて昼間の電気料金が高いので昼間追いだきはしない方が経済的である。例えば、夏場はお湯の使用量が少ないので、使用者は昼間追いだきをしないように設定する。そして、沸き上げ温度設定を低い温度に設定して夜間時間帯に沸き上げる貯湯熱量を少なくしてもお湯は足りる。しかし、冬場のお湯の使用量が多いときには、沸き上げ湯量を増やさないとお湯が足らなくなる。この時、まず沸き上げ温度を高くして、夜間時間帯に沸き上げる貯湯熱量を増やし、それでもお湯が足らない場合には、昼間追いだきを行うよう設定するのが、経済的な使い方である。しかしながら、使用者によっては、沸き上げ温度を高くするよりも、昼間追いだきを行うように設定した方が経済的だと誤認識される場合もあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するために、貯湯槽内の水を加熱するヒータと、貯湯槽内の湯温を検知する温度検知手段と、1日の総沸き上げ熱量を設定する熱量設定手段と、前記熱量設定手段と前記温度検知手段からの信号により前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段Aを備え、前記通電制御手段Aは熱量設定手段で設定された熱量が夜間時間帯に貯湯できる熱量以下の場合には沸き上げ温度を低くして夜間時間帯に沸き上げ、さらに前記通電制御手段Aは熱量設定手段で設定された熱量が夜間時間帯に貯湯できる熱量を超えた場合に総沸き上げ熱量から夜間時間帯に貯湯できる熱量を差し引いた分を昼間時間帯に沸き上げることを特徴とするものである。
【0007】上記発明によれば、夜間時間帯での沸き上げを自動で優先して行い、夜間時間帯で足らない熱量を昼間時間帯で沸き上げるので、使用者が温度設定を高くするのを忘れたまま昼間追いだきを多量にして、電気代が高くついたり、無駄な昼間電力を使用することを防止でき、経済的である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、貯湯槽内の水を加熱するヒータと、貯湯槽内の湯温を検知する温度検知手段と、1日の総沸き上げ熱量を設定する熱量設定手段と、前記熱量設定手段と前記温度検知手段からの信号により前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段Aを備え、前記通電制御手段Aは熱量設定手段で設定された熱量が夜間時間帯に貯湯できる熱量以下の場合には沸き上げ温度を低くして夜間時間帯に沸き上げ、さらに前記通電制御手段Aは熱量設定手段で設定された熱量が夜間時間帯に貯湯できる熱量を超えた場合に総沸き上げ熱量から夜間時間帯に貯湯できる熱量を差し引いた分を昼間時間帯に沸き上げることを特徴とする電気温水器である。
【0009】使用者が1日に使用する総熱量を設定するだけで、夜間時間帯の沸き上げを優先し、夜間だけでは足らない熱量を昼間時間帯にも沸き上げるようにするので、使い勝手が良いとともに、経済的な沸き上げができる。また、夜間時間帯で貯湯できる熱量以下の場合には、沸き上げ温度を低くするので、貯湯槽からの放熱ロスが少なく経済的である。
【0010】請求項2に記載の発明は、貯湯槽内の水を加熱するヒータと、貯湯槽内の湯温を検知する温度検知手段と、沸き上げ湯量を設定する湯量設定手段と、前記湯量設定手段と前記温度検知手段からの信号により前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段Bを備え、前記湯量設定手段は設定された湯量に応じて沸き上げ湯温と昼間追いだきの量を調節することを特徴とする電気温水器である。
【0011】使用者は、沸き上げ湯量設定手段に必要な湯量を設定するだけで、沸き上げ湯量設定手段が沸き上げ湯温と昼間追いだきの設定を自動的に行うので、使い勝手がよいとともに、経済的な沸き上げができる。
【0012】請求項3に記載の発明は、貯湯槽内の水を加熱するヒータと、貯湯槽内の湯温を検知する温度検知手段と、沸き上げ湯温を設定する温度設定手段と、昼間時間帯の沸き上げを設定する昼間追いだき設定手段と、前記昼間追いだき設定手段で昼間時間帯の沸き上げを行うように設定した場合には温度設定手段を最高温度に設定変更する設定温度変更手段と、前記温度設定手段と前記昼間追いだき設定手段と前記温度検知手段からの信号により前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段Cを備えた電気温水器である。
【0013】昼間追いだきを行うように設定した場合は、設定温度変更手段が自動的に沸き上げ温度を最高温度に変更するので、夜間時間帯の貯湯熱量も自動的に増える。つまり、昼間時間帯に比べ安い電気料金である夜間時間帯で沸き上げる湯量が増えるので、経済的である。
【0014】
【実施例】
(実施例)以下本発明の電気温水器の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0015】図1は実施例1の電気温水器の構成図である。1は貯湯槽、2は貯湯槽1内の水を加熱するヒータ、3は貯湯槽1内の湯温を検知する温度検知手段、4は1日の総沸き上げ熱量を設定する熱量設定手段、5は熱量設定手段4と温度検知手段3からの信号によりヒータ2への通電を制御する通電制御手段Aである。
【0016】図2は実施例1の電気温水器の通電制御手段Aの動作フローチャートである。図1と図2を用いてその動作を説明する。
【0017】図2のステップ10では、まず、使用者は熱量設定手段4に1日のお湯の使用量を基にした1日の総沸き上げ熱量(Q0)を設定する。夜間時間帯の開始時刻(例えば23:00)には、貯湯されているお湯が少なく温度検知手段3は貯湯槽1の下部から入ってきた水の温度を検知している。通電制御手段A5は温度検知手段3で水温(T0)を検知する。貯湯槽1の容量(M)(例えば370リットル)と、最高設定温度(Tm)(例えば90℃)はあらかじめ通電制御手段A5に記憶されている。
【0018】ステップ11では、設定湯量(Q0)が夜間時間帯に貯湯できる熱量であるか否かを判定する。夜間時間帯に貯湯できる熱量の最大値はM×(Tm−T0)であり、これをQ0と比較する。設定熱量(Q0)の方が等しいか小さい場合は、必要とする設定熱量のすべてを夜間時間帯で沸かすことができる。この場合はステップ12へ進む。
【0019】ステップ12では沸き上げ温度(Ts)を演算する。沸き上げ温度は低い方が外気温との温度差が少なく、放熱ロスが少ない。熱量(Q0)を沸き上げるのに必要な沸き上げ温度(Ts)は、Ts=Q0/M+T0で求められる。
【0020】ステップ13、ステップ14では昼間追いだき熱量(Q1)と昼間追いだき時間(t1)を求めるが、夜間時間帯で設定熱量(Q0)を沸き上げることができるので当然0(ゼロ)となる。
【0021】ステップ11で、設定熱量(Q0)が夜間時間帯に貯湯できる熱量より大きい場合にはステップ15に進む。ステップ15では、沸き上げ温度(Ts)を演算するが、夜間時間帯に貯湯する熱量を最大にするため、Ts=Tm、すなわち、最高設定温度にする。
【0022】ステップ16では、昼間追いだき熱量(Q1)を演算する。昼間追いだき熱量は、設定熱量から夜間時間帯に貯湯できる熱量を差し引いたものであるから、Q1=Q0−M×(Tm−T0)となる。
【0023】ステップ17では、昼間追いだき時間(t1)を演算する。ヒータ容量をH(kW)、ヒータの加熱効率をCとすると、t1=Q1/(H×860×C)となる。
【0024】夜間時間帯において、通電制御手段Aは、温度検知手段3の検知温度が、以上のように演算した沸き上げ温度(Ts)になるまで、ヒータ2に通電を行う。
【0025】また、昼間時間帯においては、通電制御手段Aは、昼間追いだき時間t1が0(ゼロ)の場合は、ヒータ2への通電を行わない。昼間追いだき時間t1が0(ゼロ)でない場合、お湯が使われて貯湯槽1の下部から水が入ってくると、温度検知手段3が温度低下を検知し、通電制御手段Aはヒータ2に通電を開始する。使用湯量が少なく、ヒータ2にt1時間通電するまでに温度検知手段3が温度設定Ts=Tmを検知すれば、通電制御手段A5はヒータ2の通電を停止する。再度お湯を使われて、温度検知手段3が温度低下を検知すれば、通電制御手段A5は再度ヒータ2への通電を開始し、前回のヒータ通電時間と合わせてt1時間になるまでヒータ通電を続ける。
【0026】このように、使用者が設定した熱量から沸き上げ温度と昼間追いだき時間を演算するので、使用者が沸き上げ温度設定と昼間追いだき設定の2つの設定をする必要がなく、使い勝手がよくなる。
【0027】また、沸き上げ熱量を少なく設定した場合、設定した熱量に応じて沸き上げ温度を低くするので、放熱ロスが少なくなり、経済的である。
【0028】また、沸き上げ熱量を多く設定した場合、まず沸き上げ温度を最高温度にし、それでも足らない熱量を演算し、さらに昼間追いだき時間として演算し沸き上げるので、割安な夜間電力を有効に使うことができ経済的である。
【0029】図3は実施例2の電気温水器の構成図である。1は貯湯槽、2は貯湯槽1内の水を加熱するヒータ、3は貯湯槽1内の湯温を検知する温度検知手段で実施例1と同じ、30は夜間時間帯と昼間時間帯の合計の沸き上げ湯量を設定する湯量設定手段、31は湯量設定手段30と温度検知手段3からの信号によりヒータ2への通電を制御する通電制御手段Bである。
【0030】図4は実施例2の電気温水器の操作表示部の外観図である。操作表示部では、湯量設定手段30への操作ができ、設定状況が表示される。41は第1の表示素子、42は第2の表示素子、43は第3の表示素子、44は第4の表示素子、45は第5の表示素子、46は第6の表示素子、47は湯量設定を多くする湯量多くスイッチ、48は湯量設定を少なくする湯量少なくスイッチである。
【0031】湯量設定手段30における湯量の設定方法を図4で説明する。電気温水器を設置して電源を入れると、第1の表示素子41と第2の表示素子42と第3の表示素子43が点灯して、標準の湯量設定を表示する。この時、湯量設定手段30は、通電制御手段B31に対して、設定温度90℃・昼間追いだきなしの信号を出力する。使用者がお湯を使ってもお湯が余る場合には、湯量少なくスイッチ48を押し、第3の表示素子素子43を消灯させる。この時、湯量設定手段30は、通電制御手段B31に対して、設定温度80℃・昼間追いだきなしの信号を出力する。それでもお湯が余る場合には、さらに湯量少なくスイッチ48を押し、第2の表示素子素子42を消灯させ、第1の表示素子41だけが点灯している状態にする。この時、湯量設定手段30は、通電制御手段B31に対して、設定温度70℃・昼間追いだきなしの信号を出力する。
【0032】標準の湯量設定でお客様がお湯を使って、お湯が不足するときは、湯量多くスイッチ47を押し、第4の表示素子44を点灯させる。この時、湯量設定手段30は、通電制御手段B31に対して、設定温度90℃・昼間追いだき1時間の信号を出力する。それでもお湯が不足するときは、湯量多くスイッチ47を押し、第5の表示素子45を点灯させる。この時、湯量設定手段30は、通電制御手段B31に対して、設定温度90℃・昼間追いだき2時間の信号を出力する。さらにお湯が不足するときは、湯量多くスイッチ47を押し、第6の表示素子46を点灯させる。この時、湯量設定手段30は、通電制御手段B31に対して、設定温度90℃・昼間追いだき3時間の信号を出力する。
【0033】次に、沸き上げ動作であるが、第1の実施例と同様、通電制御手段B31は湯量設定手段30から出力される温度設定信号と昼間追いだき信号と温度検知手段3からの信号により、ヒータ2を制御する。
【0034】このように、使用者が設定した湯量を、湯量設定手段30が、設定温度と昼間追いだき設定の2つの信号にして通電制御手段B31に出力するので、使用者が温度設定と昼間追いだき設定の2つの設定をする必要がなく、使い勝手がよくなる。
【0035】また、使用者は、電気温水器で沸き上げたお湯をそのままの温度で使うことは少なく、通常は水と混合して40℃前後の温度にして使う場合が多い。よって、電気温水器の温度が70℃でも90℃でも関係なく、実際使用する40℃前後のお湯がどれだけ使えるかが気になるところである。従来のように、温度設定と昼間追いだき設定では、温度と量の2つの設定から、使用者が湯量を推定する必要があったが、実施例では湯量設定手段30で湯量だけを設定すればよいので、たいへん分かりやすい。
【0036】また、湯量設定を多くした場合、まず沸き上げ温度設定を高くし、さらに湯量設定を多く設定した場合に昼間追いだきを行うようにしたので、割安な夜間電力を有効に使うことができ経済的である。
【0037】なお、第2の実施例の操作表示部には、湯量を「多め・標準・少なめ」と表示していたが、例えば40℃換算の湯量で「500L」等のように、具体的な湯量で表示してもよい。
【0038】図5は実施例3の電気温水器の構成図である。1は貯湯槽、2は貯湯槽1内の水を加熱するヒータ、3は貯湯槽1内の湯温を検知する温度検知手段で実施例1、実施例2と同じである。50は沸き上げ湯温を設定する温度設定手段、51は昼間時間帯の沸き上げを設定する昼間追いだき設定手段、52は昼間追いだき設定手段51で昼間追いだきを行うよう設定された場合に温度設定手段50に対して設定温度を最高温度に変更する信号を出力する設定温度変更手段、53は温度設定手段50で設定されている沸き上げ温度信号と昼間追いだき設定手段51で設定されている昼間追いだき信号と温度検知手段3の信号によりヒータ2の通電を制御する通電制御手段Cである。
【0039】図6は実施例3の電気温水器の操作表示部の外観図である。操作表示部では、温度設定手段50と昼間追いだき設定手段51への操作ができ、設定状況が表示される。61は温度設定が90℃であることを表示する第7の表示素子、62は温度設定が80℃であることを表示する第8の表示素子、63は温度設定が70℃であることを表示する第9の表示素子、64は温度設定を高くする高くスイッチ、65は温度設定を低くする低くスイッチ、66は昼間追いだきの設定が3時間であることを表示する第10の表示素子、67は昼間追いだきの設定が2時間であることを表示する第11の表示素子、68は昼間追いだきの設定が1時間であることを表示する第12の表示素子、69は昼間追いだきの設定を多くする多くスイッチ、70は昼間追いだきの設定を少なくする少なくスイッチである。
【0040】このような構成の電気温水器について、図5R>5、図6を用いて説明する。まず、図6の操作表示部で温度設定を80℃、すなわち第8の表示素子62が点灯していて、昼間追いだきは行わない、すなわち第10・第11・第12の何れの表示素子も点灯していない状態に合わせた場合の動作について、夜間時間帯と昼間時間帯のそれぞれについて説明する。
【0041】夜間時間帯では以下のような動作になる。昼間追いだき設定手段51には昼間追いだきを行うようには設定されていないので、設定温度変更手段52は温度設定手段50に対して、温度設定の変更信号は出力しない。よって、通電制御手段C7は、温度検知手段3が温度設定手段50で設定されている80℃になるまでヒータ2を通電する。
【0042】昼間時間帯では、昼間追いだき設定手段51には昼間追いだきを行うようには設定されていないので、通電制御手段C7はヒータ2には通電しない。
【0043】次に、昼間追いだき設定手段51で昼間追いだきを行うように設定された場合について説明する。操作表示部の多くスイッチ69を押して、第12の表示素子68が点灯した場合、昼間追いだきは1時間に設定される。
【0044】夜間時間帯では以下のような動作になる。昼間追いだき設定手段51には昼間追いだきを1時間行うように設定されたので、設定温度変更手段52は温度設定手段50に対して、温度設定を最高温度に変更する信号を出力する。温度設定手段50は、温度設定が80℃であったものを最高温度である90℃に変更する。操作表示部では、第8の表示素子62が消灯し、第7の表示素子61が点灯し、90℃設定になったことを使用者に知らせる。よって、通電制御手段C7は、温度検知手段3が温度設定手段50で設定された90℃になるまでヒータ2を通電する。貯湯槽1の容量が370リットルの場合、沸き上げ温度設定が90℃と80℃では3700kcalの熱量の差となる。この差は、水温20℃で80℃まで沸き上げる場合に換算すると、61.7リットルにもなる。
【0045】昼間時間帯では、昼間追いだき設定手段51で1時間の追いだきが設定されているので、お湯が使われて貯湯槽1の下部に水が入り、温度検知手段3が温度低下を検知すれば通電制御手段C7がヒータ2を通電する。使用湯量が少なく、ヒータ2に1時間通電するまでに温度検知手段3が温度設定手段50で設定された90℃を検知すれば、通電制御手段C7はヒータ2の通電を停止する。再度お湯を使われて、温度検知手段3が温度低下を検知すれば、通電制御手段C7は再度ヒータ2への通電を開始し、前回のヒータ通電時間と合わせて1時間になるまでヒータ通電を続ける。1時間の昼間追いだきでは、4.4kWのヒータで効率が0.9の場合、3405.6kcalの熱量の増加となる。水温20℃で90℃まで沸き上げたとすると、48.7リットル湯量が増えたことになる。
【0046】以上のように、昼間追いだき設定手段51に昼間追いだきを行うように設定された場合は、設定温度変更手段52が温度設定手段50に対し、設定温度を最高温度に変更するよう信号を出力し、温度設定手段50の設定温度を最高温度に自動的に変更するので、使用者は、お湯が足らない場合に、温度設定を高くするのを忘れたまま昼間追いだきを多量にして、電気代が高くついたり、無駄な昼間電力を使用することを防止できる。
【0047】なお、実施例1で熱量設定手段4に1日の総沸き上げ熱量を設定するようにしているが、使用者に分かりやすくするために、実施例2のように湯量という表現にしても同様の効果がある。「熱量」表現では、水温が変化すると夜間時間帯の沸き上げ熱量も変化するが、季節による水温変化は概略5℃から25℃であり、細かな設定が必要でない場合は、「湯量」表現でも大差はない。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、使用者が設定した熱量から沸き上げ温度と昼間追いだき時間を演算するので、使用者が沸き上げ温度設定と昼間追いだき設定の2つの設定をする必要がなく、使い勝手がよくなる。
【0049】また、沸き上げ熱量を少なく設定した場合、設定した熱量に応じて沸き上げ温度を低くするので、放熱ロスが少なくなり、経済的である。
【0050】また、沸き上げ熱量を多く設定した場合、まず沸き上げ温度を最高温度にし、それでも足らない熱量を演算し、さらに昼間追いだき時間として演算し沸き上げるので、割安な夜間電力を有効に使うことができ経済的であるという有利な効果を有する。
【0051】また、本発明によれば、湯量設定手段が設定された湯量に応じて沸き上げ湯温と昼間追いだきの量を調節するので、使用者が温度設定と昼間追いだき設定の2つの設定をする必要がなく、使い勝手がよくなる。
【0052】また、使用者は、湯量設定手段で湯量だけを設定すればよいので、たいへん分かりやすい。
【0053】また、湯量設定手段は、湯量設定を多くした場合まず沸き上げ温度設定を高くし、さらに湯量設定を多く設定した場合に昼間追いだきを行うようにしたので、割安な夜間電力を有効に使うことができ経済的であるという有利な効果を有する。
【0054】また、昼間追いだき設定手段で昼間時間帯の沸き上げを行うように設定した場合には、設定温度変更手段が温度設定を最高温度に設定変更するので、使用者が温度設定を高くするのを忘れたまま昼間追いだきを多量にして、電気代が高くついたり、無駄な昼間電力を使用することを防止でき、経済的であるという有利な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の電気温水器の構成図
【図2】同電気温水器の通電制御手段Aの動作フローチャート
【図3】本発明の実施例2の電気温水器の構成図
【図4】同電気温水器の操作表示部の外観図
【図5】本発明の実施例3の電気温水器の構成図
【図6】同電気温水器の操作表示部の外観図
【符号の説明】
2 ヒータ
3 温度検知手段
4 熱量設定手段
5 通電制御手段A
30 湯量設定手段
31 通電制御手段B
50 温度設定手段
51 昼間追いだき設定手段
52 設定温度変更手段
53 通電制御手段C

【特許請求の範囲】
【請求項1】貯湯槽内の水を加熱するヒータと、貯湯槽内の湯温を検知する温度検知手段と、1日の総沸き上げ熱量を設定する熱量設定手段と、前記熱量設定手段と前記温度検知手段からの信号により前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段Aを備え、前記通電制御手段Aは熱量設定手段で設定された熱量が夜間時間帯に貯湯できる熱量以下の場合には沸き上げ温度を低くして夜間時間帯に沸き上げ、さらに前記通電制御手段Aは熱量設定手段で設定された熱量が夜間時間帯に貯湯できる熱量を超えた場合に総沸き上げ熱量から夜間時間帯に貯湯できる熱量を差し引いた分を昼間時間帯に沸き上げる電気温水器。
【請求項2】貯湯槽内の水を加熱するヒータと、貯湯槽内の湯温を検知する温度検知手段と、沸き上げ湯量を設定する湯量設定手段と、前記湯量設定手段と前記温度検知手段からの信号により前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段Bを備え、前記湯量設定手段Bは設定された湯量に応じて沸き上げ湯温と昼間追いだきの量を調節する電気温水器。
【請求項3】貯湯槽内の水を加熱するヒータと、貯湯槽内の湯温を検知する温度検知手段と、沸き上げ湯温を設定する温度設定手段と、昼間時間帯の沸き上げを設定する昼間追いだき設定手段と、前記昼間追いだき設定手段で昼間時間帯の沸き上げを行うように設定した場合には温度設定手段を最高温度に設定変更する設定温度変更手段と、前記温度設定手段と前記昼間追いだき設定手段と前記温度検知手段からの信号により前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段Cを備えた電気温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開平11−51483
【公開日】平成11年(1999)2月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−204087
【出願日】平成9年(1997)7月30日
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)