説明

電気給湯器

【課題】漏水と拘わりのない浸水の影響を受けることなく、給水口に至る間に生じた漏水を検知することができる電気給湯器を提供する。
【解決手段】本発明の電気給湯器10は、取水路16を経て取り入れた流体を加熱可能に貯留して給水路17の給水口19から供給可能とされた貯水槽13と、取水路16を断続可能な遮断弁20と、取水路16での流体の流れを検知可能な流れセンサ22と、この検知情報に基づいて遮断弁20を動作させる制御部15とを備え、制御部15は、漏水の判断基準としての漏水判断時間Tlを任意の長さに設定可能な時間設定手段25と、流れセンサ22からの検知情報の受信の継続時間Tcが漏水判断時間Tlを超えると漏水と判断する漏水判断手段26と、漏水判断手段26が漏水と判断すると遮断弁20を開成状態から閉成状態へと切り換えるべく動作させる遮断弁操作手段27とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏水していることの検知機能を有する電気給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気給湯器には、取水路を経て取り入れた流体を貯留し、貯留した流体を給水路から供給可能とされている貯水槽にヒータが設けられ、貯留した流体を加熱することにより、給水路の先端の給水口から給湯が可能とされているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このものには、図4に示すように、本体ケース51の内方に、取水路52および給水路53が接続された貯水槽54が収容され、本体ケース51の内方の取水路52に、遮断弁55と、減圧弁56と、流れセンサ57とが設けられている電気給湯器50がある。この電気給湯器50では、貯水槽54においてヒータ58により温められた流体を給水路53の給水口59を経て利用者が利用することができ、当該利用された流体の瞬時流量および一日の使用湯量等が流れセンサ57からの検知情報に基づいて算出されている。
【0004】
また、電気給湯器50では、本体ケース51の下端に排水口60が形成されており、この排水口60に一対の端子61が設けられている。一対の端子61は、制御部62に電気的に接続されている。制御部62は、両端子61間が導通状態とされると漏水が生じたものと判断し、電気的に接続された警報装置63に漏水発生状態であることを報知させるとともに、遮断弁55を動作させて取水路52を遮断する構成とされている。
【0005】
この電気給湯器50では、本体ケース51の内方において、取水路52、貯水槽54および給水路53等で漏水が生じると、漏れ出た流体が本体ケース51から排水口60を経て外部へと排水される。このとき、排水口60に設けられている一対の端子61が漏れ出た流体を経て電気的に接続されることから、制御部62は、漏水が生じたものと判断することができるので、警報装置63からの報知により漏水状態であることを適切に利用者に知らせることができ、かつ取水路52を遮断することにより漏水による流体の浪費を防止することができる。
【特許文献1】特開2004−239526
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電気給湯器50では、本体ケース51の排水口60に設けられた一対の端子61が導通されたことにより、漏水が生じたことを判断する構成であることから、本体ケース51の内方において生じた漏水しか検知することができない。このことから、例えば、本体ケース51の外方の給水路53において本体ケース51から給水口59に至る間に漏水が生じた場合、当該漏水を制御部62が認識することができず、利用者に漏水状態であることを知らせることができなくなるとともに、漏水による流体の浪費を防止することができなくなってしまう。
【0007】
また、一対の端子61は、本体ケース51の排水口60に設けられていることから、電気給湯器50に漏水が生じていない場合であっても、本体ケース51の排水口60が水に浸かってしまうと、制御部62が電気給湯器50に漏水が生じたものと判断してしまうこととなる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、漏水と拘わりのない浸水の影響を受けることなく、給水口に至る間に生じた漏水を検知することができる電気給湯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、請求項1に記載の電気給湯器は、取水路を経て取り入れた流体を加熱可能に貯留し貯留した流体を給水路の先端の給水口から供給可能とされた貯水槽と、前記取水路を断続可能な遮断弁と、該遮断弁と前記貯水槽との間における前記取水路に流体の流れが生じていることを検知可能な流れセンサと、該流れセンサからの検知情報に基づいて前記取水路を遮断させるべく前記遮断弁を動作させる制御部とを備え、該制御部は、漏水の判断基準としての漏水判断時間を任意の長さに設定可能な時間設定手段と、前記流れセンサからの検知情報の受信の継続時間が前記漏水判断時間を超えると漏水と判断する漏水判断手段と、該漏水判断手段が漏水と判断すると前記遮断弁を開成状態から閉成状態へと切り換えるべく動作させる遮断弁操作手段とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の電気給湯器は、請求項1に記載の電気給湯器であって、前記流れセンサは、前記取水路において流体に微少な流れが生じていることを検知可能とするために、流体の流れる方向に対して直交する軸線周りに回転する羽根車を有していることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の電気給湯器は、請求項1または請求項2に記載の電気給湯器であって、前記制御部は、一日の中での所定の時間帯に供給される電力により充電される内部充電手段を有し、前記所定の時間帯においては供給される電力で動作し、前記所定の時間帯以外においては前記内部充電手段からの電力で動作することを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の電気給湯器は、一日の中での所定の時間帯に供給される電力により充電される充電部を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電気給湯器であって、前記流れセンサおよび前記遮蔽弁は、前記所定の時間帯においては供給される電力で動作し、前記所定の時間帯以外においては前記充電部からの電力で動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の電気給湯器では、遮断弁と貯水槽との間の取水路に設けられた流れセンサからの検知情報に基づいて、取水路における流体の流れが漏水判断時間を超えて生じている場合に漏水と判断する構成であることから、取水路に設けられた流れセンサから貯水槽を経て給水口に至る間に生じた漏水を検知することができる。
【0014】
また、遮断弁と貯水槽との間の取水路に設けられた流れセンサからの検知情報に基づいて、取水路における流体の流れが漏水判断時間を超えて生じている場合に漏水と判断する構成であることから、電気給湯器の周辺で当該電気給湯器での漏水と拘わりのない浸水が生じた場合であっても、当該浸水の影響を受けることなく適切に漏水が生じたことを検知することができる。
【0015】
請求項2に記載の電気給湯器では、取水路の微少な流れを検知することができるので、取水路に設けられた流れセンサから貯水槽を経て給水口に至る間の取水路に生じた漏水を確実に検知することができる。
【0016】
請求項3に記載の電気給湯器では、所定の時間帯だけ制御部が電力の供給を受ける場合、例えば、深夜電力契約の条件下で使用されている場合であっても、所定の時間帯以外においては内部充電手段からの電力により制御部を動作させることができるので、一日中利用することができる。
【0017】
請求項4に記載の電気給湯器では、所定の時間帯だけ流れセンサおよび遮断弁が電力の供給を受ける場合、例えば、深夜電力契約の条件下で使用されている場合であっても、所定の時間帯以外においては充電部からの電力により流れセンサおよび遮断弁を動作させることができるので、一日中利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を図1ないし図3に示した実施例に沿って詳細に説明する。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明に係る電気給湯器10の構成を模式的に示す正面図である。
【0020】
電気給湯器10は、図1に示すように、本体ケース11を備える。本体ケース11は、全体に箱状を呈しており、下端には水が溜まることを防止するための排水口12が形成されている。この本体ケース11の内方には貯水槽13が収容されている。
【0021】
貯水槽13は、内方に水を貯留することが可能であり、貯留した水を温めるためのヒータ14が設けられている。ヒータ14は、後述する制御部15により動作が制御されており、貯水槽13に貯留された水を温めて設定された所望の温度とする。この貯水槽13には、取水路16と給水路17とが接続されている。取水路16および給水路17は、水を流すことができる管であり、特に、給水路17は、お湯を流すことを考慮して形成されている。
【0022】
給水路17は、貯水槽13に貯留された水(お湯。)を利用させるための給水側の管を構成するものであり、逃がし弁18と給水口19とを有する。
【0023】
逃がし弁18は、貯水槽13内の圧力を調整するための弁であり、貯水槽13から給水口19へ至る経路から分岐した個所に設けられている。逃がし弁18は、貯水槽13内の圧力変動、例えば、貯留した水を温めることにより貯水槽13内の圧力が必要以上に高くなった場合、圧力を貯水槽13から外部へと逃がして貯水槽13内の圧力を所望の状態に保持する。
【0024】
給水口19は、貯水槽13から給水路17を経て送られてきた水(お湯。)を利用者が取得する個所であり、開閉自在な蛇口として構成されている。この給水口19への水(お湯。)の貯水槽13への取水側の管を取水路16が構成している。
【0025】
取水路16は、図示は略すが水道管に接続されており、当該水道管から取り入れた水を貯水槽13へと送ることができる。この取水路16には、水道管側から順に、遮断弁20と、減圧弁21と、流れセンサ22とが設けられている。
【0026】
遮断弁20は、弁本体20aと、これを動作させる駆動手段20bとを有し、取水路16での水の流れを断続すべく取水路16を開閉可能に、すなわち開成状態とされると取水路16を開放し、閉成状態とされると取水路16を遮断するように弁本体20aが取水路16に設けられている。遮断弁20の弁本体20aは、本実施例では、開成状態から閉成状態へと動作される、あるいは閉成状態から開成状態へと動作されると、電力を必要とすることなく動作後の状態を自らが保持しつづける構成とされている。この遮断弁20よりも貯水槽13側の取水路16に減圧弁21が設けられている。
【0027】
減圧弁21は、水道管から取水路16へと取り入れられた水の圧力を下げる。これにより、貯水槽13は、取水路16を経て取り入れた水を貯留することが可能とされている。この減圧弁21よりも貯水槽13側の取水路16に流れセンサ22が設けられている。
【0028】
流れセンサ22は、取水路16に生じている水の流れを検知すると、流れに応じてパルス信号を出力するものである。流れセンサ22からのパルス信号は、電気給湯器10における瞬時流量の算出および一日の使用湯量の算出等に使用される。この流れセンサ22は、本実施例では、図示は略すが水の流れる方向に対して直交する軸線周りに回転する羽根車を有する構成、所謂水車式の羽根車を有する構成とされており、取水路16において水に微少な流れが生じていることを検知可能とされている。具体的には、流れセンサ22は、0.3(L/min)の微少な流れであってもパルス信号を出力することができる、すなわち0.3(L/min)の微少な流れを検知可能とされている。この流れセンサ22および遮断弁20の駆動手段20bには、制御部15が電気的に接続されている。
【0029】
制御部15は、流れセンサ22および遮断弁20の駆動手段20bに加えて、操作部23と充電部24とに電気的に接続されている。
【0030】
操作部23は、利用者による操作が可能とされており、当該操作情報が制御部15に送信されることにより電気給湯器10を当該操作情報に応じた動作状態、すなわち利用者が所望する動作状態とすることができる。操作部23は、本実施例では、本体ケース11の外方に設けられており、表示画面23aとスピーカ23b(図2参照。)とを有する。
【0031】
充電部24は、電気給湯器10に供給された電力(本実施例では、制御部15に供給された電力。)により充電される構成とされている。充電部24は、電気給湯器10に電力が供給されていない(本実施例では、制御部15に電力が供給されていない。)とき、電力を流れセンサ22および遮断弁20に供給可能(本実施例では、制御部15を介して供給可能。)とされている。充電部24は、本実施例では、図示は略すがコンデンサにより形成されている。このように、流れセンサ22、遮断弁20の駆動手段20b、操作部23、充電部24に電気的に接続された制御部15は、漏水判断に関する制御を行う。
【0032】
図2は、制御部15において漏水判断に関する制御をするための構成を概略的に示すブロック図である。制御部15は、図2に示すように、時間設定手段25と、漏水判断手段26と、遮断弁操作手段27と、内部充電手段28とを有する。
【0033】
時間設定手段25は、操作部23で為された操作情報の取得が可能とされており、漏水判断時間Tl(図3参照。)を設定するものである。この漏水判断時間Tlは、取水路16に生じている流れが継続した時間で見て、当該流れを漏水によるものと判断するか否かの閾値である。すなわち、漏水判断時間Tlを超えて継続する流れが取水路16に生じている場合、当該流れを漏水によるものであると判断し、漏水判断時間Tl内で継続する流れが取水路16に生じている場合、当該流れを水(お湯。)の利用(供給。)によるものと判断することとなる。漏水判断時間Tlは、本実施例では、利用者が適宜設定することができるように、操作部23に為された操作情報を受けた時間設定手段25が当該操作情報に応じて設定するように構成されている。この漏水判断時間Tlを基準として漏水判断手段26が漏水の判断を行う。
【0034】
漏水判断手段26は、流れセンサ22からのパルス信号の取得が可能とされており、かつ時間設定手段25から設定された漏水判断時間Tl(図3参照。)の情報の取得が可能とされている。漏水判断手段26は、取得した漏水判断時間Tlを基準として、流れセンサ22からのパルス信号が継続して取得した時間の長さから漏水が生じているか否かを判断する。詳細には、漏水判断手段26は、流れセンサ22からのパルス信号を受信すると継続時間Tc(図3参照。)のカウントを開始し、パルス信号を受信している間は継続時間Tcのカウントを継続し、パルス信号の受信が途絶えると継続時間Tcのカウントを停止して継続時間Tcを0に戻してリセットする。このとき、漏水判断手段26は、継続時間Tcが漏水判断時間Tlを超えた場合、漏水が生じたものと判断する、換言すると流れセンサ22が検知している取水路16の流れが漏水によるものと判断する。漏水判断手段26は、漏水が生じたものと判断すると、漏水発生信号LSを操作部23および遮断弁操作手段27に送る。
【0035】
また、本実施例では、漏水判断手段26は、漏水発生信号LSを送信した後、一定時間が経過しても流れセンサ22からパルス信号を受信している場合、弁故障信号を操作部23に送信する。この一定時間は、後述するように遮断弁20の配設位置で取水路16を遮断しても、直ちに漏水が停止するとは限らないことから、遮断弁20の弁本体20aが閉成位置とされてから流れセンサ22がパルス信号を送信しなくなることが想定される時間を考慮して設定された時間である。このため、遮断弁20の弁本体20aが閉成位置とされると直ちに流れセンサ22がパルス信号を送信しなくなる、すなわち直ちに漏水を停止させることができる場合、上記した一定時間を設定する必要はなくなるとともに一定時間の経過を待つことなく弁故障信号を操作部23に送信する構成としてもよい。
【0036】
操作部23は、漏水発生信号LSを受けると、漏水発生状態であることを報知する。この漏水発生状態であることの報知としては、漏水発生ランプを点灯させる、表示部に漏水発生表示を表示させる、警報音を鳴らす等の方法が考えられる。本実施例では、操作部23は、表示画面23aで漏水が発生したことを表示するとともに、スピーカ23bで漏水が発生したことを示す警報音を鳴らす。
【0037】
また、操作部23は、弁故障信号を受けると、弁故障状態であることを報知する。この弁故障状態であることの報知として、漏水発生状態であることの報知と同様に、操作部23は、表示画面23aで遮断弁が故障したことを表示するとともに、スピーカ23bで遮断弁が故障したことを示す警報音を鳴らす。
【0038】
遮断弁操作手段27は、遮断弁20の駆動手段20bに弁本体20aを動作させる駆動信号を送信可能とされている。遮断弁操作手段27は、漏水発生信号LSを受けると駆動手段20bに弁本体20aを開成状態から閉成状態へと動作させる遮断駆動信号を送信する。この遮断駆動信号を受けた駆動手段20bは、遮断弁20の弁本体20aを開成状態から閉成状態へと動作させる。すると、前述したように遮断弁20では、弁本体20aが閉成状態で保持されることとなるため、取水路16が遮断弁20の配設位置で遮断されることとなる。
【0039】
ここで、流れセンサ22は、取水路16における自らの配設位置での流れを検知するものであることから、流れセンサ22が検知した流れを引き起こしている漏水の原因個所は、流れセンサ22よりも下流側すなわち給水口19側に位置することとなる。また、取水路16において遮断弁20が流れセンサ22よりも上流側すなわち水道管側(図示せず。)に配設されていることから、取水路16が遮断弁20の配設位置で遮断されることにより、取水路16からの下流側への水の供給を断つことができるので、流れセンサ22が検知した流れを引き起こしている漏水が食い止められることとなる。
【0040】
また、電気給湯器10の制御部15は、利用者が電気給湯器10からの水(お湯。)を利用しないことが想定される時間帯に、遮断弁20の弁本体20aを1度開閉動作させて遮断弁20の弁本体20aが固着することを防止している。本実施例では、漏水判断手段26は、深夜の3時から4時の間において流れセンサ22からのパルス信号を10分以上受信しないと、固着防止信号を遮断弁操作手段27に送信する。これは、水(お湯。)が利用される場面は稀である深夜の3時から4時の間であっても、水(お湯。)が利用されることが考えられることから、水(お湯。)が利用されていないことを確認するために、流れセンサ22からのパルス信号を10分以上連続して受信していないことを条件としている。
【0041】
遮断弁操作手段27は、固着防止信号を受けると、遮断弁20の駆動手段20bに、先ず遮断駆動信号を、その後開放駆動信号を、送信する。遮断駆動信号を受けた駆動手段20bは、遮断弁20の弁本体20aを開成状態から閉成状態へと動作させ、開放駆動信号を受けた駆動手段20bは、遮断弁20の弁本体20aを閉成状態から開成状態へと動作させる。これにより、電気給湯器10では、遮断弁20が一日一回開閉動作を行うこととなり、遮断弁20の弁本体20aが固着してしまうことを防止している、換言すると弁本体20aが常に円滑に動作可能とされている。
【0042】
電気給湯器10は、本実施例では、深夜電力契約の条件下で使用されている。すなわち、契約時間帯において、貯水槽13に貯留された水をヒータ14で温めるとともに、充電部24および制御部15の内部充電手段28が充電される。契約時間帯以外において、制御部15は内部充電手段28からの電力で動作するとともに、遮断弁20および流れセンサ22は充電部24からの電力で動作することとなる。このように、電気給湯器10は、深夜電力契約の条件下で使用されているが、契約時間帯であるか否かに拘わらず常に動作することが可能とされている。なお、充電部24および制御部15の内部充電手段28の電力容量では、契約時間帯以外のすべての時刻の動作を賄うことができない場合、契約時間帯以外における漏水判断に関する制御を、一定の時間間隔を置いて行う構成としてもよい。
【0043】
次に、電気給湯器10の制御部15における漏水判断に関する制御を図3に示すフローチャートに沿って説明する。なお、図3の例では、利用者の操作部23の操作により漏水判断時間Tlが60分に設定されているものとし、漏水の原因個所が図1に一点鎖線で示す円Aに生じたものとする。
【0044】
漏水判断手段26は、流れセンサ22からパルス信号を受信すると漏水判断に関する制御を開始すべくステップS2へ進む(ステップS1。)。漏水判断手段26は、流れセンサ22からパルス信号を受信するまでは漏水判断に関する制御を開始せずにステップS1を繰り返す。
【0045】
漏水判断手段26は、流れセンサ22からパルス信号を受信したので、継続時間Tcのカウントを開始して漏水判断に関する制御を開始する(ステップS2。)。
【0046】
漏水判断手段26は、流れセンサ22からのパルス信号が途絶えるまでは継続時間Tcのカウントを継続し、継続時間Tcのカウントを継続している場合はステップS4へ進み、継続時間Tcのカウントを停止している場合はステップS5へ進む(ステップS3。)。
【0047】
漏水判断手段26は、継続時間Tcのカウントを継続しているすなわち流れセンサ22からのパルス信号を継続して受信していることから、当該継続時間Tcと漏水判断時間Tlとを比較し、継続時間Tcが漏水判断時間Tlである60分を超えている場合ステップS6へ進み、継続時間Tcが漏水判断時間Tlを超えていない場合ステップS3に戻る(ステップS4。)。継続時間Tcが漏水判断時間Tlである60分を超えている場合、取水路16における流れが漏水判断時間Tlを超えて継続していることとなるので、漏水判断手段26は、漏水が生じたものと判断することとなる。
【0048】
漏水判断手段26は、ステップS3において継続時間Tcのカウントを停止した場合、流れセンサ22からのパルス信号が漏水によるものではないと判断したこととなるので、継続時間Tcをリセット(0にする。)してステップS1へ戻る(ステップS5。)。
【0049】
漏水判断手段26は、ステップS4において漏水が生じたものと判断した場合、漏水発生信号LSを操作部23および遮断弁操作手段27に送信する(ステップS6。)。
【0050】
漏水発生信号LSを受信した遮断弁操作手段27は、遮断駆動信号を遮断弁20の駆動手段20bに送信し、漏水発生信号LSを受信した操作部23は、漏水発生状態であることを報知する(ステップS7。)。
【0051】
漏水判断手段26は、漏水発生信号LSを操作部23および遮断弁操作手段27に送信した後、一定時間が経過するまで待機する(ステップS8。)。この一定時間は、前述したように、遮断弁20の弁本体20aが閉成位置とされてから流れセンサ22がパルス信号を送信しなくなることが想定される時間を考慮して設定した時間であることから、遮断弁20の弁本体20aが閉成位置とされると直ちに漏水を停止させることができる場合、ステップS8をなくすことができる。
【0052】
漏水判断手段26は、流れセンサ22からパルス信号を受信しているとステップS10へ進み、流れセンサ22からパルス信号を受信していないと、図3のフローチャートを終了する(ステップS9。)。
【0053】
漏水発生信号LSを遮断弁操作手段27に送信したにも拘わらず流れセンサ22からパルス信号を受信しているということは、取水路16が遮断弁20により適切に遮断されていないこととなるので、漏水判断手段26は、弁故障信号を操作部23に送信する(ステップS10。)。操作部23は、弁故障信号を受信すると、弁故障状態であることを報知して、図3のフローチャートを終了する。
【0054】
上記したように、電気給湯器10では、漏水が生じると、遮断弁20で取水路16を遮断するとともに、操作部23で漏水発生状態であることを報知する。このとき、取水路16に設けられた流れセンサ22からのパルス信号に基づいて、取水路16に漏水判断時間Tlを超えて継続する流れが生じている場合に漏水が生じているものと判断する構成であることから、漏水の原因個所が本体ケース11の内部であるか外部であるかに拘わらず(本実施例では外部(図1符合A参照。)。)、漏水が生じていることを検知することができる。
【0055】
また、電気給湯器10では、取水路16での流れに基づいて漏水が生じているか否かを判断する構成であることから、漏水とは拘わりのない浸水により、例えば、本体ケース11の排水口12が水に浸かってしまっても、当該浸水の影響を受けることなく漏水が生じているか否かを適切に判断することができる。
【0056】
さらに、電気給湯器10では、流れセンサ22が取水路16における微少な流れの検知が可能とされていることから、流れセンサ22よりも下流側すなわち給水口19側で生じた漏水を確実に検知することができる。これは、一般に漏水が生じたことにより取水路16に生じる水の流れは、微少なものとなることから、従来の電気給湯器1(図4参照。)の流れセンサ57のように、瞬時流量の算出および一日の使用湯量の算出等に使用することを想定しているものでは、漏水による微少な流れを確実に検知して安定したパルス信号を送信することができないことによる。
【0057】
電気給湯器10では、制御部15に内部充電手段28が設けられていることから、一日の中での所定の時間帯のみ電力の供給を受ける条件下、例えば上記した実施例のように深夜電力契約の条件下で使用された場合であっても、電力の供給を受けない時間帯にあっては内部充電手段28からの電力により制御部15が動作可能とされているので、一日中動作することができる。
【0058】
電気給湯器10では、充電部24が設けられていることから、一日の中での所定の時間帯のみ電力の供給を受ける条件下、例えば上記した実施例のように深夜電力契約の条件下で使用された場合であっても、電力の供給を受けない時間帯にあっては充電部24からの電力により流れセンサ22および遮断弁20が動作可能とされているので、一日中動作することができる。
【0059】
電気給湯器10では、充電部24および制御部15の内部充電手段28が設けられているので、別途制御電源を設けることなく、一日中電力の供給を受ける通常の電力契約から深夜電力契約(一日の中での所定の時間帯のみ電力の供給を受ける契約。)に切り換えることができる。
【0060】
電気給湯器10では、漏水判断時間Tlを利用者が自らの利用状況に合致するように適宜設定することができることから、利用者が水(お湯。)を利用したことにより取水路16に生じている流れを、漏水によるものと誤って判断することを防止することができる。
【0061】
したがって、電気給湯器10では、漏水と拘わりのない浸水の影響を受けることなく、給水口19に至る間に生じた漏水を検知することができる。
【0062】
なお、上記した実施例では、制御部15に設けられた内部充電手段28では、流れセンサ22および遮断弁20を動作させる電力容量を確保することが困難であることから、流れセンサ22および遮断弁20の動作のために充電部24を設けていたが、制御部15、流れセンサ22および遮断弁20を動作させる電力容量を確保することができるものであれば内部充電手段28と充電部24とを一体的な構成としてもよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0063】
また、上記した実施例では、充電部24および内部充電手段28が設けられていたが、一日の中での所定の時間帯のみに電力が供給される条件下での使用でなければ設ける必要がなく、充電部24および内部充電手段28を適宜なくすことができる。
【0064】
さらに、上記した実施例では、流れセンサ22が水の流れる方向に対して直交する軸線周りに回転する羽根車を有する構成、所謂水車式の羽根車を有する構成とされていたが、漏水が生じていることを検知可能な程度に取水路16における水の微少な流れを検知できるものであればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る電気給湯器を模式的に示す正面図である。
【図2】漏水判断に関する制御をするための制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】制御部における漏水判断に関する制御を示すフローチャートである。
【図4】従来の電気給湯器を模式的に示す正面図である。
【符号の説明】
【0066】
10 電気給湯器
13 貯水槽
15 制御部
16 取水路
17 給水路
19 給水口
20 遮断弁
22 流れセンサ
24 充電部
25 時間設定手段
26 漏水判断手段
27 遮断弁操作手段
28 内部充電手段
Tl 漏水判断時間
Tc 継続時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水路を経て取り入れた流体を加熱可能に貯留し貯留した流体を給水路の先端の給水口から供給可能とされた貯水槽と、前記取水路を断続可能な遮断弁と、該遮断弁と前記貯水槽との間における前記取水路に流体の流れが生じていることを検知可能な流れセンサと、該流れセンサからの検知情報に基づいて前記取水路を遮断させるべく前記遮断弁を動作させる制御部とを備え、
該制御部は、漏水の判断基準としての漏水判断時間を任意の長さに設定可能な時間設定手段と、
前記流れセンサからの検知情報の受信の継続時間が前記漏水判断時間を超えると漏水と判断する漏水判断手段と、
該漏水判断手段が漏水と判断すると前記遮断弁を開成状態から閉成状態へと切り換えるべく動作させる遮断弁操作手段とを有することを特徴とする電気給湯器。
【請求項2】
前記流れセンサは、前記取水路において流体に微少な流れが生じていることを検知可能とするために、流体の流れる方向に対して直交する軸線周りに回転する羽根車を有していることを特徴とする請求項1に記載の電気給湯器。
【請求項3】
前記制御部は、一日の中での所定の時間帯に供給される電力により充電される内部充電手段を有し、前記所定の時間帯においては供給される電力で動作し、前記所定の時間帯以外においては前記内部充電手段からの電力で動作することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気給湯器。
【請求項4】
一日の中での所定の時間帯に供給される電力により充電される充電部を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電気給湯器であって、前記流れセンサおよび前記遮蔽弁は、前記所定の時間帯においては供給される電力で動作し、前記所定の時間帯以外においては前記充電部からの電力で動作することを特徴とする電気給湯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−170020(P2008−170020A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1082(P2007−1082)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000180450)四変テック株式会社 (55)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)