説明

電気計測機器

【課題】バッテリーの交換が簡便で、しかも安全性に優れたバッテリー内蔵の電気計測機器を提供する。
【解決手段】バッテリー内蔵電気計測機器は、機器本体1のケース12内に電源バッテリー4の収納スペースを有する電気計測機器において、ケース12を覆うように開閉可能な回動カバー2が、開放状態で電源バッテリー4を収納スペースから脱着収納が可能であり、閉鎖状態で開通する開口15を通ってプローブ3が機器本体1の入出力端6に接続可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧、電流、電力、容量、抵抗、インピーダンス、インダクタンス等の電気的データを測定するためのバッテリー内蔵電気計測機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器、設備などの点検の際には、回路の電圧等を測定する電気計測機器が広く使用されている。携帯型の電気計測機器の多くは内蔵バッテリーの駆動である。据置型の電気計測機器であっても、内部回路の維持のためにバッテリーを内蔵しているものがある。
【0003】
通常、バッテリーはケースに収納されネジで蓋を固定されている。そのため、バッテリー交換の度ごとにドライバー等の工具を使用してネジを外す必要があり、面倒である。また、電圧測定中にバッテリーを交換したり、工具を測定器内の回路に接触したりするなどの誤操作を行った場合には、感電の危険性がある。
【0004】
特許文献1には、電子機器のハウジングにプローブコネクタ用の開口を設け、ハウジングに対してスライドして嵌め合わせるバッテリー・カバーにもプローブコネクタと合う開口を設けた例が示されている。プローブを電子機器から抜いて、バッテリー・カバーをスライドさせることができる構造である。そのため、プローブを抜かなければバッテリー交換ができないから、感電の危険等は回避できる。
【0005】
【特許文献1】特開平10−282139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のバッテリー・カバーは、スライド嵌め合わせ構造であるため、嵌め合わせの際に位置決めがやり難いという問題がある。またバッテリー・カバーがハウジングから分離するため、バッテリーの交換作業中に紛失してしまうということは、しばしば経験されるところである。
【0007】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、バッテリーの交換が簡便で、しかも安全性に優れたバッテリー内蔵の電気計測機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載されたバッテリー内蔵電気計測機器は、機器本体のケース内に電源バッテリーの収納スペースを有する電気計測機器において、該ケースを覆う開閉可能な回動カバーが、開放状態で電源バッテリーを収納スペースから脱着収納が可能であり、閉鎖状態で開通する開口を通ってプローブが機器本体の入出力端に接続可能となる構造を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載のバッテリー内蔵電気計測機器は、前記の電気計測機器がデジタルマルチメータであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のバッテリー内蔵電気計測機器は、請求項1に記載されたもので、該回動カバーの内側に、該収納スペースの開閉蓋が付されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電気計測機器の使用により、挿入されたプローブを外さない限り、回動カバーを開いてバッテリーを交換することができないから、誤操作によるプローブを通じた感電の危険性を回避できる。また、挿入されたプローブを外すことで、回動カバーを回動させて開閉できるため、バッテリーの交換がやりやすい。さらに、回動カバーは機器本体と回動軸により連結されているのでバッテリー交換の作業途中に紛失する恐れがない。
【発明を実施するための好ましい形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0013】
本発明を適用する一実施形態のバッテリー内蔵電気計測機器の構造が図1、図2に示してある。
【0014】
この電気計測機器の計測可能な状態の外観が図1に示されている。電気計測機器は、内部に回路が組み込まれた機器本体1に、プローブ3を挿通できる開口15を備えた回動カバー2が回動軸10で支持されている。
【0015】
図2には、図1に示した電気計測機器の回動カバー2の解放状態、すなわちバッテリーの交換可能状態を示している。機器本体1のケース12に電源バッテリー4が収納されている。機器本体1の内部には、図示外の回路部が配置され、プローブ挿入口6の電気接点に接続されている。そして電源バッテリー4ははめ込まれた状態で回路部に接続される。回動カバー2には平板にL字型の板11が取り付けられ、そのL字型の板11の中央部が刳られて開口15が形成されている。
【0016】
尚、図1に示すように、備機器本体1には、ラバーキー7、ロータリースイッチのつまみ9、データ表示のための液晶表示器8が配置されている。
【0017】
このバッテリー内蔵電気計測機器を使用してバッテリーが消耗したときには、以下のようにして電源バッテリー4の交換をする。図2に示すように、電気計測機器の回動カバー2を上に向け、プローブ3をプローブ挿入口6から抜く。これにより、開口15を通るプローブ3がなくなるので、回動カバー2を開け、電源バッテリー4を交換する。交換後、回動カバー2を閉め、プローブ3を開口15に通して、プローブ挿入口6に挿入する。このようにして、バッテリー内蔵電気計測機器は再度の使用可能状態となる。
【0018】
上記のように、使用可能状態では、プローブ3が開口15を挿通しているので、回動カバー2が開かない。そのため、誤操作による感電という事態が発生しない。
【0019】
図3に本発明を適用する別な実施形態のバッテリー内蔵電気計測機器を示す。電気計測機器は、図1に示した電気計測機器の構造に加え、回動カバー2の内側に開閉蓋14を備えている。開閉蓋14は、回動カバー2と同様に、その一端が機器本体1と軸で支持されている。この電気計測機器の電源バッテリーを交換するには、プローブ3をプローブ挿入口6から抜き、回動カバー2を開け、開閉蓋14を開けてから、電源バッテリー4を交換する。交換後、開閉蓋14及び回動カバー2を閉めてから、プローブ3を開口15に通して、プローブ挿入口6に挿入する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用する一実施形態のバッテリー内蔵電気計測機器の外観を示す斜視図である。
【0021】
【図2】図1に示したバッテリー内蔵電気計測機器のバッテリー交換時の状態を示す斜視図である。
【0022】
【図3】本発明を適用する別な一実施形態のバッテリー内蔵電気計測機器の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1は機器本体、2は回動カバー、3はプローブ、4は電源バッテリー、6はプローブ挿入口、7はラバーキー、8は液晶表示器、9はロータリースイッチのつまみ、10は回動軸、11はL字型の板、12はケース、13はバッテリー金具、14は開閉蓋、15は開口である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体のケース内に電源バッテリーの収納スペースを有する電気計測機器において、該ケースを覆う開閉可能な回動カバーが、開放状態で電源バッテリーを収納スペースから脱着収納が可能であり、閉鎖状態で開通する開口を通ってプローブが機器本体の入出力端に接続可能となる構造を備えたことを特徴とするバッテリー内蔵電気計測機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電気計測機器がデジタルマルチメータであることを特徴とするバッテリー内蔵電気計測機器。
【請求項3】
該回動カバーの内側に、該収納スペースに開閉蓋が付されていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリー内蔵電気計測機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−111733(P2008−111733A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295209(P2006−295209)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】