説明

電気集塵装置、および、その制御方法

【課題】前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置において、高い集塵性能を維持しつつ、ダストの性質に応じた省エネルギー運転をおこなう。
【解決手段】電気集塵装置のマイクロコンピュータは、固定電極側の高圧電源装置から伝達に基づき、ダストの逆電離現象の発生を判定する。そして、逆電離現象が発生していないときには、移動電極駆動装置の集塵極の移動速度を低下させる。また、ダストモニターが計測した排出ダスト量が設定値より大きいときには、集塵極の移動速度を増加させる。集塵極の移動速度を低下させても、排出ダスト量が、設定値以内のときには、間欠荷電に切り替え、間欠荷電制御信号により間欠荷電のデューティ比を減少させる。排出ダスト量が設定値より大きくなったときには、間欠荷電のデューティ比を増加させて集塵能力を回復させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵装置、および、その制御方法に係り、特に、前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置であって、高い集塵性能を維持しつつ、省エネルギー運転をおこなう電気集塵装置、および、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電によく用いられる石炭燃焼ボイラーで発生する排ガス中のダストを捕集するために、通常、電気集塵装置が用いられる。一般に、ダストの電気抵抗率が高くなる、いわゆる高抵抗ダストでは、ダスト層の逆電離現象が発生し、高い集塵率を得ることは困難であった。そのため、特に、高抵抗ダストを捕集するための電気集塵装置として、集塵極が移動しながら回転ブラシで捕集したダストを剥離する移動電極型電気集塵装置が有効である。その構成としては、ダストが介在する環境下での可動機構の磨耗を考慮し、移動電極型電気集塵装置に流入する排ガス中のダスト量を一定値以下にするため、前段に固定電極式の電気集塵装置を設置し、その後段に移動電極型電気集塵装置を配置する方式が採用されることが多い。
【0003】
特許文献1や特許文献2には、このような電気集塵装置の構成が開示されている。
【0004】
通常、高抵抗ダストの場合、固定電極型電気集塵装置では逆電離現象が発生し、高い集塵率を得ることは困難であるが、このような固定電極式の電気集塵装置と移動電極型電気集塵装置を組み合わせた電気集塵装置では、後段の移動電極型電気集塵装置がその分をカバーして、全体として高い集塵率を維持している。
【0005】
なお、従来技術には、特許文献3や特許文献4のように、逆電離現象の発生に応じて、電気集塵装置の荷電制御を変更する技術が知られている。
【0006】
以下、図6および図7を用いて逆電離現象の発生を判断する方法について説明する。
図6は、特許文献2に示された放電特性を示すグラフである。
図7は、特許文献3に示された放電特性を示すグラフである。
【0007】
逆電離現象発生を判断するために、荷電電圧と放電電流の特性を調べればよい。すなわち、逆電離が発生しない(正常荷電)状態では、図6(a)に示すように、電流の増加に伴い荷電電圧の底値(ボトム値)Vbも増加するが、逆電離が発生すると、図6(b)に示されているように、逆電離発生電圧Vdsよりも電流を増加すると荷電電圧の底値Vbが減少し、また荷電電圧平均値Voも減少する。
【0008】
また、より定量的に示すと、図7に示されるように、正常時と逆電離現象時では、放電極と集塵極の間に印加される印加電圧及び放電電流で表される放電特性は異なる曲線を描き、その曲線の違いは前記放電特性曲線の傾きの違いとして捉えることができる。すなわち、図7から正常時の傾きはΔI1 /ΔVで表され、逆電離現象時の傾きはΔI2/ΔVで判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−239411号公報
【特許文献2】特開2003−62486号公報
【特許文献3】特開平5−212311号公報
【特許文献4】特開平6−328006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、固定電極型電気集塵装置と移動電極型電気集塵装置を組み合わせた電気集塵装置は、前段の固定電極型電気集塵装置で、ダストを捕集し、さらに、後段の移動電極型電気集塵装置で、集塵する電極を移動させて二段階で集塵能力が向上しているために、電気抵抗率の高い高抵抗ダストであっても高い集塵能力を得ることができる。
【0011】
しかしながら、ダストの電気抵抗率はボイラーで燃焼する石炭の種類に大きく依存するとともに、また、石炭調達の事情から様々な海外炭を使用することがおこなわれており、実際の電気集塵装置の運転においては、経時的にダストの電気抵抗率が変動するため、常に逆電離現象が発生するとは限らない。
【0012】
この場合、前段の固定電極型電気集塵装置でも高い集塵性能を得ることが可能となり、その分、後段の移動電極型電気集塵装置に対する負荷が低減することから、移動電極型電気集塵装置では、集塵能力を規制値内に維持しつつも、消費電力を削減したいという課題があった。
【0013】
石炭の切り替え時には、切り替え前後の石炭が混在する時間帯があること、また、ボイラーから電気集塵装置に至る排ガス経路に存在する脱硝装置や熱交換器等に堆積したダストが徐々に飛来することなどにより、ダストの電気抵抗率の変化には数時間から半日以上を要する。その間、大気中へのダスト排出規制値を確実に遵守しながら移動電極型電気集塵装置を省エネルギー運転に切り替えるには、飛来してきたダストの電気抵抗率の変化(低下)を何らかの手段で把握しながらの慎重な対応が必要となる。
【0014】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置において、高い集塵性能を維持しつつ、ダストの性質に応じた省エネルギー運転をおこなうことのできる電気集塵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電気集塵装置は、ダストを通過させる前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた移動電極型電気集塵装置を組み合わせた電気集塵装置であって、制御と演算をおこなうマイクロコンピュータと、電圧信号と電流信号を、マイクロコンピュータに伝達する固定電極側の高圧電源装置と、マイクロコンピュータから間欠荷電制御信号を受信する移動電極側の高圧電源装置と、マイクロコンピュータから移動速度制御信号を受信する移動電極駆動装置と、移動電極の下流側の排ガス経路に取り付けられ、ダスト濃度信号を、前記マイクロコンピュータに伝達するダストモニターとを備えている。
【0016】
マイクロコンピュータは、固定電極側の高圧電源装置から伝達される電圧信号と電流信号に基づき、逆電離現象の荷電パターンが発生しているか否かを判定する。そして、逆電離現象の荷電パターンが発生していないときには、移動制御速度信号により、移動電極駆動装置に、集塵極の移動速度が低下するように指示を与える。
【0017】
上記のような運転環境下で、マイクロコンピュータは、ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくなったときには、移動制御速度信号により、移動電極駆動装置に、集塵極の移動速度が増加するように指示を与える。
【0018】
そして、マイクロコンピュータは、集塵極の移動速度が低下させても、ダストモニターが計測した排出ダスト量が、設定値以内と判定したときには、間欠荷電制御信号により、間欠荷電に切り替え、さらに、間欠荷電のデューティ比が減少するように、移動電極側の高圧電源装置に指示を与える。
【0019】
間欠荷電に切り替えた後に、マイクロコンピュータは、ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくなったときには、間欠荷電のデューティ比を増加させて、集塵能力を向上させる。
【0020】
上記の構成により、石炭の切り替え時のダスト性状(電気抵抗率)の変動期間においても、大気中へのダストの飛散を防ぎながら、早期に移動電極型電気集塵装置の省エネルギー運転への切り替えをおこなうことが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置において、高い集塵性能を維持しつつ、ダストの性質に応じた省エネルギー運転をおこなうことのできる電気集塵装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の縦方向の断面図である。
【図2】移動電極型集塵部11の近傍の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の制御系統を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の制御方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】ダストの電気抵抗率と集塵率の関係のグラフを示す図である。
【図6】特許文献2に示された放電特性を示すグラフである。
【図7】特許文献3に示された放電特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る一実施形態を、図1ないし図5を用いて説明する。
【0024】
先ず、図1および図2を用いて本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の構造について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の縦方向の断面図である。
図2は、移動電極型集塵部11の近傍の斜視図である。
【0025】
本実施形態の電気集塵装置は、図1に示されるように、固定電極と移動電極を組み合わせた構造になっている。
【0026】
移動電極型電気集塵装置は、矢印で示す処理ガスの流れに対し、固定電極型集塵部10の下流側に移動電極型集塵部11が配置されており、移動電極型集塵部11では、処理ガスの流れに平行に放電枠と集塵電極板が配置され、かつ集塵電極板が上下方向に移動可能に支持されている。電気集塵装置ケーシング20内には、図2に示されるように、移動電極型集塵部11の集塵電極板14を駆動する上部に集塵電極駆動用シャフト1aが、下部に集塵電極駆動用シャフト1bが、設置されており、その下方には捕集した塵を掻き落とす回転ブラシ12がブラシ駆動用シャフト2に取り付けられている。移動電極型集塵部11の集塵電極板14は、集塵電極駆動用シャフト1a、1bまたはブラシ駆動用シャフト2を介して接地されており、上下方向に移動しながら集塵がおこなわれる。
【0027】
集塵電極駆動用シャフト1a、1bを駆動させることにより、上部スプロケット15aと下部スプロケット15bを回転させて、回転力によりチェーン16を移動させて、それにより、個々の集塵電極板14が移動する。一方、放電極20より放電させるこにより、集塵電極板14には、電荷を帯びたダストが付着する。そして、回転ブラシ12は、集塵電極板14の両側から回転により、集塵電極板14に付着したダストを強制的に剥離させる。
【0028】
また、前段の固定電極型電気集塵装置には、固定電極側の高圧電源装置100が、後段の移動電極型電気集塵装置には、移動電極側の高圧電源装置200がそれぞれ設置される。移動電極型電気集塵装置の下流側煙道には、排ガス中のダスト量を測定するダストモニター300が設置されている。
【0029】
次に、図3を用いて本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の制御系統について説明する。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の制御系統を示すブロック図である。
【0031】
本実施形態の電気集塵装置に制御に関わる機能ブロックは、図3に示されるように、高圧電源装置(固定電極側)100、高圧電源装置(移動電極側)200、ダストモニター300、移動電極駆動装置400、マイクロコンピュータ500からなる。
【0032】
高圧電源装置(固定電極側)100は、固定電極側の放電極に電圧を供給し、マイクロコンピュータ500に、電圧信号と電流信号を伝達する。
【0033】
一方、高圧電源装置(移動電極側)200は、移動電極の集塵極に電圧を供給する。また、高圧電源装置(移動電極側)200は、マイクロコンピュータ500から、間欠荷電制御信号を受け、移動電極側で間欠的な荷電をおこなう。
【0034】
ダストモニター300は、排ガスの排出側の煙道で、ダスト量を検出し、ダスト濃度信号を、マイクロコンピュータ500に伝達する。
【0035】
移動電極駆動装置400は、集塵電極駆動用シャフト1a、1bを回転させて、集塵電極板14を移動させながら、ブラシ駆動用シャフト2をにより、回転ブラシ12を回転させて、ダストを集塵電極板14から剥離させる。移動電極駆動装置400は、マイクロコンピュータ500から、移動速度制御信号を受け、指令された移動速度で、集塵電極駆動用シャフト1a、1bと、ブラシ駆動用シャフト2を回転させる。
【0036】
マイクロコンピュータ500は、高圧電源装置(固定電極側)100から、電圧信号と電流信号を受け取り、ダストモニター300からダスト濃度信号を受ける。そして、後に説明する手順に従って、移動電極駆動装置400に、移動速度制御信号を送信し、高圧電源装置(移動電極側)200に、間欠荷電制御信号を送信する。
【0037】
次に、図4および図5を用いて本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の制御方法の手順について説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る電気集塵装置の制御方法の手順を示すフローチャートである。
図5は、ダストの電気抵抗率と集塵率の関係のグラフを示す図である。
【0038】
本実施形態の電気集塵装置では、常時、マイクロコンピュータ500が、固定電極型電気集塵装置の高圧電源装置100の荷電パターンをモニタリングして、上述した逆電離時の荷電パターンの兆候から逆電離現象の発生が見られない場合には、省エネルギー運転をおこない、電力の消費削減をおこなう。そして、逆電離現象の発生が見られる場合には、省エネルギー運転への切り替えはおこなわず、そのまま固定電極型電気集塵装置および移動電極型電気集塵装置の運転を継続する。
【0039】
発電のために燃焼させている石炭の切り替えなどの要因により、ダストの電気抵抗が変化(低下)すると、固定電極型電気集塵装置の荷電パターンから逆電離現象が起こっていないと判断され、これにより移動電極型電気集塵装置の集塵極の移動速度を低下させる。
【0040】
本実施形態の電気集塵装置では、移動電極型電気集塵装置の下流側煙道に設置したダストモニタ300の値から、マイクロコンピュータ500が、排ガス中のダスト量が環境規制値内にあることを確認しながら、集塵極の移動速度を漸近的に、例えば、1/10程度まで減速させて、集塵極の移動に要する電気エネルギーを節減する第1の省エネルギーステップをおこなう。集塵極の移動速度を減速させるとダストの付着量が大きくなり、ダストの付着量はそれまでの約10倍となる。
【0041】
このとき、下記の(式1)で与えられるように、ダスト層の電圧が約10倍に上昇するため、仮にダストの電気抵抗率が変化して大きくなるとダスト層の絶縁破壊が生じて、固定電極型電気集塵装置の荷電パターンには、再び逆電離現象が現れるとともに、移動電極型電気集塵装においても集塵率の低下が現れることから、即、ダストモニター300の値が上昇する。
【0042】
=ρ・I・D …(式1)
ここで、V:ダスト層の電圧、ρ:電気抵抗率、I:電流密度、D:ダスト層厚さである。
【0043】
このときには、即時、集塵極の移動速度を通常の運転のそれに戻す(上昇)ようにして、集塵効率を回復させる。
【0044】
通常、石炭の燃焼によって排出されるダストの電気抵抗率は10の11乗(Ω・cm)程度から10の13乗(Ω・cm)程度であり、逆電離現象は10の12乗程度以上で見られる。また、図5に示されるように、集塵率は、ダストの電気抵抗率によって影響するため、ダスト層の厚さを1桁程度変化させれば、概ね逆電離現象を生じるダストか否かの判定が得られる。
【0045】
固定電極型電気集塵装置の荷電パターンから推測される逆電離現象が消失している場合は、ダストの電気抵抗率が、図5に示す集塵率が臨界的に変化する10の12乗の境界値よりも小さくなっている場合である。
【0046】
この場合は、ダストの付着量が約10倍になったとしても、ダストの電気抵抗率ρが1/10〜1/100程度になっているときには、同一の荷電条件(=同一の電流密度)においても逆電離現象が発生せず、ダストモニター300の値にも変化は見られない。
【0047】
なお、ダストの電気抵抗率の減少の割合がそれまでの1/10に達しないことも十分想定されるが、その場合は漸近的に集塵極の移動速度を、例えば、1/2、1/3、1/5、1/10のように細かく変化させて制御するようにすればよい。
【0048】
次いで、移動電極型電気集塵装置の集塵極の移動速度を落としても、ダストモニター300の値が設定値以内であれば、さらに、省電力を図るために、第2の省エネルギーステップに移行する。
【0049】
すなわち、マイクロコンピュータ500が指令を出して、移動電極型電気集塵装置の移動電極側の高圧電源装置200を通常の荷電(連続荷電)から間欠荷電に切り替える。この場合、間欠荷電の荷電時間と荷電休止時間の比であるデューティ比が下がることは、高圧電源装置200の省エネルギー化と直結する。
【0050】
デューティ比δは、以下の(式2)で定義できる。
【0051】
δ=T/T=T/(T+T) …(式2)
ここで、Tは、荷電の一サイクルの時間、Tは、荷電時間、Tは、休止時間である。
【0052】
マイクロコンピュータ500が、ダストモニター300をモニタリングしながら排出ダスト量が規制値以内の設定値の範囲で、デューティ比δを、例えば、0.9、0.8、0.7…のように減少させるように、移動電極側の高圧電源装置200に指令を与えると、高圧電源装置200の消費電力も、ほぼ0.9、0.8、0.7…のように減少し、省エネルギー効果が得られる。
【0053】
なお、排出ダスト量が設定値を超えそうな場合は、デューティ比を増加させるようにして、移動電極型電気集塵装置の方の集塵能力を回復させる。
【0054】
以下、上記の手順を、図4のフローチャートを追って説明する。
【0055】
先ず、固定電極型電気集塵装置の通常荷電をおこなう(S001)。
【0056】
次に、固定電極型電気集塵装置の荷電パターンのモニタリングをおこなう(S002)。具体的には、固定電極側の高圧電源装置100は、電圧信号と電流信号をマイクロコンピュータ500に伝達し、マイクロコンピュータ500は、所定のアルゴリズムにより、それを解析する。
【0057】
マイクロコンピュータ500が、逆電離現象の荷電パターンの発生が消失したと認めたときには、S004以下の第1の省エネルギーステップに移行し、逆電離現象の荷電パターンが継続して発生していると認めたときには、固定電極型電気集塵装置の通常荷電を続行する。
【0058】
第1の省エネルギーステップでは、先ず、マイクロコンピュータ500が、移動電極駆動装置400に移動速度制御信号を送り、移動電極駆動装置400の集塵極の駆動速度を低下させる(S004)。
【0059】
そして、ダストモニター300のモニタリングをおこなう(S005)。具体的には、ダストモニター300は、ダスト濃度信号をマイクロコンピュータ500に伝達し、マイクロコンピュータ500は、所定の設定値以上になっているかを判定する。
【0060】
マイクロコンピュータ500が、排出ダスト量が設定値以内であると認めたときには(S006)、S007以降の第2の省エネルギーステップに移行し、排出ダスト量が設定値より大きいと判定したときには、移動電極駆動装置400に移動速度制御信号を送り、移動電極駆動装置400の集塵極の駆動速度を増加させる(S012)。
【0061】
第2の省エネルギーステップでは、マイクロコンピュータ500が、移動電極側の高圧電源装置200に間欠荷電制御信号により、指示を与えて、移動電極型電気集塵装置の荷電を間欠荷電に切り替え(S007)、(式2)で示したデューティ比δを減少させる(S008)。
【0062】
そして、ダストモニター300のモニタリングをおこない(S009)、マイクロコンピュータ500が、排出ダスト量が設定値以内であると認めたときには(S010)、それ以降も移動電極型電気集塵装置の間欠荷電を継続し(S011)、排出ダスト量が設定値より大きいと判定したときには、間欠荷電のデューティ比δを増加し、移動電極電気集塵装置側の集塵能力を回復させる。
【0063】
以上述べてきたように、本実施形態の電気集塵装置によれば、移動電極型電気集塵装置の運転時の省エネルギー化が図れるとともに、可動部部品の長寿命化の効果がある。
【符号の説明】
【0064】
1a、1b…集塵電極駆動用シャフト、10…固定電極型集塵装置、11…移動電極型集塵装置、14…集塵電極板、12…回転ブラシ、20…電気集塵機ケーシング、100…高圧電源装置(固定電極側)、200…高圧電源装置(移動電極側)、300…ダストモニター、400…移動電極駆動装置、マイクロコンピュータ500。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス経路の前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置において、
制御と演算をおこなうマイクロコンピュータと、
電圧信号と電流信号を、前記マイクロコンピュータに伝達する固定電極側の高圧電源装置と、
前記マイクロコンピュータから移動速度制御信号を受信する移動電極駆動装置と、
移動電極の下流の排ガス経路に取り付けられ、ダスト濃度信号を前記マイクロコンピュータに伝達するダストモニターとを備え、
前記マイクロコンピュータは、前記固定電極側の高圧電源装置から伝達される電圧信号と電流信号に基づき、逆電離現象の荷電パターンが発生しているか否かを判定し、
前記マイクロコンピュータは、逆電離現象の荷電パターンが発生していないと判定したときには、前記移動制御速度信号により、前記移動電極駆動装置に、集塵極の移動速度が低下するように指示を与え、
前記マイクロコンピュータは、前記ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくなったときには、前記移動制御速度信号により、前記移動電極駆動装置に、集塵極の移動速度が増加するように指示を与えることを特徴とする電気集塵装置。
【請求項2】
排ガス経路の前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置において、
制御と演算をおこなうマイクロコンピュータと、
電圧信号と電流信号を、前記マイクロコンピュータに伝達する固定電極側の高圧電源装置と、
前記マイクロコンピュータから間欠荷電制御信号を受信する移動電極側の高圧電源装置と、
移動電極の下流の排ガス経路に取り付けられ、ダスト濃度信号を前記マイクロコンピュータに伝達するダストモニターとを備え、
前記マイクロコンピュータは、前記ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくないと判定したときには、前記間欠荷電制御信号により、前記移動電極側の高圧電源装置に、間欠荷電をおこなうように指示を与え、
前記マイクロコンピュータは、前記ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくなったと判定したときには、前記間欠荷電制御信号により、前記移動電極側の高圧電源装置に、間欠荷電のデューティ比が増加するように指示を与えることを特徴とする電気集塵装置。
【請求項3】
排ガス経路の前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置の制御方法において、
前記電気集塵装置は、
制御と演算をおこなうマイクロコンピュータと、
電圧信号と電流信号を、前記マイクロコンピュータに伝達する固定電極側の高圧電源装置と、
前記マイクロコンピュータから移動速度制御信号を受信する移動電極駆動装置と、
移動電極の下流の排ガス経路に取り付けられ、ダスト濃度信号を、前記マイクロコンピュータに伝達するダストモニターとを備え、
前記マイクロコンピュータが、前記固定電極側の高圧電源装置から伝達される電圧信号と電流信号に基づき、逆電離現象の荷電パターンが発生しているか否かを判定するステップと、
前記マイクロコンピュータが、逆電離現象の荷電パターンが発生していないと判定したときには、前記移動制御速度信号により、前記移動電極駆動装置に、集塵極の移動速度が低下するように指示を与えるステップと、
前記マイクロコンピュータが、前記ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きいか否かを判定するステップと、
前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくなったときには、前記移動制御速度信号により、前記マイクロコンピュータが、移動速度制御信号により、前記移動電極駆動装置に、集塵極の移動速度が増加するように指示を与えるステップとを有することを特徴とする電気集塵装置の制御方法。
【請求項4】
排ガス経路の前段に固定電極型の電気集塵装置を、その後段に移動電極型電気集塵装置を設けた電気集塵装置の制御方法において、
前記電気集塵装置は、
制御と演算をおこなうマイクロコンピュータと、
電圧信号と電流信号を、前記マイクロコンピュータに伝達する固定電極側の高圧電源装置と、
前記マイクロコンピュータから間欠荷電制御信号を受信する移動電極側の高圧電源装置と、
移動電極の下流の排ガス経路に取り付けられ、ダスト濃度信号を、前記マイクロコンピュータに伝達するダストモニターとを備え、
前記マイクロコンピュータが、前記ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きいか否かを判定するステップと、
前記マイクロコンピュータは、前記ダストモニターからダスト濃度信号の伝達を受けて、前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくないと判定したときには、前記間欠荷電制御信号により、前記移動電極側の高圧電源装置に、間欠荷電をおこなうように指示を与えるステップと、
前記排ガス経路における排出ダスト量が設定値より大きくなったと判定したときには、前記マイクロコンピュータが、前記間欠荷電制御信号により、前記移動電極側の高圧電源装置に、間欠荷電のデューティ比が増加するように指示を与えるステップを有することを特徴とする電気集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−20109(P2011−20109A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169902(P2009−169902)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】