説明

電気音響変換器

【課題】振動板が平板状の薄膜であり、再生音質のばらつきがなく、時間経過や再生音量の影響を受けずに再生音質が安定して長期間維持される電気音響変換器を提供する。
【解決手段】固定部(3k)に一端部が固定されたフィルム状の振動膜(1)と、固定部と対向して設けられ振動膜(1)に当接してこれを支持する支持部(2b)と、固定部と支持部との間に設けられ、音声信号に基づいて振動膜を振動させる振動付与手段(SF)と、支持部に対して固定部の反対側に設けられ、振動膜を固定部に対して引っ張る方向の付勢力で付勢して振動膜に張力(T)を付与する張力付与手段(TF)と、張力を検出する張力検出部(11,16)と、この張力検出部により検出された張力に基づいて付勢力を制御する制御部(13)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換器に係り、特に、平面状態に張設した振動膜に対する張力付与構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルなどを用いた薄型表示装置の普及に伴い、この薄型の装置に搭載する電気音響変換器(以下、単にスピーカとも称する)も薄型化が要求されている。
一方、スピーカ自体も、特許文献1及び特許文献2に開示されているように、壁掛け用途などへの適用のため振動板を主流のコーン形状ではなく平板状にすることが検討されてきており、近年、薄型表示装置への適用要望が特に望まれる状況である。
【特許文献1】実開平2−21895号公報
【特許文献2】特開2001−119790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述したような、平板状振動板を有する従来の平板スピーカにおいては、コーン形状の振動板を駆動するための磁気回路を流用して振動板を平板のものに置き換えただけでは、高音域の再生出力が低下するという不具合を生じることが知られている。
この不具合は、振動板をより軽量化することで改善方向にあり、具体的には、特許文献2にも記載されているようなPET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂の薄膜を振動板(膜)とすることで高音域の再生出力低下が抑制される。
【0004】
しかしながら、振動板を軽量化のために厚さが数μm程度の薄膜とすると、特に高音域の再生出力がその膜に付与される張力に極めて敏感になり、わずかな張力の差や変動によって再生音質が変わってしまうという新たな課題が生じる。
そのため、平板の振動板に付与される張力は、変動のない安定した張力であることが望まれるが、従来の平板スピーカは、張力を安定して付与することが難しく、また、一定の張力を長期間維持することが難しく、特に薄膜振動板を用いた場合には再生音質が不安定になるという課題を有していた。
具体的には、個々の平板スピーカで張力がばらついたり、時間の経過と共に張力が変化したり、大音量での出力によって振動膜支持部が緩んで張力が低下する虞があり、これらの場合には、再生音質を個体毎に揃えることが難しく、また、再生音質が時間と共に、また、再生する音量によって変化してしまうという問題があった。
また、振動板の周囲が固定されているので、特に低音域で大きな入力があると振幅を線形で維持することが難しく、歪みが発生するという課題があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、振動板が平板状の薄膜であり、再生音質のばらつきがなく、時間経過や再生音量の影響を受けずに再生音質が安定して長期間維持される電気音響変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の1)〜5)の構成を有する。
1) シャーシ(3)と、音声信号入力部(18)と、前記シャーシ(3)に設けられた固定部(3k)に一端部が固定されたフィルム状の振動膜(1)と、前記固定部(3k)と対向して設けられ、前記振動膜(1)に当接して該振動膜(1)を支持する支持部(2b)と、前記固定部(3k)と前記支持部(2b)との間に設けられ、前記音声信号入力部(18)から入力された音声信号に基づいて前記振動膜(1)を振動させる振動付与手段(SF)と、前記支持部(2b)に対して前記固定部(3k)の反対側に設けられ、前記振動膜(1)を前記固定部(3k)に対して引っ張る方向の付勢力で付勢して前記振動膜(1)に張力(T)を付与する張力付与手段(TF)と、前記張力(T)を検出する張力検出部(11,16)と、該張力検出部(11,16)により検出された張力に基づいて前記付勢力を制御する制御部(13)と、を備えたことを特徴とする電気音響変換器(50)である。
2) 前記張力(T)に対応する値が入力される入力部(12)を備え、
前記制御部(13)は、前記張力検出部(11,16)により検出された張力が、前記入力部(12)に入力された値に対応する張力と一致するように前記付勢力を制御することを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器(50)である。
3) 前記音声信号が前記張力(T)と対応する張力情報を含む場合に、前記音声信号から前記張力情報を検出する張力情報検出部(20)を備え、
前記制御部(13)は、前記張力検出部(11,16)により検出された張力が、前記張力情報検出部(20)で検出された張力情報に対応する張力と一致するように前記付勢力を制御することを特徴とする1)に記載の電気音響変換器(50)である。
4) シャーシ(3)と、音声信号入力部(18)と、前記シャーシ(3)に設けられた固定部(3k)に一端部が固定されたフィルム状の振動膜(1)と、前記固定部(3k)と対向して設けられ、前記振動膜(1)に当接して該振動膜を支持する支持部(2b)と、前記固定部(3k)と前記支持部(2b)との間に設けられ、前記音声信号入力部(18)から入力された音声信号に基づいて前記振動膜(1)を振動させる振動付与手段(SF)と、前記支持部(2b)に対して前記固定部(3k)の反対側に設けられ、前記振動膜(1)を前記固定部(3k)に対して引っ張る方向の付勢力で付勢して前記振動膜(1)に張力を付与する張力付与手段(TF)と、前記音声信号の振幅に基づいて前記付勢力を制御する制御部(13)と、を備えたことを特徴とする電気音響変換器(50)である。
5) 前記張力付与手段(TF)は、当該電気音響変換器(50)への電源投入により前記振動膜(1)を付勢し、電源切断により前記振動膜(1)への付勢を停止することを特徴とする1)乃至4)のいずれかに記載の電気音響変換器(50)である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、薄膜状の振動板であっても、再生音質がばらつかず、時間経過や再生する音量の影響を受けずに再生音質が安定して長期間維持される、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1〜図4を用いて説明する。
図1は、本発明の電気音響変換器の実施例を説明する構造図である。
図2は、本発明の電気音響変換器の実施例を説明する平面図である。
図3は、本発明の電気音響変換器の実施例を説明するブロック図である。
図4は、本発明の電気音響変換器の実施例を説明する外観斜視図である。
図5は、本発明の電気音響変換器の実施例を説明する断面図である。
【0009】
実施例の電気音響変換器50の外観を図4に示す。
この電気音響変換器50は、外観上、四角形状に開口した窓部3mを有する枠状のシャーシ3と、その窓部3m内で外部に露出した、振動膜1,この振動膜1とシャーシ3とを連結する支持部材10及びシャーシ3と振動膜1との隙間を略封止するシーリング部材17と、シャーシ3の側面に設けられた音声信号の入力端子18及び電源端子19と、を備えている。
また、内部には張力付与手段TFや制御部13などが収納されており、以下に詳述する。
【0010】
実施例の電気音響変換器50の概略構造を、図1及び図2を用いて説明する。
図1において、振動膜1は、例えば厚さが6μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂のフィルムである。
この振動膜1は、一対のガイドシャフト2a,2bに支持されてその間に張架されており、一端側がガイドシャフト2aにより延伸方向が変えられてシャーシ3の固定部3kに固定され、他端側がガイドシャフト2bにより延伸方向が変えられて巻き取りリール4に巻き取られている。
巻き取りリール4の軸はモータMに連結されており、このモータにより所定の張力(詳細は後述する)が振動膜1に付与されるよう構成されている。
振動膜1を支持する一対のガイドシャフト2a,2bは、振動膜1に当接してこれを支持する各外周部が軟らかく損失が大きいダンピング材(例えば綿)で形成されている。
これにより、振動膜を剛体で支持した場合に振動膜の大きさに応じて生じる固有振動モードの発生を、効果的に防止することができ、広い帯域で振動膜1のピストン運動を可能にしつつ張力付与手段TFによる張力付加が可能となっている。
【0011】
また、図2に示すように、この振動膜1の対向する側辺1s1,1s2は、支持部材10を介してそれぞれシャーシ3に接続されている。
この支持部材10は柔らかく粘弾性を有しており、振動膜1を、その振動や後述する張力付与手段で付与される張力に影響を及ぼさない程度に拘束してシャーシ3により支持させるものである。
また、この支持部材10は、振動膜1の両面側の空気流通を阻止するような非通気性を有している。
シャーシ3には、図示しないシーリング部材が設けられており、この電気音響変換器50の内部において、シーリング部材と支持部材10とにより振動膜1の両面側の空気流通が阻止される構成となっている。
【0012】
次に、この振動膜1を振動させる振動付与手段SFについて説明する。この振動付与手段SFは、ボイスコイル5とマグネット6とを含んで構成されている。
図2に示すように、振動膜1の一面側には、電線を平たく巻回してなる複数のボイスコイル5が、振動膜1の張架方向に直交する方向を長手として所定の間隙を有して配設されている。
このボイスコイル5は図示しない駆動回路と接続されており、この駆動回路により再生する音声信号に対応する駆動電流が通電される。
【0013】
また、シャーシ3側にはこの振動膜1と対向する磁気回路ベース3aが形成され、この磁気回路ベース3aにおけるボイスコイル5の間隙に対応する位置に、角柱状のマグネット6が、N極とS極とが交互にボイスコイル5側に向くよう複数配設されている。
図2のSA−SA断面である図5に示すように、このマグネット6によりボイスコイル5を貫くように水平方向の磁界が発生している。
ここで、駆動電流をボイスコイル5に供給すると、その一対の長手部5a,5bには逆方向の電流が流れ、また、各長手部5a,5bを貫く磁力線Jの向きも逆方向であるから、各長手部5a,5bに生じる駆動力Fa,Fbはは、それぞれ同じ強さで同じ向きとなる。
従って、この振動膜1は、膜面に直交する方向(図1のD方向)に同相で一様に振動する。
このボイスコイル5とマグネット6とは、複数振動膜1のほぼ全面にわたるように複数配設されているので、振動膜1はほぼ面音源として音声を放出する。
このような振動付与手段SFによる駆動方式によれば、振動膜1はガイドシャフト2a,2b間の振動部1aが面駆動されるので、その振動面1aが一様に振動して歪みの少ない極めて自然な再生音が放出される。
【0014】
ここで、振動膜1には、以下に説明する張力付与手段TFにより張力Tが付与されている。
ガイドシャフト2bと巻き取りリール4との間には、ガイドシャフト2bでの延伸方向の変換角度がより狭角になる方向に振動膜1を付勢する付勢シャフト7が設けられている。
この付勢シャフト7はアーム8の一端側に取り付けられており、アーム8は、その他端側に設けられた回動軸Pの廻りに回動可能とされている。
【0015】
また、アーム8とシャーシ3との間には、コイルバネ9が掛け渡されており、このコイルバネ9により、アーム8は回動軸Pを中心として時計回り方向に付勢されている。
シャーシ3側には、このアーム8の回動位置を検出する回動センサー11が設けられている。
【0016】
また、上述した構成に加えて、この電気音響変換器50は、図3に示すように、張力入力部12と制御部13とを備えている。
この図3において、回動センサー11から出力された信号は、アーム8の回動位置情報として制御部13に入力される。
一方、ユーザや製造者により設定された張力値が、入力部12を介して制御部13に入力される。
【0017】
図1の構成から明らかなように、非振動時においては、アーム8の回動位置が振動膜1に付与される張力Tに対応している。
従って、このアーム8の回動位置がコイルスプリング9の付勢力と釣り合って所望の位置で維持されるように、制御部13はトルクセンサ16で検出されたトルク情報も参照してモータMで発生させるトルクを制御する。
このモータMによるトルクとコイルスプリング9の付勢力とで振動膜1への付勢力が設定されて張力Tが生じる。
【0018】
このアーム8の慣性質量や、コイルスプリング9のばね定数及び配置などは、所望の張力制御応答周波数によって設定される。
また、アーム8にハンチング現象が生じるのを防ぐために、モータのトルク制御系にローパスフィルタが設けられ、入力される音声信号に対して、所定の周波数fcを設定し、その周波数fc以下の音声信号に対しては振幅に応じた張力制御を行い、その周波数fcを越える周波数帯域の音声信号に対しては振幅によらない一定張力制御を行うように構成されている。
この周波数fcは、例えば数10Hz程度に設定する。
振幅に応じた張力制御は、具体的には、モータMが発生するトルクを一定にすると、振幅が大きいほどその波形の山及び谷の部分における振動膜1の変形が顕著になってより張力が増加するので、制御部13が、この張力増加を相殺するように、あるいは、張力増加が所定値以下となるようにモータMが発生するトルクを減少させるものである。
【0019】
また、この実施例においては、振動膜1に付与する張力を任意に設定できるので、再生音質を所望の音質に調整できる。
例えば、再生する音源の種類に応じて再生音質を変えることができる。
一般に、振動膜1の張力が大きい程、再生音質は高音域が強調される。
従って、人の語りなどのように中域にエネルギ分布が集中している音源の場合には、張力を小さくすることで高音域の出力が抑制され、高域のノイズ成分が減少して聞き易い再生音質となる。
逆に、エネルギ分布が高音域に充分延びている音楽のような音源の場合には、張力を大きくして高音域の再生出力を上げ、より明瞭感のある再生音にすることができる。
【0020】
実施例の電気音響変換器50に対して、さらに入力音声信号(音源)のエネルギ分布を検出する検出部を設け、入力された音声信号のエネルギ分布に応じて振動膜1の張力を制御する構成にしてもよい。
振動膜1が薄いほど張力付与による素材の伸びの経時変化が顕著になるので、音源の内容に応じて、必要のない場合に付与する張力を下げることはこの電気音響変換器50の寿命がより長くなる方向なので好ましい。
【0021】
この考えに基づき、非聴取時には振動膜1を張力付与から開放する構成にすると更に好ましい。
具体的には、電源投入により制御部13により張力付与動作が開始して張力が付与され、電源切断指示あるいは切断動作により実際に電源を切断する前に張力付与動作を終了して振動膜1に張力が付与されないようにする構成である。張力付与の解除は、制御部13の指示によるものでもよいし、例えばプランジャを用いて電源切断により固定部3kの固定が開放される構成にするなど機械的に行うようにしてもよい。
【0022】
以上詳述した実施例の電気音響変換器50は、以下のような効果を奏する。
すなわち、振動膜1の張力が設定された値になるように制御部13により常に管理されるので、再生音質に個体のばらつきがなく高品質の電気音響変換器が得られる。これは、使用する振動膜1の膜厚によらず実現される。
また、電源切断に伴い張力を非付与とする構成にすれば、振動膜1の経時変化が抑制されて長期間にわたり品質が維持されて寿命が延長する。
このような電気音響変換器50は、薄型形状であって歪みのない再生音が提供でき、適宜音質を調整でき、長期間にわたり性能が維持されるので、例えば博物館やホールなどの壁面や天井面などに設置して来館者に高品位な臨場感ある再生音を提供する用途に好適である。
また、面音源であるので、大きな振動面を形成することで大勢の聴取者に対してばらつきのない再生音を提供でき、PA用途にも好適である。
【0023】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよいのは言うまでもない。
【0024】
付与する張力の値は、入力部12を介して入力するものに限らない。
例えば、再生信号に張力情報を重畳してこの電気音響変換器50をドライブするアンプ側から送りこんでもよい。
その場合には、この電気音響変換器50に入力された再生音声信号から張力情報を検出する張力情報検出部20を設けておき、その検出情報に基づいて制御部13が所定の張力を付与する制御を行う構成とする。
制御部13により制御される張力の値の基になる情報は、上述したものに限らない。例えば、周囲の湿度,温度,光や他の外部環境因子を基の情報にすることができる。
また、振動膜1の材質は上述したPETフィルムに限るものではない。
張力を検知する方法として、実施例ではアーム8の位置を回動センサーで検出する構成について説明したが、これに限るものではない。
例えば、モータの軸に掛かるトルクをトルクセンサで検出する方法などを適用することができるが、実施例の構成は、検出感度が高く安価に構成できるというメリットを有する。
また、上述した実施例は、振動膜1の一端側がガイドシャフト2bを介してシャーシ3の固定部3kに固定され、他端側に張力付与手段TFを設けて張力を振動膜1の片端側で制御するものであったが、もちろんこれに限るものではない。
振動膜1の他端側にも同様の張力付与手段TFを設けて、張力を振動膜1の両端側で制御する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の電気音響変換器の実施例を説明する構造図である。
【図2】本発明の電気音響変換器の実施例を説明する平面図である。
【図3】本発明の電気音響変換器の実施例を説明するブロック図である。
【図4】本発明の電気音響変換器の実施例を説明する外観斜視図である。
【図5】本発明の電気音響変換器の実施例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 振動膜
2a,2b ガイドシャフト
3 シャーシ
3a 磁気回路ベース
3k 固定部
3m 窓部
4 巻き取りリール
5 ボイスコイル
5a,5b 長手部
6 マグネット
7 付勢シャフト
8 アーム
9 コイルスプリング
10 支持部材
11 回動センサー
12 入力部
13 制御部
14 モータ駆動部
15 センサアンプ
17 シーリング部材
18 入力端子(音声信号入力部)
19 電源端子
20 張力情報検出部
50 電気音響変換器
D 振動方向
F 駆動力
J 磁力線
M モータ
P 回動軸
SF 振動付与手段
TF 張力付与手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、
音声信号入力部と、
前記シャーシに設けられた固定部に一端部が固定されたフィルム状の振動膜と、
前記固定部と対向して設けられ、前記振動膜に当接して該振動膜を支持する支持部と、
前記固定部と前記支持部との間に設けられ、前記音声信号入力部から入力された音声信号に基づいて前記振動膜を振動させる振動付与手段と、
前記支持部に対して前記固定部の反対側に設けられ、前記振動膜を前記固定部に対して引っ張る方向の付勢力で付勢して前記振動膜に張力を付与する張力付与手段と、
前記張力を検出する張力検出部と、
該張力検出部により検出された張力に基づいて前記付勢力を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする電気音響変換器。
【請求項2】
前記張力に対応する値が入力される入力部を備え、
前記制御部は、
前記張力検出部により検出された張力が、前記入力部に入力された値に対応する張力と一致するように前記付勢力を制御することを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
【請求項3】
前記音声信号が前記張力と対応する張力情報を含む場合に、前記音声信号から前記張力情報を検出する張力情報検出部を備え、
前記制御部は、
前記張力検出部により検出された張力が、前記張力情報検出部で検出された張力情報に対応する張力と一致するように前記付勢力を制御することを特徴とする請求項1記載の電気音響変換器。
【請求項4】
シャーシと、
音声信号入力部と、
前記シャーシに設けられた固定部に一端部が固定されたフィルム状の振動膜と、
前記固定部と対向して設けられ、前記振動膜に当接して該振動膜を支持する支持部と、
前記固定部と前記支持部との間に設けられ、前記音声信号入力部から入力された音声信号に基づいて前記振動膜を振動させる振動付与手段と、
前記支持部に対して前記固定部の反対側に設けられ、前記振動膜を前記固定部に対して引っ張る方向の付勢力で付勢して前記振動膜に張力を付与する張力付与手段と、
前記音声信号の振幅に基づいて前記付勢力を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする電気音響変換器。
【請求項5】
前記張力付与手段は、当該電気音響変換器への電源投入により前記振動膜を付勢し、電源切断により前記振動膜への付勢を停止することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電気音響変換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−282015(P2007−282015A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107400(P2006−107400)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】