説明

電流分配装置

【課題】従来技術による電流分配装置では、ヒューズ交換の手順が複雑なため、操作手順を間違えやすいという問題があった。ヒューズ取付け金具間に電圧がかかっている状態で、ヒューズ交換を行う操作ミスにより、感電や短絡を誘発する危険性があった。
【解決手段】電流分配装置の換作パネル上のヒューズとヒューズ取付け金具を覆うヒューズカバーにインターロック機能を設けることにより、ヒューズに直列に接続される断路器がONの時には、ヒューズカバーを開けられないようにした。ヒューズ交換時の誤操作による感電や短絡の危険性が無くなり、電流分配装置のヒューズ交換がより安全に行えるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の負荷装置へ電力を分配する電流分配装置において、ヒューズ交換を安全に行うためのインターロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開昭60-39319号公報
【0003】
電流分配装置の基本的構成を図1に示す(特許文献1)。電流分配装置3は電源装置1の出力を複数の負荷装置2へ分配するための分岐装置である。図4は、従来の電流分配装置の操作パネルの外観図である。電流分配装置3には、複数の操作パネル4が搭載されている。それぞれの操作パネル4は、一部の負荷装置2の電力給電系統上の装置故障や短絡が他の負荷装置2の給電系統へ波及するのを防止するために、異常系統を速やかに回路から遮断するためのヒューズ5と断路器6が直列に接続された回路を備えている。断路器6は、ヒューズ5とヒューズ取付け金具7を無電圧にし、ヒューズ交換を安全に行うためのスイッチである。
【0004】
従来の操作パネル4の構造を、図4を用いて詳しく説明する。操作パネル4は図1における回路を遮断するヒューズ5と、安全にヒューズ交換を行うためにヒューズ5と直列に接続される断路器6と、ヒューズ5ならびにヒューズ取り付け金具7との接触を防止するためのヒューズカバー9、ならびに、断路器6の誤操作を防ぐための断路器カバー11から構成されている。
換作パネル4からヒューズ5を取り外すには、まず、断路器カバー取付けネジ12を外し、断路器カバー11を外したあと、断路器6をOFFにし、断路器6を誤ってONにできないように、再度、断路器カバー11を断路器カバー取付けネジ12で固定する。次に、ヒューズカバー取付けネジ10を外し、ヒューズカバー9を取り外した後、ヒューズ取り付けボルト8を緩めヒューズ5の取り外しを行う。
操作パネル4へヒューズ5を取り付けるには、操作パネル4上のヒューズカバー9と断路器カバー11を取り外した状態から、断路器6をOFFにし、ヒューズ取付け金具7間を無電圧にした後、断路器6の誤操作防止のために断路器カバー11を断路器カバー取付けネジ12で固定する。次に、ヒューズ取付け金具7にヒューズ5をヒューズ取付けボルト8で固定した後、断路器カバー取付けネジ12を外して、断路器カバー11を取り外し、断路器6をONにし、断路器カバー11を断路器カバー取付けネジ12で固定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術による電流分配装置では、ヒューズ交換の手順が複雑なため、操作手順を間違えやすいという問題があった。ヒューズ取付け金具間に電圧がかかっている状態で、ヒューズ交換を行う操作ミスにより、感電や短絡を誘発する危険性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明(1)は、電源装置から供給される電力を複数の負荷装置に分配する電流分配装置において、過電流防止用のヒューズと、前記ヒューズと直列に接続される断路器と、少なくとも前記ヒューズと前記ヒューズの接続端子を覆うヒューズカバーと、前記断路器の操作と連動し前記ヒューズカバーの開閉に係るロックとアンロックを行うロックカバーとから構成されるヒューズ操作パネルである。
【0007】
本発明(2)は、前記ヒューズ、前記断路器、前記ヒューズカバー、前記ロックカバーが板状部材に取り付けられており、前記ヒューズカバーが前記板状部材に対しヒンジで接続され、前記ヒンジを中心に回転して開閉できるカバーであり、前記ロックカバーが前記板状部材上で前記断路器の操作と連動してスライド可能に取り付けられ、前記断路器がONの時に、前記ロックカバーが前記ヒューズカバーを覆って前記ヒューズカバーが閉じた状態に保持し、前記断路器がOFFの時に、前記ロックカバーをスライドさせ、前記ヒューズカバーを開くことが可能になることを特徴とする前記発明(1)のヒューズ操作パネルである。
【0008】
本発明(3)は、前記発明(1)又は前記発明(2)のヒューズ操作パネルを有する電流分配装置である。
【0009】
本発明(4)は、前記発明(3)の電流分配装置を有する給電システムである。
【発明の効果】
【0010】
電流分配装置の換作パネル上のヒューズとヒューズ取付け金具を覆うヒューズカバーにインターロック機能を設けることにより、ヒューズに直列に接続される断路器がONの時には、ヒューズカバーを開けられないようにした。ヒューズカバーが開いている時は断路器をOFFからONに切替えることができなくなり、ヒューズ交換時の誤操作による感電や短絡の危険性が無くなり、電流分配装置のヒューズ交換がより安全に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の電流分配装置は、操作パネル上に取り付けられた、ヒューズと断路器を保護する部材の構造に特徴がある。本発明に係る操作パネルは、過電流を検出し、電源装置と負荷装置を遮断するためのヒューズと、ヒューズ交換時にヒューズへの給電を停止し、安全に交換作業を行うための断路器と、通常使用時にヒューズへの接触事故を防止するためのヒューズカバーと、ヒューズ交換時に断路器をOFFに保持するためのインターロックとして機能するロックカバーとから構成される。ヒューズ交換のためにヒューズカバーを開ける時は、ロックカバーが断路器と連動して断路器をOFFに保持する。電流分配装置に通電するために断路器をONにする時は、ヒューズカバーを閉じて、ヒューズカバーをロックカバーによりロックする。
【0012】
(操作パネルの具体例)
図2に、本発明による操作パネルの具体例を示す。図2に示す操作パネル4は、パネル天板16、ヒューズ5、断路器6、ヒューズカバー9、ロックカバー13から構成される。ヒューズカバー9とロックカバー13は、パネル天板16に取り付けて使用するが、各部品の配置がわかりやすいように、図2では、ヒューズカバー9とロックカバー13を取外した場合の外観図を示す。
ヒューズ5は、パネル天板16にヒューズ取付け金具7とヒューズ締め付けボルト8により取り付けられている。ヒューズ5に隣接して、断路器6がパネル天板16に取り付けられている。断路器6は操作バーを一方に倒した時にONになり、もう一方に倒した時にOFFになるスイッチである。具体例に係る操作パネルでは、操作バーがパネル天板16の長手方向に動き、スイッチがONになる側がヒューズ5に隣接する側になるように断路器6が配置されている。
ヒューズカバー9は、断面形状がコの字型で、上下面が蓋で覆われており、パネル天板16へヒンジ17で取付けられる。ヒンジ17はパネル天板16の長手方向がヒューズカバー9の回転中心となるように取付けられている。図2に示す操作パネルの場合は、ヒューズカバー9を右に開いてヒューズを交換する。また、通電時は、ヒューズカバー9を閉じて、感電事故を防止する。
ロックカバー13は、ヒューズカバー9より一回り大きく、図2に示すように、断面形状がコの字型で、ヒューズ5、及び、ヒューズカバー9に隣接する側に開口部を有し、反対側に鍔部を有する構造をとる。鍔部には左右にロックカバースライド溝14、中央下端に断路器6の操作バーと接触する接触部18が配置されている。ロックカバー13は、ロックカバースライド溝14を通して、ロックカバー取付けネジ15でパネル天板16に取付ける。操作バーと接触部18が接触することで、断路器6とロックカバー13が連動する構造になっている。
【0013】
図2において、T1は、ヒューズカバーの高さであり、T2は、ロックカバーがヒューズカバーを覆う最大高さである。また、T3は、ロックカバーの鍔部におけるロックカバースライド溝14の長さであり、T4は、断路器6をON-OFFと切り替える時の操作バーの移動量である。
ヒューズカバー9の取り付け位置とT1は、感電事故を防止するため、ヒューズ5、ヒューズ取付け金具7、ヒューズ締め付けボルト8を十分覆う位置、高さとする。T3とT4は、ほぼ等しい高さとするのが好ましい。ロックカバー13は、接触部18が断路器6の操作バーに接触する位置に配置する。ロックカバー13のヒューズカバー9に対する位置、及び、T2は、断路器6をONにして、ロックカバー13が最も上に移動した時に、ヒューズカバー9を十分ロックできる位置、高さとし、断路器6をOFFにして、ロックカバー13が最も下に移動した時に、ヒューズカバー9とロックカバー13が接触せず、ヒューズカバー9を開くことができる位置、高さとなるように設定する。
【0014】
次に、図3を用いて、図2に示す本発明の具体例に係る操作パネルを用いたヒューズ交換手順を説明する。図3(a)は、通電時の操作パネルの外観図であり、図3(b)は、ヒューズ交換時の操作パネルの外観図である。
通電時は、図3(a)に示すように、ヒューズカバー9が閉じられており、ロックカバー13が上にスライドし、ヒューズカバー9が開かないようにロックしている。ロックカバー取付けネジ15は固く締められ、ロックカバー13が移動しないように押えている。断路器6はONになって、ヒューズ、及び、負荷装置が給電されている。
図3(a)の状態から、ヒューズを交換する場合は、最初に、断路器6の操作バーを下げて、断路器6をOFFにする。次に、ロックカバー取付けネジ15を緩め、ロックカバー13を下にスライドさせる。次に、ヒューズカバー9を開いて、図3(b)の状態になる。
図3(b)の状態で、ヒューズ取り付けボルト8を緩め、ヒューズを取り外す。新しいヒューズを取り付け、ヒューズ取り付けボルト8を閉め、ヒューズカバー9を閉める。ロックカバー13を上にスライドさせ、ヒューズカバー9をロックする。次に、ロックカバー取付けネジ15を締めてから、断路器6の操作バーを上げて、断路器6をONにする。
【0015】
本発明の特徴は、操作パネルに簡易なインターロック機構を備えたことに、電流分配装置のヒューズ交換をより安全に行えることである。ヒューズカバー9が開いている時は、ロックカバー13の上部がヒューズカバー9の下部に接触するため(図3(b))、断路器6を誤ってONにしようとしても、ロックカバー13が上方に上がらないため断路器6をONにできない。また、通電時にヒューズカバー9が閉じ、断路器6をONにした状態では(図3(a))、断路器6をOFFにしない限りロックカバー13が下がらないため、ヒューズカバー9が開いてヒューズ5とヒューズ取付け金具7が露出することを防止することができる。
【0016】
本発明に係る操作パネルの構造は、図2、図3に示す具体例の構造に限定されない。操作パネルが、少なくとも、ヒューズ、ヒューズを保護するヒューズカバー、ヒューズカバーをロックするロックカバー、ヒューズに対する給電を制御する断路器により構成されるパネルであり、ロックカバーと断路器が連動して前記したインターロックの機能を実現するものであれば、例えば、断路器はスライド式のスイッチでもよく、ヒューズカバーは左開きや上開きのカバーであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電流分配装置の構成図である。
【図2】本発明による電流分配装置の操作パネルの外観図である。
【図3】(a)、(b)は、本発明の電流分配装置の操作パネルの外観図である。
【図4】従来の電流分配装置の操作パネルの外観図である。
【符号の説明】
【0018】
1 電源装置
2 負荷装置
3 電流分配装置
4 換作パネル
5 ヒューズ
6 断路器
7 ヒューズ取付け金具
8 ヒューズ取付けボルト
9 ヒューズカバー
10 ヒューズカバー取付けネジ
11 断路器カバー
12 断路器カバー取付けネジ
13 ロックカバー
14 ロックカバースライド溝
15 ロックカバー取付けネジ
16 パネル天板
17 ヒンジ
18 接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置から供給される電力を複数の負荷装置に分配する電流分配装置において、過電流防止用のヒューズと、前記ヒューズと直列に接続される断路器と、少なくとも前記ヒューズと前記ヒューズの接続端子を覆うヒューズカバーと、前記断路器の操作と連動し前記ヒューズカバーの開閉に係るロックとアンロックを行うロックカバーとから構成されるヒューズ操作パネル。
【請求項2】
前記ヒューズ、前記断路器、前記ヒューズカバー、前記ロックカバーが板状部材に取り付けられており、前記ヒューズカバーが前記板状部材に対しヒンジで接続され、前記ヒンジを中心に回転して開閉できるカバーであり、前記ロックカバーが前記板状部材上で前記断路器の操作と連動してスライド可能に取り付けられ、前記断路器がONの時に、前記ロックカバーが前記ヒューズカバーを覆って前記ヒューズカバーが閉じた状態に保持し、前記断路器がOFFの時に、前記ロックカバーをスライドさせ、前記ヒューズカバーを開くことが可能になることを特徴とする請求項1記載のヒューズ操作パネル。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項記載のヒューズ操作パネルを有する電流分配装置。
【請求項4】
請求項3記載の電流分配装置を有する給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−318827(P2007−318827A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142643(P2006−142643)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】