電流管理機能付分電盤
【課題】停電が長時間にわたる場合にも非常用電源からの給電を継続できるようにした電流管理機能付分電盤を提供する。
【解決手段】非常用電源5が接続された幹線4に主幹ブレーカ12を接続し、その二次側に外部から入力される停電復電信号により開閉制御される開閉制御部15を備えた一般回路用開閉器14を接続し、その二次側に一般負荷に給電するための分岐回路16を設ける。またこの一般回路用開閉器14と並列に、特定負荷用の非常用回路13を接続する。停電時には一般回路用開閉器14をオフとして一般負荷への給電を遮断し、非常用電源5から非常用回路13のみに給電を行う。
【解決手段】非常用電源5が接続された幹線4に主幹ブレーカ12を接続し、その二次側に外部から入力される停電復電信号により開閉制御される開閉制御部15を備えた一般回路用開閉器14を接続し、その二次側に一般負荷に給電するための分岐回路16を設ける。またこの一般回路用開閉器14と並列に、特定負荷用の非常用回路13を接続する。停電時には一般回路用開閉器14をオフとして一般負荷への給電を遮断し、非常用電源5から非常用回路13のみに給電を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅に適した電流管理機能付分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅に電力を供給している電力系統が停電したときには、各住戸の全ての電源が使用できなくなるのが普通である。この状態では火災報知器等の保安機器も機能しなくなる。このため特許文献1に示されるように、各住戸の分電盤の内部に蓄電池を設け、停電状態となったときにも火災報知器の電源を確保することが提案されている。
しかし、分電盤の内部の特定負荷(火災報知器)のみに給電されるのみであり、その他の負荷へ給電できない。また、停電が長時間に渡り、負荷がおおきい場合には電力を長時間確保することができない。
【0003】
また近年マンション等の集合住宅において一括受電を行ったうえで、停電時に備えて共用部に非常用電源が設置し、停電を検出すると切替開閉器によって商用電源から非常用電源への切替を行い、専用部である各住戸も含めて電力供給を継続することが考えられている。
【0004】
この非常用電源としては、蓄電池、ディーゼル発電機などを挙げることができるが、停電時に各住戸のすべての負荷に供給を行うためには、大型の設備が必要である。また蓄電池は電池容量の、ディーセル発電機は燃料の制約があり長時間にわたり各住戸に給電を継続することはできない。このため短時間で復電した場合には問題がないが、停電が長時間にわたる場合には非常用電源からの給電も停止してしまい、安全確保ができなくなる可能性がある。また全住戸の負荷を長時間にわたり安定給電させるためには大容量の非常用電源が必要となり、設備コストや維持コストも高価となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−287315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、停電時にも必須の特定負荷には必要な電力を供給する一方、特定負荷以外の一般負荷への給電を停止することによって、停電が長時間にわたる場合にも非常用電源から特定負荷に対して給電を継続できるようにした電流管理機能付分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電流管理機能付分電盤であって、非常用電源が接続された幹線に接続された主幹ブレーカの二次側に、外部から入力される停電復電信号により開閉制御される開閉制御部を備えた一般回路用開閉器を接続するとともに、この一般回路用開閉器の二次側に分岐回路を設け、また、この一般回路用開閉器と並列に非常用回路を接続したことを特徴とする。
【0008】
本発明は前記記載の電流管理機能付分電盤であって、一般回路用開閉器は駆動用のバッテリを備えたものであり、復電時に開閉制御部はこのバッテリの充電量が所定レベルに達していることを確認したうえで一般回路用開閉器に投入動作を行わせることを特徴とする。
【0009】
本発明は前記記載の電流管理機能付分電盤であって、前記記載の電流管理機能付分電盤筐体内の分岐回路の片側のスペースに主幹ブレーカを配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器を配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明は前記記載の電流管理機能付分電盤であって、前記記載の一般回路開閉器が自己保持機能を有するラッチリレーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電流管理機能付分電盤は、外部から停電信号が入力されると開閉制御部が一般回路用開閉器をオフとし、その二次側に接続された分岐回路への給電が行われないようにする。その一方、一般回路用開閉器と並列に接続された非常用回路には非常用電源からの給電が可能であるから、非常用回路の容量を主幹ブレーカの定格容量に比べて十分に小さく設定しておけば、非常用電源の容量を小さく出来るとともに、長時間にわたり非常用電源から特定負荷への給電を継続することができる。このため停電が長時間にわたる場合にも必要最低限の電力確保が長時間可能となる。
【0012】
また、復電時に開閉制御部が駆動用のバッテリの充電量が所定レベルに達していることを確認したうえで一般回路用開閉器に投入動作を行わせるものとしておけば、その後に再び停電した場合にも、バッテリの電力によって一般回路用開閉器を確実にオフとすることができる。
【0013】
また、分電盤筐体内の分岐回路の片側のスペースに主幹ブレーカを配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器を配置した構造とすれば、既存の分電盤に一般回路用開閉器を組み込んだ時に一般回路用開閉器から母線バーへの配線が容易であるから、電流管理機能付分電盤とする改造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】非常用電源を備えた給電システムの全体説明図である。
【図2】本発明の電流管理機能付分電盤の説明図である。
【図3】停電時における給電システムの全体である。
【図4】復電時における給電システムの全体である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1はマンション等の集合住宅に設置された給電システムの全体を示す図である。集合住宅では管理事業者が電力を一括して契約し、各住戸に電力を供給している場合がある。図1では電力系統の高圧電線の分岐線1を変圧器2を介して引き込み、集合住宅の幹線開閉器3を介して幹線4に接続されている。幹線4は各住戸に電力供給するために複数に分岐されて幹線分電盤19に収納されており、各住戸には本発明の電流管理機能付分電盤18が配置されている。
【0016】
この実施形態では、非常用電源5の他に、ガスコージェネレーション装置6、太陽光発電装置7などが幹線4に並列に接続されている。非常用電源5は蓄電池8と燃料電池9とから構成されていて、共用部に各住戸共通に設置されている。蓄電池8としては、例えばリチウムイオン電池や、ナトリウムと硫黄を活物質とする電力貯蔵用のNaS電池を用いることができる。燃料電池9は負極活物質である水素と、正極活物質である酸素とを化学反応させることにより発電する発電装置であり、常時は商用系統との連系運転を行い、電力系統の停電検出装置10が停電を検出したときに一旦解列するが、蓄電池を電源として連系運転するものである。これらの非常用電源5は停電時にその給電機能を十分に発揮できるように、蓄電池8は常に停電時に必要な蓄電量を確保しておくことが望ましい。
【0017】
ガスコージェネレーション装置6は都市ガスなどを燃料として常時運転され、発生する電力を幹線4に供給するとともに、同時に発生する温水を各住戸に供給している。太陽光発電装置7も常時運転され発生する電力を幹線4に供給するものである。これらの発電手段は電力系統と併用し、発電時の熱エネルギーを利用してエネルギーの効率的な運用を図るものである。
【0018】
なお、図3に示すように、停電検出装置10が電力系統の停電を検出し停電信号が出力されたときには、幹線電源制御部11が幹線開閉器3をモータードライブ等によってオフとし、幹線4を電力系統から切り離す。これは非常用電源5の電力が電力系統を通じて外部に流出することを避けるためである。また停電信号を受けた幹線電源制御部11は一旦解列した燃料電池9を蓄電池8を電源として連系運転することにより非常用電源5として駆動させる。燃料電池9はその出力が安定するまでに時間を要するので、その間は蓄電池8が給電の主力となる。
なお、図4に示すように、停電検出装置10が電力系統の復電を検出し復電信号が出力された時には、幹線電源制御部11が幹線開閉器3をモータードライブ等によってオンとし、幹線4を電力系統と接続する。これによって、燃料電池9は電力系統による連系運転となる。
【0019】
次に図2を参照しつつ、本発明の電流管理機能付分電盤の構成を説明する。
図2において12は幹線4に接続された主幹ブレーカである。その容量は例えば60A程度である。この主幹ブレーカ12の二次側は分岐され、その一方は停電中にも電源供給が必要な特定負荷が接続される非常用回路13であって、非常回路を保護する遮断器20を備えている。また他方は一般回路用開閉器14に接続されている。この一般回路用開閉器14の二次側には一般負荷に給電するための分岐回路16が母線バー21を介して設けられている。特定負荷は照明や火災報知器などの必要最低限の負荷とし、その容量は主幹ブレーカ12の定格容量に対してきわめて小さく、例えば3A程度としておくことが好ましい。なお特定負荷は各住戸に非常用コンセントとして設置し、居住者が自由に使用できるようにしてもよいし、管理事業者が使用する機器を特定して配線を行っておいてもよい。
なお、主幹ブレーカ12、遮断器20は過電流が流れると遮断する通常用いられるブレーカであり、停電時・復電時の信号に依らず通常接続されている。
【0020】
一般回路用開閉器14は好ましくは自己保持機能を有するラッチリレーであり、短時間の通電によりオンオフが可能であるため、常時通電が必要な一般のリレーよりも停電時の開閉制御に適している。また通電によるうなり音が発生することもない。この一般回路用開閉器14は開閉制御部15である管理ユニットにより開閉制御されている。管理ユニットはバッテリ17を内蔵しており、外部の幹線電源制御部11から停電信号が入力されると、ラッチリレーを駆動して幹線4から分岐回路16を切り離す。バッテリ17はコンデンサとすることができるが、管理ユニットの外部に設けた小型のバッテリであってもよい。
【0021】
停電時に一般回路用開閉器14がオフとされると一般負荷への給電はすべて遮断されるが、一般回路用開閉器14と並列に接続されている非常用回路13には給電が継続される。しかし前記のように非常用回路13に接続される特定負荷の容量は小さいため、大容量の非常用電源5を設置しなくても給電を長時間継続することができ、停電が長時間にわたっても必要最低限の電力を供給することができる。大容量の非常用電源5を必要としないので、設備導入に対する居住者のコスト負担も抑制することができる。
【0022】
電力系統が復電した時には、図4に示すように、停電検出装置10からの復電信号が幹線電源制御部11を介して開閉制御部15である管理ユニットに入力され、その管理ユニットは一般回路用開閉器14を投入するに先立ち、バッテリ17の充電状態を確認する。図4に示すように、そしてこのバッテリ17の充電量が所定レベルに達していること、例えば満充電状態にあることを確認できれば、一般回路用開閉器14に投入動作を行わせる。しかし充電量が十分でない場合には一般回路用開閉器14をオフとしたまま待機し、バッテリ17の充電量が回復した後に一般回路用開閉器14に投入動作を行わせる。その理由は、復電の直後に再び停電となることがあり、停電状態ではバッテリ17により一般回路用開閉器14をオフとしなければならないため、その能力を確認してから一般回路用開閉器14を投入することが好ましいためである。これにより、復電の直後に再び停電となった場合にも確実に一般負荷への給電を遮断することができることとなる。
【0023】
上記した実施形態においては、一般回路用開閉器14として自己保持機能を有するラッチリレーを用いたが、外部信号によって駆動されるブレーカを用いることもできる。ただしその場合にはブレーカを再投入するための外部投入装置をブレーカに隣接配置する必要がある。
【0024】
なお図2に示されるように、上記した実施形態においては分電盤筐体18a内の分岐回路16の片側のスペースに主幹ブレーカ12を配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器14を配置し、これを分岐回路16が接続される母線バー21を主幹ブレーカ12の反対側から接続する構造とした。主幹ブレーカ12と分岐回路16との位置関係は一般的な分電盤と同様であるから、このような配置を取れば既存の分電盤に一般回路用開閉器14と開閉制御部15とを組み込んだ時に一般回路用開閉器14から母線バー21への配線が容易であるから、本発明の電流管理機能付分電盤とする改造が容易に行える利点を生ずる。
【0025】
以上に説明したように、本発明によれば、停電時にも非常用回路13に接続された特定負荷には必要な電力を供給する一方、一般負荷への給電を停止することによって、非常用電源の容量を小さく出来るとともに、停電が長時間にわたる場合にも非常用電源5からの給電を継続することができる。なお本発明の電流管理機能付分電盤は特に集合住宅に適したものであるが、ホテル、病院、工場などの非常用電源を備えた施設にも広く適用できることはいうまでもない。また、非常用電源を備えた戸建住宅にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0026】
1 高圧電線の分岐線
2 変圧器
3 幹線開閉器
4 幹線
5 非常用電源
6 ガスコージェネレーション装置
7 太陽光発電装置
8 蓄電池
9 燃料電池
10 停電検出装置
11 幹線電源制御部
12 主幹ブレーカ
13 非常用回路
14 一般回路用開閉器
15 開閉制御部
16 分岐回路
17 バッテリ
18 分電盤
18a 分電盤筐体
19 幹線分電盤
20 遮断器
21 母線バー
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅に適した電流管理機能付分電盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マンション等の集合住宅に電力を供給している電力系統が停電したときには、各住戸の全ての電源が使用できなくなるのが普通である。この状態では火災報知器等の保安機器も機能しなくなる。このため特許文献1に示されるように、各住戸の分電盤の内部に蓄電池を設け、停電状態となったときにも火災報知器の電源を確保することが提案されている。
しかし、分電盤の内部の特定負荷(火災報知器)のみに給電されるのみであり、その他の負荷へ給電できない。また、停電が長時間に渡り、負荷がおおきい場合には電力を長時間確保することができない。
【0003】
また近年マンション等の集合住宅において一括受電を行ったうえで、停電時に備えて共用部に非常用電源が設置し、停電を検出すると切替開閉器によって商用電源から非常用電源への切替を行い、専用部である各住戸も含めて電力供給を継続することが考えられている。
【0004】
この非常用電源としては、蓄電池、ディーゼル発電機などを挙げることができるが、停電時に各住戸のすべての負荷に供給を行うためには、大型の設備が必要である。また蓄電池は電池容量の、ディーセル発電機は燃料の制約があり長時間にわたり各住戸に給電を継続することはできない。このため短時間で復電した場合には問題がないが、停電が長時間にわたる場合には非常用電源からの給電も停止してしまい、安全確保ができなくなる可能性がある。また全住戸の負荷を長時間にわたり安定給電させるためには大容量の非常用電源が必要となり、設備コストや維持コストも高価となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−287315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、停電時にも必須の特定負荷には必要な電力を供給する一方、特定負荷以外の一般負荷への給電を停止することによって、停電が長時間にわたる場合にも非常用電源から特定負荷に対して給電を継続できるようにした電流管理機能付分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電流管理機能付分電盤であって、非常用電源が接続された幹線に接続された主幹ブレーカの二次側に、外部から入力される停電復電信号により開閉制御される開閉制御部を備えた一般回路用開閉器を接続するとともに、この一般回路用開閉器の二次側に分岐回路を設け、また、この一般回路用開閉器と並列に非常用回路を接続したことを特徴とする。
【0008】
本発明は前記記載の電流管理機能付分電盤であって、一般回路用開閉器は駆動用のバッテリを備えたものであり、復電時に開閉制御部はこのバッテリの充電量が所定レベルに達していることを確認したうえで一般回路用開閉器に投入動作を行わせることを特徴とする。
【0009】
本発明は前記記載の電流管理機能付分電盤であって、前記記載の電流管理機能付分電盤筐体内の分岐回路の片側のスペースに主幹ブレーカを配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器を配置したことを特徴とする。
【0010】
本発明は前記記載の電流管理機能付分電盤であって、前記記載の一般回路開閉器が自己保持機能を有するラッチリレーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電流管理機能付分電盤は、外部から停電信号が入力されると開閉制御部が一般回路用開閉器をオフとし、その二次側に接続された分岐回路への給電が行われないようにする。その一方、一般回路用開閉器と並列に接続された非常用回路には非常用電源からの給電が可能であるから、非常用回路の容量を主幹ブレーカの定格容量に比べて十分に小さく設定しておけば、非常用電源の容量を小さく出来るとともに、長時間にわたり非常用電源から特定負荷への給電を継続することができる。このため停電が長時間にわたる場合にも必要最低限の電力確保が長時間可能となる。
【0012】
また、復電時に開閉制御部が駆動用のバッテリの充電量が所定レベルに達していることを確認したうえで一般回路用開閉器に投入動作を行わせるものとしておけば、その後に再び停電した場合にも、バッテリの電力によって一般回路用開閉器を確実にオフとすることができる。
【0013】
また、分電盤筐体内の分岐回路の片側のスペースに主幹ブレーカを配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器を配置した構造とすれば、既存の分電盤に一般回路用開閉器を組み込んだ時に一般回路用開閉器から母線バーへの配線が容易であるから、電流管理機能付分電盤とする改造が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】非常用電源を備えた給電システムの全体説明図である。
【図2】本発明の電流管理機能付分電盤の説明図である。
【図3】停電時における給電システムの全体である。
【図4】復電時における給電システムの全体である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。
図1はマンション等の集合住宅に設置された給電システムの全体を示す図である。集合住宅では管理事業者が電力を一括して契約し、各住戸に電力を供給している場合がある。図1では電力系統の高圧電線の分岐線1を変圧器2を介して引き込み、集合住宅の幹線開閉器3を介して幹線4に接続されている。幹線4は各住戸に電力供給するために複数に分岐されて幹線分電盤19に収納されており、各住戸には本発明の電流管理機能付分電盤18が配置されている。
【0016】
この実施形態では、非常用電源5の他に、ガスコージェネレーション装置6、太陽光発電装置7などが幹線4に並列に接続されている。非常用電源5は蓄電池8と燃料電池9とから構成されていて、共用部に各住戸共通に設置されている。蓄電池8としては、例えばリチウムイオン電池や、ナトリウムと硫黄を活物質とする電力貯蔵用のNaS電池を用いることができる。燃料電池9は負極活物質である水素と、正極活物質である酸素とを化学反応させることにより発電する発電装置であり、常時は商用系統との連系運転を行い、電力系統の停電検出装置10が停電を検出したときに一旦解列するが、蓄電池を電源として連系運転するものである。これらの非常用電源5は停電時にその給電機能を十分に発揮できるように、蓄電池8は常に停電時に必要な蓄電量を確保しておくことが望ましい。
【0017】
ガスコージェネレーション装置6は都市ガスなどを燃料として常時運転され、発生する電力を幹線4に供給するとともに、同時に発生する温水を各住戸に供給している。太陽光発電装置7も常時運転され発生する電力を幹線4に供給するものである。これらの発電手段は電力系統と併用し、発電時の熱エネルギーを利用してエネルギーの効率的な運用を図るものである。
【0018】
なお、図3に示すように、停電検出装置10が電力系統の停電を検出し停電信号が出力されたときには、幹線電源制御部11が幹線開閉器3をモータードライブ等によってオフとし、幹線4を電力系統から切り離す。これは非常用電源5の電力が電力系統を通じて外部に流出することを避けるためである。また停電信号を受けた幹線電源制御部11は一旦解列した燃料電池9を蓄電池8を電源として連系運転することにより非常用電源5として駆動させる。燃料電池9はその出力が安定するまでに時間を要するので、その間は蓄電池8が給電の主力となる。
なお、図4に示すように、停電検出装置10が電力系統の復電を検出し復電信号が出力された時には、幹線電源制御部11が幹線開閉器3をモータードライブ等によってオンとし、幹線4を電力系統と接続する。これによって、燃料電池9は電力系統による連系運転となる。
【0019】
次に図2を参照しつつ、本発明の電流管理機能付分電盤の構成を説明する。
図2において12は幹線4に接続された主幹ブレーカである。その容量は例えば60A程度である。この主幹ブレーカ12の二次側は分岐され、その一方は停電中にも電源供給が必要な特定負荷が接続される非常用回路13であって、非常回路を保護する遮断器20を備えている。また他方は一般回路用開閉器14に接続されている。この一般回路用開閉器14の二次側には一般負荷に給電するための分岐回路16が母線バー21を介して設けられている。特定負荷は照明や火災報知器などの必要最低限の負荷とし、その容量は主幹ブレーカ12の定格容量に対してきわめて小さく、例えば3A程度としておくことが好ましい。なお特定負荷は各住戸に非常用コンセントとして設置し、居住者が自由に使用できるようにしてもよいし、管理事業者が使用する機器を特定して配線を行っておいてもよい。
なお、主幹ブレーカ12、遮断器20は過電流が流れると遮断する通常用いられるブレーカであり、停電時・復電時の信号に依らず通常接続されている。
【0020】
一般回路用開閉器14は好ましくは自己保持機能を有するラッチリレーであり、短時間の通電によりオンオフが可能であるため、常時通電が必要な一般のリレーよりも停電時の開閉制御に適している。また通電によるうなり音が発生することもない。この一般回路用開閉器14は開閉制御部15である管理ユニットにより開閉制御されている。管理ユニットはバッテリ17を内蔵しており、外部の幹線電源制御部11から停電信号が入力されると、ラッチリレーを駆動して幹線4から分岐回路16を切り離す。バッテリ17はコンデンサとすることができるが、管理ユニットの外部に設けた小型のバッテリであってもよい。
【0021】
停電時に一般回路用開閉器14がオフとされると一般負荷への給電はすべて遮断されるが、一般回路用開閉器14と並列に接続されている非常用回路13には給電が継続される。しかし前記のように非常用回路13に接続される特定負荷の容量は小さいため、大容量の非常用電源5を設置しなくても給電を長時間継続することができ、停電が長時間にわたっても必要最低限の電力を供給することができる。大容量の非常用電源5を必要としないので、設備導入に対する居住者のコスト負担も抑制することができる。
【0022】
電力系統が復電した時には、図4に示すように、停電検出装置10からの復電信号が幹線電源制御部11を介して開閉制御部15である管理ユニットに入力され、その管理ユニットは一般回路用開閉器14を投入するに先立ち、バッテリ17の充電状態を確認する。図4に示すように、そしてこのバッテリ17の充電量が所定レベルに達していること、例えば満充電状態にあることを確認できれば、一般回路用開閉器14に投入動作を行わせる。しかし充電量が十分でない場合には一般回路用開閉器14をオフとしたまま待機し、バッテリ17の充電量が回復した後に一般回路用開閉器14に投入動作を行わせる。その理由は、復電の直後に再び停電となることがあり、停電状態ではバッテリ17により一般回路用開閉器14をオフとしなければならないため、その能力を確認してから一般回路用開閉器14を投入することが好ましいためである。これにより、復電の直後に再び停電となった場合にも確実に一般負荷への給電を遮断することができることとなる。
【0023】
上記した実施形態においては、一般回路用開閉器14として自己保持機能を有するラッチリレーを用いたが、外部信号によって駆動されるブレーカを用いることもできる。ただしその場合にはブレーカを再投入するための外部投入装置をブレーカに隣接配置する必要がある。
【0024】
なお図2に示されるように、上記した実施形態においては分電盤筐体18a内の分岐回路16の片側のスペースに主幹ブレーカ12を配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器14を配置し、これを分岐回路16が接続される母線バー21を主幹ブレーカ12の反対側から接続する構造とした。主幹ブレーカ12と分岐回路16との位置関係は一般的な分電盤と同様であるから、このような配置を取れば既存の分電盤に一般回路用開閉器14と開閉制御部15とを組み込んだ時に一般回路用開閉器14から母線バー21への配線が容易であるから、本発明の電流管理機能付分電盤とする改造が容易に行える利点を生ずる。
【0025】
以上に説明したように、本発明によれば、停電時にも非常用回路13に接続された特定負荷には必要な電力を供給する一方、一般負荷への給電を停止することによって、非常用電源の容量を小さく出来るとともに、停電が長時間にわたる場合にも非常用電源5からの給電を継続することができる。なお本発明の電流管理機能付分電盤は特に集合住宅に適したものであるが、ホテル、病院、工場などの非常用電源を備えた施設にも広く適用できることはいうまでもない。また、非常用電源を備えた戸建住宅にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0026】
1 高圧電線の分岐線
2 変圧器
3 幹線開閉器
4 幹線
5 非常用電源
6 ガスコージェネレーション装置
7 太陽光発電装置
8 蓄電池
9 燃料電池
10 停電検出装置
11 幹線電源制御部
12 主幹ブレーカ
13 非常用回路
14 一般回路用開閉器
15 開閉制御部
16 分岐回路
17 バッテリ
18 分電盤
18a 分電盤筐体
19 幹線分電盤
20 遮断器
21 母線バー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非常用電源が接続された幹線に接続された主幹ブレーカの二次側に、外部から入力される停電復電信号により開閉制御される開閉制御部を備えた一般回路用開閉器を接続するとともに、この一般回路用開閉器の二次側に分岐回路を設け、また、この一般回路用開閉器と並列に非常用回路を接続したことを特徴とする電流管理機能付分電盤。
【請求項2】
一般回路用開閉器は駆動用のバッテリを備えたものであり、復電時に開閉制御部はこのバッテリの充電量が所定レベルに達していることを確認したうえで一般回路用開閉器に投入動作を行わせることを特徴とする請求項1記載の電流管理機能付分電盤。
【請求項3】
分電盤筐体内の分岐回路の片側のスペースに主幹ブレーカを配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の電流管理機能付分電盤。
【請求項4】
一般回路用開閉器が自己保持機能を有するラッチリレーであることを特徴とする請求項1記載の電流管理機能付分電盤。
【請求項1】
非常用電源が接続された幹線に接続された主幹ブレーカの二次側に、外部から入力される停電復電信号により開閉制御される開閉制御部を備えた一般回路用開閉器を接続するとともに、この一般回路用開閉器の二次側に分岐回路を設け、また、この一般回路用開閉器と並列に非常用回路を接続したことを特徴とする電流管理機能付分電盤。
【請求項2】
一般回路用開閉器は駆動用のバッテリを備えたものであり、復電時に開閉制御部はこのバッテリの充電量が所定レベルに達していることを確認したうえで一般回路用開閉器に投入動作を行わせることを特徴とする請求項1記載の電流管理機能付分電盤。
【請求項3】
分電盤筐体内の分岐回路の片側のスペースに主幹ブレーカを配置し、反対側のスペースに一般回路用開閉器を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の電流管理機能付分電盤。
【請求項4】
一般回路用開閉器が自己保持機能を有するラッチリレーであることを特徴とする請求項1記載の電流管理機能付分電盤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−143046(P2012−143046A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292660(P2010−292660)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
[ Back to top ]