説明

電源供給制御装置

【課題】本発明は印刷装置の消費電力を軽減しつつ、リレーの寿命を確実に把握し、リレーの交換を効率よく行うことができる電源供給制御装置を提供するものである。
【解決手段】電源供給制御装置であって、電源と負荷の間に接続された第1、第2の電源供給切替手段と、上記第1電源供給切替手段を所定回数駆動し、以後前記第1、第2の電源供給切替手段を交互に駆動する駆動制御手段と、上記第1、第2の電源供給切替手段の駆動不良を検知し、交換指示を行う不良検知表示手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置等に使用される電源供給制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、地球環境の保持が世界的に叫ばれ、地球温暖化防止会議を中心として温室効果ガスの排出規制が実現化に向かっている。このような状況において、プリンタ装置や複写機等の印刷装置においても、消費電力の削減が要求されている。このため、印刷装置のなかでも特に消費電力の大きい熱定着装置の温度を低く保つ、省電力モードの設定は重要である。
【0003】
この省電力モードの設定にリレーを使用する場合も多い。しかし、リレーを使用した場合、オン/オフ回数が約10万回で寿命となる。一方、印刷装置の寿命は、印刷枚数として50万枚と考えた場合、印刷終了後直ちにリレーを駆動して省電力モードに設定する場合、100万回(50万×2(オン/オフ))リレーを駆動することになり、10個のリレーが必要となる。
【0004】
また、印刷装置の省電力モードへの移行を、例えば15分間印刷動作が行われない場合とすると、1日8時間として64回(8×60分÷15×2)のリレー駆動が行われ、印刷装置の寿命される5年間では83、200回(64×5日×52週×5年)のリレー駆動が行われることになる。
【0005】
尚、特許文献1は予め交換時期が設定されたファンや電解コンデンサ等の部品について、現実の使用状況に従って交換時期を演算し、適正な交換時期に部品の交換を行い、交換頻度を減らす発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−281001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記リレーの駆動例の場合以下の問題がある。例えば、15分間印刷動作が行われない場合省電力モードへの移行する例では、リレーの駆動回数は8万2千回程度でリレーの寿命(10万回)以内の駆動回数であるが、15分間電力消費が行われていることを考えると、地球環境保護の点から好ましくない。
【0008】
また、印刷終了毎にリレーを駆動して省電力モードに移行する場合には、多くのリレーを必要とし、例えば当初から10個リレーを配設する場合には、何れのリレーが寿命に達しているのか判断することが困難である。また、当初1個リレーを配設する場合には、リレーを頻繁に交換する必要があり、例えばリレーがオフ状態で寿命に達し、故障すると印刷装置に電源が入らず、障害となる。一方、リレーがオン状態で寿命に達し、印刷装置の電源が切れない場合には、無駄な電力を消費することになり好ましくない。
【0009】
そこで、本発明は印刷装置の消費電力を軽減しつつ、リレーの寿命を確実に把握し、リレーの交換を効率よく行うことができる電源供給制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は第1の発明によれば、電源と負荷の間に接続された第1、第2の電源供給切替手段と、前記第1電源供給切替手段を所定回数駆動し、以後前記第1、第2の電源供給切替手段を交互に駆動する駆動制御手段と、前記第1、第2の電源供給切替手段の駆動不良を検知し、交換指示を行う不良検知表示手段とを有する電源供給制御装置を提供することによって達成できる。
【0011】
また、上記課題は第2の発明によれば、前記第1の電源供給切替手段を駆動する所定回数は、前記第1の電源供給切替手段の寿命駆動回数の1/2の駆動回数である電源供給制御装置を提供することによって達成できる。
【0012】
また、上記課題は第3の発明によれば、前記第1、第2の電源供給切替手段の駆動履歴を記憶する記憶手段を有し、前記駆動履歴に基づいて前記第1、又は第2の電源供給切替手段の駆動を行う電源供給制御装置を提供することによって達成できる。
【0013】
また、上記課題は第4の発明によれば、前記第1、第2の電源供給切替手段は、リレーである電源供給制御装置を提供することによって達成できる。
【0014】
さらに、上記課題は第5の発明によれば、前記負荷は、印刷装置である電源供給制御装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、少ないメモリ容量で印刷装置の消費電力を計算でき、リザーブのメモリ容量も必要なく、印刷速度の変更においても容易に対応できる消費電力計算装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態の電源供給制御装置を含む印刷装置のシステム構成図である。
【図2】EEPROMの構成を示す図である。
【図3】本実施形態の処理を説明するフローチャートである。
【図4】リレーの寿命表示を説明するフローチャートである。
【図5】リレーの交換処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電源供給制御装置を含む印刷装置のシステム構成図である。同図において、本実施形態における電源供給制御装置1は、印刷装置であるプリンタ装置2に電源供給を行う。電源供給制御装置1はオペレーションパネル3が接続された電源制御部4、2つのリレー5、6、+5V電源7、+24V電源8、及び電源スイッチSWで構成されている。
【0018】
電源制御部4はMPU9及びEEPROM10を備え、+5V電源7を通して電源供給が行われて際、プリンタ装置2に電源投入を通知し、リレー5、6の何れかを駆動する指示信号(RP1又はRP2)を出力する制御を行う。また、オペレーションパネル3からの利用者の操作信号も入力し、指示に従った処理をプリンタ装置2に実行させる。尚、電源制御部4にはLANケーブルを介してパーソナルコンピュータ(PC)からの指示が行われる。
【0019】
MPU9は上記制御を行い、EEPROM10には後述するリレー5及び6の交換回数等のデータが記録される。図2はEEPROM10のデータ構成を示す図である。同図に示すように、EEPROM10はリレー5及び6の交換回数の記憶エリア、リレー5及び6の駆動回数の記憶エリア、及び前回使用したリレー5又は6の記憶エリアで構成されている。尚、前回使用したリレー5又は6の記憶エリアには、リレー5を使用した場合フラグ“0”がセットされ、リレー6を使用した場合フラグ“1”がセットされる構成である。
【0020】
+5V電源7は上記電源スイッチSWをオンした際、供給されるAC100Vの商用電源を+5Vの直流電源に変換する装置であり、+5V電源7から何れかのリレー5又は6を介してプリンタ装置2の制御回路に電源供給が行われる。また、+24V電源8はAC100Vの商用電源を+24Vの直流電源に変換し、プリンタ装置2に設置されたモータや冷却ファン等に供給される。尚、AC100Vの商用電源は不図示のヒータへも電源供給される。
【0021】
一方、プリンタ装置2はインターフェースコントローラ(以下、I/Fコントローラで示す)12、ヘッド制御部13、エンジン制御部14、印字ヘッド15で構成されている。I/Fコントローラ12はMPU16を備え、例えばパーソナルコンピュータ(PC)から供給された印刷データのコマンド解析を行い、印刷データをビデオデータに変換し、ヘッド制御部13に送信する。ヘッド制御部13は垂直同期信号(VSYNC)、及び水平同期信号(HSYNC)をI/Fコントローラ12に送信し、水平同期信号(HSYNC)に同期して上記ビデオデータをI/Fコントローラ12から受信する。
【0022】
ヘッド制御部13はビデオ変換部18、RAM19、補正データ変換部20で構成され、ビデオ変換部18はI/Fコントローラ12から送信されたビデオデータの階調制御を行い、その際補正データ変換部20の補正データを加味したデータ変換処理を行う。そして、ビデオデータはヘッド制御部13から印字ヘッド15に送信され、印字ヘッド15による用紙への印字処理が行われる。尚、印字ヘッド15は、本例において、ブラック(K)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)の4色の印字処理を行う印字ヘッド15K、15Y、15C、15Mで構成されている。
【0023】
エンジン制御部14はMPU21、ROM22、ファン23、各種入出力センサ/クラッチ24、モータ制御部25、定着制御部26、及びヒータ27a、27bで構成されている。エンジン制御部14はROM22に記憶されたプログラムに従って、ファン23や各種入出力センサ/クラッチ24、モータ制御部25、定着制御部26、及びヒータ27a、27bの駆動制御を行う。また、上記構成のエンジン制御部14を駆動するための電源は前述の+5V電源7や+24V電源8から供給される。
【0024】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図3は本例の処理を説明するフローチャートである。先ず、前述の電源スイッチSWをオンすると、データ受信部7を介して+5Vの直流電源が電源制御部4に供給され、MPU9は初期化処理を行う(ステップ(以下、Sで示す)1)。
【0025】
次に、MPU9はEEPROM10を駆動し(S2)、EEPROM10に記憶されたデータを読み出す。前述のように、EEPROM10は図2に示す構成であり、リレー5又は6の交換回数の情報や、リレー5又は6の駆動回数の情報が記憶されている。したがって、MPU9は上記EEPROM10の記憶された情報に基づいてリレー5及び6の交換情報を読み出し、未だリレー5又は6の交換が行われていない場合(S3がNO)、リレー5が寿命の半分の駆動回数に達したか判断する(S4)。
【0026】
ここで、例えばリレー5の寿命駆動回数が50万回であるとすれば、リレー5が25万回以上駆動していなければ(S4がYES)、リレー5をオンし、リレー5の駆動回数を+1し、前回使用のリレーとしてリレー5をセットする(S5)。すなわち、前述のように図2に示すEEPROM10の対応するエリアに“0”をセットする。尚、上記リレー5の寿命判断もEEPROM10に記憶されたデータに基づいて行われる。
【0027】
次に、リレー交換表示処理を行う(S6)。図4はこのリレー交換表示処理を具体的に説明するフローチャートである。すなわち、先ずリレー5の寿命を判断し(S6−1)、リレー5が寿命に達していれば(S6−1がYES)、リレー5の交換表示をオペレーションパネル3に行い(S6−2)、リレー5が寿命に達していなければ(S6−1がNO)、更にリレー6の寿命判断を行う(S6−3)。そして、リレー6が寿命に達していれば(S6−3がYES)、リレー6の交換表示を行い(S6−4)、リレー6が寿命に達していなければ(S6−3がNO)、次の処理に移行する。
【0028】
尚、最初の判断では、リレー5及び6は寿命に達しておらず、プリンタ装置2には電源スイッチSWのオンに従ってプリンタ装置2には電源供給が行われており、印刷データに従って印刷データを受信し、又はキー操作に従って印刷処理を行う(S7、S8)。
【0029】
その後、印刷処理が終了すると(S9がYES)、予め設定された所定時間の経過を待って(S10がYES)、エンジン制御部14等への電源供給を停止する指定が行われ(S11)、省電力モードに設定される(S12)。
【0030】
その後、現在使用中のリレーを判断し(S13)、リレー5を使用していれば(S13がYES)、リレー5を駆動してプリンタ装置2への電源供給を停止し、リレー5の駆動回数を+1し、前回使用のリレーとしてリレー5をセットする(S14)。そして、パーソナルコンピュータ(PC)からの新たな印刷データの受信、又はキー操作信号の入力を待つ(S15)。
【0031】
その後、プリンタ装置2が印刷処理(S8)を繰り返し、リレー5のオン、オフ動作が繰り返されると、リレー5の寿命である50万回の駆動回数に達する(S4がYES)。リレー5が寿命の駆動回数に達すると、電源制御部4のMPU9はEEPROM10の情報に基づいて前回使用のリレーを判断する(S16)。最初のこの判断では、前回使用のリレーはリレー5であり(S16がYES)、リレー6をオンし、リレー6の駆動回数を+1し、前回使用のリレーとしてリレー6をセットする(S17)。この場合、図2に示すEEPROM10の対応するエリアに“1”がセットされる。
【0032】
その後、印刷処理(S8)を行い、リレー6をオフし、リレー6の駆動回数を+1し、省電力モードへの移行処理を行う(S13、S18)。
以後、判断(S3)がYESとなり、前回使用したリレーの判断を行い(S16)、リレー5と6を交互に駆動して(S5又はS14、S17又はS18)、印刷処理を行う(S8)。したがって、EEPROM10のリレー5又は6の駆動回数の記憶エリアには、交互に加算される駆動回数のデータが書き込まれ、最初にリレー5の駆動回数が寿命である駆動回数50万回に達する。
【0033】
この時、前述の図4に示すフローチャートの処理に従ってリレー交換表示が行われる(S6、S6−2)。この表示に従って、例えばプリンタ装置2の管理者がリレー5の交換処理を行うと、図5に示すフローチャートに示すように、EEPROM10のリレー5の交換回数を+1する(ステップ(以下、STで示す)1がYES、ST2)。
【0034】
したがって、上記のように本例によれば何れかのリレー5又は6が寿命に達した時、交換すべきリレー5又は6がオペレーションパネル3に表示され、管理者は容易に交換が必要なリレー5又は6の判断を行うことができる。
【0035】
その後、更にプリンタ装置2による印刷処理は繰り返され、次にリレー6が寿命の50万回の駆動回数に達する。この場合も前述と同様、図4に示すフローチャートの処理に従ってリレー交換表示が行われ(S6、S6−2)、この表示に従って、例えばプリンタ装置2の管理者がリレー6の交換処理を行うと、図5に示すフローチャートに示すように、EEPROM10のリレー6の交換回数を+1する(ST3がYES、ST4)。
【0036】
以後、上記処理を繰り返し、リレー5又は6が寿命の駆動回数50万回に達する毎にEEPROM10のリレーの交換回数の記憶エリアには、何れかのリレーの交換回数の加算処理が繰り返される。
【0037】
以上のように本実施形態によれば、最初リレー5の駆動を連続し、例えば寿命の半分に達した後、リレー6の駆動を開始し、以後交互に駆動を繰り返すことによって、リレー5及び6が順番に寿命に達し、更に寿命となったリレー5又は6の表示を行うことによって、容易に交換すべきリレーを知ることができる。
【0038】
また、リレーの交換を容易かつ確実に行うことができるので、例えばリレーがオフ状態で寿命に達した場合、印刷装置の電源が入らない問題を無くすことができる。例えば、リレー5がオフ状態で故障した場合、前回使用のリレーか否かの判断を行い(S19)、この場合判断(S19)がNOとなり、リレー6を駆動させてプリンタ装置2に電源を供給することができる。
【0039】
また、リレーがオン状態で寿命に達し、印刷装置の電源が切れない場合でも、前述のように交換すべきリレーの表示を行うことができるので、容易に寿命となったリレーの交換を行うことができる。また、容易に寿命となったリレーの交換を行うことができるので、無駄な電力消費を抑えることができる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・電源供給制御装置
2・・・プリンタ装置
3・・・オペレーションパネル
4・・・電源制御部
5、6・・リレー
7・・・+5V電源
8・・・+24V電源
9・・・MPU
10・・EEPROM
12・・I/Fコントローラ
13・・ヘッド制御部
14・・エンジン制御部
15、15K、15Y、15C、15M・・印字ヘッド
21・・MPU
22・・ROM
23・・ファン
24・・各種入出力センサ/クラッチ
25・・モータ制御部
26・・定着制御部
27a、27b・・ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と負荷の間に接続された第1、第2の電源供給切替手段と、
前記第1電源供給切替手段を所定回数駆動し、以後前記第1、第2の電源供給切替手段を交互に駆動する駆動制御手段と、
前記第1、第2の電源供給切替手段の駆動不良を検知し、交換表示を行う不良検知表示手段と、
を有することを特徴とする電源供給制御装置。
【請求項2】
前記第1の電源供給切替手段を駆動する所定回数は、前記第1の電源供給切替手段の寿命駆動回数の1/2の駆動回数であることを特徴とする請求項1に記載の電源供給制御装置。
【請求項3】
前記第1、第2の電源供給切替手段の駆動履歴を記憶する記憶手段を有し、前記駆動履歴に基づいて前記第1、又は第2の電源供給切替手段の駆動を行うことを特徴とする請求項1、又は2に記載の電源供給制御装置。
【請求項4】
前記第1、第2の電源供給切替手段は、リレーであることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の電源供給制御装置。
【請求項5】
前記負荷は、印刷装置であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の電源供給制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58628(P2012−58628A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203882(P2010−203882)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】