説明

電球形蛍光灯

【目的】 ランプ光束および光束維持率の低下を抑制するとともに、外観を損なうことのない電球形蛍光灯を得る。
【構成】 口金5を有する不透光性カバー6とこれに固着された透光性グローブ7とからなる外囲器内に蛍光ランプ2および点灯装置3を保持したホルダ1を設ける。ホルダ1の表面全体にはシリカアクリル複合粒子エマルジョンと非イオン性界面活性剤とからなる保護膜4を有する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電球形蛍光灯に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の電球形蛍光灯は、非直線状蛍光管(以下、蛍光ランプという)と点灯装置とが固着されたホルダを透光性グローブと不透光性カバーとからなる外囲器内に設けた構造になっている(特開昭62−252003号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電球形蛍光灯では、外囲器内に設けた蛍光ランプおよび点灯装置からの熱や、雰囲気温度の差、すなわち内気圧と外気圧との差により外気の酸素または水分が外囲器に対し出たり入ったりする呼吸作用現象等の影響を受けて、外囲器内に蛍光ランプおよび点灯装置を保持しているポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなるホルダが劣化することがあった。劣化が進むとホルダの表面から白色の粉末が析出し、グローブ内でこの白色の粉末が散乱することがあった。さらには、蛍光ランプから放射される紫外線の影響でホルダが黄色く変色してしまい、蛍光ランプからの光が吸収されランプ光束および光束維持率が低下するとともに、外観も大きく損なわれるという問題があった。
【0004】本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ランプ光束および光束維持率の低下を抑制するとともに、外観を損なうことのない電球形蛍光灯を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の電球形蛍光灯は、外囲器内に少なくとも蛍光管を保持したホルダを設けた電球形蛍光灯であって、前記ホルダの表面全体に高分子樹脂と非イオン性界面活性剤とからなる保護膜を形成している。また、本発明の電球形蛍光灯は、外囲器内に少なくとも蛍光管を保持したホルダを設けた電球形蛍光灯であって、前記ホルダの表面全体に高分子樹脂と非イオン性界面活性剤と無機白色顔料とからなる保護膜を形成している。
【0006】
【作用】この構成により、熱や酸素および水分等の影響によるホルダの表面の経時劣化を防止し、白色粉末の析出を抑制することができる。また、ホルダ表面が黄色く変色することを抑制することができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0008】実施例1本発明の実施例1の電球口金形蛍光灯は、図1に示すように、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる帽状のホルダ1とこのホルダ1に保持された非直線状蛍光管2(以下、蛍光ランプという)と点灯装置3とを備え、ホルダ1は口金5を有する不透光性カバー6とこれに固着された透光性グローブ7とからなる外囲器内に設けられ、カバー6に取り付けられている。ホルダ1の表面全体にはシリカアクリル複合粒子エマルジョンと非イオン性界面活性剤とからなる保護膜4が形成されている。ホルダ1の外観を図2に示す。なお、保護膜4は次のようにして得られる。すなわち、シリカアクリル複合粒子エマルジョン(40%濃度)1000gと非イオン性界面活性剤(10%濃度水溶液)10ccとを十分に攪拌混合した液をホルダ1の表面全体に塗布し、70℃のオーブンに約5分間入れて乾燥することにより得られる。
【0009】実施例2この実施例2の電球口金形蛍光灯は実施例1で用いた保護膜4の代わりに、水分散高分子ポリエステルと非イオン性界面活性剤とからなる保護膜を用い、これをホルダ1の表面全体に形成した構成を有する。なお、実施例2で用いた保護膜は次のようにして得られる。すなわち、水分散高分子ポリエステル1000gと非イオン性界面活性剤(10%濃度水溶液)10ccとを十分に攪拌混合した液をホルダ1の表面全体に塗布し、70℃のオーブンに約5分間入れて乾燥することにより得られる。
【0010】本発明実施例1、2の電球口金形蛍光灯と従来の電球口金形蛍光灯(以下、従来品という)についての初光束、ランプ寿命の6000時間点灯後の光束維持率および外観の視観的評価を表1に示す。
【0011】
【表1】


【0012】なお、外観の視観的評価は次の5段階評価で行った。すなわち、5はきわめて良好、4は良好、3は普通、2は悪い、1はきわめて悪いをそれぞれ意味する。
【0013】表1から明らかなように、実施例1、2の初光束は従来品の初光束と同等以上の値を示しており、また実施例1、2の光束維持率は従来品と比して4〜5%向上していることがわかる。また、外観の視観的評価においても従来品の1に対して実施例1は5できわめて良好、実施例2は4で良好であり、高分子樹脂と非イオン性界面活性剤とからなる保護膜はホルダ表面の経時劣化、すなわち、白色粉末の析出を抑制する効果があることがわかる。
【0014】以上のように、本発明の実施例1、2の電球口金形蛍光灯は、蛍光ランプ2を保持したホルダ1の表面全体に、高分子樹脂と非イオン性界面活性剤とからなる保護膜4を形成することによって、ホルダ1の表面からの白色粉末の析出を抑制できるため、ランプ寿命6000時間点灯後も、グローブ1内部に白色粉末が散乱するのを防止することができる。このため従来品とそん色のない初光束を有し、外観を損なうことがなく、光束低下を抑制し光束維持率を向上させることができる。
【0015】また、高分子樹脂と非イオン性界面活性剤とを混合することにより、ホルダ1の表面をはじくことなく均一な厚みを有し、かつ表面が平滑な保護膜を形成することができる。
【0016】次に、本発明の他の実施例について説明する。
実施例3この実施例3の電球口金形蛍光灯は、実施例1で用いた保護膜4の代わりにシリカアクリル複合粒子エマルジョンと非イオン性界面活性剤と酸化チタンとからなる保護膜を用いたものである。この保護膜は次のようにして得られる。すなわち、シリカアクリル複合粒子エマルジョン(40%濃度)1000gと非イオン性界面活性剤(10%濃度水溶液)10ccと酸化チタン1000gとを十分に攪拌混合し分散させた懸濁液をホルダ1の表面全体に塗布し、70℃のオーブンに約5分間入れて乾燥することにより得られる。
【0017】実施例4この実施例4の電球口金形蛍光灯は、実施例3で用いた保護膜の代わりに、シリカアクリル複合粒子エマルジョンと非イオン性界面活性剤と酸化亜鉛とからなる保護膜を用い、これをホルダの表面全体に形成したものである。この保護膜は次のようにして得られる。すなわち、シリカアクリル複合粒子エマルジョン(40%濃度)1000gと非イオン性界面活性剤(10%濃度水溶液)10ccと酸化亜鉛1000gとを十分に攪拌混合し分散させた懸濁液をホルダの表面全体に塗布し、70℃のオーブンに約5分間入れて乾燥することにより得られる。
【0018】実施例5この実施例5の電球口金形蛍光灯は、実施例3で用いた保護膜の代わりにシリカアクリル複合粒子エマルジョンと非イオン性界面活性剤とアルミナとからなる保護膜を用いたものである。この保護膜は次のようにして得られる。すなわち、シリカアクリル複合粒子エマルジョン(40%濃度)1000gと非イオン性界面活性剤(10%濃度水溶液)10ccとアルミナ1000gとを十分に攪拌混合し分散させた懸濁液をホルダ1の表面全体に塗布し、70℃のオーブンに約5分間入れて乾燥することにより得られる。
【0019】上記実施例3、4、5の電球口金形蛍光灯と従来品についての初光束、6000時間点灯後の光束維持率、外観の視観的評価、およびホルダの黄色変色度合の評価を表2に示す。
【0020】
【表2】


【0021】なお、ホルダの黄色変色度評価は次の5段階評価で行った。すなわち、5は変色度が小、4はやや小、3は中、2はやや大、1は大をそれぞれ意味する。
【0022】表2から明らかなように、実施例3、実施例4および実施例5の電球口金形蛍光灯の初光束は従来品に比して0.5〜1.0%向上していることがわかる。また、6000時間点灯後の光束維持率についても、従来品より7.1〜7.5%向上していることがわかる。さらに、外観の視観的評価およびホルダの黄色変色度評価については、従来品の外観の視観的評価が1できわめて悪く、また変色度が大であるのに比して実施例3、4、5は外観の視観的評価が5できわめて良好で、かつ変色度が小でホルダ表面の経時劣化、すなわち白色粉末の析出、さらにホルダの変色を抑制する保護膜の効果があることがわかる。
【0023】以上のように、本発明の実施例3、4、5の電球口金形蛍光灯は、蛍光ランプを保持したホルダの表面全体に、高分子樹脂と非イオン性界面活性剤と無機白色顔料とからなる保護膜を形成することによって、本発明の実施例1、2の効果に加え、ホルダの表面の黄色変色を抑制できるため、ランプ寿命の6000時間点灯後も、ホルダの変色によってランプ光束および光束維持率の低下をさらに抑制することができ、また外観が損なわれることがないという効果がある。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電球形蛍光灯は、ホルダの表面全体に高分子樹脂と非イオン性界面活性剤とからなる保護膜を形成することにより、ホルダ表面からの白色粉末の析出を抑制することができるため、ランプの寿命である6000時間点灯後も、グローブ内部で白色粉末が散乱するのを防止することができる。このため外観を損なうことがなく、従来のものとそん色のない初光束を有し、光束維持率を向上することができる。また、ホルダの表面全体に高分子樹脂と非イオン性界面活性剤と無機白色顔料とからなる保護膜をホルダの表面全体に形成することにより、上記効果に加えホルダの変色を抑制することができるため、変色による電球形蛍光灯の外観を損なうことがなくなり、さらに初光束および光束維持率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の電球口金形蛍光灯の断面図
【図2】同じく電球口金形蛍光灯のホルダの斜視図
【符号の説明】
1 ホルダ
2 蛍光管
3 点灯装置
4 保護膜
6 カバー
7 グローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】外囲器内に少なくとも蛍光管を保持したホルダを設けた電球形蛍光灯であって、前記ホルダの表面全体に高分子樹脂と非イオン性界面活性剤とからなる保護膜を形成したことを特徴とする電球形蛍光灯。
【請求項2】外囲器内に少なくとも蛍光管を保持したホルダを設けた電球形蛍光灯であって、前記ホルダの表面全体に高分子樹脂と非イオン性界面活性剤と無機白色顔料とからなる保護膜を形成したことを特徴とする電球形蛍光灯。

【図2】
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【図1】
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