電球装置および電球装置の製造方法
【課題】容易に溶接固着可能な保持バンドを有する電球装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】係合部10が形成された封止部6を有する電球2と、封止部6周縁に配置される保持バンド3とを具備し、保持バンド3は封止部6を挟んで対向してなる第1および第2の保持バンド半体11、12を有し、第1および第2の保持バンド半体11、12は、電球2の封止部6の係合部10と係合する係合部14、14が形成された係合面13と、係合面13、13の両端に形成され封止部6と近接する第1のフランジ15、15および第2のフランジ16、16とを有し、電球2の封止部6を挟んで前記第1および第2の保持バンド半体11、12を係合する保持バンド係合工程と、第1および第2の保持バンド半体11、12に配置された第1および第2のフランジ15、16とをそれぞれ重ねて圧接する保持バンド圧接工程と、保持バンド圧接工程で圧接した第1および前記第2のフランジ15、16とをそれぞれ溶接する保持バンド溶接工程を有する。
【解決手段】係合部10が形成された封止部6を有する電球2と、封止部6周縁に配置される保持バンド3とを具備し、保持バンド3は封止部6を挟んで対向してなる第1および第2の保持バンド半体11、12を有し、第1および第2の保持バンド半体11、12は、電球2の封止部6の係合部10と係合する係合部14、14が形成された係合面13と、係合面13、13の両端に形成され封止部6と近接する第1のフランジ15、15および第2のフランジ16、16とを有し、電球2の封止部6を挟んで前記第1および第2の保持バンド半体11、12を係合する保持バンド係合工程と、第1および第2の保持バンド半体11、12に配置された第1および第2のフランジ15、16とをそれぞれ重ねて圧接する保持バンド圧接工程と、保持バンド圧接工程で圧接した第1および前記第2のフランジ15、16とをそれぞれ溶接する保持バンド溶接工程を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車前照灯や一般照明に用いられる電球装置の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、略楔形状の圧潰封止部を有する電球と、電球の圧潰封止部周縁を保持バンドで保持した電球装置が知られている。特開2008−66234号公報(以下、特許文献1)には、保持バンドの半体が相互に組合わされ、相対する保持バンドの封止部の短面と0.1mm以上の隙間を有して面同士が溶接固着されている電球装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−66234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電球装置では保持バンドを重ね合わせるときに位置合わせが難しく、隙間を生じやすいため、溶接が困難であるという問題があることが判明した。
【0005】
本発明の目的は、容易に溶接固着可能な保持バンドを備えた電球装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電球装置の製造方法は、係合部が形成された封止部を有する電球と、前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向してなる第1および第2の保持バンド半体を有し、前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する被係合部が形成された被係合面と、前記被係合面の両端に形成され前記封止部と近接する第1のフランジおよび第2のフランジとを有し、前記電球の前記封止部を挟んで前記第1および第2の保持バンド半体を係合する保持バンド係合工程と、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ重ねて圧接する保持バンド圧接工程と、前記保持バンド圧接工程で圧接した、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ溶接する保持バンド溶接工程とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電球装置は、係合部が形成された封止部を有する電球と、前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向する第1および第2の保持バンド半体を有し、前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する被係合部が形成された被係合面と、前記係合面の両端に互いに対向するように形成される第1のフランジおよび第2のフランジと、を有し、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジは、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジとそれぞれ溶接固着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に溶接固着可能な保持バンドを備えた電球装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電球装置の斜視図。
【図2】図1の電球装置に用いる電球の斜視図。
【図3】図1の電球装置を一点鎖線A−A’に沿って切断した断面図。
【図4】図1の電球装置に用いる保持バンド半体の斜視図。
【図5】図1の電球装置に用いる保持バンド半体の上面図。
【図6】図1の電球装置をベースに溶接固着した状態を示す斜視図。
【図7】図1の電球装置の封止部に保持バンドを組み立てる工程を示す水平断面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電球装置を組み立てる工程を示す水平断面図。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る電球を示す斜視図。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る電球を示す斜視図。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る保持バンド半体を示す上面図。
【図12】本発明のさらに他の実施に係る保持バンド半体を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電球装置を示す斜視図である。
【0011】
電球装置1は、電球2と、これに溶接固着され、電球2を保持する保持バンド3とから構成される。電球2について、図2を用いて更に詳しく説明する。
【0012】
電球2は、図2に示すように、ガラスバルブ4、リード線5、封止部6、チップ7により構成される。
【0013】
ガラスバルブ4は、透光性を有し、内部にフィラメントや希ガスおよびハロゲン化物(図示しない)が気密に封入される。ガラスバルブ4は曲線と直線とを組み合わせた異形球面状であり、例えばホウ珪酸ガラスのような硬質ガラスで構成される。
【0014】
リード線5は、ガラスバルブ4内部に配置されたフィラメント(図示しない)を保持し、またフィラメントに電力を供給するため、電球2外部と電気的に接続されている。リード線5は、略直線状に形成されている。リード線5は、例えばガラスバルブ4内部から封止部6の中央までがモリブデン、封止部6の中央から電球2の外部までがニッケルで構成される。
【0015】
封止部6は、ガラスバルブ4内を気密に保つ。封止部6はガラスバルブ4と同一部材で、ガラスバルブ4の下部をピンチシールすることにより略楔形に形成される。封止部6の内部には、リード線5の一部が埋設されている。
【0016】
チップ7は、ガラスバルブ4内部に希ガスやハロゲン化物(図示しない)を封入するためにガラスバルブ4の頂上に設けられ、希ガスやハロゲン化物封入後、焼き切られる。チップ7はガラスバルブ4と同一部材である。
【0017】
ここで、封止部6について、更に詳しく説明する。
【0018】
封止部6は、それぞれ矩形の幅狭面8および幅広面9からなる略立方体形状を有している。
【0019】
幅広面9は、幅狭面8と比べて面積が大きく、その中央部に係合部10を有する。
【0020】
係合部10は封止部6が形成されるときに一体的に形成され、その形状は例えば略立方体の凸形状である。
【0021】
保持バンド3は、電球2を後述するベース21に固定するために設けられる。
【0022】
保持バンド3は、封止部6の周縁に、封止部6を介して対向する、第1の保持バンド半体および第2の保持バンド半体11、12により構成される。第1および第2の保持バンド半体11、12は同じ形状を有しているため、以下では一方の保持バンド半体11についてのみ、図3ないし5を用いて更に詳しく説明する。
【0023】
図3は図1の電球装置を一点鎖線A−A’に沿って切断した断面図、図4は保持バンド半体11の斜視図、図5は保持バンド半体11の上面図である。
【0024】
保持バンド半体11は、帯状の金属板、例えばステンレス板を略コ字状に曲折して一体的に形成したものである。保持バンド半体11は、中央の係合面13とその両端に、係合面13の一方の側に略垂直方向に曲折形成された第1のフランジ15および第2のフランジ16からなり、第1のフランジ15および第2のフランジ16は、相互に対向するように配置される。係合面13の略中央には係合部14が形成されている。第1のフランジ15の先端には、更に外側に向かって屈曲された屈曲面17が形成され、第2のフランジ16より屈曲面17部分だけ長く形成されている。また、係合面13の長手方向の略中央部には、係合面13の下側縁部から、第1のフランジ15、第2のフランジ16と反対側に向かって屈曲された舌片18が形成される。
【0025】
保持バンド半体11の係合面13は、封止部6の幅広面9と接触するように配置される。また、係合面13の略中央に形成された係合部14には、封止部6の幅広面9に形成された係合部10が係合する。
【0026】
保持バンド半体11の第1のフランジ15は、後述するように第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16と接触し溶接固着される。第1のフランジ15は、係合面13とのなす角αが90°以上であることが望ましい。第1のフランジ15の先端には、屈曲面17が形成されている。
【0027】
屈曲面17は、第1のフランジ15の先端を、第1のフランジ15よりも更に角度γだけ外側に折り曲げられて形成される。
【0028】
第2のフランジ16は、第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15と接触し溶接固着される。第2のフランジ16は、係合面13とのなす角βが90°以上であることが望ましい。
【0029】
第1の保持バンド半体11の舌片18は、図6に示すように、電球装置1とベース21に設けられた接片22と溶接固着される。ベース21には複数の接片22が設けられており、第1および第2の保持バンド半体11、12の第1のフランジ15あるいは第2のフランジ16とも溶接固着される。
【0030】
次に、図1に示す電球装置1の製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、電球装置1の下部封止部6およびその周囲に設けられる保持バンド3部分の水平断面図である。
【0031】
電球装置1を組み立てる工程は、保持バンド係合工程、保持バンド圧接工程、保持バンド溶接工程からなる。
【0032】
保持バンド係合工程は、図7(a)に示す、電球2の封止部6に、図7(b)に示すように第1および第2の保持バンド半体11、12を、電球2の封止部6を挟むように対向配置する。この場合、図7(b)に示すように、第1の保持バンド半体11と第2の保持バンド半体12とは、長手方向の向きが互いに反対になるように対向配置される。そして、第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15と第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16とが、封止部6の一方の幅狭面8において互いに接触係合するように配置される。したがって、第1の保持バンド半体11の第2のフランジ16と第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15とが、封止部6の他方の幅狭面8において互いに接触係合するように配置される。このとき、封止部6の幅広面9に形成された係合部10、10は、第1、第2の保持バンド半体11、12の係合部14、14にそれぞれ係合する。
【0033】
保持バンド圧接工程は、図7(b)に示す状態で、第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15と、第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16とを、第1および第2のバンド半体11、12の第1のフランジ15の外側から圧力をかけて変形させ、図7(c)に示すように第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15と第2の保持バンド半体の第2のフランジ16、第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15と第1の保持バンド半体11の第2のフランジ16をそれぞれ圧接する。このとき、図7(c)および図7(c)の破線部を拡大した図7(d)に示すように第1および第2の保持バンド半体11、12の第1のフランジ15、15の先端に配置された屈曲面17、17に圧力をかけるのが望ましい。これは、第1および第2の保持バンド半体11、12の第1のフランジ15、15に圧力をかけるよりも、屈曲面17、17に圧力をかける方が、圧力をかけるための治具を当てやすいためである。
【0034】
保持バンド溶接工程は、図7(c)および図7(d)に示す状態で、更に屈曲面17、17に圧力をかけながら、圧接した第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15および第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16、第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15および第1の保持バンド半体11の第2のフランジ16の外側から、例えばレーザーを照射して溶接する。これにより、図7(e)に示すように、第1のフランジ15および第2のフランジ16が一部溶融して溶接部19が形成され、第1および第2の保持バンド半体11、12が溶接固着されることで得られる保持バンド3が、電球2の封止部6に溶接固着された電球装置1を得る。
【0035】
保持バンド圧接工程後に更に屈曲面17、17に圧力をかけながら溶接するのは、第1のフランジ15と第2のフランジ16の溶接をより確実とするためである。第1のフランジ15と第2のフランジ16との間に隙間が生じると、溶接の際に第1のフランジ15由来の溶融物と第2のフランジ16由来の溶融物との接触面積が小さくなるため、結果溶接できず、または溶接できてもすぐに第1のフランジ15と第2のフランジ16とが離れることとなる。
【0036】
また、図7(e)に示すように、圧接後の第1の保持バンド半体11の係合面13と第1のフランジ15とのなす角度α’、第2の保持バンド半体12の係合面13と第2のフランジ16とのなす角度β’はそれぞれ約90°であることが望ましい。α’、β’をそれぞれ約90°とすることで、第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15、第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16同士がより密着することができるためである。なお、ここでいう“約90°”とは、その角度が90°に限定されている訳ではなく、例えば公差を含め90±5°であればよい。同様に、第2の保持バンド半体12の係合面13と第1のフランジ15とのなす角度α’、第1の保持バンド半体12の係合面13と第2のフランジ16とのなす角度β’もそれぞれ約90°であることが望ましい。上記のことから、第1のフランジ15および第2のフランジ16は封止部6の外側に向かって弾性力を保持したまま溶接されていることとなる。
【0037】
ここで、特許文献1には、保持バンドの半体が相互に組見合い、相対する保持バンドの封止部の短面と0.1mm以上の隙間を有して面同士が溶接固着されている電球装置が記載されている。ところが、特許文献1の方法では、保持バンドを重ね合わせるときに位置合わせが難しく、また、保持バンドを重ね合わせるときに隙間を生じやすいため、結果溶接が困難である。
【0038】
しかしながら、上記方法によれば、保持バンド半体と封止部の嵌合部とを嵌合するため、位置あわせが容易である。また、各保持バンドのフランジ同士を重ね合わせた後に圧接することで、第1のフランジおよび第2のフランジが互いに離れることがなくなるため、溶接工程で改めて第1のフランジおよび第2のフランジを押さえなくてよいことから、溶接工程にフランジ圧接機構を設けなくてよい。よって、溶接工程で溶接箇所の制約を受けることがなく、結果溶接をより確実に行うことができる。
【0039】
なお、第1および第2の保持バンド半体11、12がどのような方法によって溶接固着されたかどうかは判断することが可能である。例えば、本実施の形態のような製造方法で得られた電球装置1においては、第1の保持バンド半体11および第2の保持バンド半体12の係合面13、13を治具によって固定し、係合面13および第1のフランジ15もしくは第2のフランジ16の境界をウォータージェットのような第1および第2の保持バンド半体11、12に圧力をかけないで切断できる手段を用いてカットすると、第1のフランジ15および第2のフランジ16とが外側に向かって開く。これは、第1のフランジ15および第2のフランジ16が弾性力を保持したまま溶接されているためである。このことより、どのような製造方法を用いて製造したかを客観的に推定できる。
【0040】
したがって、上記構成によれば、容易に溶接固着可能な保持バンドを有する電球装置およびその製造方法を得ることができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。この第2の実施の形態の電球装置は、第1の実施の形態の電球装置と保持バンドの構造のみが異なり、他は同一であるため、同一部分には同一符号を付し、同一ではないが類似部分には´を付した符号で示し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
本実施の形態では、図8(a)に示すように、形状が異なる第1および第2の保持バンド半体11´、12´を組み合わせ、溶接固着することにより保持バンド3´を形成する。
【0043】
第1の保持バンド半体11´の係合面13は、第2の保持バンド半体12´に設けられた係合面13よりも長手方向の長さが大きく形成される。また、第1の保持バンド半体11´に設けられた第1のフランジ15および第2のフランジ16の先端には、それぞれ屈曲面17が設けられている。ここで、第1のフランジ15および第2のフランジ16はそれぞれ屈曲面17を含めて、互いに対称な形状を有している。他方第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16は、互いに対称な形状を有しているが、第1の保持バンド半体11´とは異なり、屈曲面17が設けられていないためその分だけの長手方向の長さよりも短く形成される。これにより、第1の保持バンド半体11´と第2の保持バンド半体12´とを係合させたとき、第1の保持バンド半体11´の第1のフランジ15および第2のフランジ16は、第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16よりも外側に位置することとなる。
【0044】
電球装置1の組み立ては、図8に示すように、第1の実施の形態と類似である。すなわち、保持バンド係合工程は、図8(a)に示すように、第1および第2の保持バンド半体11´、12´を、電球2の封止部6を挟んで対向配置させ、係合する。続いて、保持バンド圧接工程は、図8(a)に示す状態で、第1の保持バンド半体11´の第1のフランジ15と第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15、第2の保持バンド半体12´の第2のフランジ16と第1の保持バンド半体11´の第2のフランジ16とを相互に係合させ、第1の保持バンド11´の第1のフランジ15および第2のフランジ16の外側から圧力をかけてそれぞれ変形させ、図8(b)に示すように相互に圧接する。以降は第1の実施の形態と同様にして、図8(c)に示すように電球2の封止部6の周縁に保持バンド3´が係合された電球装置1を得ることができる。
【0045】
したがって、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、電球2と保持バンド3´の溶接をより確実にすることができる。なぜならば、本実施の形態に用いられている第1の保持バンド半体11´の係合面13は第2の保持バンド半体12´の係合面13よりも長いため、第1の保持バンド半体11´の第1のフランジ15および第2のフランジ16が、確実に第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16よりも外側となり、保持バンド係合工程で確実に第1および第2の保持バンド半体11´、12´双方のフランジ同士を重ね合わせることができるためである。
【0047】
なお、本発明は上記構成に限定されるものではなく、例えば以下の通りにしてもよい。
【0048】
ガラスバルブ4の形状は上記の実施形態に限定されず、例えば略球状でもよいし、略円筒型でもよい。
【0049】
また、ガラスバルブ4の内面や外面に膜を成膜してもよい。例えば、ガラスバルブ4の外面に塗料を塗布してもよいし、ガラスバルブ4の内面に赤外線反射膜を蒸着してもよい。
【0050】
また、リード線5の材質や形状は上記の実施形態に限定されない。例えば、リード線5には封止部6のガラスと線膨張係数がほぼ等しい、ジュメット線などを用いてもよいし、リード線5の表面に金属などをメッキしてもよい。
【0051】
また、チップ7はガラスバルブ4と比べて外気に触れる面積が大きく、ガラスバルブ4内でもっとも温度が下がりやすいため、外面に保温膜を塗布してもよい。
【0052】
また、電球2の封止部6に形成された係合部10の形状は上記の実施形態に限定されない。例えば図9のように、多角柱や円柱形状、多角錐や円錐などテーパー形状としてもよい。また、図10のように、係合部10は凸形状のみでなく、凹形状や、凹凸形状としてもよい。これに伴い、第1および第2の保持バンド半体11(11´)、12(12´)に設けられた係合部14は、電球2の封止部6に形成された係合部10と係合するように形成されればよい。
【0053】
また、図11のように、第1および第2の保持バンド半体11(11´)、12(12´)の接触をより確実とするため、第1および第2の保持バンド半体11、12の第2のフランジ16、または第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16の先端を更に外側に向かって折り曲げることにより形成される曲折部20を有してもよい。
【0054】
また、図12のように、第1および第2の保持バンド半体11(11´)、12(12´)を電球2の封止部6に係合させるときに第1および第2の保持バンド半体11、12の挿入を容易にするため、第1および第2の保持バンド半体11、12の第2のフランジ16、または第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16の先端を内側に向かって折り曲げることにより形成される曲折部20´を有してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 電球装置
2 電球
3 保持バンド
4 ガラスバルブ
5 リード線
6 封止部
7 チップ
8 幅狭面
9 幅広面
10 係合部
11、11´ 第1の保持バンド半体
12、12´ 第2の保持バンド半体
13 係合面
14 係合部
15 第1のフランジ
16 第2のフランジ
17 屈曲面
18 舌片
19 溶接部
20、20´ 曲折部
21 ベース
22 接片
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車前照灯や一般照明に用いられる電球装置の製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、略楔形状の圧潰封止部を有する電球と、電球の圧潰封止部周縁を保持バンドで保持した電球装置が知られている。特開2008−66234号公報(以下、特許文献1)には、保持バンドの半体が相互に組合わされ、相対する保持バンドの封止部の短面と0.1mm以上の隙間を有して面同士が溶接固着されている電球装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−66234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電球装置では保持バンドを重ね合わせるときに位置合わせが難しく、隙間を生じやすいため、溶接が困難であるという問題があることが判明した。
【0005】
本発明の目的は、容易に溶接固着可能な保持バンドを備えた電球装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電球装置の製造方法は、係合部が形成された封止部を有する電球と、前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向してなる第1および第2の保持バンド半体を有し、前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する被係合部が形成された被係合面と、前記被係合面の両端に形成され前記封止部と近接する第1のフランジおよび第2のフランジとを有し、前記電球の前記封止部を挟んで前記第1および第2の保持バンド半体を係合する保持バンド係合工程と、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ重ねて圧接する保持バンド圧接工程と、前記保持バンド圧接工程で圧接した、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ溶接する保持バンド溶接工程とを有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電球装置は、係合部が形成された封止部を有する電球と、前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向する第1および第2の保持バンド半体を有し、前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する被係合部が形成された被係合面と、前記係合面の両端に互いに対向するように形成される第1のフランジおよび第2のフランジと、を有し、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジは、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジとそれぞれ溶接固着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に溶接固着可能な保持バンドを備えた電球装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電球装置の斜視図。
【図2】図1の電球装置に用いる電球の斜視図。
【図3】図1の電球装置を一点鎖線A−A’に沿って切断した断面図。
【図4】図1の電球装置に用いる保持バンド半体の斜視図。
【図5】図1の電球装置に用いる保持バンド半体の上面図。
【図6】図1の電球装置をベースに溶接固着した状態を示す斜視図。
【図7】図1の電球装置の封止部に保持バンドを組み立てる工程を示す水平断面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る電球装置を組み立てる工程を示す水平断面図。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る電球を示す斜視図。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る電球を示す斜視図。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る保持バンド半体を示す上面図。
【図12】本発明のさらに他の実施に係る保持バンド半体を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電球装置を示す斜視図である。
【0011】
電球装置1は、電球2と、これに溶接固着され、電球2を保持する保持バンド3とから構成される。電球2について、図2を用いて更に詳しく説明する。
【0012】
電球2は、図2に示すように、ガラスバルブ4、リード線5、封止部6、チップ7により構成される。
【0013】
ガラスバルブ4は、透光性を有し、内部にフィラメントや希ガスおよびハロゲン化物(図示しない)が気密に封入される。ガラスバルブ4は曲線と直線とを組み合わせた異形球面状であり、例えばホウ珪酸ガラスのような硬質ガラスで構成される。
【0014】
リード線5は、ガラスバルブ4内部に配置されたフィラメント(図示しない)を保持し、またフィラメントに電力を供給するため、電球2外部と電気的に接続されている。リード線5は、略直線状に形成されている。リード線5は、例えばガラスバルブ4内部から封止部6の中央までがモリブデン、封止部6の中央から電球2の外部までがニッケルで構成される。
【0015】
封止部6は、ガラスバルブ4内を気密に保つ。封止部6はガラスバルブ4と同一部材で、ガラスバルブ4の下部をピンチシールすることにより略楔形に形成される。封止部6の内部には、リード線5の一部が埋設されている。
【0016】
チップ7は、ガラスバルブ4内部に希ガスやハロゲン化物(図示しない)を封入するためにガラスバルブ4の頂上に設けられ、希ガスやハロゲン化物封入後、焼き切られる。チップ7はガラスバルブ4と同一部材である。
【0017】
ここで、封止部6について、更に詳しく説明する。
【0018】
封止部6は、それぞれ矩形の幅狭面8および幅広面9からなる略立方体形状を有している。
【0019】
幅広面9は、幅狭面8と比べて面積が大きく、その中央部に係合部10を有する。
【0020】
係合部10は封止部6が形成されるときに一体的に形成され、その形状は例えば略立方体の凸形状である。
【0021】
保持バンド3は、電球2を後述するベース21に固定するために設けられる。
【0022】
保持バンド3は、封止部6の周縁に、封止部6を介して対向する、第1の保持バンド半体および第2の保持バンド半体11、12により構成される。第1および第2の保持バンド半体11、12は同じ形状を有しているため、以下では一方の保持バンド半体11についてのみ、図3ないし5を用いて更に詳しく説明する。
【0023】
図3は図1の電球装置を一点鎖線A−A’に沿って切断した断面図、図4は保持バンド半体11の斜視図、図5は保持バンド半体11の上面図である。
【0024】
保持バンド半体11は、帯状の金属板、例えばステンレス板を略コ字状に曲折して一体的に形成したものである。保持バンド半体11は、中央の係合面13とその両端に、係合面13の一方の側に略垂直方向に曲折形成された第1のフランジ15および第2のフランジ16からなり、第1のフランジ15および第2のフランジ16は、相互に対向するように配置される。係合面13の略中央には係合部14が形成されている。第1のフランジ15の先端には、更に外側に向かって屈曲された屈曲面17が形成され、第2のフランジ16より屈曲面17部分だけ長く形成されている。また、係合面13の長手方向の略中央部には、係合面13の下側縁部から、第1のフランジ15、第2のフランジ16と反対側に向かって屈曲された舌片18が形成される。
【0025】
保持バンド半体11の係合面13は、封止部6の幅広面9と接触するように配置される。また、係合面13の略中央に形成された係合部14には、封止部6の幅広面9に形成された係合部10が係合する。
【0026】
保持バンド半体11の第1のフランジ15は、後述するように第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16と接触し溶接固着される。第1のフランジ15は、係合面13とのなす角αが90°以上であることが望ましい。第1のフランジ15の先端には、屈曲面17が形成されている。
【0027】
屈曲面17は、第1のフランジ15の先端を、第1のフランジ15よりも更に角度γだけ外側に折り曲げられて形成される。
【0028】
第2のフランジ16は、第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15と接触し溶接固着される。第2のフランジ16は、係合面13とのなす角βが90°以上であることが望ましい。
【0029】
第1の保持バンド半体11の舌片18は、図6に示すように、電球装置1とベース21に設けられた接片22と溶接固着される。ベース21には複数の接片22が設けられており、第1および第2の保持バンド半体11、12の第1のフランジ15あるいは第2のフランジ16とも溶接固着される。
【0030】
次に、図1に示す電球装置1の製造方法について、図7を用いて説明する。図7は、電球装置1の下部封止部6およびその周囲に設けられる保持バンド3部分の水平断面図である。
【0031】
電球装置1を組み立てる工程は、保持バンド係合工程、保持バンド圧接工程、保持バンド溶接工程からなる。
【0032】
保持バンド係合工程は、図7(a)に示す、電球2の封止部6に、図7(b)に示すように第1および第2の保持バンド半体11、12を、電球2の封止部6を挟むように対向配置する。この場合、図7(b)に示すように、第1の保持バンド半体11と第2の保持バンド半体12とは、長手方向の向きが互いに反対になるように対向配置される。そして、第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15と第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16とが、封止部6の一方の幅狭面8において互いに接触係合するように配置される。したがって、第1の保持バンド半体11の第2のフランジ16と第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15とが、封止部6の他方の幅狭面8において互いに接触係合するように配置される。このとき、封止部6の幅広面9に形成された係合部10、10は、第1、第2の保持バンド半体11、12の係合部14、14にそれぞれ係合する。
【0033】
保持バンド圧接工程は、図7(b)に示す状態で、第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15と、第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16とを、第1および第2のバンド半体11、12の第1のフランジ15の外側から圧力をかけて変形させ、図7(c)に示すように第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15と第2の保持バンド半体の第2のフランジ16、第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15と第1の保持バンド半体11の第2のフランジ16をそれぞれ圧接する。このとき、図7(c)および図7(c)の破線部を拡大した図7(d)に示すように第1および第2の保持バンド半体11、12の第1のフランジ15、15の先端に配置された屈曲面17、17に圧力をかけるのが望ましい。これは、第1および第2の保持バンド半体11、12の第1のフランジ15、15に圧力をかけるよりも、屈曲面17、17に圧力をかける方が、圧力をかけるための治具を当てやすいためである。
【0034】
保持バンド溶接工程は、図7(c)および図7(d)に示す状態で、更に屈曲面17、17に圧力をかけながら、圧接した第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15および第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16、第2の保持バンド半体12の第1のフランジ15および第1の保持バンド半体11の第2のフランジ16の外側から、例えばレーザーを照射して溶接する。これにより、図7(e)に示すように、第1のフランジ15および第2のフランジ16が一部溶融して溶接部19が形成され、第1および第2の保持バンド半体11、12が溶接固着されることで得られる保持バンド3が、電球2の封止部6に溶接固着された電球装置1を得る。
【0035】
保持バンド圧接工程後に更に屈曲面17、17に圧力をかけながら溶接するのは、第1のフランジ15と第2のフランジ16の溶接をより確実とするためである。第1のフランジ15と第2のフランジ16との間に隙間が生じると、溶接の際に第1のフランジ15由来の溶融物と第2のフランジ16由来の溶融物との接触面積が小さくなるため、結果溶接できず、または溶接できてもすぐに第1のフランジ15と第2のフランジ16とが離れることとなる。
【0036】
また、図7(e)に示すように、圧接後の第1の保持バンド半体11の係合面13と第1のフランジ15とのなす角度α’、第2の保持バンド半体12の係合面13と第2のフランジ16とのなす角度β’はそれぞれ約90°であることが望ましい。α’、β’をそれぞれ約90°とすることで、第1の保持バンド半体11の第1のフランジ15、第2の保持バンド半体12の第2のフランジ16同士がより密着することができるためである。なお、ここでいう“約90°”とは、その角度が90°に限定されている訳ではなく、例えば公差を含め90±5°であればよい。同様に、第2の保持バンド半体12の係合面13と第1のフランジ15とのなす角度α’、第1の保持バンド半体12の係合面13と第2のフランジ16とのなす角度β’もそれぞれ約90°であることが望ましい。上記のことから、第1のフランジ15および第2のフランジ16は封止部6の外側に向かって弾性力を保持したまま溶接されていることとなる。
【0037】
ここで、特許文献1には、保持バンドの半体が相互に組見合い、相対する保持バンドの封止部の短面と0.1mm以上の隙間を有して面同士が溶接固着されている電球装置が記載されている。ところが、特許文献1の方法では、保持バンドを重ね合わせるときに位置合わせが難しく、また、保持バンドを重ね合わせるときに隙間を生じやすいため、結果溶接が困難である。
【0038】
しかしながら、上記方法によれば、保持バンド半体と封止部の嵌合部とを嵌合するため、位置あわせが容易である。また、各保持バンドのフランジ同士を重ね合わせた後に圧接することで、第1のフランジおよび第2のフランジが互いに離れることがなくなるため、溶接工程で改めて第1のフランジおよび第2のフランジを押さえなくてよいことから、溶接工程にフランジ圧接機構を設けなくてよい。よって、溶接工程で溶接箇所の制約を受けることがなく、結果溶接をより確実に行うことができる。
【0039】
なお、第1および第2の保持バンド半体11、12がどのような方法によって溶接固着されたかどうかは判断することが可能である。例えば、本実施の形態のような製造方法で得られた電球装置1においては、第1の保持バンド半体11および第2の保持バンド半体12の係合面13、13を治具によって固定し、係合面13および第1のフランジ15もしくは第2のフランジ16の境界をウォータージェットのような第1および第2の保持バンド半体11、12に圧力をかけないで切断できる手段を用いてカットすると、第1のフランジ15および第2のフランジ16とが外側に向かって開く。これは、第1のフランジ15および第2のフランジ16が弾性力を保持したまま溶接されているためである。このことより、どのような製造方法を用いて製造したかを客観的に推定できる。
【0040】
したがって、上記構成によれば、容易に溶接固着可能な保持バンドを有する電球装置およびその製造方法を得ることができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
図8は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。この第2の実施の形態の電球装置は、第1の実施の形態の電球装置と保持バンドの構造のみが異なり、他は同一であるため、同一部分には同一符号を付し、同一ではないが類似部分には´を付した符号で示し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
本実施の形態では、図8(a)に示すように、形状が異なる第1および第2の保持バンド半体11´、12´を組み合わせ、溶接固着することにより保持バンド3´を形成する。
【0043】
第1の保持バンド半体11´の係合面13は、第2の保持バンド半体12´に設けられた係合面13よりも長手方向の長さが大きく形成される。また、第1の保持バンド半体11´に設けられた第1のフランジ15および第2のフランジ16の先端には、それぞれ屈曲面17が設けられている。ここで、第1のフランジ15および第2のフランジ16はそれぞれ屈曲面17を含めて、互いに対称な形状を有している。他方第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16は、互いに対称な形状を有しているが、第1の保持バンド半体11´とは異なり、屈曲面17が設けられていないためその分だけの長手方向の長さよりも短く形成される。これにより、第1の保持バンド半体11´と第2の保持バンド半体12´とを係合させたとき、第1の保持バンド半体11´の第1のフランジ15および第2のフランジ16は、第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16よりも外側に位置することとなる。
【0044】
電球装置1の組み立ては、図8に示すように、第1の実施の形態と類似である。すなわち、保持バンド係合工程は、図8(a)に示すように、第1および第2の保持バンド半体11´、12´を、電球2の封止部6を挟んで対向配置させ、係合する。続いて、保持バンド圧接工程は、図8(a)に示す状態で、第1の保持バンド半体11´の第1のフランジ15と第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15、第2の保持バンド半体12´の第2のフランジ16と第1の保持バンド半体11´の第2のフランジ16とを相互に係合させ、第1の保持バンド11´の第1のフランジ15および第2のフランジ16の外側から圧力をかけてそれぞれ変形させ、図8(b)に示すように相互に圧接する。以降は第1の実施の形態と同様にして、図8(c)に示すように電球2の封止部6の周縁に保持バンド3´が係合された電球装置1を得ることができる。
【0045】
したがって、本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、電球2と保持バンド3´の溶接をより確実にすることができる。なぜならば、本実施の形態に用いられている第1の保持バンド半体11´の係合面13は第2の保持バンド半体12´の係合面13よりも長いため、第1の保持バンド半体11´の第1のフランジ15および第2のフランジ16が、確実に第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16よりも外側となり、保持バンド係合工程で確実に第1および第2の保持バンド半体11´、12´双方のフランジ同士を重ね合わせることができるためである。
【0047】
なお、本発明は上記構成に限定されるものではなく、例えば以下の通りにしてもよい。
【0048】
ガラスバルブ4の形状は上記の実施形態に限定されず、例えば略球状でもよいし、略円筒型でもよい。
【0049】
また、ガラスバルブ4の内面や外面に膜を成膜してもよい。例えば、ガラスバルブ4の外面に塗料を塗布してもよいし、ガラスバルブ4の内面に赤外線反射膜を蒸着してもよい。
【0050】
また、リード線5の材質や形状は上記の実施形態に限定されない。例えば、リード線5には封止部6のガラスと線膨張係数がほぼ等しい、ジュメット線などを用いてもよいし、リード線5の表面に金属などをメッキしてもよい。
【0051】
また、チップ7はガラスバルブ4と比べて外気に触れる面積が大きく、ガラスバルブ4内でもっとも温度が下がりやすいため、外面に保温膜を塗布してもよい。
【0052】
また、電球2の封止部6に形成された係合部10の形状は上記の実施形態に限定されない。例えば図9のように、多角柱や円柱形状、多角錐や円錐などテーパー形状としてもよい。また、図10のように、係合部10は凸形状のみでなく、凹形状や、凹凸形状としてもよい。これに伴い、第1および第2の保持バンド半体11(11´)、12(12´)に設けられた係合部14は、電球2の封止部6に形成された係合部10と係合するように形成されればよい。
【0053】
また、図11のように、第1および第2の保持バンド半体11(11´)、12(12´)の接触をより確実とするため、第1および第2の保持バンド半体11、12の第2のフランジ16、または第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16の先端を更に外側に向かって折り曲げることにより形成される曲折部20を有してもよい。
【0054】
また、図12のように、第1および第2の保持バンド半体11(11´)、12(12´)を電球2の封止部6に係合させるときに第1および第2の保持バンド半体11、12の挿入を容易にするため、第1および第2の保持バンド半体11、12の第2のフランジ16、または第2の保持バンド半体12´の第1のフランジ15および第2のフランジ16の先端を内側に向かって折り曲げることにより形成される曲折部20´を有してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 電球装置
2 電球
3 保持バンド
4 ガラスバルブ
5 リード線
6 封止部
7 チップ
8 幅狭面
9 幅広面
10 係合部
11、11´ 第1の保持バンド半体
12、12´ 第2の保持バンド半体
13 係合面
14 係合部
15 第1のフランジ
16 第2のフランジ
17 屈曲面
18 舌片
19 溶接部
20、20´ 曲折部
21 ベース
22 接片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合部が形成された封止部を有する電球と、
前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、
前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向してなる第1および第2の保持バンド半体を有し、
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する係合部が形成された係合面と、
前記係合面の両端に形成され前記封止部と近接する第1のフランジおよび第2のフランジとを有し、
前記電球の前記封止部を挟んで前記第1および第2の保持バンド半体を係合する保持バンド係合工程と、
前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ重ねて圧接する保持バンド圧接工程と、
前記保持バンド圧接工程で圧接した、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ溶接する保持バンド溶接工程とを有することを特徴とする電球装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1および第2の保持バンド半体には、前記第1および第2の保持バンド半体の前記第1のフランジまたは前記第2のフランジの先端に、外側へ向かって屈曲面が形成されていることを特徴とする請求1記載の電球装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記第1および前記第2の保持バンド半体に形成された前記係合面と前記第1のフランジ、および前記係合面と前記第2のフランジのなす角がそれぞれ約90°であることを特徴とする請求項1または2記載の電球装置の製造方法。
【請求項4】
係合部が形成された封止部を有する電球と、
前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、
前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向する第1および第2の保持バンド半体を有し、
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する係合部が形成された係合面と、
前記係合面の両端に互いに対向するように形成される第1のフランジおよび第2のフランジと、を有し、
前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジは、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジとそれぞれ溶接固着されることを特徴とする電球装置。
【請求項5】
前記第1および第2の保持バンド半体には、前記第1および第2の保持バンド半体の前記第1のフランジまたは前記第2のフランジの先端に、外側へ向かって屈曲面が形成されていることを特徴とする請求項4記載の電球装置。
【請求項6】
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記第1および前記第2の保持バンド半体に形成された前記係合面と前記第1のフランジ、および前記係合面と前記第2のフランジのなす角がそれぞれ約90°であることを特徴とする請求項4または5記載の電球装置。
【請求項1】
係合部が形成された封止部を有する電球と、
前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、
前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向してなる第1および第2の保持バンド半体を有し、
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する係合部が形成された係合面と、
前記係合面の両端に形成され前記封止部と近接する第1のフランジおよび第2のフランジとを有し、
前記電球の前記封止部を挟んで前記第1および第2の保持バンド半体を係合する保持バンド係合工程と、
前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ重ねて圧接する保持バンド圧接工程と、
前記保持バンド圧接工程で圧接した、前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジと、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1のフランジおよび前記第2のフランジとをそれぞれ溶接する保持バンド溶接工程とを有することを特徴とする電球装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1および第2の保持バンド半体には、前記第1および第2の保持バンド半体の前記第1のフランジまたは前記第2のフランジの先端に、外側へ向かって屈曲面が形成されていることを特徴とする請求1記載の電球装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記第1および前記第2の保持バンド半体に形成された前記係合面と前記第1のフランジ、および前記係合面と前記第2のフランジのなす角がそれぞれ約90°であることを特徴とする請求項1または2記載の電球装置の製造方法。
【請求項4】
係合部が形成された封止部を有する電球と、
前記封止部周縁に配置される保持バンドと、を具備し、
前記保持バンドは前記封止部を挟んで対向する第1および第2の保持バンド半体を有し、
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記電球の前記封止部の前記係合部と係合する係合部が形成された係合面と、
前記係合面の両端に互いに対向するように形成される第1のフランジおよび第2のフランジと、を有し、
前記第1の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジは、前記第2の保持バンド半体に配置された前記第1および前記第2のフランジとそれぞれ溶接固着されることを特徴とする電球装置。
【請求項5】
前記第1および第2の保持バンド半体には、前記第1および第2の保持バンド半体の前記第1のフランジまたは前記第2のフランジの先端に、外側へ向かって屈曲面が形成されていることを特徴とする請求項4記載の電球装置。
【請求項6】
前記第1および第2の保持バンド半体は、前記第1および前記第2の保持バンド半体に形成された前記係合面と前記第1のフランジ、および前記係合面と前記第2のフランジのなす角がそれぞれ約90°であることを特徴とする請求項4または5記載の電球装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−231959(P2010−231959A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76687(P2009−76687)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
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