説明

電球

電球は、可視光に対して透明であり且つ光源(2)を収容するランプ容器(1)を含む。ランプ容器(1)は、光吸収媒体(6)と、比較的高い屈折率を備える材料の第一層及び二酸化ケイ素の第二層の交互層を含む光干渉フィルム(5)との組み合わせで被覆される。本発明によれば、全体的な色中性外観を得るために、干渉フィルム(5;15)の最大反射Rmaxは、0.50≦Rmax≦0.90の範囲内にあり、400≦λ≦690nmの範囲の波長にある干渉フィルム(5;15)の反射Rの変化は、0.0〜Rmaxに及ぶ。動作中、本発明に従った電球は、透過モードにおいて着色光を発光し、オフ状態において実質的に色中性外観を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源が内部に配置された光透過性のランプ容器と、可視的範囲においてスペクトル遷移を示す光吸収媒体とを含み、光吸収媒体によって透過される光の分光透過Tが、幅λ≦100nmを有する波長範囲において、T≦0.15〜T≧0.75で変化し、ランプ容器の少なくとも一部が、干渉フィルムを備える電球電球(電気ランプ)に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなランプは、例えば、動作時に黄色光を発光する(ハロゲン)ヘッドランプとして、方向指示灯における琥珀(アンバー)色の光源(車両信号灯とも呼ばれる)として、或いは、ブレーキ光における赤色光源として、自動車用途で用いられる。そのような電球は、一般照明目的のためにも用いられる。前記電球は、さらに、交通標識及び指示標識、輪郭照明、交通信号、投影照明、及び、ファイバーオプティクス照明において用いられる。そのようなランプの代替的な実施態様は、光吸収塗膜及び干渉フィルムの適切な組み合わせを用いることで色温度が増大されるランプを含む。
【0003】
冒頭段落において述べられた種類の電球は、国際公開WO01/97253号から既知である。既知の電球において、光吸収媒体は、可視的範囲における比較的急勾配のスペクトル遷移を示す。ランプ容器が干渉フィルムを備える電球において、そのような比較的急勾配のスペクトル特性を有する光吸収媒体の適用は、色中性外観の向上を有する電球をもたらす。電球は、少なくとも実質的に可視的領域全体に亘る少なくとも実質的に平坦な反射スペクトルを有する干渉フィルムを備える。これを達成するために、WO01/97253号に従った電球は、10%未満である400≦λ≦690nmの波長範囲にある干渉フィルムの反射Rにおける偏差を有する。WO01/97253号に従った干渉フィルムは、少なくとも5層、最も近似的には17層を含む。動作中、電球は、透過モードにおいて着色光を発光し、オフ状態では実質的に色中性外観を有する。電球の外観は、例えば、銀のようであり得る。このために、ランプは「シルバービジョン」ランプとも呼ばれる。
【0004】
しかしながら、WO01/97253号に従ったランプの不利点は、シルバービジョン鏡がより短い波長及びより長い波長の双方を反射し、それが琥珀色の発光に寄与することである。この反射は、合計で約15%に達し得る内部損失を招く。その上、400≦λ≦690nmの波長にある電球において実質的に平坦な反射スペクトルを得るというWO01/97253号に従った目標は、色の変化を招く。製造プロセスに関係する振動が観察される。これらの振動は、緑がかった色から金色がかった色又は紫色がかった色反射へランプの外観における変化を招く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記欠点が除去された、冒頭に記載された種類の電球を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明において、この目的は、干渉フィルムの最大反射Rmaxが0.50≦Rmax≦0.90の範囲にあり、400≦λ≦690の範囲の波長における干渉フィルムの反射Rの変化が0.0〜Rmaxに及ぶことによって達成される。
【0007】
本発明は、色中性外観が平坦反射特性を備える鏡に制約されないが、緑色においてより高く、且つ、隣接するより高い並びにより低い波長範囲において僅かにより低い反射率の漸進的変化を有する鏡を用いて、同一の効果が得られるという着想に基づいている。結果として得られる干渉フィルムは、製造がより一層簡単であり、極めて反射的でもあり、色中性外観を有する。
【0008】
好ましくは、400≦λ≦690の範囲の波長における干渉フィルムの反射Rの変化は、0.2からフィルタのための最大値Rmaxに及ぶ。
【0009】
そのような変化を用いて、色中性外観が得られると同時に、反射に起因する光の内部損失も削減されるようである。
【0010】
本発明に従った干渉フィルムは、金属的又は銀色の外観を有し得る。その結果として、本発明に従った電球を自動車用途のための方向指示灯として極めて適切に用い得る。法的規制は、当業者に既知の1931 C.I.E.色三角形において、そのような表示灯によって発光される光の色地点のための範囲を定める。ランプ容器の外表面に塗布される光吸収媒体と干渉フィルムとの適切な組み合わせは、電球の外観を変化させることを可能にする。具体的には、これは、オフ状態における電球の外観と動作期間中に電球によって発光される光の色との間になされるべき区別を可能にする。具体的には、目標は、動作中、特定の光を発光する電球、例えば、所謂琥珀色又は赤色の電球を提供すると共に、オフ状態において、電球が少なくとも実質的に色中性外観を有することである。
【0011】
車両では、審美的な理由から、方向指示灯及びブレーキ灯に色中性外観を与えるのが望ましい。電球が活性化されたときにのみ、それは所望の色を示し、それによって、電球によって発光される光の色地点は、法的規制を満足する。その上、車両では、琥珀色の方向指示灯を、別個の反射器内の代わりに、ヘッドランプと同一の反射器内に収容する傾向がある。加えて、目標は、車両内で照明器具を使用することであり、それは所謂「透明カバー」を備える、即ち、車両の外側に位置する観察者は、照明器具内の方向指示灯又はブレーキ灯を直接的に見ることができる。安全性の理由から、色中性外観とは別に、電球に(間違って)入射する光での反射中に、そのような方向指示灯は、少なくとも実質的に無色であることが重要である。もし、例えば、日光又は対向交通に起源する光が、方向指示灯を含む車両のヘッドランプに入射するならば、前記ヘッドランプの外観は、反射中に、少なくとも実質的に無色であるべきであり、或いは、反射中に、前記ランプは少なくとも実質的に無色であるべきである。さもなければ、これは他の道路使用者を混乱させ、安全でない及び/又は望ましくない状況を起こし得る。
【0012】
反射において、本発明に従った電球のスペクトル特性は、透過におけるスペクトル特性と異なる。透過において、電球によって発光される光は、色地点に関する法的規制を満足するのに対し、反射において、電球は色中性であり、電球の外観は例えば銀色である。具体的には、本発明は、車両の方向指示灯及びブレーキ灯に適合する。
【0013】
急勾配の遷移を備える光吸収媒体と、電球に色中性外観を与える干渉フィルムとの組み合わせを用いることで、シナジー効果が達成される。加えて、干渉フィルムが光吸収媒体のための酸素障壁として働く点で、干渉フィルムの存在は、光吸収媒体の安定性を増大し得る。その上、例えば、適切な材料選択によって、(例えばTiOのために)適切に選択されたバンドギャップによって、或いは、干渉フィルムがUV光も反射するという事実の結果として、干渉フィルムは、外部UV光の影響下の光吸収媒体の色の損失を是正し得る。実験は、電球のランプ容器上への光吸収媒体及び干渉フィルムの付着が満足であり、耐用年数の期間中に変化に晒さないか或いは殆ど晒されないことを示した。本発明に従った電球の耐用年数の期間中、塗布された塗膜の可視的な剥離は検出されなかった。
【0014】
本発明に従った電球の実施態様は、ランプ容器の壁が光吸収媒体を含むことを特徴とする。光吸収媒体をランプ容器の壁に容易に組み込み得る。ランプ容器は、例えば、石英ガラス若しくは硬化ガラスのようなガラス又は透明セラミック材料から成る。この実施態様において、干渉フィルムは、光源から見て外方に面するランプ容器の壁の側面に直接的に塗布される。光吸収媒体はランプ容器の壁及び干渉フィルムに設けられるので、干渉フィルムによって反射される光は、光吸収媒体を二度に通過し、それは吸収プロセスの有効性をさらに向上する。加えて、ランプ容器の両側面上の干渉フィルムの間であちこちに反射される光は、各反射で光吸収媒体を二度通過する。
【0015】
本発明に従った電球の代替的な実施態様は、光吸収媒体が、ランプ容器と干渉フィルムとの間に位置する光吸収層を含むことを特徴とする。光吸収媒体は、ランプ容器の外面と干渉フィルムとの間に配置されているので、干渉フィルムによって反射される光は、光吸収媒体を二度通過し、それは吸収プロセスの有効性をさらに向上する。加えて、ランプ容器の両側面上の干渉フィルムの間であちこちに反射される光は、各反射で光吸収媒体を二度通過する。
【0016】
光吸収層の厚さtabsは、5nm≦tabs≦5000nmの範囲に位置するのが好ましい。光吸収層の厚さが5nmよりも小さいならば、吸収は殆ど起こらず、色温度の意図的なシフトの達成が不十分である。もし層の厚さが5μmを越えるならば、過剰な光が吸収され、それは電球のルーメン出力に不利に影響を及ぼす。1.5≦tabs≦2μmの厚さを有する光吸収層が極めて適切である。所望の層厚は、光吸収塗膜中の顔料の濃度によっても促進される。顔料粒子を含まないが吸収体として直接的に働く吸収体の場合には、厚さは、10〜100nm以下のオーダであり得る。当業者に既知の実施例は、スパッタ或いは蒸着されたFe層又は類似材料の層の使用である。
【0017】
好適実施態様において、光吸収塗膜は、ソル・ゲルプロセスを用いて有機調節シランを変換することによって得られ得る網目を含み、有機調節シランは、構造式RSi(ORIIの化合物によって形成される群から選択され、Rは、CH又はCのようなアルキル群又はアリール群から成り、RIIは、CH又はCのようなアルキル群から成る。
【0018】
開始材料としての有機調節シランを含む網目から光吸収層を作成することによって、400℃までの温度に抵抗し可能な光学的に透明で非拡散の光吸収塗膜が得られる。網目の製造に有機調節シランを用いることによって、R群の一部、アルキル又はアリール群は、末端基として網目内に残る。その結果、網目は、Si原子当たり4つの網目結合ではなく、Si原子当たり4つ未満の網目結合を含む。このようにして、例えば、平均して、Si原子当たり約3つの網目結合を含む網目が得られる。網目が部分的に前記アルキル又はアリール群から構成されるという事実に拘わらず、密度が通例のケイ素網目の密度と少なくとも実質的に同一な網目が得られる。通例のケイ素網目と異なり、部分的に前記アルキル又はアリール群から構成される網目は、より大きな弾性と柔軟性を有する。その結果として、比較的厚い光吸収塗膜を製造することが可能になる。
【0019】
本発明に従った網目の製造に特に適した開始材料は、メチルトリメトキシシラン(MTMS)であり、ここで、R=RII=CH、メチルトリエトキシシラン(PTMS)であり、ここで、R=CH及びRII=C、フェニルトリメトキシシラン(PTMS)であり、ここで、R=C及びRII=C、フェニルトリエトキシシラン(PTES)あり、ここで、R=C及びRII=Cである。そのような開始材料自体は既知であり、商業的に入手可能である。
【0020】
電球の好適実施態様は、光吸収媒体が、琥珀色又は赤色の透過を有することを特徴とする。動作中に琥珀色光を発光する電球を車両における方向指示灯として特に適切に用い得る。動作中に赤色光を発光する電球を車両におけるブレーキ灯として特に適切に用い得る。
【0021】
選択的に光吸収する層の選択は、本発明に従って、光吸収媒体の分光透過の急勾配の変化によって満足されるべき要件によって制限される。選択的に光吸収する層の選択は、そのような光吸収層によって満足されるべき熱要件によってさらに制限される。前記熱要件は、耐用年数の期間中の光吸収媒体の耐久性、及び、ランプ容器の変化する温度への抵抗を含む。
【0022】
好ましくは、光吸収媒体は、琥珀色の透過を有する。特に適した光吸収媒体は、クロム黄色、化学式C2218及びC.I.(構造番号)56280である。この有機色素は「C.I.−110黄色顔料」、「C.I.顔料黄色137」、又は、ビス(Bis)[4,5,6,7−テトラクロロ−3−オキロイソインドリン−1−イリデン]−1,4−フェニレンジアミンとも呼ばれる。琥珀色透過を有する代替的な光吸収媒体は、黄色アントラキノン、化学式C3721、及び、C.I.60645である。この有機色素も、「Filster黄色2648A」又は「Filster黄色RN」、化学式1,1’−[(6−フェニル−1,3,5−トリアジン−2,4ジイル)ジイミノ]ビス(bis)−とも呼ばれる。
【0023】
代替的な実施態様において、光吸収媒体は赤色透過を有し、一例として、C.I.65300を備える「クロム赤色A2B」を含む。前記有機色素は、代替的に、「顔料赤色177」、ジアントラキノニル(dianthraquinonyl)赤色とも呼ばれ、或いは、[1,1’−Bianthracene]−9,9’,10,10’−テトロン、4,4−ジアミノ−(TSCA,DSL)とも呼ばれる。
【0024】
本発明に従った電球の実施態様は、干渉フィルムが、比較的高い屈折率を有する材料の第一層と、比較的低い屈折率を有する材料の第二層との交互層を含むことを特徴とする。2つの材料の使用は、干渉フィルムの提供を単純化する。
【0025】
本発明に従った好適実施態様は、干渉フィルムの前記第二層が主に酸化ケイ素を含み、前記干渉フィルムの第一層が酸化ケイ素の屈折率よりも高い屈折率を有する材料を主に含むことを特徴とする。多様な蒸着技法を用いて、酸化ケイ素の層を比較的容易に提供し得る。
【0026】
好ましくは、干渉フィルムの第一層は、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素、及び、前記材料の組み合わせによって形成される群から選択される材料を含むことを特徴とする。
【0027】
好ましくは、干渉フィルムは、TiO/SiO型フィルム又はNb/SiO型フィルムであり、好ましくは、3〜5層、最適には、3層を含む。小数の層の結果として、干渉フィルムは製造が簡単であり、そのようなフィルムの製造コストは比較的低い。その上、フィルタは、反射スペクトルにおける振動に余り敏感でない。好適な高い反射最大Rmaxを得るために、高屈折率材料は、500nmで約n=2.7の高い指数を有するのが好ましい。チタンの中間周波数又はACスパッタリングの使用によるそのような層の蒸着が、当業者に既知である。
【0028】
ランプの光源は、例えば、ハロゲン含有ガス内の白熱本体であり得るし、イオン化可能ガス、例えば、金属ハロゲン化物、場合によっては、例えば、緩衝ガスとしての水銀を備える不活性ガス内の電極対であり得る。最内側の気密な外被が光源を取り囲み得る。最外側の外被がランプ容器を取り囲むことも代替的に可能である。
【0029】
干渉フィルム及び光吸収層を、例えば、気相成長法(PVD:物理蒸着法)を用いて、適切なスパッタリング技法によって、或いは、浸漬塗装又は吹付けプロセスを用いて、LP−CVD(低圧化学気相成長法)、PE−CVD(プラズマ化学気相成長法)、又は、PI−CVD(プラズマ衝撃化学気相成長法)を用いて、通例の方法で設け得る。ランプ容器の外壁上の光吸収層は、吹付けによって塗布されるのが好ましい。もし光吸収媒体がランプ容器の壁の一部を形成するならば、この媒体は、ランプ容器の製造の過程で壁に設けられるのが一般的である。
【0030】
本発明に従った吸収媒体と干渉フィルムの組み合わせは、電球の耐用年数を通じてその初期特性を実質的に保持することが分かった。
【0031】
本発明のこれらの及び他の特徴は、以下に記載される実施態様を参照することで明瞭に解明されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図面は純粋に概略的であり、原寸で描写されていない。特に明瞭性のために、一部の寸法は強く誇張されている。図面中、同等参照番号は、可能な限り、同等部材を示している。
【0033】
図1Aは、本発明に従った電球の実施態様の断面図である。電球は、例えばガラスの光透過ランプ容器1を有し、それは気密に封止され、図面では(螺旋形状の)タングステン白熱本体の電気素子2を収容し、それはランプ容器1から外部に出る電流導体3に接続されている。代替的にPY21W(21ボルト、21ワット)と呼ばれる図示のランプは、不活性ガス、例えば、約1バールの充填圧を有するAr/N2混合物で充填されている。
【0034】
図1Aにおいて示される電球の実施態様において、光吸収塗膜6の形態の光吸収媒体が、ランプ容器1の外側(ランプ容器1の壁上)に設けられ、干渉フィルム5が前記光吸収塗膜上に設けられている(図1Bも参照)。この場合、光吸収塗膜6は、例えば2μmの層厚のクロム黄色と呼ばれる、例えば(MTMSマトリックスの)顔料層を含む。そのような光吸収媒体を備える電気ランプは、動作中、琥珀色光を発光し、可視的領域における分光透過は、約500≦λ≦560nmの波長範囲においてT≦0.1〜T≧0.9の遷移を示す(波長範囲の幅は約60nmである)。そのような電球は、表示灯として、例えば自動車の方向指示灯において用いられ、それらの耐用年数は少なくとも実質的に1200時間である。塗膜の代替的な実施態様において、光吸収塗膜6は、例えば2μmの層厚を有するクロム赤色A2Bの層を含む。そのようなクロム赤色A2B層を備える電球は、動作中、赤色光を発光する。そのような電球は、自動車のブレーキ灯として用いられ、それらの耐用年数は少なくとも実質的に1200時間である。
【0035】
図1Aに示される電球の代替的な実施態様において、ランプ容器の壁は、光吸収媒体を含む。
【0036】
図1Aにおいて、干渉フィルム5が、ランプ容器1(基板)の壁に塗布された光吸収媒体に塗布され、その干渉フィルムは、比較的高い屈折率を有する材料、例えば、酸化チタン(TiOの平均屈折率は約2.4〜2.8)又は酸化ニオビウム(Nbの平均屈折率は2.34)の第一層(図1Cも参照)と、主に酸化ケイ素(約1.46の平均屈折率)の第二層から成る交互の層を含む。TiO/SiO又はNb/SiO干渉フィルムは、小数の層、好ましくは3〜5層のみから成るのが好ましい。しかしながら、最も好ましいのは、干渉フィルムは3層のみを含むことである。比較的小数の層の故に、そのような干渉フィルムの製造コストは比較的低い。
【0037】
図1Bは、本発明に従った白熱電球の代替的な実施態様の側面図である。前記電球は、光源12としての白熱本体を収容する石英ガラスランプ容器11を含む。電流導体13が前記光源に接続され、ランプ容器11から外部に出ている。ランプ容器11は、ハロゲン含有ガス、例えば臭化水素で充填されている。ランプ容器11の少なくとも一部が、光吸収塗膜の形態の光吸収媒体16で被覆され、それは本実施例では約2μmの層厚で(MTMSマトリックス含有)クロム黄色又はクロム赤色A2Bによって形成されている。
【0038】
図1Bに示される実施例において、干渉フィルム15は光吸収媒体16に塗布され、主に酸化チタンの第一層と、主に酸化ケイ素を含む材料の第二層とから成る交互の層を含む。TiO/SiO干渉フィルムは、極小数の層から成るのが好ましい。実験は、76%の平均反射を得るのに、TiO/SiOの三層から成る干渉フィルムで十分であることを示した。
【0039】
図1B中のランプ容器11は、外部バルブ14内に取り付けられ、それはランプキャップ17によって支持され、それに電流導体13が電気的に接続されている。図示のランプは、少なくとも実質的に2500時間の耐用年数を有する60W本線電圧ランプである。
【0040】
図1Cは、本発明に従った光吸収媒体と干渉フィルムとの組み合わせの極めて概略的な斜視図である。光吸収媒体6’は、基板1’(例えばランプ容器のガラス壁)上に設けられ、本実施例では、光透過性ソル・ゲルマトリックス37内に内蔵された比較的小さな光吸収粒子36(平均粒子サイズは100nm未満)から構成された厚さ約1〜2μmの層を含む。干渉フィルム5’がこの光吸収媒体6’に塗布され、それは高い屈折率を有する第一層と比較的低い屈折率を有する材料の第二層との交互の層から構築されている。図1Cは、「L」によって表示された入射光の方向、「R」によって表示された反射光の方向、及び、「T」によって表示された透過光の方向を概略的に示している。
【0041】
実施例
開始材料として有機調整シランを有する網目内に光吸収媒体を含む塗膜を例えば以下の通り製造した。
【0042】
分散剤としての「disperbyk190」の存在下に100nm未満の平均粒子サイズを有する顔料(例えばクロム黄色)を水/エタノール混合物内に分散する。光学的に透明な液体は、酸化ジルコニウム粒子を用いた所謂「湿式ボールミリング」によって得られる。
【0043】
メチルトリメトキシシラン(MTMS)、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)、水、エタノール、氷酢酸を混合することによって、加水分解混合物を準備する。
【0044】
吹付けによって光吸収層(例えば1.5〜2μm)をランプ容器に塗布するために、顔料分散と加水分解混合物との混合物を用いる。引き続き、層を250℃で5〜10分間硬化する。
【0045】
表I及び表IIは、琥珀色又は赤色顔料を含む塗膜の形態の光吸収媒体と、80%の最大反射を有する3層のTiO/SiO干渉フィルム又は70%の最大反射を有する3層のNb/SiO干渉フィルムとの組み合わせの2つの実施態様を示している。
【0046】
表I 光吸収媒体(顔料)と、最大反射Rmax=0.8を有するTiO/SiO干渉フィルムとの第一の組み合わせ実施態様。
【表1】

【0047】
表II 光吸収媒体(顔料)と、最大反射Rmax=0.68を有するNb/SiO干渉フィルムとの第二の組み合わせ実施態様。
【表2】

【0048】
図2は、本発明に従った3層のTiO/SiO干渉フィルム(b)の波長の関数として計算された反射スペクトルを、9層のNb/SiO干渉フィルム(a)と比較して示すグラフである。
【0049】
図面は、2層の高い光指数TiO及びそれらの間の1層のSiOに基づく3層のTiO/SiOの反射率が、Nb及びSiOの交互の層から成る9層フィルタよりも一層反射的であることを示している。本発明に従った3層干渉フィルタのための光放射もより高い。計算はPYランプに関して10%の増大を推定する。
【0050】
図3は、本発明に従った3層のNb/SiO干渉フィルム(c)の波長の関数として計算された反射スペクトルを、9層のNb/SiO干渉フィルム(a)と比較して示すグラフである。
【0051】
3層のNb/SiOシステムのための反射率は、より高い指数のTiO2材料のための反射率よりも僅かに低いが、予測される発光出力は、9層のNb/SiOフィルタと比較すると、約20%増大する。測定値は、このフィルタを用いて作成されたランプの照明出力が、9層フィルタを用いて作成されたランプの発光出力に対して15%の増大を示すことを示しており、それも示されている。
【0052】
本発明の範囲内で、多くの変形が可能であることが当業者に明らかであろう。
【0053】
本発明の保護範囲は、ここで与えられる実施例に限定されない。本発明は、各新規な特徴及び特徴の各組み合わせに具現化される。請求項中の参照番号は、本発明の保護範囲を限定しない。「含む」という動詞及びその活用形の使用は、請求項中に述べられている素子以外の素子の存在を排除しない。素子の前の不定冠詞の使用は、そのような素子が複数存在することを排除しない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】本発明に従った電球の実施態様を示す断面図である。
【図1B】本発明に従った電球の代替的な実施態様を示す側面図である。
【図1C】本発明に従った光吸収媒体及び干渉フィルムの組み合わせを概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明に従った3層のTiO/SiO干渉フィルム(b)の波長の関数として計算された反射スペクトルを、9層のNb/SiO干渉フィルム(a)と比較して示すグラフである。
【図3】本発明に従った3層のNb/SiO干渉フィルム(c)の波長の関数として計算された反射スペクトルを、9層のNb/SiO干渉フィルム(a)と比較して示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が内部に配置された光透過性のランプ容器と、
可視的範囲においてスペクトル遷移を示す光吸収媒体とを含み、
該光吸収媒体によって透過される光の分光透過Tは、幅λ≦75nmを有する波長範囲において、T≦0.15〜T≧0.75で変化し、前記ランプ容器の少なくとも一部は、干渉フィルムを備える電球であって、
前記干渉フィルムの最大反射Rmaxは、0.50≦Rmax≦0.90の範囲にあり、400≦λ≦690の範囲の波長における前記干渉フィルムの反射Rの変化は、0.0〜Rmaxに及ぶことを特徴とする電球。
【請求項2】
400≦λ≦690の範囲の波長における前記干渉フィルムの反射Rの変化は、0.2〜Rmaxに及ぶことを特徴とする、請求項1に記載の電球
【請求項3】
前記ランプ容器の壁は、光透過性媒体を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電球。
【請求項4】
前記光吸収媒体は、前記ランプ容器と前記干渉フィルムとの間に位置する光吸収塗膜を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電球。
【請求項5】
当該電球は、動作中に、着色光を発光し、オフ状態において、少なくとも実質的に色中性外観を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の電球。
【請求項6】
前記光吸収媒体は、琥珀色又は赤色の透過を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電球。
【請求項7】
前記干渉フィルムは、比較的高い屈折率を有する材料の第一層と比較的低い屈折率を有する第二層との交互の層を含む、請求項1又は2に記載の電球。
【請求項8】
前記干渉フィルムの前記第二層は、主に酸化ケイ素を含み、前記干渉フィルムの第一層は、酸化ケイ素の屈折率よりも高い屈折率の材料を主に含むことを特徴とする、請求項7に記載の電球。
【請求項9】
前記干渉フィルムの前記第一層は、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、酸化ハフニウム、窒化ケイ素、及び、前記材料の組み合わせによって形成される群から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項7に記載の電球。
【請求項10】
前記干渉フィルムの前記第一層は、酸化チタン及び酸化ニオビウムによって形成される群から選択される材料を含むことを特徴とする、請求項7に記載の電球。
【請求項11】
前記干渉フィルムは、3〜5層を含むことを特徴とする、請求項7に記載の電球。
【請求項12】
前記干渉フィルムは、3層を含むことを特徴とする、請求項7に記載の電球。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−521621(P2007−521621A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540694(P2006−540694)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052369
【国際公開番号】WO2005/052986
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)