説明

電磁ミサイル発射装置

【課題】電磁力を利用してミサイルを発射する装置を提供する。
【解決手段】ミサイル428−iと、前記ミサイルを取り外し可能に搭載するスレッド532−iと、前記スレッドの動きをラインに拘束するガイド538−iと、前記ガイドに対し固定されている固定コイル536−1−iと、前記スレッドに取り付けられるスレッド・コイル534−iと、第1と第2の電力を前記固定コイル536−1−iと前記スレッド・コイル534−iにそれぞれ供給する手段と、を有する。前記固定コイル536−1−i内を流れる第1電流と前記スレッド・コイル534−i内を流れる第2電流により、前記スレッドが前記ガイドに対して移動し、前記ミサイルを発射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミサイルに関し、特に、ミサイル発射機に関する。
【背景技術】
【0002】
ミサイルは、燃料と化学推進エンジンにより推進される。化学推進エンジンは、燃料が燃焼した時に働くガスの後方への放出による反作用によりミサイルを推進させる。
【0003】
本明細書において、「ミサイル」とは、その軌道が弾道性である必要はなく、飛行中に(目標追尾のレーザ装置と制御装置により)軌道が変更可能な発射体も意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミサイルが発射される際のホット・ガスの放出には、いくつかの問題点がある。第1の問題点は、ホット・ガスは発射プラットフォームを過熱し、これにより発射プラットフォームが敵の赤外線センサーにより探知可能になり、攻撃対象となることである。第2の問題点は、ホット・ガスは発射プラットフォームにいる職員の目を眩まし、これにより、敵の脅威を監視する通常のタスクを実行できなくなる点である。第3の問題点は、エンジンから出る火炎の明るさにより、特に夜間には、発射プラットフォームにいる作業員を一時的に盲目にする。第4の問題点は、ミサイルの燃料はアルミ化合物を含み、これが発射プラットフォームの周囲の大気に拡散されて、発射プラットフォームの近傍にあるレーザーシステムの操作の障害となる。第5の問題点として、現在のミサイルは大型になっているために、そのガスはより高温且つより体積が大きく、それ故に現在の技術を用いては、発射プラットフォーム内で十分に排気することができない点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それに故に、これらの問題点を解決あるいは回避するミサイルの発射技術が必要とされている。
【0006】
本発明の目的は、従来技術の不具合点を解消し、コストの上昇を抑えるようなミサイルを発射させる技術を提供することである。特に、本発明の一実施例では、電磁カタパルトを用いて、発射プラットフォームからミサイルを発射させ、巡航飛行(aerodynamic flight)に達するのに十分な速度を有した後、ミサイルのエンジンを点火する。かくして、本発明により従来技術のミサイルの発射に関連する問題を解決できる。
【0007】
本発明の一実施例は、請求項1と2に記載のとうりである。
【実施例】
【0008】
図1は、本発明の海軍のミサイル発射システムのブロック図である。発射システム102は、戦艦のデッキに搭載されているが、当業者には本発明の他の実施例として、発射システム102は、陸上の基地にあるいは他のタイプの乗物(例、トラック、列車、潜水艦、航空機器、人工衛星等)に搭載することも可能である。
【0009】
図2は、本発明の発射システム102の主要な構成部品のブロック図である。発射システム102は、マルチセル電磁発射機204と、ミサイル(武器)制御システム206と、発射コントローラ208と、パワーシステム210と、戻りパワーバス211と、推進電流バス212と、信号線213と、データバス214とを有する。
【0010】
マルチセル電磁発射機204は、1つあるいは複数のミサイルを格納し、指令により発射できるシステムである。このシステムは、電磁カタパルトを用いて、セルからミサイルを発射するが、ミサイルの化学推進エンジンの補助を必要としない。これは、ミサイルのエンジンに点火する前に、発射台(プラットフォーム)を離れることができ、これにより発射台近傍におけるエンジンの点火の悪影響を避けることができる。
【0011】
ミサイル(武器)制御システム206は、発射シーケンスの前あるいはその間に、目標情報と飛行情報と発射指令とを発射コントローラ208に与える。当業者には、ミサイル(武器)制御システム206を如何に製造し使用するかは公知である。
【0012】
発射コントローラ208は、目標情報と飛行情報を、発射の前にミサイルに与え、発射指示をパワーシステム210に与える。
【0013】
パワーシステム210は、発射コントローラ208からの信号に応答して、パワーを保持し、パワーをマルチセル電磁発射機204に分配し、マルチセル電磁発射機204からパワーを回収することを管理する回路を有する。パワーシステム210は、ミサイル発射の前、その間、その後に、パワーの生成、消費、蓄積、分配を管理する。パワーシステム210の詳細を図3を用いて以下説明する。
【0014】
推進電流バス212は、パワーをパワーシステム210からマルチセル電磁発射機204内の各発射セルに搬送する。戻りパワーバス211は、消費したパワーをマルチセル電磁発射機204内の各発射セルからパワーシステム210に搬送する(戻す)。
【0015】
信号線213は、発射コントローラ208をパワーシステム210に接続し、パワーシステム210を起動しミサイルの発射を制御する指令を搬送する。データバス214は、目標情報を発射コントローラ208からミサイルに搬送し、スレッド位置情報をスレッド位置センサー560(図5)から発射コントローラ208に搬送する。
【0016】
図3は、本発明の一実施例によるパワーシステム210の主要な構成部品のブロック図である。パワーシステム210は、電気システム316と、エネルギー貯蔵装置318と、電流コントローラ322と、発射セル・パワーコントローラ324と、戻りパワーコンディショナー320とを有する。
【0017】
発射セル・パワーコントローラ324は、電流コントローラ322の指示に従い、マルチセル電磁発射機204の適宜の発射セルに電力(パワー)を分配する回路を有する。
【0018】
電流コントローラ322は、エネルギー貯蔵装置318から発射セル・パワーコントローラ324に、電力の分配を調整し制御する回路を有する。発射コントローラ208からの信号線213を通る発射信号に応答して、電流コントローラ322は、発射セル・パワーコントローラ324と共に、電流が、推進電流バス212を介して、マルチセル電磁発射機204の発射セルに分配される。
【0019】
エネルギー貯蔵装置318は、電力キャパシター・システムで、高い電圧/電流をマルチセル電磁発射機204の発射セルに分配できる。当業者には、エネルギー貯蔵装置318の製造方法と使用方法は明らかである。エネルギー貯蔵装置318は、この実施例では、電力キャパシター。システムであるが、当業者は本発明の別の実施例として、エネルギー貯蔵装置318を回転大パワー蓄積システム、高電圧/電流の伝達が可能な他の電力蓄積システムでもよいことは明らかである。
【0020】
電気システム316は、発電機と電力(パワー)調整回路とを有し、エネルギー貯蔵装置318を適宜の方法でチャージして、電力をマルチセル電磁発射機204に送る。当業者には電気システム316の製造方法及び使用方法は公知である。
【0021】
戻りパワーコンディショナー320は、電気回路を有し、戻りパワーバス211上の電気エネルギーを、エネルギー貯蔵装置318にチャージ(充電)する。
【0022】
一般的に、電流コントローラ322とエネルギー貯蔵装置318は、電気エネルギーを、発射セル・パワーコントローラ324に、発射コントローラ208からの発射指令の受領に応答して、信号線213を介して、分配する。その後、発射セル・パワーコントローラ324は、この電気エネルギーをマルチセル電磁発射機204の適宜のセルに推進電流バス212を介して分配する。戻りパワーバス211は、発射中(これに関しては、図5−8で詳述する)に消費されたエネルギーを、戻りパワーコンディショナー320に搬送し、この戻りパワーコンディショナー320が、エネルギーを調整し、それをエネルギー貯蔵装置318に送る。
【0023】
図4は、本発明によるマルチセル電磁発射機204のブロック図である。マルチセル電磁発射機204は、8個の発射セル426−1〜426−8と、データバス214と、推進電流バス212と戻りパワーバス211と、ミサイル428−iとを有する。ここで、iは{1、...8}内の一つの整数である。
【0024】
データバス214は、8本のデータラインである制御線430−1〜430−8を有し、この各データラインは、発射セルの1つに接続される。推進電流バス212は、8本の推進電流線432−1〜432−8を有し、各推進電流線は発射セルの1つに接続される。戻りパワーバス211は、8本の戻りパワーライン434−1〜434−8を有し、各戻りパワーラインは発射セルの1つに接続される。ここに示した実施例は、8個の発射セルを有するが、当業者には如何なる数の発射セルを有する実施例を製造し利用することができる。
【0025】
図5は、本発明の実施例による発射シーケンス(図10で説明する)の開始時における発射セル426−iの断面図である。発射セル426−iは、キャニスター530−iと、ミサイル428−i、スレッド532−iと、スレッド拘束ボルト539と、ミサイル拘束ボルト533−iと、スレッド・コイル534−iと、キャニスターからスレッドへの導電体535−iと、ガイド538−iと、第1コイル536−1−iと、第2コイル536−2−iと、第3コイル542−iと、キャニスター・スレッド間のへその緒546−iと、スレッド・ミサイル間のへその緒544−iと、飛び出しカバー548−iと、スレッド位置センサー560−iと、反射板561−iとを有する。マルチセル電磁発射機204内の各発射セルは同一であるが、各発射セルは独立に動作する。
【0026】
キャニスター530−iは、飛び出しカバー548−iと共に、スレッド532−iと、スレッド拘束ボルト539と、ミサイル拘束ボルト533−iと、スレッド・コイル534−iと、ミサイル428−iと、ガイド538−iと、キャニスター・スレッド間のへその緒546−iと、スレッド・ミサイル間のへその緒544−iと、第1コイル536−1−iと、第2コイル536−2−iと、第3コイル542−iとを収納し、公知の方法で気密環境を提供する。
【0027】
ミサイル428−iは、爆発可能な弾頭と、化学推進エンジンと、加速時計とを有する。ミサイル428−iの詳細は、図9Bを参照して説明する。当業者にはミサイル428−iの製造方法及び使用例は明らかである。
【0028】
スレッド532−iは、ミサイル428−iを保持する適宜の剛性プラットフォームと、ベアリング954−iとを有する。発射前は、スレッド532−iは、キャニスター530−iにスレッド拘束ボルト539で固定される。ミサイル428−iは、スレッド532−iにミサイル拘束ボルト533−iで取り付けられる。
【0029】
スレッド拘束ボルト539は、通常、「ドッグ・ボーン(dog bone)」と称する。スレッド拘束ボルト539は、所定のしきい値を超えた引っ張り力が掛かると、破損するよう設計されている。当業者には、スレッド拘束ボルト539の製造方法使用例は公知である。
【0030】
ミサイル拘束ボルト533−iは、適宜の瞬間に、ミサイル428−iをスレッド532−iから解放するよう(例、爆発的に、電磁力で)動作可能である。当業者には、ミサイル拘束ボルト533−iの製造方法および使用例は明らかである。
【0031】
ベアリング954−iと反射板561−i(図9Aに示す)は、キャニスター530−iにより包囲されるが、図5−8ではこれらは省いてある。スレッド・コイル534−iは、螺旋形状をしスレッド532−iに対し動かないように、スレッド532−iは、スレッド・コイル534−iを保持する。スレッド532−iは、図9Aを参照して以下詳述する。当業者には、スレッド532−iの製造方法および使用例は明らかである。
【0032】
スレッド・コイル534−iは、導電体からなる螺旋コイルを有する。この導電体は、十分な発射パワーを与えられるような十分高い電圧/電流を搬送できる。スレッド・コイル534−iは、スレッド532−iに動かないよう取り付けられる。スレッド・コイル534−iは、電流でエネルギーが加えられた時に、軸540−iに沿った電磁力を生成する。スレッド・コイル534−iにより軸540−iに沿って生成された電磁力の方向は、スレッド・コイル534−i内を流れる電流の方向に依存する。
【0033】
キャニスターからスレッドへの導電体535−iは、発射の間、スレッド532−iの移動長さに渡る十分な長さの導電体を有する。キャニスターからスレッドへの導電体535−iは、スレッド532−iとパワーシステム210との間の電気的接続を発射の全期間にわたって提供する。
【0034】
ガイド538−iは、キャニスター530−iと、第1コイル536−1−iと、第2コイル536−2−iと、第3コイル542−iとを支持する構造体を提供する4個の垂直方向部材を有する。これらは、実質的に動かないようガイド538−iに取り付けられる。ガイド538−iは、発射の間、ベアリング954−iが乗る直線状の平滑な通路を提供する。図示した実施例は4個の垂直方向構造部材を有するが、当業者には如何なる数の垂直方向構造部材を有する実施例を製造する方法および使用例は明らかである。
【0035】
第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iは、それぞれ、導電体の螺旋を含む。この螺旋の内径はスレッド・コイル534−iの外径よりも大きい。この導電体は、十分な発射パワーを与えることができる十分高い電圧/電流を搬送できる。第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iは、電流が流れた時に、軸540−iに沿った電磁力を生成する。第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iにより、軸540−iに沿って生成された電磁力の方向は、コイル内を流れる電流の方向に依存する。当業者には、第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iの製造方法および使用例は公知である。
【0036】
第3コイル542−iは導電体の螺旋を含む。この螺旋の内径は、スレッド・コイル534−iの外径よりも大きい。第3コイル542−iは、ガイド538−iに動かないよう取り付けられる。発射の間、第3コイル542−iを用いて、スレッド532−iの運動エネルギーの一部を電流として回収し、この回収したパワーをエネルギー貯蔵装置318に、戻りパワーバス211と戻りパワーコンディショナー320を介して、戻す。これについては、図6を参照して以下説明する。第3コイル542−iの製造方法および使用例は、当業者には明らかである。
【0037】
スレッド位置センサー560−iは、キャニスター530−iの底上にある光学的監視装置である。スレッド位置センサー560−iは、光学ビームを反射板561−iに発射する。反射板561−iは、スレッド532−iの底部に取り付けられ、反射ビームの伝搬時間に基づいて、スレッド532−iの位置を決定する。スレッド532−iの位置を発射コントローラ208が用いて、第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iの電流の流れのシーケンスを決める。当業者には、スレッド位置センサー560−iと反射板561−iの製造方法および使用例は明らかである。
【0038】
発射の前に、目標情報が、発射コントローラ208からミサイル428−iに、キャニスター・スレッド間のへその緒546−iとスレッド・ミサイル間のへその緒544−iを介して伝えられる。キャニスターからスレッドへの導電体535−iは、パワーシステム210をスレッド532−iに発射の全期間を通して接続している。
【0039】
発射シーケンスの間、スレッド・コイル534−iと第1コイル536−1−iは、パワーシステム210−iから供給される、推進電流線432−i上を流れる電流でエネルギーが加えられる。発射セル・パワーコントローラ324−iは、スレッド・コイル534−i内の電流の流れを制御する。スレッド・コイル534−iは、スレッド532−iに動かないよう取り付けられている。発射セル・パワーコントローラ324−iは、第1コイル536−1−iと第2コイル536−2内の電流の流れを制御する。この電流の流れは、第1の電磁力がスレッド・コイル534−iにより軸540−iに沿って生成され、第2の電磁力が第1コイル536−1−iにより軸540−iに沿って生成されるよう制御される。力の掛かる方向は、スレッド532−iに推進力が発生するようかけられ、この方向は、軸540−iに沿った真上方向である。推進力の大きさが所定のしきい値を超えると、スレッド拘束ボルト539は解放され、スレッド532−iは、軸540−iに沿って上方に移動する。
【0040】
スレッド532−iが軸540−iに沿って移動すると、発射セル・パワーコントローラ324は、第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iの電流の流れの順番を制御して、スレッド532−iの推進力が最大となるようにする。ここに示した実施例は、2個の推進コイル、第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iとを有する。当業者には、以下のi−ivの要件を考慮して、如何なる数のコイルを組み込んだ他の実施例の製造方法および使用例は明らかである。
i. 連続的な配置、
ii. 適宜の間隔をおいて分離した配置、
iii. ガイド538−iの長さに沿ってずらした配置、
iv. 上記の組み合わせ配置。
【0041】
図6は、図5に示された発射セル426−iの断面図である。しかし、スレッド532−iは、発射シーケンスの終了時、その移動可能距離の終了点近傍にある。発射シーケンスの終了時近傍では、ミサイル428−iは、飛び出しカバー548−iを通り抜ける。スレッド・ミサイル間のへその緒544−iは、ミサイル428−iから切り離される。ミサイル428−iは、空力学的安定性を達成するための十分な速度でもってスレッド532−iから発射(両者は分離)される。
【0042】
スレッド532−iが軸540−iに沿った移動距離の終点に近づくと、パワーシステム210は、スレッド・コイル534−iと、第1コイル536−1−iと、第2コイル536−2−i内を流れる電流を変化させて、軸540−iに沿った吸引電磁力をスレッド・コイル534−iと第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iの間に発生させて、スレッド532−iを減速させ、停止させる。減速する直前に、ミサイル拘束ボルト533−iが働き、ミサイル428−iがスレッド532−iから解放され、ミサイル428−iは、キャニスターから飛び出す。電流は、スレッド532−iが減速し、第3コイル542−iを通過する際にも、スレッド・コイル534−i内を流れる。スレッドの力学的エネルギーは、第3コイル542−iにより吸収され、エネルギー貯蔵装置318に、パワーバス211と戻りパワーコンディショナー320を介して、戻る。このエネルギー回収プロセスは、従来の発電機の固定永久磁石によりロータのコイルが通過することによる電力の生成と類似する。
【0043】
図7と図8はそれぞれ、ミサイルの発射前と発射シーケンスの終了時の本発明の他の実施例を示す。図7を参照すると、発射セル426−iは、キャニスター750−iと、ミサイル428−iと、スレッド532−iと、ミサイル拘束ボルト533−iと、スレッド・コイル534−iと、キャニスターからスレッドへの導電体535−iと、ガイド538−iと、第1コイル536−1−iと、第2コイル536−2−iと、第3コイル542−iと、キャニスター・スレッド間のへその緒546−iと、スレッド・ミサイル間のへその緒544−iと、飛び出しカバー548−iと、発射構造体752−iとを有する。マルチセル電磁発射機204内の各発射セルは、同一であるが、互いに独立に動作する。
【0044】
キャニスター750−iは、飛び出しカバー548−iと共に、スレッド532−iと、スレッド・コイル534−iと、ミサイル428−iと、ミサイル拘束ボルト533−iと、ガイド538−iと、キャニスター・スレッド間のへその緒546−iと、スレッド・ミサイル間のへその緒544−iとを収納し、公知の方法で気密環境を提供する。
【0045】
図7、8に示される他の実施例においては、第1コイル536−1と、第2コイル536−2と、第3コイル542とは、発射構造体752−iに動かぬよう取り付けられ、キャニスター750の外側に配置される(キャニスター530内に配置されるのとは対照的である)。スレッド・コイル534と第1コイル536−1と第2コイル536−2を含む電気マグネット間で十分な力を生成するために、キャニスター750の壁は薄く、非磁性材料から構成される。キャニスターの壁に使用される材料は、ポリマー、アルミ、セラミック、チタン、あるいは他の非磁性ステンレスチールである。
【0046】
図9Aは、本発明の実施例によるスレッド532−iの断面を示す。スレッド532−iは、スレッド・コイル534−iと、ベアリング954−iと、反射板561−iと、スレッド・ミサイル間のへその緒544−iとを含む。
【0047】
各ベアリング954−iは、ローラを有し、ガイド538−iに沿ったスレッド532−iのスムーズな移動を可能とする。当業者には、ボール・ベアリング、ローラー・ベアリング、テフロン(登録商標))コーティングしたガイド・プレート、あるいは潤滑剤を塗ったガイド・プレートを含むベアリング954−iの他の実施例は、公知である。
【0048】
図9Bは、本発明の実施例によるミサイル428−iの断面図である。ミサイル428−iは、弾頭958−iと、化学推進エンジン960−iと、加速度計962−iとを有する。
【0049】
加速度計962−iは、(i)ミサイル拘束ボルト533−iを吹き飛ばし、(ii)化学推進エンジン960−iを点火を開始するのに使用される信号を提供する。ミサイル拘束ボルト533−iは、スレッド532−iとミサイル428−iが減速を開始時(即ち、最高速度の時)に吹き飛ばされ、化学推進エンジン960−iは、ミサイル428−iが発射システム102から十分離れ、ミサイル428−iが空力学的安定性を失う前に点火される。当業者には、加速度計962−iの製造方法および使用例は明らかである。さらに、当業者には、化学推進エンジン960−iの点火を開始する他の手段、例えば高度計からの信号、タイミング回路、ヒューズ、あるいはミサイル(武器)制御システム206からのミサイル428−iへ伝搬される信号の形成方法および使用例は明らかである。
【0050】
図10は、本発明の一実施例による代表的な発射シーケンスの主要なステップ(タスク)からなるフローチャートを表す。発射シーケンス1000は、以下のステップを含む。
【0051】
ステップ1001においては、ミサイル(武器)制御システム206は、発射指令と目標情報を発射コントローラ208に送る。
【0052】
ステップ1002においては、発射コントローラ208は、目標情報をミサイル428−iに送る。
【0053】
ステップ1003においては、発射セル・パワーコントローラ324は、第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iに電力を与えて、推進力をスレッド532−iに発生させ、スレッド532−iを軸540−iに沿って上方に推進する。
【0054】
ステップ1004においては、発射セル・パワーコントローラ324は、第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−iに電流を順次流して、スレッド532−iの推進力を最大にする。
【0055】
ステップ1005においては、ミサイル拘束ボルト533−iが飛ばされて、ミサイル428−iがスレッド532−iから発射される。
【0056】
ステップ1006においては、第3コイル542−iは、移動するスレッド532−iに関連する運動エネルギーを回収する。
【0057】
ステップ1007においては、電流コントローラ322は、スレッド・コイル534−iと第1コイル536−1−iと第2コイル536−2−i内を流れる電流を変化させ、スレッド532−iにかかる力を、推進力から引っ張り力に変化させる。
【0058】
ステップ1008においては、化学推進エンジン960−iの点火を、ミサイル428−iが発射システム102から十分な距離離れた後に、開始する。
【0059】
本明細書において、「含む」、「有する」、「具備する」等の言葉はいずれも同じ意味を有し、そこに記載されたもの以外を排除する意味ではない。さらに本発明の一実施例あるいは他の実施例、一部の実施例は、必ずしも別のものを意味しない。
【0060】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明によるマルチセル電磁発射機を軍艦に搭載した状態のブロック図。
【図2】マルチセル電磁発射機のブロック図。
【図3】本発明の一実施例によるパワーシステム210のブロック図。
【図4】本発明の一実施例によるマルチセル電磁発射機204のブロック図。
【図5】本発明の一実施例による発射シーケンスの開始時点の発射セル426−iの断面図。
【図6】図5の発射セル426−iの断面図であるが、発射シーケンスの終了時におけるスレッド532−iの移動を表す図。
【図7】発射シーケンスで発射する前の本発明の他の実施例を表す図。
【図8】発射シーケンスの終了時の本発明の他の実施例を表す図。
【図9A】本発明の実施例によるスレッド532−iの断面図。
【図9B】本発明の実施例によるミサイル428−iの断面図。
【図10】本発明による発射シーケンスを表すフローチャート図。
【符号の説明】
【0062】
100 戦艦
102 発射システム
204 マルチセル電磁発射機
206 ミサイル(武器)制御システム
208 発射コントローラ
210 パワーシステム
211 戻りパワーバス
212 推進電流バス
213 信号線
214 データバス
316 電気システム
318 エネルギー貯蔵装置
320 戻りパワーコンディショナー
322 電流コントローラ
324 発射セル・パワーコントローラ
426 発射セル
428 ミサイル
430 制御線
432 推進電流線
434 戻りパワーライン
530 キャニスター
532 スレッド(そり)
533 ミサイル拘束ボルト
534 スレッド・コイル
535 キャニスターからスレッドへの導電体
536−1 第1コイル
536−2 第2コイル
538 ガイド
539 スレッド拘束ボルト
540 軸
542 第3コイル
544 スレッド・ミサイル間のへその緒
546 キャニスター・スレッド間のへその緒
548 飛び出しカバー
560 スレッド位置センサー
561 反射板
750 キャニスター
752 発射構造体
954 ベアリング
958 弾頭
960 化学推進エンジン
962 加速度計
1000 発射シーケンス
1001 ミサイル(武器)制御システム206が発射指令と目標情報を発射コントロー ラ208に送信する
1002 発射コントローラ208は、目標情報をミサイル428−iに送る
1003 パワーシステム210は、第1コイル536−1−iとスレッド・コイル53 4−iに電力を与えて、推進力を軸540−iに沿って向けて、スレッド53 2−iを上方に推進する
1004 ポジション・センサー956−iからの情報に基づいて、発射コントローラ2 08は、第1コイル536−1−i第2コイル536−2−iの電流を順に制 御して、スレッド532−iを軸540−iに沿って上方に推進する
1005 スレッド532−iは、ミサイルが発射セル426−iの終端を超えた適宜の 距離の間に航空飛行を得るのに十分な速度でミサイル428−iを発射する。
1006 エネルギーの加わったスレッド532−iが通過し、第3コイル542−i内 に電流を生成させて、この電流をエネルギー貯蔵装置318が戻りパワーバス 211を介して回収する
1007 スレッド532−iが軸540−iに沿って、その移動の終了点に近づくと、 電流コントローラ322は、第1コイル536−1−iと第2コイル536− 2−iとスレッド・コイル534−i内の電流を変化させて、吸引力を生成し て、スレッド532−iを減速させる
1008 加速度計962−iが、ミサイル428−iが航空飛行が出来なくなる前に、 化学推進エンジン960−iの点火を開始する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ミサイル(428)と、
(B)前記ミサイルを取り外し可能に搭載するスレッド(532)と、
(C)前記スレッドの動きをラインに拘束するガイド(538)と、
(D)前記ガイドに対し固定されている固定コイル(536−1)と、
(E)前記スレッドに取り付けられるスレッド・コイル(534)と
(F)電力を前記固定コイル(536−1)に供給する手段と、
を有し、
前記電力が、前記固定コイル(536−1)内を流れる第1電流を誘導し、
前記固定コイル(536−1)内を流れる第1電流が、前記スレッド・コイル(534)内を流れる第2電流を誘導し、
前記固定コイル(536−1)内を流れる第1電流と前記スレッド・コイル(534)内を流れる第2電流により、前記スレッドが前記ガイドに対して移動し、前記ミサイルを発射させる
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
(A)ミサイル(428)と、
(B)前記ミサイルを取り外し可能に搭載するスレッド(532)と、
(C)前記スレッドの動きをラインに拘束するガイド(538)と、
(D)前記ガイドに対し固定されている固定コイル(536−1)と、
(E)前記スレッドに取り付けられるスレッド・コイル(534)と
(F)第1と第2の電力を、前記固定コイル(536−1)と前記スレッド・コイル(534)にそれぞれ供給する手段と、
を有し、
前記第1と第2の電力が、それぞれ前記固定コイル(536−1)内を流れる第1電流と、前記スレッド・コイル(534)内を流れる第2電流とを誘導し、
前記固定コイル(536−1)内を流れる第1電流と前記スレッド・コイル(534)内を流れる第2電流により、前記スレッドが前記ガイドに対して移動し、前記ミサイルを発射させる
ことを特徴とする装置。
【請求項3】
(G)第2固定コイル(536−2,542)をさらに有し、
前記第2固定コイルは、前記ガイド対し固定される
ことを特徴とする請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
(H)エネルギー貯蔵装置(318)をさらに有し、
前記エネルギー貯蔵装置は、前記スレッドの動きにより、前記第2固定コイル(542)に誘導された電流のエネルギーを蓄積する
ことを特徴とする請求項3記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−91265(P2010−91265A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268658(P2009−268658)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【分割の表示】特願2006−522126(P2006−522126)の分割
【原出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(504242618)ロッキード マーティン コーポレーション (19)