説明

電磁リレー

【課題】射出成形におけるゲート残りに起因するバリによる異物の発生を抑制し、長寿命で信頼性の高い電磁リレーを提供する。
【解決手段】本発明は、樹脂成形用のゲート部に対応する凹部2cを有する樹脂成形体で形成されたボディ2と、ボディ2から立設され、ボディ2上の接着部Pでボディ2に接着され、可動接点33を有する可動端子30と、可動端子30の可動接点33と対向した、固定接点をもつように、ボディ2から立設された固定端子40と、可動端子30から離間し、ボディ2に立設された電磁石部10と、電磁石部10に通電することで接離する接極子部20と、可動端子30と接極子部20との間に位置し、接極子部20の運動を可動端子30に伝達するカード3と、を具備する電磁リレーであって、可動端子30または固定端子40の接着剤による接着部Pがボディ2の凹部2cに到達することで、接着とともにバリの封じ込めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁リレーに係り、特に電磁リレーにおけるボディに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁リレーのひとつに、絶縁性部材で形成されたボディに、電磁石部、接極子部、カード、可動端子及び固定端子が装着された構造が提案されている。この電磁リレーとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。図11は、従来の電磁リレーを示す側面説明図である。同図に示すように、電磁リレー1010は、樹脂等の絶縁性部材にて方形状に形成されたボディ1020に、電磁石部1021、接極子1022、カード1023、可動端子1024及び固定端子1025が並設されたものである。電磁石部1021は、ヨーク1021aと、ヨーク1021aに固定したコイル1021bとから構成される。電磁石部1021は、通電されることで電磁力を発生し、接極子1022を吸着する。
【0003】
接極子1022は、略“く”字状に形成されており、中央部1022aが電磁石部1021の上端のヨーク1021a側で支承されている。また、接極子1022は、図示しないヒンジバネによって電磁石部1021に固定されている。図11は、電磁石部1021に通電を行っていないときの状態を示している。この状態では、接極子1022は、先端部1022bがカード1023に接触した状態で停止しているが、電磁石部1021に通電が行われると、基端部1022cが電磁石部1021に吸着されるので中央部1022aを中心に回動する。電磁石部1021への通電が行われなくなると、接極子1022はヒンジバネによって元の状態に戻る。すなわち、接極子1022の先端部1022bがカード1023に接触した状態に戻る。
【0004】
カード1023は、ボディ1020の軸受け部に対して、カード下端部1023aで接極子1022及び可動端子1024の可動接点1024aの方向Aへ回動自在に支承されている。そして、このカード1023は、接極子1022の回動に連動して回動し、可動端子1024の可動接点1024aを固定端子1025の固定接点1025aに接触させる。
【0005】
可動端子1024の変位および可動接点1024aの固定接点1025aへの接触に際し、ボディ1020は振動する。
ところで、ボディ1020は金型を用いた射出成形により形成される。製造に際しては、通常、金型内に形成されたキャビティに、ゲート部を介して溶融樹脂を射出し成形される。このため、成形体にはゲート部に起因する凹部1000が形成される。この凹部1000の周縁で樹脂バリが、生成され易い。従って、この樹脂バリが、振動によって可動端子1024及び固定端子1025に接触し、摩耗粉が発生し易いという問題があった。
さらにまた、使用時だけでなく、製造時にも以下のような問題があった。つまり、可動端子1024及び固定端子1025はボディ1020に形成された端子溝1024c,1025cに圧入される場合、摩耗粉が生じ易い。
【0006】
ところで、電磁リレーにおいて、図12(a)および(b)に示すように、カード123とばねブロック130とを接着剤を流し込んで固定するようにした構造も提案されている(特許文献2)。図12(a)は電磁リレーの要部斜視図、(b)は電磁リレーのカードブロックを示す要部斜視図である。この構成においては、ゲート部に対応する凹部131に接着剤を塗布し、カード123とばねブロック130とを接着し、その接着剤により成形粉を固着して、成形粉の発生を防止している。従って、カード123のゲート部に対応する凹部131からのバリによる成形粉の発生がなくなり、それによる接点の接触不良がなくなるというものである。また、ばねブロック130の成形材のゲート部に対応する凹部135にも同様にカード123の窓123bを介して接着剤を塗布している。
【0007】
また、カメラモジュールにおいても接着剤充填用凹部に充填される接着剤によりゲート部によって形成される凹部が埋設されるようにし、特殊な処理工程を必要とすることなく、ゲート部によって形成される凹部からの発塵を防止するようにした構造も提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−019250号公報
【特許文献2】実公平7−023888号公報
【特許文献3】特開2009−210914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電磁リレーは、接点同士の接触と離間を繰り返すため、接続端子が振動を受け易い。このように、電磁リレーのボディから導出される可動端子あるいは固定端子などの接続端子は、接点のオン・オフによる振動を受け易い。このため、振動に際して、ボディが成形時に発生した樹脂バリに起因する摩耗粉を生じやすく、異物発生の原因となるという問題があった。
【0010】
本発明は前記実情に鑑みてなされたものであり、成形時のゲート残りに起因するバリによる異物の発生を抑制し、長寿命で信頼性の高い電磁リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、樹脂成形用のゲート部に対応する凹部を有する樹脂成形体で形成されたボディと、前記ボディから立設され、可動接点を有する可動端子と、前記可動端子の可動接点と対向した、固定接点をもつように前記ボディから立設された固定端子と、前記可動端子から離間し、前記ボディに立設された電磁石部と、前記電磁石部に通電することで接離する接極子と、前記可動端子と前記接極子との間に位置し、前記接極子の運動を前記可動端子に伝達するカードと、を具備し、前記可動端子または前記固定端子は、接着剤によって形成される接着部で前記ボディに接着され、前記可動端子または前記固定端子の前記接着部が前記ボディの前記凹部に到達したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記電磁リレーであって、前記ボディに係合するように、前記電磁石部、および前記接極子の外側を覆うカバーを具備し、前記カバーが、前記凹部に到達した前記接着剤で前記ボディに当接されたものを含む。
【0013】
また、本発明は、上記電磁リレーであって、前記接着部が、さらに、前記ボディに設けられた溝部と、前記溝部に導入され、前記可動端子を固着する接着剤とを備え、前記溝部から充填された接着剤が前記凹部に到達するように構成されたものを含む。
【0014】
また、本発明は、上記電磁リレーであって、前記溝部が前記凹部よりも浅いものを含む。
【0015】
また、本発明は、上記電磁リレーであって、前記溝部が前記凹部に向かって、次第に深くなるテーパ面を構成するものを含む。
【0016】
また、本発明は、上記電磁リレーであって、前記接着部が、前記ボディに設けられた端子溝と、前記端子溝に導入され可動端子を固着する接着剤とを備え、前記溝部が前記端子溝に到達するように構成されたものを含む。
【0017】
また、本発明は、上記電磁リレーであって、前記可動端子または前記固定端子の少なくとも一方は、前記ボディからの導出部の近傍で前記ボディの端縁に沿って伸張する平行部を有し、前記端子溝は前記平行部に一部で平行であってかつ前記凹部につながっており、前記端子溝にも前記接着剤が充填されたものを含む。
【発明の効果】
【0018】
この構成によれば、可動端子または固定端子の接着部がボディの凹部に到達しているため、ゲート残りに起因するバリが、接着剤とともに固着され、バリによる異物の発生を抑制することができ、長寿命で信頼性の高い電磁リレーを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1の電磁リレーを示す側面図
【図2】本発明の実施の形態1の電磁リレーを示す全体斜視図
【図3】本発明の実施の形態1の電磁リレーのボディを外した状態を示す図
【図4】(a)は接着剤2p充填前のボディの要部断面図、(b)は図1のA−A断面を示す要部拡大断面図(接着剤2p充填後)、
【図5】本発明の実施の形態1の電磁リレーのカバーを示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態1の電磁リレーの内部分解斜視図であり、(a)は端子部、(b)はボディを含む本体部
【図7】本発明の実施の形態1の電磁リレーの外観を示す斜視図
【図8】本発明の実施の形態2の電磁リレーを示す側面図
【図9】(a)は接着剤2p充填前のボディの要部断面図、(b)は図8のA−A断面を示す要部拡大断面図(接着剤2p充填後)、
【図10】図9の変形例を示す図であり、(a)は接着剤2p充填前のボディの要部断面図、(b)は接着剤2p充填後を示すボディの要部断面図、
【図11】従来例の電磁リレーを示す側面説明図
【図12】従来例の電磁リレーを示す図であり、(a)は要部斜視図、(b)はカードブロックを示す要部斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の電磁リレーを示す側面図(カバー5を透視して内部を示す図)である。図2は全体斜視図(カバー5を透視して内部を示す図)である。図3はこの電磁リレーのカバー5およびボディ2を外した状態を示す図である。図4は図1のA−A断面に相当する部分の要部拡大断面図であり、(a)は接着剤2p充填前のボディ2の要部断面図、(b)は接着剤2p充填による接続端子接着後のボディ2の要部断面図である。図5は本発明の実施の形態1の電磁リレーのカバー5を示す斜視図、図6は、本発明の実施の形態1の電磁リレーの内部分解斜視図であり、(a)は端子部、(b)はボディ2を含む本体部である。図7は、本発明の実施の形態1の電磁リレーの外観を示す斜視図である。なお図1および2において、カバー5及び接着剤2pは透光性部材で構成されているわけではないが、内部を透視して記載されている。
【0022】
図1乃至7に示すように、本実施の形態の電磁リレーは、可動端子30のボディ2への接着部Pがボディ2の凹部2cに到達したことを特徴とする。ボディ2は、熱可塑性樹脂を用いた射出成形によって得られるものである。射出成形においては、金型に形成された所望の形状を有するキャビティ内に、ゲートを介して溶融樹脂を射出し、硬化させることによってキャビティ形状に沿った成形品が得られる。そして、この凹部2cは射出成形による金型のゲートの形状に対応するものである。本実施の形態では、図1および2に示すように、ゲート位置を可動端子30に近接させ、可動端子30のボディ2上の接着部Pを凹部2cに到達させている。この接着部Pは接着剤2pをボディ2上に供給することで形成される。そしてボディ2に係合するように、可動端子30、固定端子40、電磁石部10、および接極子部20の外側を覆うカバー5を具備している。このカバーはポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂の成型品で構成される。このカバー5は、ボディ2の凹部2cに到達した接着剤2pで形成された接着部Pでボディ2に固着されている。33,43は接点であり、14,15はコイルへの給電のためのコイル端子である。50は端子である。図1中、接着部Pは、溝部2gよりも広がり、最外周を一点鎖線で示すように、端子溝2tgまで延びている。この端子溝2tgは可動端子30が挿通され、ボディ2に固着されるための溝である。
【0023】
また、この電磁リレーでは図4(a)および(b)に示すように、接着部Pは、ボディ2に設けられた溝部2gと、溝部2gに導入され、可動端子30を固着する接着剤2pとを備え、溝部2gから充填された接着剤2pが凹部2cに到達するように構成されている。図4(a)は、凹部2cと溝部2gとを有するボディ2の要部断面を示す断面図、図4(b)は接着後の断面を示す図であり、カバー5とボディ2と可動端子30とが固着されている。この溝部2gの存在により、接着剤2pの流れ込みを誘導することができる。さらにまた、この溝部2gは凹部2cよりも浅く形成されている。これにより、溝部2gから充填された接着剤2pが凹部2cに流れ込み易くすることができる。このとき、図3に示すように、可動端子30、固定端子40を相対向して配し、電磁石部10を組み込んだ組立構造体を、成型されたボディ2に装着して固定し、組み立てる。組み立てに際しては、図6(a)及び(b)に端子部及びボディ2の組み立て説明図を示すように、接着剤(図示せず)の充填された、端子溝2tgに可動端子30及び固定端子40を圧入し、接着剤を硬化させて固定する。
このとき、完全に硬化するまえに図5に示したカバー5をかぶせ、硬化させることで、図4(b)に示したように、ボディ2と可動端子30(固定端子40)と、カバー5とが一体的に固定される。
図7は固定後の端子側から見た斜視図である。
【0024】
そしてこの電磁リレーにおいては、図3に示すように、電磁石部10で生起された磁力により、接極子部20を動かし、その接極子部20の動きを、カード3を介して可動端子30に伝達し、可動端子30が固定端子40に向けて変位することで、オン状態となる。可動端子30及び固定端子40の各部材など他部については前述した図11に示した電磁リレーと同様、通常の電磁リレー1の各部材と同様のものであるので、説明を省略する。
【0025】
本実施の形態において、ボディ2は、従来の電磁リレーのボディと同様に金型を用いた射出成形によりエポキシ樹脂等の絶縁性部材にて方形状に形成されているが、金型のゲートが、ゲート位置に形成される凹部2cが可動端子30に近接するように、可動端子30の導出部の近傍に設けられている。このようにして、ゲート位置に対応した形成される凹部2cが可動端子30に近接して形成される。
言い換えると、この構成により、可動端子のボディ2への接着部Pが、ボディ2の凹部2cに到達する。なお接着剤2pは浅い溝部2gから供給されて凹部2cの外にも到達するように充填されるが、このボディ2に、電磁石部10、カード3、可動端子30及び固定端子40が並列に立設される。この溝部2gの深さは凹部2cの深さよりも浅く形成するのが望ましい。特に溝部2gの深さは凹部2cの深さの2分の1以下でよい。溝部2gの深さを深く形成するとボディ2の強度が低下する場合がある。特に2分の1を超えるとボディ2の強度低下をまねく場合がある。凹部2cの深さは0.8−1mm程度とするのが望ましい。この溝部2gの存在により、接着剤をバリ封止位置すなわち凹部2cの位置に誘導することができる。また、溝部2gの深さをゲート部の深さ(凹部2cの深さ)より浅くすることで接着剤が溝部2gから凹部2c(バリ封止位置)に移動しとどまりやすくなるという効果を奏功する。
【0026】
カード3は、ボディ2上の接極子(接極子部20)と可動端子30との間に位置し、ボディ2にて接極子部20及び可動端子30の方向へ回動自在に支承される。
【0027】
このように、本実施の形態の電磁リレー1によれば、可動端子30の接着部Pがボディ2の射出成形時のゲートに起因する凹部2cに到達したことを特徴とする。この構成により、ゲート残りに起因して凹部2cの近傍に形成されたバリが、可動端子30近傍で接着剤とともに固着され、バリの固定により、バリに起因する異物の発生を抑制することができる。
また、これに加えて、図4(b)に示したようにカバー5が接着部Pでこの接着剤2pとともに固着されている。
【0028】
従って、バリは接着部Pで固定され、接着性を高めるように作用するため、異物となって、電磁リレーあるいは周辺回路の動作を劣化させることもなく、長寿命で信頼性の高い電磁リレーを提供することが可能となる。
【0029】
なお、前記実施の形態1では、ボディ2の凹部2cのまわりに溝部2gを形成したが、溝部2gはなくてもよく、成形用金型のゲートの位置すなわち成形によってゲートの位置に対応して形成される凹部2cの位置を可動端子30に近接させるだけでも有効である。つまり、凹部2cに充填される接着剤が可動端子30にまで到達することで、接着部がボディ2の凹部2cに到達するようにした構成があればよい。
【0030】
このように、ボディ2の凹部2cを可動端子の近傍に配し、接着剤を固着することで、ボディ2の凹部2cの存在する可動端子近傍のバリの固定が可能となり、摩耗粉による誤動作が低減される。そしてさらにカバー5をこの接着剤で同時に固着することで極めて効率よく固着することが可能となる。また、使用時における振動によって、可動端子30あるいは固定端子50が、ボディ2と摩擦し、バリが摩耗粉となって、飛散し、寿命低下の原因となるのを防ぐことが可能となる。加えて、可動端子への接着剤塗布工程により、自動的にバリ封止も行われ、別途バリ封止のための接着剤塗布工程が不要となる。
【0031】
また、前記実施の形態では、ボディ2の凹部2cは可動端子30の近傍に形成したが固定端子40の近傍でもよく、また両方でもよい。可動端子30は固定端子40に比べ可動範囲が大きいため、可動端子30の近傍に設けた場合に特に有効である。
【0032】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2の電磁リレーについて説明する。
図8は、本発明の実施の形態2の電磁リレーを示す側面図、図9は要部拡大断面図であり、(a)に接着剤2p充填前のボディ2の要部断面図を示し、(b)に接着後の断面を示す。接着部Pは、ボディ2に設けられた溝部2gと、溝部2gに導入され、凹部2cに到達してバリを固着する接着剤2pと、この溝部2gに到達するように形成された凹部2cとを備えている。そしてこの接着部Pは、さらに、ボディ2に設けられ、可動端子30を圧入された端子溝2tgと、この端子溝2tgに導入され、可動端子30を固着する接着剤2pとを備えている。つまり本実施の形態では接着剤2pの充填される端子溝2tgを具備している。そして図9(b)に示すように、溝部2gが端子溝2tgに到達するように形成され、凹部2cと溝部2gとに充填された接着剤2pが、端子溝2tgに到達する。そしてこの可動端子30がこの端子溝2tgに充填された接着剤2pで固着され、さらにカバー5とボディ2と可動端子30とが固着されている。
そして、端子溝2tgに充填された接着剤2pがボディ2の凹部2cに到達するように構成されている。
【0033】
また、可動端子30は、ボディ2からの導出部30oの近傍でボディ2の端縁に沿って伸張する平行部30Pを有している。そしてボディ2は、この平行部30Pに平行であってかつ凹部2cにつながる溝部2gを有し、この溝部2gにも接着剤2pが充填されている。
他は前記実施の形態1の電磁リレーと同様である。
【0034】
可動端子30は、ボディ2からの導出部の近傍でボディ2の端縁に沿って伸張する平行部30Pを有しているため、圧入長さが長く、可動端子30を端子溝2tgに圧入する際、特に摩耗粉が発生し易い。しかし、この構成によれば、端子溝2tgに、可動端子30を導入する際、あらかじめこの端子溝2tgに接着剤2pを充填しておく。このことで、可動端子30をボディ2に固着しつつ摩耗粉を効率よく固定し、接着性を高めている。可動端子30は、平行部30Pを有し、この平行部30Pに一部で平行であってかつ凹部2cにつながる端子溝2tgに形成されているため、下方すなわち可動端子30及び固定端子40などの端子の導出方向に摩耗粉が落下するのを防止することができる。
【0035】
そして、この平行部30Pでカバー5も固着されるため、別途部材を設けたりすることなく、位置を移動するだけで、極めて効率よくカバーの固定と、バリに起因する摩耗粉の発生を抑制することができる。
【0036】
なお、本実施の形態1,2では可動端子30について説明したが、固定端子40に、凹部2cが近接あるいは到達していてもよい。ここで近接とは、この凹部2cに充填した接着剤が流出して到達する程度に近接していることをいうものとする。また可動端子30および固定端子40の両方に凹部2cが近接していてもよい。
【0037】
また、この溝部2gは図10に変形例を示すように、凹部2cに向けて傾斜した断面を持つように構成されていてもよい。図10は要部拡大断面図であり、(a)に接着剤2p充填前のボディ2の要部断面図を示す、(b)に接着後の断面を示す。
この構成によれば、接着剤を流れ込み易くすることができる。
【0038】
また、本実施の形態においても、ボディ2の凹部2cは可動端子30の近傍に形成したが固定端子の近傍でもよく、また両方でもよい。可動端子30は固定端子30に比べ振動や衝撃を受ける可能性が高いため、可動端子30の近傍に設けた場合に特に有効である。
【0039】
また、ボディ2はエポキシ樹脂で構成したが、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、あるいは塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いてもよいが、熱硬化性樹脂を用いるのが望ましい。
接着剤としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが適切である。
また、浅い溝部2gは凹部2cにむけて破線で示すようななだらかな溝であればなお接着剤の導入が容易である。
【0040】
なお、上記各実施の形態において、カバー5の固着は、必ずしも同時でなくてもよい。また、カバーをこの可動端子近傍に充填する接着剤2pで固定しない場合にも、可動端子近傍でのバリの固定は、電磁リレーの長寿命化に有効であることはいうまでもない。接着剤として、熱硬化性樹脂を用いる場合には、硬化速度の遅いものを用い、接続端子をボディ2に固着し、組み立て後すぐにカバー5を固着するのが望ましい。また接着剤2pとして熱可塑性樹脂を用い、カバー5装着後、部分的にレーザ照射を行い、接着剤2pを溶融して再度硬化させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 電磁リレー
2 ボディ
2c 凹部
2tg 端子溝
2p 接着剤
2g 溝部
P 接着部
3 カード
5 カバー
10 電磁石部
12 ヨーク
13 コイル
14,15 コイル端子
20 接極子部
30 可動端子
30P 平行部
30o 導出部
33 (可動側)接点
40 固定端子
43 (固定側)接点
50 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形用のゲート部に対応する凹部を有する樹脂成形体で形成されたボディと、
前記ボディから立設され、可動接点を有する可動端子と、
前記可動端子の可動接点と対向した、固定接点をもつように、前記ボディから立設された固定端子と、
前記可動端子から離間し、前記ボディに立設された電磁石部と、
前記電磁石部に通電することで接離する接極子と、
前記可動端子と前記接極子との間に位置し、前記接極子の運動を前記可動端子に伝達するカードと、を具備し、
前記可動端子または前記固定端子は、接着剤によって形成される接着部で前記ボディに接着され、
前記可動端子または前記固定端子の前記接着部が前記ボディの前記凹部に到達した電磁リレー。
【請求項2】
請求項1に記載の電磁リレーであって、
前記ボディに係合するように、前記電磁石部、および前記接極子の外側を覆うカバーを具備し、
前記カバーは、前記凹部に到達した前記接着剤で前記ボディに当接された電磁リレー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電磁リレーであって、
前記接着部は、前記ボディに設けられた溝部と、前記溝部に導入され、前記可動端子を固着する接着剤とを備え、
前記溝部から充填された前記接着剤が前記凹部に到達するように構成された電磁リレー。
【請求項4】
請求項3に記載の電磁リレーであって、
前記溝部は前記凹部よりも浅い電磁リレー。
【請求項5】
請求項4に記載の電磁リレーであって、
前記溝部は前記凹部に向かって、次第に深くなるテーパ面を構成する電磁リレー。
【請求項6】
請求項3に記載の電磁リレーであって、
前記接着部は、さらに、前記ボディに設けられた端子溝と、前記端子溝に導入され可動端子を固着する接着剤とを備え、
前記溝部が前記端子溝に到達するように構成された電磁リレー。
【請求項7】
請求項6に記載の電磁リレーであって、
前記可動端子または前記固定端子の少なくとも一方は、前記ボディからの導出部の近傍で前記ボディの端縁に沿って伸張する平行部を有し、
前記端子溝は前記平行部に一部で平行であってかつ前記凹部につながっており、前記溝部にも前記接着剤が充填された電磁リレー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−4425(P2013−4425A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136729(P2011−136729)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)