説明

電磁放射線治療装置及び方法

1072nm又はその付近を中心とする電磁放射線を放出し、人体又は動物体の大部分又は全身の周りに配置されるように構成された装置を備える電磁放射線治療システム。本発明は、気管及び/又は血管などの体内管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気を治療する方法をも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の治療周波数又はその付近を中心とする電磁放射線を放出する装置を備え、この装置は、少なくとも体の一部の周りに配置され体の広い領域を治療するように構成された、電磁放射線治療システムに関する。本発明は、とりわけ、老化に関連する病気を治療する方法と臓器又は体組織の健康を維持又は向上する方法も含む。そして、特に、体内管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気の治療を対象とする。体内管としては、特に、気管及び/又は血管を対象とする。
【背景技術】
【0002】
老化の過程の一環として、細胞機能の多系統の損失や、臓器の中でとりわけ肺及び動脈血管の弾性の損失がある。さらに、動脈の内腔に影響を与えるアテローム斑の進行がある。
【0003】
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、慢性閉塞性肺病(COLD:Chronic Obstructive Lung Disease)、慢性閉塞性気道疾患(COAD:Chronic Obstructive Airway Disease)、慢性気流制限(CAL:Chronic Airflow Limitaion)、及び慢性閉塞性呼吸器疾患としても知られている。これは、治療可能性の低い状態であり、通常は時間の経過とともに徐々に悪化する。そして、これは、気道が狭くなるという通常併存する2つの肺病の対である、慢性の気管支炎及び気腫を称する。これは、肺の内外への空気の流れの制限をもたらし、これに起因して息切れが発生する。COPDの診断には、肺機能試験が必要である。重要な管理戦略としては、喫煙中止、ワクチン接種、リハビリテーション、及び(しばしば吸入器を用いる)薬物治療がある。中には、長期の酸素治療又は肺移植を必要とするまでに達する患者もいる。世界的に、COPDは、1990年に死因として6位に位置づけられた。そして、2007年の米国でのCOPDの経済的負担は、介護費と生産性損失において426億ドルであった。
【0004】
動脈血流障害は、通常、アテローム斑が原因で発生するものである。そして、重度の動脈閉塞は、一般的に手術により治療される。一方、より軽度の閉塞は、ライフスタイルの改善と合わせて薬物治療(代表的にはアスピリンとβ−遮断薬の組み合わせ)により治療される。アテローム斑は、最終的には冒された動脈の血流を減少させる。これは、最終的に、虚血により、血液が供給される臓器の破壊をもたらす。これが脳内で発生する場合は脳卒中が起こり、心臓内で発生する場合は心筋梗塞が起こり、脚内で発生する場合は間欠性跛行が起こる。現在、医療は、この斑の進行速度を低下させることができるが、アテローム斑の存在を完全に無くすものではない。そして、今日まで、動脈の弾性に影響を与え又は回復させる治療は存在しない。動脈血流障害は、正常かつ酸素豊富な血液の供給が無くなった臓器又は組織に応じて、数々の病気を引き起こす。例えば、狭心症は、心筋虚血、即ち血液からの酸素が心筋に十分に供給されないことに起因して発生する胸痛である。安定したアンギナのある患者は、運動後又はストレスを受けた後に痛みを感じるが、休むとその痛みは消える。しかしながら、動脈障害が陰茎動脈血流にある場合は、その人は勃起障害を患うことがある。同様に、手脚内の血流が制限される場合は、その人は間欠性跛行又は痙攣を患うことがある。障害が腎動脈流機能にある場合は、その人は腎臓機能が低下することがあり、場合によってはこれにより腎不全に至る。腎臓動脈流障害に起因して一過性虚血発作が発生する場合は、脳に影響が出ることがある。
【0005】
費用効果的で非侵襲的な治療であって、体内管、特に気管及び/又は血管のコンプライアンス及び/又は弾性を向上し、これにより狭くなった管内の液流を向上することができる治療は、患者と臨床医の両方に即時の利益を与える。
【0006】
従来技術から、1072nm付近を中心とする電磁放射線は、ヘルペス性又は細菌性の感染症を治療するのに特に効果的であることが知られている(国際公開第9919024号)。さらに、従来技術から、この特定波長は、表皮の細い線及びしわの外見を改善するために、美容上でも使用可能であることが知られている(国際公開第2006/000757号)。しかしながら、本発明では、驚くべきことに、電磁放射線は表皮だけではなくその深層に症状及び原因が存在する他の状態の治療にも有効であり得ることが判った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第99/019024号
【特許文献2】国際公開第2006/000757号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、人体又は動物体の少なくとも胸部/胸郭部又は全身を包み込むような大きさ及び形状に形成された装置が提供される。これにより、使用時に、その個体は、治療中に、ほぼ360度の治療光照射を受ける。この装置は、外面、及び治療部位に接触又は近接する内面を備える。この内面は、1072nm付近を中心とする発散電磁放射線を放出する手段を有し、さらに治療部位において少なくとも20mW/cmから5W/cmまでの放射線強度を生成することができる。
【0009】
本明細書における治療部位とは、人間又は動物の被験体の骨、体内管、又は内臓を含むことを意図しているが、これに限定されない。
【0010】
本明細書の記載及び請求項全体を通して、「備える」及び「含む」という語やこれらの変形語は、「含むがこれに限らない」ことを意味し、これらは他の部分、添加物、構成要素、個数、又はステップを除外することを意図していない(かつ除外しない)。本明細書の記載と請求項全体を通して、特に断りがなければ、各要素は複数存在し得る。特に、個数を記していなければ、本明細書は、特に断りのない限り複数及び単数の両方を意図していると理解すべきである。
【0011】
本発明の特定の態様、実施例、又は例に関連して説明する特徴、個数、特性、化合物、化学的成分、又はグループは、不適合でない限り、本明細書に説明する他のあらゆる態様、実施例、又は例に適用できるものと理解すべきである。本明細書(あらゆる請求項、要約、及び図面を含む)に開示された全ての特徴、及び/又は同様に開示されたあらゆる方法又は処理の全てのステップは、そのような特徴及び/又はステップの少なくとも一部が相互に排他的であるような組み合わせを除き、あらゆる組み合わせで組み合わせることができる。本発明は、前述のあらゆる実施例の詳細に限定されない。本発明は、本明細書(あらゆる請求項、要約、及び図面を含む)に開示された特徴におけるあらゆる新規のもの又はあらゆる新規の組み合わせ、あるいは同様に開示されたあらゆる方法又は処理のステップにおけるあらゆる新規のもの又はあらゆる新規な組み合わせに及ぶ。
【0012】
この装置の「外面」は、治療対象の個体に接触又は近接しない面であり、この装置の外壁である。「内面」は、治療面であり、電磁放射線を放出する手段を備え、及び、それ自体は、使用時に個体の治療対象領域に最寄りの面である。
【0013】
本発明の1つの好適例では、装置が、ヒンジで連結された複数のパネルを備える。これら複数のパネルは、治療対象である個体の周りに折り曲げることができる。治療中には、その個体は、直立又はあおむけになって電磁放射線を受けることができる。そして、こうしたものとして、治療対象領域を装置内に包み込むことができる。パネル自体は、剛性材料または比較的柔軟な材料で構成することができる。
【0014】
本発明の他の好適例では、装置は、略「C」字形の装置を備え、使用時に、個体の手脚又は胴体を装置の中空の「内腔」内に配置することができる。「C」字形装置は、比較的柔軟な材料製でありこれにより、装置を部分的に広げて、個体の周りに適合させることができることが好ましい。
【0015】
本発明のさらに他の好適例では、装置が、前面及び後面のパネルを備える。前面及び/又は後面のパネルは、個体の胸部又は胴体の周りに適合するような輪郭又は形状に形成されている。これを、都合上「胸部装置」と称する。パネルは、頭部、腕、及び胴体下部が突出するための空間又は隙間を持たせて形成されている。これにより、着用され定位置にあるときは、個体は鎧スーツの胸板部分に似た胸板を着用しているように見える。
【0016】
前面及び後面のパネルは、個体の周囲でスナップ式の嵌合機構又はクリップなどの任意の適切な手段により締結されて一体となっていることが好ましい。この締結手段は、各パネルの周囲に配置され、これにより個体を装置内にしっかりと包み込むことができる。
【0017】
前面のパネルの内面は、電磁放射線を放出する手段を複数有していることが好ましい。さらに随意的に、後面のパネルにも、電磁放射線を放出する手段を設けてもよく、これにより、治療中に個体がほぼ360度の1072nmの照射を受ける。
【0018】
前面のパネルの内面又は治療面上にある電磁放射線を放出する手段は、特定領域内に、より多数の前記手段が存在するように配置することが好ましい。これにより、個体の特定の選択領域、例えば肺尖部が、さらに高密度の光線治療を受ける。後面のパネルにも電磁放射線を放出する手段を設けている例では、これらの手段も、個体の選択領域内にさらに高密度の光線治療を提供するように配置することができる。
【0019】
胸部装置はさらに、湾曲した肩部照射器を含むことが好ましい。湾曲した肩部照射器は、前面又は後面のパネル内にあってもよいし、各パネル内に配置してもよい。これにより、使用時に、相補的なパネル同士が個体の肩部用湾曲形状を形成する。
【0020】
前面のパネルはさらに、心筋の下面に光を指向させる投射部を含むことが好ましい。
【0021】
前面のパネルの内面上にある電磁放射線を放出する手段の少なくとも一部を、個体のあばら骨間の空間への最大限の浸透を保証するように角度付けすることが好ましい。
【0022】
後面のパネルにも電磁放射線を放出する手段を設けた例では、これらの手段も、最大限の治療と浸透を与えるように構成し角度付けすることができる。
【0023】
本発明に係る装置のさらに他の好適例では、装置は、治療対象である個体のほぼ全身を包み込むような大きさ及び形状に形成された前面及び後面のパネルを備える。この好適例は、都合上「全身」装置と称する。本発明のこの好適例では、装置は、個体が星型になる形状の前面及び後面のパネルを備える。すなわち、両腕が横に広がり、両脚が逆「V」字型になる。本発明のこの好適例は、幅広い種類の体の部分及び組織の同時治療を行うのに特に有効であり、特に効果的な治療を提供することが示されている。装置は、相補的な前面及び後面のパネルを備える。相補的な前面及び後面のパネルは、中心水平面について対称であり、治療対象である個体の全身を包み込むような大きさ及び形状に形成されている。前面及び後面のパネルは、個体の頭部を収容する頭部領域、個体の胴体と骨盤部を収容する胴体領域、個体の両腕を、胴体から20〜90度の間の角度で出るように保持して収容する一対の腕部領域、及びでの個体の両脚を逆「V」字形の姿勢で収容する一対の脚部領域を有する。
【0024】
全身装置の前面及び後面のパネルは、個体の周囲でスナップ式の嵌合機構又はクリップなどの任意の適切な手段により締結されて一体となっていることが好ましい。この締結手段は、各パネルの周囲に配置され、これにより個体の全身を装置内にしっかりと包み込むことができる。その個体は、直立またはあおむけになって治療を受けることができる。
【0025】
前面のパネルの内面は、電磁放射線を放出する手段を複数有していることが好ましい。さらに随意的に、後面のパネルにも、電磁放射線を放出する手段を設けてもよく、これにより、個体は治療中にほぼ360度の1072nmの照射を受ける。
【0026】
前面のパネルの内面又は治療面上にある電磁放射線を放出する手段は、特定領域内に、より多数の前記手段が存在するように配置することが好ましい。これにより、個体の特定の選択領域、例えば骨盤領域、あるいは子宮、前立腺、又は膀胱などの器官が、さらに高密度の光線治療を受ける。後面のパネルにも電磁放射線を放出する手段を設けている例では、これらの手段も、個体の選択領域にさらに高密度の光線治療を提供するように配置することができる。このようにして、個体は全身360度の1072nmの照射を受ける。
【0027】
前面及び/又は後面のパネルの内面上にある電磁放射線を放出する手段のうち少なくとも一部は、最大限の浸透を保証するように角度付けすることが好ましい。
【0028】
発散とは、本発明に係るシステムから放出される電磁放射線が、5度以上の発散半角を有することを意味する。電磁放射線の発散は、15度から45度の範囲内にある発散の半角を有することが好ましい。
【0029】
1072nm付近を中心とする電磁放射線は、約5nmから120nmのバンド幅を有することが好ましい。さらに、このバンド幅が50nm未満であり、約10nmであることが好ましい。発光装置の動作ピーク出力における波長は、1072nmから0〜10nm以内であることが望ましい。さらに好ましくは2〜5nm以内であることが望ましい。1072nm付近を中心とする波長は、骨、関節、腎臓、肝臓、体内管、及び肺の組織を治療するのに特に効果的であることが、研究で示されている。
【0030】
放射線生成手段は、固体発光デバイスであることが好ましく、さらに、固体発光ダイオード、ガス放電装置、又は発光ポリマーであることが好ましい。このようなデバイスからの放射線は、電気的に操作することができる。又は、放射線は光ファイバー伝送システムを通じて照射装置へ伝送することができる。
【0031】
放射線放出装置は、1072nm又はその付近を中心とする波長の放射線を放出するように構成されたPN接合を含むことが好ましい。単一の発光ダイオードアセンブリは、複数の配向接合を含むことができる。赤外線発光ダイオードは、特定周波数の放射線を放出するだけでなく、高強度の発散ビームを放出するように構成することができる。ガス放電装置は、所望の波長、例えば1072nmの出力を与えるような、気体の混合物を含むことができる。この所望の光波長は、発光ポリマーにより生成することができる。
【0032】
他の好ましい放射線生成手段は、例えば1072nmの周波数で光を放出するレーザーダイオードなどの、レーザーダイオードデバイスである。このような発光手段は、発散ビームを有する低電力強度かつ、熱損傷を生じさせないものである。これは、気腫(COPD)及びアテローム斑を含む、数多くの病気を治療するのに用いることができる。
【0033】
本発明の特に好適な例では、発散電磁放射線を放出する手段は、発光ダイオード(LED)である。放射線放出装置は、1072nmの光を放出するように構成されたPN接合を含む。単一のLEDは、複数の配向接合を含むことができる。本発明に係る装置は、装置の表面上に配置された複数のLEDを含む。複数のLEDは、人体又は動物体の治療部位に接触又は近接している。
【0034】
電磁放射線を放出する手段間の間隔は、2mmから25mmまでの間であることが好ましい。より好ましくは、3mmから15mmまでの間であり、より好ましくは、3mmから10mmまでの間である。本発明に係る装置の内面には、複数のLED又は類似のデバイス間に様々な間隔を設けることができる。これにより、治療を最も必要とし強度レベルを高くする必要がある領域では、高いレベルの治療を必要とせず必要とする強度がより小さい領域と比べて、LED同士がより接近している。
【0035】
1072nmの光は、均一の光分布を有することが好ましい。
【0036】
装置は、商用電源などの電源に接続されていることが好ましい。又は、装置は、電池給電にすることができる。
【0037】
電磁放射線は、連続的又はパルス状であることが好ましい。
【0038】
電磁放射線が連続的である場合、その強度は、浅い所にある骨の治療用には少なくとも20mW/cmであり、心臓、肺、及び脳血管などのより深くにある臓器の治療用には5W/cm以下であることが好ましい。
【0039】
電磁放射線がパルス状である場合、その強度は、ひざのような浅い関節の治療用には少なくとも500mW/cmのピーク電力であることが好ましく、そして、肺と心臓の治療用には少なくとも2W/cmのピーク電力であることが好ましい。そして、平均電力は4W/cm以下である。平均電力は、ピーク電力に放射線が照射された合計時間の割合を積算したものである。例えば、ピーク電力が500mW/cmであり、600Hzの周波数で200マイクロ秒間パルス放射される場合、平均電力は30mW/cmである。
【0040】
電磁放射線がパルス状である場合、その強度の平均電力は、0.5〜4W/cmの範囲内であることが好ましい。
【0041】
電力は、骨に適用される場合、500mW/cmのピーク電力から4W/cmの連続又はピーク電力までの範囲が適切であり得ることを、我々は見出した。
【0042】
電磁放射線がパルス状である場合、少なくとも10〜15マイクロ秒間のパルス持続時間だけ照射することが好ましく、さらには、200〜900Hzの範囲内の周波数/反復度で照射することが好ましい。さらには、周波数/反復度は、ちょうど又は約600Hzであることが好ましい。
【0043】
電磁放射線は、可干渉又は非干渉のいずれであってもよく、治験結果はこのパラメータによって影響を受けないことが、我々の研究で示されている。
【0044】
電磁放射線は、少なくとも30秒間から数分間まで、患部に照射されることが好ましい。骨と肺に対する一般的な照射時間は、約6分である。しかしながら、皮膚表面よりかなり下にある組織に対しては、個体の脂肪/筋肉層の深さに応じてこの時間は増加され、照射は10分にまでなり得る。
【0045】
電磁放射線を放射する電源は、臨床効果を得るために必要な強度より大きい強度を生成しなければならないことは明らかである。なぜなら、我々は、治療中に皮膚表面の全域にわたって、治療光の照射量のうち約95%が失われることを示したからである。従って 、照射された放射線の強度は、治療を行う際に修正しなければならない。
【0046】
以上により、電磁放射線は連続的又はスイッチング(パルス)方式のいずれでも、目標部位へ指向することができることは明らかである。スイッチング方式の主な利点により、電力節減を可能にし、ずっと高いピーク電力出力を促進し、これにより、臨床応答が改善される。
【0047】
このシステムは、さらに所定範囲内に放射線強度を固定する手段を含むことが好ましい。放射線の出力は、強度と波長の両方について、装置の正しい機能を示す可視表示装置によって監視することができる。
【0048】
システムは、放射線の照射の持続時間を制御する手段をさらに含むことが好ましい。したがって、本発明は、1072nm付近を中心とする波長を有し、低強度で照射される電磁放射線を用いる方法に関する。これにより、あらゆる人間又は動物の組織に対して熱損傷を生じさせない。本発明は、治療効果を得るために熱的効果に頼らない。
【0049】
放射線を目に入れるようにシステムを用いる場合、電力強度は100mW/cmを越えないことが好ましい。それ以外の場合では、電力強度はこれより高くてもよく、パルス形式で適切に伝送することができる。これにより、数Wの瞬時電力出力が得られ、細胞への良好な浸透とほぼ全身的な効果を得ることができる。
【0050】
本発明は、1072nmの波長と少なくとも500mW/cmから4W/cmまでの強度を有する発散電磁放射線を、生きている人間又は動物の被験体の生体組織の領域を治療するために用いる方法も提供する。
【0051】
本発明に係る装置により生成された電磁放射線は、病気の治療及びアテローム斑の治療に用いることができることが好ましい。病気の治療としては、例えば、慢性閉塞性肺疾患を持つ患者の肺の弾性の改善などがあるが、これに限定されない。バンド幅が制限された放射線を用いることにより、エラスチンの細胞産生を高め、軟骨の生成を増加することができる。
【0052】
本発明に係る装置は、表皮の表面より下約5mmから500mmまでの深さまで浸透させることができることが好ましい。以下に説明する光線治療による予想外の結果は、1072nmの光は、皮膚表面より深く下にある臓器及び生理的過程に対して、有益な治療効果を確かに有することができるというものである。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に係る装置を、気管及び/又は血管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気の治療のために使用する方法を提供することができる。
【0054】
前記病気は、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症、虚血性心不全、心不全、狭心症、及び腎不全から成るグループから選択することが好ましい。
【0055】
本発明の第3の態様によれば、1072nm付近を中心とし、かつ治療部位において少なくとも20mW/cmから5W/cmまでの放射線強度を生成する発散電磁放射線を、気管及び/又は血管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気の治療に用いる方法を提供することができる。
【0056】
本発明の第4の態様によれば、気管及び/又は血管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気を治療する方法であって、1072nm付近を中心とする波長を有しかつ治療部位において少なくとも500mW/cmから4W/cmまでの強度を有する発散電磁放射線を、生きている人間又は動物の被験体の生体組織のある領域に照射することにより、この領域を治療する方法を提供することができる。
【0057】
患部組織が、治療対象組織に応じて、少なくとも500〜2000mW/cmのピーク電力の放射エネルギーを受けるように、治療対象領域を照射することが好ましい。ここでは照射期間が一要素であり、好ましくは、この期間は、200〜900Hzの反復度/周波数で少なくとも10〜15マイクロ秒の指定最小値とすべきであり、30秒以上の持続時間であることが好ましい。
【0058】
治療は、治療中の病気に改善が見られるのに必要な頻度で繰り返すことができる。
【0059】
これらの病気は、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症、虚血性心不全、心不全、狭心症、及び腎不全から成るグループから選択することが好ましい。
【0060】
本発明の第5の態様によれば、慢性閉塞性肺疾患を治療する方法であって、
(i)慢性閉塞性肺疾患を患っている個体の少なくとも胸郭部/胸部に、1072nm付近を中心とする波長を有しかつ治療部位において少なくとも500mW/cmから4W/cmまでの強度を有する発散電磁放射線を、200〜900Hzの反復度/周波数で少なくとも10〜15マイクロ秒間照射するステップと、
(ii)前記照射を少なくとも30秒間維持するステップと、
(iii)前記照射を所要の頻度で繰り返すステップと、
を備えた方法を提供することができる。
【0061】
本発明の第6の態様によれば、心循環障害を治療する方法であって、
(i)心循環障害を患っている個体の少なくとも胸郭部/胸部を、1072nm付近を中心とする波長を有しかつ治療部位において少なくとも500mW/cmから4W/cmまでの強度を有する発散電磁放射線を、200〜900Hzの反復度/周波数で少なくとも10〜15マイクロ秒間照射するステップと、
(ii)前記照射を少なくとも30秒間維持するステップと、
(iii)前記照射を所要の頻度で繰り返すステップと、
を備えた方法を提供することができる。
【0062】
本発明の特定の態様に属する好適な特徴は、本発明の各それぞれの態様に、必要に応じて変更を加えながら適用されることは明らかである。
【0063】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る装置の1つの特定実施例を示す図である。この装置は、ヒンジで連結された一連のパネルを備える。各パネルは、表面上に複数の発光デバイスを有する。その表面は、治療対象である人体又は動物体の一部と接触又は近接している。
【図2】本発明に係る装置の1つの特定実施例を示す図である。この装置は、ヒンジで連結された一連のパネルを備える。各パネルは、表面上に複数の発光デバイスを有する。その表面は、治療対象である人体又は動物体の一部と接触又は近接している。
【図3】本発明に係る装置の剛体版を示す図である。ここで、電磁放射線は、略「C」字形の装置内に配置された手脚に向かって、半円形状に指向される。
【図4A】図4Aから4Eは、本発明に係る装置の代案実施例を示す図であり、この装置は、個体の胸郭部又は胸部を包み込むように構成されている。図4Aは側面図である。
【図4B】本発明に係る装置の代案実施例を示す図であり、この装置は、個体の胸郭部又は胸部を包み込むように構成されている。図4Bは頭の端部を示す図である。
【図4C】本発明に係る装置の代案実施例を示す図であり、この装置は、個体の胸郭部又は胸部を包み込むように構成されている。図4Cは脚の端部を示す図である。
【図4D】本発明に係る装置の代案実施例を示す図であり、この装置は、個体の胸郭部又は胸部を包み込むように構成されている。図4Dは装置の上半身又は胸部を包み込む部分の内面図である。
【図4E】本発明に係る装置の代案実施例を示す図であり、この装置は、個体の胸郭部又は胸部を包み込むように構成されている。図4Eは図4Dの側面図である。
【図5A】本発明に係る装置の他の代案を示す図である。この装置は、全身の電磁放射に用いる。この図では、後側及び前側の部分が分解されている。
【図5B】図5Aに示すように、体の前面を包み込む前側部分の内面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の一実施例では、電磁放射線を放出する装置が、ヒンジで連結された一連のパネルを備える(図1と2)。各パネルは、発光面と非発光面を備える。発光面は、治療対象である動物体又は人体の表面に接触又は近接した面である。発光面は、患部全体にわたって均一な光分布が達成されるように配置された複数のLEDを備える。LEDは、パネル内に埋め込むか、パネルに取り付けて固定することができる。パネルは、その上端及び下端を、隣接するパネルとヒンジで連結されている。これにより、一連のパネルは柔軟性を有して、体又は体の一部を包み込むことができる。ヒンジは、解放可能/着脱可能とすることができる。これにより、ユーザーの要求に応じて、一連のパネルを、2つ以上のパネルとすることができる。パネルは、人体の広範囲を治療可能とするために、互いに大きさが異なってもよい。
【0066】
図3に示す本発明の代案実施例では、装置は、略「C」字形の端部が開いた装置を備える。その内面には、複数のLEDが埋め込まれるか取り付けられて設けられ、そして患部全体にわたって均一な光分布が達成されるように配置されている。この「C」字形の装置は、個体がこの装置を広げてその「内腔」内に入り、この装置を胸部の周りに取り付けることができるのに十分な柔軟性を持つ。この装置は、紐などによって個体の周りに固定することができる。本発明のこの特定実施例は、「C」字形装置の大きさ次第で、腕、脚、胴体、及び胸部の照射に特に適している。
【0067】
図4は、胸部を照射するための、本発明の代案実施例を示す。この光照射装置の主な機能は、胸部の全側面の全方向からの同時治療を促進することにある。光がパルス状である場合は、全ての「オン」パルスが一致する。これにより、目標組織へのより大きい浸透を達成する。
【0068】
この設計には、直立型光パネル方式と比べて優れた点がある。湾曲した肩部光照射器Dは、しばしば重大な肺病の患部となる肺尖部の組織を治療する。突起Bは、心筋の下面へ光を指向させる。心筋の下面は、これがない限り、照射されない。上腹部における最小量の局所的圧力は、前腹部の脂肪を圧迫して上腹部の内容物を下方及び横方向へ変位させることにより、目標領域への光透過を増加させる。発光面Aは、あばら骨間の空間への最大限の浸透を保証するように、わずかに上方に角度付けされて構成された光源を有する。使用時には、両腕はCの中を通るように配置され、発光装置の外側で組まれて外面P上に乗る。こうすることにより、両肩甲骨が横向きに回り、後面ASからの光によって胸部の後面を照射できるようになる。
【0069】
図5Aと5Bは、全身照射装置を示す。体の周りに配置されサンベッドの中で用いられるパネルのような従来のパネルは、手脚が光を遮ってしまい、準最適な治療効果しか得られないので、所望の目的を達成することができないことが判っている。1072nmによる全身の同時照射は、優れた結果をもたらすことが判っている。特に、骨は1072nmの光に対してかなりの障害となる。よって、両腕を挙げることにより、発光面C(図5B)と胸郭との間の組織量が低減され、例えば心臓や縦隔のようにより深い構造へのより大きな光の浸透が可能になる。さらに、血液は体中に活発に運ばれるため、所要の治療時間だけ血液中の全ての細胞を治療することを保証する唯一の方法は、全身を同時に照射することである。図5Aと5Bの装置は、個体向けに特注で作られてもよいし、大衆に適合させるために複数のサイズを一組にして製造されてもよい。
【0070】
骨盤の治療は、この領域の骨密度が高いため、困難な筋書きをもたらすことが判っている。図5Aにおいて、Dにある高密度の光源は腹膜部を照射し、これにより子宮又は前立腺及び膀胱などの骨盤内器官を治療する。面AとBは、人体の全表面を照射する発光面である。面Eは、脚の足底面を治療する発光源である。
【0071】
使用時には、個体が発光源Fに対して横たわるか又は立つ。発光源Fには、発光面「i」から均一分布の光を放出するように配置された複数のLEDが設けられている。個体の腕と脚は、Fの形状と接触するような位置に置かれる。体輪郭に合わせた形状の光源Hは、所望の治療期間中に、患者の全身上に配置される。事実上、患者は体輪郭形状の発光カプセル内に包まれることになる。ここで、光は、ほぼ360度の照射を提供するために、前面のパネルと後面のパネルの両方から放出される。随意的に、この装置には、空気を循環させる手段が設けられる。これにより、個体が過熱しなくなる。
【0072】
以下、特定の病気の治療を参照しながら、本発明の例を説明する。
【0073】
(例1)
アンギナとは、心臓の活動により心臓への酸素供給が過剰に行われるときに起こる痛みを指す用語である。これは、一般的に、冠状血管が狭窄した結果、心臓への血流が減少することに関連する。冠状血管は、しばしばアテローム斑が原因で狭くなる。アンギナのある患者の運動耐容能は、予測可能かつ測定可能であることが多い。傾斜を上ることは、傾斜を降りることに比べて、アンギナ発作を引き起こしやすい。なぜなら、体の筋肉の酸素要求量が増加し、これにより心臓が膨張収縮運動する必要のある速度と強さが増加し、これにより心臓が送り出す必要のある酸素量と血液量が増加する。
【0074】
運動誘発性の安定したアンギナを持つ10人の患者を、(図4A〜Eに示す)1072nm胸部装置により治療した結果、2人の患者がアンギナ痛を感じることなく一連の階段を活発に歩いて上がることができるようになった。この2人は、常に、一階分の一連の階段を半分上がったところで休憩する必要があった。この成果は、1回6分間、週に5回の治療を2ヶ月間行った後のものだった。
【0075】
6人の参加者が、運動耐容能を25%向上させ、アンギナを感じることなく平面上を平均200メートル歩くことができるようになった。彼らのそれ以前の平均運動耐容能は、同じ時間内で150メートル未満であった。これは、一日6分間の治療を毎週4〜5回行ったことにより達成された。残りの2人の参加者は、1072nmの光による6分間の治療を毎週3回、連日行っただけで、15%という運動耐容能の緩やかな向上を見せた。
【0076】
監視期間がたったの2ヶ月間であったことを考慮すると、この期間を越えてもこの向上が続き、そして治療効果はより長い利用期間にわたって向上することが予測される。
【0077】
他の患者の組においては、腎動脈を治療するために、発光パネルは腹部及び腎臓の角度に対して配置された。合計5人の患者が、アテロームにより腎血流量が減少していた。毎日の治療を8週間続けたところ、腎血流量が増加した。
【0078】
(例2)
COPDでは、正常な肺組織が破壊されて、瘢痕組織に置き換わっている。正常な肺組織は、高度の弾性を有することにより、胸膜腔内の胸壁と肺との間が真空でもない限り、肺はその体積の小さい比率まで収縮することができる。この弾性の損失は、肺のコンプライアンスの減少と肺機能の低下を生じさせ、さらに肺胞組織自体の破壊を生じさせる。肺の弾性を向上することにより、呼吸毎に肺に出入りする空気の移動がより多くなり、これにより血液への酸素供給が向上される。
【0079】
20人の参加者が(図4A〜Eに示す)胸部装置によって1072nmで治療された。測定は、肺機能と、参加者が息切れにより休憩に追い込まれる前における運動耐容能とについて行われた。全ての参加者は、1072nm胸部治療装置を用いて、毎日1回、1回6分間、毎週5日間の治療を、2ヶ月間行った。患者のうち10人が、2分間で75メートル、その後に休憩時間が続くという運動耐容能を持っていた。胸部1072nm治療装置を用いて、一日6分間、毎週5日間の治療を2ヶ月間行った後、これは75メートルから100メートルに増加した。10人の参加者の肺機能試験:努力肺活量(FVC:Forced Vital Capacity)が治療後平均10%にまで増加し、1秒間の努力肺活量(FEV1:Forced Expiratory Volume in 1 second)が治療後平均15%にまで向上したという結果が得られた。5人が平面上で3分間に150メートルの運動耐容能を有していた。これは、治療後、3分間に180メートルにまで向上した。FVCが治療後平均12%にまで向上し、FEV1が治療後平均14%にまで向上したという結果が得られた。最後の5人は、一連の階段を歩いて上るという、軽度から中程度の活動により、息切れを起こしていた。1072nm胸部装置を用いた2ヶ月間の治療の後、息切れの程度が減少した。このことは、肺機能試験に反映された。FVCが1072nmによる2ヶ月間の治療の後に基準値から15%にまで向上し、FEV1が1072nmによる2ヶ月間の治療の後に基準値から20%にまで向上したという結果が得られた。
【0080】
(例3)
他の病気について調査が実施された。血管閉塞に起因する虚血により身体障害を患っている5人の患者には、1072nmが照射された。そして、全員が、毎日の治療を3週間続けた後、身体障害が著しく改善された。さらに、血管閉塞に起因する虚血により身体障害を患っている5人の患者は、再度治療された。5人全ての患者が、1072nmの光による治療を毎日、3週間続けた後、身体障害が著しく改善された。さらに別の患者グループにおいては、心不全を患っている10人の患者が、1072nmの光により治療された。そして、10人全員が、息切れと左心室駆出収縮分画率の改善を見せた。他に、図5Aと5Bに示す全身装置を用いて、1072nmの光により体の表面積の40%以上を治療した際に、体の機能が向上し、その人をさらに活発にして身体活動ができるようになったという結果が得られた。生理的機能と外見の全体的な向上も観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に、個体が治療中にほぼ360度の治療光照射を受けるように、人体又は動物体の少なくとも胸部/胸郭部又は全身を包み込むような大きさ及び形状に形成された装置であって、
外面、及び治療部位に接触又は近接する内面を備え、
前記内面は、1072nm付近を中心とする発散電磁放射線を放出する手段を備え、前記治療部位において、少なくとも20mW/cmから5W/cmまでの放射線強度を生成することができることを特徴とする装置。
【請求項2】
ヒンジにより連結された複数のパネルを備え、
前記複数のパネルは、使用時に、治療対象である個体の胸部/胸郭/腹部を包み込むように、前記個体の周りに折り曲げられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
略「C」字形の装置を備え、
使用時に、前記個体は、前記装置の中空の内腔内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前面及び後面のパネルを備え、
前記前面及び/又は後面のパネルは、個体の胸部又は胴体の周りに適合するような輪郭又は形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記パネルは、個体の頭部、腕、及び胴体下部が突出するための空間又は隙間を持たせて形成されていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
さらに、心筋の下面へ光を指向させるための、湾曲した肩部照射器及び/又は投射部を、前記前面のパネルの内面上に含むことを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
治療対象である個体の全身を包み込むような大きさ及び形状に形成された前面及び後面のパネルを備え、
前記前面及び後面のパネルは、
前記個体の頭部を収容する頭部領域と、
前記個体の胴体と骨盤部を収容する胴体領域と、
前記個体の両腕を、前記胴体から20〜90度の間の角度で出るように保持して収容する一対の腕部領域と、
前記個体の両脚を逆「V」字形の姿勢で収容する一対の脚部領域とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記前面及び後面のパネルを締結して一体にする少なくとも1つの締結手段を備え、
前記締結手段は随意的に、前記パネルの各々の周囲に配置されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記内面又は治療面は、電磁放射線を放出する手段を複数備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記後面のパネルの内面にも、電磁放射線を放出する手段が設けられ、これにより、使用時に、前記前面及び後面のパネルを前記個体の周りに配置した際に、前記個体は治療中にほぼ360度の治療光照射を受けることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記パネルの内面又は治療面上、及び随意的に背面上にある前記電磁放射線を放出する手段は、選択した領域内において面積単位当たりの前記手段の数に差が存在するように配置されていることを特徴とする前記1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記電磁放射線を放出する手段の少なくとも一部は、前記個体のあばら骨間の空間への最大限の浸透を保証するように角度付けされていることを特徴とする請求項1〜11に記載の装置。
【請求項13】
前記電磁放射線の発散は、15度から45度の範囲内にある発散の半角を有することを特徴とする請求項1〜12に記載の装置。
【請求項14】
1072nm付近を中心とする前記電磁放射線は、5nmから120nmまでの間のバンド幅を有することを特徴とする請求項1〜13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置の動作ピーク出力における波長は、1072nmから0nm〜10nm以内であることを特徴とする請求項1〜14に記載の装置。
【請求項16】
前記電磁放射線を放出する手段は、固体発光デバイス、レーザーダイオード、固体発光ダイオード、ガス放電装置、及び発光ポリマーから成るグループから選択されることを特徴とする請求項1〜15に記載の装置。
【請求項17】
前記電磁放射線を放出する手段は、固体発光デバイス(LED)であることを特徴とする請求項1〜16に記載の装置。
【請求項18】
前記電磁放射線を放出する手段間の間隔は、2mmから25mmまでの間であることを特徴とする請求項1〜17に記載の装置。
【請求項19】
前記電磁放射線を放出する手段間の間隔は、3mmから10mmまでの間であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
1072nm付近を中心とする前記電磁放射線は、均一な光分布を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
商用電源、光ファイバー伝送システム、及び電池から成るグループから選択される電源をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記電磁放射線は、連続的またはパルス状であることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記電磁放射線が連続的である場合に、その強度が少なくとも20mW/cmから5W/cmまでであることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記電磁放射線がパルス状である場合に、その強度が少なくとも500mW/cmと2W/cmとの間のピーク電力であり、その平均電力は4W/cm以下であることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記電磁放射線がパルス状である場合に、前記電磁放射線は、10〜15マイクロ秒間以上のパルス持続時間だけ、200〜900Hzの範囲内の周波数/反復度で、随意的に約600Hzの周波数/反復度で照射されることを特徴とする請求項22又は24に記載の装置。
【請求項26】
前記電磁放射線は、少なくとも30秒間から15分間まで患部に照射されることを特徴とする請求項1〜25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
前記電磁放射線の強度を所定範囲内に固定する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜26のいずれかに記載の装置。
【請求項28】
前記電磁放射線の照射の持続時間を制御する手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の装置。
【請求項29】
前記電磁放射線は、表皮の表面下5mmから500mmまでの間の深さまで浸透することを特徴とする請求項1〜28のいずれかに記載の装置。
【請求項30】
前記請求項1〜29のいずれかに記載の装置を、気管及び/又は血管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気の治療に用いる方法。
【請求項31】
1072nm付近を中心とする発散電磁放射線であって、治療部位において少なくとも20mW/cmから5W/cmまでの放射線強度を生成する発散電磁放射線を、気管及び/又は血管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気の治療に用いる方法。
【請求項32】
気管及び/又は血管のコンプライアンス及び/又は弾性の欠如に関連する病気を治療する方法であって、
1072nm付近を中心とする波長を有しかつ治療部位において少なくとも500mW/cmから4W/cmまでの強度を有する発散電磁放射線を、生きている人間又は動物の被験体の胸部/胸郭/腹部又は全身の一領域に照射することにより、当該領域を治療するステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項33】
患部組織が少なくとも500〜2000mW/cmのピーク電力の放射エネルギーを、200〜900Hzの反復度/周波数で少なくとも10〜15マイクロ秒の最小値の持続時間だけ受けるように前記治療対象領域を照射し、随意的に前記持続時間が30秒以上であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記病気は、慢性閉塞性肺疾患、アテローム性動脈硬化症、虚血性心不全、心不全、狭心症、及び腎不全から成るグループから選択されることを特徴とする請求項30〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
慢性閉塞性肺疾患を治療する方法であって、
(i)慢性閉塞性肺疾患を患っている個体の少なくとも胸郭部/胸部に、1072nm付近を中心とする波長を有しかつ治療部位において少なくとも500mW/cmから4W/cmまでの強度を有する発散電磁放射線を、200〜900Hzの反復度/周波数で少なくとも10〜15マイクロ秒間照射するステップと、
(ii)前記照射を少なくとも30秒間維持するステップと、
(iii)前記照射を所要の頻度で繰り返すステップと
を備えた方法。
【請求項36】
心循環障害を治療する方法であって、
(i)心循環障害を患っている個体の少なくとも胸郭部/胸部を、1072nm付近を中心とする波長を有しかつ治療部位において少なくとも500mW/cmから4W/cmまでの強度を有する発散電磁放射線を、200〜900Hzの反復度/周波数で少なくとも10〜15マイクロ秒間照射するステップと、
(ii)前記照射を少なくとも30秒間維持するステップと、
(iii)前記照射を所要の頻度で繰り返すステップと
を備えた方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2011−527923(P2011−527923A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518004(P2011−518004)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/GB2009/050848
【国際公開番号】WO2010/007419
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(511011735)ヴィルライト ディストリビューション リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】VIRULITE DISTRIBUTION LIMITED
【Fターム(参考)】