電磁放射酵母を含む神経変性疾患または障害の処置のための組成物、方法および使用
30GHz〜300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、またはその電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞を含む組成物が提供される。該組成物は神経変性疾患または障害の処置のために使用することができる。該組成物に関する方法も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患または障害の処置のための組成物、このような組成物の使用ならびにこのような組成物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患または障害は、脳および脊髄の細胞が喪失される状態である。脳および脊髄は、様々な機能を遂行するニューロンから構成される。このような機能は、運動の制御、知覚情報の処理また意志決定であり得る。脳および脊髄の細胞は容易には再生しないので、過度の傷害は不可逆的となる場合がある。神経変性疾患はニューロンまたはそれらのミエリン鞘の衰退から起こり、経時的に機能不全または多様な疾患または障害をもたらす。
【0003】
アポトーシスは、神経系の発達中に、生物の受傷した細胞が健全な細胞に害を及ぼさないようにするために神経系組織で起こる現象である。アポトーシス中、細胞は細胞の萎縮、クロマチンの凝集、DNAの断片化を含む一連の形態変化を受ける。例えばパーキンソン病およびアルツハイマー病など、アポトーシスの制御が機能しないと極度の細胞死が起こる。
【0004】
神経変性疾患または障害の初期治療は、具体的な疾患または障害の診断および進行に依存する。現在のところ、存在する広範な神経変性疾患または障害に対して当技術分野で知られている療法はほとんど無い。
【0005】
パーキンソン病では、L−ジヒドロキシ−フェニル−アラニン(L−ドーパ;レボドパ)による処置は、短時間症状を抑えることができるが、その後、症状の加速化が起こる。また、認知機能を初期診断の時点で存在する程度で安定化させるアルツハイマー病の療法の開発にも努力がなされている。同様に、筋萎縮性側軸索硬化症(ALS)または2型真性糖尿病関連の症状など、他の神経変性疾患または障害。しかしながら、これらの療法は多くの場合、効果が限られ、コストが高く、重篤な副作用を伴う場合がある。これらの療法はまた予防性もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、神経変性疾患または障害の改良された治療または予防を可能とする新たな方法および組成物の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、上記に定義した欠点の1以上の軽減、緩和または排除、および言及した種類の改良された処置、具体的には、その中で用いられる組成物の提供を目的とする。
【0008】
この目的で、第1の態様においては、神経変性疾患または障害の治療または予防のための、30GHz〜300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、またはその電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞を含む組成物が提供される。
【0009】
本発明の組成物による利点は、神経変性疾患または障害の改良され、かつ、コスト効果のある処置を可能とすることである。
【0010】
第2の態様では、第1の態様の組成物を調製する方法が提供される。該方法は、増殖培地を調製する工程、該増殖培地を滅菌または低温殺菌する工程;該増殖培地で酵母細胞を増殖させる工程、および該酵母細胞を電磁波で処理する工程を含み、該電磁波は30GHz〜300GHzの範囲である。
【0011】
本発明のさらなる有利な特徴およびその実施形態は、添付の特許請求の範囲および詳細な説明の中で定義される。
【0012】
本発明が可能とするこれら、およびその他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ、以下の本発明の例示的実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】未処理酵母細胞の増殖曲線を示す図である。
【図1B】一実施形態に従って処理された細胞の増殖曲線を示す図である。
【図2A】試験装置の例を開示する。図2Aは側面図である。
【図2B】試験装置の例を開示する。図2Bは正面図である。
【図3】本発明を試験するために用いたマウス線条体のDA含量を示す図である。
【図4】種々の時点での歩行、立ち上がりおよび全活動それぞれの平均値とSD値を示す図である。
【図5】歩行、立ち上がりおよび全活動それぞれの平均値とSD値を示す図である。
【図6】種々の試験結果を示す図である。
【図7】種々の試験結果を示す図である。
【図8】種々の試験結果を示す図である。
【図9】種々の試験結果を示す図である。
【図10】種々の試験結果を示す図である。
【図11】種々の試験結果を示す図である。
【図12】種々の試験結果を示す図である。
【図13】種々の試験結果を示す図である。
【図14】種々の試験結果を示す図である。
【図15】種々の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
医学、生物学およびバイオテクノロジーなど、従来の範囲にない低密度電磁ミリ波の使用は、M. B. Golantらによってなされた先駆け的研究の結果として1960年代の半ばにロシアで発祥した動向である。ミリ波は、極端に高い周波数を有する電磁波、いわゆるEHF波である。この周波数は約30GHz〜約300GHzの範囲である。これらの波は水および他の水性媒体による吸収が大きく、生物に様々な影響を持つ。組織におけるEHFの透過深度はミリメートルの数分の1に過ぎない。同時に、生きている生物を用いた直接的試験では、生体表面に対するEHFの影響は、放射に曝された部位から一定の距離にある組織にも影響を及ぼすことが示唆された。
【0015】
細胞およびモデル系における化学、生化学および代謝プロセスに対する低密度ミリ波の影響を示唆する、いくつかの実験的検討がある。例えば、ミリ波は、Na+イオンの能動輸送を加速化すること、脂質膜の伝導度に影響を及ぼすこと、および細胞においてATPの合成を刺激することが示されている。EHF帯域の波は、障害のある機能の回復および恒常性の維持のために生物の自己調節系により用いられる主要な道具であると考えられる。ロシアでは、2百万人を超える患者がEHF療法で処置されており、例えば消化管の疾患および症状に効果的であることが示されている。さらに、EHF療法はストレスを軽減し、疼痛を緩和することから、薬物および他の種類の放射線による処置の補足として使用することができる。
【0016】
EHF波は、細胞膜と関連して長く続くタンパク質構造によって形成される共振回路によって増長される。この増長は、細胞代謝から取得されたエネルギーを使って起こる。
【0017】
細胞膜は、タンパク質を含む脂質二重層である。細胞膜はまた分極するが、これは膜の内面と外面の間に電位が存在することを意味する。正常な細胞機能からの様々な偏りには、常に細胞膜における電気的非対称の様相が伴う。膜を伝わる音波は、ポアソン比によって決定される膜厚の周期的変化を引き起こす。膜の変化の空間的周期は、音波長と等しい。分極した誘電膜では、このような膜厚の変化は電場の変化を伴い、音波と同じ時間的、空間的周期を持つ。従って、細胞膜におけるこれらの波は音電波と呼ばれる。
【0018】
生きている生物は、それらの膜で自らEHFシグナルを生成する。しかしながら、対称な電気分布および正常な機能を持つ細胞では、特定の共鳴周波数の生成に理由はない。しかし、これらのシグナルが生じた場合には、それらは生物の細胞塊を通じて送られ、外部放射の効果を拡大し得る。EHF放射は、その生物自身による回復のために用いられる。この回復は、例外的に、回復のプロセスおよび生物の恒常性の維持を管理する完全なサイバネティックシステムによって編成される。全ての細胞、器官および生物系の情報システムは、このシステムの機能性に加わり、その生物のあらゆる要素における回復プロセスは、起こった障害の特性を反映するそれらの固有のシグナルによって制御される。
【0019】
細胞における共鳴波も、外部EHF放射から生じる。このように、外部EHF放射は、回復の目的で、細胞自らによって生成される内部EHF波である共鳴波に変換され得る。これらの細胞は自ら、外部EHF刺激なしに、電気的対称性の回復を達成することができる。しかしながら、これらの細胞が何らかの抑制を受けている場合には、自発的回復は遅いか、または起こらない場合がある。これらの場合、EHF放射は回復の加速化のために用いられ得る。これがEHF放射による処置の理由であるが、外部テクニカルデバイスの助けで正確なシグナルセットを生じさせることは不可能であることから、内部EHF波を誘導することができる。例えば、ヒトは1013個もの細胞からなり、それぞれ個々のシグナル系を生成する能力を持ち、これは再生不能であると考えられる。しかしながら、細胞が外部シグナルで処理されれば、細胞、器官および生物の機能の情報システムは、これらのシグナルを、これらの細胞における固有の回復の天然機構に相当する可干渉性の内部EHF音電波に変換する。
【0020】
このような変換のおかげで、外部EHF放射は、生物の回復に必要なシグナルの形成に寄与する。膜における電気的対称性の回復は、音電波を生成する機構の終結をもたらす。その結果、細胞膜に現れる一時的なタンパク質部分構造は、機能が正常化した後に徐々に解消する。
【0021】
細胞には、共鳴周波数帯がEHF帯と重複する1000を超える多種のタンパク質分子が存在する。このような分子の双極振動は、細胞代謝から抜き取ったエネルギーを費やしてEHFを生じる。これらのタンパク質は、電気的障害が大きい膜領域に集合体を形成することが示されている。よって、膜表面に存在するタンパク質は振幅の振動をもたらし、音電波を作り出す。
【0022】
さらに、波は、自由空間に伝わることはできないので、振動が互いに同位相にあるこれらの集合体は、隣接する細胞にシグナルを送るアンテナ格子として働く。従って、生きている生物においてEHF放射により誘発される機構は、可干渉性EHF振動の刺激による細胞間ならびに細胞内の回復プロセスの同期化に基づくものであると思われ、すなわち、EHF放射の効果は多細胞系では耐性を増す。例えばヒトの体内の血液およびリンパ系に循環する細胞は、隣接する細胞と絶えずEHF振動を交換しているので、EHF波をさらに伝えることができる。
【0023】
驚くことに、30GHz〜300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、またはその電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞(いわゆる、処理された酵母細胞または処理された酵母)を含む組成物が神経変性疾患または障害の治療または予防に効果的であることが分かった。該組成物の利点は、神経変性疾患または障害の改良され、かつ、コスト効果のある処置を可能とするということである。
【0024】
該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。
【0025】
一実施形態では、振動周波数は約35〜約65GHzの範囲である。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。
【0026】
一実施形態では、振動周波数は40GHz、41GHz、42GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzからなる群から選択される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。一実施形態では、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後100MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。一実施形態では、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。
【0027】
一実施形態では、前記酵母細胞は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Sacharomyces carlsbergesis)またはサッカロミセス・セレビシエ(Sacharomyces cerevisiae)からなる群から選択されるものなどのサッカロミセス属(Sacharomyces)である。この利点は、このような酵母が低コストで容易に入手可能であるということである。
【0028】
神経変性疾患または障害は一般に、多かれ少なかれ選択的な神経細胞の進行性の欠損によって引き起こされる。疾病が進行するとともに、神経細胞の進行性の欠損の加速化が見られる場合がある。
【0029】
可塑性の原理に従えば、どの神経細胞も適正な条件では、自己修復する能力を持つ。このような条件は身体的因子またはライフスタイル因子であり得る。例えば、当技術分野では、運動が神経変性疾患または障害の進行を遅くする助けとなり得ることがよく知られている。
【0030】
一般に、運動は、神経組織の栄養因子、いわゆる神経栄養因子の刺激に実質的な役割を持つことが示されている。このような因子の1つが脳由来神経栄養因子(BDNF)である。運動はこのBDNFレベルを高めることが示されている。本発明者らの非限定的な理論によれば、処理された酵母細胞を運動と組み合わせれば、BDNFレベルをさらに高める超刺激を誘発するとの仮説が立てられる。上昇したBDNFレベルは、次に、神経組織の回復および修復の動員の基礎として働き得る。運動と酵母化合物の組合せにより増大した可塑性は、神経変性症状の進行を軽減する相乗作用をもたらすとの仮説が立てられる。
【0031】
BDNFレベルは、パーキンソン病、アルツハイマー病およびALSなどのいくつかの神経変性症状の進行に特異的に影響を及ぼすことが示された。2型真性糖尿病の神経変性作用もまたBDNFのアンバランスによって影響を受ける可能性がある。
【0032】
一実施形態では、神経変性疾患または障害はパーキンソン病である。
【0033】
一実施形態では、神経変性疾患または障害はアルツハイマー病である。
【0034】
一実施形態では、神経変性疾患または障害は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。
【0035】
一実施形態では、神経変性疾患または障害は2型真性糖尿病である。
【0036】
一実施形態では、該処置は、例えば、処理された酵母を含む麦芽飲料または任意の種類の飲料の形態での経口処置である。
【0037】
処理された酵母は、それ以外でも、好適な任意の形態で被験体に送達することができる。被験体は、例えばヒトなどの任意の哺乳類であり得る。従って、EHFエネルギーは、EHF放射によって外部刺激された、処理された酵母の形態で、処置される被験体に移行される。
【0038】
一態様において、該組成物は、増殖培地を調製する工程;該増殖培地を滅菌または低温殺菌する工程;該増殖培地で酵母細胞を増殖させる工程;および該酵母を電磁波で処理する工程を含み、該電磁波が30GHz〜300GHzの範囲である方法によって得ることができる。
【0039】
一実施形態では、該電磁波は約35〜約65GHzの範囲、例えば、40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzである。一実施形態では、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後100MHz帯域で線形変調される。一実施形態では、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子、例えば、IMPATTダイオード発振器に基づいたYAV−1治療デバイスを用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば0.004mW/cm2〜0.2mW/cm2の間、例えば、約0.1mW/cm2であり得る。
【0040】
EHF処理の影響を図1に示す。
【0041】
図1Aは、未処理細胞の増殖曲線である。N/N0(Y軸)は最初の細胞数N0に対する培養中の細胞数Nの比であり、t(時間、X軸)は、培養発進展時間である。図1Bは、処理細胞の増殖曲線である。細胞によって生じた振動の周波数は、それらの細胞の情報構造の、対応する再編成によって同調させることができ、これにより、実際に排除される個々の細胞の分裂周期期間に差が生じ、増殖曲線に「階段状」となる。図1Bから、各分裂周期の後の細胞数は同調して倍加され、従って、細胞数の時間への依存が階段状曲線によって表されることが明らかである。
【0042】
表1は、放射周波数42.2GHzで、種々の電力密度レベル(P、mW/cm2)において、全ての細胞の細胞分裂を同調させるのに必要な最小時間(t0、分)の概要を示す。
表1
【0043】
【表1】
【0044】
表2は、放射周波数42.2GHzで、種々の電力密度レベル(P、mW/cm2)において、
15%の細胞の細胞分裂を同調させるのに必要な時間(t0、分)の概要を示す。
表2
【0045】
【表2】
【0046】
よって、一実施形態では、EHF処理時間は20〜120分の間である。
【0047】
一実施形態では、本方法は、処理された酵母細胞を増殖培地で増殖させる工程をさらに含む。この増殖は、所望の濃度に達したら、いつでも中断してよい。
【0048】
特定の実施形態によれば、増殖培地は麦汁であり、すなわち、麦汁と酵母から強壮麦芽飲料が得られる。いずれの種類の酵母を用いてもよい。麦汁も、いずれの種類を用いてもよい。しかしながら、一実施形態では、麦汁は醸造所から得られる。別の実施形態では、麦汁はオオムギ麦芽から製造される。さらに別の実施形態では、麦汁は麦汁濃縮物から製造される。
【0049】
麦汁が醸造所から得られるか、または麦汁濃縮物が用いられる場合、乾物の重量分率を、すなわち、下式:
【0050】
【数1】
【0051】
を用いて調整することができる。
【0052】
式中、Wは麦汁原液の希釈のために添加される水の容量(リットル、L)であり、Qは、すなわち、醸造所からまたは濃縮形態で得られる麦汁原液(出発時)の容量(L)であり;C0は麦汁原液の抽出含量(重量%)であり;Cdは希釈麦汁中の乾物の重量分率である。
【0053】
一実施形態では、希釈麦汁中の乾物の重量分率は、11重量%(11重量%麦汁)前後、例えば、10.5重量%〜11.4重量%であり得る。
【0054】
麦汁がオオムギ麦芽から製造される場合、100Lの麦汁を生産するのに必要な原料の量は、すなわち、下式:
【0055】
【数2】
【0056】
を用いて計算することができる。
【0057】
式中、Cは麦芽消費率(kg/100L水)であり;wfは麦汁原液中の乾物の重量分率(重量%)であり;ρは麦汁の密度比(g/100g)であり;ccは麦汁容量と最終飲料容量の間の圧縮係数であり;Eavgは用いた麦芽含量(重量%)であり;LBは内容損失(%)であり;Bは容量損失(%)である。
【0058】
一実施形態では、上述の実施形態のいずれかに従って生産された麦汁を、オートクレーブチャンバーにて圧力0.05MPaで20分間滅菌する。その後、この麦汁は、密閉容器にて18〜20℃の間の温度で最大6か月保存可能である。
【0059】
別の実施形態によれば、上述の実施形態のいずれかに従って生産された麦汁を、70〜75℃の間で30分より長く加熱するなどによって低温殺菌してもよい。その後、この麦汁は、密閉容器にて18〜20℃の間の温度で最大2か月保存可能である。
【0060】
一実施形態によれば、S.セレビシエは、11重量%の滅菌済み麦汁少量に懸濁させることによって再生される。この麦汁に他の微生物の混入がないことが重要である。
【0061】
次に、再生した培養物を寒天で固めた麦汁を含む何枚かのペトリ皿に接種し、純粋な酵母培養物を得る。これは顕微鏡によって確認することができる。
【0062】
EHF処理の前に、これらの純粋無菌培養物を含むペトリ皿の1つからの酵母を、無菌11重量%麦汁、例えば10〜12mLを含む試験管に移す。これらの培養物を、一般に25〜28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させる。
【0063】
次に、この酵母培養物をEHF場で処理する。これは、まず、無菌ペトリ皿に酵母懸濁液を満たすことによって行えばよい。次に、ペトリ皿に蓋をし、EHF装置に入れる。このような装置は、EHF帯域で電磁振動を生じさせるいずれの装置であってもよい。EHF処理時間は好ましくは60分未満である。EHF振動の電力密度は好ましくは約0.1mW/cm2である。振動周波数は30〜300GHzの範囲である。該電磁波は約35〜約65GHzの範囲、例えば、40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzであり得る。一実施形態では、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後100MHz帯域で線形変調される。一実施形態では、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子、例えば、IMPATTダイオード発振器に基づいたYAV−1治療デバイスを用いて送達することができる。
【0064】
一実施形態では、電磁波の周波数変調は、個々の平均周波数の0%〜約0.5%、例えば個々の平均周波数の0.5%である。
【0065】
EHF装置で処理した後、上述の処理された懸濁液を、無菌11重量%麦汁を含む試験管、例えば50〜100mL試験管に移す。細胞を、一般に25〜28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させる。これを接種材料とする。
【0066】
次に、この接種材料を、一般に4〜5Lの、量を示す呼称よりも若干多い公称容量の容器(試験管、缶など)に充填した、一般に2〜3Lの低温殺菌または滅菌済み麦汁に添加し、一般に25〜28℃で20〜24時間後、細胞濃度が3千万細胞/mLになるまで培養する。
【0067】
別の実施形態では、大容量の飲料を生産する場合、接種材料として事前の培養サイクルの産物を無菌麦汁に接種材料:麦汁1:10比で加えることによって、上述の処理を何段階かで実施してもよい。細胞は、一般に25〜28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させる。飲料生産工程の最終段階は、細胞濃度が3千万細胞/mL以上となった際に終了されると考えられる。
【0068】
この生産工程の完了時に、飲料は販売を待つ状態となり、例えば瓶または缶などの好適な輸送容器に移すことができる。保存が必要であれば、飲料を約2〜4℃に冷却した後、例えば最大3日保存することができる。
【0069】
本発明は、本発明の要旨から逸脱することなく、食品、飼料、他の飲料製品など、またはこれらの任意の組合せを含む好適な形態で実施可能である。
【0070】
本発明の実施形態の要素および成分は、物理的、機能的および論理的に任意の好適な方法で実施可能である。実際に、この機能性は単一の組成物、複数の組成物中で、または他の機能的組成物の一部として実施可能である。
【0071】
一実施形態では、本組成物は、ヒトなどの被験体において神経変性疾患または障害を治療または予防する方法で使用可能である。
【0072】
処理された酵母細胞
以下は可能な生産手順の実施形態である。しかしながら、本発明の範囲内で、多くの異なる別の生産手順が可能であり、このことは当業者であれば認識できるであろう。
【0073】
麦汁は醸造所から入手し、希釈麦汁中の乾物の重量分率は11重量%(11重量%麦汁)に調整した。
【0074】
麦汁は、オートクレーブチャンバーにて圧力0.05MPaで20分間滅菌し、18〜20℃の間で保存した。
【0075】
無菌条件下、少量の滅菌済み11重量%麦汁に懸濁させることで、酵母S.セレビシエを再生した。
【0076】
この酵母を寒天で固めた麦汁を含む何枚かのペトリ皿に接種し、純粋な酵母培養物を得た。これを顕微鏡によって確認した。
【0077】
EHF処理の前に、純粋無菌培養物を含むペトリ皿の1つからの酵母を、無菌11重量%麦汁11mLを含む試験管に移す。これらの培養物を28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させた。
【0078】
次に、この酵母培養物をEHF場で処理した。これは、まず、無菌ペトリ皿に酵母懸濁液を満たすことによって行った。次に、ペトリ皿に蓋をし、EHF帯域で電磁振動を生じさせるEHF装置に入れた。EHF処理時間は40分とした。EHF振動の電力密度は0.1mW/cm2付近で維持した。振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調した。該電磁波は、IMPATTダイオード発振器に基づいたYAV−1治療デバイスによって発生させた。
【0079】
EHF装置で処理した後、上述の処理された懸濁液を、無菌11重量%麦汁を含む75mLの試験管に移した。細胞を28℃で22時間、皮膜が現れるまで増殖させた。これを接種材料とした。
【0080】
次に、この接種材料を公称容量5Lの試験管に充填した3Lの低温殺菌または滅菌済み麦汁に添加し、細胞濃度が3千万細胞/mLになるまで培養した。これらの処理された酵母細胞を、下記に従ってマウスに与えた。
【実施例】
【0081】
試験
神経変性疾患または障害に似た症状を誘発するために1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)で処置したマウスに、運動と組み合わせて、上記に従って処理した酵母細胞を含む組成物を与えた。
【0082】
MPTPが運動緩徐、安静時振戦および筋強剛などの神経変性疾患または障害患者に似た症状をもたらすことは、当技術分野で周知である。MPTPはそれ自体で有毒であるとは思われないが、血液脳関門を通過し、その後、モノアミンオキシダーゼ(MAO)を含む有毒な代謝産物への生体変換が起こることが知られている。MAOは、MPTPから2,3−ジヒドロピリジニウム中間体(MPDP+)への変換の第一段階である。MPDP+は衝撃時に酸化して1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン(MPP+)を形成する。MPP+は、症候的影響を与える、MPTPの最も重要な有毒代謝産物である。ヒトにおいて多くの神経変性疾患または障害が遅発型であることが知られていることから、このモデルにおいて、マウスにMPTPを注射した際に、齢が決定的に重要な役割を果たす。
【0083】
材料および方法
初期試験
Scanbur B & K, Sollentuna, Swedenから入手した体重27±2g、2か月齢の雄C57 BL/6マウス90個体を本試験に用いた。研究室に到着した後、マウスを温度(22±1℃)、湿度(55±5%)に制御された室内で1週間馴化させ、全てのマウスにLantmannen, Sweden製の食餌R35ペレットと水道水を自由に摂らせた。室内は一定の明暗周期(12時間オン/12時間オフ;AM6:00〜PM6:00の間点灯)とした。マウスを各15個体の6群に分け、ワイヤートップ実験室用ポリカーボネートケージ(55×35×18cm)で飼育した。ケージには区別のために数字を付けた。各ケージには、マウスが隠れたり眠ったりできる2つの巣を設けた。
【0084】
直径17.5cmの回し車(Living World製のDeluxe)を計16台用いた。マウスが回し車から降りないように、回し車をプラスチック板で覆った。プラスチック板を切り取って回し車と同じ直径になるようにし、回し車の両側に設置した。その際、マウスを回し車から出し入れするために一方をマジックテープ(Velcro)で留め、回し車のもう一方の側では、プラスチック板を回し車に接着剤で取り付けた。
【0085】
マクロロン(macrolon)齧歯類試験ケージ(40×25×15cm)を含む運動活動試験装置を用いた。各試験チャンバー、すなわち、運動活動試験ケージを、12cm厚の壁とフロントパネルと観察のための二重ガラスの小窓を備えた防音木製ボックスに入れた。各ボックスは弱光照明を備え、全て、2系統の赤外線の間に配置し(1つは低く、1つは高く、それぞれ深さ1cmのおがくず面より2cmおよび8cm上の2つの異なる高さに)、MPTPおよび対照マウス(Rat−O−Matic, ADEA Electronic AB, Uppsala, Sweden)の自発的運動活動および/または薬物誘発性の運動活動を測定するのに用いた。この赤外線間の距離は次の通りとした。低レベル赤外線は、本試験チャンバーから縦は73mm、横は58mm離し、高レベル赤外線は試験チャンバーの各長手側にのみ隣接させ、28mm離して置いた。
【0086】
図2Aは運動活動試験装置の側面図であり、図2Bは同装置の正面図である。基板20に、ケージおよびセンサーが配置されている。ケージは、上部に有孔アルミ製の蓋22を備えた透明プラスチックケージ21である。このプラスチックケージ21は弾性ゴム支持体23で支持されている。ピックアップ24が、バランスウェイトが付いたレバーに取り付けられ、複数の赤外線(IR)検出器25がプラスチックケージ21に近接して配置されている。
【0087】
全ての試験中、生理食塩水をビヒクルとして分配した。適用可能であれば、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)(Research Biochemical Inc., Natick, MA. USA)を、分配前にビヒクルに溶かした。
【0088】
同様に、L−ドーパ(Hassle, Molndal, Sweden)を、分配前に生理食塩水に溶かした。L−ドーパは当技術分野において神経変性疾患または障害を治療することが知られている。この神経伝達物質系は、ノルアドレナリン(NE)、ドーパミン(DA)およびセロトニン(5HT)の3つの神経伝達物質を考慮している。DAのアミノ酸前駆体であるチロシン(TYR)は、能動輸送ポンプによって血流から神経系に輸送される。TYRは、ニューロン内部で3つの酵素に連続的に働く。まず、TYRは、NE合成を調節するヒドロキシラーゼとともに働く。次に、チロシンヒドロキシラーゼ(TOH)がTYRをジヒドロキシフェニル−アラニン(ドーパ)に変換する。次に、2つ目の酵素、ドーパデカルボキシラーゼ(DDC)が働き、ドーパをDAに変換する。3つ目の酵素ドーパミンβヒドロキシラーゼはDAをNEに変換する。DA受容体の、少なくとも5つの薬理学的サブタイプが知られている。PDでは、ドーパミン2(D2)受容体は、L−ジヒドロキシフェニル−アラニン(L−ドーパ)などのドーパミン作用薬によって刺激される。DA前駆体であるL−ドーパは、末梢および中枢双方でDAへと代謝されるアミノ酸である。L−アミノ酸担体により取り込まれたL−ドーパは血液脳関門を通過するので、L−ドーパはDAとは対照的に血液脳関門を通過する。末梢代謝を低下させるためにL−ドーパの投与をデカルボキシラーゼ阻害剤と併用する。処置の数年後、このL−ドーパの効果は低下し、患者はジスキネジア、および/またはオンオフ症状を発症する。いずれにしても、L−ドーパは当技術分野で最も慣用される処置であり、従って、ここで参照として用いる。
【0089】
2か月齢のC57 BL/6雄マウス、計90個体を表3に従って6群に分けた。
表3 試験区の概要
【0090】
【表3】
【0091】
1週目に馴化させた後、群1および2のマウスに2×2ml/kgのビヒクルを投与し、群3、4、5および6のマウスに2×40mg/kgのMPTP(S.C.)を16時間間隔で投与して神経変性疾患または障害の症状を誘発した。処置後3日間、運動しているマウスを安静にさせた後、回し車走行30分/日、5日/週、6週間を開始した。運動は挙動試験室で行った。マウスを、尾をつかんで動いている回し車に乗せた後、プラスチックを固定した。各運動時間の終了時にプラスチックを取り外し、マウスを回し車から出し、自らホームケージに歩いて行かせた。群5および6には処理された酵母、活性化酵母細胞100万個を含有する0.5ml/被験体を、6週間、運動とともに、週に2回(月曜と木曜)経口投与した。群3および4は、経口処置を行わなかったこと以外は、群5および6と同様に取り扱った。
【0092】
回し車走行期間の後、特別に構成された試験室でマウスの運動活動を調べた。この試験室は、中に12のADEA活動試験チャンバーが配置されており、十分な隔離がなされ、この目的にのみ用いた。マウスは1個体ずつ1時間試験し、マウスをチャンバーの中央に置いた。次のパラメーターを記録した。
【0093】
歩行変量は、低い赤外線格子によって測定した。マウスが試験ケージの水平面を移動した場合にのみ、回数を記録した。
【0094】
立ち上がり変量は、少なくとも1つの高レベル赤外線が遮られた時間を記録し、すなわち、この回数は立ち上がりに費やした時間量に比例した。
【0095】
全活動変量は、試験ケージが常に接触しているセンサー(バランスウェイトが付いたレバーに取り付けられた、蓄音機の針に似たピックアップ)によって測定した。
【0096】
このセンサーは、歩行および立ち上がり双方によって発生したものだけでなく、身震い、振戦、引っ掻きおよび毛づくろいなど、試験ケージから受け取ったあらゆる種類の振動を記録した。
【0097】
3つ全ての挙動パラメーターを3回連続20分間測定した。活動パラメーターは、3回連続20分間を1回だけ試験した。自発的活動の後、運動と処理された酵母によって影響を受けた動きであるマウスの誘発活動を試験した。マウスに閾値下用量のL−ドーパ0.5mg/kgを皮下(s.c.)注射した。その後、マウスを再び、1個体ずつ試験チャンバーに4時間入れた。取扱いや注射手順から生じた動きを排除することを考慮して、最後の3時間のみ測定を行った。試験を行った後、マウスの頸部を切開し、手早く線条体領域を摘出し、神経化学分析を行うまで−80℃で保存した。
【0098】
神経化学分析は、電気化学的検出を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC−EC)を用いてDAおよび内部標準カルビドパをアッセイすることによって行った。冷凍線条体を秤量し、1mlの0.1M過塩素酸中でホモジナイズした。カルビドパを内部標準として加えた。遠心分離(10000rpm、すなわち、12519×g、4℃、15分)と濾過の後、0.05ml量のホモジネートを移動相で1:4希釈し、20μlをHPLC−ECに注入した。HPLCシステムは、Bischoffpumpモデル2250(Bischoff, Germany)、5℃に維持したトレー冷却装置(Midas, Spark Holland)を取り付けたオートサンプラー/オートインジェクター、30℃に維持した分析カラム(Reprosil−Pur、C18−AQ、250×4mm、5μm、ガードカラムを設置、A. Maisch, Deutschland)、および酸化電位+300mVで作動するモデル5011−A dual analytical cell (ESA Analytical, Chelmsford, MA, USA)を取り付けたCoulochem It ESA多電極検出器からなった。移動相pH3.0±0.1は、100mM NaH2P04、0.5mM 1−オクタンスルホン酸、1mM EDTAおよび10%メタノールからなった。流速は0.7ml/分とした。
【0099】
活動試験チャンバー内での3連続20分間の自発的歩行、立ち上がりおよび全活動データを、当技術分野で周知の分割区画ANOVAデザインに当てはめた。線条体におけるドーパミンレベル、ならびに4時間のうち最後の3時間の合計(注射の効果から最初の1時間を除外した)としての歩行、立ち上がりおよび全活動に対する5mg/kg L−ドーパの回復効果からの結果を一元配置ANOVAデザインに当てはめた。異なる処置群間のペアワイズ事後検定(Post−hoc pair− wise testing)を当技術分野で周知のテューキーのHSD検定を用いて行った。特に断りのない限り、全体として1%水準の有意性が維持されていた。
【0100】
さらなる試験
回復試験1
到着3週間後に、上記に従う2群(n=10)のマウスにMPTP(40mg/kg、s.c.)を、また、2群に生理食塩水(ビヒクル、2ml/kg)を、到着後4週目の金曜日に投与した。到着後5週目、6週目および7週目も各金曜日に同様のMPTPまたはビヒクルの投与を維持した。各場合において、MPTP/ビヒクル投与(試験1〜5)の前に、活動試験チャンバーで挙動試験を行った。同時に、4週目〜7週目の間と8週目に1つのビヒクル群と1つのMPTP群に、毎週4日(月〜木)、30分の運動期間を与えた。この後、運動期間を終了したが、マウスは全て10週目と12週目に試験した(試験6および7:金)。24時間あけた標準的な2×40mg/kg用量の代わりに毎週一用量のMPTP(40mg/kg)が、MPTP投与1週間後に活動試験を行った場合に進行的な運動低下(hypokinesic)の増長をもたらすかどうかを検討するために設計された。この試験は、また、連続4日の回し車走行運動が神経毒の運動低下(hypokinesic)作用を弱めるかどうかを試験するために設計された。表4は、MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、5週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置を示す。
表4 MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、6週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置
【0101】
【表4】
【0102】
【0103】
* MPTP(40mg/kg)
■60分間にわたる自発的運動活動
【0104】
回復試験2
第二の回復試験では、自発的運動活動試験の後にマウスに毎週一用量のMPTP(1×40 mg/kg、s.c)を投与し、その後、連続4日、回し車走行運動(下記表5参照)を連続4週間行い、運動活動試験後にMPTP投与を行わなかったこと以外は5週目も同様の手順とした。その後、全てのマウスを処置または回し車走行運動を行わずに2週間放置し、次に、再び自発的運動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った。処置または回し車走行運動を行わずにさらに2週間後、全てのマウスに最後の自発的運動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った(下記表5参照)。次の週に、MPTPマウスおよびビヒクルマウスを屠殺し、神経化学分析のために線条体領域を摘出した。
【0105】
その後、全てのマウスを処置または回し車走行運動を行わずに放置し、次に、再び自発的運動活動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った。その後、次の9週間、2週おきに自発的運動活動(試験1〜14)とL−ドーパ誘発性の活動(試験1〜5、試験の6、8、10、12および14週)の双方を評価した以外は、全てのマウスを回し車走行運動条件下またはプレクシグラスケージ内で座らせた状態で維持した。次の週(15週目)に、MPTPマウスおよびビヒクルマウスを屠殺し、DAおよびBDNFの神経化学分析のために前頭皮質、頭頂皮質、海馬および線条体領域を摘出した。この計画によれば、1つのビヒクル群(運動無しが含まれた)だけが、ビヒクル注射動物において回し車走行運動が挙動変化をもたらさなかったことを示す。
表5 MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、3週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置
60分にわたる自発的運動活動試験および閾値下L−ドーパ試験を示す。
【0106】
【表5】
【0107】
* MPTP(40mg/kg)を最初の4週間注射
■60分間にわたる自発的運動活動
**60分試験ケージに馴化した後にL−ドーパ(5mg/kg s.c.)
回復試験
回復試験を行った。この試験では、自発的運動活動試験の後に、マウスに毎週一用量のMPTP(1×30mg/kg、s.c)を投与し、最初の連続2週間は回し車走行活動を行わず、MPTP+運動(2)群では、3週目に回し車走行運動を開始し、MPTP+運動(4)群では、3週目と4週目も回し車走行運動を行わず、5週目からそれ以降回し車走行を受けた。その後、M5週目〜10週目は、運動活動試験後にさらなるMPTP投与を行わなかったこと以外は、PTP+運動(2)群とMPTP+運動(4)群の回し車走行手順を維持した。MPTP+運動(2)群およびMPTP+運動(4)群に回し車走行運動をさせている30分間は、ビヒクル群とMPTP群のマウスを30分間同じ室内に置いた1つのケージに入れた。その後、全てのマウスを処置または回し車走行運動を行わずに2週間放置し、次に、再び自発的運動活動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った。その後、次の9週間、2週おきに自発的運動活動(試験1〜14)とL−ドーパ誘発性の運動活動(試験1〜5、試験の6、8、10、12および14週)の双方を評価した以外は、全てのマウスを回し車走行運動条件下またはプレクシグラスケージ内で座らせた状態で維持した。次の週(15週目)に、MPTPマウスおよびビヒクルマウスを屠殺し、DAおよびBDNFの神経化学分析のために前頭皮質、頭頂皮質、海馬および線条体領域を摘出した。この計画によれば、1つのビヒクル群(運動無しが含まれた)だけが、ビヒクル注射動物において回し車走行運動が挙動変化をもたらさなかったことを示す。表6は、MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、試験IIで行ったような、3週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置の概要である。60分にわたる自発的運動活動試験および閾値下L−ドーパ試験を示す。
表6 MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、3週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置
60分にわたる自発的運動活動試験および閾値下L−ドーパ試験を示す。
【0108】
【表6】
【0109】
【0110】
■SMAのみ
*SMA+L−ドーパ
3◇=運動+処理された酵母を3週目に開始;◇5=運動+処理された酵母を5週目に開始
【0111】
結果および考察
初期試験
6週齢のマウスへのMPTPの投与は、MPTP処置7週間後にHPLC分析により明らかにされたところでは、後の処置によって線条体のDA含量に以下のような変化が見られた。MPTPの投与は、ビヒクル群に比べ、線条体のDA含量の低下を誘発した。よって、一元配置ANOVAは、線条体のDA含量に有意な群間効果を示した F(5,30)=35.92、P<0.0001。図3は、線条体のDA含量を示す。y軸はドーパミンレベルを示す(ng/mg正味重量)。x軸には、種々のサンプルを棒で示す。棒31は、ビヒクル単独(対照サンプル)の群1である。棒32は、ビヒクルと運動を組み合わせた群2である。棒33は、MPTP40mg/kgの群3である。棒34は、MPTP40mg/kgと運動を組み合わせた群4である。棒35は、MPTP40mg/kgを処理された酵母と組み合わせた群5である。棒36は、MPTP40mg/kgを処理された酵母および運動と組み合わせた群6である。
【0112】
これらの棒は、線条体のドーパミンレベルが群3のマウスよりも群5のマウスで高レベルであることから、処理された酵母が線条体のドーパミンレベルに効果を持つことを示す。棒6によって示されるように、処理された酵母と運動の組合せはさらに高い効果を示す。
【0113】
テューキーのHSD検定を用いたペアワイズ検定によって、以下のような違いが明らかになった。すなわち、MPTPは、全ての処置群でビヒクルよりもDA含量を低下させた。一部、運動がこの低下に拮抗作用を示したが、処理された酵母からの付加的効果は見られなかった。
【0114】
ビヒクルまたはMPTPの投与と、その後の毎週の30分、連続5日間の運動および/または週2回、6週間の処理された酵母の追加は、MPTPによる活動低下を部分的に回復させた。処理された酵母はそれ自体、MPTPの運動低下(hypokinesic)作用に影響を及ぼさなかった。従って、分割区画ANOVAは、有意な処置*時間相互作用を示した:歩行:F(10、108)=57.21、P<0.0001;立ち上がり:F(10、108)=89.56、P<0.0001;および全活動:F(10、108)=89.56、P<0.0001。図4は、歩行、立ち上がりおよび全活動の平均値およびSD値を表す。
【0115】
テューキーのHSD検定を用いたペアワイズ検定によって、種々のMPTP後処置とビヒクル群の間の違いが明らかになった。ビヒクルマウスでは、60分にわたる全ての自発的挙動の活動に明確な低下が見られた。このような低下は、自発的挙動の正常なプロフィールである。ビヒクル+運動は、ビヒクル単独と違いは無かった。ビヒクル処置に比べた場合の、歩行、立ち上がりおよび全活動平均数の低下を特徴とするMPTP処置により生じた活動低下は、処理された酵母単独によっては影響を受けなかった。対照的に、運動は単独で、第1期および第2期に歩行を部分的に回復させた。また、運動+処理された酵母の組合せは、第1期および第2期に、立ち上がりに対する回復効果とともに、歩行を部分的に回復させた。第1期の歩行および第2期の立ち上がりでは、処理された酵母+運動は、運動単独とは対照的に活動低下を有意に軽減した。
【0116】
誘発性の挙動を、閾値下用量5mg/kgのL−ドーパに曝した後に調べた。この用量のL−ドーパはそれ自体、40mg/kg MPTPで前処置された活動低下マウスに対する無効性を補填する。誘発性の挙動の測定値である、4時間のうち最後の3時間(最初の1時間の、取扱いおよび注射によりもたらされる運動は排除した)の歩行、立ち上がりおよび全活動数の合計を、一元配置ANOVAに当てはめた。有意な群間効果が見られた。
歩行F(5,54)=44.19 P<0.0001;立ち上がりF(5,54)=33.50 P<0.0001および全活動F(5,54)=25.69 P<0.0001。
【0117】
図4に結果をまとめる。L−ドーパ投与3時間後の歩行(図4A)、立ち上がり(図4B)および全活動(図4C)の平均値およびSD値を示す。処理された酵母は、運動と組み合わせると、歩行および立ち上がりの有意な加算を生じた。文字(大文字0.01および小文字0.05)は有意差を示し、Aは運動有りと無しの間の比較を表し、Bは処理された酵母を投与した群間の比較を示す。テューキーのHSD検定を用いたペアワイズ検定により、以下のような違いが明らかになった。すなわち、L−ドーパは、MPTP処置マウスに対して、運動無し、または処理された酵母での後処置のみの場合には有益な効果を示さなかった。運動群および運動+処理された酵母群は、運動無し、また処理された酵母単独の場合に比べ、3つの変量全てに関して有意に低い活動低下を示した。処理された酵母は、運動と組み合わせると、歩行および立ち上がりの有意な加算を生じた。
【0118】
本試験では、MPTP投与(2*40mg/kg)によって誘発された運動低下、および一般に神経化学的欠陥、特にDA枯渇を、部分的であっても回復させるために、毎日の回し車走行という形での運動それ自体、または処理された酵母との併用の傾向を検討した。結果は次のようにまとめられる。
【0119】
1.MPTP投与による運動低下は毎日の運動によって部分的に回復され、この効果は回し車走行を処理された酵母を組み合わせることで増大した。
2.MPTP誘発性の運動低下は、L−ドーパ刺激の後に毎日の運動によって部分的に回復され、この効果は回し車走行を処理された酵母と組み合わせることで増大した。
3.高用量(2*40mg/kg)においてMPTPにより誘発されるDA枯渇は毎日の運動によって部分的に元に戻ったが、回し車走行と処理された酵母の組合せはこの回復効果を著しく増大させることはなかった。
【0120】
自然活動試験では、活動試験チャンバーにて0〜20分および20〜40分の試験期間の双方で、低用量MPTPで処置されたマウスに関して、6週間の回し車走行が歩行を有意に増大させたが、立ち上がりおよび全活動は有意に増大しなかった。1週間に2回、6週間の回し車走行と処理された酵母の組合せは、3つ全てのパラメーターでMPTP処置マウスの運動活動を明らかに増大させた。限定されるものではないが本発明者らの理論によれば、処理された酵母は、処置対象に入った後、振動を生成し続ける。処理された酵母が被験体の細胞と接触すると、それらは互いを誘引し、それらの間の双極子−双極子力のために連結すると考えられる。処置対象からの細胞の膜では、電気的対称性を欠き、次にEHF電場を形成する部分構造が形成され得る。機能に障害がある細胞および外部刺激を受けた細胞は接触すると、一時的に一体化した系を形成し、ここで回復プロセスが起こり得る。このようなプロセスは機能に障害がある細胞で起こるものと類似しているが、外から生物体に注入された細胞は大きなEHFエネルギーを持っているので、このような細胞と回復を必要とする細胞の間でのエネルギーの交換が、後者の細胞にEHFエネルギーの富化が起こり、その回復が加速化される。回復後には、その生物の対応する細胞が対称となる。このような細胞と外部処理された細胞の間の相互作用は途絶え、その結果、外部処理された細胞からのEHFエネルギーの抽出が停止する。
【0121】
高用量MPTPで処理された後、L−ドーパ刺激を受けたマウスにおける重篤な機能欠陥は回し車走行によって回復されたが、運動と処理された酵母の組合せによってもたらされたものとは対照的に、運動単独の回復効果は不完全であった。高用量MPTPから生じる活動欠陥は立ち上がりを無くしたが(図4)、なお、閾値下用量のL−ドーパの後の歩行および全活動の形での挙動は、6週間の回し車走行によって完全に回復された。
【0122】
図5は、L−ドーパ投与3時間後の、歩行(図5A)、立ち上がり(図5B)および全活動(図5C)それぞれの平均値およびSD値を示す図である。処理された酵母は、運動と組み合わせると、歩行および立ち上がりに有意な加算を示す。文字(大文字0.01および小文字0.05)は有意差を示し、Aは運動有りと無しの間の比較を表し、Bは処理された酵母で処置した群間の比較を示す。
【0123】
処理された酵母はまた、運動と組み合わせても組み合わせなくても、神経変性疾患または障害の進行に効果を持ち得る。
【0124】
さらなる試験
回復試験1
図6は自発的運動活動を示す。運動計画はMPTPの運動活動欠陥を軽減した。処理された酵母(酵母)は、自発的活動のほぼ完全な回復を誘発した。
【0125】
図7はL−ドーパ誘発性の活動を示す。運動計画はMPTPの運動活動欠陥を軽減した。処理された酵母(酵母)は、L−ドーパにより誘発される活動のほぼ完全な回復を誘発した。
【0126】
図8はドーパミン分析の結果を示す。処理された酵母(酵母)で処置した群では、ドーパミンレベルの著しい回復が見られた。
【0127】
回復試験2
図9は自発的運動活動に関する結果を示す。運動計画はMPTPの運動活動欠陥を軽減した。処理された酵母(酵母)は、自発的活動の完全な回復を誘発した。
【0128】
図10はL−ドーパ誘発性の活動を示す。処理された酵母(酵母)は、L−ドーパにより誘発される活動の完全な回復を示した。
【0129】
図11はドーパミン分析の結果を示す。処理された酵母(酵母(1))は、マウス線条体におけるドーパミンレベルの完全な回復を示した。
【0130】
図12はBDNF分析の結果を示す。処理された酵母は、運動単独(MP運動)および未処理酵母(MPExM)と比べて、BDNF(MpExMa群)の最大発現を誘発した。(MpExMa群>MPExM、MP運動群>MPTP群)
【0131】
回復試験
図13は自発的運動活動を示す。処理された酵母(酵母)は、MPTPを2回投与した後の自発的活動に著しい回復効果を誘発した。
【0132】
図14はL−ドーパ誘発性の活動を示す。処理された酵母(酵母)は、MPTPを2回投与した後の、L−ドーパにより誘発される活動に完全な回復効果を誘発した。
【0133】
図15はドーパミン分析の結果を示す。処理された酵母(酵母)は、MPTPを2回投与した後のドーパミンレベルに著しい回復効果を誘発した。
【0134】
特許請求の範囲において、「含む(comprises/comprising)」は、他の要素および工程の存在を排除するものではない。さらに、個々に挙げられているが、複数の手段、要素または方法工程を、例えば単一のユニットによって実施してもよい。
【0135】
さらに、異なるクレームに個々の特徴が含まれ得るが、これらは組み合わせるのが有利である可能性があり、異なるクレームに含まれていることが、特徴の組合せが実現可能でない、かつ/または有利でないことを意味するものではない。さらに、単数表現は複数を排除するものではない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第一の」、「第二の」などは複数を排除するものではない。クレームにおける参照符号は、単に明らかな例として示され、特許請求の範囲を何ら限定するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患または障害の処置のための組成物、このような組成物の使用ならびにこのような組成物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経変性疾患または障害は、脳および脊髄の細胞が喪失される状態である。脳および脊髄は、様々な機能を遂行するニューロンから構成される。このような機能は、運動の制御、知覚情報の処理また意志決定であり得る。脳および脊髄の細胞は容易には再生しないので、過度の傷害は不可逆的となる場合がある。神経変性疾患はニューロンまたはそれらのミエリン鞘の衰退から起こり、経時的に機能不全または多様な疾患または障害をもたらす。
【0003】
アポトーシスは、神経系の発達中に、生物の受傷した細胞が健全な細胞に害を及ぼさないようにするために神経系組織で起こる現象である。アポトーシス中、細胞は細胞の萎縮、クロマチンの凝集、DNAの断片化を含む一連の形態変化を受ける。例えばパーキンソン病およびアルツハイマー病など、アポトーシスの制御が機能しないと極度の細胞死が起こる。
【0004】
神経変性疾患または障害の初期治療は、具体的な疾患または障害の診断および進行に依存する。現在のところ、存在する広範な神経変性疾患または障害に対して当技術分野で知られている療法はほとんど無い。
【0005】
パーキンソン病では、L−ジヒドロキシ−フェニル−アラニン(L−ドーパ;レボドパ)による処置は、短時間症状を抑えることができるが、その後、症状の加速化が起こる。また、認知機能を初期診断の時点で存在する程度で安定化させるアルツハイマー病の療法の開発にも努力がなされている。同様に、筋萎縮性側軸索硬化症(ALS)または2型真性糖尿病関連の症状など、他の神経変性疾患または障害。しかしながら、これらの療法は多くの場合、効果が限られ、コストが高く、重篤な副作用を伴う場合がある。これらの療法はまた予防性もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、神経変性疾患または障害の改良された治療または予防を可能とする新たな方法および組成物の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明は、上記に定義した欠点の1以上の軽減、緩和または排除、および言及した種類の改良された処置、具体的には、その中で用いられる組成物の提供を目的とする。
【0008】
この目的で、第1の態様においては、神経変性疾患または障害の治療または予防のための、30GHz〜300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、またはその電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞を含む組成物が提供される。
【0009】
本発明の組成物による利点は、神経変性疾患または障害の改良され、かつ、コスト効果のある処置を可能とすることである。
【0010】
第2の態様では、第1の態様の組成物を調製する方法が提供される。該方法は、増殖培地を調製する工程、該増殖培地を滅菌または低温殺菌する工程;該増殖培地で酵母細胞を増殖させる工程、および該酵母細胞を電磁波で処理する工程を含み、該電磁波は30GHz〜300GHzの範囲である。
【0011】
本発明のさらなる有利な特徴およびその実施形態は、添付の特許請求の範囲および詳細な説明の中で定義される。
【0012】
本発明が可能とするこれら、およびその他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照しつつ、以下の本発明の例示的実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】未処理酵母細胞の増殖曲線を示す図である。
【図1B】一実施形態に従って処理された細胞の増殖曲線を示す図である。
【図2A】試験装置の例を開示する。図2Aは側面図である。
【図2B】試験装置の例を開示する。図2Bは正面図である。
【図3】本発明を試験するために用いたマウス線条体のDA含量を示す図である。
【図4】種々の時点での歩行、立ち上がりおよび全活動それぞれの平均値とSD値を示す図である。
【図5】歩行、立ち上がりおよび全活動それぞれの平均値とSD値を示す図である。
【図6】種々の試験結果を示す図である。
【図7】種々の試験結果を示す図である。
【図8】種々の試験結果を示す図である。
【図9】種々の試験結果を示す図である。
【図10】種々の試験結果を示す図である。
【図11】種々の試験結果を示す図である。
【図12】種々の試験結果を示す図である。
【図13】種々の試験結果を示す図である。
【図14】種々の試験結果を示す図である。
【図15】種々の試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
医学、生物学およびバイオテクノロジーなど、従来の範囲にない低密度電磁ミリ波の使用は、M. B. Golantらによってなされた先駆け的研究の結果として1960年代の半ばにロシアで発祥した動向である。ミリ波は、極端に高い周波数を有する電磁波、いわゆるEHF波である。この周波数は約30GHz〜約300GHzの範囲である。これらの波は水および他の水性媒体による吸収が大きく、生物に様々な影響を持つ。組織におけるEHFの透過深度はミリメートルの数分の1に過ぎない。同時に、生きている生物を用いた直接的試験では、生体表面に対するEHFの影響は、放射に曝された部位から一定の距離にある組織にも影響を及ぼすことが示唆された。
【0015】
細胞およびモデル系における化学、生化学および代謝プロセスに対する低密度ミリ波の影響を示唆する、いくつかの実験的検討がある。例えば、ミリ波は、Na+イオンの能動輸送を加速化すること、脂質膜の伝導度に影響を及ぼすこと、および細胞においてATPの合成を刺激することが示されている。EHF帯域の波は、障害のある機能の回復および恒常性の維持のために生物の自己調節系により用いられる主要な道具であると考えられる。ロシアでは、2百万人を超える患者がEHF療法で処置されており、例えば消化管の疾患および症状に効果的であることが示されている。さらに、EHF療法はストレスを軽減し、疼痛を緩和することから、薬物および他の種類の放射線による処置の補足として使用することができる。
【0016】
EHF波は、細胞膜と関連して長く続くタンパク質構造によって形成される共振回路によって増長される。この増長は、細胞代謝から取得されたエネルギーを使って起こる。
【0017】
細胞膜は、タンパク質を含む脂質二重層である。細胞膜はまた分極するが、これは膜の内面と外面の間に電位が存在することを意味する。正常な細胞機能からの様々な偏りには、常に細胞膜における電気的非対称の様相が伴う。膜を伝わる音波は、ポアソン比によって決定される膜厚の周期的変化を引き起こす。膜の変化の空間的周期は、音波長と等しい。分極した誘電膜では、このような膜厚の変化は電場の変化を伴い、音波と同じ時間的、空間的周期を持つ。従って、細胞膜におけるこれらの波は音電波と呼ばれる。
【0018】
生きている生物は、それらの膜で自らEHFシグナルを生成する。しかしながら、対称な電気分布および正常な機能を持つ細胞では、特定の共鳴周波数の生成に理由はない。しかし、これらのシグナルが生じた場合には、それらは生物の細胞塊を通じて送られ、外部放射の効果を拡大し得る。EHF放射は、その生物自身による回復のために用いられる。この回復は、例外的に、回復のプロセスおよび生物の恒常性の維持を管理する完全なサイバネティックシステムによって編成される。全ての細胞、器官および生物系の情報システムは、このシステムの機能性に加わり、その生物のあらゆる要素における回復プロセスは、起こった障害の特性を反映するそれらの固有のシグナルによって制御される。
【0019】
細胞における共鳴波も、外部EHF放射から生じる。このように、外部EHF放射は、回復の目的で、細胞自らによって生成される内部EHF波である共鳴波に変換され得る。これらの細胞は自ら、外部EHF刺激なしに、電気的対称性の回復を達成することができる。しかしながら、これらの細胞が何らかの抑制を受けている場合には、自発的回復は遅いか、または起こらない場合がある。これらの場合、EHF放射は回復の加速化のために用いられ得る。これがEHF放射による処置の理由であるが、外部テクニカルデバイスの助けで正確なシグナルセットを生じさせることは不可能であることから、内部EHF波を誘導することができる。例えば、ヒトは1013個もの細胞からなり、それぞれ個々のシグナル系を生成する能力を持ち、これは再生不能であると考えられる。しかしながら、細胞が外部シグナルで処理されれば、細胞、器官および生物の機能の情報システムは、これらのシグナルを、これらの細胞における固有の回復の天然機構に相当する可干渉性の内部EHF音電波に変換する。
【0020】
このような変換のおかげで、外部EHF放射は、生物の回復に必要なシグナルの形成に寄与する。膜における電気的対称性の回復は、音電波を生成する機構の終結をもたらす。その結果、細胞膜に現れる一時的なタンパク質部分構造は、機能が正常化した後に徐々に解消する。
【0021】
細胞には、共鳴周波数帯がEHF帯と重複する1000を超える多種のタンパク質分子が存在する。このような分子の双極振動は、細胞代謝から抜き取ったエネルギーを費やしてEHFを生じる。これらのタンパク質は、電気的障害が大きい膜領域に集合体を形成することが示されている。よって、膜表面に存在するタンパク質は振幅の振動をもたらし、音電波を作り出す。
【0022】
さらに、波は、自由空間に伝わることはできないので、振動が互いに同位相にあるこれらの集合体は、隣接する細胞にシグナルを送るアンテナ格子として働く。従って、生きている生物においてEHF放射により誘発される機構は、可干渉性EHF振動の刺激による細胞間ならびに細胞内の回復プロセスの同期化に基づくものであると思われ、すなわち、EHF放射の効果は多細胞系では耐性を増す。例えばヒトの体内の血液およびリンパ系に循環する細胞は、隣接する細胞と絶えずEHF振動を交換しているので、EHF波をさらに伝えることができる。
【0023】
驚くことに、30GHz〜300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、またはその電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞(いわゆる、処理された酵母細胞または処理された酵母)を含む組成物が神経変性疾患または障害の治療または予防に効果的であることが分かった。該組成物の利点は、神経変性疾患または障害の改良され、かつ、コスト効果のある処置を可能とするということである。
【0024】
該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。
【0025】
一実施形態では、振動周波数は約35〜約65GHzの範囲である。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。
【0026】
一実施形態では、振動周波数は40GHz、41GHz、42GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzからなる群から選択される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。一実施形態では、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後100MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。一実施形態では、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子を用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば約0.1mW/cm2であり得る。
【0027】
一実施形態では、前記酵母細胞は、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Sacharomyces carlsbergesis)またはサッカロミセス・セレビシエ(Sacharomyces cerevisiae)からなる群から選択されるものなどのサッカロミセス属(Sacharomyces)である。この利点は、このような酵母が低コストで容易に入手可能であるということである。
【0028】
神経変性疾患または障害は一般に、多かれ少なかれ選択的な神経細胞の進行性の欠損によって引き起こされる。疾病が進行するとともに、神経細胞の進行性の欠損の加速化が見られる場合がある。
【0029】
可塑性の原理に従えば、どの神経細胞も適正な条件では、自己修復する能力を持つ。このような条件は身体的因子またはライフスタイル因子であり得る。例えば、当技術分野では、運動が神経変性疾患または障害の進行を遅くする助けとなり得ることがよく知られている。
【0030】
一般に、運動は、神経組織の栄養因子、いわゆる神経栄養因子の刺激に実質的な役割を持つことが示されている。このような因子の1つが脳由来神経栄養因子(BDNF)である。運動はこのBDNFレベルを高めることが示されている。本発明者らの非限定的な理論によれば、処理された酵母細胞を運動と組み合わせれば、BDNFレベルをさらに高める超刺激を誘発するとの仮説が立てられる。上昇したBDNFレベルは、次に、神経組織の回復および修復の動員の基礎として働き得る。運動と酵母化合物の組合せにより増大した可塑性は、神経変性症状の進行を軽減する相乗作用をもたらすとの仮説が立てられる。
【0031】
BDNFレベルは、パーキンソン病、アルツハイマー病およびALSなどのいくつかの神経変性症状の進行に特異的に影響を及ぼすことが示された。2型真性糖尿病の神経変性作用もまたBDNFのアンバランスによって影響を受ける可能性がある。
【0032】
一実施形態では、神経変性疾患または障害はパーキンソン病である。
【0033】
一実施形態では、神経変性疾患または障害はアルツハイマー病である。
【0034】
一実施形態では、神経変性疾患または障害は筋萎縮性側索硬化症(ALS)である。
【0035】
一実施形態では、神経変性疾患または障害は2型真性糖尿病である。
【0036】
一実施形態では、該処置は、例えば、処理された酵母を含む麦芽飲料または任意の種類の飲料の形態での経口処置である。
【0037】
処理された酵母は、それ以外でも、好適な任意の形態で被験体に送達することができる。被験体は、例えばヒトなどの任意の哺乳類であり得る。従って、EHFエネルギーは、EHF放射によって外部刺激された、処理された酵母の形態で、処置される被験体に移行される。
【0038】
一態様において、該組成物は、増殖培地を調製する工程;該増殖培地を滅菌または低温殺菌する工程;該増殖培地で酵母細胞を増殖させる工程;および該酵母を電磁波で処理する工程を含み、該電磁波が30GHz〜300GHzの範囲である方法によって得ることができる。
【0039】
一実施形態では、該電磁波は約35〜約65GHzの範囲、例えば、40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzである。一実施形態では、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後100MHz帯域で線形変調される。一実施形態では、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子、例えば、IMPATTダイオード発振器に基づいたYAV−1治療デバイスを用いて送達することができる。該電磁波の電力密度は1mW/cm2未満、例えば0.004mW/cm2〜0.2mW/cm2の間、例えば、約0.1mW/cm2であり得る。
【0040】
EHF処理の影響を図1に示す。
【0041】
図1Aは、未処理細胞の増殖曲線である。N/N0(Y軸)は最初の細胞数N0に対する培養中の細胞数Nの比であり、t(時間、X軸)は、培養発進展時間である。図1Bは、処理細胞の増殖曲線である。細胞によって生じた振動の周波数は、それらの細胞の情報構造の、対応する再編成によって同調させることができ、これにより、実際に排除される個々の細胞の分裂周期期間に差が生じ、増殖曲線に「階段状」となる。図1Bから、各分裂周期の後の細胞数は同調して倍加され、従って、細胞数の時間への依存が階段状曲線によって表されることが明らかである。
【0042】
表1は、放射周波数42.2GHzで、種々の電力密度レベル(P、mW/cm2)において、全ての細胞の細胞分裂を同調させるのに必要な最小時間(t0、分)の概要を示す。
表1
【0043】
【表1】
【0044】
表2は、放射周波数42.2GHzで、種々の電力密度レベル(P、mW/cm2)において、
15%の細胞の細胞分裂を同調させるのに必要な時間(t0、分)の概要を示す。
表2
【0045】
【表2】
【0046】
よって、一実施形態では、EHF処理時間は20〜120分の間である。
【0047】
一実施形態では、本方法は、処理された酵母細胞を増殖培地で増殖させる工程をさらに含む。この増殖は、所望の濃度に達したら、いつでも中断してよい。
【0048】
特定の実施形態によれば、増殖培地は麦汁であり、すなわち、麦汁と酵母から強壮麦芽飲料が得られる。いずれの種類の酵母を用いてもよい。麦汁も、いずれの種類を用いてもよい。しかしながら、一実施形態では、麦汁は醸造所から得られる。別の実施形態では、麦汁はオオムギ麦芽から製造される。さらに別の実施形態では、麦汁は麦汁濃縮物から製造される。
【0049】
麦汁が醸造所から得られるか、または麦汁濃縮物が用いられる場合、乾物の重量分率を、すなわち、下式:
【0050】
【数1】
【0051】
を用いて調整することができる。
【0052】
式中、Wは麦汁原液の希釈のために添加される水の容量(リットル、L)であり、Qは、すなわち、醸造所からまたは濃縮形態で得られる麦汁原液(出発時)の容量(L)であり;C0は麦汁原液の抽出含量(重量%)であり;Cdは希釈麦汁中の乾物の重量分率である。
【0053】
一実施形態では、希釈麦汁中の乾物の重量分率は、11重量%(11重量%麦汁)前後、例えば、10.5重量%〜11.4重量%であり得る。
【0054】
麦汁がオオムギ麦芽から製造される場合、100Lの麦汁を生産するのに必要な原料の量は、すなわち、下式:
【0055】
【数2】
【0056】
を用いて計算することができる。
【0057】
式中、Cは麦芽消費率(kg/100L水)であり;wfは麦汁原液中の乾物の重量分率(重量%)であり;ρは麦汁の密度比(g/100g)であり;ccは麦汁容量と最終飲料容量の間の圧縮係数であり;Eavgは用いた麦芽含量(重量%)であり;LBは内容損失(%)であり;Bは容量損失(%)である。
【0058】
一実施形態では、上述の実施形態のいずれかに従って生産された麦汁を、オートクレーブチャンバーにて圧力0.05MPaで20分間滅菌する。その後、この麦汁は、密閉容器にて18〜20℃の間の温度で最大6か月保存可能である。
【0059】
別の実施形態によれば、上述の実施形態のいずれかに従って生産された麦汁を、70〜75℃の間で30分より長く加熱するなどによって低温殺菌してもよい。その後、この麦汁は、密閉容器にて18〜20℃の間の温度で最大2か月保存可能である。
【0060】
一実施形態によれば、S.セレビシエは、11重量%の滅菌済み麦汁少量に懸濁させることによって再生される。この麦汁に他の微生物の混入がないことが重要である。
【0061】
次に、再生した培養物を寒天で固めた麦汁を含む何枚かのペトリ皿に接種し、純粋な酵母培養物を得る。これは顕微鏡によって確認することができる。
【0062】
EHF処理の前に、これらの純粋無菌培養物を含むペトリ皿の1つからの酵母を、無菌11重量%麦汁、例えば10〜12mLを含む試験管に移す。これらの培養物を、一般に25〜28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させる。
【0063】
次に、この酵母培養物をEHF場で処理する。これは、まず、無菌ペトリ皿に酵母懸濁液を満たすことによって行えばよい。次に、ペトリ皿に蓋をし、EHF装置に入れる。このような装置は、EHF帯域で電磁振動を生じさせるいずれの装置であってもよい。EHF処理時間は好ましくは60分未満である。EHF振動の電力密度は好ましくは約0.1mW/cm2である。振動周波数は30〜300GHzの範囲である。該電磁波は約35〜約65GHzの範囲、例えば、40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzであり得る。一実施形態では、振動周波数は42194±10MHzであり、この周波数の前後100MHz帯域で線形変調される。一実施形態では、振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調される。該電磁波は当技術分野で公知の任意の電子素子または光素子、例えば、IMPATTダイオード発振器に基づいたYAV−1治療デバイスを用いて送達することができる。
【0064】
一実施形態では、電磁波の周波数変調は、個々の平均周波数の0%〜約0.5%、例えば個々の平均周波数の0.5%である。
【0065】
EHF装置で処理した後、上述の処理された懸濁液を、無菌11重量%麦汁を含む試験管、例えば50〜100mL試験管に移す。細胞を、一般に25〜28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させる。これを接種材料とする。
【0066】
次に、この接種材料を、一般に4〜5Lの、量を示す呼称よりも若干多い公称容量の容器(試験管、缶など)に充填した、一般に2〜3Lの低温殺菌または滅菌済み麦汁に添加し、一般に25〜28℃で20〜24時間後、細胞濃度が3千万細胞/mLになるまで培養する。
【0067】
別の実施形態では、大容量の飲料を生産する場合、接種材料として事前の培養サイクルの産物を無菌麦汁に接種材料:麦汁1:10比で加えることによって、上述の処理を何段階かで実施してもよい。細胞は、一般に25〜28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させる。飲料生産工程の最終段階は、細胞濃度が3千万細胞/mL以上となった際に終了されると考えられる。
【0068】
この生産工程の完了時に、飲料は販売を待つ状態となり、例えば瓶または缶などの好適な輸送容器に移すことができる。保存が必要であれば、飲料を約2〜4℃に冷却した後、例えば最大3日保存することができる。
【0069】
本発明は、本発明の要旨から逸脱することなく、食品、飼料、他の飲料製品など、またはこれらの任意の組合せを含む好適な形態で実施可能である。
【0070】
本発明の実施形態の要素および成分は、物理的、機能的および論理的に任意の好適な方法で実施可能である。実際に、この機能性は単一の組成物、複数の組成物中で、または他の機能的組成物の一部として実施可能である。
【0071】
一実施形態では、本組成物は、ヒトなどの被験体において神経変性疾患または障害を治療または予防する方法で使用可能である。
【0072】
処理された酵母細胞
以下は可能な生産手順の実施形態である。しかしながら、本発明の範囲内で、多くの異なる別の生産手順が可能であり、このことは当業者であれば認識できるであろう。
【0073】
麦汁は醸造所から入手し、希釈麦汁中の乾物の重量分率は11重量%(11重量%麦汁)に調整した。
【0074】
麦汁は、オートクレーブチャンバーにて圧力0.05MPaで20分間滅菌し、18〜20℃の間で保存した。
【0075】
無菌条件下、少量の滅菌済み11重量%麦汁に懸濁させることで、酵母S.セレビシエを再生した。
【0076】
この酵母を寒天で固めた麦汁を含む何枚かのペトリ皿に接種し、純粋な酵母培養物を得た。これを顕微鏡によって確認した。
【0077】
EHF処理の前に、純粋無菌培養物を含むペトリ皿の1つからの酵母を、無菌11重量%麦汁11mLを含む試験管に移す。これらの培養物を28℃で20〜24時間、皮膜が現れるまで増殖させた。
【0078】
次に、この酵母培養物をEHF場で処理した。これは、まず、無菌ペトリ皿に酵母懸濁液を満たすことによって行った。次に、ペトリ皿に蓋をし、EHF帯域で電磁振動を生じさせるEHF装置に入れた。EHF処理時間は40分とした。EHF振動の電力密度は0.1mW/cm2付近で維持した。振動周波数は53534±10MHzであり、この周波数の前後50MHz帯域で線形変調した。該電磁波は、IMPATTダイオード発振器に基づいたYAV−1治療デバイスによって発生させた。
【0079】
EHF装置で処理した後、上述の処理された懸濁液を、無菌11重量%麦汁を含む75mLの試験管に移した。細胞を28℃で22時間、皮膜が現れるまで増殖させた。これを接種材料とした。
【0080】
次に、この接種材料を公称容量5Lの試験管に充填した3Lの低温殺菌または滅菌済み麦汁に添加し、細胞濃度が3千万細胞/mLになるまで培養した。これらの処理された酵母細胞を、下記に従ってマウスに与えた。
【実施例】
【0081】
試験
神経変性疾患または障害に似た症状を誘発するために1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)で処置したマウスに、運動と組み合わせて、上記に従って処理した酵母細胞を含む組成物を与えた。
【0082】
MPTPが運動緩徐、安静時振戦および筋強剛などの神経変性疾患または障害患者に似た症状をもたらすことは、当技術分野で周知である。MPTPはそれ自体で有毒であるとは思われないが、血液脳関門を通過し、その後、モノアミンオキシダーゼ(MAO)を含む有毒な代謝産物への生体変換が起こることが知られている。MAOは、MPTPから2,3−ジヒドロピリジニウム中間体(MPDP+)への変換の第一段階である。MPDP+は衝撃時に酸化して1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン(MPP+)を形成する。MPP+は、症候的影響を与える、MPTPの最も重要な有毒代謝産物である。ヒトにおいて多くの神経変性疾患または障害が遅発型であることが知られていることから、このモデルにおいて、マウスにMPTPを注射した際に、齢が決定的に重要な役割を果たす。
【0083】
材料および方法
初期試験
Scanbur B & K, Sollentuna, Swedenから入手した体重27±2g、2か月齢の雄C57 BL/6マウス90個体を本試験に用いた。研究室に到着した後、マウスを温度(22±1℃)、湿度(55±5%)に制御された室内で1週間馴化させ、全てのマウスにLantmannen, Sweden製の食餌R35ペレットと水道水を自由に摂らせた。室内は一定の明暗周期(12時間オン/12時間オフ;AM6:00〜PM6:00の間点灯)とした。マウスを各15個体の6群に分け、ワイヤートップ実験室用ポリカーボネートケージ(55×35×18cm)で飼育した。ケージには区別のために数字を付けた。各ケージには、マウスが隠れたり眠ったりできる2つの巣を設けた。
【0084】
直径17.5cmの回し車(Living World製のDeluxe)を計16台用いた。マウスが回し車から降りないように、回し車をプラスチック板で覆った。プラスチック板を切り取って回し車と同じ直径になるようにし、回し車の両側に設置した。その際、マウスを回し車から出し入れするために一方をマジックテープ(Velcro)で留め、回し車のもう一方の側では、プラスチック板を回し車に接着剤で取り付けた。
【0085】
マクロロン(macrolon)齧歯類試験ケージ(40×25×15cm)を含む運動活動試験装置を用いた。各試験チャンバー、すなわち、運動活動試験ケージを、12cm厚の壁とフロントパネルと観察のための二重ガラスの小窓を備えた防音木製ボックスに入れた。各ボックスは弱光照明を備え、全て、2系統の赤外線の間に配置し(1つは低く、1つは高く、それぞれ深さ1cmのおがくず面より2cmおよび8cm上の2つの異なる高さに)、MPTPおよび対照マウス(Rat−O−Matic, ADEA Electronic AB, Uppsala, Sweden)の自発的運動活動および/または薬物誘発性の運動活動を測定するのに用いた。この赤外線間の距離は次の通りとした。低レベル赤外線は、本試験チャンバーから縦は73mm、横は58mm離し、高レベル赤外線は試験チャンバーの各長手側にのみ隣接させ、28mm離して置いた。
【0086】
図2Aは運動活動試験装置の側面図であり、図2Bは同装置の正面図である。基板20に、ケージおよびセンサーが配置されている。ケージは、上部に有孔アルミ製の蓋22を備えた透明プラスチックケージ21である。このプラスチックケージ21は弾性ゴム支持体23で支持されている。ピックアップ24が、バランスウェイトが付いたレバーに取り付けられ、複数の赤外線(IR)検出器25がプラスチックケージ21に近接して配置されている。
【0087】
全ての試験中、生理食塩水をビヒクルとして分配した。適用可能であれば、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)(Research Biochemical Inc., Natick, MA. USA)を、分配前にビヒクルに溶かした。
【0088】
同様に、L−ドーパ(Hassle, Molndal, Sweden)を、分配前に生理食塩水に溶かした。L−ドーパは当技術分野において神経変性疾患または障害を治療することが知られている。この神経伝達物質系は、ノルアドレナリン(NE)、ドーパミン(DA)およびセロトニン(5HT)の3つの神経伝達物質を考慮している。DAのアミノ酸前駆体であるチロシン(TYR)は、能動輸送ポンプによって血流から神経系に輸送される。TYRは、ニューロン内部で3つの酵素に連続的に働く。まず、TYRは、NE合成を調節するヒドロキシラーゼとともに働く。次に、チロシンヒドロキシラーゼ(TOH)がTYRをジヒドロキシフェニル−アラニン(ドーパ)に変換する。次に、2つ目の酵素、ドーパデカルボキシラーゼ(DDC)が働き、ドーパをDAに変換する。3つ目の酵素ドーパミンβヒドロキシラーゼはDAをNEに変換する。DA受容体の、少なくとも5つの薬理学的サブタイプが知られている。PDでは、ドーパミン2(D2)受容体は、L−ジヒドロキシフェニル−アラニン(L−ドーパ)などのドーパミン作用薬によって刺激される。DA前駆体であるL−ドーパは、末梢および中枢双方でDAへと代謝されるアミノ酸である。L−アミノ酸担体により取り込まれたL−ドーパは血液脳関門を通過するので、L−ドーパはDAとは対照的に血液脳関門を通過する。末梢代謝を低下させるためにL−ドーパの投与をデカルボキシラーゼ阻害剤と併用する。処置の数年後、このL−ドーパの効果は低下し、患者はジスキネジア、および/またはオンオフ症状を発症する。いずれにしても、L−ドーパは当技術分野で最も慣用される処置であり、従って、ここで参照として用いる。
【0089】
2か月齢のC57 BL/6雄マウス、計90個体を表3に従って6群に分けた。
表3 試験区の概要
【0090】
【表3】
【0091】
1週目に馴化させた後、群1および2のマウスに2×2ml/kgのビヒクルを投与し、群3、4、5および6のマウスに2×40mg/kgのMPTP(S.C.)を16時間間隔で投与して神経変性疾患または障害の症状を誘発した。処置後3日間、運動しているマウスを安静にさせた後、回し車走行30分/日、5日/週、6週間を開始した。運動は挙動試験室で行った。マウスを、尾をつかんで動いている回し車に乗せた後、プラスチックを固定した。各運動時間の終了時にプラスチックを取り外し、マウスを回し車から出し、自らホームケージに歩いて行かせた。群5および6には処理された酵母、活性化酵母細胞100万個を含有する0.5ml/被験体を、6週間、運動とともに、週に2回(月曜と木曜)経口投与した。群3および4は、経口処置を行わなかったこと以外は、群5および6と同様に取り扱った。
【0092】
回し車走行期間の後、特別に構成された試験室でマウスの運動活動を調べた。この試験室は、中に12のADEA活動試験チャンバーが配置されており、十分な隔離がなされ、この目的にのみ用いた。マウスは1個体ずつ1時間試験し、マウスをチャンバーの中央に置いた。次のパラメーターを記録した。
【0093】
歩行変量は、低い赤外線格子によって測定した。マウスが試験ケージの水平面を移動した場合にのみ、回数を記録した。
【0094】
立ち上がり変量は、少なくとも1つの高レベル赤外線が遮られた時間を記録し、すなわち、この回数は立ち上がりに費やした時間量に比例した。
【0095】
全活動変量は、試験ケージが常に接触しているセンサー(バランスウェイトが付いたレバーに取り付けられた、蓄音機の針に似たピックアップ)によって測定した。
【0096】
このセンサーは、歩行および立ち上がり双方によって発生したものだけでなく、身震い、振戦、引っ掻きおよび毛づくろいなど、試験ケージから受け取ったあらゆる種類の振動を記録した。
【0097】
3つ全ての挙動パラメーターを3回連続20分間測定した。活動パラメーターは、3回連続20分間を1回だけ試験した。自発的活動の後、運動と処理された酵母によって影響を受けた動きであるマウスの誘発活動を試験した。マウスに閾値下用量のL−ドーパ0.5mg/kgを皮下(s.c.)注射した。その後、マウスを再び、1個体ずつ試験チャンバーに4時間入れた。取扱いや注射手順から生じた動きを排除することを考慮して、最後の3時間のみ測定を行った。試験を行った後、マウスの頸部を切開し、手早く線条体領域を摘出し、神経化学分析を行うまで−80℃で保存した。
【0098】
神経化学分析は、電気化学的検出を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC−EC)を用いてDAおよび内部標準カルビドパをアッセイすることによって行った。冷凍線条体を秤量し、1mlの0.1M過塩素酸中でホモジナイズした。カルビドパを内部標準として加えた。遠心分離(10000rpm、すなわち、12519×g、4℃、15分)と濾過の後、0.05ml量のホモジネートを移動相で1:4希釈し、20μlをHPLC−ECに注入した。HPLCシステムは、Bischoffpumpモデル2250(Bischoff, Germany)、5℃に維持したトレー冷却装置(Midas, Spark Holland)を取り付けたオートサンプラー/オートインジェクター、30℃に維持した分析カラム(Reprosil−Pur、C18−AQ、250×4mm、5μm、ガードカラムを設置、A. Maisch, Deutschland)、および酸化電位+300mVで作動するモデル5011−A dual analytical cell (ESA Analytical, Chelmsford, MA, USA)を取り付けたCoulochem It ESA多電極検出器からなった。移動相pH3.0±0.1は、100mM NaH2P04、0.5mM 1−オクタンスルホン酸、1mM EDTAおよび10%メタノールからなった。流速は0.7ml/分とした。
【0099】
活動試験チャンバー内での3連続20分間の自発的歩行、立ち上がりおよび全活動データを、当技術分野で周知の分割区画ANOVAデザインに当てはめた。線条体におけるドーパミンレベル、ならびに4時間のうち最後の3時間の合計(注射の効果から最初の1時間を除外した)としての歩行、立ち上がりおよび全活動に対する5mg/kg L−ドーパの回復効果からの結果を一元配置ANOVAデザインに当てはめた。異なる処置群間のペアワイズ事後検定(Post−hoc pair− wise testing)を当技術分野で周知のテューキーのHSD検定を用いて行った。特に断りのない限り、全体として1%水準の有意性が維持されていた。
【0100】
さらなる試験
回復試験1
到着3週間後に、上記に従う2群(n=10)のマウスにMPTP(40mg/kg、s.c.)を、また、2群に生理食塩水(ビヒクル、2ml/kg)を、到着後4週目の金曜日に投与した。到着後5週目、6週目および7週目も各金曜日に同様のMPTPまたはビヒクルの投与を維持した。各場合において、MPTP/ビヒクル投与(試験1〜5)の前に、活動試験チャンバーで挙動試験を行った。同時に、4週目〜7週目の間と8週目に1つのビヒクル群と1つのMPTP群に、毎週4日(月〜木)、30分の運動期間を与えた。この後、運動期間を終了したが、マウスは全て10週目と12週目に試験した(試験6および7:金)。24時間あけた標準的な2×40mg/kg用量の代わりに毎週一用量のMPTP(40mg/kg)が、MPTP投与1週間後に活動試験を行った場合に進行的な運動低下(hypokinesic)の増長をもたらすかどうかを検討するために設計された。この試験は、また、連続4日の回し車走行運動が神経毒の運動低下(hypokinesic)作用を弱めるかどうかを試験するために設計された。表4は、MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、5週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置を示す。
表4 MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、6週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置
【0101】
【表4】
【0102】
【0103】
* MPTP(40mg/kg)
■60分間にわたる自発的運動活動
【0104】
回復試験2
第二の回復試験では、自発的運動活動試験の後にマウスに毎週一用量のMPTP(1×40 mg/kg、s.c)を投与し、その後、連続4日、回し車走行運動(下記表5参照)を連続4週間行い、運動活動試験後にMPTP投与を行わなかったこと以外は5週目も同様の手順とした。その後、全てのマウスを処置または回し車走行運動を行わずに2週間放置し、次に、再び自発的運動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った。処置または回し車走行運動を行わずにさらに2週間後、全てのマウスに最後の自発的運動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った(下記表5参照)。次の週に、MPTPマウスおよびビヒクルマウスを屠殺し、神経化学分析のために線条体領域を摘出した。
【0105】
その後、全てのマウスを処置または回し車走行運動を行わずに放置し、次に、再び自発的運動活動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った。その後、次の9週間、2週おきに自発的運動活動(試験1〜14)とL−ドーパ誘発性の活動(試験1〜5、試験の6、8、10、12および14週)の双方を評価した以外は、全てのマウスを回し車走行運動条件下またはプレクシグラスケージ内で座らせた状態で維持した。次の週(15週目)に、MPTPマウスおよびビヒクルマウスを屠殺し、DAおよびBDNFの神経化学分析のために前頭皮質、頭頂皮質、海馬および線条体領域を摘出した。この計画によれば、1つのビヒクル群(運動無しが含まれた)だけが、ビヒクル注射動物において回し車走行運動が挙動変化をもたらさなかったことを示す。
表5 MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、3週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置
60分にわたる自発的運動活動試験および閾値下L−ドーパ試験を示す。
【0106】
【表5】
【0107】
* MPTP(40mg/kg)を最初の4週間注射
■60分間にわたる自発的運動活動
**60分試験ケージに馴化した後にL−ドーパ(5mg/kg s.c.)
回復試験
回復試験を行った。この試験では、自発的運動活動試験の後に、マウスに毎週一用量のMPTP(1×30mg/kg、s.c)を投与し、最初の連続2週間は回し車走行活動を行わず、MPTP+運動(2)群では、3週目に回し車走行運動を開始し、MPTP+運動(4)群では、3週目と4週目も回し車走行運動を行わず、5週目からそれ以降回し車走行を受けた。その後、M5週目〜10週目は、運動活動試験後にさらなるMPTP投与を行わなかったこと以外は、PTP+運動(2)群とMPTP+運動(4)群の回し車走行手順を維持した。MPTP+運動(2)群およびMPTP+運動(4)群に回し車走行運動をさせている30分間は、ビヒクル群とMPTP群のマウスを30分間同じ室内に置いた1つのケージに入れた。その後、全てのマウスを処置または回し車走行運動を行わずに2週間放置し、次に、再び自発的運動活動試験を行った後、L−ドーパ誘発性の運動活動試験を行った。その後、次の9週間、2週おきに自発的運動活動(試験1〜14)とL−ドーパ誘発性の運動活動(試験1〜5、試験の6、8、10、12および14週)の双方を評価した以外は、全てのマウスを回し車走行運動条件下またはプレクシグラスケージ内で座らせた状態で維持した。次の週(15週目)に、MPTPマウスおよびビヒクルマウスを屠殺し、DAおよびBDNFの神経化学分析のために前頭皮質、頭頂皮質、海馬および線条体領域を摘出した。この計画によれば、1つのビヒクル群(運動無しが含まれた)だけが、ビヒクル注射動物において回し車走行運動が挙動変化をもたらさなかったことを示す。表6は、MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、試験IIで行ったような、3週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置の概要である。60分にわたる自発的運動活動試験および閾値下L−ドーパ試験を示す。
表6 MPTPまたはビヒクルのいずれかを投与したマウスに関する、3週間の回し車運動を行った場合、または行わなかった場合の試験計画および処置
60分にわたる自発的運動活動試験および閾値下L−ドーパ試験を示す。
【0108】
【表6】
【0109】
【0110】
■SMAのみ
*SMA+L−ドーパ
3◇=運動+処理された酵母を3週目に開始;◇5=運動+処理された酵母を5週目に開始
【0111】
結果および考察
初期試験
6週齢のマウスへのMPTPの投与は、MPTP処置7週間後にHPLC分析により明らかにされたところでは、後の処置によって線条体のDA含量に以下のような変化が見られた。MPTPの投与は、ビヒクル群に比べ、線条体のDA含量の低下を誘発した。よって、一元配置ANOVAは、線条体のDA含量に有意な群間効果を示した F(5,30)=35.92、P<0.0001。図3は、線条体のDA含量を示す。y軸はドーパミンレベルを示す(ng/mg正味重量)。x軸には、種々のサンプルを棒で示す。棒31は、ビヒクル単独(対照サンプル)の群1である。棒32は、ビヒクルと運動を組み合わせた群2である。棒33は、MPTP40mg/kgの群3である。棒34は、MPTP40mg/kgと運動を組み合わせた群4である。棒35は、MPTP40mg/kgを処理された酵母と組み合わせた群5である。棒36は、MPTP40mg/kgを処理された酵母および運動と組み合わせた群6である。
【0112】
これらの棒は、線条体のドーパミンレベルが群3のマウスよりも群5のマウスで高レベルであることから、処理された酵母が線条体のドーパミンレベルに効果を持つことを示す。棒6によって示されるように、処理された酵母と運動の組合せはさらに高い効果を示す。
【0113】
テューキーのHSD検定を用いたペアワイズ検定によって、以下のような違いが明らかになった。すなわち、MPTPは、全ての処置群でビヒクルよりもDA含量を低下させた。一部、運動がこの低下に拮抗作用を示したが、処理された酵母からの付加的効果は見られなかった。
【0114】
ビヒクルまたはMPTPの投与と、その後の毎週の30分、連続5日間の運動および/または週2回、6週間の処理された酵母の追加は、MPTPによる活動低下を部分的に回復させた。処理された酵母はそれ自体、MPTPの運動低下(hypokinesic)作用に影響を及ぼさなかった。従って、分割区画ANOVAは、有意な処置*時間相互作用を示した:歩行:F(10、108)=57.21、P<0.0001;立ち上がり:F(10、108)=89.56、P<0.0001;および全活動:F(10、108)=89.56、P<0.0001。図4は、歩行、立ち上がりおよび全活動の平均値およびSD値を表す。
【0115】
テューキーのHSD検定を用いたペアワイズ検定によって、種々のMPTP後処置とビヒクル群の間の違いが明らかになった。ビヒクルマウスでは、60分にわたる全ての自発的挙動の活動に明確な低下が見られた。このような低下は、自発的挙動の正常なプロフィールである。ビヒクル+運動は、ビヒクル単独と違いは無かった。ビヒクル処置に比べた場合の、歩行、立ち上がりおよび全活動平均数の低下を特徴とするMPTP処置により生じた活動低下は、処理された酵母単独によっては影響を受けなかった。対照的に、運動は単独で、第1期および第2期に歩行を部分的に回復させた。また、運動+処理された酵母の組合せは、第1期および第2期に、立ち上がりに対する回復効果とともに、歩行を部分的に回復させた。第1期の歩行および第2期の立ち上がりでは、処理された酵母+運動は、運動単独とは対照的に活動低下を有意に軽減した。
【0116】
誘発性の挙動を、閾値下用量5mg/kgのL−ドーパに曝した後に調べた。この用量のL−ドーパはそれ自体、40mg/kg MPTPで前処置された活動低下マウスに対する無効性を補填する。誘発性の挙動の測定値である、4時間のうち最後の3時間(最初の1時間の、取扱いおよび注射によりもたらされる運動は排除した)の歩行、立ち上がりおよび全活動数の合計を、一元配置ANOVAに当てはめた。有意な群間効果が見られた。
歩行F(5,54)=44.19 P<0.0001;立ち上がりF(5,54)=33.50 P<0.0001および全活動F(5,54)=25.69 P<0.0001。
【0117】
図4に結果をまとめる。L−ドーパ投与3時間後の歩行(図4A)、立ち上がり(図4B)および全活動(図4C)の平均値およびSD値を示す。処理された酵母は、運動と組み合わせると、歩行および立ち上がりの有意な加算を生じた。文字(大文字0.01および小文字0.05)は有意差を示し、Aは運動有りと無しの間の比較を表し、Bは処理された酵母を投与した群間の比較を示す。テューキーのHSD検定を用いたペアワイズ検定により、以下のような違いが明らかになった。すなわち、L−ドーパは、MPTP処置マウスに対して、運動無し、または処理された酵母での後処置のみの場合には有益な効果を示さなかった。運動群および運動+処理された酵母群は、運動無し、また処理された酵母単独の場合に比べ、3つの変量全てに関して有意に低い活動低下を示した。処理された酵母は、運動と組み合わせると、歩行および立ち上がりの有意な加算を生じた。
【0118】
本試験では、MPTP投与(2*40mg/kg)によって誘発された運動低下、および一般に神経化学的欠陥、特にDA枯渇を、部分的であっても回復させるために、毎日の回し車走行という形での運動それ自体、または処理された酵母との併用の傾向を検討した。結果は次のようにまとめられる。
【0119】
1.MPTP投与による運動低下は毎日の運動によって部分的に回復され、この効果は回し車走行を処理された酵母を組み合わせることで増大した。
2.MPTP誘発性の運動低下は、L−ドーパ刺激の後に毎日の運動によって部分的に回復され、この効果は回し車走行を処理された酵母と組み合わせることで増大した。
3.高用量(2*40mg/kg)においてMPTPにより誘発されるDA枯渇は毎日の運動によって部分的に元に戻ったが、回し車走行と処理された酵母の組合せはこの回復効果を著しく増大させることはなかった。
【0120】
自然活動試験では、活動試験チャンバーにて0〜20分および20〜40分の試験期間の双方で、低用量MPTPで処置されたマウスに関して、6週間の回し車走行が歩行を有意に増大させたが、立ち上がりおよび全活動は有意に増大しなかった。1週間に2回、6週間の回し車走行と処理された酵母の組合せは、3つ全てのパラメーターでMPTP処置マウスの運動活動を明らかに増大させた。限定されるものではないが本発明者らの理論によれば、処理された酵母は、処置対象に入った後、振動を生成し続ける。処理された酵母が被験体の細胞と接触すると、それらは互いを誘引し、それらの間の双極子−双極子力のために連結すると考えられる。処置対象からの細胞の膜では、電気的対称性を欠き、次にEHF電場を形成する部分構造が形成され得る。機能に障害がある細胞および外部刺激を受けた細胞は接触すると、一時的に一体化した系を形成し、ここで回復プロセスが起こり得る。このようなプロセスは機能に障害がある細胞で起こるものと類似しているが、外から生物体に注入された細胞は大きなEHFエネルギーを持っているので、このような細胞と回復を必要とする細胞の間でのエネルギーの交換が、後者の細胞にEHFエネルギーの富化が起こり、その回復が加速化される。回復後には、その生物の対応する細胞が対称となる。このような細胞と外部処理された細胞の間の相互作用は途絶え、その結果、外部処理された細胞からのEHFエネルギーの抽出が停止する。
【0121】
高用量MPTPで処理された後、L−ドーパ刺激を受けたマウスにおける重篤な機能欠陥は回し車走行によって回復されたが、運動と処理された酵母の組合せによってもたらされたものとは対照的に、運動単独の回復効果は不完全であった。高用量MPTPから生じる活動欠陥は立ち上がりを無くしたが(図4)、なお、閾値下用量のL−ドーパの後の歩行および全活動の形での挙動は、6週間の回し車走行によって完全に回復された。
【0122】
図5は、L−ドーパ投与3時間後の、歩行(図5A)、立ち上がり(図5B)および全活動(図5C)それぞれの平均値およびSD値を示す図である。処理された酵母は、運動と組み合わせると、歩行および立ち上がりに有意な加算を示す。文字(大文字0.01および小文字0.05)は有意差を示し、Aは運動有りと無しの間の比較を表し、Bは処理された酵母で処置した群間の比較を示す。
【0123】
処理された酵母はまた、運動と組み合わせても組み合わせなくても、神経変性疾患または障害の進行に効果を持ち得る。
【0124】
さらなる試験
回復試験1
図6は自発的運動活動を示す。運動計画はMPTPの運動活動欠陥を軽減した。処理された酵母(酵母)は、自発的活動のほぼ完全な回復を誘発した。
【0125】
図7はL−ドーパ誘発性の活動を示す。運動計画はMPTPの運動活動欠陥を軽減した。処理された酵母(酵母)は、L−ドーパにより誘発される活動のほぼ完全な回復を誘発した。
【0126】
図8はドーパミン分析の結果を示す。処理された酵母(酵母)で処置した群では、ドーパミンレベルの著しい回復が見られた。
【0127】
回復試験2
図9は自発的運動活動に関する結果を示す。運動計画はMPTPの運動活動欠陥を軽減した。処理された酵母(酵母)は、自発的活動の完全な回復を誘発した。
【0128】
図10はL−ドーパ誘発性の活動を示す。処理された酵母(酵母)は、L−ドーパにより誘発される活動の完全な回復を示した。
【0129】
図11はドーパミン分析の結果を示す。処理された酵母(酵母(1))は、マウス線条体におけるドーパミンレベルの完全な回復を示した。
【0130】
図12はBDNF分析の結果を示す。処理された酵母は、運動単独(MP運動)および未処理酵母(MPExM)と比べて、BDNF(MpExMa群)の最大発現を誘発した。(MpExMa群>MPExM、MP運動群>MPTP群)
【0131】
回復試験
図13は自発的運動活動を示す。処理された酵母(酵母)は、MPTPを2回投与した後の自発的活動に著しい回復効果を誘発した。
【0132】
図14はL−ドーパ誘発性の活動を示す。処理された酵母(酵母)は、MPTPを2回投与した後の、L−ドーパにより誘発される活動に完全な回復効果を誘発した。
【0133】
図15はドーパミン分析の結果を示す。処理された酵母(酵母)は、MPTPを2回投与した後のドーパミンレベルに著しい回復効果を誘発した。
【0134】
特許請求の範囲において、「含む(comprises/comprising)」は、他の要素および工程の存在を排除するものではない。さらに、個々に挙げられているが、複数の手段、要素または方法工程を、例えば単一のユニットによって実施してもよい。
【0135】
さらに、異なるクレームに個々の特徴が含まれ得るが、これらは組み合わせるのが有利である可能性があり、異なるクレームに含まれていることが、特徴の組合せが実現可能でない、かつ/または有利でないことを意味するものではない。さらに、単数表現は複数を排除するものではない。「1つの(a)」、「1つの(an)」、「第一の」、「第二の」などは複数を排除するものではない。クレームにおける参照符号は、単に明らかな例として示され、特許請求の範囲を何ら限定するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性疾患または障害の治療または予防のための、30GHz〜300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、またはその電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞を含む組成物。
【請求項2】
前記電磁波が約35GHz〜約65GHzの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記電磁波が40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記電磁波が1mW/cm2未満の電力密度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記電磁波が0.004mW/cm2〜0.2mW/cm2の間の電力密度を有する、の請求項4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記電磁波が平均周波数の0%〜約0.5%の範囲で周波変調される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
処理時間が20分〜130分の間である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記酵母細胞がサッカロミセス属(サッカロミセス)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酵母細胞がサッカロミセス・カールスベルゲンシス(Sacharomyces carlsbergesis)またはサッカロミセス・セレビシエ(Sacharomyces cerevisiae)からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記神経変性疾患または障害がパーキンソン病である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記神経変性疾患または障害がアルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記神経変性疾患または障害が2型真性糖尿病である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記処置が経口処置である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、
増殖培地を調製する工程;
該増殖培地を滅菌または低温殺菌する工程;
該増殖培地で酵母細胞を増殖させる工程;および
該酵母細胞を電磁波で処理する工程を含み、該電磁波が30GHz〜300GHzの範囲である、方法。
【請求項15】
約35GHz〜約65GHzの範囲、例えば、40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHZ、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電磁波が1mW/cm2未満の電力密度を有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記電磁波が0.004mW/cm2〜0.2mW/cm2の電力密度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電磁波が平均周波数の0%〜約0.5%の範囲で周波数変調される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
処理時間が20分〜130分の間である、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記の処理された酵母細胞を前記増殖培地で増殖させる工程をさらに含む、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記増殖培地が麦汁である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
神経変性疾患または障害の治療または予防のための、30GHz〜300GHzの範囲の電磁波で処理された酵母細胞、またはその電磁波で処理された酵母細胞から増殖された酵母細胞を含む組成物。
【請求項2】
前記電磁波が約35GHz〜約65GHzの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記電磁波が40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHz、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記電磁波が1mW/cm2未満の電力密度を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記電磁波が0.004mW/cm2〜0.2mW/cm2の間の電力密度を有する、の請求項4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記電磁波が平均周波数の0%〜約0.5%の範囲で周波変調される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
処理時間が20分〜130分の間である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記酵母細胞がサッカロミセス属(サッカロミセス)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酵母細胞がサッカロミセス・カールスベルゲンシス(Sacharomyces carlsbergesis)またはサッカロミセス・セレビシエ(Sacharomyces cerevisiae)からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記神経変性疾患または障害がパーキンソン病である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記神経変性疾患または障害がアルツハイマー病または筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記神経変性疾患または障害が2型真性糖尿病である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記処置が経口処置である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、
増殖培地を調製する工程;
該増殖培地を滅菌または低温殺菌する工程;
該増殖培地で酵母細胞を増殖させる工程;および
該酵母細胞を電磁波で処理する工程を含み、該電磁波が30GHz〜300GHzの範囲である、方法。
【請求項15】
約35GHz〜約65GHzの範囲、例えば、40GHz、41GHz、42GHz、42.2GHZ、43GHz、44GHz、45GHz、46GHz、47GHz、48GHz、49GHz、50GHz、51GHz、52GHz、53GHz、54GHzまたは55GHzである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記電磁波が1mW/cm2未満の電力密度を有する、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記電磁波が0.004mW/cm2〜0.2mW/cm2の電力密度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電磁波が平均周波数の0%〜約0.5%の範囲で周波数変調される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
処理時間が20分〜130分の間である、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記の処理された酵母細胞を前記増殖培地で増殖させる工程をさらに含む、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記増殖培地が麦汁である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の方法。
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図1A】
【図1B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2B】
【図3】
【図1A】
【図1B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2013−503138(P2013−503138A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526064(P2012−526064)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062490
【国際公開番号】WO2011/023769
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
2.VELCRO
【出願人】(512035088)エムビー ミルメド エービー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/062490
【国際公開番号】WO2011/023769
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
2.VELCRO
【出願人】(512035088)エムビー ミルメド エービー (1)
【Fターム(参考)】
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