説明

電線把持装置

【課題】仮支持装置等に掛かる負荷を緩和可能な電線把持装置を提供する。
【解決手段】電線把持装置60Aが、四面ローラ45Aに支持された高圧線HW1を当該高圧線HW1の下側で受け止めて高圧線HW1の延伸方向へスライド移動可能な下側ブラケット61と、下側ブラケットに対向して設けられ、四面ローラに支持された高圧線を下側ブラケットとともに把持してスライド移動可能な上側ブラケット63と、下側ブラケットおよび上側ブラケットのスライド移動の範囲を規制する第1および第2スライド規制部材70,80と、第1および第2スライド規制部材によって規制されたスライド移動の範囲における中間位置に、下側ブラケットおよび上側ブラケットが位置するように付勢力を与える第1および第2圧縮バネ91,92とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮支持装置によって電柱の代わりに支持された電線を把持する電線把持装置
に関する。
【背景技術】
【0002】
電柱の建替え作業や、電柱上において電線等を支持している腕金等の交換作業を行うと
きには、電柱上に支持されている電線を当該電柱の代わりに支持させるため、ブームの先
端に仮支持装置を備えた仮支持工法車が用いられることが多い(例えば、特許文献1を参
照)。このような仮支持装置に支持された電線を把持する工具として、例えば、カムラと
称される工具や、間接活線用のストレインロッド等が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2537589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような工具を用いて電線を把持すると、電線が固定された状態にな
るため、仮支持装置や仮支持工法車に大きな負荷が掛かるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、仮支持装置等に掛かる負荷を
緩和可能な電線把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的達成のため、本発明に係る電線把持装置は、電線を支持可能な仮支持装
置に取り付けられて前記仮支持装置に支持された前記電線を把持する電線把持装置であっ
て、前記電線を支持可能な前記仮支持装置の支持部(例えば、実施形態における四面ロー
ラ45A〜45C)に取り付けられ、前記支持部に支持された前記電線を当該電線の下側
で受け止めて前記支持部に対し前記電線の延伸方向へスライド移動可能な下側ブラケット
と、前記下側ブラケットに対向して設けられ、前記支持部に支持された前記電線を前記下
側ブラケットとともに把持して前記スライド移動可能な上側ブラケットと、前記下側ブラ
ケットおよび前記上側ブラケットの前記スライド移動の範囲を規制するスライド規制部材
と、前記スライド規制部材によって規制された前記スライド移動の範囲における所定の基
準位置に前記下側ブラケットおよび前記上側ブラケットが位置するように付勢力を与える
ブラケット付勢部材(例えば、実施形態における第1および第2圧縮バネ91,92やバ
ネ式ダンパー等)とを備えて構成される。
【0007】
なお、上述の発明において、前記所定の基準位置が前記下側ブラケットおよび前記上側
ブラケットの前記スライド移動の範囲における一方の端部位置である場合、前記支持部は
、前記支持部の底部に回転自在に設けられた第1ローラと、前記第1ローラに対し所定の
間隙部を有して略平行に対向配置され回転自在な第2ローラと、前記第1ローラの一端側
に前記間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第3ローラと、前記第1ローラの
他端側に前記間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第4ローラとを有し、前記
第1ローラ、前記第2ローラ、前記第3ローラ、および前記第4ローラに囲まれた前記間
隙部に前記電線を挿通させた状態で、前記電線を支持可能であるとともに、前記第2ロー
ラを揺動させる揺動開閉機構(例えば、実施形態における四面ローラ開閉機構50A〜5
0C)を利用して、前記間隙部を開口および閉塞可能に構成されており、前記第1ローラ
の上に取り付け固定されたベース部材と、前記ベース部材に設けられるとともに前記上側
ブラケットと前記下側ブラケットとに連結され、前記揺動開閉機構が前記第2ローラを揺
動させる力を利用して前記上側ブラケットを前記下側ブラケットに近づけて、前記上側ブ
ラケットおよび前記下側ブラケットに前記支持部に支持された前記電線を把持させるリン
ク機構とを備え、前記下側ブラケットが前記上側ブラケットとともに前記ベース部材に前
記スライド移動可能に取り付けられ、前記リンク機構は、前記下側ブラケットが前記一方
の端部位置から他方へスライド移動すると、前記上側ブラケットが前記下側ブラケットに
近づくように構成されることが好ましい。
【0008】
なおこの場合、前記リンク機構は、前記ベース部材に前記一方に揺動可能に取り付けら
れて前記第2ローラが当接可能な揺動部材と、一端側が前記揺動部材と連結されて前記ス
ライド移動方向に沿って延びる連結部材と、一端側が前記連結部材の他端側と連結される
とともに、他端側が前記下側ブラケットと前記一方に揺動可能に連結され、中間部に前記
上側ブラケットが連結された作動部材とを有し、前記揺動開閉機構により前記第2ローラ
が揺動して前記間隙部を閉塞すると、前記第2ローラが前記揺動部材に当接するとともに
、前記第2ローラに押圧された前記揺動部材および該揺動部材と前記連結部材を介して連
結された前記作動部材が前記一方に揺動して、前記作動部材に連結された前記上側ブラケ
ットが前記下側ブラケットに近づき、前記第2ローラからの押圧力を利用して前記上側ブ
ラケットが前記支持部に支持された前記電線を前記下側ブラケットとともに把持するよう
に構成されることが好ましい。
【0009】
またこの場合、前記連結部材は、前記一方の端部位置に前記下側ブラケットおよび前記
上側ブラケットが位置するように前記作動部材を介して付勢力を与える前記ブラケット付
勢部材(例えば、実施形態におけるバネ式ダンパー)を有してなることが好ましい。
【0010】
またこの場合、前記上側ブラケットが前記下側ブラケットから所定間隔だけ離れるよう
に付勢力を与えるリンク付勢部材(例えば、実施形態における引っ張りバネ160)を備
え、前記揺動開閉機構により前記第2ローラが揺動して前記間隙部を閉塞すると、前記第
2ローラが前記揺動部材に当接するとともに、前記第2ローラに押圧された前記揺動部材
および該揺動部材と前記連結部材を介して連結された前記作動部材が前記リンク付勢部材
の付勢力に抗して前記一方に揺動して、前記作動部材に連結された前記上側ブラケットが
前記下側ブラケットに近づくことが好ましい。
【0011】
また、上述の発明において、前記所定の基準位置が前記下側ブラケットおよび前記上側
ブラケットの前記スライド移動の範囲における中間位置である場合、前記支持部は、前記
支持部の底部に回転自在に設けられた第1ローラと、前記第1ローラに対し所定の間隙部
を有して略平行に対向配置され回転自在な第2ローラと、前記第1ローラの一端側に前記
間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第3ローラと、前記第1ローラの他端側
に前記間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第4ローラとを有し、前記第1ロ
ーラ、前記第2ローラ、前記第3ローラ、および前記第4ローラに囲まれた前記間隙部に
前記電線を挿通させた状態で、前記電線を支持可能に構成されており、前記下側ブラケッ
トが前記第1ローラの上で前記スライド移動可能に取り付けられることが好ましい。
【0012】
なおこの場合、前記支持部は、前記第2ローラを揺動させる揺動開閉機構(例えば、実
施形態における四面ローラ開閉機構50A〜50C)を利用して、前記間隙部を開口およ
び閉塞可能に構成されており、前記上側ブラケットと前記下側ブラケットとを平行に連結
する平行リンク機構と、前記上側ブラケットが前記下側ブラケットから所定間隔だけ離れ
るように付勢力を与える平行リンク付勢部材(例えば、実施形態における引っ張りバネ6
7)とを備え、前記揺動開閉機構により前記第2ローラが揺動して前記間隙部を閉塞する
と、前記第2ローラが前記上側ブラケットに当接するとともに、前記第2ローラに押圧さ
れた前記上側ブラケットが前記平行リンク付勢部材の付勢力に抗して前記下側ブラケット
に近づき、前記第2ローラからの押圧力を利用して前記上側ブラケットが前記支持部に支
持された前記電線を前記下側ブラケットとともに把持することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、下側ブラケットおよび上側ブラケットが電線の延伸方向へスライド移
動可能に構成されるとともに、スライド規制部材によって規制されたスライド移動の範囲
における所定の基準位置に位置するように、下側ブラケットおよび上側ブラケットがブラ
ケット付勢部材から付勢力を受けるため、電線を把持した下側ブラケットおよび上側ブラ
ケットは、スライド規制部材によって規制された範囲で、電線からの張力を緩和する方向
へスライド移動することができ、仮支持装置等に掛かる負荷を緩和することが可能になる

【0014】
なお、上述の発明において、所定の基準位置が下側ブラケットおよび上側ブラケットの
スライド移動の範囲における一方の端部位置である場合、支持部に設けられた揺動開閉機
構により揺動される第2ローラからの押圧力を利用して、リンク機構で連結された上側ブ
ラケットが下側ブラケットとともに電線を把持することが好ましく、このようにすれば、
仮支持装置の作動を利用して容易に電線を把持することができる。また、リンク機構は、
下側ブラケットが一方の端部位置から他方へスライド移動すると、上側ブラケットが下側
ブラケットに近づくように構成されることが好ましく、このようにすれば、電線を把持し
た下側ブラケットおよび上側ブラケットが一方の端部位置から他方へスライド移動すると
、上側ブラケットが下側ブラケットに近づいて電線を把持する力が増加するため、電線か
らの張力が下側ブラケットおよび上側ブラケットの他方に向けて作用しても、下側ブラケ
ットおよび上側ブラケットは、電線を滑ることなく把持することができる。
【0015】
なおこの場合、リンク機構は、揺動開閉機構により第2ローラが閉じると、第2ローラ
が揺動部材に当接するとともに、第2ローラに押圧された揺動部材および該揺動部材と連
結部材を介して連結された作動部材が一方に揺動して、作動部材に連結された上側ブラケ
ットが下側ブラケットに近づき、第2ローラからの押圧力を利用して上側ブラケットが支
持部に支持された電線を下側ブラケットとともに把持する構成であることが好ましく、こ
のようにすれば、電線を把持した下側ブラケットおよび上側ブラケットが一方の端部位置
から他方へスライド移動すると、下側ブラケットと連結された作動部材が連結部材に引っ
張られるように一方に揺動するため、上側ブラケットが下側ブラケットに近づいて電線を
把持する力が増加し、より確実に電線を滑ることなく把持することができる。
【0016】
またこの場合、連結部材はブラケット付勢部材を有してなることが好ましく、このよう
に、連結部材をブラケット付勢部材として兼用化すれば、電線把持装置の構成を簡略化す
ることができる。また、電線を把持した下側ブラケットおよび上側ブラケットが連結部材
(ブラケット付勢部材)の付勢力に抗して他方へスライド移動すると、例えば、連結部材
(ブラケット付勢部材)の弾性力により、連結部材が作動部材を一方に揺動させる力、す
なわち、上側ブラケットが下側ブラケットとともに電線を把持する力が増加するため、よ
り確実に電線を滑ることなく把持することができる。
【0017】
またこの場合、上側ブラケットが下側ブラケットから所定間隔だけ離れるように付勢力
を与えるリンク付勢部材を備えることが好ましく、このようにすれば、揺動開閉機構によ
り第2ローラが開いたときに、下側ブラケットおよび上側ブラケットによる電線の把持を
容易に解除することができる。
【0018】
また、上述の発明において、所定の基準位置が下側ブラケットおよび上側ブラケットの
スライド移動の範囲における中間位置である場合、下側ブラケットは、仮支持装置の支持
部に対し、支持部の底部に設けられた第1ローラの上でスライド移動可能に取り付けられ
ることが好ましく、このようにすれば、下側ブラケットおよび上側ブラケットを簡便な構
成でスライド移動させることができる。
【0019】
なおこの場合、支持部に設けられた揺動開閉機構により揺動される第2ローラからの押
圧力を利用して、平行リンク機構で連結された上側ブラケットが下側ブラケットとともに
電線を把持することが好ましく、このようにすれば、仮支持装置の作動を利用して容易に
電線を把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は第1実施形態に係る電線把持装置の斜視図であり、(b)は第1実施形態に係る電線把持装置の側面図である。
【図2】仮支持工法車の斜視図である。
【図3】仮支持装置の側面図である。
【図4】仮支持装置の平面図である。
【図5】仮支持装置の正面図である。
【図6】電線把持装置が取り付けられた電線把持装置の斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る電線把持装置の第1の斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る電線把持装置の第2の斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る電線把持装置の第3の斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る電線把持装置の第4の斜視図である。
【図11】第2実施形態に係る電線把持装置の正面図である。
【図12】第2実施形態に係る電線把持装置が電線を把持する様子を(a)〜(c)の順に示す正面図である。
【図13】第3実施形態に係る電線把持装置の第1の斜視図である。
【図14】第3実施形態に係る電線把持装置の第2の斜視図である。
【図15】第3実施形態に係る電線把持装置の第3の斜視図である。
【図16】第3実施形態に係る電線把持装置が電線を把持する様子を(a)〜(c)の順に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。第1実施形態に係
る電線把持装置を取り付け可能な仮支持工法車1を図2に示している。この仮支持工法車
1は、前後輪3a,3bを有して走行可能であり、前部に運転キャブ2aを有したトラッ
ク車両をベースに構成される。このトラック車両の車体2の上に油圧モータである旋回モ
ータ(図示せず)により駆動されて水平旋回可能に構成された旋回台4が配設されている
。旋回台4に基端部が枢結されてブーム5が取り付けられており、このブーム5は起伏シ
リンダ7により起伏動されるようになっている。ブーム5は、基端ブーム5a、中間ブー
ム5b、および先端ブーム5cを入れ子式に組み合わせて、内蔵のブーム伸縮シリンダ(
図示せず)により伸縮動可能に構成されている。
【0022】
先端ブーム5cは先端にブームヘッド5dを有し、このブームヘッド5dには、電柱の
代わりに電線を支持可能な仮支持装置20が取り付けられている。なお、車体2の前後左
右の四カ所に下方に伸縮自在なアウトリガ9が設けられており、仮支持作業を行うときに
は、アウトリガ9を車体2の側方に張出させるとともに下方に伸長させて、車体2を持ち
上げ支持できるようになっている。また、車体2の後部には、ブーム5や仮支持装置20
等の操作が行われる操作装置10が取り付けられている。
【0023】
仮支持装置20は、図3に示すように、ブームヘッド5dに枢結された垂直ポスト21
と、垂直ポスト21に略水平に伸びるように支持されたブラケット26と、ブラケット2
6に支持されて当該ブラケット26の延伸方向と平行に伸びるアーム部30と、アーム部
30に設けられて3本の高圧線HW1〜HW3をそれぞれ支持可能な3つの電線支持具4
0A〜40Cと、アーム部30に設けられてグランドワイヤGWを支持可能なグランドワ
イヤ支持具40Gとを有して構成される。なお、3本の高圧線HW1〜HW3はそれぞれ
、略水平に並ぶように互いに平行に伸びて、所定の間隔で配置された複数の電柱P(図5
を参照)に支持されている。また、グランドワイヤGWは、3本の高圧線HW1〜HW3
の上方で平行に伸びて、3本の高圧線HW1〜HW3と同じ電柱Pに支持されている。ま
た、3本の高圧線HW1〜HW3の下方に3本の低圧線LW1〜LW3が配設されており
、3本の低圧線LW1〜LW3はそれぞれ、略水平に並ぶように互いに平行に伸びて、3
本の高圧線HW1〜HW3と同じ電柱Pに支持されている。
【0024】
垂直ポスト21は、下側部分がブームヘッド5dに枢結されて上下に揺動可能に取り付
けられる。ブームヘッド5dと垂直ポスト21との間に配設されたレベリングシリンダ(
図示せず)により垂直ポスト21の揺動制御が行われ、ブーム5の起伏角度に拘わらず垂
直ポスト21の上部が常に略鉛直に延びて位置するように垂直ポスト21が揺動制御され
る。このように略鉛直に保持される垂直ポスト21に、ブラケット26が首振り自在に(
水平旋回自在に)支持され、ブラケット26はブーム5の起伏角度に拘わらず略水平に伸
びるように保持される。また、垂直ポスト21には、ブラケット26を垂直ポスト21に
対して首振りさせる首振りモータ22(油圧モータ:図4を参照)および首振り機構(図
示せず)が設けられている。
【0025】
ブラケット26は、アーム部30を当該ブラケット26の延伸方向と平行に伸びるよう
に支持する。すなわち、アーム部30を構成する第1および第2アーム33,35は、通
常、ブーム5の起伏角度に拘わらず略水平に伸びるように保持される。また、ブラケット
26には、図3および図5に示すように、ブラケット26の延伸方向に伸びる軸を回転軸
としてアーム部30を回転させる回転モータ27(油圧モータ)および回転機構(図示せ
ず)が設けられている。この回転モータ27および回転機構によって、ブラケット26は
、図5に示すように、3つの電線支持具40A〜40Cおよびグランドワイヤ支持具40
Gが略鉛直方向を向いて電線を支持可能な鉛直位置と、3つの電線支持具40A〜40C
およびグランドワイヤ支持具40Gが略水平方向を向く水平位置との間でアーム部30を
回転可能に支持するが、この範囲を超えてアーム部30を回転させることも可能である。
【0026】
アーム部30は、図3および図4に示すように、ブラケット26に支持されたアームベ
ース31と、アームベース31に支持されてブラケット26の延伸方向と平行に伸びる第
1および第2アーム33,35と、第1アーム33の側部に取り付けられて当該第1アー
ム33と平行に伸びるサブアーム37とを有して構成される。アームベース31は、アー
ムベース31に配設された揺動シリンダ32(図5を参照)により、第1および第2アー
ム33,35(および、サブアーム37)を、第1および第2アーム33,35が略水平
方向を向く水平支持位置と、第1および第2アーム33,35が鉛直下方を向く鉛直支持
位置との間で揺動可能に支持する。なお通常は、第1および第2アーム33,35が水平
支持位置に位置する状態でアームベース31に支持される。
【0027】
第1アーム33は、第1基端アーム33aおよび第1先端アーム33bを入れ子式に組
み合わせて、内蔵の第1アーム伸縮シリンダ(図示せず)により伸縮動可能に構成される
。第1基端アーム33aの中央上部には、第1基端アーム33aに対して垂直に伸びるよ
うに第1電線支持具40Aが取り付けられる。また、第1先端アーム33bの先端上部に
は、第1電線支持具40Aと平行に、第1先端アーム33bに対して垂直に伸びるように
第3電線支持具40Cが取り付けられる。これにより、第1アーム33を伸縮動させると
、第3電線支持具40Cが第1電線支持具40Aに対してスライド移動し、第1電線支持
具40Aと第3電線支持具40Cとの間隔を変えることができる。また、第1基端アーム
33aの側部先端には、サブアーム37が取り付けられる。
【0028】
第2アーム35は、第1アーム33の側方に平行に配置され、第2基端アーム35aお
よび第2先端アーム35bを入れ子式に組み合わせて、内蔵の第2アーム伸縮シリンダ(
図示せず)により伸縮動可能に構成される。第2先端アーム35bの先端上部には、第1
電線支持具40A(および第3電線支持具40C)と平行に、第2先端アーム35bに対
して垂直に伸びるように第2電線支持具40Bが取り付けられる。これにより、第2アー
ム35を伸縮動させると、第2電線支持具40Bが第1電線支持具40Aに対してスライ
ド移動し、第1電線支持具40Aと第2電線支持具40Bとの間隔を変えることができる

【0029】
サブアーム37は、第2アーム35と反対側の第1アーム33の側方に平行に配置され
、サブアーム37の基端部が第1基端アーム33aの側部先端に枢結されて取り付けられ
る。サブアーム37の先端上部には、第1〜第3電線支持具40A〜40Cと平行に、サ
ブアーム37に対して垂直に伸びるようにグランドワイヤ支持具40Gが取り付けられる
。なお、サブアーム37は、図4に示すように、アーム部30の先端側を向く状態で固定
して使用するが、非使用時にアーム部30の基端側を向くように回転させて固定するよう
にしてもよい。これにより、ブーム5の格納時等に仮支持装置20をコンパクトにするこ
とができる。
【0030】
第1電線支持具40Aは、図3に示すように、第1基端アーム33aの中央上部に取り
付けられて第1基端アーム33aに対し垂直に伸びる第1の碍子41Aと、この碍子41
Aの先端部(上部)に取り付けられて電線(例えば、第1高圧線HW1)を支持可能な第
1四面ローラ45Aとを有して構成される。第1四面ローラ45Aは、上下左右にそれぞ
れ対向して設けられた4つのローラを有し、この4つのローラによって形成される矩形状
の間隙部に電線を挿通させて支持するようになっている。なお、第1四面ローラ45Aに
おける電線の挿通方向(矩形状の間隙部が伸びる方向)は、第1アーム33および第1電
線支持具40Aの延伸方向に対してそれぞれ垂直になるように設定される。また、第1四
面ローラ45Aの側部には、開閉シリンダ(図示せず)を利用して第1四面ローラ45A
の先端部(上部)に位置するローラを揺動開閉可能な第1四面ローラ開閉機構50Aが設
けられている。
【0031】
第2電線支持具40Bは、第2先端アーム35bの先端上部に取り付けられて第2先端
アーム35bに対し垂直に伸びる第2の碍子41Bと、この碍子41Bの先端部(上部)
に取り付けられて電線(例えば、第2高圧線HW2)を支持可能な第2四面ローラ45B
とを有して構成される。第2四面ローラ45Bは、第1四面ローラ45Aと同様の構成で
あり、第2四面ローラ45Bの側部には、開閉シリンダ(図示せず)を利用して第2四面
ローラ45Bの先端部(上部)に位置するローラを揺動開閉可能な第2四面ローラ開閉機
構50Bが設けられている。なお、第2四面ローラ45Bにおける電線の挿通方向(矩形
状の間隙部が伸びる方向)は、第2アーム35および第2電線支持具40Bの延伸方向に
対してそれぞれ垂直になるように設定される。
【0032】
第3電線支持具40Cは、第1先端アーム33bの先端上部に取り付けられて第1先端
アーム33bに対し垂直に伸びる第3の碍子41Cと、この碍子41Cの先端部(上部)
に取り付けられて電線(例えば、第3高圧線HW3)を支持可能な第3四面ローラ45C
とを有して構成される。第3四面ローラ45Cは、第1四面ローラ45Aと同様の構成で
あり、第3四面ローラ45Cの側部には、開閉シリンダ(図示せず)を利用して第3四面
ローラ45Cの先端部(上部)に位置するローラを揺動開閉可能な第3四面ローラ開閉機
構50Cが設けられている。なお、第3四面ローラ45Cにおける電線の挿通方向(矩形
状の間隙部が伸びる方向)は、第1アーム33および第3電線支持具40Cの延伸方向に
対してそれぞれ垂直になるように設定される。
【0033】
グランドワイヤ支持具40Gは、サブアーム37の先端上部に取り付けられてサブアー
ム37に対し垂直に伸びる柱部43と、柱部43の先端部(上部)に取り付けられて柱部
43と同じ方向に伸びる第4の碍子41Gと、この碍子41Gの先端部(上部)に取り付
けられて電線(グランドワイヤGW)を支持可能な第4四面ローラ45Gとを有して構成
される。第4四面ローラ45Gは、第1四面ローラ45Aと同様の構成であり、第4四面
ローラ45Gの側部には、開閉シリンダ(図示せず)を利用して第4四面ローラ45Gの
先端部(上部)に位置するローラを揺動開閉可能な第4四面ローラ開閉機構50Gが設け
られている。なお、第4四面ローラ45Gにおける電線の挿通方向(矩形状の間隙部が伸
びる方向)は、サブアーム37およびグランドワイヤ支持具40Gの延伸方向に対してそ
れぞれ垂直になるように設定される。
【0034】
以上のように構成される仮支持工法車1を用いて、電柱Pの代わりに3本の高圧線HW
1〜HW3およびグランドワイヤGWを支持するには、まず、操作装置10に対して各種
パラメータの入力操作を行う。次に、車体2を安定支持するため、操作装置10のジャッ
キ操作スイッチ(図示せず)等を操作して、アウトリガ9を車体2の側方に張出させると
ともに下方に伸長させる。次に、操作装置10のブーム操作スイッチ(図示せず)を操作
して、ブーム5の先端に取り付けられた仮支持装置20を3本の高圧線HW1〜HW3の
下方に移動させる。
【0035】
なお、図2に示すように、ブーム5の格納時には、仮支持装置20のブラケット26お
よびアーム部30が垂直ポスト21に対してブーム5の基端側を向くように首振りすると
ともに、アーム部30が前述の水平位置に回転した状態で保持されている。また、アーム
部30の第1および第2アーム33,35は水平支持位置で保持され、第1〜第4四面ロ
ーラ45A〜45C,45Gの先端部に位置するローラは開いた状態である。そこで、仮
支持装置20を3本の高圧線HW1〜HW3の下方に移動させる際、操作装置10の仮支
持装置操作スイッチ(図示せず)を操作して、ブラケット26およびアーム部30を垂直
ポスト21に対しブーム5の先端側を向くように首振りさせてブーム5の先端より突出さ
せるとともに、アーム部30を水平位置に回転させた状態のまま保持する。このように、
アーム部30が水平位置に回転した状態では、図5に示すように、3つの電線支持具40
A〜40Cおよびグランドワイヤ支持具40Gが略水平方向を向いて、仮支持装置20の
高さが低くなるため、3本の高圧線HW1〜HW3の下方に低圧線LW1〜LW3等が存
在しても、3本の高圧線HW1〜HW3と低圧線LW1〜LW3との間に側方から仮支持
装置20を容易にアプローチさせることができる。
【0036】
また、仮支持装置20を3本の高圧線HW1〜HW3の下方に移動させる際、操作装置
10の仮支持装置操作スイッチ(図示せず)を操作して、第1および第2アーム33,3
5をそれぞれ伸縮動させ、3つの電線支持具40A〜40Cのピッチ間隔を3本の高圧線
HW1〜HW3のピッチ間隔と同じになるように調整し、3本の高圧線HW1〜HW3の
鉛直下方にそれぞれ3つの電線支持具40A〜40Cが平行に位置するようにする。
【0037】
なお、サブアーム37に関しては、グランドワイヤGWの鉛直下方にグランドワイヤ支
持具40Gが平行に位置するように、予め手作業でサブアーム37の長さを調整しておく
。また、仮支持装置20を3本の高圧線HW1〜HW3の下方に移動させる際、3本の高
圧線HW1〜HW3と仮支持装置20との上下間隔が3つの電線支持具40A〜40Cの
長さとほぼ同じになるように位置調整されるが、このときのグランドワイヤGWと仮支持
装置20との上下間隔がグランドワイヤ支持具40Gの長さとほぼ同じになるように、柱
部43の長さが調整されている。
【0038】
仮支持装置20を3本の高圧線HW1〜HW3の下方に移動させて、3本の高圧線HW
1〜HW3の鉛直下方にそれぞれ3つの電線支持具40A〜40Cが平行に位置するとと
もに、グランドワイヤGWの鉛直下方にグランドワイヤ支持具40Gが平行に位置する状
態にすると、操作装置10の仮支持装置操作スイッチ(図示せず)を操作して、アーム部
30を水平位置から鉛直位置に回転させる。そうすると、3つの電線支持具40A〜40
Cおよびグランドワイヤ支持具40Gがそれぞれ略鉛直方向を向いて電線を支持する。
【0039】
すなわち、図3および図5に示すように、第1電線支持具40Aは、略鉛直方向を向く
ように上方に回転し、先端部のローラが開いた第1四面ローラ45Aの間隙部に第1高圧
線HW1が挿通され、第1四面ローラ45Aで第1高圧線HW1を支持する状態になる。
また、第2電線支持具40Bは、略鉛直方向を向くように上方に回転し、先端部のローラ
が開いた第2四面ローラ45Bの間隙部に第2高圧線HW2が挿通され、第2四面ローラ
45Bで第2高圧線HW2を支持する状態になる。また、第3電線支持具40Cは、略鉛
直方向を向くように上方に回転し、先端部のローラが開いた第3四面ローラ45Cの間隙
部に第3高圧線HW3が挿通され、第3四面ローラ45Cで第3高圧線HW3を支持する
状態になる。同様に、グランドワイヤ支持具40Gは、略鉛直方向を向くように上方に回
転し、先端部のローラが開いた第4四面ローラ45Gの間隙部にグランドワイヤGWが挿
通され、第4四面ローラ45GでグランドワイヤGWを支持する状態になる。
【0040】
アーム部30を水平位置から鉛直位置に回転させて、3つの電線支持具40A〜40C
およびグランドワイヤ支持具40Gがそれぞれ3本の高圧線HW1〜HW3およびグラン
ドワイヤGWを支持する状態にすると、操作装置10の仮支持装置操作スイッチ(図示せ
ず)を操作して、第1〜第4四面ローラ45A〜45C,45Gの先端部を閉じるように
、第1〜第4四面ローラ開閉機構50A〜50C,50Gをそれぞれ作動させる。以上の
ようにして、図3および図5に示すように、仮支持装置20により電柱Pの代わりに3本
の高圧線HW1〜HW3およびグランドワイヤGWを支持することができる。
【0041】
このような電線仮支持作業は引き通し作業とも称され、本実施形態の仮支持工法車1で
は、引き通し作業に限らず、いわゆる引き留め作業も可能である。例えば、図6に示すよ
うに、本実施形態の電線把持装置60A〜60Cをそれぞれ第1〜第3四面ローラ45A
〜45Cに取り付けて、当該電線把持装置60A〜60Cにより電線(例えば、3本の高
圧線HW1〜HW3)を把持することができる。そこで、図1および図6を参照しながら
、第1〜第3四面ローラ45A〜45Cおよび、これらに取り付けられる第1〜第3の電
線把持装置60A〜60Cについて詳細に説明する。
【0042】
第1四面ローラ45Aは、図1に示すように、第1〜第4ローラ51〜54と、ローラ
保持部材55と、前述の第1四面ローラ開閉機構50Aとを有して構成され、前述したよ
うに、第1〜第4ローラ51〜54によって形成される矩形状の間隙部Kに電線(例えば
、第1高圧線HW1)を挿通させて支持するようになっている。なお、第2〜第4四面ロ
ーラ45B〜45C,45Gは、前述したように、第1四面ローラ45Aと同様の構成で
あり、第1四面ローラ45Aのみの説明をもって、詳細な説明を省略する。
【0043】
ローラ保持部材55は、先端側(上側)が開放した断面視コの字型の樋状に形成され、
第1の碍子41Aの先端部(上部)に取り付けられる。ローラ保持部材55の基端部(底
部)近傍には、電線の延伸方向に沿って平行に並ぶ2本の第1シャフト56が取り付けら
れており、この第1シャフト56にそれぞれ第1ローラ51が回転自在に取り付けられる
。これにより、第1ローラ51は、当該第1ローラ51の中心軸を回転軸として回転自在
に、第1四面ローラ45Aの基端部(底部)に配置される。
【0044】
ローラ保持部材55の一方(アーム部30の基端側を向く方)の内側部には、電線の延
伸方向に沿って平行に並ぶ2本の第3シャフト58が取り付けられており、この第3シャ
フト58にそれぞれ第3ローラ53が回転自在に取り付けられる。これにより、第3ロー
ラ53は、当該第3ローラ53の中心軸を回転軸として回転自在に、第1ローラ51の一
方の端部側に略垂直に対向配置される。また、ローラ保持部材55の他方(アーム部30
の先端側を向く方)の内側部には、電線の延伸方向に沿って平行に並ぶ2本の第4シャフ
ト59が取り付けられており、この第4シャフト59にそれぞれ第4ローラ54が回転自
在に取り付けられる。これにより、第4ローラ54は、当該第4ローラ54の中心軸を回
転軸として回転自在に、第1ローラ51の他方の端部側に略垂直に対向配置される。
【0045】
このように、第1ローラ51、第3ローラ53、および第4ローラ54は、ローラ保持
部材55に回転自在に保持される。なお、ローラ保持部材55の他方(アーム部30の先
端側を向く方)の外側部には、電線把持装置60Aのスライドガイド96を支持可能な薄
板状のスライド支持部材49が取り付けられている。
【0046】
第1四面ローラ開閉機構50Aは、ローラ保持部材55の一方(アーム部30の基端側
を向く方)の外側部に取り付けられ、内蔵された開閉シリンダ(図示せず)の伸縮作動を
利用して、第1四面ローラ45Aの先端部(上部)に位置する第2ローラ52を揺動開閉
可能に構成される。第1四面ローラ開閉機構50Aの揺動部分には、電線の延伸方向に沿
って平行に並ぶ2本の第2シャフト57が取り付けられており、この第2シャフト57に
それぞれ第2ローラ52が回転自在に取り付けられる。これにより、第1四面ローラ開閉
機構50Aが第1四面ローラ45Aの先端部(上部)に位置する第2ローラ52を閉じた
とき、第2ローラ52は、当該第2ローラ52の中心軸を回転軸として回転自在に、第1
ローラ51に対し間隙部Kを有して略平行に対向配置される。すなわち、第1四面ローラ
開閉機構50Aを利用して、間隙部Kを開口および閉塞可能に構成される。
【0047】
さて、第1の電線把持装置60Aは、図1に示すように、第1ローラ51に支持されて
スライド移動可能な下側ブラケット61と、下側ブラケット61とともに電線を把持する
上側ブラケット63と、下側ブラケット61と上側ブラケット63とを平行に連結する平
行リンク機構65と、上側ブラケット63に取り付けられた引っ張りバネ67と、下側ブ
ラケット61のスライド移動を規制する第1および第2スライド規制部材70,80と、
2本の圧縮バネ91,92とを有して構成され、第1四面ローラ45Aに取り付けられる
。なお、第2および第3の電線把持装置60B,60Cは、第2および第3四面ローラ4
5B,45Cにそれぞれ取り付けられるが、第1の電線把持装置60Aと同様の構成であ
り、第1の電線把持装置60Aのみの説明をもって、詳細な説明を省略する。
【0048】
下側ブラケット61は、金属材料を用いて矩形棒状に形成され、第1ローラ51にスラ
イド移動可能に支持される。これにより、下側ブラケット61は、第1四面ローラ45A
に支持された電線(例えば、第1高圧線HW1)を当該電線の下側で受け止めて、第1四
面ローラ45Aに対し電線の延伸方向へスライド移動することができる。上側ブラケット
63は、金属材料を用いて矩形棒状に形成され、平行リンク機構65を用いて下側ブラケ
ット61と連結されるとともに、下側ブラケット61に対し略平行に対向配置される。こ
れにより、上側ブラケット63は、第1四面ローラ開閉機構50Aの作動を利用して下側
ブラケット61との間隔を狭くすることで、下側ブラケット61とともに電線を把持する
ことができる。
【0049】
引っ張りバネ67は、一端が第1スライド規制部材70のバネ取り付けネジ71に取り
付けられるとともに、他端が上側ブラケット63のバネ取り付けネジ64に取り付けられ
る。そして、引っ張りバネ67は、その弾性力を利用して、上側ブラケット63に対し、
上側ブラケット63が下側ブラケット61から離れる方向へ付勢力を与える。
【0050】
第1スライド規制部材70は、金属材料を用いて板状に形成され、溶接等により下側ブ
ラケット61の一端側(図1(a)における左側)の側面に接合される。第1スライド規
制部材70の上部には、上側ブラケット63が当接可能なストッパー72が設けられてお
り、引っ張りバネ67に引っ張られた上側ブラケット63がこのストッパー72に当接す
ると、上側ブラケット63が下側ブラケット61から所定間隔(電線を挿抜可能な間隔)
だけ離れるように構成されている。
【0051】
また、第1スライド規制部材70には、下側ブラケット61と平行に伸びる第1ガイド
ネジ75がスライド移動可能に挿通されている。第1ガイドネジ75の一端側(図1(a
)における左側)にダブルナット(図示せず)が螺合されるとともに、第1ガイドネジ7
5の他端側(図1(a)における右側)に、第1四面ローラ45Aのローラ保持部材55
に当接可能な当て板77が螺合される。また、第1ガイドネジ75における第1スライド
規制部材70と当て板77との間に、第1圧縮バネ91が取り付けられる。第1圧縮バネ
91は、その弾性力を利用して、当て板77に対し、当て板77がローラ保持部材55を
押圧する方向へ付勢力を与える。
【0052】
第2スライド規制部材80は、金属材料を用いて板状に形成され、溶接等により下側ブ
ラケット61の他端側(図1(a)における右側)の側面に接合される。第2スライド規
制部材80には、下側ブラケット61と平行に伸びる第2ガイドネジ85がスライド移動
可能に挿通されている。第2ガイドネジ85の一端側(図1(a)における左側)に、第
1四面ローラ45Aのローラ保持部材55に当接可能な当て板87が螺合されるとともに
、第2ガイドネジ85の他端側(図1(a)における右側)にダブルナット86が螺合さ
れる。また、第2ガイドネジ85における第2スライド規制部材80と当て板87との間
に、第2圧縮バネ92が取り付けられる。第2圧縮バネ92は、その弾性力を利用して、
当て板87に対し、当て板87がローラ保持部材55を押圧する方向へ付勢力を与える。
【0053】
また、第1スライド規制部材70および第2スライド規制部材80には、下側ブラケッ
ト61と平行に伸びるようにガイドプレート95が接合されている。ガイドプレート95
は、金属板材を用いて薄板状に形成され、溶接等により第1スライド規制部材70および
第2スライド規制部材80の側部に接合されている。さらに、ガイドプレート95には、
下側ブラケット61と平行に伸びるようにスライドガイド96が結合されている。スライ
ドガイド96は、表面が滑らかな硬質樹脂材料を用いて、断面視コの字型の棒状に形成さ
れ、第1スライド規制部材70と第2スライド規制部材80との間に位置するようにガイ
ドプレート95に結合される。スライドガイド96の内側には、第1および第2ガイドネ
ジ75,85の当て板77,87が(スライドガイド96の延伸方向へ)スライド移動自
在に収容される。
【0054】
ここで、スライドガイド96と下側ブラケット61との間隔は、ローラ保持部材55に
おいて第4ローラ54を保持する部分の厚さよりも若干大きくなるように設定される。ま
た、第1および第2圧縮バネ91,92からそれぞれ付勢力を受ける第1ガイドネジ75
の当て板77と第2ガイドネジ85の当て板87との間隔は、ローラ保持部材55の(電
線の挿通方向)長さよりも小さくなるように設定される。これにより、2つの当て板77
,87同士の間隔を広げた状態で、スライドガイド96と下側ブラケット61との間隙部
に、ローラ保持部材55において第4ローラ54を保持する部分を挿通させることで、第
1の電線把持装置60Aを第1四面ローラ45Aに対して着脱容易に取り付けることがで
きる。
【0055】
なおこのとき、スライドガイド96は、その縁部がローラ保持部材55の側部に近接し
た状態で、第1四面ローラ45Aのスライド支持部材49にスライド移動可能に支持され
る。またこのとき、下側ブラケット61は、第4ローラ54に近接した状態で、第1ロー
ラ51にスライド移動可能に支持される。そのため、下側ブラケット61は、スライドガ
イド96とともに電線の延伸方向へ直線的に(曲がることなく)スライド移動することが
できる。
【0056】
以上のように構成される電線把持装置60A〜60Cを用いて、3つの電線支持具40
A〜40Cに支持された3本の高圧線HW1〜HW3を把持するには、まず、第1〜第3
の電線把持装置60A〜60Cをそれぞれ第1〜第3四面ローラ45A〜45Cに取り付
ける。なお、第1の電線把持装置60Aが電線を把持しない状態では、第1圧縮バネ91
からの付勢力を受けて第1ガイドネジ75の当て板77がローラ保持部材55を押圧する
とともに、第2圧縮バネ92からの付勢力を受けて第2ガイドネジ85の当て板87がロ
ーラ保持部材55を押圧するため、第1および第2スライド規制部材70,80によって
規制されたスライド移動範囲における中間位置に、下側ブラケット61および上側ブラケ
ット63が位置することになる。また、下側ブラケット61および上側ブラケット63の
スライド移動範囲は、下側ブラケット61の一端側(図1(a)における左側)に接合さ
れた第1スライド規制部材70が当て板77を介してローラ保持部材55に当接する位置
から、下側ブラケット61の他端側(図1(a)における右側)に接合された第2スライ
ド規制部材80が当て板87を介してローラ保持部材55に当接する位置までの範囲であ
る。
【0057】
次に、引き通し作業の場合と同様に、ブーム5の先端に取り付けられた仮支持装置20
を3本の高圧線HW1〜HW3の下方に移動させる。仮支持装置20を3本の高圧線HW
1〜HW3の下方に移動させて、3本の高圧線HW1〜HW3の鉛直下方にそれぞれ3つ
の電線支持具40A〜40Cが平行に位置するとともに、グランドワイヤGWの鉛直下方
にグランドワイヤ支持具40Gが平行に位置する状態にすると、引き通し作業の場合と同
様に、アーム部30を水平位置から鉛直位置に回転させる。そうすると、3つの電線支持
具40A〜40Cおよびグランドワイヤ支持具40Gがそれぞれ略鉛直方向を向いて電線
を支持するが、このとき、操作装置10のブーム操作スイッチ(図示せず)によりブーム
5を作動させて、3本の高圧線HW1〜HW3がそれぞれ各電線把持装置60A〜60C
の下側ブラケット61で受け止められるように位置調整を行う。例えば、第1の電線把持
装置60Aにおける下側ブラケット61は、第1電線支持具40Aの第1四面ローラ45
Aに支持された第1高圧線HW1を下側から受け止める。
【0058】
アーム部30を水平位置から鉛直位置に回転させて、3つの電線支持具40A〜40C
およびグランドワイヤ支持具40Gがそれぞれ3本の高圧線HW1〜HW3およびグラン
ドワイヤGWを支持する状態にすると、操作装置10の仮支持装置操作スイッチ(図示せ
ず)を操作して、開いていた第1〜第4四面ローラ45A〜45C,45Gの先端部を閉
じるように、第1〜第4四面ローラ開閉機構50A〜50C,50Gをそれぞれ作動させ
る。このとき例えば、第1四面ローラ開閉機構50Aにより第2ローラ52が揺動して間
隙部Kを閉塞する(第2ローラ52に囲まれる部分を閉じる)と、第2ローラ52が上側
ブラケット63に当接するとともに、第2ローラ52に押圧された上側ブラケット63が
引っ張りバネ67の付勢力に抗して下側ブラケット61に近づき、第2ローラ52からの
押圧力を利用して上側ブラケット63が第1高圧線HW1を下側ブラケット61とともに
把持する。なお、第2および第3四面ローラ開閉機構50B,50Cについても同様であ
る。
【0059】
このように、第1〜第3の電線把持装置60A〜60Cを用いて、3つの電線支持具4
0A〜40C(四面ローラ45A〜45C)に支持された3本の高圧線HW1〜HW3を
把持することができる。なおこのとき、電線(3本の高圧線HW1〜HW3)を把持した
下側ブラケット61および上側ブラケット63は、電線からの張力により、第1圧縮バネ
91または第2圧縮バネ92の付勢力に抗して、下側ブラケット61および上側ブラケッ
ト63の一端側または他端側に(電線の延伸方向に)スライド移動し、第1スライド規制
部材70または第2スライド規制部材80のいずれか一方が当て板を介してローラ保持部
材55に当接した状態で停止する。これにより、下側ブラケット61および上側ブラケッ
ト63は、電線からの張力を緩和する方向へスライド移動することができる。
【0060】
なお、一般的な電線で、例えば、電柱間の距離(径間)が40mで、季節が冬の場合、
従来の工具を用いて電線を把持すると、仮支持装置に対して約2900Nの荷重が掛かる
。一方、本実施形態の電線把持装置60A〜60Cを用いて電線を把持し、このとき下側
ブラケット61および上側ブラケット63を100mmスライド移動させると、仮支持装置
20に掛かる荷重が約1000Nまで低減されることが、本出願の発明者によって確認さ
れている。
【0061】
以上説明したように、第1実施形態によれば、下側ブラケット61および上側ブラケッ
ト63が電線の延伸方向へスライド移動可能に構成されるとともに、第1および第2スラ
イド規制部材70,80によって規制されたスライド移動の範囲における中間位置に位置
するように、下側ブラケット61および上側ブラケット63が第1圧縮バネ91および第
2圧縮バネ92(ブラケット付勢部材)から付勢力を受けるため、電線を把持した下側ブ
ラケット61および上側ブラケット63は、第1および第2スライド規制部材70,80
によって規制された範囲で、電線からの張力を緩和する方向(第1実施形態の場合は中間
位置に対して両方)へスライド移動することができ、仮支持装置20等に掛かる負荷を緩
和することが可能になる。
【0062】
なお、下側ブラケット61は、四面ローラ45A〜45C(支持部)の底部に設けられ
た第1ローラ51の上でスライド移動可能に取り付けられることが好ましく、このように
すれば、下側ブラケット61および上側ブラケット63を簡便な構成でスライド移動させ
ることができる。
【0063】
また、四面ローラ開閉機構50A〜50Cにより揺動される第2ローラ52からの押圧
力を利用して、平行リンク機構65で連結された上側ブラケット63が下側ブラケット6
1とともに電線を把持することが好ましく、このようにすれば、仮支持装置20の作動を
利用して容易に電線を把持することができる。
【0064】
次に、電線把持装置の第2実施形態について図7〜図12を参照しながら説明する。第
2実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、第1〜第3の電線把持装置はそれ
ぞれ同様の構成であるため、第1の電線把持装置のみの説明をもって、他の詳細な説明を
省略する。第2実施形態に係る第1の電線把持装置100Aは、第1ローラ51の上に取
り付け固定されるベース部材110と、ベース部材110にスライド移動可能に取り付け
られた下側ブラケット120と、下側ブラケット120とともに電線を把持する上側ブラ
ケット130と、下側ブラケット120と上側ブラケット130とに連結されたリンク機
構140と、リンク機構140に取り付けられた引っ張りバネ160と、下側ブラケット
120のスライド移動を規制する第1および第2スライド規制部材171,172とを有
して構成され、第1四面ローラ45Aに取り付けられる。
【0065】
ベース部材110は、金属材料を用いて形成された、ベース部111と、ベース取り付
け部112と、揺動部材支持部113とを有して構成され、各部がそれぞれ溶接等により
接合される。ベース部111は、第1四面ローラ45Aにおける電線の挿通方向(矩形状
の間隙部が伸びる方向)に沿って延びる板状に形成され、基端部がベース取り付け部11
2に結合(接合)される。ベース部111の先端側上面(図7における左側上面)には、
蟻溝型のガイドレール115が取り付けられており、このガイドレール115に下側ブラ
ケット120がスライド移動可能に取り付けられる。
【0066】
ベース取り付け部112は、ローラ保持部材55の底部を跨ぐ門型に形成され、第1ロ
ーラ51の上にスライド移動が規制された状態で取り付け固定される。ベース取り付け部
112の側部には、落下防止ピン116(図8を参照)を挿通させることが可能な貫通穴
112aが形成される。この貫通穴112aは、ローラ保持部材55に形成されたピン挿
通穴(図示せず)と位置整合するように配置されており、図8に示すように、落下防止ピ
ン116を貫通穴112aおよびピン挿通穴(図示せず)に挿通させることで、ベース部
材110(すなわち電線把持装置100A)がローラ保持部材55から抜けて落下するの
を防止するようになっている。
【0067】
揺動部材支持部113は、上端が垂直に折れ曲がった四角柱型に形成され、下端部がベ
ース取り付け部112の上面に結合(接合)される。二股に分かれて平行に延びた揺動部
材支持部113の先端部に、リンク機構140の揺動部材141を取り付けるための取り
付け軸114が挿通され、揺動部材支持部113は、この取り付け軸114を介して揺動
部材141を揺動自在に支持する。
【0068】
下側ブラケット120は、金属材料を用いて断面視略L字型に形成され、電線を下側で
受け止めて把持する下側把持部121と、下側把持部121の側端から垂直上方に延びる
側壁部123とを有して構成される。下側把持部121は、ガイドレール115の溝部と
係合可能な板状に形成され、ガイドレール115に対し第1四面ローラ45Aにおける電
線の挿通方向へスライド移動可能に取り付けられる。これにより、下側ブラケット120
は、第1四面ローラ45Aに支持された電線(例えば、第1高圧線HW1)を当該電線の
下側で受け止めて、第1四面ローラ45A(およびベース部材110)に対し電線の延伸
方向へスライド移動することができる。なお、第2実施形態において、下側ブラケット1
20が第1四面ローラ45Aへ近づくようにスライド移動する方向(例えば、図11の右
方)を一方と称し、第1四面ローラ45Aから離れるようにスライド移動する方向(例え
ば、図11の左方)を他方と称することにする。また、下側把持部121の上面には、鋸
歯状の溝からなる下側溝部122が形成され、把持した電線が滑るのを防止している。
【0069】
側壁部123における他方の端部近傍には、第4連結軸154を取り付け可能な下側連
結部124(図9を参照)が形成され、第4連結軸154を介してリンク機構140の作
動部材147が連結される。側壁部123における一方の端部近傍には、枠状のガイド部
125が形成され、リンク機構140の第2連結部材146が挿通される。ガイド部12
5は、第2連結部材146の断面形状に合わせた枠状に形成され、第2連結部材146を
摺動可能に支持する。なお、ガイド部125の上下方向の内幅は、第2連結部材146の
上下方向の幅よりも若干大きく、ガイド部125の内側で第2連結部材146が上下に動
けるようになっている。側壁部123におけるガイド部125の斜め下方には、上側ブラ
ケット130の所定角度以上の回転を規制するストッパー126が形成される。また、側
壁部123の一方の端面には、第1スライド規制部材171に当接可能な当接部127が
形成される。
【0070】
上側ブラケット130は、金属材料を用いて板状に形成され、下側ブラケット120の
下側把持部121とともに電線を把持する上側把持部131と、上側把持部131の上部
に形成されてリンク機構140と連結される上側連結部134とを有して構成される。上
側把持部131は、下側把持部121と対向する板状に形成され、上側把持部131の下
面には、把持した電線が滑るのを防止するため鋸歯状の溝からなる上側溝部132が形成
されている。上側連結部134は、二等辺三角形の板状に形成され、第5連結軸155を
介してリンク機構140の作動部材147と回転自在に連結される。これにより、上側ブ
ラケット130は、リンク機構140を用いて下側ブラケット120と連結されるととも
に、下側ブラケット120に対し概ね平行に対向配置される。また、上側ブラケット13
0は、第1四面ローラ開閉機構50Aの作動を利用して、リンク機構140により下側ブ
ラケット120との間隔を狭くすることで、下側ブラケット120とともに電線を把持す
ることができる。
【0071】
リンク機構140は、揺動部材141と、第1連結部材145と、第2連結部材146
と、作動部材147とを有して構成される。揺動部材141は、金属材料を用いて棒状に
形成され、取り付け軸114を用いてベース部材110の揺動部材支持部113に揺動自
在に取り付けられる。また、揺動部材141は、揺動部材支持部113に対して一方もし
くは他方に揺動自在な揺動部142と、第2ローラ52が当接可能なローラ当接部143
とを有して構成される。揺動部142の一端側は、取り付け軸114を用いて揺動部材支
持部113に揺動自在に取り付けられ、揺動部142の他端側は、揺動部材支持部113
から下方へ延びるとともに、第1連結軸151を用いて第1連結部材145の一端側と回
転(揺動)自在に連結される。ローラ当接部143は、揺動部142における他方の側部
に突起状に形成され、第2ローラ52により下方へ押圧されると、揺動部142とともに
一方に揺動するようになっている。
【0072】
第1連結部材145は、棒状に延びた引っ張りバネ型の弾性部材であるバネ式ダンパー
を主体に構成される。第1連結部材145の一端側は、第1連結軸151を用いて揺動部
材141(揺動部142)の他端側と回転(揺動)自在に連結され、第1連結部材145
の他端側は、ベース部材110と略平行に他方へ延びるとともに、第2連結軸152を用
いて第2連結部材146の一端側と回転(揺動)自在に連結される。
【0073】
第2連結部材146は、金属材料を用いて下方へ緩やかに湾曲した棒状に形成され、下
側ブラケット120のガイド部125に挿通される。第2連結部材146の一端側は、第
2連結軸152を用いて第1連結部材145の他端側と回転(揺動)自在に連結され、第
2連結部材146の他端側は、ベース部材110に対し斜め上方に他方へ延びるとともに
、第3連結軸153を用いて作動部材147の一端側と回転(揺動)自在に連結される。
【0074】
作動部材147は、金属材料を用いて板状に形成される。作動部材147の一端側は、
第3連結軸153を用いて第2連結部材146の他端側と回転(揺動)自在に連結され、
作動部材147の他端側は、一端側から下方へ延びるとともに、第4連結軸154を用い
て下側ブラケット120の下側連結部124と回転(揺動)自在に連結される。作動部材
147の中間部は、作動部材147が略三角形となるように一方に膨らんで、その頂部が
第5連結軸155を用いて上側ブラケット130の上側連結部134と回転(揺動)自在
に連結される。このとき、作動部材147は、上側ブラケット130が下側ブラケット1
20に対して対向配置されるように、下側連結部124と上側連結部134とに連結され
る。
【0075】
引っ張りバネ160は、一方の端部が第3連結軸153(すなわち、作動部材147の
一端側)に結合された第1バネ取り付けネジ161に取り付けられるとともに、他方の端
部が第2スライド規制部材172の上端に結合された第2バネ取り付けネジ162に取り
付けられる。そして、引っ張りバネ160は、その弾性力を利用して、リンク機構140
の作動部材147に対し、上側ブラケット130が下側ブラケット120から離れる方向
へ付勢力を与える。
【0076】
第1スライド規制部材171は、金属材料を用いて板状に形成され、溶接等によりガイ
ドレール115の一方に隣接してベース部111の上面に結合(接合)される。第1スラ
イド規制部材171の他方の側面は斜めに傾斜しており、ガイドレール115の一方の端
部までスライド移動した下側ブラケット120の当接部127に当接し、下側ブラケット
120のスライド移動を規制するようになっている。
【0077】
第2スライド規制部材172は、金属材料を用いて棒状に形成され、溶接等によりガイ
ドレール115の他方に隣接してベース部111の先端部(他方の端部)に結合(接合)
される。また、第2スライド規制部材172は、ガイドレール115の他方の端部までス
ライド移動した下側ブラケット120に当接し、下側ブラケット120のスライド移動を
規制するようになっている。
【0078】
以上のように構成される第1の電線把持装置100Aを用いて、第1電線支持具40A
に支持された高圧線HW1を把持するには、まず、第1の電線把持装置100Aを第1四
面ローラ45Aに取り付ける。このとき、ベース部材110のベース取り付け部112を
ローラ保持部材55の底部(第1ローラ51の上)に取り付け、落下防止ピン116をベ
ース取り付け部112の貫通穴112aおよびローラ保持部材55のピン挿通穴(図示せ
ず)に挿通させる。
【0079】
次に、第1実施形態の場合と同様に、ブーム5の先端に取り付けられた仮支持装置20
を3本の高圧線HW1〜HW3の下方に移動させ、仮支持装置20のアーム部30を水平
位置から鉛直位置に回転させて、3本の高圧線HW1〜HW3がそれぞれ3つの電線把持
装置の下側ブラケットで受け止められるように位置調整を行う。このとき、図8および図
9に示すように、下側ブラケット120の下側把持部121は、第1電線支持具40Aの
第1四面ローラ45Aに支持された第1高圧線HW1を下側から受け止める。なお、第2
実施形態においては予め、第1高圧線HW1からの張力が下側ブラケット120(および
上側ブラケット130)の他方に向けて作用するように、第1の電線把持装置100Aの
向き(具体的には、仮支持装置20による支持方向もしくは電線把持装置100Aの取り
付け方向)を調整する。
【0080】
次に、操作装置10の仮支持装置操作スイッチ(図示せず)を操作して、開いていた第
1四面ローラ45Aの先端部を閉じるように、第1四面ローラ開閉機構50Aを作動させ
る。このとき、第1四面ローラ開閉機構50Aにより第2ローラ52が揺動して間隙部K
を閉塞する(第2ローラ52に囲まれる部分を閉じる)と、図12(a)〜(b)に示す
ように、第2ローラ52が揺動部材141(ローラ当接部143)に当接するとともに、
第2ローラ52に押圧された揺動部材141および該揺動部材141と第1および第2連
結部材145,146を介して連結された作動部材147が引っ張りバネ160の付勢力
に抗して一方に揺動する。そして、作動部材147に連結された上側ブラケット130の
上側把持部131が下側ブラケット120の下側把持部121に近づき、図7および図1
0にも示すように、第2ローラ52からの押圧力を利用して上側ブラケット130の上側
把持部131が下側ブラケット120の下側把持部121とともに第1高圧線HW1を把
持する。
【0081】
このように、第1の電線把持装置100Aを用いて、第1電線支持具40A(第1四面
ローラ45A)に支持された第1高圧線HW1を把持することができる。なお、第2ロー
ラ52に押圧された揺動部材141(および作動部材147)が一方に揺動する際、下側
ブラケット120も一方に引っ張られてスライド移動し、第1スライド規制部材171に
当接した状態で停止する。すなわち、リンク機構140の各部材により、第2ローラ52
からの押圧力の一部が付勢力となって、第1および第2スライド規制部材171,172
によって規制されたスライド移動範囲における一方の端部位置に、下側ブラケット120
および上側ブラケット130が位置することになる。また、下側ブラケット120および
上側ブラケット130のスライド移動範囲は、下側ブラケット120の一方の端部(当接
部127)が第1スライド規制部材171に当接する位置から、下側ブラケット120の
他方の端部が第2スライド規制部材172に当接する位置までの範囲である。
【0082】
また、第1連結部材145がバネ式ダンパーを主体に構成されるため、揺動部材141
とともに作動部材147を揺動させる力(すなわち、第1高圧線HW1を把持する力)は
、揺動部材141に引っ張られて伸長(弾性変形)する第1連結部材145の弾性力に基
づいた力となる。そのため、引っ張りバネ160の付勢力に抗して作動部材147を揺動
させるために、第1連結部材145(バネ式ダンパー)のばね定数は、引っ張りバネ16
0のばね定数よりも大きくなるように設定される。また、上側ブラケット130が下側ブ
ラケット120とともに第1高圧線HW1を把持する状態では、第1連結部材145の弾
性力によっても下側ブラケット120および上側ブラケット130が上述した一方の端部
位置に付勢されることになる。
【0083】
第1の電線把持装置100Aが電線(第1高圧線HW1)を把持する状態で、例えば、
切断された電線の修復作業中に、切断された電線同士を引き寄せるための工具(ストレイ
ンロッド等)が電線から外れて、電線からの比較的大きな張力が下側ブラケット120お
よび上側ブラケット130の他方に向けて作用すると、電線を把持した下側ブラケット1
20および上側ブラケット130は、図12(c)に示すように、第1連結部材145の
付勢力に抗して他方に(電線の延伸方向に)スライド移動し、下側ブラケット120が第
2スライド規制部材172に当接した状態で停止する。これにより、下側ブラケット12
0および上側ブラケット130は、電線からの張力を緩和する方向へスライド移動するこ
とができる。またこのとき、第1連結部材145は下側ブラケット120および上側ブラ
ケット130(第2連結部材146)に引っ張られて伸長し、第1連結部材145の弾性
力が増加するため、作動部材147を一方に揺動させる力、すなわち、上側ブラケット1
30が下側ブラケット120とともに電線を把持する力も増加する。そのため、電線から
の張力が下側ブラケット120および上側ブラケット130の他方に向けて作用しても、
下側ブラケット120および上側ブラケット130は、電線を滑ることなく把持すること
ができる。
【0084】
以上説明したように、第2実施形態によれば、下側ブラケット120および上側ブラケ
ット130が電線の延伸方向へスライド移動可能に構成されるとともに、第1および第2
スライド規制部材171,172によって規制されたスライド移動の範囲における一方の
端部位置に位置するように、下側ブラケット120および上側ブラケット130がリンク
機構140の第1連結部材145等(ブラケット付勢部材)から付勢力を受けるため、電
線を把持した下側ブラケット120および上側ブラケット130は、第1および第2スラ
イド規制部材171,172によって規制された範囲で、電線からの張力を緩和する方向
(第2実施形態の場合は一方の端部位置から他方)へスライド移動することができ、仮支
持装置20等に掛かる負荷を緩和することが可能になる。
【0085】
また、四面ローラ開閉機構50Aにより揺動される第2ローラ52からの押圧力を利用
して、リンク機構140で連結された上側ブラケット130が下側ブラケット120とと
もに電線を把持することが好ましく、このようにすれば、仮支持装置20の作動を利用し
て容易に電線を把持することができる。
【0086】
また、リンク機構140は、四面ローラ開閉機構50Aにより第2ローラ52が閉じる
と、第2ローラ52が揺動部材141に当接するとともに、第2ローラ52に押圧された
揺動部材141および該揺動部材141と第1および第2連結部材145,146を介し
て連結された作動部材147が一方に揺動して、作動部材147に連結された上側ブラケ
ット130が下側ブラケット120に近づき、第2ローラ52からの押圧力を利用して上
側ブラケット130が電線を下側ブラケット120とともに把持する構成であることが好
ましく、バネ式ダンパーを用いて第1連結部材145をブラケット付勢部材として兼用化
することで、電線把持装置の構成を簡略化することができる。また、電線を把持した下側
ブラケット120および上側ブラケット130が第1連結部材145の付勢力に抗して他
方へスライド移動すると、第1および第2連結部材145,146が作動部材147を一
方に揺動させる力、すなわち、上側ブラケット130が下側ブラケット120とともに電
線を把持する力が増加するため、電線からの張力が下側ブラケット120および上側ブラ
ケット130の他方に向けて作用しても、下側ブラケット120および上側ブラケット1
30は、電線を滑ることなく把持することができる。
【0087】
また、上側ブラケット130が下側ブラケット120から所定間隔だけ離れるように付
勢力を与える引っ張りバネ160を備えることが好ましく、このようにすれば、四面ロー
ラ開閉機構50Aにより第2ローラ52が開いたときに、下側ブラケット120および上
側ブラケット130による電線の把持を容易に解除することができる。
【0088】
なお、上述の第2実施形態において、第1連結部材145がバネ式ダンパーを主体に構
成されているが、これに限られるものではなく、バネ式ダンパーに代えて、例えば、引っ
張りコイルばねを用いるようにしてもよく、引っ張り力に対して弾性を有する弾性部材を
用いればよい。また、第1連結部材145は、弾性部材に限らず、棒状やワイヤ状の剛性
部材であってもよい。なお、第1連結部材145として棒状等の剛性部材を用いる場合、
電線を把持した下側ブラケット120および上側ブラケット130が一方の端部位置から
他方へスライド移動すると、下側ブラケット120と連結された作動部材147が第1お
よび第2連結部材145,146に引っ張られるように一方に揺動するため、上側ブラケ
ット130が下側ブラケット120に近づいて電線を把持する力が増加し、電線を滑るこ
となく把持することができる。また、第1連結部材145として棒状等の剛性部材を用い
る場合、図12の二点鎖線で示すように、ブラケット付勢部材である引っ張りバネ180
を下側ブラケット120とベース部111とに跨って設けるようにしてもよい。
【0089】
なお、上述の第2実施形態において、上側ブラケット130が下側ブラケット120か
ら所定間隔だけ離れるように付勢力を与える引っ張りバネ160を備えて構成されている
が、これに限られるものではなく、このような引っ張りバネ160を設けずに、下側ブラ
ケット120および上側ブラケット130による電線の把持を手動で解除するようにして
もよい。
【0090】
次に、電線把持装置の第3実施形態について図13〜図16を参照しながら説明する。
第3実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、第1〜第3の電線把持装置はそ
れぞれ同様の構成であるため、第1の電線把持装置のみの説明をもって、他の詳細な説明
を省略する。第3実施形態に係る第1の電線把持装置200Aは、第1ローラ51の上に
取り付け固定されるベース部材210と、ベース部材210にスライド移動可能に取り付
けられた下側ブラケット220と、下側ブラケット220とともに電線を把持する上側ブ
ラケット230と、下側ブラケット220と上側ブラケット230とに連結されたリンク
機構240と、リンク機構240に取り付けられた引っ張りバネ260と、下側ブラケッ
ト220のスライド移動を規制する第1および第2スライド規制部材271,272とを
有して構成され、第1四面ローラ45Aに取り付けられる。
【0091】
ベース部材210は、金属材料を用いて形成された、ベース部211と、ベース取り付
け部212と、揺動部材支持部213とを有して構成され、各部がそれぞれ溶接等により
接合される。ベース部211は、第1四面ローラ45Aにおける電線の挿通方向(矩形状
の間隙部が伸びる方向)に沿って延びる板状に形成され、基端部がベース取り付け部21
2に結合(接合)される。ベース部211の上面には、蟻溝型のガイドレール215が取
り付けられており、このガイドレール215に下側ブラケット220がスライド移動可能
に取り付けられる。
【0092】
なお、第3実施形態のガイドレール215は、下側ブラケット220の下側把持部22
1より若干長くなるように形成されており、第2実施形態のガイドレール115よりも短
くなっている。そのため、第3実施形態における下側ブラケット220および上側ブラケ
ット230のスライド移動範囲は、第2実施形態における下側ブラケット120および上
側ブラケット130のスライド移動範囲よりも短く(例えば、10mm程度に)なっている
。また、第3実施形態のベース部211は、ガイドレール215より若干長くなるように
形成されており、第2実施形態のベース部111よりも短くなっている。
【0093】
ベース取り付け部212は、ローラ保持部材55の底部を跨ぐ門型に形成され、第1ロ
ーラ51の上にスライド移動が規制された状態で取り付け固定される。ベース取り付け部
212の側部には、落下防止ピン216を挿通させることが可能な貫通穴212aが形成
される。この貫通穴212aは、ローラ保持部材55に形成されたピン挿通穴(図示せず
)と位置整合するように配置されており、落下防止ピン216を貫通穴212aおよびピ
ン挿通穴(図示せず)に挿通させることで、ベース部材210(すなわち電線把持装置2
00A)がローラ保持部材55から抜けて落下するのを防止するようになっている。
【0094】
揺動部材支持部213は、上端が垂直に折れ曲がった四角柱型に形成され、下端部がベ
ース取り付け部212の上面に結合(接合)される。二股に分かれて平行に延びた揺動部
材支持部213の先端部に、リンク機構240の揺動部材241を取り付けるための取り
付け軸214が挿通され、揺動部材支持部213は、この取り付け軸214を介して揺動
部材241を揺動自在に支持する。
【0095】
下側ブラケット220は、金属材料を用いて断面視略L字型に形成され、電線を下側で
受け止めて把持する下側把持部221と、下側把持部221の側端から垂直上方に延びる
側壁部223とを有して構成される。下側把持部221は、ガイドレール215の溝部と
係合可能な板状に形成され、ガイドレール215に対し第1四面ローラ45Aにおける電
線の挿通方向へスライド移動可能に取り付けられる。これにより、下側ブラケット220
は、第1四面ローラ45Aに支持された電線(例えば、第1高圧線HW1)を当該電線の
下側で受け止めて、第1四面ローラ45A(およびベース部材210)に対し電線の延伸
方向へスライド移動することができる。なお、第3実施形態において、下側ブラケット2
20が第1四面ローラ45Aへ近づくようにスライド移動する方向(例えば、図16の右
方)を一方と称し、第1四面ローラ45Aから離れるようにスライド移動する方向(例え
ば、図16の左方)を他方と称することにする。また、下側把持部221の上面には、鋸
歯状の溝からなる下側溝部222が形成され、把持した電線が滑るのを防止している。
【0096】
側壁部223における他方の端部近傍には、第4連結軸254を取り付け可能な下側連
結部224(図13を参照)が形成され、第4連結軸254を介してリンク機構240の
作動部材247が連結される。側壁部223における一方の端部近傍には、枠状のガイド
部225が形成され、リンク機構240の第2連結部材246が挿通される。ガイド部2
25は、第2連結部材246の断面形状に合わせた枠状に形成され、第2連結部材246
を摺動可能に支持する。なお、ガイド部225の上下方向の内幅は、第2連結部材246
の上下方向の幅よりも若干大きく、ガイド部225の内側で第2連結部材246が上下に
動けるようになっている。側壁部223におけるガイド部225の斜め下方には、上側ブ
ラケット230の所定角度以上の回転を規制するストッパー226が形成される。
【0097】
上側ブラケット230は、金属材料を用いて板状に形成され、下側ブラケット220の
下側把持部221とともに電線を把持する上側把持部231と、上側把持部231の上部
に形成されてリンク機構240と連結される上側連結部234とを有して構成される。上
側把持部231は、下側把持部221と対向する板状に形成され、上側把持部231の下
面には、把持した電線が滑るのを防止するため鋸歯状の溝からなる上側溝部232が形成
されている。上側連結部234は、二等辺三角形の板状に形成され、第5連結軸255を
介してリンク機構240の作動部材247と回転自在に連結される。これにより、上側ブ
ラケット230は、リンク機構240を用いて下側ブラケット220と連結されるととも
に、下側ブラケット220に対し概ね平行に対向配置される。また、上側ブラケット23
0は、第1四面ローラ開閉機構50Aの作動を利用して、リンク機構240により下側ブ
ラケット220との間隔を狭くすることで、下側ブラケット220とともに電線を把持す
ることができる。
【0098】
リンク機構240は、揺動部材241と、第1連結部材245と、第2連結部材246
と、作動部材247とを有して構成される。揺動部材241は、金属材料を用いて棒状に
形成され、取り付け軸214を用いてベース部材210の揺動部材支持部213に揺動自
在に取り付けられる。また、揺動部材241は、揺動部材支持部213に対して一方もし
くは他方に揺動自在な揺動部242と、第2ローラ52が当接可能なローラ当接部243
とを有して構成される。揺動部242の一端側は、取り付け軸214を用いて揺動部材支
持部213に揺動自在に取り付けられ、揺動部242の他端側は、揺動部材支持部213
から下方へ延びるとともに、第1連結軸251を用いて第1連結部材245の一端側と回
転(揺動)自在に連結される。ローラ当接部243は、揺動部242における他方の側部
に突起状に形成され、第2ローラ52により下方へ押圧されると、揺動部242とともに
一方に揺動するようになっている。
【0099】
第1連結部材245は、金属材料を用いて直線的に延びる棒状に形成される。第1連結
部材245の一端側は、第1連結軸251を用いて揺動部材241(揺動部242)の他
端側と回転(揺動)自在に連結され、第1連結部材245の他端側は、ベース部材210
と略平行に他方へ延びるとともに、第2連結軸252を用いて第2連結部材246の一端
側と回転(揺動)自在に連結される。
【0100】
第2連結部材246は、金属材料を用いて下方へ緩やかに湾曲した棒状に形成され、下
側ブラケット220のガイド部225に挿通される。第2連結部材246の一端側は、第
2連結軸252を用いて第1連結部材245の他端側と回転(揺動)自在に連結され、第
2連結部材246の他端側は、ベース部材210に対し斜め上方に他方へ延びるとともに
、第3連結軸253を用いて作動部材247の一端側と回転(揺動)自在に連結される。
【0101】
作動部材247は、金属材料を用いて板状に形成される。作動部材247の一端側は、
第3連結軸253を用いて第2連結部材246の他端側と回転(揺動)自在に連結され、
作動部材247の他端側は、一端側から下方へ延びるとともに、第4連結軸254を用い
て下側ブラケット220の下側連結部224と回転(揺動)自在に連結される。作動部材
247の中間部は、作動部材247が略三角形となるように一方に膨らんで、その頂部が
第5連結軸255を用いて上側ブラケット230の上側連結部234と回転(揺動)自在
に連結される。このとき、作動部材247は、上側ブラケット230が下側ブラケット2
20に対して対向配置されるように、下側連結部224と上側連結部234とに連結され
る。
【0102】
引っ張りバネ260は、一方の端部が第3連結軸253(すなわち、作動部材247の
一端側)に結合された第1バネ取り付けネジ261に取り付けられるとともに、他方の端
部が下側ブラケット220の側壁部223(下側連結部224の近傍)に結合された第2
バネ取り付けネジ262に取り付けられる。そして、引っ張りバネ260は、その弾性力
を利用して、リンク機構240の作動部材247に対し、上側ブラケット230が下側ブ
ラケット220から離れる方向へ付勢力を与える。
【0103】
第1スライド規制部材271は、金属材料を用いて板状に形成され、溶接等によりガイ
ドレール215の一方に隣接してベース部211の上面に結合(接合)される。第1スラ
イド規制部材271は、ガイドレール215の溝部分の一端を塞ぐように配置されており
、ガイドレール215の一方の端部までスライド移動した下側ブラケット220に当接し
、下側ブラケット220のスライド移動を規制するようになっている。
【0104】
第2スライド規制部材272は、金属材料を用いて板状に形成され、溶接等によりガイ
ドレール215の他方に隣接してベース部211の先端部(他方の端部)に結合(接合)
される。第2スライド規制部材272は、ガイドレール215の溝部分の他端を塞ぐよう
に配置されており、ガイドレール215の他方の端部までスライド移動した下側ブラケッ
ト220に当接し、下側ブラケット220のスライド移動を規制するようになっている。
【0105】
以上のように構成される第1の電線把持装置200Aを用いて、第1電線支持具40A
に支持された高圧線HW1を把持するには、まず、第1の電線把持装置200Aを第1四
面ローラ45Aに取り付ける。このとき、ベース部材210のベース取り付け部212を
ローラ保持部材55の底部(第1ローラ51の上)に取り付け、落下防止ピン216をベ
ース取り付け部212の貫通穴212aおよびローラ保持部材55のピン挿通穴(図示せ
ず)に挿通させる。
【0106】
次に、第1実施形態の場合と同様に、ブーム5の先端に取り付けられた仮支持装置20
を3本の高圧線HW1〜HW3の下方に移動させ、仮支持装置20のアーム部30を水平
位置から鉛直位置に回転させて、3本の高圧線HW1〜HW3がそれぞれ3つの電線把持
装置の下側ブラケットで受け止められるように位置調整を行う。このとき、下側ブラケッ
ト220の下側把持部221は、第1電線支持具40Aの第1四面ローラ45Aに支持さ
れた第1高圧線HW1を下側から受け止める。なお、第3実施形態においては予め、第1
高圧線HW1からの張力が下側ブラケット220(および上側ブラケット230)の他方
に向けて作用するように、第1の電線把持装置200Aの向き(具体的には、仮支持装置
20による支持方向もしくは電線把持装置200Aの取り付け方向)を調整する。
【0107】
次に、操作装置10の仮支持装置操作スイッチ(図示せず)を操作して、開いていた第
1四面ローラ45Aの先端部を閉じるように、第1四面ローラ開閉機構50Aを作動させ
る。このとき、第1四面ローラ開閉機構50Aにより第2ローラ52が揺動して間隙部K
を閉塞する(第2ローラ52に囲まれる部分を閉じる)と、図16(a)〜(b)に示す
ように、第2ローラ52が揺動部材241(ローラ当接部243)に当接するとともに、
第2ローラ52に押圧された揺動部材241および該揺動部材241と第1および第2連
結部材245,246を介して連結された作動部材247が引っ張りバネ260の付勢力
に抗して一方に揺動する。そして、作動部材247に連結された上側ブラケット230の
上側把持部231が下側ブラケット220の下側把持部221に近づき、第2ローラ52
からの押圧力を利用して上側ブラケット230の上側把持部231が下側ブラケット22
0の下側把持部221とともに第1高圧線HW1を把持する。
【0108】
このように、第1の電線把持装置200Aを用いて、第1電線支持具40A(第1四面
ローラ45A)に支持された第1高圧線HW1を把持することができる。なお、第2ロー
ラ52に押圧された揺動部材241(および作動部材247)が一方に揺動する際、下側
ブラケット220も一方に引っ張られてスライド移動し、第1スライド規制部材271に
当接した状態で停止する。すなわち、リンク機構240の各部材により、第2ローラ52
からの押圧力の一部が付勢力となって、第1および第2スライド規制部材271,272
によって規制されたスライド移動範囲における一方の端部位置に、下側ブラケット220
および上側ブラケット230が位置することになる。また、下側ブラケット220および
上側ブラケット230のスライド移動範囲は、下側ブラケット220の一方の端部が第1
スライド規制部材271に当接する位置から、下側ブラケット220の他方の端部が第2
スライド規制部材272に当接する位置までの範囲である。
【0109】
第1の電線把持装置200Aが電線(第1高圧線HW1)を把持する状態で、例えば、
切断された電線の修復作業中に、切断された電線同士を引き寄せるための工具(ストレイ
ンロッド等)が電線から外れて、電線からの比較的大きな張力が下側ブラケット220お
よび上側ブラケット230の他方に向けて作用すると、電線を把持した下側ブラケット2
20および上側ブラケット230は、図16(c)に示すように、一方の端部位置から他
方に(電線の延伸方向に)スライド移動し、下側ブラケット220が第2スライド規制部
材272に当接した状態で停止する。これにより、下側ブラケット220および上側ブラ
ケット230は、電線からの張力を緩和する方向へスライド移動することができる。また
、電線を把持した下側ブラケット220および上側ブラケット230が一方の端部位置か
ら他方へスライド移動すると、下側ブラケット220と連結された作動部材247が第1
および第2連結部材245,246に引っ張られるように一方に揺動するため、上側ブラ
ケット230が下側ブラケット220に近づいて電線を把持する力が増加する。そのため
、電線からの張力が下側ブラケット220および上側ブラケット230の他方に向けて作
用しても、電線を滑ることなく把持することができる。
【0110】
以上説明したように、第3実施形態によれば、下側ブラケット220および上側ブラケ
ット230が電線の延伸方向へスライド移動可能に構成されるとともに、第1および第2
スライド規制部材271,272によって規制されたスライド移動の範囲における一方の
端部位置に位置するように、下側ブラケット220および上側ブラケット230がリンク
機構240の各部材から付勢力を受けるため、電線を把持した下側ブラケット220およ
び上側ブラケット230は、第1および第2スライド規制部材271,272によって規
制された範囲で、電線からの張力を緩和する方向(第3実施形態の場合は一方の端部位置
から他方)へスライド移動することができ、仮支持装置20等に掛かる負荷を緩和するこ
とが可能になる。
【0111】
また、四面ローラ開閉機構50Aにより揺動される第2ローラ52からの押圧力を利用
して、リンク機構240で連結された上側ブラケット230が下側ブラケット220とと
もに電線を把持することが好ましく、このようにすれば、仮支持装置20の作動を利用し
て容易に電線を把持することができる。
【0112】
また、リンク機構240は、四面ローラ開閉機構50Aにより第2ローラ52が閉じる
と、第2ローラ52が揺動部材241に当接するとともに、第2ローラ52に押圧された
揺動部材241および該揺動部材241と第1および第2連結部材245,246を介し
て連結された作動部材247が一方に揺動して、作動部材247に連結された上側ブラケ
ット230が下側ブラケット220に近づき、第2ローラ52からの押圧力を利用して上
側ブラケット230が電線を下側ブラケット220とともに把持する構成であることが好
ましい。これにより、電線を把持した下側ブラケット220および上側ブラケット230
が一方の端部位置から他方へスライド移動すると、下側ブラケット220と連結された作
動部材247が第1および第2連結部材245,246に引っ張られるように一方に揺動
するため、上側ブラケット230が下側ブラケット220に近づいて電線を把持する力が
増加し、電線を滑ることなく把持することができる。
【0113】
また、上側ブラケット230が下側ブラケット220から所定間隔だけ離れるように付
勢力を与える引っ張りバネ260を備えることが好ましく、このようにすれば、四面ロー
ラ開閉機構50Aにより第2ローラ52が開いたときに、下側ブラケット220および上
側ブラケット230による電線の把持を容易に解除することができる。
【0114】
なお、第3実施形態に係る第1の電線把持装置200Aは、第2実施形態に係る第1の
電線把持装置100Aと同様の構成であるが、ベース部211およびガイドレール215
の長さが第2実施形態の場合よりも短くなっている。このように、第3実施形態では、第
1の電線把持装置200Aの全長が短いため、電線把持装置が取り付けられた電線支持具
(仮支持装置20)を電線(3本の高圧線HW1〜HW3)の下方に容易に移動させるこ
とができる。また、下側ブラケット220および上側ブラケット230のスライド移動範
囲を短く設定することで、下側ブラケット220が第2スライド規制部材272に当接す
る際の衝撃荷重(下側ブラケット220の運動エネルギーに基づく衝撃荷重)を低減させ
ることができる。
【0115】
なお、上述の第3実施形態において、引っ張りバネ等のブラケット付勢部材を下側ブラ
ケット220とベース部材210とに跨って設けるようにしてもよい。また、第1連結部
材245が棒状の剛性部材を用いて形成されているが、これに限られるものではなく、ワ
イヤ状の剛性部材であってもよく、また、剛性部材に代えて、バネ式ダンパーや引っ張り
コイルばね等の弾性部材をブラケット付勢部材として用いるようにしてもよい。
【0116】
また、上述の各実施形態において、四面ローラ開閉機構50A〜50Cにより揺動され
る第2ローラ52からの押圧力を利用して、平行リンク機構65(もしくはリンク機構1
40,240)で連結された上側ブラケットが下側ブラケットとともに電線を把持するよ
うに構成されているが、これに限られるものではなく、ネジ等の締結手段を用いて上側ブ
ラケットと下側ブラケットとを締結させることにより、電線を把持するようにしてもよい
。このようにすれば、仮支持工法車1以外の車両にも適用することができる。
【0117】
例えば、走行可能な車体と、車体上に配設されたブームと、ブームの先端に設けられた
作業台とを備えた高所作業車に適用することができ、この場合、作業台の縁部等に設けた
電線の支持具に、ネジ等の締結手段を用いて上側ブラケットと下側ブラケットとを締結さ
せる構成の電線把持装置を取り付けるようにすればよい。このとき、上述の第1実施形態
の場合と同様に、下側ブラケットおよび上側ブラケットが電線の延伸方向へスライド移動
可能に構成されるとともに、第1および第2スライド規制部材によって規制されたスライ
ド移動の範囲における中間位置に位置するように、下側ブラケットおよび上側ブラケット
が第1圧縮バネおよび第2圧縮バネから付勢力を受けるように構成されていれば、作業台
等に掛かる負荷を緩和することができる。また、上述の第2〜第3実施形態の場合と同様
に、下側ブラケットおよび上側ブラケットがスライド移動の範囲における一方の端部位置
に位置するようにしてもよい。
【0118】
また、上述の各実施形態において、四面ローラ開閉機構50A〜50C,50Gは、四
面ローラ45A〜45C,45Gの先端部(上部)に位置する第2ローラ52を揺動開閉
可能に構成されるが、これに限られるものではなく、例えば、第3ローラを揺動開閉可能
に構成されてもよい。この場合、例えば、電線把持装置を四面ローラにおける第2ローラ
の保持部に取り付けることができる。
【0119】
また、上述の各実施形態において、第1〜第3の電線把持装置(60A〜60C)によ
り3本の高圧線HW1〜HW3を把持しているが、これに限られるものではなく、第1〜
第3低圧線LW1〜LW3を把持することも可能である。
【0120】
また、上述の各実施形態において、仮支持装置20は、3つの電線支持具40A〜40
Cおよびグランドワイヤ支持具40Gを有して構成されているが、これに限られるもので
はなく、仮支持装置20が有する電線支持具は、1つであってもよく、複数であってもよ
い。
【0121】
また、上述の各実施形態において、ブラケット26およびアーム部30が首振り可能に
構成されているが、これに限られるものではなく、アーム部30がブーム5の先端より突
出した状態で固定されていてもよい。
【0122】
また、上述の各実施形態において、第1および第2アーム33,35が揺動可能に構成
されているが、これに限られるものではなく、略水平状態で固定されていてもよい。
【0123】
また、上述の各実施形態において、第1および第2アーム33,35が伸縮動可能に構
成されているが、これに限られるものではなく、3つの電線支持具40A〜40Cのピッ
チ間隔が3本の高圧線HW1〜HW3のピッチ間隔と同じになるように調整されていれば
、伸縮動しなくてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 仮支持工法車
2 車体
5 ブーム
20 仮支持装置
21 垂直ポスト
22 首振りモータ
26 ブラケット
27 回転モータ
30 アーム部
33 第1アーム
35 第2アーム
37 サブアーム
40A 第1電線支持具
40B 第2電線支持具
40C 第3電線支持具
40G グランドワイヤ支持具
45A 第1四面ローラ
45B 第2四面ローラ
45C 第3四面ローラ
45G 第4四面ローラ
50A 第1四面ローラ開閉機構
50B 第2四面ローラ開閉機構
50C 第3四面ローラ開閉機構
50G 第4四面ローラ開閉機構
51 第1ローラ
52 第2ローラ
53 第3ローラ
54 第4ローラ
60A 第1の電線把持装置(第1実施形態)
60B 第2の電線把持装置
60C 第3の電線把持装置
61 下側ブラケット
63 上側ブラケット
65 平行リンク機構
67 引っ張りバネ
70 第1スライド規制部材
80 第2スライド規制部材
91 第1圧縮バネ
92 第2圧縮バネ
100A 第1の電線把持装置(第2実施形態)
110 ベース部材
120 下側ブラケット
130 上側ブラケット
140 リンク機構
141 揺動部材
145 第1連結部材
146 第2連結部材
147 作動部材
160 引っ張りバネ
200A 第1の電線把持装置(第3実施形態)
210 ベース部材
220 下側ブラケット
230 上側ブラケット
240 リンク機構
241 揺動部材
242 第1連結部材
246 第2連結部材
247 作動部材
260 引っ張りバネ
P 電柱
GW グランドワイヤ
HW1 第1高圧線
HW2 第2高圧線
HW3 第3高圧線
LW1 第1低圧線
LW2 第2低圧線
LW3 第3低圧線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を支持可能な仮支持装置に取り付けられて前記仮支持装置に支持された前記電線を
把持する電線把持装置であって、
前記電線を支持可能な前記仮支持装置の支持部に取り付けられ、前記支持部に支持され
た前記電線を当該電線の下側で受け止めて前記支持部に対し前記電線の延伸方向へスライ
ド移動可能な下側ブラケットと、
前記下側ブラケットに対向して設けられ、前記支持部に支持された前記電線を前記下側
ブラケットとともに把持して前記スライド移動可能な上側ブラケットと、
前記下側ブラケットおよび前記上側ブラケットの前記スライド移動の範囲を規制するス
ライド規制部材と、
前記スライド規制部材によって規制された前記スライド移動の範囲における所定の基準
位置に前記下側ブラケットおよび前記上側ブラケットが位置するように付勢力を与えるブ
ラケット付勢部材とを備えて構成されることを特徴とする電線把持装置。
【請求項2】
前記所定の基準位置は、前記下側ブラケットおよび前記上側ブラケットの前記スライド
移動の範囲における一方の端部位置であり、
前記支持部は、前記支持部の底部に回転自在に設けられた第1ローラと、前記第1ロー
ラに対し所定の間隙部を有して略平行に対向配置され回転自在な第2ローラと、前記第1
ローラの一端側に前記間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第3ローラと、前
記第1ローラの他端側に前記間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第4ローラ
とを有し、
前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第3ローラ、および前記第4ローラに囲まれた
前記間隙部に前記電線を挿通させた状態で、前記電線を支持可能であるとともに、前記第
2ローラを揺動させる揺動開閉機構を利用して、前記間隙部を開口および閉塞可能に構成
されており、
前記第1ローラの上に取り付け固定されたベース部材と、
前記ベース部材に設けられるとともに前記上側ブラケットと前記下側ブラケットとに連
結され、前記揺動開閉機構が前記第2ローラを揺動させる力を利用して前記上側ブラケッ
トを前記下側ブラケットに近づけて、前記上側ブラケットおよび前記下側ブラケットに前
記支持部に支持された前記電線を把持させるリンク機構とを備え、
前記下側ブラケットが前記上側ブラケットとともに前記ベース部材に前記スライド移動
可能に取り付けられ、
前記リンク機構は、前記下側ブラケットが前記一方の端部位置から他方へスライド移動
すると、前記上側ブラケットが前記下側ブラケットに近づくように構成されることを特徴
とする請求項1に記載の電線把持装置。
【請求項3】
前記リンク機構は、前記ベース部材に前記一方に揺動可能に取り付けられて前記第2ロ
ーラが当接可能な揺動部材と、
一端側が前記揺動部材と連結されて前記スライド移動方向に沿って延びる連結部材と、
一端側が前記連結部材の他端側と連結されるとともに、他端側が前記下側ブラケットと
前記一方に揺動可能に連結され、中間部に前記上側ブラケットが連結された作動部材とを
有し、
前記揺動開閉機構により前記第2ローラが揺動して前記間隙部を閉塞すると、前記第2
ローラが前記揺動部材に当接するとともに、前記第2ローラに押圧された前記揺動部材お
よび該揺動部材と前記連結部材を介して連結された前記作動部材が前記一方に揺動して、
前記作動部材に連結された前記上側ブラケットが前記下側ブラケットに近づき、前記第2
ローラからの押圧力を利用して前記上側ブラケットが前記支持部に支持された前記電線を
前記下側ブラケットとともに把持するように構成されることを特徴とする請求項2に記載
の電線把持装置。
【請求項4】
前記連結部材は、前記一方の端部位置に前記下側ブラケットおよび前記上側ブラケット
が位置するように前記作動部材を介して付勢力を与える前記ブラケット付勢部材を有して
なることを特徴とする請求項3に記載の電線把持装置。
【請求項5】
前記上側ブラケットが前記下側ブラケットから所定間隔だけ離れるように付勢力を与え
るリンク付勢部材を備え、
前記揺動開閉機構により前記第2ローラが揺動して前記間隙部を閉塞すると、前記第2
ローラが前記揺動部材に当接するとともに、前記第2ローラに押圧された前記揺動部材お
よび該揺動部材と前記連結部材を介して連結された前記作動部材が前記リンク付勢部材の
付勢力に抗して前記一方に揺動して、前記作動部材に連結された前記上側ブラケットが前
記下側ブラケットに近づくことを特徴とする請求項3または4に記載の電線把持装置。
【請求項6】
前記所定の基準位置は、前記下側ブラケットおよび前記上側ブラケットの前記スライド
移動の範囲における中間位置であり、
前記支持部は、前記支持部の底部に回転自在に設けられた第1ローラと、前記第1ロー
ラに対し所定の間隙部を有して略平行に対向配置され回転自在な第2ローラと、前記第1
ローラの一端側に前記間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第3ローラと、前
記第1ローラの他端側に前記間隙部を介して略垂直に対向配置され回転自在な第4ローラ
とを有し、前記第1ローラ、前記第2ローラ、前記第3ローラ、および前記第4ローラに
囲まれた前記間隙部に前記電線を挿通させた状態で、前記電線を支持可能に構成されてお
り、
前記下側ブラケットが前記第1ローラの上で前記スライド移動可能に取り付けられるこ
とを特徴とする請求項1に記載の電線把持装置。
【請求項7】
前記支持部は、前記第2ローラを揺動させる揺動開閉機構を利用して、前記間隙部を開
口および閉塞可能に構成されており、
前記上側ブラケットと前記下側ブラケットとを平行に連結する平行リンク機構と、
前記上側ブラケットが前記下側ブラケットから所定間隔だけ離れるように付勢力を与え
る平行リンク付勢部材とを備え、
前記揺動開閉機構により前記第2ローラが揺動して前記間隙部を閉塞すると、前記第2
ローラが前記上側ブラケットに当接するとともに、前記第2ローラに押圧された前記上側
ブラケットが前記平行リンク付勢部材の付勢力に抗して前記下側ブラケットに近づき、前
記第2ローラからの押圧力を利用して前記上側ブラケットが前記支持部に支持された前記
電線を前記下側ブラケットとともに把持することを特徴とする請求項6に記載の電線把持
装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−239665(P2011−239665A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87676(P2011−87676)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000116644)株式会社アイチコーポレーション (168)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)