説明

電線需要供給管理システム及び電線需要供給管理方法

【課題】単位長さの電線又は/及び非単位長さの電線を有効に利用できるようにすると共に、当該電線を巻き付けたドラムの輸送コストを低減できるようにする。
【解決手段】電線需要拠点の所在情報と、次回の電線の配送要求情報とを入力すると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の残量情報を入力するパソコン#1等と、このパソコン#1等から上述の情報を受信する電線需要供給管理装置10とを備え、当該管理装置10は、電線需要拠点の配送要求情報に対応して非単位長さの電線の配送要求量を検出し、非単位長さの電線の配送要求量が検出された場合、当該配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の電線需要拠点を検索するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位長さの電線を巻き付けたドラム又は/及び非単位長さの電線を巻き付けたドラムを所在情報と配送要求情報とに基づいて複数の電線需要拠点へ配送する電線在庫最適利用システムに適用可能な電線需要供給管理システム及び電線需要供給管理方法に関する。
【0002】
詳しくは、電線在庫を最適に利用する場合であって、電線需要拠点の配送要求情報に対応して非単位長さの電線の配送要求量を検出し、非単位長さの電線の配送要求量が検出された場合、当該配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の電線需要拠点を検索して、非単位長さの電線を要求する電線需要拠点に最も近い非単位長さの電線を保有する電線需要拠点を抽出できるようすると共に、二以上の電線需要拠点間で非単位長さの電線を保有する電線需要拠点が電線供給拠点となって、その非単位長さの電線を要求する他の電線需要拠点に当該非単位長さの電線を融通できるようにしたものである。
【背景技術】
【0003】
従来から、電力設備等の工事分野では、単位長さの電線を巻き付けたドラム(以下電線ドラムという)を払出管理する資材センターが、例えば、統括中央の本部等に備えられる。一方、送電線工事や、地中ケーブル埋設工事、配電工事等の電力設備工事現場の前線基地として電線の需要拠点となる営業所が統括地域内に配置される場合が多い。この種の資材センターによれば、各営業所からの電線の配送要求量を受け付け、この配送要求量に応じた電線ドラムを配送することにより、電線需要供給管理を実行する場合が多い。
【0004】
この種の電線需要供給管理方法に関連して特許文献1には、電線使用管理装置及び電線使用管理プログラムが開示されている。この電線使用管理プログラムによれば、制御盤を製造する場合に、電線加工指示情報に含まれる電線の種別と使用量の実績値とを記憶し、在庫量に応じて自動的に電線を補充するようになされる。このようにプログラムを構成すると、電線の使用状況管理及び在庫管理を自動化できるというものである。
【0005】
また、特許文献2には、電線の物流システム、該物流システムにおける電線の管理出荷方法が開示されている。この物流システムによれば、当該システムの統括中央の本部等に物流管理用の情報処理装置を備え、当該装置内に物流管理台帳を構築し、営業所の端末装置から手配情報、倉庫における電線の在庫情報、その入庫予定情報、手配への引き当て情報を入力し、物流管理台帳で集中管理するようになされる。このようにシステムを構成すると、電線の受注から、引き当て、出荷に至るまで一貫して全体を統括できるというものである。
【0006】
【特許文献1】特開2004−021800号公報(第5頁 図5)
【特許文献2】特開2003−321122号公報(第8頁 図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来例に係る電線需要供給管理システム及び電線需要供給管理方法によれば、次のような問題がある。
【0008】
i.送電線工事や、地中ケーブル埋設工事、配電工事等に使用される電線機材は、1つのドラムに、数百メートル分の電線をロール状に巻いて保管され、かつ、メートル単位で払い出される場合が多く、このような電線機材の在庫管理は、他の資機材に比べて非常に管理が難しい。従って、この種の電線需要供給管理に関して、特許文献1に見られるような制御盤の製造に使用される電線の使用状況管理及び在庫管理の自動化手法をそのまま採ることが困難となっている。
【0009】
ii.しかも、電力会社等における電線の資機材管理によれば、電線メーカーから出荷された電線ドラムが資材センターで一時保管され、その資材センターから必要とする電線がドラム単位に各営業所に配送される場合が多い。例えば、1つの電力会社において、数十箇所の営業所が電線ドラムの配送先の対象となり、資材センターから出荷された配送先のドラム内の残量管理まで、本部で統合的に管理できていないのが現状である。
【0010】
因みに特許文献2に見られるような物流システムを採用しても、営業所等の配送先での電線ドラム内の残量を管理できていないため、近接する営業所間で電線ドラム内の電線残量を融通できるにも関わらず、その融通処理がなされていない。これにより、資材センターから営業所への電線ドラムの輸送コストの増加につながったり、電力会社全体での在庫電線量の増大(在庫資産の増大)を招く原因となるおそれがある。
【0011】
iii.なお、各営業所(以下電線需要拠点という)において、最終的に余った切断電線を資材センターで回収し、産業廃棄物として処理する考えもあるが、このような電線量が多くなると有効資源の無駄に繋がり兼ねない。
【0012】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、単位長さの電線又は/及び非単位長さの電線を有効に利用できるようにすると共に、当該電線を巻き付けたドラムの輸送コストを低減できるようにした電線需要供給管理システム及び電線需要供給管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決する本発明の電線需要供給管理システムは、単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報と配送要求情報とに基づいて二以上の電線需要拠点へ配送する電線需要供給管理システムであって、電線需要拠点の所在情報と、次回の電線の配送要求情報とを入力すると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の残量情報を入力する電線需要入力端末装置と、この電線需要入力端末装置から所在情報、配送要求情報及び残量情報とを受信する電線需要供給管理装置と、電線需要入力端末装置と電線需要供給管理装置とを接続する通信手段とを備え、電線需要供給管理装置は、電線需要拠点の配送要求情報に対応して非単位長さの電線の配送要求量を検出し、非単位長さの電線の配送要求量が検出された場合、当該配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の電線需要拠点を検索することを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る電線需要供給管理システムによれば、単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報と配送要求情報とに基づいて二以上の電線需要拠点へ配送する場合に、電線需要入力端末装置は、電線需要拠点の所在情報と、次回の電線の配送要求情報とを入力すると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の残量情報を入力する。電線需要入力端末装置は通信手段を介して電線需要供給管理装置に接続される。電線需要供給管理装置は、電線需要入力端末装置から所在情報、配送要求情報及び残量情報を受信する。これを前提にして、電線需要供給管理装置は、電線需要拠点の配送要求情報に対応して非単位長さの電線の配送要求量を検出し、非単位長さの電線の配送要求量が検出された場合、当該配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の電線需要拠点を検索するようになる。
【0015】
従って、非単位長さの電線を要求する電線需要拠点に最も近い非単位長さの電線を保有する電線需要拠点を抽出できるようになる。これにより、二以上の電線需要拠点間で非単位長さの電線を保有する電線需要拠点が電線供給拠点となって、その非単位長さの電線を要求する他の電線需要拠点に当該非単位長さの電線を融通できるようになる。
【0016】
本発明に係る電線需要供給管理方法は、単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報と配送要求情報とに基づいて二以上の電線需要拠点へ配送する電線需要供給管理方法であって、電線需要拠点の所在情報と、次回の電線の配送要求情報とを受け付けると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の残量情報を受け付けるステップと、受け付けられた電線需要拠点の配送要求情報に対応して非単位長さの電線の配送要求量を検出するステップと、検出された非単位長さの電線の配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の電線需要拠点を検索するステップとを有することを特徴とするものである。
【0017】
本発明に係る電線需要供給管理方法によれば、単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報と配送要求情報とに基づいて二以上の電線需要拠点へ配送する場合に、非単位長さの電線を要求する電線需要拠点に最も近い非単位長さの電線を保有する電線需要拠点を抽出できるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電線需要供給管理システム及び電線需要供給管理方法によれば、電線需要拠点の配送要求情報に対応して非単位長さの電線の配送要求量を検出し、非単位長さの電線の配送要求量が検出された場合、当該配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の電線需要拠点を検索するようになされる。
【0019】
この構成によって、非単位長さの電線を要求する電線需要拠点に最も近い非単位長さの電線を保有する電線需要拠点を抽出できるようになる。従って、二以上の電線需要拠点間で非単位長さの電線を保有する電線需要拠点が電線供給拠点となって、その非単位長さの電線を要求する他の電線需要拠点に当該非単位長さの電線を融通できるようになる。これにより、非単位長さの電線を有効に利用できると共に、その輸送コストを低減できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
続いて、この発明に係る電線需要供給管理システム及電線需要供給管理方法について、図面を参照しながら説明をする。
図1は、本発明に係る実施形態としての電線在庫最適利用システム100の構成例を示す図である。
図1に示す電線在庫最適利用システム100は、本発明に係る電線需要供給管理システムの一例を構成し、電線需要供給管理装置10、拠点Aパソコン#1、拠点Bパソコン#2、拠点Cパソコン#3・・・、及び、通信手段9等を有して構成される。電線在庫最適利用システム100では、単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報D1と配送要求情報D2とに基づいて二以上の電線需要拠点へ配送するようになされる。
【0021】
電線在庫最適利用システム100には、単位長さ、例えば、600mの長さの電線を所定のドラムに巻き付けた電線ドラム30が使用(流通)される。電線需要拠点とは、電力線、ケーブル線等の電線を電力(気)設備工事等で需要(使用)する電線配送先の場所(拠点)をいう。以下で、電線需要拠点については単に拠点A,B,C・・・という。拠点A,B,C等では、電力設備工事で必要とする電線の配送要求量(以下電線必要量という)を種類別に本部へ要求される。非単位長さの電線とは、単位長さ600mに満たない電線の長さをいう。例えば、電線の長さが50mや100m等の場合をいう。
【0022】
この例で、電線在庫最適利用システム100を統合管理(一元管理)する電力会社や電気事業所等の本部101には、電線需要供給管理装置10が備えられ、拠点A,B,Cからの所在情報D1、配送要求情報D2及び電線在庫情報D3を受信するようになされる。所在情報D1とは、電線配送先となる拠点A等の住所を示す情報をいう。配送要求情報D2とは、配送希望日や電線必要量等を示す情報をいう。電線在庫情報D3とは、前回の工事で余った電線の量(以下電線残量という)を示す情報をいう。電線残量は前回の電線配送量から電線使用量(電線必要量)を差し引いた値で示される。電線使用量とは工事で実際に使用した電線の量をいう。電線配送量とは、600m単位に電線ドラム30に巻き付けられた電線の量をいう。電線需要供給管理装置10には、上述の電線の量が算出可能なデスクトップ型やノート型のパーソナルコンピュータが使用される。
【0023】
電線需要供給管理装置10は、拠点A,B,C・・・の所在情報D1と、次回の電線の電線必要量とに基づいて非単位長さの電線を要求する拠点A,B,C・・・に最も近い非単位長さの電線を保有する拠点A,B,C・・・を検索する。例えば、拠点A,B,C・・・の配送要求情報D2に対応して非単位長さの電線の電線必要量を検出し、非単位長さの電線の電線必要量が検出された場合、当該電線必要量が検出された一方の拠点、例えば、拠点Bに最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の拠点、例えば、拠点Cを検索するようになされる。
【0024】
電線需要供給管理装置10はキーボード11、マウス12、制御部15、システムバス18、モニタ19、拠点データベース、電線在庫データベース、電線必要量データベース、車両データベース62、払出量計算手段40、融通量算定手段50及び車両配車支援手段60を有して構成される。
【0025】
制御部15は、図示しないROM(Read Only Memory)、ワーク用のRAM(Random Access Memory)、CPU(Central Processing Unit;中央処理ユニット)等を有して構成され、電源がオンされると、CPUはROMからRAMへシステムプログラムデータを読み出してシステムを起動し、当該装置全体を制御するようになされる。この例で図示しない不揮発メモリを備え、不揮発メモリには、払出量計算プログラムDP1、融通量算定プログラムDP2及び車両配車支援プログラムDP3が格納される。
【0026】
制御部15にはキーボード11やマウス12、モニタ19等が接続される。キーボード11やマウス12等は拠点A,B,Cからの所在情報D1、配送要求情報D2及び電線在庫情報D3を入力するように操作される。キーボード11を操作して入力される、数字や文字等の操作データD11は制御部15に入力される。マウス12を操作して入力され、又は指定される操作データD12も同様にして制御部15に入力される。
【0027】
制御部15はシステムバス18に接続される。システムバス18には拠点データベース42、電線在庫データベース52、電線必要量データベース53、車両データベース62が接続される。拠点データベース42は、第1の記憶装置の一例を構成し、当該拠点Aの所在情報D1を記憶する。例えば、拠点データベース42には、電力会社の管轄区内に存在する電線ドラム30を最終保有する営業所等の拠点情報や、該拠点間で近接する拠点同士の相関情報等を蓄積(登録)するように使用される。ここに拠点情報とは、電線を配送する先の拠点A等の住所や連絡先の住所情をいう。相関情報とは近隣の拠点間の離隔度合を示す距離情報等をいう。拠点情報や相関情報等は所在情報D1として、拠点データベース42に登録される。
【0028】
この例では、電線供給拠点の一例を構成する資材センター102が備えられ、単位長さの電線を巻き付けた電線ドラム30を供給する配送元の場所(拠点)を成している。資材センター102では、各拠点A,B,C等へ例えば、600m単位の電線をその種類別に供給される。電線は、600m毎にドラムに巻き付けられ、その電線ドラム30を流通するようになされる。ドラムに巻き付けられる電線は600mに限られることはなく、一定量であればよい。資材センター102から各拠点A,B,C等への電線ドラム30は、所定の大きさの車両(例えば、トラック70)で配送する。この場合、その拠点数は数十レベルであり、かつ、搬送ルートはほぼ決まっており、近隣の拠点数は予め4〜5箇所程度に設定される。なお、拠点数に関しては、膨大な配送先が存在しているわけではない。
【0029】
電線在庫データベース52は、第2の記憶装置の一例を構成し、当該拠点Aにおける電線の電線在庫情報D3を記憶する。例えば、電線在庫データベース52には、拠点A毎の電線ドラム30の使用状況(電線種類や在庫量等)を管理する際に使用される。この例では、電線在庫データベース52には、毎日一回以上の頻度で、各拠点A等で使用した分量が記述され、各拠点A等における電線ドラム30の在庫量が登録される。
【0030】
電線必要量データベース53は、第3の記憶装置の一例を構成し、当該拠点Aにおける次回の電線の配送要求情報D2を記憶する。例えば、電線必要量データベース53には、次回配送時に拠点毎に必要とされる電線の種類と量(メートル数)を登録するようになされる。各拠点A,B,C等では、例えば、次回のトラック配送で、どの種類の電線ドラム30を何m必要かという情報(次回電線必要量)を、各拠点のパソコン#1等から次回配送に間に合うタイミングで、電線必要量データベース53に登録するようになされる。
【0031】
この例で、資材センター102から各拠点A,B,C等へのトラック70は、週に1回、電線ドラム30を配送するようになされる。その機会に電線在庫データベース52を参照すると、該当拠点A等で今後の工事計画で電線がどのくらいの量が必要となるかを示す電線必要量も推定するようになされる。各拠点A,B,C等では、日々の工事で、例えば、600m巻き電線ドラム30から、何m単位に電線切り出して使用したかを各拠点のパソコン#1等を経由して電線在庫データベース52に、その電線使用量を登録するようになされる。
【0032】
車両データベース62は、第4の記憶装置の一例を構成し、電線の輸送に関する車両情報D4を記憶する。例えば、車両データベース62には、電線ドラム30の配送に使用するトラック70の最大搭載量や燃費等の車両情報D4が登録される。拠点データベース42、電線在庫データベース52、電線必要量データベース53及び車両データベース62には各々ハードディスク(HDD)装置が使用される。もちろん、1台の大容量のハードディスクのメモリ領域を4つのデータベース領域に分けて使用するようにしてもよい。
【0033】
上述の制御部15にはモニタ19が接続され、拠点データベース42から読み出された所在情報D1、電線在庫データベース52から読み出された電線在庫情報、電線必要量データベース53から読み出された配送要求情報D2、車両データベース62から読み出された車両情報D4に基づく、各々の表示データD19が出力される。モニタ19では、拠点データベース42が参照されると、表示データD19に基づいて拠点Aの拠点コード、拠点名、所在地、TEL、近隣の拠点情報を表示する。
【0034】
電線在庫データベース52が参照された場合は、拠点コード、電線種類、初期量、残量等を表示する。電線必要量データベース53が参照された場合は、拠点コード、電線種類、必要量、必要日等を表示する。車両データベース62が参照された場合は、車両コード、車両番号、メーカー、最大積載量、平均燃費等を表示するようになされる。モニタ19には液晶表示パネルや、PDP表示パネル、CRT等が使用される。
【0035】
また、電線需要供給管理装置10は、払出量計算プログラムDP1とメモリ41とを有する払出量計算手段40と、融通量算定プログラムDP2とメモリ51とを有する融通量算定手段50と、車両配車支援プログラムDP3とメモリ61とを有する車両配車支援手段60とを備え、各々の手段40,50,60が制御部15の演算機能を共有するものである。
【0036】
払出量計算手段40は第1の計算手段の一例を構成し、単位長さの電線を供給する資材センター102から払い出される電線の払出量を算出する。例えば、払出量計算手段40は、払出量計算プログラムDP1をメモリ41に展開し、キーボード11やマウス12等から入力した操作データD11、D12に基づいて払出量計算処理を実行する。
【0037】
この例では、各拠点A等から要求があった、次回の工事で必要とされる電線必要量をキーボード11やマウス12等を使用して入力し、払出量計算プログラムDP1に基づいて、近接拠点A,B,C・・・の電線在庫を加味した上で、次回配送時に、資材センサーの電線ドラム30在庫から払い出す電線ドラム30の数を制御部15の演算器等が算出する。電線ドラム30には所望の種類の電線が単位長さ(600m)で巻き付けられている。このように、メモリ41、制御部15及び払出量計算プログラムDP1により、払出量計算手段40を構成するようになる。
【0038】
融通量算定手段50は、第2の計算手段の一例を構成し、近接拠点間での在庫電線の融通量を算定する。例えば、融通量算定手段50は、融通量計算プログラムDP2をメモリ51に展開し、キーボード11やマウス12等から入力した操作データD11、D12に基づいて融通量計算処理を実行する。
【0039】
この例では、制御部15が近隣の拠点情報を統合し、拠点間で融通し合える電線在庫がないかを確認する。これにより、一方の拠点、例えば、拠点Aと他方の拠点、例えば、拠点Bとの間で融通される電線融通量を算定できるようになる。この例で、融通し合える電線在庫が存在した場合には、制御部15は拠点間での融通を優先的にその配車順位を決定する。このように、メモリ51、制御部15及び融通量計算プログラムDP2により、融通量算定手段50を構成するようになる。
【0040】
車両配車支援手段60は、車両データベース62から読み出した車両情報D4に基づいて電線積載量と電線荷下量から、トラック70等の車両を配車支援するようになされる。例えば、車両配車支援手段60は、車両配車支援プログラムDP3をメモリ61に展開し、キーボード11やマウス12等から入力した操作データD11、D12に基づいて車両配車支援計算処理を実行する。この例では、資材センター102と拠点A,B,C・・と間や、拠点Aと拠点Bとの間、拠点Bと拠点Cとの間、拠点Aと拠点Cとの間等の配車計画を立てる計算処理を実行する。
【0041】
車両配車支援手段60は、払出量計算手段40と融通量算定手段50の結果を受けて必要最低限の電線資材等を配送できるよう車両を手配するように支援される。この例で、車両配車支援手段60は、電線ドラム30を供給する資材センター102から各々の拠点A,B,C・・・への電線の供給量と、拠点A,B,C・・・間で融通される電線の融通量とを想定して車両を配車支援するようになされる。このように、メモリ61、制御部15及び車両配車支援プログラムDP3により、車両配車支援手段60を構成するようになり、電線在庫最適利用システム100に適用可能な電線需要供給管理装置10を構成できるようになる。
【0042】
また、拠点Aには、電線需要入力端末装置の一例を構成する拠点Aパソコン#1が備えられ、当該拠点Aにおける所在情報D1と、次回の電線の配送要求情報D2とを入力すると共に、前回配送され使用(需要)しきれずに残った非単位長さの電線の電線在庫情報D3を入力するように操作される。拠点Bには拠点Bパソコン#2が備えられ、拠点Cには拠点Cパソコン#3が各々備えられ、拠点Aパソコン#1と同様な機能をするように操作される。拠点Aパソコン#1〜拠点Cパソコン#3にはデスクトップ型又はノート型のパーソナルコンピュータが使用される。
【0043】
各々の拠点Aパソコン#1、拠点Bパソコン#2、拠点Cパソコン#3は通信モデム91を介して通信手段9に接続される。通信手段9には公衆電話回線や、マイクロ波通信回線、インターネット等の通信網が使用される。通信手段9には通信モデム91を介して本部101の電線需要供給管理装置10に接続される。これにより、拠点Aのパソコン#1や、拠点Bのパソコン#2、拠点Cのパソコン#3等と本部101の電線需要供給管理装置10とを通信手段9を介して通信処理できるようになる。
【0044】
各々の拠点Aパソコン#1、拠点Bパソコン#2、拠点Cパソコン#3はキーボード21、マウス22、制御部25及びモニタ29を有して構成される。制御部25にはキーボード21やマウス22、モニタ29等が接続される。キーボード21やマウス22等は当該拠点Aから本部101への所在情報D1、配送要求情報D2及び電線在庫情報D3を入力するように操作される。キーボード21を操作して入力される、数字や文字等の操作データD21は制御部25に入力される。マウス22を操作して入力され、又は指定される操作データD22も同様にして制御部25に入力される。
【0045】
図2は、拠点データベース42へのデータ格納例を示す図である。図2に示す拠点データベース42へのデータ格納例によれば、拠点A,B,C等の所在情報D1が記憶される。例えば、拠点データベース42には、電力会社の管轄区内に存在する電線ドラム30を最終保有する営業所等の拠点情報や、該拠点間で近接する拠点同士の相関情報等を蓄積(登録)するようになされる。
【0046】
この例で、拠点データベース42には、拠点コード、拠点名、所在地、TEL、近隣の拠点情報を記述する記述欄が設けられる。拠点コードには、「12345」が記述され、拠点名には「拠点A」が記述され、所在地には、「〒*****○○県○○市○○・・・」が記述され、TELには、「********」が記述され、近隣の拠点には「12346」や、「12347」、「12349」の拠点コードが記述される。これにより、所在情報D1に基づく表示データD19により、拠点Aの拠点コード、拠点名、所在地、TEL、近隣の拠点情報をモニタ19に表示できるので、拠点データベース42を自由に参照できるようになる。
【0047】
図3は、電線在庫データベース52におけるデータ格納例を示す図である。図3に示す電線在庫データベース52へのデータ格納例によれば、拠点A,B,C等の電線残量を示す電線在庫情報D3が記憶される。電線在庫データベース52には、電線残量の他に拠点毎の電線ドラム30の使用状況(電線種類や在庫量等)を登録するようになされる。この例で、電線在庫データベース52には、拠点コード、電線種類、初期量(m)、残量(m)・・・・等を記述する記述欄が設けられる。拠点コードには、「12345」が記述され、電線種類には「ABC−0001」が記述され、この電線種類に対応して初期量には「600」が記述され、その残量には「200」が各々記述される。同コードの電線種類には、「ABC−0002」が記述され、この電線種類に対応して初期量には「400」が記述され、その残量には「100」が各々記述される。同コードの電線種類には、「ADF−0010」が記述され、その初期量には「600」が記述され、その残量には「550」が記述される。
【0048】
拠点コード「12346」には、その電線種類に「ABC−0001」が記述され、これに対応して初期量に「600」が記述され、その残量には「400」が各々記述される。同コードの電線種類「ABC−0002」に対応して初期量に「400」が記述され、その残量には「300」が各々記述される。同コードの電線種類「ADF−0010」の初期量には「600」が記述され、その残量には「50」が記述される。同コードの電線種類「ADF−0011」に対応して初期量に「500」が記述され、その残量には「100」が各々記述される。
【0049】
拠点コード「12347」には、その電線種類に「ABC−0001」が記述され、これに対応して初期量に「600」が記述され、その残量には「100」が各々記述される。同コードの電線種類「ABC−0005」に対応して初期量に「400」が記述され、その残量には「250」が各々記述される。同コードの電線種類「ADF−0010」の初期量には「600」が記述され、その残量には「500」が記述される。同コードの電線種類「ADF−0011」に対応して初期量に「600」が記述され、その残量には「300」が各々記述される。
【0050】
これにより、電線在庫(残量)情報に基づく表示データD19により、拠点コード、電線種類、初期量(m)、残量(m)等をモニタ19に表示できるので、電線在庫データベース52を自由に参照できるようになる。
【0051】
図4は、電線必要量データベース53におけるデータ格納例を示す図である。図4に示す電線必要量データベース53へのデータ格納例によれば、拠点A,B,C等における次回の電線の配送要求情報D2が記憶される。例えば、電線必要量データベース53には、次回配送時に拠点毎に必要とされる電線の種類と量(メートル数)を登録するようになされる。電線必要量データベース53には拠点コード、電線種類、必要量(m)、必要日等を記述する記述欄が設けられる。必要量の記述欄には、その週に該当拠点での作業に使用する電線量を入力するようになされ、在庫補充量ではない。これは、電線の使用量を入力しておくことで、他の近隣の拠点に、該当電線を移送される事態を防止できるようになる。
【0052】
拠点コード「12345」には、その電線種類に「ABC−000l」が記述され、その必要量(m)には、「1000」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。同拠点コードの電線種類「ABC−0002」の必要量には「600」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。同拠点コードの電線種類「ADF−0010」の必要量には「300」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。
【0053】
更に、拠点コード「12346」には、その電線種類に「ABC−0002」が記述され、その必要量(m)には、「200」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。同拠点コードの電線種類「ADF−0010」の必要量には「2000」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。同拠点コードの電線種類「ADF−0011」の必要量には「200」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。
【0054】
更に、拠点コード「12347」には、その電線種類に「ABC−0001」が記述され、その必要量(m)には、「2000」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。同拠点コードの電線種類「ABC−0005」の必要量には「100」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。同拠点コードの電線種類「ADF−0001」の必要量には「150」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。
【0055】
これにより、配送要求情報D2に基づく表示データD19により、拠点コード、電線種類、必要量(m)、必要日等をモニタ19に表示できるので、電線必要量データベース53を自由に参照できるようになる。
【0056】
図5は、車両データベース62におけるデータ格納例を示す図である。図5に示す車両データベース62へのデータ格納例によれば、電線の輸送に関する車両情報D4が記憶される。例えば、車両データベース62には、車両コード、車両番号、メーカ名称、車両番号、最大搭載量(kg)及び平均燃費(km/l)等の記述欄が設けられる。
【0057】
この例で、車両コードに「0001」〜「0005」が記述され、車両コード「0001」の車両番号には「****」が記述され、その最大搭載量(kg)には、「10,000」が記述され、平均燃費(km/l)には図示せずも「2.0」が記述される。車両コード「0002」の車両番号には「****」が記述され、その最大搭載量(kg)には、「4,000」が記述され、平均燃費(km/l)には「4.0」が各々記述される。これにより、車両情報D4に基づく表示データD19により、車両コード、車両番号、メーカ名称、車両番号、最大搭載量(kg)及び平均燃費(km/l)等をモニタ19に表示できるので、車両データベース62を自由に参照できるようになる。
【0058】
続いて、本発明に係る電線需要供給管理方法について、電線在庫最適利用システム100における情報処理例について説明をする。図6及び図7は、払出量計算手段40における情報処理例を示すフローチャートである。
【0059】
この実施例では、単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報D1と配送要求情報D2とに基づいて複数の拠点A,B,C・・・へ配送する場合を前提とする。つまり、営業所など電線ドラム30の最終拠点での電線在庫も、本部101で統合管理し、近接する営業所間での電線ニーズに対して相互融通することで、最適な物流システムを構築できるようにする。なお、拠点に残った中途半端な電線は、近接する他の拠点で利用可能とわかると、当該拠点間で残量電線を活用する場合を例に挙げる。
【0060】
これらを情報処理条件にして、図6に示すフローチャートのステップST1〜ST7で、拠点A,B,C・・・の所在情報D1と、次回の電線の配送要求情報D2との受け付け処理を実行する。この配送要求情報D2の受け付け処理に当たって、払出量計算手段40が起動される。例えば、制御部15は払出量計算プログラムDP1をメモリ41に展開し、キーボード11やマウス12等から入力した操作データD11、D12及びメモリ41に展開された払出量計算プログラムDP1に基づいて払出量計算処理を実行する。
【0061】
この例では、制御部15が配送要求情報D2としてステップST1で次回配送用の電線必要量を受け付け処理を実行する。例えば、拠点Aパソコン#1は、当該拠点Aの所在情報D1と、次回の電線の配送要求情報D2とを入力すると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の電線在庫情報D3を入力し、通信手段9を介して電線需要供給管理装置10に送信される。
【0062】
同様にして、拠点Bパソコン#2は、当該拠点Bの所在情報D1と、次回の電線の配送要求情報D2とを入力すると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の電線在庫情報D3を入力し、通信手段9を介して電線需要供給管理装置10に送信される。拠点Cパソコン#3は、当該拠点Bの所在情報D1と、次回の電線の配送要求情報D2とを入力すると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の電線在庫情報D3を入力し、通信手段9を介して電線需要供給管理装置10に送信される。
【0063】
次に、ステップST2で次回配送用の電線必要量及び電線残量を一拠点毎に取得処理を実行する。その後、ステップST3で制御部15は次回配送先すべての拠点からの配送要求の受付けを終了したかを確認する。次回配送先のすべての拠点からの配送要求の受け付けを終了していない場合は、ステップST4に移行して配送先拠点の電線の種類を受け付け処理を実行する。その後、ステップST5で制御部15は、次回配送先すべての線種の取得処理を終了したかを確認する。次回配送先すべての線種の取得処理を終了していない場合は、ステップST6に移行する。
【0064】
そして、ステップST6で制御部15は、該拠点の近隣の拠点コードの取得処理を実行する。ここで取得処理した拠点A,B,C等の所在情報D1は、図2に示した拠点データベース42に格納される。拠点データベース42では、所定の記述欄に拠点コード、拠点名、所在地、TEL、近隣の拠点情報が記述される。例えば、拠点コードには、「12345」が記述され、拠点名には「拠点A」が記述され、所在地には、「〒*****○○県○○市○○・・・」が記述され、TELには、「********」が記述され、近隣の拠点には「12346」や、「12347」、「12349」の拠点コードが記述される。
【0065】
その後、図7のステップST7で制御部15は、すべての近隣拠点の拠点コードを取得したかを確認する。すべての近隣拠点の拠点コードを取得した場合は、ステップST5に戻る。すべての近隣拠点の拠点コードを取得していない場合は、ステップST8に移行する。ステップST8で制御部15は当該近隣拠点の配送要求情報D2を受け付け処理する。
【0066】
ここで受け付け処理された拠点A,B,C等における次回の配送要求情報D2は、電線必要量データベース53に記憶される。例えば、次回配送時に拠点毎に必要とされる電線の種類と量(メートル数)を登録するようになされる。図4に示した電線必要量データベース53によれば、拠点コード「12345」には、その電線種類に「ABC−000l」が記述され、その必要量(m)には、「1000」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。
【0067】
同拠点コードの電線種類「ABC−0002」の必要量には「600」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。同拠点コードの電線種類「ADF−0010」の必要量には「300」が記述され、その必要日には「20060509」が各々記述される。これと共に、制御部15は、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の電線在庫情報D3を受け付け処理する。
【0068】
ここで受け付け処理された拠点A,B,C等の電線在庫(残量)情報が電線在庫データベース52に記憶される。図3に示した電線在庫データベース52によれば、拠点コードには、「12345」が記述され、電線種類には「ABC−0001」が記述され、この電線種類に対応して初期量には「600」が記述され、その残量には「200」が各々記述される。
【0069】
同コードの電線種類には、「ABC−0002」が記述され、この電線種類に対応して初期量には「400」が記述され、その残量には「100」が各々記述される。同コードの電線種類には、「ADF−0010」が記述され、その初期量には「600」が記述され、その残量には「550」が記述される。
【0070】
次に、ステップST9で制御部15は、該近隣拠点の中に余剰電線があるかを検索する。このとき、上述のステップST8で受け付け処理された拠点A,B,C・・・の配送要求情報D2に対応して非単位長さの電線の電線必要量を検出する。ここで制御部15は、検出された非単位長さの電線の電線必要量が検出された一方の拠点A,B,C・・・に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の拠点A,B,C・・・を検索する。
【0071】
近隣拠点の中に余剰電線があるか否かの検索処理をすべて終了していない場合は、ステップST7に戻って上述の検索処理を繰り返すようになされる。ステップST7ですべての近隣拠点を検索処理していない場合は、ステップST8の近隣拠点の配送要求情報D2を受け付け処理を実行し、その後、ステップST9に移行して近隣拠点の中に余剰電線があるかを再検索し、近隣拠点の中に余剰電線があることが検索された場合は、ステップST10に移行する。
【0072】
ステップST10で制御部15は、近隣拠点から当該拠点へ融通する電線の融通必要量の算定処理を実行する。融通量算定手段50では、近接拠点間、例えば、拠点Aから拠点Bへ融通する在庫電線の融通必要量が算定される。このとき、融通量算定手段50は、融通量計算プログラムDP2をメモリ51に展開し、キーボード11やマウス12等から入力した操作データD11、D12に基づいて融通量計算処理を実行する。その後、図6に示したステップST5に戻る。
【0073】
なお、ステップST5で次回配送先すべての線種の取得処理を終了した場合は、ステップST3に戻る。ステップST3で次回配送先すべての拠点の受け付け処理を終了した場合は、ステップST11に移行する。ステップST11で制御部15は拠点間で電線の融通ができなかった電線必要量を取得処理をする。その後、ステップST12で制御部15は拠点間における車両の配送計画を作成するようになされる。このとき、車両配車支援手段60が起動される。この起動によって、制御部15は、資材センター102と拠点A,B,C・・と間や、拠点Aと拠点Bとの間、拠点Bと拠点Cとの間、拠点Aと拠点Cとの間等の配車計画を立てる計算処理を実行するようになる。
【0074】
図8及び図9は、車両配車支援手段60における情報処理例(その1,2)を示すフローチャートである。
この実施例では、払出量計算手段40と融通量算定手段50の結果を受けて必要最低限の電線資材を配送できるよう車両を手配支援する場合を前提とする。この例では、電線ドラム30を供給する資材センター102から各々の拠点A,B,C・・・への電線の供給量と、拠点A,B,C・・・間で融通される電線の融通量とを想定して車両を配車支援する場合を例に採る。
【0075】
これらを情報処理条件にして、車両配車支援手段60では、車両配車支援プログラムDP3がメモリ61に展開され、キーボード11やマウス12等から入力した操作データD11、D12に基づいて制御部15が車両配車支援計算処理を実行する。例えば、図7に示すフローチャートのステップST21で制御部15は次回資材センター102から各拠点へ配送する電線必要量を取得する。例えば、電線必要量データベース53を参照し、当該拠点における次回の電線の配送要求情報D2が読み出される。電線必要量データベース53に登録されている次回配送時に拠点毎に必要とされる電線の種類と量(メートル数)が確認される。
【0076】
次に、ステップST22で制御部15は配送先拠点及びその近隣拠点の所在情報D1を収集する。このとき、拠点データベース42を参照して配送先拠点及びその近隣拠点の所在情報D1が読み出される。
【0077】
その後、ステップST23で制御部15は資材センター102から配送する電線ドラム30の数量を算出する。このとき、電線必要量データベース53を参照して配送要求情報D2に基づく電線ドラム30の数量が算出される。
【0078】
次に、ステップST24で制御部15は拠点間で融通かつ車両搭載可能な電線ドラム30の数量を算出する。このとき、電線在庫データベース52を参照して電線在庫(残量)情報に基づく電線ドラム30の数量が算出される。電線在庫データベース52では、電線ドラム30の使用状況(電線種類や在庫量等)が拠点毎に管理されている。
【0079】
その後、ステップST25で制御部15は資材センター102拠点間及び各拠点間における車両最大搭載時の電線ドラム30の数量(以下最大積載ドラム数という)を区間毎に算出する。このとき、車両配車支援手段60では、車両データベース62から読み出した車両情報D4に基づいて電線ドラム30積載量と電線ドラム30荷下し量から車両を配車支援するようになされる。
【0080】
そして、ステップST26で制御部15は最大積載ドラム数が可能な車両を選定する。このとき、車両データベース62を参照して、最大搭載量や燃費等の車両情報D4に基づく最適積載量の車両が選定され、電線ドラム30の配送に使用するトラック70等を配車できるようになる。
【0081】
その後、ステップST27で制御部15は資材センター102から最初の拠点へ至る区間に選定された該車両に搭載する電線ドラム30を定義する。そして、ステップST28で制御部15は最初の拠点の所在情報D1とその近隣拠点の所在情報D1とを取得する。このとき、拠点データベース42を参照して、所在情報D1も基づく最初の拠点とその近隣拠点の拠点コードが取得される。次に、ステップST29で制御部15はすべての近隣拠点の拠点コードの取得処理を実行したかを確認する。
【0082】
すべての近隣拠点の拠点コードの取得処理を実行していない場合は、ステップST30に移行する。ステップST30で制御部15は該近隣拠点で荷下ろし(卸し)する電線資材を定義する。電線資材は、非単位長さの電線や、その他の電設部材等である。
【0083】
そして、ステップST31で制御部15は該近隣拠点で別の近隣拠点用に搭載する電線資材を定義する。これは非単位長さの電線の電線必要量が検出された一方の拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の拠点との間で電線資材を融通するためである。その後、ステップST28に戻って、最初の拠点と、その近隣拠点の所在情報D1を取得するようになる。なお、ステップST29で制御部15はすべての近隣拠点の拠点コードの取得処理を実行した場合は車両配車支援処理を終了する。
【0084】
このように、実施形態としての電線在庫最適利用システム及び電線需要供給管理方法によれば、単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報D1と配送要求情報D2とに基づいて二以上の拠点A,B,C・・・へ配送する場合に、電線需要供給管理装置10は、拠点Aパソコン#1〜拠点Cパソコン#3等から所在情報D1、配送要求情報D2及び電線在庫情報D3を受信し登録する。
【0085】
これを前提にして、電線需要供給管理装置10は、拠点A,B,C・・・の配送要求情報D2に対応して非単位長さの電線の電線必要量を検出し、非単位長さの電線の電線必要量が検出された場合、当該電線必要量が検出された一方の拠点A,B,C・・・に最も近く、かつ、当該非単位長さの電線を保有する他方の拠点A,B,C・・・を検索するようになる。
【0086】
従って、非単位長さの電線を要求する拠点Aに最も近い非単位長さの電線を保有する拠点B又はC等を抽出できるようになる。これにより、二以上の拠点A,B,C・・・間で非単位長さの電線を保有する拠点A,B又はCが電線供給拠点となって、その非単位長さの電線を要求する他の拠点A,B又はC・・・に当該非単位長さの電線を融通できるようになる。
【0087】
ここに具体例を示す。仮に拠点Aと拠点Bが近接していた場合であって、拠点Aには現在、100mの電線残量が存在し、次回の工事では、1,000mの電線が必要な場合である。この場合、電線ドラム30は600m巻きなので、拠点Aは、2個の電線ドラム30が必要となる。
【0088】
また、B拠点には、現在の50mの電線残量が存在し、次回の工事て100mの電線が必要な場合である。この場合、電線ドラム30は600m巻きなので、拠点Bは、1個の電線ドラム30が必要な場合を想定したとき、従来方式であれば、資材センター102で1台のトラック70に3個の電線ドラム30を載せて拠点Aへ搬送し、そこでドラム2個を荷下ろし、さらに、B拠点へ搬送し、そこで電線ドラム301個を荷下ろしていた。
【0089】
これに対して、本発明の電線在庫最適利用システム100を適用すると、資材センター102で1台のトラック70に2個の電線ドラム30を載せて拠点Aへ搬送し、そこで2個を荷下ろし、A拠点にある100m残量の電線ドラム30をトラック70に載せ、それをB拠点に搬送して荷下しすればよくなる。これによリ、ドラム3個を積載するトラック70の大きさを電線ドラム302個を積載可能な小型のトラック70を配車すればよくなるし、当該トラック70の燃費の改善にも繋がり、CO2の発生を低減できるようになる。
【0090】
また、100mという中途半端な電線切断在庫(余剰分)の有効利用にも繋がる。このような近接拠点を当該システム適用区域内に3〜4箇所設置することで、残量電線(非単位長さの電線)を有効に利用できるようになると共に、トラック70の有効活用及び最適経路が選択できることから、その輸送コストを低減できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、単位長さの電線を巻き付けたドラム又は/及び非単位長さの電線を巻き付けたドラムを所在情報と配送要求情報とに基づいて複数の電線需要拠点へ配送する電線在庫最適利用システムに適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係る実施形態としての電線在庫最適利用システム100の構成例を示す図である。
【図2】拠点データベースへのデータ格納例を示す図である。
【図3】電線在庫データベースへのデータ格納例を示す図である。
【図4】電線必要量データベースへのデータ格納例を示す図である。
【図5】車両データベースへのデータ格納例を示す図である。
【図6】払出量計算手段における情報処理例(その1)を示すフローチャートである。
【図7】払出量計算手段における情報処理例(その2)を示すフローチャートである。
【図8】車両配車支援手段における情報処理例(その1)を示すフローチャートである。
【図9】車両配車支援手段における情報処理例(その2)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
#1〜#3・・・パーソナルコンピュータ(パソコン:電線需要入力端末装置)、9・・・通信手段、10・・・電線需要供給管理装置、11,21・・・キーボード、12,22・・・マウス、15・・・制御部、19,29・・・モニタ、30・・・電線ドラム、40・・・払出量計算手段、41,51,61・・・メモリ、42・・・拠点データベース、50・・・融通量算定手段、52・・・電線在庫データベース、53・・・電線必要量データベース、60・・・車両配車支援手段、62・・・車両データベース、91・・・通信モデム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報と配送要求情報とに基づいて二以上の電線需要拠点へ配送する電線需要供給管理システムであって、
前記電線需要拠点の所在情報と、次回の電線の配送要求情報とを入力すると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の残量情報を入力する電線需要入力端末装置と、
前記電線需要入力端末装置から前記所在情報、前記配送要求情報及び残量情報とを受信する電線需要供給管理装置と、
前記電線需要入力端末装置と電線需要供給管理装置とを接続する通信手段とを備え、
前記電線需要供給管理装置は、
前記電線需要拠点の配送要求情報に対応して前記非単位長さの電線の配送要求量を検出し、
前記非単位長さの電線の配送要求量が検出された場合、当該配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの前記電線を保有する他方の電線需要拠点を検索することを特徴とする電線需要供給管理システム。
【請求項2】
前記電線需要拠点の所在情報を記憶する第1の記憶装置と、
前記電線需要拠点における電線の残量情報を記憶する第2の記憶装置と、
前記電線需要拠点における次回の電線の配送要求情報を記憶する第3の記憶装置とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線需要供給管理システム。
【請求項3】
前記電線需要供給管理装置は、
前記単位長さの電線を供給する電線供給拠点から払い出される電線の払出量を算出する第1の計算手段と、
一方の前記電線需要拠点と他方の電線需要拠点との間で融通される電線の融通量を算定する第2の計算手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線需要供給管理システム。
【請求項4】
前記電線の輸送に関する車両情報を記憶する第4の記憶装置と、
前記第4の記憶装置から読み出した車両情報に基づいて電線積載量と電線荷下量から車両を配車支援する車両配車支援手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電線需要供給管理システム。
【請求項5】
前記車両配車支援手段は、
前記単位長さの電線を供給する電線供給拠点から各々の電線需要拠点への電線供給量と、
前記電線需要拠点間で融通される電線融通量とを想定した車両を配車支援することを特徴とする請求項4に記載の電線需要供給管理システム。
【請求項6】
単位長さの電線又は/及び当該単位長さに満たない非単位長さの電線を所在情報と配送要求情報とに基づいて二以上の電線需要拠点へ配送する電線需要供給管理方法であって、
前記電線需要拠点の所在情報と、次回の電線の配送要求情報とを受け付けると共に、前回配送され使用しきれずに残った非単位長さの電線の残量情報を受け付けるステップと、
受け付けられた前記電線需要拠点の配送要求情報に対応して前記非単位長さの電線の配送要求を検出するステップと、
検出された前記非単位長さの電線の配送要求量が検出された一方の電線需要拠点に最も近く、かつ、当該非単位長さの前記電線を保有する他方の電線需要拠点を検索するステップとを有することを特徴とする電線需要供給管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−305252(P2008−305252A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153018(P2007−153018)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(507055914)株式会社エネルギア・ロジスティックス (5)