説明

電解質膜電極接合体、その製造方法、及びそれを用いた燃料電池

【課題】 平面配置型の燃料電池において、電極配置の自由度も高く、組み立て工程、部品点数が少なく低コストで、かつ水素漏れに対して信頼性が高い電解質膜電極接合体、その製造方法、及びそれを用いた燃料電池の提供を目的とする。
【解決手段】 電極を両面に成形した電解質膜電極接合体を変形させることにより、両面に配置した電極間を電気的に直列に接続する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質膜電極接合体、その製造方法、及びそれを用いた燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池装置は体積あたりの供給可能なエネルギー量が従来の電池に比べて数倍から十倍近くになる可能性があり、さらに燃料を連続的に充填することにより、携帯電話、ノートPC等小型電子機器の長時間連続使用が可能となるため期待されている。
【0003】
燃料電池は、電解質膜の対向する面に触媒を有する燃料極と触媒を有する酸化剤極が配置され単位セルを構成し、水素吸蔵合金タンク等に保存された水素ガスなどの燃料を燃料極側に供給し、酸化剤極側に酸素などの酸化剤を供給する。そして、電解質膜を介してこれらの反応剤を電気化学的に反応させることで電力を生じさせる。
【0004】
単位セルの起電力は1V前後であるため、機器に負荷特性にあわせて複数の単位セルを電気的に直列に接続して電圧を高めている。
【0005】
また、単位セルの配置方法も機器の形態にあわせて単位セルを積層する方式や、電解質膜上に複数の電極を配置する平面配置などの方式が考え出されている。
【0006】
特許文献1には、平面状に設けられた複数の単位セルをスルーホールやバンプ接続を用いて電気的に直列に接続することにより、薄型の形状を保ちながら高い電圧を得る技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、筒状の燃料電池セルを重ね、対向する電極間を接合することにより複数のセルを電気的に直列に接続して電圧を高める技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−197225号公報
【特許文献2】特開2003−317790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の技術では、電解質膜を貫通する導通部材やその周りをシールする部材が必要であり部品点数が多くなるという課題があった。
【0009】
また、特許文献2の技術では、一回の接合工程では一対の接合面の電極同士しか接続することができないため、直列接続数とほぼ同じ回数の接合工程が必要であり、製造に要する工程が増えてしまう。また、接合個所が増えることにより、製品の信頼性確保が難しくなるという問題もある。
【0010】
そこで本発明は、電解質膜の両面に成形した複数の単位セルの電極間を、少ない工程で電気的に直列に接続することができる電解質膜電極接合体を提供すること、及びそれを用いた燃料電池を提供することを目的とする。また本発明は、シール箇所が少ないため信頼性が高められた電解質膜電極接合体、及びそれを用いた燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は共通の電解質膜に複数の燃料電池単位セルが並んで形成された電解質膜電極接合体であって、前記燃料電池単位セルの各々は前記電解質膜の両面に対極する電極を有し、前記電解質膜の端部における折り返し又は曲げによって、異なる前記燃料電池単位セルの前記両面に対極する電極間が電気的に接続されていることを特徴とする電解質膜電極接合体、その製造方法、及びそれを用いた燃料電池である。
【0012】
また、本発明は共通の電解質膜に複数の燃料電池単位セルが並んで形成された電解質膜電極接合体であって、前記燃料電池単位セルの各々は前記電解質膜の両面に対極する電極を有し、
前記電解質膜に貫通穴を有し、前記電解質膜の折り返しによって、前記貫通穴を通して、異なる前記燃料電池単位セルの前記両面に対極する電極間が電気的に接続されていることを特徴とする電解質膜電極接合体、その製造方法、及びそれを用いた燃料電池である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の電極間を少ない工程で接続でき、シール箇所が少ないため信頼性の高い電解質膜電極接合体、及びそれを用いた燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態である燃料電池装置1について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
本発明の燃料電池装置は、以下に説明する燃料電池装置1の限定的な構成には限定されず、燃料電池装置1の構成の一部又は全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実現可能である。例えば、燃料電池装置1は、燃料電池2と燃料タンク6とを一体に接続した燃料電池装置1の全体を、電子機器筐体11に着脱自在としたが、燃料電池2を電子機器筐体11側に組み込んで、燃料タンク6だけを電子機器筐体11から着脱可能としてもよい。
【0016】
以下の実施形態では、酸化剤として大気中の酸素を取り入れて利用する例を説明するが、酸化剤として、別の酸化作用のある気体又は液体の物質を利用してもよい。また、酸素を酸化剤として利用する場合には、大気から取り入れる代わりに、酸素ガスのボンベや酸素ガスの発生装置を燃料電池2に接続して、そこから酸素を供給させてもよい。
【0017】
水素ガスを燃料として利用する燃料電池に適用した例を用いて説明するが、これにとらわれることはなく、その他の燃料(メタノール、エタノール等)でも同様の効果が得られる。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本発明の電解質膜電極接合体の構成を示す模式図、図2、3は電子機器筐体への燃料電池装置の取り付け状態を説明するための模式図、図4は燃料電池装置の単位セルの構造を説明するための模式的断面図、図5は燃料電池装置のブロック図、図6は単位セルの作動状態を説明するための模式的断面図である。
【0019】
図2に示すように、燃料電池装置1は、電子機器(ノートPC)11の筐体の下方に着脱可能に取り付けられている。電子機器11の筐体には、燃料電池装置1に酸化剤(大気中の酸素)を供給するための通気孔13が設けられている。また、図3に示すように燃料電池装置1内部には後述の燃料電池2が内蔵されており、着脱式の燃料タンク6から燃料を供給する構成になっている。
【0020】
図4、5に示すように燃料電池は、水素ガスを電気化学的に酸素と反応させて電流を取り出す単位セル3を構成要素として含んでいる。単位セル3は、酸化剤を供給し、かつ水蒸気を排出するための酸化剤極側拡散層31と、燃料の水素ガスを供給する燃料極側拡散層30との間に、電解質膜電極接合体24を挟み込んで構成される。それぞれの単位セル3に水素ガスを供給する燃料極側拡散層30は、燃料経路29を通じて連通しており、燃料経路29は、燃料タンク6に連通している。
【0021】
燃料極側拡散層30は、多孔質の通気性材料で形成され、電解質膜電極接合体24の燃料極22の全面に水素ガス分子を拡散供給する。酸化剤極側拡散層31もまた、多孔質の通気性材料で形成され、電解質膜電極接合体24の酸化剤極23の全面に酸素ガス分子を拡散供給すると共に、発生する水蒸気を燃料電池装置の外部に拡散排出する。
【0022】
図6に示すように電解質膜電極接合体24は、燃料極22と酸化剤極23との間に高分子電解質膜21を挟み込んで構成される。燃料極22は、白金触媒を分散させた通気性のある薄膜層であって、水素ガスを水素原子に分解してイオン化し、水素イオンを高分子電解質膜21へ送り込む。
【0023】
酸化剤極23は、白金触媒を分散させた通気性のある薄膜層であって、高分子電解質膜21から受け取った水素イオンを酸素ガスと反応させて水分子を生成する。高分子電解質膜21は、燃料極22から受け入れた水素イオンを移動させて、酸化剤極23へ受け渡すとともに、燃料極22と酸化剤極23との間の直接の電子移動を阻止する。
【0024】
燃料タンク6に貯えられている燃料である水素ガスは、矢印で示すように、燃料経路29を通って燃料極22に供給される。一方、酸化剤極23には、通気孔13から取り入れた大気中の酸素が供給される。
【0025】
水素ガスは、拡散層30を透過して、燃料極22に浸透し、燃料極22に含まれる触媒に接触して水素イオン化反応を起こす。水素イオンは、高分子電解質膜21を通過する。一方、大気から取り入れた酸素は、拡散層31を透過して酸化剤極23に浸透し、酸化剤極23に含まれる触媒原子の存在下で、高分子電解質膜21を通過した水素イオンと結合して水分子を生成する。
【0026】
このような電気化学的な反応に伴って、水素分子の電子は燃料極22から取り出され、外部の電気回路を経て酸化剤極23へ導かれ、水分子を生成させる。この過程において、水素ガスと水との電気化学的なエネルギー差から、熱エネルギーになる分、内部抵抗等で消費される分を差し引いたエネルギーに相当する電力が外部の電気回路に取り出される。
【0027】
<電解質膜電極接合体>
電解質膜電極接合体24の製造方法について説明する。
【0028】
図1に示すように、電解質膜電極接合体24は電子機器11の負荷に応じて、複数個の単位セル3を構成する燃料極22と酸化剤極23が高分子電解質膜21に配置され、後述のように配線電極25、26により電気的に直列に接続されている。本実施例では単位セル3を4つ接続した例を示すが、用途や使用環境に応じて適宜所望の数の単位セルを接続して用いることができる。
【0029】
図7に示すように、高分子電解質膜21の片面には、それぞれの単位セル3の酸化剤極23aから23dが形成されている。そして、各酸化剤極からは電気配線の配線電極26aから26dとその先に接点電極28aから28dがそれぞれ後述の折り返し部40にかけて形成されている。
【0030】
また、図8に示すように高分子電解質膜21の酸化剤極が形成されている面の反対側の面には酸化剤極23aから23dに対極するかたちで燃料極22aから22dがそれぞれ形成されている。そして、各燃料極からは配線電極25aから25dとその先に接点電極27aから27dがそれぞれ後述の折り返し部40にかけて形成されている。
【0031】
燃料極22、酸化剤極23、配線電極25、27、接点電極27、28の形成方法は、高分子電解質を添加してペースト状にしたPt担持カーボン粒子を高分子電解質膜21上へドクターブレード法やスクリーンプリント法等で塗布する。塗布したペーストを乾燥した後、ホットプレスにより、高分子電解質膜21と燃料極22、酸化剤極23、配線電極25、27、接点電極27、28を溶着して電解質膜電極接合体24を作製する。
【0032】
また電極の形成方法はホットプレスに限られること無く、スパッタ、蒸着、めっき等で高分子電解質膜21上に形成することも可能である。また、配線電極25、27、接点電極27、28を燃料極22、酸化剤極23と同じPt担持カーボン粒子で形成した例を示したが、同一材料に限らず、電気抵抗の低い材料ならよい。例えば、銅や金などの一般的な電気配線材料を燃料極22、酸化剤極23のPt担持カーボン粒子層に重ねて蒸着などで形成することも可能である。この場合は配線及び接点部分の電気抵抗を低く抑えることが可能になりより発電ロスの少ない燃料電池を提供できる。
【0033】
この電極を形成した段階では電解質膜電極接合体24は各単位セル3の燃料極22と酸化剤極23は電気的に接続されていない状態である。
【0034】
次の段階で図9に示すように、接点電極28aから28dが形成されている面を上側にして高分子電解質膜21の端部の折り返し部40を第一折り返し線Aに沿って折り返す。これにより、図10に示すように接点電極27aから27cが接点電極28側に並び、両面に形成した接点電極27、28が同一面側に位置することになる。
【0035】
さらに図11に示すように、もう一度折り返し部40を第二折り返し線Bで折り返すことにより接点電極27aから27cの配置部と接点電極28bから28dがそれぞれ対向する構成になり、最終的には図1のような状態になる。そして、接点電極は、接点電極27aと28b、接点電極27bと28c、接点電極27cと28bが折り返したときに折り返し部40で対向するように予めパターン化されて配置されている。そのため、電気的な回路図は図12に示すようになり、各単位セル3の燃料極と酸化剤極が直列に電気的に接続される。
【0036】
次に、折り返し部40をホットプレスすることにより、折り返して重ねられた高分子電解質膜21が溶着して一体化され折り返し部からの水素ガス等の漏れが無くなる。また、同時に前述の対向した接点電極27、28もホットプレスにより溶着して接合され安定的に電気的導通を得ることができる。このようにして複数の単位セル3の各燃料極と酸化剤極が電気的に直列に接続された電解質膜電極接合体24が完成する。
【0037】
また、折り返し部40をホットプレスで溶着する構成を説明したが、接着剤で接合することも可能である。また、接点電極27、28もハンダ等を利用することで接点を接合することも可能である。また、高分子電解質膜21の折り返し部40を酸化剤極側に折り返した例を示したが、適宜パターン構成を変更すれば燃料極側に折り返すことも可能である。
【0038】
<燃料電池の構成>
燃料電池2は、図13、14、15に示すように前述の電解質膜電極接合体24の燃料極22と酸化剤極23に対応する位置に拡散層30、31を重ね、その周りをシール36、37でシールした後、セパレータ32、33で挟みこむことにより組立てられる。シール36、37は柔軟性のあるフッ素ゴム等で形成されているので、前述の配線電極25、27の上に位置しても水素のリークを防止することは十分可能である。また、シールは弾性シールには限らず接着剤等を利用しても同様にシールをすることができる。
【0039】
セパレータ32、33にはそれぞれ前述の接点電極27d、28aに対応する位置に取り出し電極38、39が設けられており(図13)電気的に直列に接続された単位セル3から電子機器11に接続される。
【0040】
そして、4つの単位セル3の燃料極22は、それぞれの拡散層27を介して燃料経路29に連通している。燃料電池2で水素が消費されていくと、燃料タンク6内の水素ガスがセパレータ32のコネクタ34、単位セル3の拡散層30を経て燃料極22に供給される。酸化剤としての空気は、通気孔13を通して吸気され、セパレータ33のコネクタ35を経て拡散層31に供給され、前述の水素イオンと酸素との結合反応がおこり、取り出し電極38、39から電気的に接続された電子機器11に電力が供給される。
【0041】
また、接続する単位セル3の数を増やしたい場合は燃料極22と酸化剤極23の配列方向(図1の上下)に増やしていくことにより自由に増やすことができる。
【0042】
以上説明したように電解質膜電極接合体24の部品単体で複数の単位セル3を電気的に直列に接続した構成とすることができる。そのため、複数部品を組み合わせた構成よりもシール箇所を少なくでき信頼性の高い電解質膜電極接合体、及びそれを用いた燃料電池を提供することができる。また、一箇所の折り返し部で複数の接点を同時に接合することができるため接続単位セル数が増えても、部品点数や工程数は増加することが無い。そのため、低コストで信頼性の高い電解質膜電極接合体、及びそれを用いた燃料電池を提供することができる。
【0043】
(実施形態2)
以下本発明の第2の実施形態について説明する。
【0044】
図16、17、18に示すように、電解質膜電極接合体24上の燃料極22と酸化剤極23はそれぞれ配線電極25、27と電気的に導通していない状態で形成される。そして、実施例1と同様に端部を折り返して両面の配線電極25、27を接続する。
【0045】
セパレータ32、33は図19、20に示すように、単位セルごとに電極板51(50)が分けられており、各単位セル同士が短絡しないようにセパレータ枠体55(54)で支持されている。また、電極板51(50)にはバネ状の電極板接点53(52)が設けられており後述のように接点として機能する。
【0046】
燃料電池2の組立は図21に示すように、電解質膜電極接合体24に燃料極22と酸化剤極23のそれぞれに、多孔質の通気性材料で導電性を有する材料で形成された拡散層30、31を単位セルごとに積層する。拡散層30、31の材質としてはカーボンペーパーやカーボンクロスなどの炭素系の繊維や発泡金属などの通気性金属を用いる。
【0047】
さらに、拡散層30、31の上にそれぞれ導電性の電極板50、51を有するセパレータ32、33を積層する。電極板50、51にはバネ状の電極板接点52、53が設けられており、積層したときに電解質膜電極接合体24上の配線電極25、27と電気的に導通するように構成されている。そして、燃料電池2として組立てることにより電解質膜電極接合体24上の燃料極22と酸化剤極23がそれぞれ、拡散層30、31、電極板50、51を経由して配線電極25、27と電気的に導通する。また、このときの単位セル3の接続は前述の実施例1と同様に図12のようになる。
【0048】
このように、拡散層30、31、電極板50、51を経由して各単位セル3を直列に接続する構成にすることにより燃料極22と酸化剤極23の面に垂直方向から電気を取り出すことが可能になる。
【0049】
燃料極22、酸化剤極23に利用するPt担持カーボン粒子は内部抵抗が高いため、面の平行方向から電気をとりだすよりも面に垂直方向から電気を取り出すほうが抵抗を低くおさえることができる。そのため、実施例1のように燃料極22、酸化剤極23の端部から直接導通させる場合に比べて、本実施例は接触面積と配線抵抗を小さくすることができ、よって発電ロスを少なくすることができる。
【0050】
(実施形態3)
以下本発明の第3の実施形態について説明する。
【0051】
実施例1及び2では電解質膜電極接合体24の端部を折り返した例を示したが図22に示すように、円筒部材61のようなものを支持体として端部の巻き部60を巻きつけることにより高分子電解質膜21の両面の電極間を電気的に接続することが可能である。
【0052】
このような構成の電解質膜電極接合体24を使用して実施例1や2の燃料電池2の組立をおこなっても同様の効果を得られる。
【0053】
(実施形態4)
以下本発明の第4の実施形態について説明する。
【0054】
本実施例は実施例1から3の構成と電解質膜電極接合体の折り返し部位と単位セル間の導通のさせ方が違うだけであり、その他の構成は同様である。
【0055】
電解質膜電極接合体24の製造方法について説明する。
【0056】
図23に示すように、高分子電解質膜21の片面には、それぞれの単位セル3の酸化剤極23aから23dが2個を対として配列され形成されている。本実施例では4つの単位セルを田の字型に配置している。そして、各酸化剤極からは電気配線の配線電極26aから26dとその先に接点電極28aから28dがそれぞれ後述の高分子電解質膜21の中央部にある折り返し部71にかけて形成されている。また、折り返し部71には高分子電解質膜21の表裏を貫通する貫通穴70が設けられている。
【0057】
また、図24に示すように高分子電解質膜21の酸化剤極が形成されている側の裏面には酸化剤極23aから23dに対極するかたちで燃料極22aから22dがそれぞれ形成されている。そして、各燃料極からは配線電極25aから25dとその先に接点電極27aから27dがそれぞれ後述の高分子電解質膜21の中央部にある折り返し部71にかけて形成されている。
【0058】
この電極を形成した段階では電解質膜電極接合体24は各単位セル3の燃料極22と酸化剤極23は電気的に接続されていない状態である。
【0059】
次の段階で図25に示すように、接点電極28aから28dが形成されている面を上側にして高分子電解質膜21の中央部の折り返し部71を第一折り返し線Cに沿って折り返す。これにより、図26に示すように接点電極28bから28dが貫通穴70を通して接点電極27側に露出して、両面に形成した接点電極27、28が同一面上に位置することになる。
【0060】
さらに図27に示すように、もう一度折り返し部71を第二折り返し線Dで折り返す。これにより接点電極27aから27cの配置部と接点電極28bから28dがそれぞれ貫通穴70を通して対向する構成になり、最終的には図28のような状態になる。そして、接点電極は、接点電極27aと28b、接点電極27bと28c、接点電極27cと28bが折り返したときに折り返し部71が貫通穴70を通して対向するように予めパターン化されて配置されている。そのため、電気的な回路図は実施例1と同様に図12に示すようになり、各単位セル3の燃料極と酸化剤極が直列に電気的に接続される。
【0061】
次に、折り返し部71をホットプレスすることにより、折り返して重ねられた高分子電解質膜21が溶着して一体化され折り返し部からの水素ガス等の漏れが無くなる。また、同時に前述の対向した接点電極27、28もホットプレスにより溶着して接合され安定的に電気的導通を得ることができる。このようにして複数の単位セル3の各燃料極と酸化剤極が電気的に直列に接続された電解質膜電極接合体24が完成する。
【0062】
実施形態1では、折り返し部に平行で縦方向に面上に直列に燃料極と酸化剤極を配置したときに配線部分が短くなる最適な配置方法をしめした。さらに、本実施例構成にすることにより、並列にも燃料極と酸化剤極が配置できるため、構成を使いわけることにより電解質膜電極接合体24の燃料極と酸化剤極(単位セル)配置の自由度をさらに増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】電解質膜電極接合体の構成を説明する斜視図である。
【図2】電子機器筐体への燃料電池装置の取り付け状態の説明図である。
【図3】電子機器筐体への燃料電池装置の取り付け状態の説明図である。
【図4】燃料電池装置の単位セルの構造の説明図である。
【図5】燃料電池装置を取り付けた電子機器のブロック図である。
【図6】単位セルの作動状態の説明図である。
【図7】電解質膜電極接合体の酸化剤極面の構成を説明する斜視図である。
【図8】電解質膜電極接合体の燃料極面の構成を説明する斜視図である。
【図9】電解質膜電極接合体の製造方法を説明する斜視図である。
【図10】電解質膜電極接合体の製造方法を説明する斜視図である。
【図11】電解質膜電極接合体の製造方法を説明する斜視図である。
【図12】電解質膜電極接合体の電気接続を説明する回路図である。
【図13】燃料電池の構成を説明する斜視図である。
【図14】燃料電池の構成を説明する斜視図である。
【図15】燃料電池の構成を説明する斜視図である。
【図16】第2実施例の燃料電池の単位セルを説明する図である。
【図17】第2実施例の電解質膜電極接合体の酸化剤極面構成を説明する斜視図である。
【図18】第2実施例の電解質膜電極接合体の燃料極面構成を説明する斜視図である。
【図19】第2実施例のセパレータの構成を説明する斜視図である。
【図20】第2実施例のセパレータの構成を説明する斜視図である。
【図21】第2実施例の燃料電池の構成を説明する斜視図である。
【図22】第3実施例の電解質膜電極接合体の構成を説明する斜視図である。
【図23】第4実施例の電解質膜電極接合体の酸化剤極面側を説明する斜視図である。
【図24】第4実施例の電解質膜電極接合体の燃料極面側を説明する斜視図である。
【図25】第4実施例の電解質膜電極接合体の製造方法を説明する斜視図である。
【図26】第4実施例の電解質膜電極接合体の製造方法を説明する斜視図である。
【図27】第4実施例の電解質膜電極接合体の製造方法を説明する斜視図である。
【図28】第4実施例の電解質膜電極接合体の製造方法を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0064】
1 燃料電池装置
2 燃料電池
3 単位セル
6 燃料タンク
11 電子機器
13 通気孔
21 高分子電解質膜
22 燃料極
23 酸化剤極
24 電解質膜電極接合体
25、26 配線電極
27、28 接点電極
29 気体経路(燃料経路)
30、31 拡散層
32、33 セパレータ
34、35 コネクタ
36、37 シール
38、39 取り出し電極
40 折り返し部
50、51 電極板
52、53 電極板接点
54、55 セパレータ枠体(非導電性)
60 巻き部
61 円筒部材
70 貫通穴
71 折り返し部
A 第一折り返し線
B 第二折り返し線
C 第一折り返し線
D 第二折り返し線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の電解質膜に複数の燃料電池単位セルが並んで形成された電解質膜電極接合体であって、
前記燃料電池単位セルの各々は前記電解質膜の両面に対極する電極を有し、
前記電解質膜の端部における折り返し又は曲げによって、異なる前記燃料電池単位セルの前記両面に対極する電極間が電気的に接続されていることを特徴とする電解質膜電極接合体。
【請求項2】
前記折り返し又は曲げによって対面する電解質膜の少なくとも一部が接合されていることを特徴とする請求項1に記載の電解質膜電極接合体。
【請求項3】
前記接合は接着又は溶着によるものであることを特徴とする請求項2に記載の電解質膜電極接合体。
【請求項4】
共通の電解質膜に複数の燃料電池単位セルが並んで形成された電解質膜電極接合体であって、
前記燃料電池単位セルの各々は前記電解質膜の両面に対極する電極を有し、
前記電解質膜に貫通穴を有し、
前記電解質膜の折り返しによって、前記貫通穴を通して、異なる前記燃料電池単位セルの前記両面に対極する電極間が電気的に接続されていることを特徴とする電解質膜電極接合体。
【請求項5】
前記折り返しによって対面する電解質膜の少なくとも一部が接合されていることを特徴とする請求項4に記載の電解質膜電極接合体。
【請求項6】
前記接合は接着又は溶着によるものである
ことを特徴とする請求項5に記載の電解質膜電極接合体。
【請求項7】
共通の電解質膜に複数の燃料電池単位セルが並んで形成された電解質膜電極接合体の製造方法であって
前記燃料電池単位セルの各々において前記電解質膜の両面に対極する電極を設け、
前記電解質膜の端部を折り返し又は曲げることによって、異なる前記燃料電池単位セルの前記両面に対極する電極間を電気的に接続することを特徴とする電解質膜電極接合体。
【請求項8】
前記折り返し又は曲げによって対面する電解質膜の少なくとも一部を接合することを特徴とする請求項7に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
【請求項9】
前記接合は接着又は溶着によるものであることを特徴とする請求項8に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
【請求項10】
共通の電解質膜に複数の燃料電池単位セルが並んで形成された電解質膜電極接合体の製造方法であって、
前記燃料電池単位セルの各々において前記電解質膜の両面に対極する電極を設け、
前記電解質膜に貫通穴を設け、
前記電解質膜を折り返すことによって、前記貫通穴を通して、異なる前記燃料電池セルの前記両面に対極する電極間を電気的に接続することを特徴とする電解質膜電極接合体の製造方法。
【請求項11】
前記折り返しによって対面する電解質膜の少なくとも一部が接合されていることを特徴とする請求項10に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
【請求項12】
前記接合は接着又は溶着によるものである
ことを特徴とする請求項11に記載の電解質膜電極接合体の製造方法。
【請求項13】
複数の燃料電池単位セルを直列接続してなる燃料電池であり、
請求項1に記載の電解質膜電極接合体を用いた燃料電池。
【請求項14】
複数の燃料電池単位セルを直列接続してなる燃料電池であり、
請求項4に記載の電解質膜電極接合体を用いた燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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