説明

電話催告システム及び電話催告用プログラム

【課題】納付書発行に必要な現年度の情報のみでなる調定データを用い、同一納付者又は同一世帯の複数の滞納案件について一括して催告することができる電話催告システム及び電話催告用プログラムを提供する。
【解決手段】サーバコンピュータ30の入出力装置35で構成され、前記税金及び/又は料金の各科目ごとの未納案件が特定された調定データAを入手する調定データ入手手段と、該コンピュータ30の中央処理装置31で構成され、前記入手手段で入手した全科目の調定データから未納案件を抽出する未納案件抽出手段、及び、該抽出手段で抽出した未納案件を、前記調定データAの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報をキーとしてソートし、納付者別又は世帯別の電話催告用データファイルを生成する電話催告ファイル生成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国や地方自治体が収納する税金や公共料金等の未納者に対する電話による催告システム及び催告用プログラムに関し、コンピュータを用いた業務管理技術の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
現在、都道府県においては、固定資産税や自動車税等の各種税金、及び都道府県立高等学校の授業料等の各種料金の徴収業務が行われており、また、市区町村においては、住民税や軽自動車税等の各種税金、及び国民健康保険料や水道料金等の各種料金の徴収業務が行われている。これらの徴収業務は、各納付者に対して納付書を送付することにより行われ、期限内に納付しない者に対しては、さらに督促状を送付するのが通例である。
【0003】
しかし、これらによっても納付されないことが少なくなく、地方自治体においては、収納率を高めるため、各納付者の過年度及び現年度の滞納状況を管理し、督促状の送付によっても納付しない者に対しては、その滞納状況に基づいて催告対象者を選定し、電話催告や戸別訪問を実施しているのが実情である。
【0004】
また、滞納者に対する徴収効率を向上させるため、特許文献1に開示されているように、滞納者ごとに、滞納者の年齢、性別、年収等の属性データと、滞納額や滞納期間等の滞納状況データとに基づき、最適な督促方法を選択するようにした督促業務管理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−269337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような税金や料金の督促ないし催告業務のうち、電話による催告は、自治体内にコールセンターを設け、外部から派遣されたオペレータによって行う場合があるが、各納付者の過年度にわたる滞納状況を派遣オペレータに催告資料としてそのまま提示することは個人情報保護の観点から好ましくなく、また、同様の理由で、電話催告業務を外部委託することにも問題がある。
【0007】
また、前記特許文献1に開示されたシステムにおいても、滞納者についての年収等の滞納者属性データと滞納額等の滞納状況データとを用いるので、督促業務を外部に委託しようとすると、秘密性の高い個人情報を外部に持ち出さなければならず、個人情報保護の観点から外部委託には適さないという問題がある。
【0008】
また、地方自治体における各種税金、料金の徴収は、通例、担当部署ごとに行われるので、その督促業務も税金や料金の科目ごとに行うことになり、きわめて非効率であると共に、特に電話催告が同一自治体から同一納付者に対して科目ごとに複数回相次いで行われ、不快感を与えるという問題もある。この問題は、特許文献1のシステムを用いる場合においても同様である。
【0009】
そこで、本発明は、納付者の年収や過年度の滞納状況等の外部に持ち出すことが好ましくない情報を用いず、納付書発行に必要な現年度の情報のみでなる調定データを用い、しかも、同一納付者或いは同一世帯に複数の滞納科目がある場合にも、一括して催告することができる電話催告システム及び電話催告用プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、国又は地方自治体が徴収する税金及び/又は料金の滞納者に対する電話催告システムであって、サーバコンピュータによって構成され、前記税金及び/又は料金の各科目ごとの納付書発行用の調定データであって、未納案件が特定されたものを入手する調定データ入手手段と、該入手手段で入手した全科目の調定データから未納案件を抽出する未納案件抽出手段と、該抽出手段で抽出した未納案件を、前記調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報をキーとしてソートし、納付者別又は世帯別の電話催告用データファイルを生成する電話催告ファイル生成手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載のシステムにおいて、前記電話催告ファイル生成手段で生成された電話催告ファイルのデータをオペレータ端末に出力すると共に、該端末で生成された交渉記録を入力するオペレータ端末用データ入出力手段を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載のシステムにおいて、調定データから未納案件を抽出する際の条件を設定する抽出条件設定手段を有し、前記未納案件抽出手段は、調定データから未納案件を抽出するときに、前記抽出条件設定手段で設定された条件に基づいて未納案件を抽出することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載のシステムにおいて、前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として税金及び/又は料金の科目を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により税金及び/又は料金のいずれかの科目が抽出条件として設定されたときに、その科目の調定データから未納案件を抽出し、その案件のレコードに含まれる納付者情報又は世帯情報をキーとして、その科目及び他の科目の全調定データから当該納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項3に記載のシステムにおいて、前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として滞納額が所定金額以上であることを設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により滞納額が所定金額以上であることが抽出条件として設定されたときに、全調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報と滞納額情報とから納付者ごと又は世帯ごとの合計滞納額を算出し、全調定データから、この合計滞納額が前記抽出条件設定手段で設定された所定金額以上の納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項3に記載のシステムにおいて、前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として納付者の住所地域を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により納付者の住所地域が抽出条件として設定されたときに、調定データの各案件のレコードに含まれる住所情報に基づき、全調定データから、納付者の住所が前記抽出条件設定手段で設定された住所地域に属する未納案件を抽出することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項3に記載のシステムにおいて、前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として納付期限からの経過日数を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により納付期限からの経過日数が抽出条件として設定されたときに、調定データの各案件のレコードに含まれる納付期限情報に基づき、全調定データから、納付期限からの経過日数が前記抽出条件設定手段で設定された日数以上の未納案件を抽出すると共に、これらの案件のレコードに含まれる納付者情報又は世帯情報をキーとして、全調定データから当該納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、前記請求項3に記載のシステムにおいて、前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として所定の基準に基づく支払能力を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により支払能力が抽出条件として設定されたときに、調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報に基づき、各納付者又は世帯の納付科目と滞納科目とから各納付者又は世帯の支払能力値を求め、この支払能力値が前記抽出条件設定手段によって設定された値以上となる納付者又は世帯の納付者情報又は世帯情報をキーとして、全調定データから当該納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項9に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシステムにおいて、調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報に基づき、各納付者又は世帯の滞納科目に基づいて各納付者又は世帯の支払能力値を求め、この支払能力値が所定値より小さな値となる納付者又は世帯の納付者情報又は世帯情報を含む未納案件については、電話催告ファイルへの記録を禁止するフィルタリング手段を有することを特徴とする。
【0020】
ここで、前記未納案件が特定された調定データは、全徴収案件が記録された調定データの案件ごとに納付、未納の区別を記録したもの、又は、全徴収案件が記録された調定データから未納案件のみを取り出したもののいずれであってもよい。ただし、請求項8の発明では、前者の納付案件も記録された調定データが必要となる。
【0021】
また、請求項9におけるフィルタリング手段によるフィルタリング処理は、未納案件抽出手段によって抽出された未納案件を対象として行ってもよく、或いは該抽出手段による抽出前に調定データの各案件を対象として行ってもよい。
【0022】
一方、請求項10に記載の発明は、国又は地方自治体が徴収する税金及び/又は料金の滞納者に対する電話催告用プログラムであって、コンピュータを、前記税金及び/又は料金の各科目ごとの納付書発行用の調定データであって、未納案件が特定されたものを入手する調定データ入手手段、該入手手段で入手した全科目の調定データから未納案件を抽出する未納案件抽出手段、及び、該抽出手段で抽出した未納案件を、前記調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報をキーとしてソートし、納付者別又は世帯別の電話催告用データファイルを生成する電話催告ファイル生成手段として機能させることを特徴とする。
【0023】
また、請求項11に記載の発明は、前記請求項10に記載のプログラムにおいて、コンピュータを、前記電話催告ファイル生成手段で生成された電話催告ファイルのデータをオペレータ端末に出力すると共に、該端末で生成された交渉記録を入力するオペレータ端末用データ入出力手段として機能させることを特徴とする。
【0024】
さらに、請求項12に記載の発明は、前記請求項10又は請求項11に記載のプログラムにおいて、コンピュータを、調定データから未納案件を抽出する際の条件を設定する抽出条件設定手段として機能させ、前記未納案件抽出手段として機能させるときは、調定データから未納案件を抽出するときに、前記抽出条件設定手段で設定された条件に基づいて未納案件を抽出するように機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
以上のように構成したことにより、各請求項の発明によれば、次のような効果が達成される。
【0026】
まず、請求項1の発明に係る電話催告システムによれば、国や地方自治体等が税金や料金を徴収するために発行する納付書作成用のデータである調定データに基づいて催告業務を行うので、該システムを用いる催告業務を当該地方自治体等から外部に委託しても、納付書の記載内容と同じ情報が外部に持ち出されるだけで、納付者の年収や過年度の滞納状況等の個人情報に属する情報を持ち出す必要がなくなる。また、地方自治体内部で派遣オペレータによって催告業務を行う場合にも、不要な情報をオペレータに提示しなくて済むことになる。
【0027】
したがって、電話催告業務の外部委託や、派遣オペレータの利用等に対する障害が解消され、外部委託しやすく、或いは派遣オペレータを活用しやすいシステムが実現されることになる。
【0028】
また、税金や料金の全科目の調定データから未納案件を抽出し、納付者別又は世帯別にソートして電話催告データを生成するので、各納付者又は世帯に複数の滞納科目がある場合にも、これらに対する納付要請を1回の催告で行うことができ、同一納付者又は同一世帯に対して科目ごとに催告を行う場合に比較して、業務の効率が向上すると共に、同一納付者に複数の滞納科目について個々に催告して納付者に不快感を与えるといった事態も回避される。
【0029】
また、請求項2に記載のシステムによれば、前記電話催告データがオペレータの端末に出力されると共に、催告中或いは催告終了後に該端末で生成される交渉記録データが入力されるので、当該催告システムと例えばコールセンターとが一体となって催告業務を行うことができ、該業務の効率が向上する。
【0030】
また、請求項3に記載のシステムによれば、全調定データから未納案件を抽出する際に、予め設定された条件に基づいて抽出されるので、特に未納案件が多い場合に、電話催告による徴収効率が高いと思われる案件について優先的に催告を実行することができ、徴収業務が効率的に行われることになる。
【0031】
その場合に、請求項4に記載のシステムによれば、税金や料金の科目を特定して催告を行うことが可能となるので、例えば納付期限が決まっている科目の催告をその期限経過後の所定の時期に集中的に行うことにより、高い徴収効率が期待できる。
【0032】
また、請求項5に記載のシステムによれば、1つ又は複数の科目について滞納があって、合計滞納額が設定された金額以上となる納付者又は世帯に対して集中的に催告を実行することが可能となるので、催告回数に対する収納額の率を高めることが可能となって、徴収効率の向上が期待できる。
【0033】
また、請求項6に記載のシステムによれば、納付者の住所地域を特定して催告することが可能となるので、例えば滞納状況に地域依存性がある場合に、催告効果が高いと思われる地域の納付者又は世帯に対して集中的に催告を行うことが可能なる。
【0034】
また、請求項7に記載のシステムによれば、納付期限からの経過日数を特定して催告を行うことが可能となるので、例えば経過日数が長くなり、放置すれば滞納が常習化するおそれがある案件について集中的に催告を行うことにより、徴収効率の悪化が回避されることが期待できる。
【0035】
また、請求項8に記載のシステムによれば、各科目の納付、滞納の状況に応じて予め設定された基準に基づき、催告すれば収納できる可能性が高い支払有望先について集中的に催告を行うことが可能となり、徴収効率の向上が期待できる。
【0036】
さらに、請求項9に記載のシステムによれば、例えば前記請求項4〜7に記載のような条件のいずれかに基づいて未納案件が抽出されても、支払能力値が低く、電話催告による徴収が困難と思われる納付者又は世帯の案件については、電話催告データへの記録が禁止されるので、無駄な催告が回避され、催告の効率が向上する。
【0037】
そして、請求項10〜12に記載のプログラムによれば、これをコンピュータに搭載して実行することにより、それぞれ前記請求項1〜3に記載のシステムと同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る催告システムが用いられる税金や料金の収納、催告業務全体の説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る催告システムの構成を示すブロック図である。
【図3】同システムにおける記憶装置の構成を示す図である。
【図4】同記憶装置に記憶された世帯構成マスタの説明図である。
【図5】同、電話催告ファイルの説明図である。
【図6】同、交渉記録ファイルの説明図である。
【図7】住民税用の消し込み済み調定データの説明図である。
【図8】駐輪場料金用の消し込み済み調定データの説明図である。
【図9】国民健康保険料用の消し込み済み調定データの説明図である。
【図10】水道料金用の消し込み済み調定データの説明図である。
【図11】固定資産税用の消し込み済み調定データの説明図である。
【図12】自動車税用の消し込み済み調定データの説明図である。
【図13】催告システムの表示装置に表示された催告先抽出条件設定画面の説明図である。
【図14】同、科目・料目選択時の催告先抽出条件設定画面の説明図である。
【図15】同、滞納額選択時の催告先抽出条件設定画面の説明図である。
【図16】同、住所地域選択時の催告先抽出条件設定画面の説明図である。
【図17】同、滞納日数選択時の催告先抽出条件設定画面の説明図である。
【図18】同、支払能力選択時の催告先抽出条件設定画面の説明図である。
【図19】催告システムを動作させるメインプログラムのフローチャートである。
【図20】科目・料目選択時用のサブプログラムのフローチャートである。
【図21】滞納額選択時用のサブプログラムのフローチャートである。
【図22】住所地域選択時用のサブプログラムのフローチャートである。
【図23】滞納日数選択時用のサブプログラムのフローチャートである。
【図24】支払能力選択時用のサブプログラムのフローチャートである。
【図25】他の実施形態に係る催告先抽出条件設定画面の説明図である。
【図26】同実施形態におけるメインプログラムのフローチャートである。
【図27】オペレータ端末を動作させるプログラムのフローチャートである。
【図28】同端末の表示装置に表示される電話催告先一覧画面の説明図である。
【図29】同、世帯別催告データ表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0040】
図1は本実施形態に係る電話催告システムが用いられる収納・催告センターの構成を示すもので、このセンター1は、収納システム2と、電話催告システム3とを有すると共に、地方自治体9の歳入管理システム91からネットワーク又は記憶媒体を介して入手する各税目、料目ごとの調定データA、A…を記憶する調定データ記憶装置4を備えている。
【0041】
前記収納システム2は、前記調定データ記憶装置4から、各税目、料目の調定データA、A…を読み出し、それぞれのデータに基づいて納付書X、Xを…を作成し、該当する納付者Y、Y…に送付する。
【0042】
また、納付者Y、Y…から、銀行、コンビニエンスストア等のATM、或いはMPN(マルチペイメントネットワーク)等の納付機関Z、Z…を通じて納付したことを示す通知を書面或いは伝送で入手すれば、前記記憶装置4にアクセスし、該当する調定データAの該当する案件に収納年月日を記録する(図7〜12参照)。これにより、調定データA、A…の消し込み処理が行われたことになる。
【0043】
一方、本発明の実施形態に係る電話催告システム3は、記憶装置4にアクセスし、上記のようにして消し込み処理された調定データA、A…を入手し、該データA、A…における消し込み処理されていない未納案件について、電話催告ファイルを生成する。そして、コールセンター5の各オペレータ端末51、51…からの要求に応じて、該ファイルから電話催告すべき案件のデータを送信する。
【0044】
次に、前記電話催告システム3の構成を説明すると、図2に示すように、この電話催告システム3はサーバコンピュータ30で構成され、該コンピュータ30は中央処理装置31を中心として、該コンピュータ30を操作し或いはデータを入力するための入力装置32と、各種情報を表示する表示装置33と、該コンピュータ30を稼動させるためのプログラム及び各種データを記憶する記憶装置34とを有する。
【0045】
また、サーバコンピュータ30は、前記調定データ記憶装置4にアクセスし、税金、料金の各課科目ごとの消し込み済み調定データA、A…を入手すると共に、電話催告済み案件について、催告IDを付与して該記憶装置4に出力するための調定データ入出力装置35と、コールセンター5のオペレータ端末51、51…に電話催告用データを送信し、また該端末51、51…から電話催告時の交渉記録データを受信するためのオペレータ端末用データ入出力装置36と、前記電話催告時の交渉記録データを調定データA、A…の案件と結びつけて地方自治体9の歳入管理システム91にネットワーク或いは媒体を介して出力するための交渉記録データ出力装置37とを有する。
【0046】
そして、中央処理装置31は、これらの装置32〜37を連携させ、前記入力装置32で入力された命令を受け、記憶装置34に記憶されているプログラムに従って各装置を所期の目的を達成すべく動作させるようになっている。
【0047】
前記記憶装置34は、図3に示すように、プログラム記憶部34aと、データ記憶部34bとを有し、プログラム記憶34aには、前述のように、当該サーバコンピュータ30を動作させるプログラムが記憶されている。このプログラムは本発明の実施形態を構成するものである。
【0048】
また、データ記憶部34bには、世帯構成マスタD1と、電話催告ファイルD2と、交渉記録ファイルD3とが設けれられており、世帯構成マスタD1は、図4に示すように、世帯コードをキーとし、各世帯ごとに、世帯主とそれ以外の世帯構成員について、氏名、性別、生年月日、及び構成員ついては世帯主との続柄が記録されるようになっている。
【0049】
また、電話催告ファイルD2は、図5に示すように、催告システム3のサーバコンピュータ30によって生成され、コールセンター5のオペレータ端末51、51…に送信される催告用データを記録したもので、消し込み済み調定データA、A…から抽出された未納案件のうちの今回催告する案件のデータが記録されており、納付番号、年度、科目コード、世帯コード、納付者の氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、納付期限、税額や料金等の納付金額、収納日及び催告IDの記録欄が設けられている。
【0050】
以上の項目は、各税目、料目に共通の項目であって、科目にによっては、他の項目が追加して記録されている。また、納付対象が世帯主である科目については、前記氏名、生年月日、性別欄には世帯主の氏名、生年月日、性別が記録される。
【0051】
さらに、交渉記録ファイルD3は、図6に示すように、催告IDをキーとして、電話催告時の、例えば「○月○日に支払う。」などの交渉内容、交渉結果などが記録されるようになっている。
【0052】
一方、この実施形態では、調定データA、A…として、市区町村が管轄する住民税用の調定データA1(図7)、駐輪場料金用の調定データA2(図8)、国民健康保険料用の調定データA3(図9)及び水道料金用の調定データA4(図10)と、都道府県が管轄する固定資産税用の調定データA5(図11)及び自動車税用の調定データA6(図12)とを扱うものとする。この場合、図1に示す地方自治体9が2つ存在することになる。
【0053】
これらの調定データA1〜A6は、前記電話催告用データの元となるものであり、共通項目として、納付番号、年度、科目コード、世帯コード、納付者の氏名、生年月日、性別、郵便番号、住所、電話番号、納付期限、税額や料金等の納付金額、収納日及び催告IDの記録欄が設けられている。また、図示しないが、各科目個別の項目の記録欄も必要に応じて設けられている。
【0054】
そして、前記収納システムによって消し込まれた案件のレコードには、収納日の欄に収納年月日が記録されており、この欄が空白の案件は、その時点での未納案件である。また、電話催告が終了した案件のレコードには、催告ID欄に催告時に付与された催告IDが記録されており、この欄が空白の案件は、その時点での未催告の案件である。
【0055】
次に、この催告システム3ないしサーバコンピュータ30の動作を、表示装置33に表示される画面の図と、記憶装置34に記憶されているプログラムの動作を示すフローチャートに従って説明する。
【0056】
催告システム3の管理者がサーバコンピュータ30を立ち上げると、該コンピュータ30の記憶装置34に記録されているメインプログラムが起動し、まず、図13に示す催告先抽出条件設定画面W1が表示装置33に表示される(図19のフローチャートのステップS1)。この画面W1には、催告先の抽出条件を選択するための「税目・料目で抽出」、「滞納額で抽出」、「住所地域で抽出」、「滞納日数で抽出」、及び各科目の納付、滞納情況に基づいて抽出する「支払能力で抽出」の5つの選択ボタンが表示される。
【0057】
そして、この画面W1上で、「税目・料目で抽出」が選択されると、図14に示すように、画面W1に科目選択ウインドW1aが表示される。そして、管理者により、当該システムで扱っている税金、料金のうち、いずれの科目に基づいて抽出するかが選択されると、その科目の調定データに基づいて抽出動作が実行される(ステップS2〜S4)。
【0058】
また、「滞納額で抽出」が選択されると、図15に示すように、画面W1に合計滞納額がいくら以上の世帯を抽出するかの滞納額の閾値設定ウインドW1bが表示され、管理者により、その閾値が入力されると、その条件の元での抽出動作が実行される(ステップS5〜S7)。
【0059】
また、「住所地域で抽出」が選択されると、図16に示すように、画面W1に住所地域設定ウインドW1cが表示され、管理者により、抽出条件としての納付者の住所地域が入力されると、その条件の元での抽出動作が実行される(ステップS8〜S10)。
【0060】
また、「滞納日数で抽出」が選択されると、図17に示すように、画面W1に、納付期限を何日以上経過したものを抽出するかの滞納日数の閾値設定ウインドW1dが表示され、管理者によりその閾値が入力されると、その条件の元での抽出動作が実行される(ステップS11〜S13)。
【0061】
さらに、「支払能力で抽出」が選択されると、図18に示すように、画面W1に、支払能力を示す支払能力値の閾値設定ウインドW1eが表示され、管理者によりその閾値が入力されると、その条件の元での抽出動作が実行される(ステップS14〜S16)。
【0062】
前記ステップS4の「税目・料目で抽出」が選択されたときの催告案件の抽出動作は、図20に示すフローチャートに従って行われ、まず、ステップS21で、催告先抽出条件画面W1の科目選択ウインドW1aで設定された科目の消し込み済み調定データAから収納日及び催告IDの欄が空白の案件、即ち未納案件であって、いまだ催告が行われていないものが1つ抽出される。
【0063】
いま、抽出条件の科目として、例えば「住民税」が選択されたものとすると、図7に示す住民税用調定データA1が検索され、この調定データA1から、納付年月日及び催告IDの欄が共に空白の納付番号「1001」の案件が抽出される。
【0064】
次に、ステップS22で、この案件の世帯コードが読み出され、この世帯コードをキーとして、全調定データA1〜A6を検索し、収納日及び催告IDの欄が共に空白の全案件を抽出する。
【0065】
前記例の場合、住民税用調定データA1の納付番号「1001」の案件から世帯コード「1111」を読み込み、この世帯コードをキーとして調定データA1〜A6を検索する。その結果、同じ住民税用調定データA1から納付番号「1002」の案件が、固定資産税用調停データA5から納付番号「5001」の案件が、それぞれ抽出される。なお、駐輪場料金用調停データA2、国民健康保険料用調定データA3、水道料金用調定データA4及び自動車税用調定データA6にも、世帯コード「1111」の案件が存在するが、これらの案件は、納付日の欄に納付年月日が記録された消し込み済み案件であるから、抽出されることはない。
【0066】
そして、ステップS23で、前記ステップS21で抽出した1つの案件と、ステップS22で抽出した案件、前記例の場合、合計3つの案件が、図5に示す電話催告ファイルD2に記録される。
【0067】
次に、ステップS24で、選択された科目の調定データAの納付日及び催告IDの欄が空白の全ての案件について抽出が終了したか否かを判定し、終了していない場合には、再びステップS21を実行し、その調定データAの納付日及び催告IDの欄が空白の次の案件を1つ選択し、前記ステップS22、S23を繰り返し実行する。その場合、ステップS21では、先のサイクルで抽出した案件を除いて抽出する。
【0068】
前記例の場合、住民税用調定データA1の納付番号「1001」、「1002」の案件は既に抽出したから、次に納付番号「1003」の案件を抽出することになり、この案件の世帯コード「2222」と同一世帯コードの未納案件が全ての調定データA1〜A6から抽出される。図例の場合、駐輪場料金用調定データA2の納付番号「2002」の案件と、水道料金用調定データA4の納付番号「4002」の案件とが抽出され、前記納付番号「1003」の案件と共に電話催告ファイルD2に記録される。
【0069】
以下、同様にして、選択された科目の調定データAから順次抽出された1つの未納案件と、その案件と同一世帯コードの全ての調定データA1〜A6から抽出された未納案件とが電話催告ファイルD2に記録される。そして、選択された科目の調定データの納付日及び催告IDの欄が空白の全ての案件について抽出が終了すれば、図20のサブプログラムのステップS24から図19のメインプログラムに戻り、ステップS17で、全抽出案件を世帯コードをキーとしてソートする。
【0070】
これにより、電話催告ファイルD2が完成することになり、前記例の場合、図5に示すように、世帯コード「1111」についての3件の未納案件、世帯コード「2222」についての3件の未納案件というように、世帯コードごとに、未納案件がまとめられて記録される。
【0071】
また、前記メインプログラムのステップS7の「滞納額で抽出」が選択されたときの催告案件の抽出動作は、図21に示すフローチャートに従って行われ、まず、ステップS31で、全調定データA1〜A6から、納付日及び催告IDが共に空欄の案件を全て抽出し、次にステップS32で、これらの案件の滞納額を世帯コードごとに合算する。
【0072】
そして、ステップS33で、合計滞納額が、図15の催告先抽出条件設定画面W1の滞納額閾値設定ウインドW1bで設定された閾値以上となる世帯コードを特定し、その世帯コードの全調定データA1〜A6にわたる未納案件を抽出する。
【0073】
いま、図7〜図12の調定データA1〜A6に記録された世帯コード「1111」、「2222」、「3333」について滞納額を合算すると、世帯コード「1111」は「70000円」、世帯コード「2222」は「7200円」、世帯コード「3333」は「21200円」となり、前記滞納額閾値設定ウインドW1bで設定された閾値の金額が「20000円」であるとすると、世帯コード「1111」の納付番号「1001」、「1002」、「5001」の3つの未納案件と、世帯コード「3333」の納付番号「2003」、「6002」の2つの未納案件とが電話催告ファイルD2に出力されることになる。
【0074】
そして、図19のメインプログラムに戻り、ステップS17で、全抽出案件が世帯コードをキーとしてソートされ、未納案件が世帯コードごとにまとめられた電話催告ファイルD2が完成する。
【0075】
また、前記メインプログラムのステップS10の「住所地域で抽出」が選択されたときの催告案件の抽出動作は、図22に示すフローチャートに従って行われ、まず、ステップS41で、全調定データA1〜A6から、納付日及び催告IDが共に空欄の案件を順次検索し、これらの案件に含まれる住所が図16の催告先抽出条件設定画面W1の住所地域設定ウインドW1cで設定された住所地域に属する未納案件を全て抽出する。
【0076】
いま、例えば前記ウインドW1cで設定された住所地域が「浪速区」であるとすると、図7〜図12に示す調定データA1〜A6に記録された未納案件から世帯コード「2222」、「3333」の案件が抽出されることになり、世帯コード「2222」については、納付番号「1003」、「2002」、「4002」の3つの案件が抽出され、世帯コード「3333」については、納付番号「2003」、「6002」の2つの案件が抽出される。
【0077】
そして、ステップS42で、これらの未納案件が電話催告ファイルD2に出力され、図19のメインプログラムのステップS17で、全抽出案件が世帯コードをキーとしてソートされ、未納案件が世帯コードごとにまとめられた電話催告ファイルD2が完成する。
【0078】
また、前記メインプログラムのステップS13の「滞納日数で抽出」が選択されたときの催告案件の抽出動作は、図23に示すフローチャートに従って行われ、まず、ステップS51で、全調定データA1〜A6から、納付日及び催告IDが共に空欄の案件を順次検索し、これらの案件に含まれる納付期限から本日までの経過日数、即ち滞納日数が、図17の催告先抽出条件設定画面W1の滞納日数閾値設定ウインドW1dで設定された閾値以上の未納案件を全て抽出する。
【0079】
そして、ステップS52で、抽出した各案件について、世帯コードをキーとし、全調定データA1〜A6からその世帯コードの未納案件であって、催告IDが空欄の案件を抽出し、電話催告ファイルD2に出力する。
【0080】
いま、例えば設定された滞納日数の閾値が「60日」とし、本日の日付「09/12/10」であるとすると、図示の全調定データA1〜A6を検索した結果、自動車税用調定データA6の納付番号「6002」の案件が抽出される。そして、その案件の世帯コード「3333」をキーとして全調定データA1〜A6が検索され、その結果、前記納付番号「6002」の案件の他、駐輪場料金用調定データA2の納付番号「2003」の案件が抽出され、これらの案件が電話催告ファイルD2に記録される。
【0081】
その後、図19のメインプログラムのステップS17で、全抽出案件が世帯コードをキーとしてソートされ、未納案件が世帯コードごとにまとめられた電話催告ファイルD2が完成する。
【0082】
さらに、前記メインプログラムのステップS16の「支払能力で抽出」が選択されたときの催告案件の抽出動作は、図24に示すフローチャートに従って行われ、まず、ステップS61で、全調定データA1〜A6に記録されている世帯コードについて支払能力値を初期値の「0」にセットし、次いで、ステップS62で、住民税用、国民健康保険料用、固定資産税用、及び自動車税用の調定データA1、A3、A5、A6を検索し、納付日の欄に日付が記録されているか否かにより、各世帯の納付、滞納の別を読み取る。
【0083】
次に、ステップS63で、読み取った結果に基づき、住民税と国民健康保険料の両方とも滞納している世帯については、前記支払能力値Xを「−1」し、ステップS64で、住民税は滞納しているが、国民健康保険料を納付している世帯については、支払能力値Xを「+1」し、さらに、ステップS65で、住民税又は固定資産税の少なくとも一方を滞納し、自動車税を納付している世帯については、支払能力値を「+2」する。
【0084】
そして、ステップS66で、最終的な支払能力値Xと、図18の催告先抽出条件設定画面W1の支払能力値の閾値設定ウインドW1eで設定された閾値とを比較して、支払能力値Xが閾値以上の世帯のコードを抽出し、全調定データA1〜A6から、その世帯コードの未納案件であって、催告IDの欄が空欄の案件を抽出し、電話催告ファイルD2に出力する。
【0085】
いま、図7〜図12に示す調定データA1〜A6に記録された世帯コード「1111」については、住民税(納付番号「1001」)と、固定資産税(納付番号「5001」)とは滞納しているが、国民健康保険料(納付番号「3001」)と、自動車税(納付番号「6001」)とは納付しているので、支払能力値は「3」となり、この世帯は、本来、納付できる資力を有しながら税金を納めていないと判断できる。
【0086】
一方、前記ウインドW1eで設定された支払能力値Xの閾値が例えば「2」であるとすると、前記世帯コード「1111」は、この支払能力による抽出条件を満足する。そこで、この世帯コード「1111」をキーとして全調定データA1〜A6が検索され、催告IDが空欄の納付番号「1001」、「1002」、「5001」の案件が抽出される。
【0087】
このようにして支払能力値Xが閾値以上の世帯コードの未納案件であって、催告IDが付与されていない案件が抽出された後、図19のメインプログラムのステップS17で、全抽出案件が世帯コードをキーとしてソートされ、未納案件が世帯コードごとにまとめられた電話催告ファイルD2が完成する。
【0088】
ここで、図24による支払能力値による抽出は、他の条件による抽出結果に対するフィルタリング用として用いることも可能である。つまり、図25に示すように、催告先抽出条件設定画面W2に、前記画面W1の「支払能力で抽出」のボタンに代えて、「支払能力でフィルタリング」のボタンを設け、「税目・料目で抽出」、「滞納額で抽出」、「住所地域で抽出」又は「滞納日数で抽出」のいずれかを選択し、必要な閾値等を入力した後、「支払能力でフィルタリング」ボタンをONし、支払能力値の閾値設定ウインドW2aで支払能力値の閾値を入力するように構成する。
【0089】
この場合のメインプログラムは、図26に示すフローチャートに従って動作し、ステップS71で催告先抽出条件設定画面W2を表示した後、ステップS72〜S83によって、いずれかの条件で未納案件を抽出し、ステップS84でこれらの案件を世帯コードでソートして電話催告ファイルD2を生成し、その後、ステップS85で、前記画面W2のウインドW2aで設定された支払能力値の閾値によるフィルタリングを実行する。
【0090】
これにより、「税目・料目で抽出」、「滞納額で抽出」、「住所地域で抽出」又は「滞納日数で抽出」のいずれかによって抽出された案件のうち、支払能力値Xが閾値以上のもののみが電話催告ファイルに出力されることになる。
【0091】
図7〜図12に示す例において、前述のように、住民税用調定データA1に基づいて電話催告する案件を抽出した場合、世帯コード「1111」の納付番号「1001」、「1002」、「5001」の案件と、世帯コード「2222」の納付番号「1003」、「2002」、「4002」の案件とが抽出されることになるが、支払能力値の閾値を「0」と設定すると、世帯コード「2222」については、住民税及び国民健康保険の両方とも滞納しているので、図24のフローチャートのステップS63で、支払能力値Xは「−1」され、ステップS64、S65の条件には合致しないので、最終的な支払能力値Xは「−1」となる。したがって、図26のフローチャートのステップS85で、前記納付番号「1003」、「2002」、「4002」の案件は電話催告ファイルD2に出力されないことになる。
【0092】
つまり、住民税及び国民健康保険料の両方とも滞納している世帯は、これらを納付する資力に乏しく、電話催告によっても納付される可能性が低いと判断されるので、電話催告案件から除外されるのである。
【0093】
このように、図24による支払能力値による抽出を実行すれば、納付される可能性が高い納付者について重点的に催告することができ、また、支払が望めない納付者に対する催告が回避されて、いずれの場合にも、電話催告の効率が高くなる。
【0094】
なお、支払能力値Xによるフィルタリングについて、この実施形態では、各条件での抽出により、既に電話催告ファイルD2に出力された案件のうち、支払能力値Xが閾値未満の世帯コードの案件を該電話催告ファイルD2から消去することになるが、予め支払能力値Xによるフィルタリングを行った後、残った案件について各条件での抽出、電話催告ファイルD2への出力を行うようにしてもよい。
【0095】
次に、以上のようにして作成された電話催告ファイルD2を用いて行うサーバコンピュータ30の電話催告時の動作について説明する。
【0096】
この動作は図27に示すフローチャートに従って行われ、まずステップS91で、世帯コードでのソート済みの電話催告ファイルD2から全(未納)案件を読み込み、次に、ステップS92で、各世帯コードについて、図4に示す世帯構成マスタD1から、そのコードの世帯の世帯構成を読み出す。
【0097】
そして、ステップS93で、図28に示す電話催告先一覧画面W3に、世帯コードごとに、世帯主と、その世帯コードの未納案件の科目と、合計滞納額とを表示する。オペレータは、この画面W3を参照し、次に電話催告する世帯を選択することになる。
【0098】
サーバコンピュータ30は、次にステップS94で、オペレータにより選択された世帯についてのデータを図29に示す世帯別催告データ画面W4に表示する。この画面W4には、当該世帯の世帯主に関する情報、世帯構成に関する情報、及び各構成員の滞納内容が表示される。
【0099】
そこで、オペレータは、表示された電話番号に電話を架け、対応した者にその世帯の滞納状況を説明した上で、納付を依頼する。この間の交渉の内容は、オペレータにより交渉記録欄に入力される。
【0100】
そして、催告終了後、終了ボタンがONされると、サーバコンピュータ30は催告IDを生成し、これを対応する調定データAの催告ID欄に記録すると共に、オペレータによって入力された交渉記録を、前記催告IDと共に図6に示す交渉記録ファイルD3に記録する。当該世帯に複数の滞納案件がある場合には、案件ごとに異なる催告IDが生成され、それぞれの調定データA、A…の案件に記録されると共に、交渉記録ファイルD3への記録も案件ごとに異なる催告IDのもとで行われる。
【0101】
このようにして、同一世帯に複数の滞納案件がある場合に、1回の電話催告によってこれらの案件を処理することができるようになる。
【0102】
なお、電話催告先一覧画面W3において、世帯主の表示に代えて、いずれかの未納案件の納付者をその世帯を代表させて表示すると共に、世帯別催告データ画面W4では、世帯主情報の表示及び世帯構成の表示を廃止し、当該世帯の滞納内容の表示のみを行うようにすれば、図4に示す世帯構成マスタD1を廃止することができる。
【0103】
また、以上の実施形態では、全調定データA1〜A6に対し、世帯コード単位で未納案件を抽出したが、各納付者単位で複数の未納案件をまとめて抽出するようにしてもよい。この場合、同一世帯に構成員ごとに電話催告される場合が生じるが、同一納付者に科目ごとに電話催告が行われるという不具合は回避される。
【0104】
また、以上の実施形態では、調定データとして、市区町村が管轄する科目のものと、都道府県が管轄する科目のものとを扱うようにしたが、さらに国が管轄する科目の調定データも対象に加えることも可能であり、取り扱い科目は適宜採択される。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上のように本発明によれば、国や地方自治体における各種税金、料金の徴収業務において、滞納者に対する電話催告を効率よく行うことができると共に、同一納付者に科目ごとに催告の電話をかけて不快感を与えるという不具合が解消され、また、用いるデータは納付書発行用の現年度の調定データのみであるから、個人情報保護に関する障害が少なく、この催告業務を地方自治体等の内部で派遣オペレータによって行う場合や、外部委託する場合などに適したシステムが実現される。もって、この種のコンピュータによる業務管理技術産業において、好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0106】
3 催告システム
30 サーバコンピュータ
31 中央処理装置
34 記憶装置
35 調定データ入出力手段
36 オペレータ端末用入出力手段
A 調定データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
国又は地方自治体が徴収する税金及び/又は料金の滞納者に対する電話催告システムであって、サーバコンピュータによって構成され、前記税金及び/又は料金の各科目ごとの納付書発行用の調定データであって、未納案件が特定されたものを入手する調定データ入手手段と、該入手手段で入手した全科目の調定データから未納案件を抽出する未納案件抽出手段と、該抽出手段で抽出した未納案件を、前記調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報をキーとしてソートし、納付者別又は世帯別の電話催告用データファイルを生成する電話催告ファイル生成手段とを有することを特徴とする電話催告システム。
【請求項2】
前記電話催告ファイル生成手段で生成された電話催告ファイルのデータをオペレータ端末に出力すると共に、該端末で生成された交渉記録を入力するオペレータ端末用データ入出力手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電話催告システム。
【請求項3】
調定データから未納案件を抽出する際の条件を設定する抽出条件設定手段を有し、前記未納案件抽出手段は、調定データから未納案件を抽出するときに、前記抽出条件設定手段で設定された条件に基づいて未納案件を抽出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電話催告システム。
【請求項4】
前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として税金及び/又は料金の科目を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により税金及び/又は料金のいずれかの科目が抽出条件として設定されたときに、その科目の調定データから未納案件を抽出し、その案件のレコードに含まれる納付者情報又は世帯情報をキーとして、その科目及び他の科目の全調定データから当該納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする請求項3に記載の電話催告システム。
【請求項5】
前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として滞納額が所定金額以上であることを設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により滞納額が所定金額以上であることが抽出条件として設定されたときに、全調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報と滞納額情報とから納付者ごと又は世帯ごとの合計滞納額を算出し、全調定データから、この合計滞納額が前記抽出条件設定手段で設定された所定金額以上の納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする請求項3に記載の電話催告システム。
【請求項6】
前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として納付者の住所地域を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により納付者の住所地域が抽出条件として設定されたときに、調定データの各案件のレコードに含まれる住所情報に基づき、全調定データから、納付者の住所が前記抽出条件設定手段で設定された住所地域に属する未納案件を抽出することを特徴とする請求項3に記載の電話催告システム。
【請求項7】
前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として納付期限からの経過日数を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により納付期限からの経過日数が抽出条件として設定されたときに、調定データの各案件のレコードに含まれる納付期限情報に基づき、全調定データから、納付期限からの経過日数が前記抽出条件設定手段で設定された日数以上の未納案件を抽出すると共に、これらの案件のレコードに含まれる納付者情報又は世帯情報をキーとして、全調定データから当該納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする請求項3に記載の電話催告システム。
【請求項8】
前記抽出条件設定手段は、未納案件を抽出する際の条件として所定の基準に基づく支払能力を設定することが可能とされており、前記未納案件抽出手段は、前記抽出条件設定手段により支払能力が抽出条件として設定されたときに、調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報に基づき、各納付者又は世帯の納付科目と滞納科目とから各納付者又は世帯の支払能力値を求め、この支払能力値が前記抽出条件設定手段によって設定された値以上となる納付者又は世帯の納付者情報又は世帯情報をキーとして、全調定データから当該納付者又は世帯の未納案件を抽出することを特徴とする請求項3に記載の電話催告システム。
【請求項9】
調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報に基づき、各納付者又は世帯の滞納科目に基づいて各納付者又は世帯の支払能力値を求め、この支払能力値が所定値より小さな値となる納付者又は世帯の納付者情報又は世帯情報を含む未納案件については、電話催告ファイルへの記録を禁止するフィルタリング手段を有することを特徴とする前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電話催告システム。
【請求項10】
国又は地方自治体が徴収する税金及び/又は料金の滞納者に対する電話催告用プログラムであって、コンピュータを、前記税金及び/又は料金の各科目ごとの納付書発行用の調定データであって、未納案件が特定されたものを入手する調定データ入手手段、該入手手段で入手した全科目の調定データから未納案件を抽出する未納案件抽出手段、及び、該抽出手段で抽出した未納案件を、前記調定データの各案件のレコードに含まれている納付者情報又は世帯情報をキーとしてソートし、納付者別又は世帯別の電話催告用データファイルを生成する電話催告ファイル生成手段として機能させることを特徴とする電話催告用プログラム。
【請求項11】
コンピュータを、前記電話催告ファイル生成手段で生成された電話催告ファイルのデータをオペレータ端末に出力すると共に、該端末で生成された交渉記録を入力するオペレータ端末用データ入出力手段として機能させることを特徴とする請求項10に記載の電話催告用プログラム。
【請求項12】
コンピュータを、調定データから未納案件を抽出する際の条件を設定する抽出条件設定手段として機能させ、前記未納案件抽出手段として機能させるときは、調定データから未納案件を抽出するときに、前記抽出条件設定手段で設定された条件に基づいて未納案件を抽出するように機能させることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の電話催告用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−70563(P2011−70563A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223087(P2009−223087)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(507228172)株式会社JSOL (23)